説明

検査装置

【課題】簡単な操作で検査チップを位置決めし、チップ接続部と密着することができる検査装置を提供する。
【解決手段】流体を検査チップに注入して試薬と検体を反応させ反応結果を測定する検査装置において、検査チップを載置するチップ搬送トレイと、チップ搬送トレイを移動させるトレイ駆動手段と、検査チップと連通し流体を前記検査チップに注入するチップ接続部と、を有し、トレイ駆動手段は、チップ搬送トレイに載置した検査チップをチップ接続部と連通可能な位置に移動させた後、垂直方向に移動させて検査チップとチップ接続部とを密着し連通させることを特徴とする検査装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロマシン技術および超微細加工技術を駆使することにより、従来の試料調製、化学分析、化学合成などを行うための装置、手段(例えばポンプ、バルブ、流路、センサーなど)を微細化して1チップ上に集積化したシステムが開発されている(例えば、特許文献1参照)。これは、μ−TAS(Micro total Analysis System:マイクロ総合分析システム)、バイオリアクタ、ラブ・オン・チップ(Lab−on−chips)、バイオチップとも呼ばれ、医療検査・診断分野、環境測定分野、農産製造分野でその応用が期待されている。現実には遺伝子検査に見られるように、煩雑な工程、熟練した手技、機器類の操作が必要とされる場合には、自動化、高速化および簡便化されたμ−TASは、コスト、必要試料量、所要時間のみならず、時間および場所を選ばない分析を可能とすることによる恩恵は多大と言える。
【0003】
上記のようなμ−TASでは、マイクロポンプによって検査チップの微細流路内における試薬等の送液を行っている。
【0004】
具体的には、特許文献2、3に開示された構成を有するピエゾ素子を用いたポンプなどをチップに複数設けたマイクロポンプユニットと、検査チップとを、例えば互いの流路開口が合致するようにマイクロポンプユニットのチップ面と検査チップのチップ面とを密着させることによって、ポンプ側の流路と検査チップ側の流路とを連通させている。
【0005】
このような検査装置では微少量の送液を行うため、ポンプ側の流路と検査チップ側の流路とを正確に位置合わせして密着しないと、ポンプから送り出す流体が漏れ、所望の流量の送液を行うことができない。最悪の場合は、ポンプ側の流路と検査チップ側の流路とが連通せず、検査が行えないことが考えられる。
【0006】
検査チップを位置決めして流体を検査チップに流入、流出させる方法としては、検査チップを平行レールを設けたホルダに挿入して保持する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2004−28589号公報
【特許文献2】特開2001−322099号公報
【特許文献3】特開2004−108285号公報
【特許文献4】特表2005−531006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献4に開示されている方法では、検査チップをホルダに挿抜する面に流路開口を設けるので、ホルダの流路開口と検査チップの流路開口との間に挿抜可能になるよう隙間を設ける必要がある。このようにすると、隙間から流体が漏れるため微少量の送液を正確に行うことができない。
【0008】
また、特許文献4に開示されている方法では、手動で検査チップを挿入するので、検査チップが正規の位置にセットされないことがある。そのような場合は、ポンプ側の流路と検査チップ側の流路とが連通せず、検査が行えないことがあった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、簡単な操作で検査チップを位置決めし、チップ接続部と密着することができる検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、下記構成により達成することができる。
【0011】
1.
流体を検査チップに注入して試薬と検体を反応させ反応結果を測定する検査装置において、
前記検査チップを載置するチップ搬送トレイと、
前記チップ搬送トレイを移動させるトレイ駆動手段と、
前記検査チップと連通し前記流体を前記検査チップに注入するチップ接続部と、
を有し、
前記トレイ駆動手段は、前記チップ搬送トレイに載置した前記検査チップを前記チップ接続部と連通可能な位置に移動させた後、垂直方向に移動させて前記検査チップと前記チップ接続部とを密着し連通させることを特徴とする検査装置。
【0012】
2.
