説明

検知体および検知方法

【課題】鉛を簡易に検知する。
【解決手段】評価対象から鉛を溶出するための溶出部2と、溶出部2で溶出された鉛と反応して変色する鉛チェッカー等の変色剤を含んだ反応部3を有する検知体1を構成する。検知体1を用いて評価対象の鉛の検知を行う際には、評価対象を分解したり加工したりすることなく、その溶出部2側を評価対象に貼り付けるのみで、あとはそのときの反応部3の変色状態から、評価対象の鉛の有無を判別することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検知体および検知方法に関し、特に、鉛を検知するための検知体、および鉛の検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境規制の推移と共に、有害物質に指定されている鉛(Pb)の含有量が規制される傾向にある。鉛は、はんだ、電子部品、ケーブル、板金塗料等に用いられており、鉛を含有するそのような部材・部品を用いた各種製品が広く流通している。現在流通している製品の品質を保証するため、また、今後製造する製品の品質を保証するためにも、用いる部材・部品中の鉛の有無を判別する手法が要望されてきている。
【0003】
現在、鉛の有無を判別する方法としては、例えば、鉛を含む可能性のある部品等を適当に加工し、それをAES(Auger Electron Spectroscopy)、SAM(Scanning Auger electron Microscopy)、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)等の分析機器を用いる方法が知られている。
【0004】
また、このほか、いわゆる鉛チェッカー等の試薬を用いて簡易的に鉛の有無を判別する方法がある。この方法では、そのような試薬を評価対象の部品等に塗布し、その変色度合いによって、その部品等の鉛の有無を判別する。
【0005】
なお、従来、様々な分野で各種検知手法が提案されており、例えば、亜硝酸イオン検知紙を用いて亜硝酸イオン濃度を簡易測定する方法(特許文献1参照)、透水性フィルムの片面に水分によって発色する発色層を設けた水分検知ラベルを用いて水分を検知する方法(特許文献2参照)、フィルム状の支持体にガスの成分と接触して発色する検知試薬を担持したガス検知体を用いてガスを検知する方法(特許文献3参照)等が提案されている。
【特許文献1】特開2005−76038号公報
【特許文献2】特開平10−90244号公報
【特許文献3】特開平9−210985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
各種製品に用いられる部品等の鉛の有無を判別しようとした場合、複数個の部品等を一括して入手するのであれば、付属する品質データの利用や抜き取り検査等の分析・評価によって鉛の有無を知ることができ、それにより、比較的容易にそれら部品等の品質が保証できる。
【0007】
しかし、既成の組み立て品や他メーカーから供給されるOEM(Original Equipment Manufacture)品は、鉛を含有した部品等とそうでない部品等とが混在している可能性がある。鉛が使用されているか否かを知るためには、その組み立て品等を分解し、必要に応じ評価方法に合わせて加工し、その分解あるいは加工した各部品等についてそれぞれ評価を行わなければならなくなる。このように、組み立て品等の鉛についての品質保証データを取得するためには、多大な労力と時間が必要であり、さらに、それに伴うコストの増加も無視できない。
【0008】
鉛の簡易評価として、鉛チェッカー等を塗布する方法が知られているが、この方法を組み立て品等に用いる場合には、次のような問題が生じることがある。
図19は鉛チェッカーの適用例を示す図であって、(A)は塗布前の状態を示す図、(B)は塗布後の状態を示す図である。
【0009】
例えば、図19(A)に示すように、基板200上に2種類の部品201,202が隣接して搭載されている場合で、まず、その一方の部品201についての鉛の有無を判別しようとする場合を想定する。その場合、その一方の部品201に図19(B)に示すように鉛チェッカー203が塗布され、その部品201に鉛が含有されていれば、例えばその電極201aの部分に鉛が含有されていれば、塗布した鉛チェッカー203が変色することになる。しかし、その一方の部品201に鉛が含有されていて、そのような変色が起こる場合でも、その変色度合いが下地色の影響を受けてしまい、評価基準(鉛の有無や含有量)が曖昧になりやすい。
【0010】
また、図19(B)に示したように、基板200上の部品201,202の配置によっては、評価したい一方の部品201に塗布した鉛チェッカー203が、隣接する部品202にまで滲んでしまうことが起こり得る。ここで、例えば、実際には評価したい一方の部品201の電極201a部分には鉛が含有されておらず、もう一方の部品202の電極202a部分に鉛が含有されていたとすると、その一方の部品201上の鉛チェッカー203が変色してしまう可能性がある。
【0011】
近年は、組み立て品等の内部や基板上に多数の部品等を密集して配置することが多くなっており、その場合、上記のようなことが起こり易くなることから、それらの部品等を鉛チェッカー等の試薬を塗布することによって個別に評価することは難しくなってきている。また、現在は、組み立て品等の内部や基板上に、鉛の含有が規制されている規制品と、一定量の鉛の含有が許されている規制除外品とが混在していることもあり、そのことが部品等の個別評価をいっそう難しくしている要因のひとつにもなっている。
【0012】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、部品等に含まれ得る鉛を簡易かつ精度良く検知することのできる検知体および検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では上記課題を解決するために、鉛の検知に用いる検知体において、接触する被検知体から鉛を溶出するための溶出部と、前記溶出部で溶出された鉛を検出する物質を含んだ反応部と、を有することを特徴とする検知体が提供される。
【0014】
このような検知体によれば、溶出部が、被検知体から鉛を溶出し、反応部が、そこに含まれている物質を用い、その溶出された鉛を検出する。このような溶出部と反応部を有する検知体を被検知体に接触させてその被検知体の鉛の有無を判別するため、その被検知体の鉛の評価が簡易に行えるようになる。また、このような検知体によれば、対象とする被検知体のみの評価が簡易に精度良く行えるようになる。
【0015】
また、本発明では、鉛の検知方法において、接触する被検知体から鉛を溶出するための溶出部と、前記溶出部で溶出された鉛を検出する物質を含んだ反応部と、を有する検知体を用い、前記検知体を前記被検知体に接触させ、前記反応部での前記物質による鉛の検出の有無によって前記被検知体の鉛の有無を判別することを特徴とする検知方法が提供される。
【0016】
このような検知方法によれば、検知体を被検知体に接触させ、反応部での鉛検出の有無によって、その被検知体の鉛の有無を判別する。これにより、対象とする被検知体の鉛の評価を簡易に精度良く行えるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、検知体を、接触する被検知体から鉛を溶出するための溶出部、およびその溶出部で溶出された鉛を検出する物質を含んだ反応部を有する構成にした。これにより、被検知体を分解したり加工したりすることなく、また、特定の被検知体について、その鉛の有無を判別することができる。そのため、対象とする被検知体の鉛の評価を簡易に精度良く低コストで行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
