説明

検査装置

【課題】薬品と偽薬とが適切に配列されているか否かを検査することが可能な装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、比較試験中に用いられる一定の形状を有する固形製剤5が所望通りに包装されているか否かを検査するための検査装置101である。検査装置101は、樹脂フィルム15に形成された凹状の複数のポケット4に収容された固形製剤5に対して、近赤外線を照射する近赤外線照射部9a,9bと、近赤外線照射部9a,9bによって照射された近赤外線の反射光を分光し、波長の強度に基づいて、固形製剤5が製造承認の対象となる被験薬であるか、比較試験中に用いる被験薬以外の非被験薬であるかを認識する認識判定部141とを備える。認識判定部141は、認識された被験薬及び非被験薬が所定のパターン通りにポケットに配列されているか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬品や食品の包装状態を検査するための装置に関し、より特定的には、臨床試験(以下、治験という)や特定保健食品のための試験など、効能を確認するための比較試験に使用する固形製剤の包装状態を検査するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、治験などで用いられる二重盲検法(Double Blind Test)で使用される薬品包装体が開示されている。特許文献1に開示されているように、一つのPTPシート内に、薬品と偽薬とが混合して配列されている場合がある。
【0003】
特許文献2には、PTPシートに異種品が混合していないか否かを近赤外線を用いて検査する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−243989号公報
【特許文献2】国際公開第2005/38443号パンフレット(図14)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のように、薬品と偽薬とが同一のPTPシートに配列される場合、薬品が配列されるべき箇所に偽薬が配列されてはいけない。逆に、偽薬が配列されるべき箇所に、薬品が配列されてはいけない。そのため、適切に、薬品と偽薬とが配列されているか否かを検査しなければならない。
【0006】
一方、特許文献2に記載の検査方法では、単に、対象物以外の異種品が含まれているか否かを検査するだけである。したがって、特許文献2に記載の検査方法では、同一のPTPシートに薬品と偽薬とが適切に配列されているか否かを検査することはできない。
【0007】
それゆえ、本発明の目的は、同一のPTPシートに薬品と偽薬とが適切に配列されているか否かを検査することが可能な装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような構成を有する。本発明は、比較試験中に用いられる固形製剤が所望通りに包装されているか否かを検査するための検査装置であって、樹脂フィルムに形成された凹状の複数のポケットに収容された前記固形製剤に対して、近赤外線を照射する近赤外線照射部と、前記近赤外線照射部によって照射された前記近赤外線の反射光を分光し、波長の強度に基づいて、前記固形製剤が効能を確認したい対象となる被験薬であるか、比較試験中に用いられる前記被験薬以外の非被験薬であるかを認識する認識手段と、前記認識手段によって認識された前記被験薬及び前記非被験薬が、所定のパターン通りに前記ポケットに配列されているか否かを判定する判定手段とを備える。
【0009】
本発明によれば、近赤外線の反射光を分光して、波長の強度に基づいて、被験薬であるか非被験薬であるかを認識するので、所定のパターン通りに、被験薬及び非被験薬が配列されているか否かを検査することができる。
【0010】
好ましくは、所定のパターンとして、被験薬の列と非被験薬の列とが設定されている場合、判定手段は、被験薬が収容されるべき列に非被験薬が混入していないかを判定し、非被験薬が収容されるべき列に被験薬が混入していないかを判定し、所定のパターン通りに配列されているか否かを判定すると良い。
【0011】
列単位で被験薬か非被験薬かが予め決まっている場合、簡潔に所定のパターン通り配列されているか否かを検査することができる。
【0012】
好ましくは、所定のパターンとして、被験薬の列と非被験薬の列とが設定されている場合、認識手段は、検査対象となる固形製剤が被験薬及び非被験薬以外の比較試験中に用いられない非比較試験薬であるかをさらに認識することができ、判定手段は、被験薬が収容されるべき列に非比較試験薬が混入していないかを判定し、非被験薬が収容されるべき列に非比較試験薬が混入していないかを判定し、非比較試験薬が混入していると判定したら、異品種が混入していると判定すると良い。
【0013】
列単位で被験薬か非被験薬かが予め決まっている場合、簡潔に所定のパターン通り配列されているか否かを検査することができると共に、非比較試験薬の混入も簡潔に検査することが可能となる。
【0014】
好ましくは、非被験薬として、有効成分を含む対照薬と、有効成分を含まない偽薬とがあり、かつ、所定のパターンとして、被験薬の列、対照薬の列、及び偽薬の列とが設定されている場合、認識手段は、非被験薬が対照薬であるか偽薬であるかを認識することができ、判定手段は、被験薬が収容されるべき列に被験薬以外が混入していないかを判定し、対照薬が収容されるべき列に対照薬以外が混入していないかを判定し、偽薬が収容されるべき列に偽薬以外が混入していないかを判定し、所定のパターン通りに配列されているか否かを判定すると良い。
【0015】
列単位で被験薬であるか、対照薬であるか、偽薬であるかが予め決まっている場合、簡潔に所定のパターン通り配列されているか否かを検査することができる。
【0016】
好ましくは、偽薬には、被験薬の外観に似せた被験薬用偽薬と、対照薬の外観に似せた対照薬用偽薬とがあり、所定のパターンとして、被験薬の列、対照薬の列、被験薬用偽薬の列、及び対照薬用偽薬の列とが設定されている場合、認識手段は、さらに、非被験薬が被験薬用偽薬であるか対照薬用偽薬であるかを認識することができ、判定手段は、さらに、被験薬用偽薬が収容されるべき列に被験薬用偽薬以外が混入していないかを判定し、対照薬用偽薬が収容されるべき列に対照薬用偽薬以外が混入していないかを判定し、所定のパターン通りに配列されているか否かを判定すると良い。
【0017】
列単位で被験薬であるか、対照薬であるか、偽薬であるかが予め決まっている場合、簡潔に所定のパターン通り配列されているか否かを検査することができると共に、非比較試験薬の混入も簡潔に検査することが可能となる。
【0018】
好ましくは、さらに、所定のパターンを記憶する検査パターン記憶部を備え、判定手段は、認識手段によって認識された被験薬及び非被験薬の配列パターンが、検査パターン記憶部に記憶されている所定のパターンと一致するか否かを判定して、所定のパターン通りに配列されているか否かを判定すると良い。
【0019】
予め所定のパターンを記憶しておき、認識した被験薬及び非被験薬の配列パターンと所定のパターンとの一致を判定することによって、あらゆるパターンに対応して、所望通りに配列されているか否かを検査することができる。
【0020】
好ましくは、認識手段は、検査対象となる固形製剤が被験薬及び非被験薬以外の比較試験中に用いられない非比較試験薬であるかをさらに認識することができ、判定手段は、配列パターンと所定のパターンとが一致しない場合、非比較試験薬が混入しているか否かを判定し、非比較試験薬が混入していると判定したら、異品種が混入していると判定すると良い。
【0021】
これにより、非比較試験薬の混入も検査することが可能となる。
【0022】
好ましくは、非被験薬として、有効成分を含む対照薬と、有効成分を含まない偽薬とがある場合、認識手段は、非被験薬が対照薬であるか偽薬であるかを認識することができ、検査パターン記憶部は、所定のパターンとして、被験薬、対照薬、及び偽薬の配列パターンを記憶しており、判定手段は、認識手段によって認識された被験薬、対照薬、及び偽薬の配列パターンが、検査パターン記憶部に記憶されている所定のパターンと一致するか否かを判定して、所定のパターン通りに配列されているか否かを判定すると良い。
【0023】
これにより、被験薬、対照薬、及び偽薬について、あらゆるパターンで配列されていたとしても、検査が可能となる。また、これにより、非比較試験薬の混入も判定可能となる。
【0024】
好ましくは、偽薬には、被験薬の外観に似せた被験薬用偽薬と、対照薬の外観に似せた対照薬用偽薬とがあり、認識手段は、さらに、非被験薬が被験薬用偽薬であるか対照薬用偽薬であるかを認識することができ、検査パターン記憶部は、所定のパターンとして、被験薬、対照薬、被験薬用偽薬、及び対照薬用偽薬の配列パターンを記憶しており、判定手段は、認識手段によって認識された被験薬、対照薬、被験薬用偽薬、及び対照薬用偽薬の配列パターンが、検査パターン記憶部に記憶されている所定のパターンと一致するか否かを判定して、所定のパターン通りに配列されているか否かを判定すると良い。
【0025】
これにより、被験薬、対照薬、被験薬用偽薬、及び態様薬用偽薬について、あらゆるパターンで配列されていたとしても、検査が可能となる。また、これにより、非比較試験薬の混入も判定可能となる。
【0026】
好ましくは、非被験薬として、有効成分を含む対照薬と、有効成分を含まない偽薬とがある場合、認識手段は、非被験薬が対照薬であるか偽薬であるかを認識することができ、判定手段は、認識手段によって認識された被験薬、対照薬、及び偽薬が所定のパターン通りにポケットに配列されているか否かを判定すると良い。
【0027】
これにより、被験薬、対照薬、及び偽薬について、あらゆるパターンで配列されていたとしても、検査が可能となる。また、これにより、非比較試験薬の混入も判定可能となる。
【0028】
