説明

業務管理システム、業務管理方法及び管理計算機

【課題】人が行った業務内容を的確に把握しながらも物品管理を含めた業務管理を可能にする。
【解決手段】人に装着されて装着者の動作情報を検出する第1のセンサノードと、人が行った処理または物品の状態を状態情報として検出する状態検知部と、第1のセンサノードの位置情報を検出する第3のセンサノードと、動作情報と状態情報及び位置情報を収集する管理計算機は、第1のセンサノードが検出した動作情報と、第3のセンサノードが検出した位置情報に基づいて装着者の動作結果を解析し、状態検知部が検出した状態情報に基づいて物品の状態を解析し、第1解析処理部が解析した装着者の動作結果と、第2解析処理部が解析した物品の状態に基づいて、装着者が物品に対して行った行動内容を特定し、予め設定した業務計画と、前記特定した行動内容と、物品の状態とを比較して、装着者の業務内容の評価結果を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス、店舗などにおける従業員の業務管理システムおよびセキュリティ管理システムに係り、特にセンサネットワークを利用した従業員の業務管理システムおよびセキュリティ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人の状態(動作)を把握する方法として、加速度センサ等を人に取り付けて動作を検出する方法が提案されている(例えば下記特許文献1参照)。
【0003】
また、従来、物品のセキュリティ管理を行う方法として、物品にICタグを取り付けて異常を検知する方法が提案されている(例えば下記特許文献2参照)。
【0004】
さらに、従来、物品にICタグを取り付けることと個人認証を組み合わせることにより、業務効率向上と物品のセキュリティ管理の両立を図る方法が提案されている(例えば下記特許文献3、及び4参照)。
【特許文献1】特許第3570163号公報
【特許文献2】特開2005−146646号公報
【特許文献3】特開平11−085843号公報
【特許文献4】特開平09−030613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オフィス、店舗、流通現場、工場などの生産現場など、さまざまな場面で業務効率の向上が求められている。さらに物品の盗難の防止、人の不正な侵入の防止、情報への不正なアクセスの防止など、セキュリティの強化が求められている。
【0006】
そのためには、業務員(従業員など)の業務場所や行動内容を把握する必要があり、さらには業務員の取り扱う商品・部品などの物品の位置や状況も同時に把握することが、より的確な行動内容の把握に必要である。また、行動内容や位置または状況の把握結果により、業務の無駄、誤り、不正、さらにはそれらを発生させる原因を特定する業務評価を行って、業務員の業務内容や業務計画等にフィードバックをかけることも必要である。
【0007】
以上のように、オフィス、店舗、流通、製造など物品を取り扱う様々な分野において、業務管理、特にセキュリティ管理から、人(業務員)と物品(商品・部品等)の両方の場所や状態、さらには周囲環境の状態を互いに関連付けて把握することが重要になってくる。
【0008】
人の状態(動作)を把握するためには、ビデオカメラによって撮影し分析する方法があるが、移動する人や複数の人の認識の困難さ、処理の複雑さなどの問題があり、それらを解決するために、上記特許文献1に開示されるように、加速度センサ等を人に取り付けて動作を検出する方法が提案されている。また、物品のセキュリティ管理のためには、上記特許文献2に開示されるように、物品にICタグを取り付けて異常を検知する方法が提案されている。さらに、上記特許文献3及び4に開示されるように、物品にICタグを取り付けることと個人認証を組み合わせることにより、業務効率向上と物品のセキュリティ管理の両立を図る方法も提案されている。
【0009】
前述のように、業務の適切な管理とセキュリティ管理を両立させるためには、人(業務員等)と物品(商品・部品等)の両方の場所や状態、さらには周囲環境の状態を互いに関連付けて把握することが重要であるが、従来の方法には以下に示すような問題があった。
【0010】
上記特許文献1は、人の動作や行動の認識を、観測したい人に取り付けたセンサによる計測データと測位データにより実行する例を開示する。業務している人の動作と業務している場所を対応付けることで、その場所に設置してある機械を操作している、といった業務内容の推定が可能になるが、業務対象物の計測を行わないので、推定の精度が必ずしも高くない、という問題があった。さらにセキュリティ管理を行っていないという問題があった。
【0011】
上記特許文献2は、貴重品保管装置と内部の貴重品にICタグを取り付け、貴重品保管装置の測位による位置の変化または加速度の変化の検知によって異常(盗難)を認識し、内部の貴重品のIDを無効化し、不正使用を防止する例を開示する。しかし、人の業務に関する管理は行っておらず、業務効率化は行えないという問題があった。
【0012】
上記特許文献3は、書留郵便とその保管庫にIDをつけて関連付けて管理し、保管や配送管理の効率化をはかるとともに、人の保管庫へのアクセスをID入力で認証することでセキュリティの確保を図る例を開示する。業務の効率化とセキュリティ管理の両方を行うが、アクセスする人の認証はあるが、業務内容の把握はできないという問題があった。
【0013】
上記特許文献4は、物品とそれを乗せて搬送するトレーにICタグをつけて、物品の自動搬送の管理を行うことで棚卸等を効率化し、さらに隠蔽データコード付き個人識別カードにより、保管管理装置の解錠等を行うことでセキュリティの確保を図る例を開示する。業務の効率化とセキュリティ管理の両方を行うが、アクセスする人の認証はあるが、業務内容の把握はできないという問題があった。
【0014】
このように上記従来技術では、業務内容の推定は行ってもセキュリティ管理を行っていなかったり、セキュリティ管理のみであったり、業務効率化とセキュリティ管理を行っていてもそのセキュリティ管理は人のアクセスの認証のみで、業務内容との関連付けが行われていないという問題があった。