前記チップ搬送トレイに連動して前記検査チップを押圧する押圧部材を有し、
前記トレイ駆動手段は、前記チップ搬送トレイに載置した前記検査チップを前記チップ接続部と連通可能な位置に移動させるとともに前記押圧部材を垂直方向に移動させて前記検査チップを押圧することを特徴とする1に記載の検査装置。
【0013】
3.
前記押圧部材は、前記検査チップを押圧する部分に前記検査チップの温度を調整する温度調整手段を有することを特徴とする1または2に記載の検査装置。
【0014】
4.
流体を検査チップに注入して試薬と検体を反応させ反応結果を測定する検査装置において、
前記検査チップを載置するチップ搬送トレイと、
前記チップ搬送トレイを水平方向に移動させる第1の駆動手段と、
前記チップ搬送トレイを垂直方向に移動させる第2の駆動手段と、
前記検査チップと連通し前記流体を前記検査チップに注入するチップ接続部と、
前記チップ搬送トレイに載置した前記検査チップが前記チップ接続部と連通可能な位置に移動したことを検知する検知手段と、
前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段とを制御する機構制御手段と、
を有し、
前記機構制御手段は、前記第1の駆動手段を駆動して前記チップ搬送トレイを前記検知手段が検知するまで移動させた後、前記第2の駆動手段を駆動して前記検査チップと前記チップ接続部とを密着し連通させることを特徴とする検査装置。
【0015】
5.
前記第2の駆動手段に連動して前記検査チップを押圧する押圧部材を有し、
前記機構制御手段は、前記第2の駆動手段を駆動して前記検査チップと前記チップ接続部とを密着し連通させるとともに前記押圧部材を垂直方向に移動させて前記検査チップを押圧することを特徴とする4に記載の検査装置。
【0016】
6.
前記押圧部材は、前記検査チップに当接する部分に前記検査チップの温度を調整する温度調整手段を有することを特徴とする4または5に記載の検査装置。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、トレイ駆動手段が検査チップをチップ接続部と連通可能な位置まで移動させた後、垂直方向に移動させてチップ接続部と密着させるので、簡単な操作で検査チップを位置決めし、チップ接続部と密着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態における検査装置80の外観図である。
【0020】
検査装置80は検査チップ1に予め注入された検体と、試薬との反応を自動的に検出し、表示部84に結果を表示する装置である。検査チップ1をチップ搬送トレイ2に載置した後チップ搬送トレイ2を挿入口83にローディングし、筐体82の内部にセットするようになっている。85はメモリカードスロット、86はプリント出力口、87は操作パネル、88は入出力端子、89はトレイ蓋、91は排出ボタンである。
【0021】
図1(a)はチップ搬送トレイ2が検査チップ1を載置可能な位置に排出された状態の外観図、図1(b)はチップ搬送トレイ2が検査可能な位置にローディングされた状態の外観図である。
【0022】
検査担当者は検査チップ1をチップ搬送トレイ2に載置し、排出ボタン91を押してチップ搬送トレイ2を図1(a)の矢印の方向に移動させる。チップ搬送トレイ2が図1(b)のように検査可能な位置まで移動すると、検査担当者は操作パネル87を操作して検査を開始させる。
【0023】
筐体82の内部では、制御手段の指令により図1には図示せぬマイクロポンプユニット75が検査チップ1に駆動液等の液体を注入し、検査チップ1内の反応の検査が自動的に行われる。検査が終了すると液晶パネルなどで構成される表示部84に結果が表示される。検査結果は操作パネル87の操作により、プリント出力口86よりプリントを出力したり、メモリカードスロット85に挿入されたメモリカードに記憶することができる。また、外部入出力端子88から例えばLANケーブルを使って、パソコンなどにデータを保存することができる。
【0024】
検査担当者は、検査終了後、排出ボタン91を押してチップ搬送トレイ2を図1(a)のように検査チップ1を取り出し可能な位置まで移動させる。検査担当者は、検査チップ1をチップ搬送トレイ2から取り出す。
【0025】