好ましくは、非被験薬として、有効成分を含む対照薬と、有効成分を含まない偽薬とがある場合、偽薬には、被験薬の外観に似せた被験薬用偽薬と、対照薬の外観に似せた対照薬用偽薬とがあり、認識手段は、非被験薬が対照薬であるか被験薬用偽薬であるか対照薬用偽薬であるかを認識することができ、判定手段は、認識手段によって認識された被験薬、対照薬、被験薬用偽薬、及び対照薬用偽薬が所定のパターン通りにポケットに配列されているか否かを判定すると良い。
【0029】
これにより、被験薬、対照薬、被験薬用偽薬、及び態様薬用偽薬について、あらゆるパターンで配列されていたとしても、検査が可能となる。また、これにより、非比較試験薬の混入も判定可能となる。
【0030】
好ましくは、認識手段は、主成分分析手法を用いて被験薬及び非被験薬がとり得る主成分得点の範囲を予め認識しており、検査対象の固形製剤の主成分得点が当該範囲に属するか否かによって、被験薬であるか非被験薬であるかを判定すると良い。
【0031】
主成分分析手法を用いれば、スペクトルだけでは分からない特性の差異を、主成分得点に反映させることができ、より正確に検査をすることが可能となる。
【0032】
好ましくは、認識手段は、被験薬に含まれる有効成分に起因する波長帯の強度に基づいて、検査対象の固形製剤が被験薬であるか非被験薬であるかを判定すると良い。
【0033】
このような波長帯を利用すれば、演算処理の高速化やメモリ容量の削減に貢献する。結果、検査装置の低コスト化が図られる。
【0034】
好ましくは、認識手段は、被験薬に含まれる有効成分に起因する波長帯について、主成分分析手法を用いて被験薬及び非被験薬がとり得る主成分得点の範囲を予め認識しており、検査対象の固形製剤の主成分得点が当該範囲に属するか否かによって、被験薬であるか非被験薬であるかを判定すると良い。
【0035】
好ましくは、非被験薬についての主成分得点の範囲は、有効成分を含む対照薬の範囲と、有効成分を含まない偽薬の範囲とであると良い。
【0036】
このような波長帯を用いて主成分分析を行うことは、演算処理の高速化やメモリ容量の削減に貢献する。結果、検査装置の低コスト化が図られる。
【0037】
好ましくは、近赤外線照射部は、近赤外線を、検査対象の複数の固形製剤に対して、それぞれ点状に複数照射すると良い。
【0038】
点状に近赤外線を照射すれば、固形製剤にのみ近赤外線を照射させることができる。したがって、ポケット4の角部分など、予期せぬ方向に近赤外線が反射することを防止することができ、安定した検査結果が得られる。
【0039】
好ましくは、近赤外線照射部は、近赤外線を、検査対象の複数の固形製剤に対して、線状に照射すると良い。
【0040】
これにより、複数の固形製剤に対して、一度に反射光を得ることができるので、検査高速化が可能となる。
【0041】
好ましくは、近赤外線照射部は、固形製剤が重力に従って樹脂フィルムの一部に接している側から、近赤外線を照射すると良い。
【0042】
これにより、樹脂フィルムと固形製剤との間に存在する空隙を減少させることができるので、当該空隙によって、近赤外線が予期せぬ方向に屈折し反射することを防止することができる。よって、安定した検査結果を得ることが可能となる。
【0043】
好ましくは、比較試験は、製造承認のための治験又は特定保健用食品のための試験であり、固形製剤には、薬品及び健康食品が含まれると良い。
【0044】
好ましくは、近赤外線照射部は、樹脂フィルムが一定の大きさにカットされる前か、又は、樹脂フィルムが一定の大きさにカットされた後に、固形製剤に対して近赤外線を照射すると良い。
【0045】
本発明は、他の局面において、比較試験中に用いられる固形製剤が所望通りに包装されているか否かを検査するための検査装置であって、樹脂フィルムに形成された凹状の複数のポケットに収容された固形製剤に対して、近赤外線を照射する近赤外線照射部と、近赤外線照射部によって照射された近赤外線の反射光を分光し、波長の強度に基づいて、固形製剤が効能を確認したい対象となる被験薬の対照薬であるか、対照薬に似せて製造された対照薬用偽薬であるかを認識する認識手段と、認識手段によって認識された対照薬及び対照薬用偽薬が、所定のパターン通りにポケットに配列されているか否かを判定する判定手段とを備える。
【0046】
これにより、対照薬と対照薬用偽薬とが同一のシートに包装される場合であっても、所望通りに配列されているか否かを検査することが可能となる。
【0047】
本発明は、他の局面において、比較試験用に用いられる固形製剤を包装するための固形製剤包装装置であって、凹状の複数のポケットに固形製剤が収容された樹脂フィルムに箔状物を圧着するための圧着部と、樹脂フィルムに固形製剤が所望通りに収容されているか否かを検査するための検査装置とを備え、検査装置は、ポケットに収容された固形製剤に対して、近赤外線を照射する近赤外線照射部と、近赤外線照射部によって照射された近赤外線の反射光を分光し、波長の強度に基づいて、固形製剤が効能を確認したい対象となる被験薬であるか、比較試験中に用いられる被験薬以外の非被験薬であるかを認識する認識手段と、認識手段によって認識された被験薬及び非被験薬が、所定のパターン通りにポケットに配列されているか否かを判定する判定手段とを含む。
【0048】
このように、本発明の検査装置は、包装装置に含ませて実施することが可能となり、省スペース化に貢献する。
【0049】
本発明は、他の局面において、比較試験中に用いられる固形製剤が所望通りに包装されているか否かを検査するための検査方法であって、樹脂フィルムに形成された凹状の複数のポケットに収容された固形製剤に対して、近赤外線を照射し、照射された近赤外線の反射光を分光し、波長の強度に基づいて、固形製剤が効能を確認したい対象となる被験薬であるか、比較試験中に用いられる被験薬以外の非被験薬であるかを認識し、認識された被験薬及び非被験薬が、所定のパターン通りにポケットに配列されているか否かを判定する。
【0050】
本発明は、他の局面において、比較試験用に用いられる固形製剤を包装するための包装方法であって、凹状の複数のポケットに固形製剤が収容された樹脂フィルムに箔状物を圧着し、箔状物が圧着される前又は後において、ポケットに収容された固形製剤に対して、近赤外線を照射し、照射された近赤外線の反射光を分光し、波長の強度に基づいて、固形製剤が効能を確認したい対象となる被験薬であるか、比較試験中に用いられる被験薬以外の非被験薬であるかを認識し、認識された被験薬及び非被験薬が、所定のパターン通りにポケットに配列されているか否かを判定する。
【0051】
本発明は、他の局面において、比較試験中に用いられる固形製剤が所望通りに包装されているか否かを検査するためのコンピュータ装置を、樹脂フィルムに形成された凹状の複数のポケットに収容された固形製剤に対して、近赤外線を照射する近赤外線照射部によって照射された近赤外線の反射光が分光されたときの波長の強度に関するデータに基づいて、固形製剤が効能を確認したい対象となる被験薬であるか、比較試験中に用いられる被験薬以外の非被験薬であるかを認識する認識手段、及び、認識手段によって認識された被験薬及び非被験薬が、所定のパターン通りにポケットに配列されているか否かを判定する判定手段として機能させることを特徴とする、プログラムである。
【0052】
このように、本発明は、検査用のプログラムとして提供することも可能である。
【発明の効果】
【0053】
本発明によれば、同一のPTPシートに薬品と偽薬とが適切に配列されているか否かを検査することが可能な検査装置、固形製剤包装装置、検査方法、包装方法、及びプログラムが提供されることとなる。
【0054】
本発明のこれら、及び他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る固形製剤包装装置100の概略構成を示す模式図
【図2】図1における近赤外線カメラ12側から見たときの概略図
【図3】図1における検査装置101の機能的構成を示すブロック図
【図4】検査部13の機能的構成を示すブロック図
【図5】判定範囲を設定するときの検査部13の動作を示すフローチャート
【図6】PCA図の一例を示す図
【図7】第1の実施形態の検査対象となる配列パターンを示す図
【図8】検査タイミング設定部139の動作を示すフローチャート
【図9】判定範囲の設定及び検査タイミングの設定が完了した後、包装工程で実際に検査するときの検査部13の動作を示すフローチャート
【図10】第2の実施形態における検査部13aの機能的構成を示すブロック図
【図11】第2の実施形態で検査可能な配列パターンの一例を示す図
【図12】検査パターン設定部143の動作を示すフローチャート
【図13】判定範囲の設定及び検査タイミングの設定が完了した後、包装工程で実際に検査するときの検査部13aの動作を示すフローチャート
【図14】配列パターンの他の例を示す図
【図15】第3の実施形態で検査可能な配列パターンの一例を示す図
【図16】判定範囲の設定及び検査タイミングの設定が完了した後、包装工程で実際に検査するときの検査部13の動作を示すフローチャート
【図17】第4の実施形態において、判定範囲の設定及び検査タイミングの設定が完了した後、包装工程で実際に検査するときの検査部13aの動作を示すフローチャート
【図18】第5の実施形態で検査可能な配列パターンの一例を示す図
【図19】第5の実施形態で検査可能な配列パターンの一例を示す図
【図20】PCA図上にプロットしたときの各判定範囲の一例を示す図
【図21】第5の実施形態における検査部14の動作を示すフローチャート
【図22】第6の実施形態において、判定範囲の設定及び検査タイミングの設定が完了した後、包装工程で実際に検査するときの検査部13aの動作を示すフローチャート
【図23】被験薬及び被験薬用偽薬のそれぞれの1検体のサンプルについて、スペクトルデータを19回分取ったときの波長毎の強度を示したグラフ
【図24】ポケット4上に近赤外線が点状に照射される近赤外線照射部91a,91b,91c,91d,91eを用いたときの概念斜視図及び撮像画像を示す図
【図25】樹脂フィルム15を介して近赤外線を照射するときの模式図
【図26】PTPシート18にカットされた後に検査が行われる場合の構成の一例を示す図
【図27】PTPシート18にカットされた後に検査が行われる場合の構成の他の例を示す図