【0015】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、人と物の両方の状態をセンシングし、人が行った業務内容を的確に把握しながらも物品管理を含めた業務管理を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、人に装着された第1のセンサノードが検出した当該装着者の動作情報に基づいて、前記装着者の行動内容を管理する業務管理方法であって、前記人が行った処理または物品の状態を状態検知部が状態情報として検出し、第1のセンサノードの位置情報を第3のセンサノードが検出し、前記第1のセンサノードが検出した動作情報と、前記状態検知部が検出した状態情報と、前記第3のセンサノードが検出した位置情報とを前記管理計算機がそれぞれ取得し、前記第1のセンサノードが検出した動作情報と、前記第3のセンサノードが検出した前記第1のセンサノードの位置情報に基づいて前記管理計算機が前記装着者の動作結果を解析し、前記管理計算機が、前記状態検知部によって検出された状態情報に基づいて前記物品の状態を解析し、前記解析した前記装着者の動作結果と、前記解析した前記物品の状態に基づいて装着者が物品に対して行った行動内容を前記管理計算機が特定し、前記管理計算機が、予め設定した業務計画と、前記特定した行動内容と、前記物品の状態とを比較して、前記装着者の業務内容の評価結果を生成する。
【発明の効果】
【0017】
したがって、本発明によれば、人と物品の両方の状態をセンシングし、さらにセンシングした両者の状態(例えば、人の動き及び場所と物の動き及び場所など)を関連付けることによって、人が行った業務内容を的確に把握し、商品など物品の状態を的確に把握し、業務内容が適切かどうかを評価し、物品管理を含めた業務管理を可能にする。業務内容については、業務の無駄、誤り、不正等の評価を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
<第1の実施形態>
以下、本発明を実施するための一実施形態を、図を用いて説明する。本実施形態は、銀行業務にセンサネットワークシステムを適用した業務管理システムの一例を示し、営業店における業務管理への適用について説明する。
【0019】
図1は、本実施形態のシステム構成と作業及び業務認識処理を示した図である。また図2にセンサノードSNのブロック図を示す。
【0020】
センサネットワークは人または物品などに取り付けてその状態を計測するための1個以上のセンサを持つセンサノードSNと、1個以上の基地局(中継局も含む)BST、センサネットワークを管理するシステム管理サーバ(管理計算機)SMSと、行員が操作する端末UT及び管理者端末ADTで構成する。以下の説明においては、特に断りのない限り、センサネットワークは、センサノードSNと基地局BSTの間の通信が無線であるワイヤレス・センサネットワークである。しかし、有線部分があることを排除するものではない。
【0021】
本実施形態では、センサノードSNとして、行員に装着して行員の動きを検出するセンサノード(図1においてはM1、K1)と、行員が使用する端末UTや棚などの物に装着して物の動きや行員との対面を検出するセンサノードを含む例を示す。物の動きや行員との対面(または近接)を検出するセンサノードとしては、図1に示すセンサノードG1と、行員に装着したセンサノードM1の位置を検出する測位用センサノード(ロケータノード)L0、L1と、金庫の扉の開閉を検知できるセンサノードK1とを含む。
【0022】
金庫のセンサノードK1は、金庫の近く(赤外線にて通信を行った行員など)にいる人(測位)を検知可能に構成されており、システム管理サーバSMSは、その人の動作(加速度)でだれが金庫を開閉したかの検知することができる。すなわち、センサノードK1は、物品に取り付けられて当該物品の状態情報を検出し、システム管理サーバSMSに送信する。また、センサノードK1は、取り付けられて物品の位置で、人(行員)に装着されたセンサノードM1と対面すると、このセンサノードM1からIDを取得して、システム管理サーバSMSに送信する。システム管理サーバSMSは、センサノードK1から受信した行員のIDから当該物品に接近した行員を特定し、センサノードK1の状態情報と行員のIDを関連付けて、行員が物品に対して行った操作を特定して当該行員の行動内容を示す情報として履歴データベースLDBに格納する。
【0023】
次に、センサノードSNの構成と動作について図2を参照しながら説明する。
【0024】
センサノードSNは、図2のブロック図に示すように、その中枢機能を実現する制御部LSIと、基地局BSTとのデータの送受信を行うアンテナANTと、外部環境を測定するセンサSSRと、通知装置NTCと、赤外線発光器INFR及び、制御部LSIとセンサSSRに電力を供給する電源POWから構成される。
【0025】
電源POWは1次電池、充電可能な2次電池、及び発電素子(太陽光発電素子、振動発電素子、マイクロ波発電素子等)と発電エネルギーを蓄えるコンデンサあるいは2次電池、あるいはこれらの電池の組み合わせである。
【0026】
制御部LSIは、アンテナANTに接続され、基地局BSTとのデータの送受信を制御する無線送受信回路RFと、制御部LSIの全体制御を行うCPU(Central Processing Unit)を含むコントローラ回路CNTと、センサノードSNに固有の識別情報を記録する不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ)を含む識別情報記録回路IDMと、センサSSRから入力したデータをA/D(Analog / Digital)変換するA/D変換回路ADCと、プログラムを記録するROM(Read Only Memory)であるプログラムメモリPMと、一定間隔の信号(クロック信号)を発生させるタイマ回路RTC、及び、電源POWから供給される電力を一定の電圧に調整すると共に、電力不要のときに電源を遮断し、消費電力を抑制する制御を行う電源制御回路PCNTから構成される。制御部LSIは1チップに限定されてもよいし、あるいは、複数チップを搭載したボード又はMCP(Multi Chip Package)であってもよい。
【0027】
センサノードSNは限りある電力で長時間センサSSRによる測定を可能にするために、センサSSR及びコントローラ回路CNTを間欠的に動作させて消費電力を削減させることが望ましい。そのために、例えばスリープ状態では、コントローラ回路CNTはセンサSSRの動作を停止し、所定のタイミングで、すなわちタイマ回路RTCの発生するクロック信号による割り込みによりセンサSSRを間欠的に動作状態へ切り替えて測定データを送信するように構成する。