次に、検査チップ1の一例について、図2を用いて説明する。
【0026】
図2(a)、図2(b)は検査チップ1の外観図である。図2(a)において矢印は、後述する筐体82に検査チップ1を挿入する挿入方向であり、図2(a)は挿入時に検査チップ1の下面となる面を図示している。図2(b)は検査チップ1の側面図である。
【0027】
図2(a)の検出部の窓111aと検出部の流路111bは検体と試薬の反応を光学的に検出するために設けられており、ガラスや樹脂などの透明な部材で構成されている。110a、110b、110c、110d、110eは内部の微細流路に連通する駆動液注入口であり、各駆動液注入口110から駆動液を注入し内部の試薬等を駆動する。213は検査チップ1に検体を注入するための検体注入部である。
【0028】
なお、本実施形態では流体の一例として駆動液を注入する例について説明するが、流体は液体に限定されるものではなく、気体を用いて内部の試薬等を駆動しても良い。
【0029】
図2(b)に示すように、検査チップ1は溝形成基板108と、溝形成基板108を覆う被覆基板109から構成されている。次に、検査チップ1を構成する溝形成基板108と被覆基板109に用いる材料について説明する。
【0030】
検査チップ1は、加工成形性、非吸水性、耐薬品性、耐候性、コストなどに優れていることが望まれており、検査チップ1の構造、用途、検出方法などを考慮して、検査チップ1の材料を選択する。その材料としては従来公知の様々なものが使用可能であり、個々の材料特性に応じて通常は1以上の材料を適宜組み合わせて、基板および流路エレメントが成形される。
【0031】
特に、多数の測定検体、とりわけ汚染、感染のリスクのある臨床検体を対象とするチップは、ディスポーサブルタイプであることが望ましい。そのため、量産可能であり、軽量で衝撃に強く、焼却廃棄が容易なプラステック樹脂、例えば、透明性、機械的特性および成型性に優れて微細加工がしやすいポリスチレンが好ましい。また、例えば分析においてチップを100℃近くまで加熱する必要がある場合には、耐熱性に優れる樹脂(例えばポリカーボネートなど)を用いることが好ましい。また、タンパク質の吸着が問題となる場合にはポリプロピレンを用いることが好ましい。樹脂やガラスなどは熱伝導率が小さく、マイクロチップの局所的に加熱される領域に、これらの材料を用いることにより、面方向への熱伝導が抑制され、加熱領域のみ選択的に加熱することができる。
【0032】
検出部111において、呈色反応の生成物や蛍光物質などの検出を光学的に行う場合は、少なくともこの部位の基板は光透過性の材料(例えばアルカリガラス、石英ガラス、透明プラスチック類)を用い、光が透過するようにする必要がある。本実施形態においては、検出部の窓111aと、少なくとも検出部の流路111bを形成する溝形成基板は、光透過性の材料が用いられていて、検出部111を光が透過するようになっている。
【0033】
検査チップ1には、検査、試料の処理などを行うための、微小な溝状の流路(微細流路)および機能部品(流路エレメント)が、用途に応じた適当な態様で配設されている。ここでは、これらの微細流路および流路エレメントによって検査チップ1内で行われる特定の遺伝子の増幅およびその検出を行う処理の一例を図2(c)を用いて説明する。
【0034】
図2(c)は検査チップ1内部の微細流路および流路エレメントの機能を説明するための説明図である。
【0035】
微細流路には、例えば検体液を収容する検体収容部221、試薬類を収容する試薬収容部220などが設けられており、場所や時間を問わず迅速に検査ができるよう、試薬収容部220には必要とされる試薬類、洗浄液、変性処理液などがあらかじめ収容されている。図2(c)において、試薬収容部220、検体収容部221および流路エレメントは四角形で表し、その間の微細流路は実線と矢印で表す。
【0036】
検査チップ1は、微細流路を形成した溝形成基板108と溝状の流路を覆う被覆基板109から構成されている。微細流路はマイクロメーターオーダーで形成されており、例えば幅は数μm〜数百μm、好ましくは10〜200μmで、深さは25〜500μm程度、好ましくは25〜250μmである。
【0037】