【図28】被験薬及び被験薬用偽薬のそれぞれの1検体のサンプルについて、スペクトルデータを19回分取ったときの波長毎の強度を示したグラフ
【図29】図28で用いたサンプルに対して、主成分分析を行い、第1〜第3主成分得点を三次元軸状にプロットしたグラフ
【発明を実施するための形態】
【0056】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る固形製剤包装装置100の概略構成を示す模式図である。図1において、固形製剤包装装置100は、加熱部1と、ポケット成形部2と、固形製剤投入部3と、圧着部7と、検査装置101とを備える。検査装置101は、近赤外線照射部9a,9bと、光学レンズ10と、分光器11と、近赤外線カメラ12と、検査部13と、光源14とを含む。
【0057】
本明細書及び本特許請求の範囲において、以下のように用語を使用する。比較試験には、薬品(とりわけ医薬品)の製造承認の治験だけでなく、特定保健食品の許可や承認のための試験や、その他所望の効能を有しているか否かを確認するために行う比較試験を含むものとする。固形製剤とは、錠剤やカプセル剤、丸剤、トローチ剤、散剤、顆粒剤、サプリメント、健康食品など、固体の薬品や食品のことをいう。すなわち、固形製剤には、薬品だけでなく、固体の健康食品も含まれるものとする。また、散剤や顆粒剤など、一定の形状を有さない集合体であっても、本発明の検査対象となりうる。固形製剤には、下記の通り、被験薬、対照薬、被験薬用偽薬、対照薬用偽薬、及び非比較試験薬が含まれる。被験薬とは、薬品の製造承認や、特定保健食品の許可や承認の対象となる効能を確認したい固形製剤のことをいう。偽薬とは、薬効成分が含まれていない固形製剤のことをいう。対照薬とは、有効成分が含まれている固形製剤のことで、すでに製造承認されて市販されていたり、健康食品として販売されている固形製剤のことをいう。偽薬には、被験薬に似せて製造されている被験薬用偽薬と、対照薬に似せて製造されている対照薬用偽薬とがある。比較試験中には、比較データを収集するために、被験薬、対照薬、被験薬用偽薬、対照薬用偽薬のいずれか又はこれらが併用して適宜用いられる。被験薬、対照薬、被験薬用偽薬、及び対照薬用偽薬を、比較試験薬という。比較試験中に用いられる固形製剤で、被験薬以外の固形製剤を非被験薬という。比較試験中には用いられない固形製剤を、非比較試験薬という。
【0058】
第1の実施形態は、後述の図7に示すように、一列全てが被験薬で、かつ、一列全てが偽薬である場合に、適切に配列されているか否かを検査する。
【0059】
樹脂フィルム15は、ポリプロピレン(PP)やポリ塩化ビニル(PVC)などの熱可塑性樹脂材料からなるフィルムである。固形製剤包装装置100は、樹脂フィルム15を間欠的に搬送する。加熱部1は、樹脂フィルム15を加熱する。ポケット成形部2は、ポケット4を形成するための型を有する。ポケット成形部2は、加熱部1によって加熱されて軟化している樹脂フィルム15に対して、当該型を用いて、ポケット4を形成する。なお、図1上、ポケット4は、説明に必要な要所にのみ記載されている。固形製剤投入部3は、ポケット4に、固形製剤5を投入する。固形製剤包装装置100は、固形製剤5が投入された状態で、樹脂フィルム15を搬送する。アルミ箔6には、たとえば、加熱圧着剤が塗布されている。圧着部7は、樹脂フィルム15とアルミ箔6とを圧着する。これにより、固形製剤5は、ポケット4に収容された状態で包装されることになる。なお、ポケット4への圧着部材として、アルミ箔6以外の箔状物が用いられても良い。
【0060】
本発明では、同一のPTPシートに異なる成分を有する固形製剤5が混在することとなるので、固形製剤投入部3は、異なる固形製剤5を投入することができる構成を備える。たとえば、固形製剤灯入部3は、投入される固形製剤5の種類の数のホッパー(図示せず)と、各ホッパーに対応してそれぞれ設けられた投入路(図示せず)とを備えると良い。これにより、固形製剤投入部3は、各ホッパーに異なる固形製剤5を入れておき、所定の配列パターンに従った適当なタイミングで、投入路を通じて、固形製剤5をポケット4に投入する良い。なお、固形製剤5は、人が手でポケット4に所定の配列パターン通り投入しても良い。
【0061】
図2は、図1における近赤外線カメラ12側から見たときの概略図である。図2において、近赤外線照射部9a,9bによって照射された近赤外線NIRを樹脂フィルム15上に、点線で表す。近赤外線照射部9a,9bは、ハの字状に傾斜して配置されている。近赤外線照射部9a,9bの傾斜角は、近赤外線NIRがポケット4内の固形錠剤5の一列に均一に照射されるように決定されている。近赤外線照射部9a,9bは、それぞれスリット9c,9dを有する。光源14に接続された光ファイバ等の導光手段(図示せず)を介して、近赤外線照射部9a、9bは、スリット9c,9dから、帯状の近赤外線を照射する。これにより、帯状の近赤外線がポケット4の一列にあたり、図2に示すように、線状の近赤外線NIRが固形錠剤5の一列に照射されることとなる。近赤外線照射部9a,9bは、光源14(たとえば、ハロゲンランプ)から出力される光の内、近赤外線の波長(800nm〜2500nm)以外の波長をフィルター(図示せず)を用いて減衰させて、近赤外線を出力する。
【0062】
なお、近赤外線照射部9a,9bは、近赤外線の波長の内、複数通りの波長帯を選択できるようなフィルターを有していても良い。このような波長の選択を用いれば、検査対象に応じて、波長を使い分けることが可能である。なお、光源14は、一つであって、近赤外線照射部9a,9bに共通に光を供給しても良い。なお、図2では、固形製剤5が5列のシートを用いているがこれに限定されるものではない。また、包装工程の最後で、樹脂フィルム15がカットされ、一つのPTPシートとなる。ただし、PTPシートの形状は、本発明を限定するものではない。第1の実施形態では、PTPシートにカットされる前に、検査が完了しているが、これに限られるものではない。PTPシートにカットされた後に検査を行う方法については、後述する。
【0063】
図3は、図1における検査装置101の機能的構成を示すブロック図である。図3において、図1と同様の機能を有する部分については、同一の参照符号を付す。近赤外線照射部9a,9bは、鉛直方向に対して上側から、固形製剤5に対して、直接、近赤外線を照射する。光学レンズ10は、近赤外線の反射光を集光する。集光された反射光は、スリット(図示せず)及びレンズ(図示せず)を介して、帯状の平行光となる。当該平行光は、分光器11によって、波長毎に分光される。分光器11によって分光された反射光は、近赤外線カメラ12に投射される。光学レンズ10,分光器11,及び近赤外線カメラ12は、近赤外線の反射光を適切に撮像できる位置に配置されている。
【0064】
図2の画像16は、近赤外線カメラ12に反射光が投射され、近赤外線カメラ12が得た画像の一例である。図2に示すように、画像16は、横軸が検査対象物の位置関係を示し、縦軸が波長を示す。また、波長毎の画素の濃淡が、波長毎の光の強度を示す。図2に示す例では、検査対象物の固形製剤5が5つ並んでいる。よって、画像16において、固形製剤5が存在する位置の光の強度が波長毎に変化している。近赤外線カメラ12で撮影された画像のデータは、検査部13に送信される。
【0065】
図4は、検査部13の機能的構成を示すブロック図である。図4において、検査部13は、スペクトル取得部131と、前処理部132と、ローディングベクトル算出部133と、ローディングベクトル記憶部134と、主成分得点算出部135と、判定範囲設定部136と、入力部137と、判定範囲記憶部138と、検査タイミング設定部139と、検査タイミング発生部140と、認識判定部141(認識手段及び判定手段)と、出力部142とを含む。
【0066】
スペクトル取得部131は、近赤外線カメラ12から送信されてくる画像データを受信し、位置及び波長毎の光の強度に関するデータを取得する。スペクトル取得部131が取得する波長毎の強度は、数nm毎でも良い。前処理部132は、スペクトル取得部131が取得した波長毎の光の強度に対して、補間処理や平均化処理、標準化処理などを行って、波長毎の光の強度を補正する。なお、前処理部132は無くても良い。
【0067】
ローディングベクトル算出部133は、前処理部132から得られた波長の強度に基づいて、ローディングベクトルを算出する。たとえば、近赤外線カメラ12から送られてくる画像データに基づいて、n個の波長に関する光の強度(x1,x2,…,xn)が得られる場合を想定する。このとき、ローディングベクトル算出部133は、予め複数の固形製剤のサンプルを用いて、第1主成分(z1=a11・x1+a21・x2+…+az1・xn)から第n主成分(zn=an1・x1+an1・x2+…+an1・xn)までの主成分を求める。このとき、第1主成分を列データ(a11,a21,…,az1)によって表すことができる。同様に、他の主成分についても列データによって表すことができる。この各列データをローディングベクトルで用いる列データとして、ローディングベクトルを算出する。なお、有効な主成分分析の結果を得ることができるのであれば、ローディングベクトル算出部133は、第1主成分だけを算出しても良いし、第2主成分までだけ算出しても良い。ローディングベクトル記憶部134は、ローディングベクトル算出部133によって算出されたローディングベクトルを記憶する。
【0068】
主成分得点算出部135は、前処理部132から得られるn個の波長毎に関する光の強度(x1,x2,…,xn)について、ローディングベクトル記憶部134に記憶されているローディングベクトルを用いて、第1〜第nの主成分に関する主成分得点を算出する。
【0069】
入力部137は、ユーザの操作に応じて、判定範囲設定部136に判定範囲を指示する。判定範囲設定部136は、入力部137からの指示に応じて、予め複数のサンプルに関して得られた主成分得点に基づいて、良否判定の基準(たとえば、PCA(Principal Component Analysis)図における一定の範囲に属するかといった基準。以下、判定範囲という)を設定している。判定範囲記憶部138は、判定範囲設定部136によって設定された判定範囲を記憶する。