まず、鉛の検知に用いる検知体とその検知の原理について説明する。
図1は検知体の概略断面図である。
【0019】
検知体1は、層状の溶出部2と反応部3が積層された構成を有している。検知体1は、例えば、シール状に形成されており、溶出部2側を被検知体である評価対象に貼り付けて、溶出部2の全部または一部をその評価対象の表面に密着させることができるようになっている。
【0020】
溶出部2には、評価対象の表面と密着したときにその評価対象から鉛を溶出させるための水または薬液(アセトン、エタノール等)が含有される。溶出部2は、鉛溶出用の水や薬液を一定時間保持しておくことができ、かつ、そのような水や薬液によって評価対象の表面から溶出された鉛を固定しないような材質で構成されている。例えば、溶出部2には、コットンのほか、メッシュやフィルタ等の多孔質性材料、保水性を有する高分子等を用いることができる。また、必要に応じ、不透光性の材料が用いられる。
【0021】
反応部3には、鉛と反応して変色(発色を含む。以下同じ。)する物質(変色剤)、例えば硫化ナトリウム(Na2S)やキシレノールオレンジが、メッシュやフィルタ等の多孔質性材料や樹脂中に含有されている。検知体1では、評価対象から溶出された鉛が水や薬液を媒介に溶出部2内を移動して反応部3に到達し、反応部3に含有されている変色剤と反応すると、反応部3が変色するようになっている。反応部3は、このような変色の基準色となるように、用いる変色剤や樹脂等、あるいはそれらの組み合わせを考慮して、例えば不透光性を示すように構成される。それにより、反応部3の変色の有無やその度合いを、評価対象表面の色の影響を抑えて、明瞭に認識することができるようになる。なお、溶出部2に不透光性の材料を用いた場合にも、これと同様の効果を得ることができる。
【0022】
検知体1の平面サイズは、評価対象に応じて任意に設定可能であり、例えば、ねじや部品に用いる場合であれば、そのねじ頭や部品に貼り付けられる程度の大きさにしたり、より大きな板材や基板等に用いる場合であれば、そのサイズに応じた大きさにしたりすればよい。また、検知体1の厚みも任意に設定可能であるが、鉛の溶出量等を考慮して、その厚み、特に溶出部2の厚みを適切に設定することが望ましい。
【0023】
なお、上記のような構成の検知体1は、その材質にもよるが、例えば、シート状の溶出部2上に反応部3をシート状に形成する、シート状の反応部3上に溶出部2をシート状に形成する、シート状の溶出部2とシート状の反応部3を貼り合わせる、等の方法で形成することが可能である。
【0024】
図2から図4は検知体を用いた鉛の検知方法の流れを説明する図であって、図2は検知体貼付時の概略図、図3は鉛溶出時の概略図、図4は反応部変色時の概略図である。
検知体1を用いて鉛の検知を行う際には、まず、図2に示すように、検知体1を評価対象4の表面に、その溶出部2が密着するようにして貼り付ける。その際、溶出部2には、あらかじめ所定量の水や薬液を含有させておいたり、あるいは検知体1を評価対象4の表面に貼り付ける直前に所定量の水や薬液を含浸させたりして、水や薬液を含有させるようにする。
【0025】
評価対象4に鉛が含有されている場合には、溶出部2に含有されている水や薬液によって、図3に示すように、評価対象4から鉛(Pb(II))が溶出し始める。なお、便宜上、図3では、溶出部2内の鉛が溶出した領域を層状に図示している。
【0026】
そして、一定時間が経過し、図4に示すように、溶出した鉛が溶出部2内を移動して反応部3に到達すると、鉛が反応部3に含有されている変色剤と反応し、反応部3が変色するようになる。この変色によって鉛の存在を検知することができる。なお、反応部3の変色は、目視観察によって判別することができるほか、鉛の溶出量が一定レベル以上であれば、分光光度計を用いて判別することも可能である。
【0027】
以上説明したように、上記のような検知体1を用いることにより、評価対象4を分解したり加工したりすることなく、検知体1を評価対象4に貼り付けるのみで、その中の鉛の有無を判別することができ、鉛の検知を非常に容易に行うことができるようになる。
【0028】
なお、溶出部2に保水性を有する高分子を用いた場合には、保水性高分子は、その分子量等を制御することにより、あらかじめ含有可能な水分量を制御することができる。これを利用すれば、溶出部2内の鉛溶出用の水や薬液の量を制御することが可能である。溶出部2内の水や薬液の量を一定に制御しておけば、評価対象が変わっても、鉛を溶出する際の液量を一定にすることが可能になる。
【0029】
また、以上の説明では、層状の溶出部2と反応部3が積層された検知体1を例示したが、これらは必ずしも明確に2層に分割されていることを要せず、1層で上記のような溶出部2と反応部3の両方の機能を有する構成にすることも可能である。
【0030】
以下、検知体の構成例について説明する。
図5は検知体の第1の構成例の断面模式図である。
図5に示す検知体10は、溶出部11と反応部12を積層した構成を有している。
【0031】
溶出部11は、鉛溶出用の水や薬液を一定時間保持し、鉛溶出用の水や薬液と反応せず、溶出された鉛を固定しないものであれば、その材質は特に限定されない。例えば、溶出部11には、メッシュやフィルタ等の多孔質性材料、保水性を有する高分子等を用いることができる。
【0032】
反応部12には、いわゆる鉛チェッカーと呼ばれる変色剤が含有される。このような反応部12は、例えば、メッシュやフィルタ等の多孔質性材料や樹脂中に、変色剤として硫化ナトリウムやキシレノールオレンジ等を含有させて構成される。
【0033】
このような検知体10を用いて鉛の検知を行う場合には、まず、検知体10を評価対象に貼り付ける前に、その溶出部11に鉛溶出用の水や薬液を滴下したり含浸したりして含有させるようにする。そして、その溶出部11が密着するように検知体10を評価対象の表面に貼り付ける。その際、検知体10は、溶出部11に含有されている水や薬液の表面張力によって、評価対象の表面に貼り付けられるようになる。
【0034】
これにより、評価対象に鉛が含有されている場合には、溶出部11の水や薬液によってその表面から鉛が溶出され、それが反応部12に到達して所定の反応が起きると、反応部12が変色する。一方、評価対象に鉛が含有されていない場合には、反応部12の変色は見られない。このように、検知体10を評価対象に貼り付けたときのその反応部12の変色状態から、その評価対象の鉛の有無が判別される。
【0035】
図6は検知体の第2の構成例の断面模式図である。
図6に示す検知体20は、溶出部内に反応部を含めた単層の溶出・反応部21を有している。
【0036】
溶出・反応部21は、鉛溶出用の水や薬液を含有することができ、かつ鉛と反応して変色する変色剤が含有された構成になっている。例えば、溶出・反応部21には、メッシュやフィルタ等の多孔質性材料、保水性を有する高分子等を用いることができ、それに水や薬液、および変色剤を含有させるようにすればよい。
【0037】