【0028】
また、センサノードSNは装着している人とのコミュニケーションのための機構である通知装置NTCを持つ。通知装置NTCは、ブザー、発光ダイオード(LED)、液晶パネル、赤外線発光器、返答ボタン等で構成することができる。これらの機構は1つのセンサノードSNが複数の通知装置NTCをもってもよい。
【0029】
次に、銀行における業務管理に必要なセンサSSRの要件の例について説明する。
【0030】
行員に取り付けるセンサノードM1、M2には、センサSSRとして加速度センサ、音声センサ、赤外線センサを設け、通知装置NTCとして赤外線発光器、ブザー、発光ダイオード、液晶パネル、返答ボタンを搭載する。
【0031】
なお、センサSSRの加速度センサとしては3軸加速度センサ等を含み、行員の前後動を検出する第1の加速度センサと、行員の上下動を検出する第2の加速度センサと、行員の左右の動きを検出する第3の加速度センサを備える。
【0032】
端末UTやキャビネットなどに取り付けられているセンサノードG1にはセンサSSRとして上述した加速度センサ、音声センサ、赤外線センサを設け、通知装置NTCとして赤外線発光器、発光ダイオードを搭載する。
【0033】
さらに、測位用センサノードL0、L1を机、棚、柱など各所に設置し、各センサノードの電波強度を測定する。測位用センサノードL0、L1は、検出したセンサノード(M1、M2、G1)の電波強度の状態により、行員に取り付けられたセンサノードM1や物に取り付けられたセンサノードG1の位置を知ることができる。あるいは端末やキャビネットなどに取り付けられているセンサノードG1が移動した場合に、その位置を知ることができる。また、センサノードG1が対面した行員のセンサノードM1を赤外線通信によって認識し、センサノードG1がシステム管理サーバSMSへセンサノードM1のIDを通知することで、センサノードM1を装着した行員の位置を特定することができる。
【0034】
各センサノードSNは、検出したセンシングデータと、当該センサノードの識別子を基地局BSTへ転送する。基地局BSTはセンサノードから受信したセンシングデータと識別子をシステム管理サーバSMSへ転送する。測位用センサノードL0、L1の場合には、検出したセンサノードの電界強度が閾値を超えた場合にその識別子を取得して基地局BSTへ転送し、このセンサノードの位置が測位用センサノードL0、L1の近傍にあることを通知する。
【0035】
なお、センサネットワークは、センサノードSN間の通信も可能なマルチホップネットワークであるとする。基地局BSTとシステム管理サーバSMS及び管理端末ADTと端末UTはLAN、インターネットなどのネットワークNWKで相互に接続されている。
【0036】
システム管理サーバSMSは、CPUとメモリ及びストレージ装置を備えた計算機であり、センサネットワークシステムの管理を行うセンサネット管理システムと、銀行業務の管理を行う銀行業務管理システムを実行する。
【0037】
センサネット管理システムは、センサノードSN及び基地局BSTの構成を管理し、また、センシングデータの管理を行う。本実施形態では、センサネット管理システムがセンサノードSNから取得したセンシングデータを銀行業務管理システムに受け渡し、また、センサネット管理システムは、銀行業務管理システムからセンサノードSNに当てた指令などを基地局BSTから各センサノードSNへ転送する。
【0038】
本実施形態においては、図1に示すように、システム管理サーバSMSに、センサネット管理システムと銀行業務管理システムを統合した例を示すが、センサネット管理システムと銀行業務管理システムを独立した計算機で実行し、これらのシステムとセンサネットワーク及びネットワークNWKを介して統合してもよい。
【0039】
また、銀行業務管理システムは、業務計画を格納するための業務計画データベース(図中では業務計画DBと記述)PDBおよびセンシングデータや解析結果さらには端末のジャーナル等の各種履歴を格納するための履歴データベース(図中では履歴DBと記述)LDBも備える。なお、以下では、上記センサネット管理システムと銀行業務管理システムを統合したひとつの統合システムとして説明する。本統合システムは以下のように構成される。
(1)管理対象となる各行員にはセンサノード(図1ではM1)を取り付ける。
(2)管理対象の物品は、端末、キャビネット、金庫などであり、それら物品にもセンサノードを取り付ける。図1においては窓口の端末UTにセンサノードG1が取り付けられているが、その他物品にも取り付けられているとする。
(3)測位用のセンサノード(ロケータノード)L0、L1を机、棚、柱など位置が固定された場所に設置する。これは上記(1)、(2)のセンサノードM1、G1の測位のために設置し、測位対象のセンサノードが発する電波を検知し、検知した場合にその移動ノードが当該測位用のセンサノードの近傍にあると判定する。複数の測位用のセンサノードが同一の移動するセンサノードを検知した場合には、それぞれの測位用センサノードLSNの感度を自動的に弱め、最終的に1個の測位用センサノードが移動するセンサノードを検知できるようにし、測位を行う。図1ではL0、L1で示すロケータノードを設置している。
【0040】
これら行員、物品、にとりつけられた各センサノードSNおよびロケータノードのIDは予めシステム管理サーバSMSに登録され、システム管理サーバSMSで管理される。
(4)各センサノードSNは基地局BSTと通信する。基地局BSTは、各センサノードSNの測定データ(センシングデータ)を漏れなく、リアルタイムで観測できるよう、十分な個数を設置する。
(5)システム管理サーバSMSは、センサネットの管理機能、銀行業務管理システムの機能を有し、銀行業務管理システムは後述する行員の業務内容の管理機能など、本発明で必要な各種機能を備える。なお、システム管理サーバSMSは1個のサーバで各機能を提供する必要はなく、複数個のサーバで分散処理してもよい。また、これらの機能を提供するハードウェアとしては、専用サーバ、パーソナル・コンピュータ等、機種は限定されない。
【0041】
次に、銀行業務の管理例について図1に基づいて説明する。
