説明

極めて長いカーボンナノチューブを化学蒸着させるための増強された反応器

【課題】化学蒸着(CVD)プロセス反応器炉を使用して、任意の長さのカーボンナノチューブ(CNT)を生成する装置を提供すること。
【解決手段】CNTを炉の全長の一部分に沿って軸方向に成長させる。この装置は、スピンドルと、スピンドルを回転させる機構とを含む。このスピンドルは、炉の温度が一定の領域に配置されており、CNTが炉内で成長しているときに、回転しているスピンドルに巻き付けてCNTを集めるように動作可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は一般にナノチューブの成長に関し、より具体的には、極めて長いカーボンナノチューブ(CNT)を化学蒸着(CVD)させるための増強された反応器に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブは、管の形態のある組成の黒鉛シートを本質的に有する管形の小さな構造体である。カーボンナノチューブは、100ナノメートル未満の直径、および長さが直径よりもはるかに大きい大きなアスペクト比を特徴とする。例えば、CNTの長さが直径の1000倍を超えることがある。CNTは、そのキラリティに応じて半導性または高導電性である。このような特徴を持つカーボンナノチューブは、多くの電子工学用途に対して理想的である。
【0003】
カーボンナノチューブは一般に単壁型と多壁型に分類される。単壁型のカーボンナノチューブ構造は円筒形の黒鉛層を1層だけ有する。多壁型のカーボンナノチューブ構造は、入れ子にされた2層以上の円筒形の黒鉛層を有する。
【0004】
既存の直線化学蒸着(CVD)反応器は、フィードガス流に対して垂直に、またはフィードガス流の方向に沿って一直線に、カーボンナノチューブを成長させることができる。垂直成長は、その高さが、CNTを成長させる炉によって画定される通常は1、2または4インチである管のサイズまでに限定される。フィードガス流の方向に沿った一直線の成長は、その長さが、炉内の温度が一定に維持された領域のサイズまでに限定される。
【0005】
直線CVD反応器用の現在使用されている管状炉の長さは約4フィートである。反応器管の両端は炉から突き出しており、そのため炉の両端付近の温度は一定ではない。炉の中央部分は、温度が一定の領域を含む。CVDによるCNT成長では、フィードガスがある温度まで加熱され、この加熱にはある時間がかかり、フィードガスは流れているため、この加熱にはある距離が必要である。この距離は、CVD反応器管の先頭部分のより温度の低い領域よりも長い。ナノチューブを成長させる目的に使用できるのは、ガスが十分に加熱された位置から、管状炉内の温度が一定の領域の終端までの領域だけである。
【0006】
現在までのところ、このような管状炉内で成長させた最も長いナノチューブの長さは約18.5cmである。成長がこの長さで止まったのは、成長担体を過ぎて約18.5cmのところで室の温度が低下したためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
より長いナノチューブを生成する1つの解決策は、より長い炉内で、より長いまっすぐな(直線)CVD反応器を使用することであろう。しかしながら、生成されるナノチューブの長さは依然として、炉の長さおよび使用可能なCVD反応器管によって制限され、したがって、任意の長さのナノチューブを製作することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、化学蒸着(CVD)プロセス反応器炉を使用して、任意の長さのカーボンナノチューブ(CNT)を生成する装置が提供される。CNTを炉の全長の一部分に沿って軸方向に成長させる。この装置は、スピンドルと、スピンドルを回転させる機構とを含む。このスピンドルは、炉の温度が一定の領域に配置されており、CNTが炉内で成長しているときに、回転しているスピンドルに巻き付けてCNTを集めるように動作可能である。
【0009】
他の態様では、標準化学蒸着(CVD)炉内で、任意の長さのカーボンナノチューブ(CNT)を成長させる方法が提供される。この方法は、炉のCNT成長領域内でスピンドルを回転させるステップと、CNTが成長しているときに、成長しているCNTがスピンドルに付着し、スピンドル上に回転式に集まるような態様で、CNTを、回転しているスピンドルの方向へ導くステップと、スピンドルの前記領域内の温度を、CNTの成長温度に近い温度に維持するステップとを含む。
【0010】