【0070】
入力部137は、ユーザの操作に応じて、被験薬を検査すべき列のタイミング及び偽薬を検査すべき列のタイミングを検査タイミング設定部139に入力する。検査タイミング設定部139は、入力部137からの指示に応じて、被験薬を検査すべき列のタイミング及び偽薬を検査すべき列のタイミングを設定する。具体的には、固形製剤包装装置100は樹脂フィルムを間欠的に搬送しているので、検査タイミング設定部139は、どのような搬送タイミングで、被験薬又は偽薬の検査を行うかを設定しておく。検査タイミング発生部140は、検査タイミング設定部139に設定されているタイミングに従って、認識判定部141に対して、現在の検査対象が何であるかを示す信号を入力する。
【0071】
認識判定部141は、検査タイミング発生部140から入力される検査タイミング毎に、主成分得点算出部135が算出した検査対象の固形製剤の主成分得点を入手する。認識判定部141は、検査タイミング発生部140から入力される信号に基づいて、現在の検査タイミングにおいて被験薬であることを検査すべきか偽薬であることを検査すべきかを認識する。認識判定部141は、主成分得点算出部135から得られる主成分得点が、判定範囲記憶部138に記憶されている判定範囲(被験薬に関する判定範囲又は偽薬に関する判定範囲)に属するか否かを判定する。これにより、認識判定部141は、検査対象の列が被験薬だけであるか、偽薬だけであるかを判定する。認識判定部141は、判定結果を出力部142に入力する。
【0072】
出力部142は、認識判定部141から入力される判定結果を外部に出力する。出力部142が出力した情報は、不良品であったPTPシートの廃棄などの制御に利用される。当該情報の利用方法は、本発明を限定するものではない。
【0073】
なお、図4に示す検査部13の機能ブロックは、専用のハードウエア構成によって実現されても良いし、汎用のコンピュータ装置(たとえば、中央演算部、記憶部、通信部、入力部、出力部を備える構成)に対して以下に説明する機能を実行させるプログラムを動作させることによっても実現される(他の実施形態においても同様)。
【0074】
以下、検査部13の詳細な動作について説明する。図5は、判定範囲を設定するときの検査部13の動作を示すフローチャートである。前提として、被験薬及び偽薬のサンプルがそれぞれ少なくとも一以上準備されているとする。スペクトル取得部131及び前処理部132は、被験薬の全てのサンプルに対して、一錠毎に、各波長の強度を取得する(ステップS101)。次に、ローディングベクトル算出部133は、被験薬の全てのサンプルの各波長の強度について、主成分分析を行い、ローディングベクトルを取得し、ローディングベクトル記憶部134に記憶させる(ステップS102)。なお、本発明の実施形態では、被験薬を用いてローディングベクトルを算出するとしたが、偽薬(被験薬用偽薬)を用いてローディングベクトルを算出しても良い。また、後述の第5の実施形態で用いる対照薬を用いてローディングベクトルを算出しても良いし、対照薬用偽薬を用いてローディングベクトルを算出しても良い。
【0075】
次に、主成分得点算出部135は、被験薬の全てのサンプルに対して、一錠毎に、波長毎の光の強度についての主成分得点を、ローディングベクトル記憶部134に記憶されているローディングベクトルを用いて算出する(ステップS103)。次に、判定範囲設定部136は、算出した主成分得点を、表示部(図示せず)を用いてPCA図にプロットし、入力部137を介してユーザに被験薬の判定範囲を決定させ、決定された判定範囲を判定範囲記憶部138に記憶させる(ステップS104)。なお、判定範囲設定部136は、一定の規則に従って自動(プロットのエッジ部分を選択するなどの処理)で被験薬の判定範囲を決定しても良い。また、表示部(図示せず)への表示は行われなくても良い。図6は、PCA図の一例を示す図である。図6に示すPCA図では、第1及び第2の主成分までが利用され、第1及び第2の主成分得点がプロットされている。図6に示すように、被験薬の主成分得点が複数プロットされている場合、ユーザによって(又は、一定の規則に従って自動で)、被験薬の判定範囲が決定される。
【0076】
次に、スペクトル取得部131及び前処理部132は、偽薬の全てのサンプルに対して、一錠毎に、各波長の強度を取得する(ステップS105)。次に、主成分得点算出部135は、偽薬の全てのサンプルに対して、一錠毎に、波長毎の光の強度についての主成分得点を、ローディングベクトル記憶部134に記憶されているローディングベクトルを用いて算出する(ステップS106)。次に、判定範囲設定部136は、算出した主成分得点を、表示部(図示せず)を用いてPCA図にプロットし、入力部137を介してユーザに偽薬の判定範囲を決定させ、決定された判定範囲を判定範囲記憶部138に記憶させる(ステップS107)。なお、判定範囲設定部136は、一定の規則に従って自動(プロットのエッジ部分を選択するなどの処理)で偽薬の判定範囲を決定しても良い。また、表示部(図示せず)への表示は行われなくても良い。図6に示すように、偽薬の主成分得点が複数プロットされている場合、ユーザによって(又は、一定の規則に従って自動で)、偽薬の判定範囲が決定される。
【0077】
図7は、第1の実施形態の検査対象となる配列パターンを示す図である。図7に示すように、第1の実施形態では、被験薬が一列に配置され、偽薬が一列に配置され、被験薬と偽薬が交互に配置されているとする。図7において、点線Pは、包装工程の終盤で、PTPシートとしてカットされる単位を示す。図7に示すような配列パターンに対して、ユーザは、入力部137を操作して、検査タイミング設定部139に検査タイミングを登録する。図8は、検査タイミング設定部139の動作を示すフローチャートである。検査タイミング設定部139は、ユーザによって、一列毎に被験薬の検査タイミングと偽薬の検査タイミングとが切り替わる旨が設定された場合(ステップS201)、当該検査タイミングを記憶する(ステップS202)。
【0078】
図9は、判定範囲の設定及び検査タイミングの設定が完了した後、包装工程で実際に検査するときの検査部13の動作を示すフローチャートである。まず、スペクトル取得部131及び前処理部132は、近赤外線カメラ12から入力される画像データに基づいて、一錠毎の各波長の強度を一列分取得する(ステップS301)。次に、主成分得点算出部135は、ローディングベクトル記憶部134からローディングベクトルをロードし、ロードしたローディングベクトルを用いて、一錠毎に一列分の主成分得点を算出する(ステップS302)。
【0079】
次に、認識判定部141は、検査タイミングが被験薬の検査タイミングであるか、偽薬の検査タイミングであるかを判定する(ステップS303)。被験薬の検査タイミングである場合、認識判定部141は、一列分の各錠が被験薬の判定範囲に属しているか否かを判定する(ステップS304)。被験薬の判定範囲に属している場合、認識判定部141は、良品の列であると判定し、出力する(ステップS305)。一方、ステップS303において、偽薬の検査タイミングである場合、認識判定部141は、一列分の各錠が偽薬の判定範囲に属しているか否かを判定する(ステップS306)。偽薬の判定範囲に属している場合、認識判定部141は、良品の列であると判定し、出力する(ステップS307)。
【0080】
一方、ステップS304又はステップS306の判定が否定的である場合、認識判定部141は、不良品であるとして判定し、判定結果を出力する(ステップS308)。ステップS308による出力に応じて、出力部142は、外部に不良判定に関する情報を出力する。当該情報は、PTPシートの破棄などに利用される。ステップS305,307,308の後、検査タイミング発生部140は、検査タイミングを切り替える(ステップS309)。その後、検査部13は、全ての工程が終了したか否か判定し(ステップS310)、終了していない場合は、ステップS301の動作に戻って、検査を継続する。
【0081】
このように、第1の実施形態によれば、被験薬の検査タイミングにおいては、一列分が全て被験薬であるか否かを検査することができ、偽薬の検査タイミングにおいては、一列分が全て被験薬であるか否かを検査することができる。したがって、被験薬と偽薬とが適切に配列されているか否かを検査することが可能となる。
【0082】
なお、第1の実施形態では、被験薬と偽薬との組み合わせに関して検査することとしたが、対照薬と偽薬との組み合わせに関しても同様の動作によって検査することができる。すなわち、図5のステップS101〜104において、対照薬のローディングベクトルを求め、対照薬の判定範囲を決定し、ステップS105〜S107において、偽薬の判定範囲を決めれば良い。その上で、図9における動作において、対照薬の検査タイミングであるか偽薬の検査タイミングであるかを判定した上で、検査対象の列における固形製剤が全て対照薬の範囲に属するか、偽薬の範囲に属するか判定すれば良い。このような変形は、第3及び第5の実施形態においても可能である。
【0083】
なお、一列全てが被験薬であり、他の列全てが偽薬である場合も、配列パターンと言える。したがって、第1の実施形態においても、所定のパターン通り固形製剤が配列されているか否かを判定していると言える。
【0084】
(第2の実施形態)
第2の実施形態において、固形製剤包装装置100の全体構成は、第1の実施形態と同様であるので、図1〜図3を援用する。図10は、第2の実施形態における検査部13aの機能的構成を示すブロック図である。第2の実施形態では、検査部13aの一部の機能が第1の実施形態の検査部13と異なる。図11は、第2の実施形態で検査可能な配列パターンの一例を示す図である。図11に示す配列パターンでは、一列に被験薬と偽薬とが混在している。第2の実施形態では、被験薬及び偽薬がそれぞれ一列に配列されるパターンに加え、被験薬及び偽薬が所定のあらゆるパターンで配列されている場合も検査対象とすることができる。
【0085】