このような検知体20を用いて鉛の検知を行う場合も、上記図5に示した検知体10と同様、これを評価対象に貼り付ける前に、その溶出・反応部21を鉛溶出用の水や薬液が含有された状態にする。そして、その水や薬液の表面張力を利用して検知体20を評価対象の表面に貼り付け、溶出・反応部21の変色状態から、その評価対象の鉛の有無を判別する。
【0038】
図7は検知体の第3の構成例の断面模式図である。
図7に示す検知体30は、溶出部31と反応部32の積層体を有している。
溶出部31内には、鉛溶出用の水や薬液を内包するマイクロカプセル31aが埋め込まれている。このマイクロカプセル31aには、外力でそのカプセル壁が破壊されることによって中の水や薬液が放出されるものや、非破壊で中の水や薬液が徐々に浸み出すもの等、種々の形態が利用可能である。
【0039】
なお、溶出部31のマイクロカプセル31aを除く部分には、その材料として、鉛溶出用の水や薬液を一定時間保持しておくことができ、鉛溶出用の水や薬液と反応せず、溶出された鉛を固定しないものであって、内部にマイクロカプセル31aを埋め込むことができるものが用いられる。例えば、メッシュやフィルタ等の多孔質性材料や保水性高分子等を用いることができる。
【0040】
また、反応部32は、例えば、メッシュやフィルタ等の多孔質性材料や樹脂中に変色剤として硫化ナトリウムやキシレノールオレンジ等を含有させて構成される。
このような検知体30を用いて鉛の検知を行う場合には、それを評価対象に貼り付ける前に、マイクロカプセル31aのカプセル壁を破壊して中の水や薬液を放出させたり、マイクロカプセル31aから水や薬液を浸み出させたりして、評価対象の表面に貼り付ける。そして、その反応部32の変色状態から、その評価対象の鉛の有無を判別する。
【0041】
マイクロカプセル31aを破壊して水や薬液を放出させる形態では、溶出部31に外部から水や薬液を供給して含有させるという作業が不要になるため、より簡易に評価を行うことが可能になる。また、マイクロカプセル31aから水や薬液を浸み出させる形態では、その現象を利用して長期的な評価を行うことが可能になる。
【0042】
また、マイクロカプセル31aに水または薬液を内包させておき、検知体30を評価対象に貼り付ける前に、薬液または水でマイクロカプセル31aのカプセル壁を溶解するような構成とすることも可能である。この場合、薬液または水でマイクロカプセル31aのカプセル壁が溶解されて、その薬液または水がマイクロカプセル31aに内包されていた水または薬液と混合されたときに、溶出部31に所定の組成の薬液が含有されることとなるよう、制御することも可能である。また、マイクロカプセル31aのカプセル壁の溶解には、薬液や水のほか、別の溶剤等を用いるようにしてもよい。
【0043】
図8は検知体の第4の構成例の断面模式図である。
図8に示す検知体40は、溶出部内に反応部を含めた単層の溶出・反応部41を有している。
【0044】
溶出・反応部41は、鉛溶出用の水や薬液を内包するマイクロカプセル41aと、反応部として、硫化ナトリウムやキシレノールオレンジ等の変色剤を内包するマイクロカプセル41bが埋め込まれた構成を有している。
【0045】
なお、溶出・反応部41のマイクロカプセル41a,41bを除く部分には、その材料として、鉛溶出用の水や薬液を一定時間保持しておくことができ、鉛溶出用の水や薬液と反応せず、溶出された鉛を固定しないものであって、内部にマイクロカプセル41a,41bを埋め込むことができるものが用いられる。例えば、メッシュやフィルタ等の多孔質性材料や保水性高分子等を用いることができる。
【0046】
このような検知体40を用いて鉛の検知を行う場合には、マイクロカプセル41a,41bのカプセル壁を破壊する、マイクロカプセル41a,41bから水や薬液および変色剤を徐々に染み出させる、あるいは薬液や水によってマイクロカプセル41a,41bを溶解する、等の方法を用い、溶出・反応部41内に水や薬液および変色剤を放出させる。これを評価対象の表面に貼り付け、変色の有無を見て、鉛の有無を判別する。このような構成の場合、変色剤が溶出・反応部41内に放出されているため、評価対象から鉛が溶出されたときには、比較的早く変色が見られ、迅速に鉛を検知することが可能になる。
【0047】
なお、ここでは、水や薬液を内包するマイクロカプセル41aと、変色剤を内包するマイクロカプセル41bの2種類を用いる場合を例示したが、このほか、溶出・反応部41内には変色剤を内包するマイクロカプセル41bのみを埋め込んでおき、検知を行う際には、そのマイクロカプセル41bのカプセル壁を破壊し、その溶出・反応部41に外部から水や薬液を含有させるようにすることもできる。あるいは、マイクロカプセル41bのカプセル壁を破壊せず、外部から含有させた水や薬液によってそのカプセル壁を溶解させるようにしてもよい。
【0048】
図9は検知体の第5の構成例の断面模式図である。
図9に示す検知体50は、溶出部51並びに反応部52と、それらの周囲に設けられた接着剤層53、および表面に設けられた透光フィルム54を有している。
【0049】
溶出部51および反応部52には、上記図5,図7の第1,第3の構成例に示したような種々の形態を適用することが可能である。また、ここでは積層構造の溶出部51と反応部52を図示しているが、それらの積層体に替えて、上記図6,図8の第2,第4の構成例に示したような形態の単層の溶出・反応部を適用することも可能である。
【0050】
接着剤層53は、この検知体50を評価対象の表面に強く貼り付け、かつ、その表面に透光フィルム54を接着し、さらに、溶出部51に含有される鉛溶出用の水や薬液の蒸発を防ぐ目的で設けられている。その材質は、特に限定されないが、例えば、接着剤として従来広く用いられているPVA(Poly Vinyl Alcohol)等を用いることができる。
【0051】
透光フィルム54は、反応部52を外部から保護すると共に、溶出部51に含有される鉛溶出用の水や薬液の蒸発を防ぐ保護フィルムとしての役割を果たす。この透光フィルム54は、鉛が検知されたときに、反応部52の変色が容易に確認できるよう、無色透明であることが望ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(Poly Ethylene Terephthalate,PET)等が用いられる。
【0052】
このような構成の検知体50によれば、接着剤層53の接着力によって、これを評価対象の表面により確実に密着させることができるようになる。さらに、接着剤層53および透光フィルム54による封止効果により、溶出部51に含有される水や薬液の蒸発を抑え、鉛の検知に要する時間を長く確保することができるようになる。
【0053】
なお、このような検知体50は、例えば、印刷法等を用い、透光フィルム54上に接着剤層53のパターンを形成し、そのパターン間に層状の溶出部51と反応部52の積層体あるいは単層の溶出・反応部を形成する、等の方法を用いて形成することが可能である。
【0054】
また、ここでは、接着剤層53および透光フィルム54を設けた構成を例示したが、それらのうちのいずれか一方のみを設けた構成とすることも可能であり、その場合も一定の接着効果あるいは封止効果を得ることが可能である。
【0055】
また、あらかじめ溶出部51に水や薬液を含有させてその貼り付け面を密封シール(図示せず。)で被覆しておき、検知を行う段階でその密封シールを剥離して、検知体50を評価対象の表面に貼り付けるようにしてもよい。このような構成とした場合には、検知体50の貼り付け前に、その溶出部51に水や薬液を滴下する等の作業が不要になる。