少なくとも検査チップ1の溝形成基板108には、上記の微細流路が形成されている。被覆基板109は、少なくとも溝形成基板の微細流路を密着して覆う必要があり、溝形成基板の全面を覆っていても良い。なお、検査チップ1の微細流路には、例えば、図示せぬ送液制御部、逆流防止部(逆止弁、能動弁など)などの送液を制御するための部位が設けられ、逆流を防止し、所定の手順で送液が行われるようになっている。
【0038】
検体注入部213は検査チップ1に検体を注入するための注入部、駆動液注入口110は検査チップ1に駆動液を注入するための注入部である。検査チップ1による検査を行うに先立って、検査担当者は検体を検体注入部213から注射器などを用いて注入する。図2(c)に示すように、検体注入部213から注入された検体は、連通する微細流路を通って検体収容部221に収容される。
【0039】
次に、駆動液注入口110aから駆動液を注入すると、駆動液は連通する微細流路を通って検体収容部221に収容されている検体を押し出し、増幅部222に検体を送り込む。
【0040】
一方、駆動液注入口110bから注入された駆動液は、連通する微細流路を通って試薬収容部220aに収容されている試薬aを押し出す。試薬収容部220aから押し出された試薬aは増幅部222に駆動液によって送り込まれる。このときの反応条件によっては、増幅部222の部分を所定の温度にする必要があり、後で説明するように筐体82の内部で加熱または吸熱して所定の温度で反応させる。
【0041】
所定の反応時間の後、さらに駆動液により増幅部222から送り出された反応後の検体を含む溶液は、検出部111に注入される。注入された溶液は検出部111の流路壁に担持されている反応物質と反応し流路壁に固定化する。
【0042】
次に、駆動液注入口110cから駆動液を注入すると、駆動液は連通する微細流路を通って試薬収容部220bに収容されている試薬bを押し出し、微細流路から検出部111に注入する。
【0043】
同様に、駆動液注入口110dから駆動液を注入すると、駆動液は連通する微細流路を通って試薬収容部220cに収容されている試薬を押し出し、微細流路から検出部111に注入する。
【0044】
最後に、駆動液注入口110eから駆動液を注入して、洗浄液収容部223から洗浄液を押しだし、検出部111に注入する。洗浄液によって検出部111内に残留している未反応の溶液41を洗浄する。
【0045】
洗浄後、検出部111の流路壁に吸着した反応物の濃度を光学的に測定することによって、増幅した遺伝子など被検出物を検出する。このように、駆動液注入口110から駆動液を順次注入することにより、検査チップ1の内部で所定の処理が行われる。
【0046】
図3は、本発明の第1の実施形態における検査装置80の内部構成の一例を示す断面図である。検査装置80はチップ搬送トレイ2、押圧板3、モータ6、中間流路部180、マイクロポンプユニット75、パッキン90a、90b、チップ接続部8、駆動液タンク91などから構成される。以下、これまでに説明した構成要素と同一の構成要素には同番号を付し、説明を省略する。
【0047】
図3を用いて、モータ6によって駆動される機構が、チップ搬送トレイ2に載置した検査チップ1をチップ接続部8と連通可能な位置に移動させた後、垂直方向に移動させて検査チップ1とチップ接続部8とを密着し連通させる動作を順に説明する。
【0048】
図3(a)は、図1(a)のようにチップ搬送トレイ2が排出された状態である。検査チップ1はチップ搬送トレイ2に載置されている。図3(a)の状態からモータ6を回転させるとモータ6に連動するチップ搬送トレイ2は矢印S1方向(水平方向)に移動を開始する。
【0049】
図3(b)は、検査チップ1の駆動液注入口110とチップ接続部8の流路開口185が連通可能な位置にチップ搬送トレイ2が移動した状態である。駆動液注入口110と流路開口185は対向する位置にある。図3(b)の状態からモータ6を回転させると図3には図示せぬ回転カム4とチップ搬送トレイ2が係合し、モータ6と連動する回転カム4はチップ搬送トレイ2を矢印S2方向(垂直方向)に移動させる。
【0050】