他の態様では、化学蒸着(CVD)プロセス炉が提供される。この炉は、その中の触媒およびその中を流れるガス流からカーボンナノチューブを成長させるように構成された反応室と、反応室内に配置された回転可能なスピンドルとを含む。この回転可能なスピンドルは、ガス流に関して触媒の下流にあり、この回転可能なスピンドルは、ガス流によってCNTが回転可能なスピンドルの方向へ吹き流されたときに、回転可能なスピンドルに巻き付けてCNTを集めるように動作可能である。
【0011】
以上に論じた特徴、機能および利点は、さまざまな実施形態において独立に達成することができ、または以上に論じた特徴、機能および利点を、他の実施形態において組み合わせることができる。これらの実施形態の追加の詳細は、以下の説明および図面を参照することによって知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】直線化学蒸着反応器の概略側面図である。
【図2】図1のCVD反応器の一部分の切欠図である。
【図3】増強された反応器の一実施形態の切欠図である。
【図4】図3の増強された反応器の炉の温度が一定の部分内のスピンドルおよび触媒の側面図である。
【図5】図4のスピンドルおよびスピンドルに関連したアセンブリ構成要素の端面図である。
【図6】スピンドルを回転させるために利用される駆動アセンブリの端面図である。
【図7】図6の駆動アセンブリの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以上の段落を参照すると、ナノチューブの成長を持続させるためには、温度が一定の領域が必要であるため、現行の炉内において任意の長さのカーボンナノチューブを生成するためには、CVD反応器内に、ナノチューブの非直線成長経路が必要である。この必要を満たすため、記載された実施形態は、化学蒸着によってカーボンナノチューブを成長させる目的に使用される伝統的な管状炉であって、取外し可能な回転するスピンドルによって増強された管状炉に関する。回転するスピンドルを追加することによって、伝統的な管状炉に固有の熱的および幾何学的な限界を克服することにより、任意の長さのナノチューブを成長させることができる。
【0014】
具体的には、ナノチューブが成長すると、ナノチューブは、炉内の回転スピンドルにぶつかる。成長するにつれて、ナノチューブはスピンドルに巻き取られ、これにより、温度を一定に維持することができる比較的に小さな領域内で、任意の長さの管を成長させることができる。
【0015】
図1は、カーボンナノチューブを製造するのに有用な直線化学蒸着反応器10の概略側面図である。反応器10は、反応炉20およびガス導入管22を含み、このガス導入管22を通して、不活性ガス24およびフィードガス26が、流量制御ノズル28を経由して熱交換器30へ導入される。示されているように、反応炉20は実質的に管状の容器であり、後にさらに説明するとおり、安定した化学特性を有する高温に耐える材料(例えば石英、アルミナまたは高温に耐える他のセラミック)を含む。反応器10は、排出ガスが通るエンドキャップ32を含む。エンドキャップ32からは排出管34が延出している。反応器10の熱交換器30とエンドキャップ32の間の部分は炉20を含み、この部分は時に主ダクト40と呼ばれる。主ダクト40からは、熱交換器30の近くからエンドキャップ32の近くまで、炉20を迂回するバイパスダクト42が延びている。主ダクト40およびバイパスダクト42はそれぞれ遮断弁50および52を含む。熱交換器30を出たガスは、炉20のナノチューブを成長させる部分の温度を、ナノチューブを成長させる温度まで高め、その温度を維持することができるような態様で、炉20またはバイパスダクト42を通して導かれる。主ダクト40の一部分60の直径が拡大されて示されている。このような描写は、反応器10の一実施形態を表している。主ダクト40が全長にわたって単一の直径を有する実施形態も知られている。
【0016】
図2は、図1の反応器10の一部分の切欠図である。この図では、表面に触媒72が配置された変更された担体70が、反応室74内に示されている。反応室74は、ナノチューブを成長させるために温度を一定に維持することができる反応炉20の部分と定義される。主ダクト40内を流れるガス流は、触媒72に向かって導かれ、触媒72からカーボンナノチューブを成長させるフィードガス26を輸送する。反応室74内のガス流中には炭素源ガスが存在するため、カーボンナノチューブは例えば、触媒72から垂直に成長する。前述のとおり、反応室74の一部分だけを、ナノチューブの成長に必要な一定の温度に合理的に維持することができる。
【0017】