図10において、検査部13aは、スペクトル取得部131と、前処理部132と、ローディングベクトル算出部133と、ローディングベクトル記憶部134と、主成分得点算出部135と、判定範囲設定部136と、入力部137aと、判定範囲記憶部138と、検査タイミング設定部139aと、検査タイミング発生部140aと、認識判定部141a(認識手段及び判定手段)と、出力部142と、検査パターン設定部143と、検査パターン記憶部144とを含む。図10において、第1の実施形態と同様の機能を有する部分については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0086】
入力部137aは、検査タイミングを一列毎に設定し、一列毎の配列パターンを検査パターン設定部143に登録する。たとえば、第一列の配列はaパターンとし、第二列の配列はbパターンとし、その後繰り返すといった設定が、検査パターン設定部143に登録される。それに合わせて、検査タイミング設定部139aは、第一列及び第二列のタイミングを設定し、適宜、当該タイミングを検査タイミング発生部140aに発生させる。図11では、第一列及び第二列が同じ配列パターンで繰り返される。なお、配列パターンは、第二列の次の列以降が異なった配列パターンであっても良い。検査パターン設定部143は、入力部137aによって登録された配列パターンを列単位で、検査パターン記憶部144に記憶させる。認識判定部141aは、現在の検査対象列がどの列であるか認識して、検査パターン記憶部144に記憶されている配列パターンと検査によって得られた配列パターンとが一致するか否かを判定し、判定結果を出力部142に入力する。
【0087】
図12は、検査パターン設定部143の動作を示すフローチャートである。検査パターン設定部143は、入力部137aからの情報に基づいて、列毎の配列パターンを入手し(ステップS401)、列毎に配列パターンを検査パターン記憶部144に記憶させる(ステップS402)。
【0088】
図13は、判定範囲の設定及び検査タイミングの設定が完了した後、包装工程で実際に検査するときの検査部13aの動作を示すフローチャートである。まず、スペクトル取得部131及び前処理部132は、近赤外線カメラ12から入力される画像データに基づいて、一錠毎の各波長の強度を一列分取得する(ステップS501)。次に、主成分得点算出部135は、ローディングベクトル記憶部134からローディングベクトルをロードし、ロードしたローディングベクトルを用いて、一錠毎に一列分の主成分得点を算出する(ステップS502)。
【0089】
認識判定部141aは、検査タイミング発生部140aからの信号に基づいて、現在の検査タイミングを認識する(ステップS503)。たとえば、認識判定部141aは、第一列の検査タイミングであるか、第二列の検査タイミングであるかなどを認識する。次に、認識判定部141aは、検査パターン記憶部144を参照して、現在の検査タイミングに対応する配列パターンを認識する(ステップS504)。次に、認識判定部141aは、一列分について、一錠毎の主成分得点がどの判定範囲に属するか(被験薬の判定範囲であるか、偽薬の判定範囲であるか)を認識する(ステップS505)。次に、認識判定部141aは、ステップS505で認識したパターンと、ステップS504で認識した配列パターンとが一致するか否かを判定する(ステップS506)。
【0090】
パターンが一致する場合、認識判定部141aは、良品の列であると判定する(ステップS507)。一方、パターンが一致しない場合、認識判定部141aは、不良品の列であると判定し、判定結果を出力部142に入力する(ステップS508)。その後、検査タイミング発生部140aは、検査タイミングを切り替える(ステップS509)。検査部13は、全ての工程が終了したか否か判定し(ステップS510)、終了していない場合は、ステップS501の動作に戻って、検査を継続する。
【0091】
第2の実施形態を利用すれば、図14に示すような配列パターンであっても、検査が可能である。すなわち、第2の実施形態では、あらゆる配列パターンを検査対象とすることができる。
【0092】
このように、第2の実施形態において、検査部13aは、配列パターンを列毎に予め登録し、実際に計測された配列パターンと予め登録されている配列パターンとが一致するか否かを判定して、被験薬及び偽薬が所望通りに配列されているかを判定することができる。第2の実施形態では、配列パターンを予め登録しているので、第1の実施形態のように、一列が全て同じ種類の固形製剤である場合に加えて、一列に異なる種類の固形製剤が配列されている場合であっても検査可能である。
【0093】
なお、第2の実施形態では、被験薬と偽薬との組み合わせに関して検査することとしたが、対照薬と偽薬との組み合わせに関しても同様の動作によって検査することができる。すなわち、図5のステップS101〜104において、対照薬のローディングベクトルを求め、対照薬の判定範囲を決定し、ステップS105〜S107において、偽薬の判定範囲を決めれば良い。その上で、対照薬及び偽薬の配列パターンを検査パターン設定部143に登録しておき、図13におけるステップS505及びS506において、対照薬及び偽薬が所望通りに配列されているか否かを判定すれば良い。このような変形は、第4の実施形態及び第6の実施形態においても可能である。
【0094】
(第3の実施形態)
第3の実施形態において、固形製剤包装装置100の全体構成は、第1の実施形態と同様であるので、図1〜図3を援用する。第3の実施形態において、検査部13の動作は、第1の実施形態と異なるが、必要な機能ブロックは第1の実施形態と同様であるので、図4を援用する。図15は、第3の実施形態で検査可能な配列パターンの一例を示す図である。第3の実施形態においても、第2の実施形態と同様、一列が全て被験薬となり、一列が全て偽薬となる配列パターンが用いられている。しかし、製造工程の中で、これらの列に、比較試験中には用いられない非比較試験薬が異品種として混合する可能性がある。第3の実施形態では、非比較試験薬の混合を検出できる。
【0095】
図16は、判定範囲の設定及び検査タイミングの設定が完了した後、包装工程で実際に検査するときの検査部13の動作を示すフローチャートである。図16において、ステップS601〜S603までの動作は、図9におけるステップS301〜303までの動作と同様である。ステップS604において、認識判定部141は、一列分の各錠が被験薬の判定範囲に属しているか否かを判定する。被験薬の判定範囲に属している場合、第1の実施形態におけるステップS305及びS309と同様の処理が実行される(ステップS605,S606)。
【0096】
一方、被験薬の判定範囲に属していない場合、認識判定部141は、属していなかった固形製剤が偽薬の判定範囲に属しているか否かを判定する(ステップS607)。偽薬の判定範囲に属している場合、第1の実施形態におけるステップS308及びS309と同様の処理が実行される(ステップS608,S609)。一方、ステップS607において偽薬の判定範囲にも属していないと判定した場合、認識判定部141は、非比較試験薬(異品種)が混合していると判定して、判定結果を出力部142に入力し(ステップS610)、ステップS611(S309と同様)の動作に進む。ステップS610の判定を受けて、出力部142は、その旨の情報を出力する。当該情報は、対応するPTPシートの破棄や、各種点検などに利用される。
【0097】
ステップ612において、認識判定部141は、一列分の各錠が偽薬の判定範囲に属しているか否かを判定する。偽薬の判定範囲に属している場合、第1の実施形態におけるステップS305及びS309と同様の処理が実行される(ステップS613,S614)。
【0098】
一方、偽薬の判定範囲に属していない場合、認識判定部141は、属していなかった固形製剤が被験薬の判定範囲に属しているか否かを判定する(ステップS615)。被験薬の判定範囲に属している場合、第1の実施形態におけるステップS308及びS309と同様の処理が実行される(ステップS616,S617)。一方、ステップS615において被験薬の判定範囲にも属していないと判定した場合、認識判定部141は、ステップS610以降の動作に進む。
【0099】
検査タイミングの切り替えの後、工程が終了したか否かが判定され(ステップS618)、検査の継続が判定される。
【0100】
このように、第3の実施形態によれば、第1の実施形態に示すように一列に同種の固形製剤が配列される場合に、被験薬及び非被験薬が所望のパターン通りに配列されているか否かを検査することに加えて、異種品である非比較試験薬が混合したか否かを判定することが可能となる。
【0101】
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、第3の実施形態と異なり、第2の実施形態で示した検査部13aを用いて、非比較試験薬の混合を検出する。第4の実施形態において、検査部13aの動作は、第2の実施形態と異なるが、必要な機能ブロックは第2の実施形態と同様であるので、図10を援用する。
【0102】
図17は、判定範囲の設定及び検査タイミングの設定が完了した後、包装工程で実際に検査するときの検査部13aの動作を示すフローチャートである。図17において、ステップS701〜S707、S709〜S710までの動作は、図13におけるステップS501〜S507、S509〜510までの動作と同様であるので説明を省略する。ステップS706においてパターンが一致しないと判定した場合、認識判定部141aは、被験薬及び偽薬の判定範囲以外に属する固形製剤がステップS705の認識結果に含まれているか否かを判定する(ステップS708)。含まれている場合、認識判定部141aは、非比較試験薬が混合していると判定して、判定結果を出力する(ステップS711)。一方、含まれていない場合、認識判定部141aは、不良品であると判定し、判定結果を出力する(ステップS712)。
【0103】
このように、第4の実施形態によれば、第2の実施形態に示すように配列パターンが予め登録されている場合に、被験薬及び非被験薬が所望のパターン通りに配列されているか否かを検査することに加えて、異種品である非比較試験薬が混合したか否かを判定することが可能となる。