図3(c)は、検査チップ1とチップ接続部8を密着し、押圧板3の温度調節ユニット152が検査チップ1に密着した状態である。図3(c)に示すように、駆動液注入口110と流路開口185は連通している。検査チップ1とチップ接続部8を密着してから、モータ6を回転させると押圧板3と連動する回転カム4により、押圧板3は矢印S2方向(垂直方向)に移動し、温度調節ユニット152を検査チップ1に押圧し密着させる。温度調節ユニット152は、ペルチェ素子、電源装置、温度制御装置などを内蔵し、発熱または吸熱を行って当接する検査チップ1の上面を所定の温度に調整する。
【0051】
押圧板3は本発明の押圧部材、温度調節ユニット152は、本発明の温度調整手段である。
【0052】
所定の位置にチップ搬送トレイ2に載置された検査チップ1が搬送されると、検知部95はチップ搬送トレイ2を検知し、オンになる。
【0053】
中間流路部180は、中間流路182の溝を設けた透明な第1基板184と、第1基板184を覆う透明な第2基板183から構成され、中間流路182の一端は流路開口185と連通し、他端はパッキン90bの流路開口186と連通している。中間流路182は流路開口186を介してマイクロポンプユニット75の入出力口146と連通している。
【0054】
マイクロポンプユニット75の吸込側には、パッキン90aを介して駆動液タンク91が接続され、駆動液タンク91に充填された駆動液をパッキン90aを介して吸い込むようになっている。一方、マイクロポンプユニット75の吐出側の端面に設けられた入出力口146は中間流路182を介して検査チップ1の駆動液注入口110と連通しているので、マイクロポンプユニット75から送り出された駆動液は、検査チップ1の駆動液注入口110から検査チップ1内に形成された流路250に注入される。このようにして、マイクロポンプユニット75から駆動液注入口110に駆動液を注入する。
【0055】
マイクロポンプユニット75には少なくとも一つのマイクロポンプMPが設けられている。図2に図示した検査チップ1を駆動する場合は、5つの駆動液注入口110a、110b、110c、110d、110eに対応する5つのマイクロポンプMPが必要である。また、5つのマイクロポンプMPが5つの駆動液注入口110a、110b、110c、110d、110eにそれぞれ連通するように対応する5つの流路開口186、中間流路182、流路開口185が必要である。
【0056】
検査チップ1の検出部111では、検体と検査チップ1内に貯蔵された試薬が反応して、例えば呈色、発光、蛍光、混濁などをおこす。本実施形態では図2で説明したように、検出部111でおこる試薬の反応結果を光学的に検出する。光検出部150は発光部150aと受光部150bから成り、検査チップ1の検出部111を透過する光を検出できるように配置されている。
【0057】
次に、図4を用いて本発明の第1の実施形態にについて説明する。
【0058】
図4は検査チップ1を載置したチップ搬送トレイ2の側面図である。
【0059】
第1の実施形態は、一つのモータ6がチップ搬送トレイ2と押圧板3を駆動する駆動機構の一例である。全ての駆動機構は台板5に取り付けられている。図4(a)、(b)では、押圧板3は、押圧カム3aと係合する回転カムフォロア4aによって紙面上方向に持ち上げられ、押圧板3とチップ搬送トレイ2との間に隙間がある状態を示している。チップ搬送トレイ2はローディングピニオンギア9と噛み合うギア部(図示せず)を有し、モータ6によってローディングピニオンギア9を駆動すると紙面左右方向(水平方向)に移動可能である。
【0060】
図4に示す清掃ローラ12の回転軸13は、チップ搬送トレイ2に取り付けられた支持台14に支持され、矢印S1で示すチップ搬送トレイ2の移動する方向に対して直交している。7は検査チップ位置決めベースであり、中間流路180やチップ接続部8が取り付けられている。なお、図4にはマイクロポンプユニット75、駆動液タンク91などを図示していないが、図3と同様に連通しているので、マイクロポンプユニット75によって送出された駆動液がチップ接続部8から吐出する。
【0061】
チップ搬送トレイ2が図4の矢印S1方向に移動すると、清掃ローラ12がチップ接続部8に接触し回転しながらチップ接続部8に付着した異物もしくは液体を除去する。
【0062】
清掃ローラ12の材質は特に限定されるものではないが、吸水性樹脂やスポンジを用いることができる。
【0063】
ここではローディング時の動作を説明する。
【0064】