【0056】
図10は検知体の第6の構成例を示す図であって、(A)は平面模式図、(B)は(A)のC−C断面模式図である。
図10に示す検知体60は、溶出部61と反応部62の積層体の側面およびその反応部62上面が耐熱・透光フィルム63で覆われ、この構造体の側部に加熱部64が設けられた構成を有している。また、加熱部64の貼り付け面側には、PVA等からなる接着剤層65が設けられている。検知の際には、溶出部61の耐熱・透光フィルム63で覆われていない面が評価対象に貼り付けられる。
【0057】
溶出部61および反応部62には、上記図5,図7の第1,第3の構成例に示したような種々の形態を適用することが可能である。また、ここでは積層構造の溶出部61と反応部62を図示しているが、それらの積層体に替えて、上記図6,図8の第2,第4の構成例に示したような形態の単層の溶出・反応部を適用することも可能である。
【0058】
耐熱・透光フィルム63は、PET等で構成され、反応部62を外部から保護すると共に、溶出部61内の鉛溶出用の水や薬液の蒸発を防ぐ役割を果たす。
加熱部64は、発熱性材料を用いて構成され、それ自体が発熱して溶出部61を加熱するように構成されている。
【0059】
加熱部64には、例えば、空気や水と接触して発熱する物質が含有される。そのような物質としては、例えば、空気中の酸素と反応して発熱する鉄(Fe)等のほか、水和反応によって発熱する酸化カルシウム(CaO)や三酸化硫黄(SO3)等が挙げられる。なお、このような物質を含有させる媒体としては、例えば、メッシュやフィルタ等の多孔質性材料を用いることができる。
【0060】
このような検知体60を用いて鉛の検知を行う場合には、まず、検知体60を評価対象に貼り付ける前に、溶出部61に水や薬液を含有させる。
その際、加熱部64を水との接触によって発熱する構成とした場合には、溶出部61と共に、加熱部64にも水や薬液を含有させる。この場合、水や薬液は、例えば、検知体60の貼り付け面側から溶出部61および加熱部64に水や薬液を滴下したり、貼り付け面の溶出部61および加熱部64を水や薬液に含浸したりすればよい。それにより、加熱部64による溶出部61内の水や薬液の加熱が開始されるようになる。
【0061】
また、加熱部64を空気との接触によって発熱する構成とした場合には、例えば、加熱部64の外表面を密封シール(図示せず。)で被覆しておき、検知体60の貼り付け後、検知開始直前に、その密封シールを剥離して加熱部64を空気と接触させるようにすればよい。それにより、加熱部64による溶出部61内の水や薬液の加熱が開始されるようになる。
【0062】
なお、あらかじめ溶出部61に水や薬液を含有させてその貼り付け面を密封シール(図示せず。)で被覆しておき、検知を行う段階でその密封シールを剥離し、それから検知体60を評価対象の表面に貼り付けるようにしてもよい。このような構成とした場合には、検知体60の貼り付け前に、その溶出部61に水や薬液を滴下する等の作業が不要になる。
【0063】
評価対象の表面に貼り付けられた検知体60では、加熱部64によって溶出部61が加熱され、溶出部61内の水や薬液が昇温する。通常、評価対象からの鉛の溶出は、溶出部61内の水や薬液が高温である場合の方が、低温である場合に比べ、一定時間の溶出量がより多く、また、一定量の溶出がより短時間で行われる。上記のように、加熱部64の形態に応じた方法によって溶出部61の加熱を行うと、溶出部61内の水や薬液の温度が上昇するため、鉛の溶出が促進されるようになる。したがって、加熱部64による溶出部61の加熱を行ったときの鉛の溶出は、加熱部64による溶出部61の加熱を行わない場合に比べ、より多く、また、より短時間で行われるようになる。
【0064】
評価対象に鉛が含有されている場合には、その昇温した水や薬液によって鉛が溶出され、それが反応部62に到達して所定の反応が起きると、反応部62が変色する。一方、評価対象に鉛が含有されていない場合には、反応部62は変色しない。このように、鉛溶出用の水や薬液を昇温することにより、評価対象に鉛が存在する場合には、それを効率的に溶出することができ、それにより、迅速かつ高感度で鉛を検知することができるようになる。
【0065】
なお、加熱部64による加熱の温度を設定するに際しては、溶出部61、反応部62、耐熱・透光フィルム63の耐熱性等を考慮する。加熱温度は、常温を上回る温度で80℃程度まで、好ましくは60℃程度ないし80℃程度とする。
【0066】
また、図示は省略するが、加熱部64や溶出部61の温度を検出するための温度検出手段として、加熱部64の上部にサーモラベルを取り付けたり、反応部62の色を判別するための色判別手段として、加熱部64の上部に基準色ラベルを取り付けたりしてもよい。
【0067】
サーモラベルを取り付けた場合には、その色を基に、加熱部64や溶出部61の温度あるいは温度履歴を把握することができ、評価対象に貼り付けた検知体60の温度制御や過熱防止、例えば、所定の溶出温度またはその付近に達した時点で評価対象から検知体60を剥離するといったことが可能になる。
【0068】
基準色ラベルは、あらかじめ求められた反応部62の変色状態と鉛溶出量の関係に基づいて選択される適当な色のラベルを用意する。反応部62の色を、その基準色ラベルの色と比較することにより、鉛の有無や溶出量の推定が可能になる。
【0069】
図11は検知体の第7の構成例を示す図であって、(A)は平面模式図、(B)は(A)のD−D断面模式図である。また、図12は検知体の変形例の断面模式図である。
図11に示す検知体70は、溶出部71と反応部72の積層体の側面およびその反応部72上面が耐熱・透光フィルム73で覆われ、この構造体の側部に、金属、セラミック、伝熱物質混入材料等の伝熱材を用いた加熱部74が設けられた構成を有している。さらに、この検知体70では、加熱部74に、部分的に側方に延びた突出部74aが設けられており、この突出部74aの先端部分には、窪み74bが形成されている。また、加熱部74の貼り付け面側には、PVA等からなる接着剤層75が設けられている。
【0070】
溶出部71および反応部72にはそれぞれ、上記図5,図7の第1,第3の構成例に示したような種々の形態を適用することが可能である。また、ここでは積層構造の溶出部71と反応部72を図示しているが、それらの積層体に替えて、上記図6,図8の第2,第4の構成例に示したような形態の単層の溶出・反応部を適用することも可能である。耐熱・透光フィルム73は、PET等で構成される。
【0071】
加熱部74は、伝熱材を用いて構成され、検知体70外部から熱を供給されることによって発熱し溶出部71を加熱することができるように構成されている。その場合、加熱部74は、熱伝導性の良い材料を用いて構成される。そのような材料としては、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、鉄等の金属、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al23)等のセラミック、熱伝導フィルム等の伝熱物質混入材料が挙げられる。
【0072】
このような検知体70を用いて鉛の検知を行う場合には、溶出部71を鉛溶出用の水や薬液が含有された状態とした後、検知体70を評価対象の表面に貼り付け、窪み74bに熱した半田ごて等の加熱用具の先端を押し当て、加熱部74を加熱する。加熱温度は、常温を上回る温度で80℃程度まで、好ましくは60℃程度ないし80℃程度とする。