炉20を備える反応器10は、フィードガス流に対して垂直に、またはフィードガス流の方向に沿って一直線にナノチューブを成長させることができる。垂直に成長させたナノチューブの長さは、炉20の直径によって制限される。フィードガス流の方向に一直線に成長させたカーボンナノチューブの長さは、温度が一定に維持された反応室74のサイズまでに限定される。炉20の両端から流量制御ノズル28およびエンドキャップ32が突き出しており、したがって炉20の両端付近の温度は一定ではない。炉20の反応室部分74は、触媒72を有する変更された担体70が配置された部分であり、反応室部分74は、温度が一定の領域にある。
【0018】
要約すると、化学蒸着を使用してカーボンナノチューブを成長させるためには、フィードガス24がある温度まで加熱され、この加熱にはある時間がかかり、フィードガス24は流れているため、この加熱にはある距離が必要である。ナノチューブを成長させる目的に使用できるのは、フィードガス24が十分に加熱された位置から、管状炉20内の温度が一定の領域の終端までの領域だけである。
【0019】
次に図3を参照すると、増強された反応器100の切欠図が示されている。反応器10内の構成要素と同じ反応器100内の構成要素は同じ参照符号で示されている。ガスは、熱交換器30を通過して反応温度まで加熱されてから、炉20に到達する。このアセンブリは全体が断熱されている。この実施形態では、熱交換器30が適切な温度までガスを加熱するまで、ガスが、バイパスダクト42を通って移動する。ガスの温度が適切な温度に達すると、遮断弁50および52が切り換えられ、ガスは、主ダクト40を通って流れる。この図では、ナノチューブ成長面の下流で主ダクト40の直径が太くなっているが、このような直径の拡大は必須ではなく、本明細書に記載の実施形態は、直径が一定の炉でも使用可能である。
【0020】
反応器100は、管状炉20の温度が一定の部分にスピンドル110を含む。スピンドル110は、炉20を通過するガス流によってナノチューブが軸方向へ導かれ、ある水平距離だけ成長した後に、ナノチューブが、スピンドル110の頂部112にぶつかるように配置される。一実施形態では、スピンドル110の表面114が、カーボンナノチューブが付着する傾向がある材料から構築され、またはそのような材料でコーティングされる。本明細書においてさらに説明するように、スピンドル110の頂部112の直線速度が、触媒72からのカーボンナノチューブの成長速度と実質的に一致するような回転速度で、スピンドル110を回転させる。したがって、ナノチューブは、スピンドル110と接触する位置まで成長し、スピンドル110に付着し、スピンドル110が回転するにつれてスピンドル110に巻き取られる。スピンドル110を使用すると、CNTが引き伸ばされたり、またはこぶになったりすることなしに、CNTを集めることができる。スピンドル110は、炉20の反応室74(時に成長領域とも呼ばれる)内に含まれ、CNT成長温度に維持されるため、スピンドル110上に集めることによって、任意の長さのナノチューブを、炉の温度が一定の領域内に保持することができる。後にさらに説明するが、スピンドル110は、炉20内のブラケット120に装着される。ベルト122によってベルト車121が駆動され、ベルト122は、炉20の外へ延び、やはりブラケット126に装着されたモータ124によって駆動され、それによってスピンドル110が回転する。
【0021】
図4は、反応器100の炉20の成長領域内のスピンドル110および触媒72の側面図である。スピンドル110および触媒は炉20の成長領域内にあるため、これらをCNT成長温度に維持することができる。この誇張された図では、炉20を通過するガス流によって、触媒72からカーボンナノチューブ140が成長している。前述のとおり、スピンドル110はベルト車121に機械的に接続されており、ベルト車121はベルト122によって駆動されるため、スピンドル110は回転する。
【0022】
一実施態様では、図5の断面図に示されているように、スピンドル110および関連アセンブリが、管状炉20内に十分に収まる大きさを有する。スピンドル110は、ブラケット120の2枚のプレート152と154の間の車軸150上で回転する。スピンドルの車軸150の片側はベルト車121を含み、ベルト車121には歯車を取り付けることができ、チェーンまたはベルト122によってベルト車121を回転させることができる。2枚のプレート152、154を互いから分離された状態に維持するため、プレート152、154の上部および/または下部に、1本または数本のロッド156がある。プレート152、154はそれぞれベースユニット170に接続される。
【0023】