図4(a)はチップ搬送トレイ2が排出された状態であり、モータ6を所定の方向に回転させるとローディングオピニオンギア9とギア列が噛み合っているチップ搬送トレイ2が矢印S1方向(水平方向)に移動する。
【0065】
図4(b)は図3(b)と同様に、検査チップ1の駆動液注入口110とチップ接続部8の流路開口185が連通可能な位置にチップ搬送トレイ2が移動した状態である。駆動液注入口110と流路開口185は対向する位置にある。図4(b)の状態からモータ6を回転させると、チップ搬送トレイ2のトレイピン2aは回転カム4に係合し、回転カム4を少し回転させる。すると、押圧板駆動ギアA 10とローディングオピニオンギア9のギア列が噛み合い、押圧板駆動ギアA 10と噛み合う押圧板駆動ギアB 11が回転カム4を反時計方向に回転させる。
【0066】
一方チップ搬送トレイ2のギア部とローディングオピニオンギア9の噛み合いは外れ、チップ搬送トレイ2は回転カム4の回転に連動して矢印S2方向(垂直方向)に移動する。
【0067】
回転カム4の回転カムフォロア4aは、押圧板3の押圧カム3aと係合しているので、回転カム4が反時計方向にさらに回転すると図4(c)のように押圧板3を矢印S2方向(垂直方向)に押し下げる。なお、押圧板3は図示せぬガイド部材により矢印S2方向(垂直方向)だけ動くように規制されている。
【0068】
図4(c)は図3(c)と同様に、押圧板3の温度調節ユニット152が検査チップ1を押圧し、検査チップ1とチップ接続部8を密着している状態である。
【0069】
チップ搬送トレイ2の排出時の動作は、ローディング時と逆の動作である。図4(c)の状態からモータ6をローディング時と逆方向に回転させると回転カム4が時計方向に回転し、押圧板3とチップ搬送トレイ2を矢印S2と逆方向に上昇させる。図4(b)の状態までチップ搬送トレイ2が上昇すると、チップ搬送トレイ2のギア部とローディングオピニオンギア9が噛み合い、チップ搬送トレイ2を矢印S1と反対方向に移動させる。
【0070】
駆動機構の説明は以上である。
【0071】
モータ6、ローディングオピニオンギア9、押圧板駆動ギアA 10、押圧板駆動ギアB 11、回転カム4、回転カムフォロア4a、は本発明のトレイ駆動手段である。
【0072】
次に、図5、図6、図7を用いて本発明の第2の実施形態について説明する。
【0073】
図5は、本発明の第2の実施形態における検査装置80の内部構成の一例を示す断面図である。
【0074】
第1の実施形態と第2の実施形態との違いは、第2の実施形態では、モータ6がチップ搬送トレイ2を所定の位置まで水平方向に駆動し、モータ19がチップ搬送トレイ2と押圧板3とを垂直方向に駆動する点である。その他の構成要素は第1の実施形態と同じであり、同番号を付し説明を省略する。
【0075】
モータ6は本発明の第1の駆動手段、モータ19は本発明の第2の駆動手段である。
【0076】
チップ搬送トレイ2は、図5(a)に示す検査チップ1を載置する位置から図5(b)に示す検査チップ1がチップ接続部8と連通可能な位置まではモータ6と連動し、図5(b)の位置からはモータ19と連動する。
【0077】
図6は、本発明の第2の実施形態における反応検出装置80の回路ブロック図である。
【0078】
制御部99は、CPU98(中央処理装置)とRAM97(Random Access Memory),ROM96(Read Only Memory)等から構成され、不揮発性の記憶部であるROM96に記憶されているプログラムをRAM97に読み出し、当該プログラムに従って反応検出装置80の各部を集中制御する。
【0079】
以下、いままでに説明した機能と同一機能を有する機能ブロックには同番号を付し、説明を省略する。
【0080】
機構制御部411はモータ6とモータ19を制御し、チップ搬送トレイ2を移動させる。検知部95は、チップ搬送トレイ2が検知部95に当接すると検知信号をCPU98に送信する。機構制御部411は本発明の機構制御手段である。
【0081】
ポンプ駆動部500は各マイクロポンプMPの圧電素子112を駆動する駆動部である。ポンプ駆動制御部412はプログラムに基づいて、所定量の駆動液を注入または吸入するようにポンプ駆動部500を制御する。ポンプ駆動部500はポンプ駆動制御部412の指令を受けて、駆動電圧を発生して圧電素子112を駆動する。