【0073】
加熱部74には窪み74bが形成されているため、加熱用具先端の位置ずれが起こりにくく、加熱用具が評価対象に当たってその表面に損傷を与えるといった事態を回避することができる。なお、加熱用具として、このような半田ごて等のほか、ドライヤ等を用い、加熱部74に温風を吹き付けて加熱するようにしてもよい。
【0074】
このようにして加熱部74を加熱し、溶出部71内の水や薬液を昇温し、反応部72の変色状態から、その評価対象の鉛の有無を判別する。このような検知体70によれば、金属やセラミック等の伝熱材に対して外部から容易に熱供給が行え、鉛を迅速に高感度で検知することが可能になる。
【0075】
なお、検知体70の加熱部74は、上記のような適当な加熱用具を用いて伝熱によって加熱するほか、例えば、図12に示すように、加熱部74の内部に電熱線76を埋め込み、電圧印加によって加熱部74を発熱することができる構成とすることも可能である。電熱線76は、例えば、セラミックや伝熱物質混入材料の内部に埋め込んだり、適当なシーリングを施して金属中に埋め込んだりすることができる。
【0076】
このような電熱線76を用いた構成とすれば、検知を行う段階で、外部からの熱供給によって溶出部71内の水や薬液を加熱するか、電熱線76への電圧印加によって溶出部71内の水や薬液を加熱するか、あるいはその両方で加熱するかを選択することが可能になる。
【0077】
なお、あらかじめ溶出部71に水や薬液を含有させてその貼り付け面を密封シール(図示せず。)で被覆しておき、検知を行う段階でその密封シールを剥離し、それから検知体70を評価対象の表面に貼り付けるようにしてもよい。
【0078】
また、加熱部74の上部には、サーモラベルや基準色ラベル(いずれも図示せず。)を取り付けるようにしてもよい。
図13は検知体の第8の構成例を示す図であって、(A)は平面模式図、(B)は側面模式図である。ただし、図13では、上記図11に示した要素と同一の要素については同一の符号を付し、その説明の詳細は省略する。
【0079】
図13に示す検知体80は、溶出部71と反応部72の積層体の側部に、ペルチェ素子からなる加熱部81が設けられた構成を有している点で、上記の検知体70と相違する。加熱部81のペルチェ素子は、所定の性質を有する2種類の金属81a,81bを用いて構成され、それらの接合部に所定の電流を流したときに、一方の金属81aから他方の金属81bへ熱移動が起こるようになっている。ペルチェ素子を構成する金属81a,81bには、それぞれ側方に延びた突出部81c,81dが設けられており、これらの突出部81c,81dの先端部分には、それぞれ窪み81e,81fが形成されている。
【0080】
このような検知体80を用いて鉛の検知を行う場合には、溶出部71を鉛溶出用の水や薬液が含有された状態とした後、検知体80を評価対象の表面に貼り付け、窪み81e,81fの部分を端子として用い、金属81a,81bの接合部に所定の電流を流し、一方の金属81aから他方の金属81b、その金属81bから溶出部71内の水や薬液への伝熱を行う。
【0081】
このようにして加熱部81を加熱し、溶出部71内の水や薬液を昇温し、反応部72の変色状態から、その評価対象の鉛の有無を判別する。このような検知体80によれば、鉛を迅速に高感度で検知することが可能になる。
【0082】
なお、この検知体80においても、あらかじめ溶出部71に水や薬液を含有させてその貼り付け面を密封シール(図示せず。)で被覆しておくようにしてもよい。
また、加熱部81の上部には、サーモラベルや基準色ラベル(いずれも図示せず。)を取り付けるようにしてもよい。
【0083】
図14は検知体の第9の構成例の断面模式図である。
図14に示す検知体90は、溶出部91と反応部92の積層体を有しており、その溶出部91内には、加熱部として、酸化カルシウム、三酸化硫黄等の水と接触して発熱する材料を内包するマイクロカプセル91aが埋め込まれている。このマイクロカプセル91aには、外力でそのカプセル壁が破壊されることによって中の発熱材が放出されるものや、水等と接触してそのカプセル壁が溶解することによって中の発熱材が放出されるもの等、種々の形態が利用可能である。
【0084】
なお、溶出部91のマイクロカプセル91aを除く部分には、その材料として、鉛溶出用の水や薬液を一定時間保持しておくことができ、鉛溶出用の水や薬液と反応せず、溶出された鉛を固定しないものであって、内部にマイクロカプセル91aを埋め込むことができるものが用いられる。例えば、メッシュやフィルタ等の多孔質性材料や保水性高分子等を用いることができる。
【0085】
また、反応部92は、例えば、メッシュやフィルタ等の多孔質性材料や樹脂中に変色剤として硫化ナトリウムやキシレノールオレンジ等を含有させて構成される。
このような検知体90を用いて鉛の検知を行う場合には、まず、検知体90を評価対象に貼り付ける前に、マイクロカプセル91aのカプセル壁を破壊し、滴下あるいは含浸等の方法で溶出部91に水や薬液を含有させる。あるいは、検知体90を評価対象に貼り付ける前に、滴下あるいは含浸等の方法で溶出部91に水や薬液を含有させ、その水や薬液でマイクロカプセル91aのカプセル壁を溶解する。その後、溶出部91が密着するように検知体90を評価対象の表面に貼り付ける。
【0086】
溶出部91内の水や薬液は、マイクロカプセル91aから放出された発熱材と接触して昇温する。評価対象に鉛が含有されている場合には、その昇温した水や薬液に鉛が溶出し、溶出した鉛が反応部92まで到達すると、鉛と変色剤の反応によって反応部92が変色する。
【0087】
なお、検知体90のこのような構造に、上記図9に示した検知体50と同様の接着剤層や耐熱性の透光フィルムを形成するようにしてもよい。
図15は検知体の第10の構成例の断面模式図である。
【0088】
図15に示す検知体100は、溶出部内に反応部を含めた単層の溶出・反応部101を有している。
溶出・反応部101内には、鉛溶出用の水や薬液が含有されるようになっている。さらに、溶出・反応部101内には、加熱部として機能するマイクロカプセル101aと、反応部として機能するマイクロカプセル101bが埋め込まれている。
【0089】
加熱部となるマイクロカプセル101aには、酸化カルシウム、三酸化硫黄等の水と接触して発熱する材料が内包される。また、反応部となるマイクロカプセル101bには、硫化ナトリウムやキシレノールオレンジ等の変色剤が内包される。これらのマイクロカプセル101a,101bには、外力でそのカプセル壁が破壊されることによって中の発熱材や変色剤が放出されるものや、水等と接触してそのカプセル壁が溶解することによって中の発熱材や変色剤が放出されるもの等、種々の形態が利用可能である。
【0090】
なお、溶出・反応部101のマイクロカプセル101a,101bを除く部分には、その材料として、鉛溶出用の水や薬液を一定時間保持しておくことができ、鉛溶出用の水や薬液と反応せず、溶出された鉛を固定しないものであって、内部にマイクロカプセル101a,101bを埋め込むことができるものが用いられる。例えば、メッシュやフィルタ、保水性高分子等を用いることができる。
【0091】
このような検知体100を用いて鉛の検知を行う場合には、まず、検知体100を評価対象に貼り付ける前に、マイクロカプセル101a,101bのカプセル壁を破壊し、滴下あるいは含浸等の方法で溶出・反応部101に水や薬液を含有させる。あるいは、検知体100を評価対象に貼り付ける前に、滴下あるいは含浸等の方法で溶出・反応部101に水や薬液を含有させ、その水や薬液でマイクロカプセル101a,101bのカプセル壁を溶解する。