(A)まず、窓口1に顧客が預金払い戻しのために訪れ、行員が伝票を受け付けるとする。行員のつけたセンサノードM1は、伝票を受け取る行員の腕の動きなどに伴う加速度データを検出し、顧客との会話を音声データとして検出し、これら加速度データと音声データをシステム管理サーバSMSに送信する(ステップS1)。また、窓口1に設置したロケータノードL1は、行員のセンサノードM1を検知したことを示すデータを位置情報としてシステム管理サーバSMSに送信する(ステップS1)。なお、位置情報はロケータノードL1の識別子に、検出したセンサノードM1の識別子を付加することで、システム管理サーバSMSは、ロケータノードL1の位置(または近傍)にセンサノードM1を付けた行員が存在することを判定できる。また、システム管理サーバSMSは、行員が操作する端末UTの取引内容及び操作ログを取得し、履歴データベースLDBに格納する。すなわち、システム管理サーバSMSは、行員が端末UTで行った処理を検知する状態検知部としても機能する。そして、システム管理サーバSMSは、検知した行員の処理(ログ)を、状態情報として履歴データベースLDBに格納する。なお、状態検知部はシステム管理サーバSMSで実現しても良いが、管理端末ADTなどの他の計算機で実現することができる。
【0042】
なお、センサノードM1の加速度センサによる動作解析については種々の方法が提案されており、本実施形態においては、動作解析の方法を特に限定するものではない。簡単な例としては、加速度センサを胸や腰に取り付けた場合の歩行動作では、上下方向の加速度が周期的に変化する(一歩ごとの着地)、前後方向の加速度が上下方向の加速度と同期して規則的に前方向と後ろ方向を繰り返す(着地するごとの速度変化)、左右方向の加速度が上下方向の加速度に同期して規則的に繰り返す(一歩ごとの体の左右へのゆれ)、といった加速度データの波形が観測できる。
【0043】
センサノードM1とロケータノードL1からセンシングデータを受信し、端末UTから操作内容を取得したシステム管理サーバSMSは、センサノードM1からのセンシングデータと端末UTの操作内容に基づいて行員の動作解析を行う(ステップS2)。システム管理サーバSMSは、所定のタイミング(リアルタイムあるいはオフライン)で加速度データと音声データ及び端末UTの操作内容の解析を実行する。システム管理サーバSMSは、加速度データを解析することで行員が腕を動かしたことを判定でき、さらに、音声データから対話をしていることを判定でき、ロケータノードL1のセンシングデータからセンサノードM1を付けた行員の位置は窓口1であることが判定できる。
【0044】
次に、システム管理サーバSMSは、上記動作解析処理の結果に基づいて、行員が行った作業及び業務の把握を行う。上記の例では、センサノードM1が窓口1に設置されたロケータノードL1で検出され、加速度データと音声データから行員が腕を動かして対話をしたことから、行員が窓口1で来客から伝票を等の書類を受け取ったと業務の内容を判定することができる(S3)。システム管理サーバSMSは、上記センシングデータと業務の把握結果を履歴データベースLDBへ格納する。
【0045】
(B)次に行員が受け取った伝票をもとに窓口1の端末UTで端末処理を行うとする。システム管理サーバSMSは、上記(A)と同様にセンシングデータをもとに行員の動作解析を行い、センサノードM1のセンシングデータから行員が腕を動かし、行員の位置は窓口1であると判定する。さらに、システム管理サーバSMSは取得した端末UTのログから、窓口1の端末UTの状態が操作中であることを判定できる。したがって、システム管理サーバSMSは、作業及び業務の把握では行員が窓口1で端末を操作中であると判定する。そして、システム管理サーバSMSは、これらのセンシングデータ及び業務の把握結果を履歴データベースLDBへ格納する。
【0046】
(C)次に行員が伝票の内容に不明点があり、役席に確認に行くものとする。上記(A)、(B)と同様に、システム管理サーバSMSはロケータノードL0とセンサノードM1から取得したセンシングデータを基に行員の動作解析を行い、行員が歩行中であり、位置は通路であることを判定する。
【0047】
システム管理サーバSMSは、作業及び業務の把握において、予め設定したロケータノードL0の位置情報から、通路が役席に向かう通路であることを取得し、行員の業務内容が役席に向かう通路を歩行中であると判定する。システム管理サーバSMSは、これらのセンシングデータ及び業務の把握結果を履歴データベースLDBへ格納する。
【0048】
以上のように、システム管理サーバSMSは各センサノードSNから取得したセンシングデータに基づいて行員の動作の解析と、端末UTの操作状況から業務の把握処理を行って、作業及び業務把握結果を履歴データベースLDBに格納していく。履歴データベースLDBに業務の把握結果が蓄積されると、システム管理サーバSMSでは業務の処理内容ごとの所要時間や、行員の動線または処理の滞留等の評価が可能になる。
【0049】
上記ステップS2の動作解析処理について、システム管理サーバSMSでは図3aに示すような処理を実行する。図3aにおいて、システム管理サーバSMSは、履歴データベースLDBからある時間範囲で行員のセンサノードM1(IDは113とする)から取得した加速度波形を切り出す。ここでは加速度波形に大きな変化があった9時24分0秒から2秒間とする。この波形をあらかじめ登録してある各種動作の波形データと比較し、何の動作であるかを判定する。その結果、システム管理サーバSMSは、行員が立ち上がる動作を行ったと判定する(S21)。またシステム管理サーバSMSは、担当者が立ち上がる動作を行った場所を装着者の席であると上記ロケータノードL1が取得した履歴データベースLDBのセンシングデータに基づく位置データから判定する(ステップS22)。さらにシステム管理サーバSMSは、履歴データベースLDBのログから端末UTの操作は行われていないと判定する(ステップS23)。
【0050】
さらに、システム管理サーバSMSは、次の時間範囲である9時24分2秒から9時24分58秒の間のセンサノードM1の加速度データを履歴データベースLDBから取得して、上記ステップS21〜S23の処理を繰り返す。システム管理サーバSMSは、取得した加速度波形から行員の動作が歩行動作であると判定する(ステップS21)。行員の位置はセンサノードM1と通信を行ったロケータノードL0、L1のセンシングデータ(図4参照)から、センサノードM1の装着者(行員)の席からセンサノードM2のIDが117の担当者の席に行き、また戻ってきたことを判定する(ステップS22)。また、上記と同様に端末UT操作は行われていないと判定する(ステップS23)。
【0051】