【0104】
(第5の実施形態)
第5の実施形態において、固形製剤包装装置100の全体構成は、第1の実施形態と同様であるので、図1〜図3を援用する。第3の実施形態において、検査部13の動作は、第1の実施形態と異なるが、必要な機能ブロックは第1の実施形態と同様であるので、図4を援用する。図18及び図19は、第5の実施形態で検査可能な配列パターンの一例を示す図である。第5の実施形態において、一列には同じ種類の固形製剤が配列される。ただし、用いられる固形製剤の種類は、被験薬、被験薬用偽薬、対照薬、及び対照薬用偽薬となる。第5の実施形態において、図5に示す動作と同様にして、検査部13は、被験薬の判定範囲、被験薬用偽薬の判定範囲、対照薬の判定範囲、及び対照薬用偽薬の判定範囲を決定し、記憶する。
【0105】
図20は、PCA図上にプロットしたときの各判定範囲の一例を示す図である。なお、2以上の判定範囲が重なり合う場合、第3主成分得点以降を判定範囲に含めても良い。
【0106】
図21は、第5の実施形態における検査部14の動作を示すフローチャートである。図21において、ステップS801〜S802の動作は、図9におけるステップS301〜S302の動作と同様である。ステップS802の後、認識判定部141は、検査タイミング(被験薬、被験薬用偽薬、対照薬、及び対照薬用偽薬のいずれかの検査タイミング)を認識する(ステップS803)。たとえば、図18では、第一列及び第二列が対照薬用偽薬の検査タイミングであるとし、第三列が被験薬の検査タイミングであるとし、第四列が被験薬用偽薬の検査タイミングであるとしている。
【0107】
次に、認識判定部141は、検査タイミングにおける判定範囲を認識し、主成分得点を算出した固形製剤が全て判定範囲に属しているか否かを判定する(ステップS804)。具体的には、検査タイミングが被験薬の検査タイミングである場合、認識判定部141は、主成分得点を算出した全ての固形製剤が、被験薬の判定範囲に属しているか否かを判定する。検査タイミングが被験薬用偽薬の検査タイミングである場合、認識判定部141は、主成分得点を算出した全ての固形製剤が、被験薬用偽薬の判定範囲に属しているか否かを判定する。検査タイミングが対照薬の検査タイミングである場合、認識判定部141は、主成分得点を算出した全ての固形製剤が、対照薬の判定範囲に属しているか否かを判定する。検査タイミングが対照薬用偽薬の検査タイミングである場合、認識判定部141は、主成分得点を算出した全ての固形製剤が、対照薬用偽薬の判定範囲に属しているか否かを判定する。また、認識判定部141は、被験薬、被験薬用偽薬、対照薬、及び対照薬用偽薬のいずれの判定範囲にも属していない非比較試験薬が混合していることも判定する。ステップS804の判定処理により、検査タイミングにおける一列について、被験薬であるか、被験薬用偽薬であるか、対照薬であるか、対照薬用偽薬であるか、非比較試験薬混合であるかが判定される。認識判定部141は、判定結果を出力する。工程が終了するまで、検査は継続する(ステップS805)。
【0108】
このように、第5の実施形態によれば、被験薬、被験薬用偽薬、対照薬、及び対照薬用偽薬のいずれかがPTPシート状に配列しているような場合であっても、所望通りのパターンに配列されているか否かを検査することができる。それに加えて、非比較試験薬が混合しているか否かも検査することができる。
【0109】
なお、被験薬と対照薬とは、色合いが異なる可能性があるので、検査部13内にカラー認識手段を設けて、対照薬及び対照薬用偽薬を検査すべきタイミングでは、カラー認識処理によって、適切に配列されているか否かを検査することも可能である。
【0110】
(第6の実施形態)
第6の実施形態では、第5の実施形態と異なり、第2の実施形態で示した検査部13aを用いて、被験薬、被験薬用偽薬、対照薬、及び対照薬用偽薬が所望通りに配列されているか否かを検査する。第6の実施形態において、検査部13aの動作は、第2の実施形態と異なるが、必要な機能ブロックは第2の実施形態と同様であるので、図10を援用する。
【0111】
図22は、判定範囲の設定及び検査タイミングの設定が完了した後、包装工程で実際に検査するときの検査部13aの動作を示すフローチャートである。図17において、ステップS901〜S907及びステップS909〜S910は、図13における、ステップS501〜S507及びステップS509〜S510までの動作と同様であるので説明を省略する。また、図22におけるステップS911及びS912の動作は、図17におけるS711及びS712の動作と同様であるので説明を省略する。ステップS906において配列パターンが一致しないと判定した場合、認識判定部141aは、被験薬、被験薬用偽薬、対照薬、及び対照薬用偽薬の判定範囲のいずれにも属さない固形製剤が含まれていたか否かを判定する(ステップS908)。含まれていなかった場合、ステップS912の動作に進む。一方、含まれていた場合、非比較試験薬(異品種)混合との判定を出力する(ステップS911)。
【0112】
このように、第6の実施形態によれば、被験薬、被験薬用偽薬、対照薬、及び対照薬用偽薬のいずれかがPTPシート状に配列しているような場合であっても、所望通りのパターンに配列されているか否かを検査することができる。それに加えて、非比較試験薬が混合しているか否かも検査することができる。
【0113】
(第7の実施形態)
図23は、被験薬及び被験薬用偽薬のそれぞれの1検体のサンプルについて、スペクトルデータを19回分取ったときの波長毎の強度を示したグラフである。図23において、サンプルの数だけ光の強度がプロットされているが、理解を容易にするために、被験薬のプロットを実線でなぞってある。点線のように見えるプロットは、被験薬用偽薬のスペクトルである。図23において、横軸は波長、縦軸は白色の基準板に対して標準化された光の強度を示す。図23に示す領域R1及びR2に示すように、一部の波長帯では、明らかに強度が異なる。一方、領域R1及びR2以外では、スペクトルがほとんど共通している。おそらく、被験薬用偽薬において、薬効成分以外の組成は、被験薬とほぼ同一になっているはずである。したがって、薬効成分に起因する波長にのみ強度の変化が表れるものと予想される。よって、検査部13,13aは、このようなスペクトルの変化の大きい波長帯のみ利用して、ローディングベクトルを求め、当該波長帯に対する主成分得点を算出して、被験薬であるか被験薬用偽薬であるかを判定することができる。なお、被験薬及び対照薬、被験薬及び対照薬用偽薬、対照薬及び被験薬用偽薬、対照薬及び対照薬用偽薬、並びに、被験薬用偽薬及び対照薬用偽薬の区別の判定範囲についても同様のことが言える。
【0114】
このように、第7の実施形態によれば、検査部14,14aは、当該波長帯についてのみローディングベクトルを求め、当該波長帯における判定範囲を決定し、当該波長帯のスペクトルに基づいて当該波長帯だけの主成分得点を算出すれば良い。これにより、ローディングベクトルを記憶するためのメモリが削減でき、主成分得点算出のための計算速度を向上させることができる。その結果、比較試験薬用検査装置のコストダウンに貢献する。
【0115】
なお、当該波長帯における光の強度だけで、被験薬及び被験薬用偽薬、被験薬及び対照薬、被験薬及び対照薬用偽薬、対照薬及び被験薬用偽薬、対照薬及び対照薬用偽薬、並びに、被験薬用偽薬及び対照薬用偽薬の区別が可能であれば、検査部は、光の強度をしきい値と比較することによって、判定を行っても良い。すなわち、当該波長帯に基づいて、被験薬であるか非被験薬であるかの判定ができるのであれば、主成分分析手法を用いることには限定されない。
【0116】
(近赤外線照射部の変形例)
第1〜第7の実施形態では、近赤外線が線状に照射される近赤外線照射部9a,9bを用いることとしたが、これに限定されるものではない。図24は、ポケット4上に近赤外線が点状に照射される近赤外線照射部91a,91b,91c,91d,91eを用いたときの概念斜視図及び撮像画像を示す図である。近赤外線照射部91a,91b,91c,91d,91eは、固形製剤5上に、点状に近赤外線を照射する。したがって、近赤外線カメラ12は、固形錠剤が存在する位置に、波長毎の強度が変化する画像16aを入手することとなる。このような画像16aを用いても、主成分分析は可能である。なお、点状に近赤外線を照射する場合でも、分光及び撮像が一度に行われるので、線状に近赤外線を照射する場合と同様の検査スピードが得られる。点状に近赤外線を照射した場合、固形製剤にのみ近赤外線を照射させることができる。したがって、ポケット4の角部分など、予期せぬ方向に近赤外線が反射することを防止することができ、安定した検査結果が得られる。
【0117】
(近赤外線の照射方向の変形例)
第1〜第7の実施形態では、アルミ箔6が圧着される前に、近赤外線が照射された検査されることとしたが、アルミ箔6が圧着された後、樹脂フィルム15を介して、近赤外線を照射して検査しても良い。図25は、樹脂フィルム15を介して近赤外線を照射するときの模式図である。搬送部8は、ポケット4に固形製剤5が収容され、かつ、アルミ箔6が樹脂フィルム15に圧着された後に、固形製剤5が重力に従って樹脂フィルム15の一部に接するように、固形製剤5を搬送する。図25では、ポケット4が鉛直下方向に向いているが、これに限られるものではなく、樹脂フィルム15と固形製剤5の一部とが重力に従って接していれば良い。近赤外線照射部9a,9bは、搬送部8によって固形製剤5が搬送されている状態で、樹脂フィルム15の一部に固形製剤5が接している側から、近赤外線を照射する。これにより、樹脂フィルム15と固形製剤5との間の空隙が少なくなるので、近赤外線が予期せぬ方向に屈折し反射することを防止することができるので、安定した検査結果を得ることができる。なお、このような変形例は、近赤外線が線状に照射されている場合だけでなく、点状に照射されている場合にも有効である。
【0118】
(他の実施形態)