【0092】
検知体100に含有されている水や薬液は、マイクロカプセル101aから放出された発熱材と接触して昇温される。評価対象に鉛が含有されている場合には、その昇温した水や薬液にその鉛が溶出し、溶出した鉛がマイクロカプセル101bから放出された変色剤と反応し、検知体100が変色する。
【0093】
なお、検知体100のこのような構造に、上記図9に示した検知体50と同様の接着剤層や耐熱性の透光フィルムを形成するようにしてもよい。
また、ここでは、加熱部として機能するマイクロカプセル101aと、反応部として機能するマイクロカプセル101bの2種類を用いたが、上記図6に示した検知体20と同様に溶出・反応部101に変色剤を含有させ、マイクロカプセルとしては加熱用のものだけを用いるようにしてもよい。
【0094】
図16は検知体の第11の構成例の断面模式図である。
図16に示す検知体110は、溶出部111と反応部112の積層体を有している。
溶出部111内には、粒状の研磨部111aが埋め込まれている。溶出部111には、鉛溶出用の水や薬液を一定時間保持しておくことができ、鉛溶出用の水や薬液と反応せず、溶出された鉛を固定しないものであって、内部に研磨部111aを埋め込むことができるものが用いられる。例えば、メッシュやフィルタ等の多孔質性材料や保水性高分子等を用いることができる。
【0095】
また、研磨部111aには、酸化アルミニウム粒子等の、鉛と反応せず、また、溶出された鉛を固定しないような材質のものが用いられる。そのような粒状の研磨部111aが、溶出部111の形成時にその内部に埋め込まれる。
【0096】
反応部112は、例えば、メッシュやフィルタ等の多孔質性材料や樹脂中に変色剤として硫化ナトリウムやキシレノールオレンジ等を含有させて構成される。
このような検知体110を用いて鉛の検知を行う場合には、まず、検知体110を評価対象に貼り付ける前に、その溶出部111に鉛溶出用の水や薬液を滴下したり含浸したりして含有させるようにする。そして、その溶出部111が密着するように検知体110を評価対象の表面に貼り付ける。
【0097】
このとき、この検知体110を反応部112側から指で擦る、あるいは検知体110や評価対象に機械的振動を与えたり超音波を印加したりする等の手段により、評価対象の表面と溶出部111とが擦り合わされるようにする。その結果、評価対象の表面が、溶出部111内に埋め込まれた研磨部111aによって研磨され、反応性の高い表面が露出し、また、水や薬液との接触面積が増加し、水や薬液によってその表面から鉛が溶出しやすくなる。また、その評価対象に表面処理、例えば鉛を用いない防食処理等が施されているような場合であっても、その表面処理の下の層を露出させ、そこに鉛が存在するか否かの評価が可能となる。
【0098】
そして、評価対象に鉛が含有されている場合には、その研磨された表面から溶出部111に鉛が溶出され、それが反応部112に到達して所定の反応が起きると、反応部112が変色する。一方、評価対象に鉛が含有されていない場合には、反応部112の変色は見られない。
【0099】
このように、評価対象の表面を研磨することにより、鉛の有無をより精度良く判別することが可能になる。
なお、検知体110のこのような構造に、上記図9に示した検知体50と同様の接着剤層や透光フィルムを形成するようにしてもよい。
【0100】
また、この検知体110においても、あらかじめ溶出部111に水や薬液を含有させて密封シール(図示せず。)で被覆しておくようにしてもよい。
また、検知体110のこのような構造に、上記図10から図15に示したような形態の加熱部を設けるようにしてもよい。
【0101】
図17は検知体の第12の構成例の断面模式図である。
図17に示す検知体120は、溶出部121と反応部122の積層体を有しており、さらに、溶出部121の反応部122側と反対の面側に、層状の研磨部123が設けられた構成を有している。
【0102】
溶出部121には、鉛溶出用の水や薬液を一定時間保持しておくことができ、鉛溶出用の水や薬液と反応せず、溶出された鉛を固定しないものが用いられ、例えば、メッシュやフィルタ等の多孔質性材料や保水性高分子等を用いることができる。
【0103】
反応部122は、例えば、メッシュやフィルタ等の多孔質性材料や樹脂中に変色剤として硫化ナトリウムやキシレノールオレンジ等を含有させて構成される。
研磨部123には、溶出部121に含有させた水や薬液、それによって溶出された鉛が透過されるもの、例えばメッシュ構造としたもの等が用いられる。
【0104】
検知体120は、例えば、このような層状の研磨部123の上に、溶出部121および反応部122を順に積層して形成する、あるいはあらかじめ形成された溶出部121と反応部122の積層体を研磨部123と貼り合わせる、等の方法により形成することが可能である。
【0105】
このような検知体120を用いて鉛の検知を行う場合には、まず、その溶出部111に鉛溶出用の水や薬液を含有させて検知体120を評価対象の表面に貼り付けた後、検知体120を反応部122側から指で擦る、あるいは検知体120や評価対象に機械的振動を与えたり超音波を印加したりする等の手段により、評価対象の表面と溶出部111とが擦り合わされるようにする。
【0106】
これにより、水や薬液によってその評価対象の表面から鉛が溶出しやすくなり、評価対象に鉛が含有されている場合には、その研磨された表面から溶出された鉛が反応部122に到達して所定の反応が起き、反応部122が変色する。一方、評価対象に鉛が含有されていない場合には、反応部122の変色は見られない。
【0107】
なお、検知体120のこのような構造に、上記図9に示した検知体50と同様の接着剤層や透光フィルムを形成するようにしてもよい。
また、この検知体120においても、あらかじめ溶出部121に水や薬液を含有させて密封シール(図示せず。)で被覆しておくようにしてもよい。
【0108】
また、検知体120のこのような構造に、上記図10から図15に示したような形態の加熱部を設けるようにしてもよい。
図18は検知体の第13の構成例の断面模式図である。
【0109】
図18に示す検知体130は、溶出部131と反応部132の積層体からなる複数のセル133を、接着剤層134を介して並設した構成を有している。
各セル133の溶出部131および反応部132には、上記図5,図7の第1,第3の構成例に示したような種々の形態を適用することが可能である。また、ここでは積層構造の溶出部131と反応部132を図示しているが、それらの積層体に替えて、上記図6,図8の第2,第4の構成例に示したような単層の溶出・反応部を適用することも可能である。
【0110】
接着剤層134は、各セル133の側面を覆うように設けられてそれらを隔離すると共に、この検知体130を評価対象の表面に貼り付ける役割と、溶出部131に含有される鉛溶出用の水や薬液の蒸発を防ぐ役割を果たす。また、場合により、セル133の上面(反応部132側)に透光フィルムを接着する役割を果たす。このような接着剤層134には、PVA等を用いることができる。
【0111】
各セル133は、例えば、直径50μm〜100μmの円筒形や、50μm角〜100μm角の直方体形とすることができる。また、各セル133のピッチは、例えば、50μm〜100μmとすることができる。
【0112】