ここで、上記時間範囲の9時24分2秒から9時24分58秒の間は必ずしも1つの区間として判定する必要はなく、2秒間隔など間隔を決めてその間隔ごとに判定してもよい。次の時間範囲9時24分58秒から9時25分0秒では、加速度波形から行員の動作は、着席動作であると判定する(ステップS21)。さらに、上記同様にして行員の位置は装着者(行員)の席である(ステップS22)。また、上記と同様に端末UTの操作は行われていないと判定する(ステップS23)。
【0052】
以上でIDが113のセンサノードM1を装着した行員の離席動作が判定できる。すなわち、システム管理サーバSMSは、9時24分0秒に離席を開始し9時25分0秒に離席を終了したことが判定できる。システム管理サーバSMSは、この判定結果を、履歴データベースLDB内のセンサによる取得データSDに格納する(図4参照)。
【0053】
次に、上記ステップS3(装着者の業務内容の特定)では、システム管理サーバSMSが上記ステップS2で判定したID=113のセンサノードM1の装着者である行員の離席の開始・終了時刻と、営業店端末ジャーナルデータJDの担当者番号から行員のIDである「113」を担当者番号から抽出してつき合わせる。システム管理サーバSMSは、この突き合わせの結果、図4の営業店端末ジャーナルデータJDに示すように、ID(担当者番号)=113の担当者は9時22分に別段預金振替出金を行っており、9時29分に別段預金入金処理が行われていることから、ステップS2の動作は別段預金入金処理のための動作と判定できる。またID=117の担当者は承認者でないことがわかっているとすると、ID=113の行員は、ID=117の担当者の席へ相談に行ったと判定する。さらに当該処理が1回、当該処理に関して離席が1回、離席時間が1分、相談相手がID=117となるので、システム管理サーバSMSは、これらの情報を履歴データベースLDB内の集計データCDに格納する。
【0054】
次に、図1に示したステップS4(装着者の業務内容の評価)では、システム管理サーバSMSが、ID=113の担当者が別段預金入金処理に必要でない場所に行っていないこと、前の別段預金振替出金から別段預金入金処理の終了(9時29分)までの時間が予め定めた標準時間と比較して大きく異なっていなければ、業務は正しく行われていると判定する。そしてシステム管理サーバSMSは、この判定結果を図7に示すように、履歴データベースLDB内の処理担当者テーブルPMTBの「業務の正否」欄に処理の評価結果と処理に要した時間の評価結果とを格納する。
【0055】
システム管理サーバSMSが実行する上記ステップS4の業務内容の評価処理の手順の一例を図3bに示す。
【0056】
システム管理サーバSMSは、行員毎に処理項目毎の処理時間を、履歴データベースLDBの処理項目テーブルPRCTB(図7参照)の処理項目のポインタで指し示される処理担当者テーブルPMTB(図7参照)の「1回当たり処理時間」から取得する。さらに、システム管理サーバSMSは、上記処理項目の標準処理時間を業務計画データベースPDBの、業務項目テーブルPDBTB3(図9参照)から取得する。そして、システム管理サーバSMSは、図3bのステップS41で、現在着目している行員が行った処理項目の処理時間(1回当たり処理時間)が標準処理時間以内であるか否かを判定する。システム管理サーバSMSは、処理時間が標準処理時間以内であれば、ステップS42へ進んで処理時間は正しいと判定して、履歴データベースLDB内の処理担当者テーブルPMTBの「業務の正否」欄に、当該処理に要した時間の評価結果として「○」を格納する。一方、システム管理サーバSMSは、処理時間が標準処理時間を超えていれば、ステップS43へ進んで処理時間は正しくないと判定して、履歴データベースLDB内の処理担当者テーブルPMTBの「業務の正否」欄に処理の評価結果として「×」を格納する。
【0057】
次に、ステップS44で、システム管理サーバSMSは、行員(図中担当者)の位置が立ち寄り要の場所のみか否かを判定する。システム管理サーバSMSは、履歴データベースLDBの取得データSDから行員のIDに対応する離席場所(または担当者)を取得して、現在着目している処理項目に対応する立ち寄り場所の「可」、「不可」を業務計画データベースPDBの業務項目テーブルPDBTB3から取得して、担当者の位置が立ち寄り要の場所のみか否かを判定する。
【0058】
行員の立ち寄り場所が要(可)のみの場合には、正しいと判定して、ステップS47に進んで履歴データベースLDB内の処理担当者テーブルPMTBの「業務の正否」欄に、処理内容の評価結果として「○」を格納する。一方、システム管理サーバSMSは、行員の立ち寄り場所が要(可)のみでない場合には、ステップS45へ進む。
【0059】
ステップS45では、システム管理サーバSMSは、上記取得した担当者の位置に立ち寄り不可の場所があるか否かを判定する。立ち寄り不可の場所があれば、ステップS48に進んで、処理内容は正しくないと判定して、履歴データベースLDB内の処理担当者テーブルPMTBの「業務の正否」欄に処理内容の評価結果として「×」を格納する。一方、上記取得した担当者の位置に立ち寄り不可の場所がなければ、ステップS46に進む。
【0060】
ステップS46では、システム管理サーバSMSが上記取得した担当者の位置に立ち寄り要・不可以外の場所の立ち寄り時間は許容範囲か否かを判定する。システム管理サーバSMSは、現在着目している行員のIDから履歴データベースLDBの立ち寄り場所毎の立ち寄り時間を取得データSDから求める。立ち寄り時間の許容範囲は、業務計画データベースPDBの業務項目テーブルPDBTB3の処理項目ごとの許容立ち寄り時間から取得する。システム管理サーバSMSは、上記取得した担当者の位置に立ち寄り要・不可以外の場所の立ち寄り時間が許容範囲以内であれば、ステップS47へ進んで、処理内容は正しいと判定して、ステップS47に進んで履歴データベースLDB内の処理担当者テーブルPMTBの「業務の正否」欄に、処理内容の評価結果として「○」を格納する。一方、システム管理サーバSMSは、上記取得した担当者の位置に立ち寄り要・不可以外の場所の立ち寄り時間が許容範囲を超えていれば、ステップS48へ進んで、処理内容は正しくないと判定して、履歴データベースLDB内の処理担当者テーブルPMTBの「業務の正否」欄に、処理内容の評価結果として「×」を格納する。
【0061】
以上の処理によって、行員の処理項目の処理時間と処理内容を解析し、履歴データベースLDB内の処理担当者テーブルPMTBの「業務の正否」欄に評価結果を格納する。