第1〜第7の実施形態では、PTPシートにカットされる前の状態で検査を行うこととしたが、PTPシートにカットされた後に、検査が行われても良い。図26は、PTPシート18にカットされた後に検査が行われる場合の構成の一例を示す図である。なお、図26において、近赤外線照射部及び検査部の記載は省略されているが、近赤外線照射部及び検査部の構成は、第1〜第7の実施形態と同様である。図26に示すように、吸着パッドなどの把持部17は、固形製剤5が重力に従って樹脂フィルム15の一部に接する位置に、固形製剤5を移動させる。把持部17によって把持されている状態で、近赤外線照射部(図示せず)は、近赤外線NIRを、樹脂フィルム15の一部に固形製剤5が接している側から、樹脂フィルム15を介して、固形製剤5に照射する。把持部17は、固形製剤5の一列分だけPTPシート18をずらす。なお、近赤外線照射部が一列分ずれても良い。検査部(図示せず)は、所定のパターン通りに配列されているか否かを判断する。
【0119】
図27は、PTPシート18にカットされた後に検査が行われる場合の構成の他の例を示す図である。なお、図27において、近赤外線照射部及び検査部の記載は省略されているが、近赤外線照射部及び検査部の構成は、第1〜第7の実施形態と同様である。図27に示すように、ポケット4の形状に合わせた複数の穴4cが板状部材4dに穿孔されている。吸着パッドなどの把持部(図示せず)は、板状部材4dの穴4cにポケット4が入るように、PTPシート18を移動させる。これにより、固形製剤5は、重力に従って樹脂フィルム15の一部に接する位置に移動する。なお、図27では、構成をわかりやすくするために、PTPシート18が載置されていない穴4cも図示する。ただし、複数の穴4cにPTPシート18が連続的に載置されていても良い。板状部材4dは、間欠的に搬送される。近赤外線照射部(図示せず)は、板状部材4dによって搬送されたPTPシート18の一列に対して、樹脂フィルム15の一部に固形製剤5が接している側から、樹脂フィルムを介して、固形製剤5に近赤外線NIRを照射する。なお、板状部材4dは、搬送されずに固定されていて、把持部(図示せず)によって、板状部材4dにPTPシート18が載置され、検査が完了したら、別なPTPシート18が板状部材4dに載置されても良い。また、板状部材4dが移動せずに、複数のPTPシート18が板状部材4dに載置されている場合、近赤外線照射部(図示せず)が、順次、ポケット4の一列ごとに間欠的に移動して検査が行われても良い。間欠的に移動するPTPシート18に対して、検査部(図示せず)は、一列毎に所定のパターン通りに配列されているか否かを判断する。
【0120】
なお、図26及び図27における変形例では、樹脂フィルム15と固形製剤5とが接している側から近赤外線NIRが照射されることとしたが、これに限られるものではない。固形製剤5がアルミ箔と接し、樹脂フィルム15と固形製剤5との間に空隙が存在し、当該空隙側から近赤外線NIRが照射されても良い。
【0121】
なお、本発明は、同一のPTPシート内に、被験薬が錠剤、対照薬がカプセル剤といった組み合わせで配列されている場合でも、所望通りに配列されているか否かを判定することができる。同様に、本発明は、同一のPTPシート内に、被験薬がカプセル剤、対照薬が錠剤といった組み合わせで配列されている場合でも、所望通りに配列されているか否かを判定することができる。その他、剤形が異なる固形製剤が所定のパターンで配列されている場合であっても、本発明は、検査することができる。
【0122】
(実施例)
本発明者は、下記の条件で、計測を行った。光源14をIRフィルター内蔵ハロゲンランプとした。光学レンズ10を25mmF1.4の光学レンズとした。分光器11の分光波長を950nm〜1700nmとした。近赤外線カメラ12として、米国GOODRICH社の製品を用いた。
【0123】
図28は、被験薬及び被験薬用偽薬のそれぞれの1検体のサンプルについて、スペクトルデータを19回分取ったときの波長毎の強度を示したグラフである。図28において、サンプルの数だけ光の強度がプロットされているが、理解を容易にするために、被験薬のプロットを実線でなぞってある。点線のように見えるプロットは、被験薬用偽薬のスペクトルである。このように、被験薬と被験薬用偽薬とは、スペクトル上、ほぼ類似している。
【0124】
図29は、図28で用いたサンプルに対して、主成分分析を行い、第1〜第3主成分得点を三次元軸状にプロットしたグラフである。なお、図29において、プロットと共にサンプリング回数を示す番号を記載しているが、一部、当該番号がプロットと重なって、視認しづらくなっている。そのため、図29において、被験薬及び被験薬用偽薬が示すプロットに対して、どのプロットを示すのか矢印で示す。図29において、番号1〜19が被験薬のプロットであり、番号20〜38が被験薬用偽薬のプロットである。図29に示すように、被験薬と被験薬用偽薬とは、PCA図上、明らかに異なる範囲に属していることが分かる。したがって、PCA図上の判定範囲を用いて、被験薬であるか、被験薬用偽薬であるかを判定することが可能であることが確認された。また、これにより、被験薬、対照薬、被験薬用偽薬、及び対照薬用偽薬についても、PCA図上での判定が可能であると推察できる。
【0125】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は、医薬品の包装技術の分野等において、有用である。
【符号の説明】
【0127】
100 固形製剤包装装置
101 検査装置
1 加熱部
2 ポケット成形部
3 固形製剤投入部
4 ポケット
4c 穴
4d 板状部材
5 固形製剤
6 アルミ箔
7 圧着部
8 搬送部
9a,9b,91a,91b,91c,91d,91e 近赤外線照射部
10 光学レンズ
11 分光器
12 近赤外線カメラ
13,13a 検査部
14 光源
15 樹脂フィルム
17 把持部
18 PTPシート
NIR 近赤外線
131 スペクトル取得部
132 前処理部
133 ローディングベクトル算出部
134 ローディングベクトル記憶部
135 主成分得点算出部
136 判定範囲設定部
137,137a 入力部
138 判定範囲記憶部
139,139a 検査タイミング設定部
140,140a 検査タイミング発生部
141,141a 認識判定部(認識手段及び判定手段)
142 出力部
143 検査パターン設定部
144 検査パターン記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
比較試験中に用いられる固形製剤が所望通りに包装されているか否かを検査するための検査装置であって、
樹脂フィルムに形成された凹状の複数のポケットに収容された前記固形製剤に対して、近赤外線を照射する近赤外線照射部と、
前記近赤外線照射部によって照射された前記近赤外線の反射光を分光し、波長の強度に基づいて、前記固形製剤が効能を確認したい対象となる被験薬であるか、比較試験中に用いられる前記被験薬以外の非被験薬であるかを認識する認識手段と、
前記認識手段によって認識された前記被験薬及び前記非被験薬が、所定のパターン通りに前記ポケットに配列されているか否かを判定する判定手段とを備えることを特徴とする、検査装置。
【請求項2】
前記所定のパターンとして、前記被験薬の列と前記非被験薬の列とが設定されている場合、
前記判定手段は、
前記被験薬が収容されるべき列に前記非被験薬が混入していないかを判定し、
前記非被験薬が収容されるべき列に前記被験薬が混入していないかを判定し、
前記所定のパターン通りに配列されているか否かを判定することを特徴とする、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記所定のパターンとして、前記被験薬の列と前記非被験薬の列とが設定されている場合、
前記認識手段は、検査対象となる前記固形製剤が前記被験薬及び前記非被験薬以外の比較試験中に用いられない非比較試験薬であるかをさらに認識することができ、
前記判定手段は、
前記被験薬が収容されるべき列に前記非比較試験薬が混入していないかを判定し、
前記非被験薬が収容されるべき列に前記非比較試験薬が混入していないかを判定し、
前記非比較試験薬が混入していると判定したら、異品種が混入していると判定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記非被験薬として、有効成分を含む対照薬と、有効成分を含まない偽薬とがあり、かつ、前記所定のパターンとして、前記被験薬の列、前記対照薬の列、及び前記偽薬の列とが設定されている場合、
前記認識手段は、前記非被験薬が前記対照薬であるか前記偽薬であるかを認識することができ、
前記判定手段は、
前記被験薬が収容されるべき列に前記被験薬以外が混入していないかを判定し、
前記対照薬が収容されるべき列に前記対照薬以外が混入していないかを判定し、
前記偽薬が収容されるべき列に前記偽薬以外が混入していないかを判定し、
前記所定のパターン通りに配列されているか否かを判定することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の検査装置。
【請求項5】
前記偽薬には、前記被験薬の外観に似せた被験薬用偽薬と、前記対照薬の外観に似せた対照薬用偽薬とがあり、
前記所定のパターンとして、前記被験薬の列、前記対照薬の列、前記被験薬用偽薬の列、及び前記対照薬用偽薬の列とが設定されている場合、
前記認識手段は、さらに、前記非被験薬が前記被験薬用偽薬であるか前記対照薬用偽薬であるかを認識することができ、
前記判定手段は、さらに、
前記被験薬用偽薬が収容されるべき列に前記被験薬用偽薬以外が混入していないかを判定し、
前記対照薬用偽薬が収容されるべき列に前記対照薬用偽薬以外が混入していないかを判定し、
前記所定のパターン通りに配列されているか否かを判定することを特徴とする、請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
さらに、前記所定のパターンを記憶する検査パターン記憶部を備え、