このような検知体130は、図18に示したような、基板140上に搭載されている複数の部品141,142の鉛の有無を評価する場合に好適に用いることができる。
例えば、基板140上の一方の部品141は鉛を含有する電極141aを有するものであり、もう一方の部品142は鉛を含有しない電極142aを有するものであるとする。この場合、各セル133の溶出部131に水や薬液を含有させた状態の検知体130を基板140上に貼り付けたときには、部品141の直上にあるセル133であって、鉛を含有する電極141aに接するセル133の反応部132に変色が現れ、その他のセル133の反応部132には変色が現れない。これにより、基板140上の鉛含有領域の位置や分布を把握することが可能になり、さらに、基板140上の各部品141,142の鉛含有部位を把握することも可能になる。
【0113】
このような構成を有する検知体130は、例えば、適当なフィルム上に印刷法等を用いて所定サイズの多数の孔が形成された接着剤層134のパターンを形成した後、その孔に単層あるいは積層構造のセル133を作り込むことによって形成することが可能である。例えば、その孔に溶出部131または反応部132を埋め込み、その上に反応部132または溶出部131を積層する。あるいはその孔を単層の溶出・反応部で埋め込む。あるいは、はじめに孔を形成した第1の接着剤層(接着剤層134の一部)を形成し、その孔を溶出部131または反応部132で埋め、同様にしてその上に孔を形成した第2の接着剤層(接着剤層134の残りの部分)を形成し、その孔を反応部132または溶出部131で埋めて、積層構造を形成する。
【0114】
なお、検知体130のこのような構造に、上記図9に示した検知体50と同様の透光フィルムを形成するようにしてもよい。
また、あらかじめ溶出部131側に水や薬液を含有させてその貼り付け面を密封シール(図示せず。)で被覆しておくようにしてもよい。
【0115】
また、この図18に示したような検知体130の側面に上記図10から図13に示したような形態の加熱部を設けたり、各セル133の溶出部131に上記図14に示したような形態の加熱部(マイクロカプセル)を設けたり、あるいはこの検知体130に単層の溶出・反応部を適用した上でそこに上記図15に示したような形態の加熱部(マイクロカプセル)を設けたりしてもよい。
【0116】
続いて、鉛の検知を実施した具体例について説明する。
まず、第1の実施例について述べる。
ここでは、評価対象のサンプルとして、ガラス板と、鉛を含有する無電解ニッケル(Ni)メッキを形成したものとを用いた。この2種類のサンプルの表面に対して#1000の研磨材によって傷をつけた後、それぞれに約5mm角のフィルタを載置し、鉛チェッカー試薬としてキシレノールオレンジを約0.2cm3滴下した。乾燥後の各フィルタの色を表1に示す。
【0117】
【表1】

【0118】
表1より、ガラス板のサンプルについては、鉛チェッカー試薬を滴下したフィルタの変色は認められなかった。これに対し、無電解ニッケルメッキが形成されたサンプルについては、鉛チェッカー試薬を滴下したフィルタの紫色への変色が明瞭に認められた。このように、フィルタに鉛チェッカー試薬を滴下しただけの簡易な方法によっても、サンプルから鉛を感度良く検知することができた。
【0119】
次に、第2の実施例について述べる。
ここでは、評価対象のサンプルとして、上記の第1の実施例と同じく、ガラス板と、鉛を含有する無電解ニッケルメッキを形成したものとを用いた。
【0120】
この2種類のサンプルの表面にそれぞれ約5mm角のフィルタを載置し、そのフィルタに水を約0.2cm3滴下した後、約60℃または約80℃で約5分間加熱した。加熱の際、プレパラートで蓋をし、水の蒸発を抑制した。加熱後、各サンプルからそれぞれフィルタを剥がし、剥がしたフィルタを乾燥した後、乾燥したフィルタに鉛チェッカー試薬としてキシレノールオレンジを約0.2cm3を滴下した。キシレノールオレンジを滴下して1分後の各フィルタの色を表2に示す(表2の「水溶出後キシレノールオレンジ滴下」の欄を参照)。
【0121】
【表2】

【0122】
表2より、ガラス板のサンプルについては、鉛チェッカー試薬を滴下してもフィルタの変色は認められなかったのに対し、無電解ニッケルメッキが形成されたサンプルについては、鉛チェッカー試薬を滴下したフィルタの紫色への変色が認められた。これにより、水によってサンプルから鉛を溶出させることが可能であることが確認された。
【0123】
また、ガラス板と、鉛を含有する無電解ニッケルメッキを形成した、2種類のサンプルの表面にそれぞれ約5mm角のフィルタを載置し、そのフィルタに鉛チェッカー試薬としてキシレノールオレンジを約0.2cm3滴下した後、約60℃または約80℃で約5分間加熱した。加熱の際、プレパラートで蓋をし、試薬の蒸発を抑制した。加熱後、各サンプルからそれぞれフィルタを剥がし、剥がしたフィルタを乾燥した。乾燥後の各フィルタの色を表2に示す(表2の「キシレノールオレンジ溶出」の欄を参照)。
【0124】
この場合も、ガラス板のサンプルについては、鉛チェッカー試薬を滴下してもフィルタの変色は認められなかったのに対し、無電解ニッケルメッキが形成されたサンプルについては、鉛チェッカー試薬を滴下したフィルタの紫色への変色が認められた。これにより、鉛チェッカー試薬によってサンプルから鉛を溶出させることが可能であることが確認された。
【0125】
次に、第3の実施例について述べる。
ここでは、評価対象のサンプルとして、直径約1mmの鉛スズ(PbSn)はんだ(40Pb−60Sn)の線材と、その線材に#1000の研磨材によって傷をつけたものとを用いた。この2種類のサンプルの上にそれぞれに約5mm角のフィルタを載置し、鉛チェッカー試薬としてキシレノールオレンジを約0.2cm3滴下した。
【0126】
その結果、フィルタのはんだ線材との接触部位に紫色の変色が認められ、はんだ線材との非接触部位には変色は認められなかった。これにより、鉛の有無とその位置をフィルタ上の変色によって評価することが可能であることが確認された。
【0127】
以上説明したように、鉛を検知するための検知体をシール状に構成し、検知時にはそれを部品等の被検知体に貼り付けるようにした。これにより、被検知体を分解したり加工したりすることなく、被検知体に検知体を貼り付け、変色の目視観察等によって鉛を検知することが可能になる。したがって、簡易かつ精度良く鉛の有無を判別することができ、さらに、分析・評価の低コスト化を図れるようになる。また、組み立て品等や基板上に搭載する前の部品等を個々に評価する場合のほか、組み立て品等の内部や基板上に密集して配置されている状態の個々の部品等に対しても、簡易かつ精度良く鉛の有無を判別することが可能になる。
【0128】
なお、以上の説明では、変色の目視観察によって鉛を検知する例、つまり、鉛と反応して変色する材料で反応部を構成する例で説明したが、鉛と反応したことを識別できる材料であればこれに限るものではない。
【0129】
(付記1) 鉛の検知に用いる検知体において、
接触する被検知体から鉛を溶出するための溶出部と、
前記溶出部で溶出された鉛を検出する物質を含んだ反応部と、
を有することを特徴とする検知体。
【0130】
(付記2) 前記溶出部は、前記被検知体からの鉛の溶出に用いられる液を保持することができる多孔質材料または保水性高分子を用いて形成されていることを特徴とする付記1記載の検知体。
【0131】