【0062】
例えば、図示の例では、ID=113の行員の離席場所が117(担当者)で、場所が業務計画データベースPDBからロビーであると想定され(担当者117の場所が測位で確定されていればその場所を判定に利用)、離席時間は1分で許容立ち寄り時間2分以下であることから立ち寄り場所とその時間に関しては「正しい」と判定する。また、処理時間が許容範囲かどうかの判定で、前の処理から7分で処理が終了しているので、前述のように標準処理時間が6分、許容限度が10%なので、許容できる処理時間は7.6分(7分36秒)であることから実際の処理時間7分は許容範囲となり「正しい」と判定する。
【0063】
図4〜図9は、行員の業務の評価を行うための履歴データベースLDBの構成の一例を示す説明図である。
【0064】
図4において、履歴データベースLDBは、センサノードSNから取得したセンシングデータを格納する取得データSDと、行員が操作する端末UTの取引データを含むログを蓄積する営業店端末ジャーナルデータJDと、システム管理サーバSMSが把握した行員の業務に基づく集計データCDから構成される。
【0065】
そして、集計データCDは、複数のテーブルを含んでおり、担当者テーブルMTBと、処理項目テーブルPRCTBと、離席テーブルLCTBと、担当者毎相談者テーブルMADTBと、担当者毎承認者テーブルMRETBとを含む。
【0066】
担当者テーブルMTBは、図5で示すように、各担当者(職員または行員)ごとの情報を登録する。離席情報(回数のみ本テーブルに登録され、その他は離席テーブルへのポインタの指す先に格納される)、処理項目情報(処理の内容に分けることなく全体の合計回数のみ本テーブルに登録され、その他は処理項目テーブルPRCTBへのポインタの指す先に格納される)、相談者情報(相談者の人数のみ本テーブルに登録され、その他は担当者毎相談者テーブルMADTBへのポインタの指す先に格納される)、承認者情報(承認者の人数のみ本テーブルに登録され、その他は担当者毎承認者テーブルMRETBへのポインタの指す先に格納される)が登録される。
【0067】
離席テーブルLCTBは、図5で示すように、各担当者の離席時間の合計および離席先の情報を登録した担当者離席先テーブルLCPTBへのポインタが格納される。
【0068】
担当者離席先テーブルLCPTBは、図5で示すように、担当者の離席先が各離席ごとに登録される。離席場所または離席先の対象者(相手)、離席時間、離席の理由(処理名称)が登録される。
【0069】
担当者処理項目テーブルMPTBは、図6で示すように、担当者の各処理項目が項目ごとに登録される。各エントリは、処理名称、処理回数、当該処理の合計処理時間とを含む。
【0070】
担当者毎相談者テーブルMADTBは、図6で示すように、担当者が相談した相手を1回の相談ごとに登録する。各エントリは、相談者(相手)、相談時間とを含む。
【0071】
担当者毎承認者テーブルMRETBは、図6で示すように、担当者が承認を依頼した相手を1回の承認ごとに登録する。各エントリは、承認者(相手)、承認項目とを含む。
【0072】
処理項目テーブルPRCTBは、図7で示すように、担当者ごとではなく、各処理に関する情報を登録する。各エントリは、合計処理回数、合計処理時間、その処理の担当者情報を示す担当者テーブルへのポインタとを含む。
・処理担当者テーブルPMTBは、図7で示すように、各処理の担当者、当該担当者の処理回数、離席回数、1回当たり離席時間、処理の評価結果を登録する。
【0073】
上記ステップS3の処理において、上記各テーブルのエントリが更新される。
【0074】
図5の担当者離席先テーブルLCPTBで、キャビネットと公共料金または税金入金が対応付けられていることについては、ID=117の担当者が9時40分00秒から9時40分45秒の間に離席し、営業点端末ジャーナルデータJDにおいて公共料金または税金入金が9時43分になっており、117の直前の処理は9時36分の預金払い戻しであるために、この離席と関連付けを行う。
【0075】
以上の構成により、システム管理サーバSMSは履歴データベースLDBに対して次のように処理を行う。
【0076】
システム管理サーバSMSは、行員(担当者)のセンサノードM1、M2により行員の離席動作の開始及び終了時刻と、離席して会った(たとえば相談など)対象者や行った場所(たとえばキャビネット)などのセンシングデータを、取得データSDとして履歴データベースLDBに格納する。
【0077】
また、システム管理サーバSMSは、端末UTのログを営業店端末ジャーナルデータJDとして格納する。営業店端末ジャーナルデータJDには、図4で示すように、処理の名称、店番、口座番号、科目、時刻、端末番号、処理番号、担当者番号(センサノードM1のID)、承認者番号、金額等が記録される。
【0078】
システム管理サーバSMSは、センサノードM1、M2による取得データSDと営業店端末ジャーナルデータJDの内容を、担当者(行員)のIDや時刻をキーとして付き合わせる。
【0079】
たとえば、図4において、システム管理サーバSMSでは、ID=119の担当者が9時53分に離席してID=117の担当者と会い、さらに9時55分に離席してID=300の対象者3に会っていることがセンサノードM1、M2及びロケータノードL0、L1による取得データSDからわかり、直後の9時57分に未処理口勘定入金操作が行われたこと、承認者のIDが300であることが営業店端末ジャーナルデータJDからわかる。
【0080】
このことから、前記行員の離席動作は未処理口勘定入金操作に関する離席であると考えられる。このような突合せ結果から、行員毎の離席回数、処理毎の離席回数、離席先毎の離席回数、離席による承認回数、行員毎の相談を受ける回数、行員毎の承認を受ける回数など集計データCDが得られる。この集計データCDをもとに、行員の業務に無駄はないか、たとえば相談が多すぎるなどの勤務状態の把握が可能になる。
【0081】
図8、図9に業務計画DB(PDB)の一例を示す。
【0082】
業務計画DB(PDB)は、各担当者ごとにその日の業務内容を予め格納した格納したデータベースである。具体的には担当者テーブルPDBTB1と業務テーブルPDBTB2と業務項目テーブルPDBTB3(図9)からなる。担当者テーブルPDBTB1は、各担当者のIDと業務テーブルPDBTB2へのポインタが格納されている。業務テーブルPDBTB2は、業務(窓口業務、後方業務、など)と主な業務場所(窓口の場合、どこの窓口を担当するか)、業務の開始および終了時刻を格納する。図4では、例えば担当者113は9時00分から12時00分まで窓口業務を窓口1で行い、13時00分から17時00分までは後方業務を後方テーブル1にて行うことを示している。