前記判定手段は、前記認識手段によって認識された前記被験薬及び前記非被験薬の配列パターンが、前記検査パターン記憶部に記憶されている前記所定のパターンと一致するか否かを判定して、前記所定のパターン通りに配列されているか否かを判定することを特徴とする、請求項1に記載の検査装置。
【請求項7】
前記認識手段は、検査対象となる前記固形製剤が前記被験薬及び前記非被験薬以外の比較試験中に用いられない非比較試験薬であるかをさらに認識することができ、
前記判定手段は、
前記配列パターンと前記所定のパターンとが一致しない場合、前記非比較試験薬が混入しているか否かを判定し、
前記非比較試験薬が混入していると判定したら、異品種が混入していると判定することを特徴とする、請求項6に記載の検査装置。
【請求項8】
前記非被験薬として、有効成分を含む対照薬と、有効成分を含まない偽薬とがある場合、
前記認識手段は、前記非被験薬が前記対照薬であるか前記偽薬であるかを認識することができ、
前記検査パターン記憶部は、所定のパターンとして、前記被験薬、前記対照薬、及び前記偽薬の配列パターンを記憶しており、
前記判定手段は、前記認識手段によって認識された前記被験薬、前記対照薬、及び前記偽薬の配列パターンが、前記検査パターン記憶部に記憶されている前記所定のパターンと一致するか否かを判定して、前記所定のパターン通りに配列されているか否かを判定することを特徴とする、請求項6又は7のいずれかに記載の検査装置。
【請求項9】
前記偽薬には、前記被験薬の外観に似せた被験薬用偽薬と、前記対照薬の外観に似せた対照薬用偽薬とがあり、
前記認識手段は、さらに、前記非被験薬が前記被験薬用偽薬であるか前記対照薬用偽薬であるかを認識することができ、
前記検査パターン記憶部は、所定のパターンとして、前記被験薬、前記対照薬、前記被験薬用偽薬、及び前記対照薬用偽薬の配列パターンを記憶しており、
前記判定手段は、前記認識手段によって認識された前記被験薬、前記対照薬、前記被験薬用偽薬、及び前記対照薬用偽薬の配列パターンが、前記検査パターン記憶部に記憶されている前記所定のパターンと一致するか否かを判定して、前記所定のパターン通りに配列されているか否かを判定することを特徴とする、請求項8に記載の検査装置。
【請求項10】
前記非被験薬として、有効成分を含む対照薬と、有効成分を含まない偽薬とがある場合、
前記認識手段は、前記非被験薬が前記対照薬であるか前記偽薬であるかを認識することができ、
前記判定手段は、前記認識手段によって認識された前記被験薬、前記対照薬、及び前記偽薬が所定のパターン通りに前記ポケットに配列されているか否かを判定することを特徴とする、請求項1に記載の検査装置。
【請求項11】
前記非被験薬として、有効成分を含む対照薬と、有効成分を含まない偽薬とがある場合、
前記偽薬には、前記被験薬の外観に似せた被験薬用偽薬と、前記対照薬の外観に似せた対照薬用偽薬とがあり、
前記認識手段は、前記非被験薬が前記対照薬であるか前記被験薬用偽薬であるか前記対照薬用偽薬であるかを認識することができ、
前記判定手段は、前記認識手段によって認識された前記被験薬、前記対照薬、前記被験薬用偽薬、及び前記対照薬用偽薬が所定のパターン通りに前記ポケットに配列されているか否かを判定することを特徴とする、請求項10に記載の検査装置。
【請求項12】
前記認識手段は、主成分分析手法を用いて前記被験薬及び前記非被験薬がとり得る主成分得点の範囲を予め認識しており、検査対象の前記固形製剤の主成分得点が当該範囲に属するか否かによって、前記被験薬であるか前記非被験薬であるかを判定することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の検査装置。
【請求項13】
前記認識手段は、前記被験薬に含まれる有効成分に起因する波長帯の強度に基づいて、検査対象の前記固形製剤が前記被験薬であるか前記非被験薬であるかを判定することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の検査装置。
【請求項14】
前記認識手段は、前記被験薬に含まれる有効成分に起因する波長帯について、主成分分析手法を用いて前記被験薬及び前記非被験薬がとり得る主成分得点の範囲を予め認識しており、検査対象の前記固形製剤の主成分得点が当該範囲に属するか否かによって、前記被験薬であるか前記非被験薬であるかを判定することを特徴とする、請求項13に記載の検査装置。
【請求項15】
前記非被験薬についての主成分得点の範囲は、有効成分を含む対照薬の範囲と、有効成分を含まない偽薬の範囲とであることを特徴とする、請求項12又は14に記載の検査装置。
【請求項16】
前記近赤外線照射部は、前記近赤外線を、検査対象の複数の固形製剤に対して、それぞれ点状に複数照射することを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の検査装置。
【請求項17】
前記近赤外線照射部は、前記近赤外線を、検査対象の複数の固形製剤に対して、線状に照射することを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の検査装置。
【請求項18】
前記近赤外線照射部は、前記固形製剤が重力に従って前記樹脂フィルムの一部に接している側から、前記近赤外線を照射することを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の検査装置。
【請求項19】
前記比較試験は、製造承認のための治験又は特定保健用食品のための試験であり、
前記固形製剤には、薬品及び健康食品が含まれる、請求項1〜18のいずれかに記載の検査装置。
【請求項20】
前記近赤外線照射部は、前記樹脂フィルムが一定の大きさにカットされる前か、又は、前記樹脂フィルムが一定の大きさにカットされた後に、前記固形製剤に対して近赤外線を照射することを特徴とする、請求項1〜19のいずれかに記載の検査装置。
【請求項21】
比較試験中に用いられる固形製剤が所望通りに包装されているか否かを検査するための検査装置であって、
樹脂フィルムに形成された凹状の複数のポケットに収容された前記固形製剤に対して、近赤外線を照射する近赤外線照射部と、
前記近赤外線照射部によって照射された前記近赤外線の反射光を分光し、波長の強度に基づいて、前記固形製剤が効能を確認したい対象となる被験薬の対照薬であるか、前記対照薬に似せて製造された対照薬用偽薬であるかを認識する認識手段と、
前記認識手段によって認識された前記対照薬及び前記対照薬用偽薬が、所定のパターン通りに前記ポケットに配列されているか否かを判定する判定手段とを備えることを特徴とする、検査装置。
【請求項22】
比較試験用に用いられる固形製剤を包装するための固形製剤包装装置であって、
凹状の複数のポケットに前記固形製剤が収容された樹脂フィルムに箔状物を圧着するための圧着部と、
前記樹脂フィルムに前記固形製剤が所望通りに収容されているか否かを検査するための検査装置とを備え、
前記検査装置は、
前記ポケットに収容された前記固形製剤に対して、近赤外線を照射する近赤外線照射部と、
前記近赤外線照射部によって照射された前記近赤外線の反射光を分光し、波長の強度に基づいて、前記固形製剤が効能を確認したい対象となる被験薬であるか、比較試験中に用いられる前記被験薬以外の非被験薬であるかを認識する認識手段と、
前記認識手段によって認識された前記被験薬及び前記非被験薬が、所定のパターン通りに前記ポケットに配列されているか否かを判定する判定手段とを含むことを特徴とする、固形製剤包装装置。
【請求項23】
比較試験中に用いられる固形製剤が所望通りに包装されているか否かを検査するための検査方法であって、
樹脂フィルムに形成された凹状の複数のポケットに収容された前記固形製剤に対して、近赤外線を照射し、
照射された前記近赤外線の反射光を分光し、波長の強度に基づいて、前記固形製剤が効能を確認したい対象となる被験薬であるか、比較試験中に用いられる前記被験薬以外の非被験薬であるかを認識し、
認識された前記被験薬及び前記非被験薬が、所定のパターン通りに前記ポケットに配列されているか否かを判定することを特徴とする、検査方法。
【請求項24】
比較試験用に用いられる固形製剤を包装するための包装方法であって、
凹状の複数のポケットに前記固形製剤が収容された樹脂フィルムに箔状物を圧着し、
前記箔状物が圧着される前又は後において、
前記ポケットに収容された前記固形製剤に対して、近赤外線を照射し、
照射された前記近赤外線の反射光を分光し、波長の強度に基づいて、前記固形製剤が効能を確認したい対象となる被験薬であるか、比較試験中に用いられる前記被験薬以外の非被験薬であるかを認識し、
認識された前記被験薬及び前記非被験薬が、所定のパターン通りに前記ポケットに配列されているか否かを判定することを特徴とする、包装方法。
【請求項25】
比較試験中に用いられる固形製剤が所望通りに包装されているか否かを検査するためのコンピュータ装置を、
樹脂フィルムに形成された凹状の複数のポケットに収容された前記固形製剤に対して、近赤外線を照射する近赤外線照射部によって照射された前記近赤外線の反射光が分光されたときの波長の強度に関するデータに基づいて、前記固形製剤が効能を確認したい対象となる被験薬であるか、比較試験中に用いられる前記被験薬以外の非被験薬であるかを認識する認識手段、及び、
前記認識手段によって認識された前記被験薬及び前記非被験薬が、所定のパターン通りに前記ポケットに配列されているか否かを判定する判定手段として機能させることを特徴とする、プログラム。
【請求項26】
請求項21〜25のいずれかにおいて、
前記比較試験は、製造承認のための治験又は特定保健用食品のための試験であり、
前記固形製剤には、薬品及び健康食品が含まれることを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2010−175528(P2010−175528A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22030(P2009−22030)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(000137904)株式会社ミューチュアル (37)
【Fターム(参考)】