(付記3) 前記溶出部は、前記被検知体からの鉛の溶出に用いられる液を内包するマイクロカプセルを有していることを特徴とする付記1記載の検知体。
(付記4) 前記反応部は、前記物質が含有された多孔質材料または樹脂によって構成され、前記溶出部に接して設けられていることを特徴とする付記1記載の検知体。
【0132】
(付記5) 前記反応部は、前記物質を内包するマイクロカプセルで構成され、前記溶出部内に設けられていることを特徴とする付記1記載の検知体。
(付記6) 前記溶出部または前記反応部は、不透光材料を用いて形成されていることを特徴とする付記1記載の検知体。
【0133】
(付記7) 前記被検知体と接触する面を除く表面の一部または全部が透光性のフィルムで被覆されていることを特徴とする付記1記載の検知体。
(付記8) 前記被検知体と接触する面側に、前記被検知体との接着に用いる接着層を有していることを特徴とする付記1記載の検知体。
【0134】
(付記9) 前記溶出部を加熱する加熱部を有していることを特徴とする付記1記載の検知体。
(付記10) 前記加熱部は、反応により発熱する発熱性材料を用いて構成されていることを特徴とする付記9記載の検知体。
【0135】
(付記11) 前記発熱性材料は、マイクロカプセルに内包され、前記溶出部内に設けられていることを特徴とする付記10記載の検知体。
(付記12) 前記加熱部は、外部から供給された熱または電圧印加によって発生した熱を前記溶出部に伝熱する熱伝導性材料で構成されていることを特徴とする付記9記載の検知体。
【0136】
(付記13) 接触する前記被検知体を研磨するための研磨部を有していることを特徴とする付記1記載の検知体。
(付記14) 前記研磨部は、粒状に構成され、前記溶出部内に設けられていることを特徴とする付記13記載の検知体。
【0137】
(付記15) 前記研磨部は、層状に構成され、前記被検知体と接触する面に設けられていることを特徴とする付記13記載の検知体。
(付記16) 前記溶出部と前記反応部とを有するセルを複数備え、複数の前記セルが互いに隔離された状態で配置されていることを特徴とする付記1記載の検知体。
【0138】
(付記17) 鉛の検知方法において、
接触する被検知体から鉛を溶出するための溶出部と、
前記溶出部で溶出された鉛を検出する物質を含んだ反応部と、
を有する検知体を用い、
前記検知体を前記被検知体に接触させ、前記反応部での前記物質による鉛の検出の有無によって前記被検知体の鉛の有無を判別することを特徴とする検知方法。
【0139】
(付記18) 前記検知体は、前記溶出部を加熱する加熱部を有し、
前記検知体を前記被検知体に接触させ、前記溶出部を前記加熱部によって加熱し、前記反応部での前記物質による鉛の検出の有無によって前記被検知体の鉛の有無を判別することを特徴とする付記17記載の検知方法。
【0140】
(付記19) 前記検知体は、接触する前記被検知体を研磨するための研磨部を有し、
前記検知体を前記被検知体に接触させ、前記研磨部によって前記被検知体を研磨し、前記反応部での前記物質による鉛の検出の有無によって前記被検知体の鉛の有無を判別することを特徴とする付記17記載の検知方法。
【0141】
(付記20) 前記検知体は、前記溶出部と前記反応部とを有する複数のセルを備え、前記複数のセルが互いに隔離された状態で配置され、
前記検知体の前記溶出部を前記被検知体に接触させ、前記反応部での前記物質による鉛の検出の有無によって前記被検知体の鉛の有無を判別することを特徴とする付記17記載の検知方法。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】検知体の概略断面図である。
【図2】検知体貼付時の概略図である。
【図3】鉛溶出時の概略図である。
【図4】反応部変色時の概略図である。
【図5】検知体の第1の構成例の断面模式図である。
【図6】検知体の第2の構成例の断面模式図である。
【図7】検知体の第3の構成例の断面模式図である。
【図8】検知体の第4の構成例の断面模式図である。
【図9】検知体の第5の構成例の断面模式図である。
【図10】検知体の第6の構成例を示す図であって、(A)は平面模式図、(B)は(A)のC−C断面模式図である。
【図11】検知体の第7の構成例を示す図であって、(A)は平面模式図、(B)は(A)のD−D断面模式図である。
【図12】検知体の変形例の断面模式図である。
【図13】検知体の第8の構成例を示す図であって、(A)は平面模式図、(B)は側面模式図である。
【図14】検知体の第9の構成例の断面模式図である。
【図15】検知体の第10の構成例の断面模式図である。
【図16】検知体の第11の構成例の断面模式図である。
【図17】検知体の第12の構成例の断面模式図である。
【図18】検知体の第13の構成例の断面模式図である。
【図19】鉛チェッカーの適用例を示す図であって、(A)は塗布前の状態を示す図、(B)は塗布後の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0143】
1,10,20,30,40,50,60,70,80,90,100,110,120,130 検知体
2,11,31,51,61,71,91,111,121,131 溶出部
3,12,32,52,62,72,92,112,122,132 反応部
4 評価対象
21,41,101 溶出・反応部
31a,41a,41b,91a,101a,101b マイクロカプセル
53,65,75,134 接着剤層
54 透光フィルム
63,73 耐熱・透光フィルム
64,74,81 加熱部
74a,81c,81d 突出部
74b,81e,81f 窪み
76 電熱線
81a,81b 金属
111a,123 研磨部
133 セル
140 基板
141,142 部品
141a,142a 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛の検知に用いる検知体において、
接触する被検知体から鉛を溶出するための溶出部と、
前記溶出部で溶出された鉛を検出する物質を含んだ反応部と、
を有することを特徴とする検知体。
【請求項2】
前記溶出部は、前記被検知体からの鉛の溶出に用いられる液を内包するマイクロカプセルを有していることを特徴とする請求項1記載の検知体。
【請求項3】
前記溶出部を加熱する加熱部を有していることを特徴とする請求項1記載の検知体。
【請求項4】
接触する前記被検知体を研磨するための研磨部を有していることを特徴とする請求項1記載の検知体。
【請求項5】
前記溶出部と前記反応部とを有するセルを複数備え、複数の前記セルが互いに隔離された状態で配置されていることを特徴とする請求項1記載の検知体。
【請求項6】
鉛の検知方法において、
接触する被検知体から鉛を溶出するための溶出部と、
前記溶出部で溶出された鉛を検出する物質を含んだ反応部と、
を有する検知体を用い、
前記検知体を前記被検知体に接触させ、前記反応部での前記物質による鉛の検出の有無によって前記被検知体の鉛の有無を判別することを特徴とする検知方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2008−107264(P2008−107264A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−292036(P2006−292036)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】