【0083】
図9に示す業務項目テーブルPDBTB3は、業務の項目ごとに以下の項目を備える。
(1)「標準処理時間」、「許容限度」:許容限度は標準処理時間をオーバできる割合で、図9の別段預金入金の場合、標準処理時間が6分、許容限度が10%なので、許容できる処理時間は7.6分(7分36秒)となる。
(2)「立ち寄り場所」として「要」と「不可」の場所:どちらにも明示されていなければ立ち寄り可でとなり、必ずしも業務に必須の場所ではない。
(3)「許容立ち寄り時間」:上記(2)の立ち寄り可の場所への立ち寄り許容時間の合計です。ただし、立ち寄り要の場所は含まない。
【0084】
以上より、人と物品の両方の状態をセンシングし、さらにセンシングした両者の状態(例えば、人の動き及び場所と物の動き及び場所など)を関連付けることによって、リアルタイムに、人が行った業務内容を的確に把握し、商品など物品の状態を的確に把握し、業務内容が適切かどうかを評価し、管理者へフィードバックを行う、物品管理を含めた業務管理を可能にする。業務内容については、業務の無駄、誤り、不正等の評価を可能にする。
【0085】
<第2の実施形態>
本第2の実施の形態では、セキュリティ管理にセンサネットを利用する例を説明する。なお、センサネットワークシステムやシステム管理サーバSMSは、前記第1の実施形態と同様の構成である。
【0086】
第1の実施形態で説明したように、行員の付けるセンサノードM1には加速度センサと対面検知用の赤外線センサが搭載されており、またキャビネット(または金庫)などの物につけるセンサノードK1にも加速度センサと対面検知用の赤外線センサが搭載されており、さらにロケータノードL0、L1が各所に配置されているため、セキュリティ管理に有用な以下のようなことが検知可能となる。
【0087】
(1)行員の位置・動線:行員の付けるセンサノードの加速度センサで移動する行動が、ロケータノードにより行員の位置が、また赤外線センサにより行員同士、あるいは行員とキャビネットなどの物との対面が検出できる。したがって、立ち入り禁止区域への接近や立ち入りを把握でき、不正行為を未然に防ぐことが可能となる。あるいは不正行為があったことが記録される。
【0088】
(2)上記(1)と同様のセンシングにより、たとえば金庫を開ける権限のない行員が金庫を開ける操作をしていることが検出できる。単に金庫の前にいることだけではなく、行員の付けるセンサノードの加速度センサにより操作の検出が可能になる。
【0089】
(3)金庫の扉に対面検知用の赤外線センサと加速度センサが搭載されたセンサノードを設置しておいたとき、対面を検出せずに加速度センサにより扉の動きが検出されたとすると、行員以外の誰か、あるいは自分のつけたセンサノードをわざとはずした行員が金庫の扉を開けたことになり、不正行為が検出できる。自分のつけたセンサノードをわざとはずした行員がいれば、そのセンサノードの加速度センサによりはずしたことの検知も可能である。
【0090】
以上のように赤外線センサ、加速度センサ、ロケータノードL0、L1の利用によりセキュリティ管理の実現が可能になる。不正行為と思われる事象が検出されたとき、ただちにその場所近くのカメラと連動させることにより、不正行為の確認も可能となる。
【0091】
以上、実施の形態を説明したが、業務員の動作を検知するためのセンサは加速度センサ、赤外線センサのほかにも角速度、脈波、などその種類を限定するものではない。物品の状態も、加速度や赤外線、音声のほかに温度、湿度、照度、などその種類を限定するものではない。
【0092】
なお、上記第1及び第2実施形態において、行員に付けるセンサノードM1と物につけるセンサノードK1に赤外線通信部(センサ及び発光部)を搭載した例を示したが、赤外線に限定されるものではなく、センサノードM1とセンサノードK1が対向したときに通信を行うことができる光通信部などで構成することができる。
【0093】
また、以上のように、本発明は、センサネットワークを利用した業務管理システムなどに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明を適用するシステム構成と作業及び業務認識処理を示した図である。
【図2】センサノードSNのブロック図を示す。
【図3a】装着者の動作解析の処理の一例を示すフローチャートである。
【図3b】装着者の動作解析の処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】履歴データベースLDBの構成を示す説明図で、取得データSDと営業店端末ジャーナルデータJDと集計データCDを示す。
【図5】履歴データベースLDBの集計データCDの詳細を示し、担当者テーブルMTBと、離席テーブルLCTBと、担当者離席先テーブルLCPTBを示す説明図である。
【図6】履歴データベースLDBの集計データCDの詳細を示し、担当者処理項目テーブルMPTBと、担当者毎相談者テーブルMADTBと、担当者毎承認者テーブルMRETBを示す説明図である。
【図7】履歴データベースLDBの集計データCDの詳細を示し、処理項目テーブルPRCTBと、処理担当者テーブルPMTBを示す説明図である。
【図8】業務計画データベースPDBの一例を示し、担当者テーブルPDBTB1と、業務テーブルPDBTB2を示す説明図である。
【図9】業務計画データベースPDBの一例を示し、業務項目テーブルPDBTB3を示す説明図である。
【符号の説明】
【0095】
M1 センサノード
K1 センサノード
L0、L1 ロケータノード
BST 基地局
SMS システム管理サーバ
NWK ネットワーク
LDB 履歴データベース
PDB 業務計画データベース
ADT 管理者端末
UT 端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人に装着されて当該装着者の動作情報を検出する第1のセンサノードと、
前記人が行った処理または物品の状態を状態情報として検出する状態検知部と、
前記第1のセンサノードの位置情報を検出する第3のセンサノードと、