【0082】
CPU98は所定のシーケンスで検査を行い、検査結果をRAM97に記憶する。検査結果は、操作部87の操作によりメモリカード501に記憶したり、プリンタ503によってプリントすることができる。
【0083】
なお、図6の回路ブロック図では第2の実施形態について説明するが、第1の実施形態の場合はモータがモータ6だけである点が異なるが、そのほかの回路ブロックは第2の実施形態と同じである。
【0084】
図7はチップ搬送トレイ2の駆動制御を説明するためのフローチャートである。
【0085】
機構制御部411は、排出ボタン91の状態を一定周期で監視しているものとする。
【0086】
S101:排出ボタン91の状態を判定するステップである。
【0087】
機構制御部411は、排出ボタン91が押されたとき、現在のチップ搬送トレイ2の状態から指令内容を判定する。例えば、図5(a)の状態のときはローディングを指令されたと判定する。
【0088】
排出の場合、(ステップS101;排出)、ステップS102に進む。
【0089】
ローディングの場合、(ステップS101;ローディング)、ステップS110に進む。
【0090】
排出ボタン91が押されていない場合、(ステップS101;No)、処理を終了する。
【0091】
S110:チップ搬送トレイ2をローディングするステップである。
【0092】
機構制御部411は、モータ6をチップ搬送トレイ2を矢印S1方向(ローディングする方向)に移動させる方向に回転させる。
【0093】
S111:チップ搬送トレイ2を停止するステップである。
【0094】
機構制御部411は、検知部95の検知信号を受信するとモータ6を停止させる。チップ搬送トレイ2は、図5(b)のようにチップ搬送トレイ2が検査チップ1をチップ接続部8と連通可能な位置に停止する。
【0095】
S112:チップ搬送トレイ2が下降するステップである。
【0096】
機構制御部411は、モータ19をチップ搬送トレイ2と押圧板3とを下降させる方向に回転させる。モータ19と連動しチップ搬送トレイ2は先に下降する。
【0097】
S113:押圧板3が下降するステップである。
【0098】
機構制御部411は、所定時間モータ19を回転させ連動するチップ押圧板3を下降させる。
【0099】
S114:チップ押圧板3とチップ搬送トレイ2を停止するステップである。
【0100】
機構制御部411は、所定時間後にモータ19を停止させると、連動するチップ押圧板3は図5(c)のように検査チップ1の上面に密着する。また、チップ押圧板3に押圧される検査チップ1はチップ接続部8と未着する。
【0101】
ローディング時の処理は以上である。
【0102】
S102:押圧板3が上昇するステップである。
【0103】
機構制御部411は、モータ19をチップ搬送トレイ2と押圧板3とを上昇させる方向に回転させる。モータ19と連動し押圧板3は先に上昇する。
【0104】
S103:チップ搬送トレイ2が上昇するステップである。
【0105】
機構制御部411は所定時間モータ19を回転させ、連動するチップ搬送トレイ2が図5(b)のように所定位置まで上昇させる。
【0106】
S104:チップ搬送トレイ2が排出方向に移動するステップである。
【0107】
機構制御部411はモータ19を停止し、チップ搬送トレイ2が排出する方向にモータ6を回転させる。
【0108】
S105:チップ搬送トレイ2を停止するステップである。
【0109】
機構制御部411は、所定時間後にモータ6を停止させ、図5(a)のようにチップ搬送トレイ2が排出した状態にする。
【0110】
排出時の処理は以上である。
【0111】
以上このように、本発明によれば、簡単な操作で検査チップを位置決めし、チップ接続部と密着することができる検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の実施形態における検査装置80の外観図である。
【図2】検査チップ1の一例を説明するための説明図である。
【図3】実施形態の検査装置80の内部構成の一例を示す断面図である。