前記第1のセンサノードと前記状態検知部及び第3のセンサノードが検出した前記動作情報と前記状態情報及び前記位置情報を収集する管理計算機と
を備え、
前記管理計算機は、
前記第1のセンサノードが検出した動作情報と、前記第3のセンサノードが検出した前記第1のセンサノードの位置情報に基づいて前記装着者の動作結果を解析する第1解析処理部と、
前記状態検知部が検出した状態情報に基づいて前記物品の状態を解析する第2解析処理部と、
前記第1解析処理部が解析した前記装着者の動作結果と、前記第2解析処理部が解析した前記物品の状態に基づいて、前記装着者が物品に対して行った行動内容を特定する行動内容解析部と、
予め設定した業務計画と、前記特定した行動内容と、前記物品の状態とを比較して、前記装着者の業務内容の評価結果を生成する業務評価部と
を備えたことを特徴とする業務管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の業務管理システムにおいて、
前記状態検知部は、前記物品に取り付けられて当該物品の状態情報を検出する第2のセンサノードを含むことを特徴とする業務管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の業務管理システムにおいて、
前記状態検知部は、前記管理計算機に接続された端末のログを状態情報として検出することを特徴とする業務管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の業務管理システムにおいて、
前記管理計算機は、前記行動内容解析部が特定した前記行動内容の履歴を格納する履歴蓄積部を有し、
前記業務評価部は、前記履歴蓄積部を参照して前記装着者の行動内容に対する評価結果を生成する
ことを特徴とする業務管理システム。
【請求項5】
請求項2に記載の業務管理システムにおいて、
前記第1のセンサノードと第2のセンサノードは、相互に対向したときに通信可能な光通信部をそれぞれ有して、前記第2のセンサノードは前記対向した第1のセンサノードから識別子を取得し、
前記行動内容解析部は、前記第2のセンサノードから検出した前記第1のセンサノードの識別子と、前記状態情報とに基づいて前記物品に対して操作を行った人を特定し、前記人が行った行動内容を特定する
ことを特徴とする業務管理システム。
【請求項6】
人に装着された第1のセンサノードが検出した当該装着者の動作情報に基づいて、前記装着者の行動内容を管理する業務管理方法であって、
前記人が行った処理または物品の状態を状態検知部が状態情報として検出するステップと、
第1のセンサノードの位置情報を第3のセンサノードが検出するステップと、
前記第1のセンサノードが検出した動作情報と、前記状態検知部が取得した状態情報と、前記第3のセンサノードが検出した位置情報とを前記管理計算機がそれぞれ取得するステップと、
前記第1のセンサノードが検出した動作情報と、前記第3のセンサノードが検出した前記第1のセンサノードの位置情報に基づいて前記管理計算機が前記装着者の動作結果を解析するステップと、
前記管理計算機が、前記状態検知部によって検出された状態情報に基づいて前記物品の状態を解析するステップと、
前記解析した前記装着者の動作結果と、前記解析した前記物品の状態に基づいて装着者が物品に対して行った行動内容を前記管理計算機が特定するステップと、
前記管理計算機が、予め設定した業務計画と、前記特定した行動内容と、前記物品の状態とを比較して、前記装着者の業務内容の評価結果を生成するステップと
を含むことを特徴とする業務管理方法。
【請求項7】
請求項6に記載の業務管理方法において、
前記状態検知部は、前記物品に取り付けられて当該物品の状態情報を検出する第2のセンサノードを含むことを特徴とする業務管理方法。
【請求項8】
請求項6に記載の業務管理方法において、
前記状態検知部は、前記管理計算機に接続された端末のログを状態情報として検出することを特徴とする業務管理方法。
【請求項9】
請求項6に記載の業務管理方法において、
前記特定した前記行動内容の履歴を前記管理計算機が格納するステップを更に有し、
前記装着者の業務内容の評価結果を生成するステップは、前記履歴を参照して前記装着者の行動内容に対する評価結果を生成する
ことを特徴とする業務管理方法。
【請求項10】
請求項7に記載の業務管理方法において、
前記第1のセンサノードと第2のセンサノードは、相互に対向したときに通信可能な光通信部をそれぞれ有し、
前記第2のセンサノードが前記対向した第1のセンサノードから識別子を取得するステップを更に含み、
前記行動内容を前記管理計算機が特定するステップは、
前記第2のセンサノードから検出した前記第1のセンサノードの識別子と、前記状態情報とに基づいて前記物品に対して操作を行った人を特定し、前記人が行った行動内容を特定する
ことを特徴とする業務管理方法。
【請求項11】
人に装着された第1のセンサノードが検出した当該装着者の動作情報を検出し、前記装着者の行動内容を管理する管理計算機であって、
前記管理計算機は、
前記人が行った処理または物品の状態を状態情報として検出する状態検知部と、前記第1のセンサノードの位置情報を検出する第3のセンサノードと、前記第1のセンサノードと前記状態検知部及び第3のセンサノードが検出した前記動作情報と前記状態情報及び前記位置情報を収集する通信部と、
前記第1のセンサノードが検出した動作情報と、前記第3のセンサノードが検出した前記第1のセンサノードの位置情報に基づいて前記装着者の動作結果を解析する第1解析処理部と、
前記状態検知部が検出した状態情報に基づいて前記物品の状態を解析する第2解析処理部と、
前記第1解析処理部が解析した前記装着者の動作結果と、前記第2解析処理部が解析した前記物品の状態に基づいて、前記装着者が物品に対して行った行動内容を特定する行動内容解析部と、
予め設定した業務計画と、前記特定した行動内容と、前記物品の状態とを比較して、前記装着者の業務内容の評価結果を生成する業務評価部と
を備えたことを特徴とする管理計算機。

【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【公開番号】特開2009−217559(P2009−217559A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−60768(P2008−60768)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】