【図4】検査チップ1を載置したチップ搬送トレイ2の側面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態における検査装置80の内部構成の一例を示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における反応検出装置80の回路ブロック図である。
【図7】チップ搬送トレイ2の駆動制御を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0113】
1 マイクロチップ
2 チップ搬送トレイ
2a トレイピン
3 押圧板
4 回転カム
4a 回転カムフォロア
5 台板
6 モータ
7 検査チップ位置決めベース
8 チップ接続部
9 ローディングピニオンギア
10 押圧板駆動ギアA
11 押圧板駆動ギアB
12 清掃ローラ
80 検査装置
82 筐体
83 挿入口
84 表示部
90 パッキン
91 駆動液タンク
110 駆動液注入口
111 検出部
150 光検出部
195 液温調節ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を検査チップに注入して試薬と検体を反応させ反応結果を測定する検査装置において、
前記検査チップを載置するチップ搬送トレイと、
前記チップ搬送トレイを移動させるトレイ駆動手段と、
前記検査チップと連通し前記流体を前記検査チップに注入するチップ接続部と、
を有し、
前記トレイ駆動手段は、前記チップ搬送トレイに載置した前記検査チップを前記チップ接続部と連通可能な位置に移動させた後、垂直方向に移動させて前記検査チップと前記チップ接続部とを密着し連通させることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記チップ搬送トレイに連動して前記検査チップを押圧する押圧部材を有し、
前記トレイ駆動手段は、前記チップ搬送トレイに載置した前記検査チップを前記チップ接続部と連通可能な位置に移動させるとともに前記押圧部材を垂直方向に移動させて前記検査チップを押圧することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記押圧部材は、前記検査チップを押圧する部分に前記検査チップの温度を調整する温度調整手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項4】
流体を検査チップに注入して試薬と検体を反応させ反応結果を測定する検査装置において、
前記検査チップを載置するチップ搬送トレイと、
前記チップ搬送トレイを水平方向に移動させる第1の駆動手段と、
前記チップ搬送トレイを垂直方向に移動させる第2の駆動手段と、
前記検査チップと連通し前記流体を前記検査チップに注入するチップ接続部と、
前記チップ搬送トレイに載置した前記検査チップが前記チップ接続部と連通可能な位置に移動したことを検知する検知手段と、
前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段とを制御する機構制御手段と、
を有し、
前記機構制御手段は、前記第1の駆動手段を駆動して前記チップ搬送トレイを前記検知手段が検知するまで移動させた後、前記第2の駆動手段を駆動して前記検査チップと前記チップ接続部とを密着し連通させることを特徴とする検査装置。
【請求項5】
前記第2の駆動手段に連動して前記検査チップを押圧する押圧部材を有し、
前記機構制御手段は、前記第2の駆動手段を駆動して前記検査チップと前記チップ接続部とを密着し連通させるとともに前記押圧部材を垂直方向に移動させて前記検査チップを押圧することを特徴とする請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
前記押圧部材は、前記検査チップに当接する部分に前記検査チップの温度を調整する温度調整手段を有することを特徴とする請求項4または5に記載の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−97999(P2009−97999A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269874(P2007−269874)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】