他の実施形態では、歯車の付いたベース車軸を利用することができる。この歯車の付いたベース車軸はチェーンを動かし、チェーンはスピンドル110を回転させる。この歯車の付いたベース車軸は、一方のプレートを過ぎて延び、穴を通して炉20の管の外へ出る。最も都合のよい実施態様が、ベースユニットおよび車軸が出る穴を含む取外し可能なセクションを、エンドキャップなどの管の端に有することであることがある。この車軸が出る穴を出たところで、ステッパモータが、この歯車の付いたベース車軸を回転させる。他の実施形態では、ベルトまたはチェーンが利用されず、車軸150が炉20の外へ延び、ステッパモータに直接に取り付けられる。
【0024】
他の実施形態では、ナノチューブ140が成長し、スピンドル110が回転するときに、ナノチューブ140がスピンドル110上に螺旋形に集められるように、車軸150の軸方向の軸に沿ってスピンドル110が前後に平行移動することができるような態様で、スピンドル110の内径162から延びる突起デバイス160が提供される。突起160は、車軸150に形成された対合スロット164にはまる。スピンドルをこのように平行移動させると、スピンドルの幅がナノチューブ成長担体の幅よりも広い場合に、1つのスピンドルで集めることができるナノチューブの長さがより長くなる。どの実施形態でも、所望の長さのナノチューブ140を成長させた後、カーボンナノチューブ140を取り外すことを可能にするために、スピンドル110は炉20から取り出される。
【0025】
図示された実施形態を再び参照すると、図6は、駆動アセンブリ200の端面図であり、駆動アセンブリ200はベルト122を駆動し、ベルト122は最終的にスピンドル110を回転させる。駆動アセンブリ200は、2台のモータ202、204を含み、特定の実施形態ではこれらのモータがステッパモータである。単純に、モータ202は、駆動スピンドル(および最終的にスピンドル110)を第1の方向に回転させ、モータ204は、駆動スピンドル(および最終的にスピンドル110)を反対方向に回転させる。駆動アセンブリは、モータ202と204の間に延びる駆動スピンドル210を含む。駆動スピンドル210上には、駆動スプロケット212が装着されている。駆動スプロケット212とベルト車121の間には、前述のとおりスピンドル110に機械的に結合されたベルト車121を回転させるベルトまたはチェーン(ベルト122)が延びる。図5のブラケットアセンブリと同様に、駆動アセンブリ200のベースユニットを安定させるために、ブラケット220、222、スペーサ224、226、ベース228および支柱230、232のうちの1つまたは複数を使用することができる。図7は、駆動アセンブリ200の側面図である。
【0026】
駆動アセンブリ200が動作し、スピンドル110が回転しているときには、炉20の状態に基づいて、ナノチューブ140が成長し、スピンドル100が何回も回転する。ついには、スピンドルの表面の材料と接触するのではなく、スピンドル110上に既にあるナノチューブ140の部分とだけ接触するような態様で、追加の長さのナノチューブ140が、ナノチューブ140がスピンドル110の表面114全体を覆う。他のナノチューブ部分とだけ接触したナノチューブの部分は、スピンドル110から取外し可能であり、スピンドル110の表面114と接触したナノチューブ140の部分は、スピンドル110に不可逆的に付着することがある。
【0027】
前述の実施態様において、ナノチューブを取り外す代替の方法は、ナノチューブ140を集める際にスピンドルを回転させた方向と反対の方向にスピンドル110を回転させ、同時に、管状炉の前面から成長担体(触媒72)を取り出す方法である。具体的には、ナノチューブの成長担体の端を出たばかりのところに別のスピンドルに付着させ、両方のスピンドルを回転させて、炉の外にナノチューブを移すことができる。この方法は、前述の第2のステッパモータ204を利用する。完成したナノチューブを移す先の車軸を駆動するのに、第3のステッパモータを利用してもよい。
【0028】
他の実施態様では、加熱されてからでないと、ガスは、化学蒸着反応器10内へ入ることが許されない。このようなアセンブリは、反応器10の炉20内にアセンブリが含まれなければならないという要件を排除するために断熱される。この実施態様では、触媒を載せた担体およびスピンドルを配置し、これらを取り出すためにアセンブリを開くことができる。具体的には、アセンブリ壁および断熱材の穴を通して、スピンドルの軸がアセンブリの外へ延び、車軸の外端が、ステッパモータに直接に取り付けられる。この実施態様では、スピンドルのサイズが、2インチまたは4インチである一般的な管状炉の直径によって制限されない。したがって、成長担体を過ぎて、このアセンブリは、スピンドルを含む室内へ開く。最初はガス流が成長方向を決定するが、ナノチューブがスピンドルと接触した後は、スピンドルが成長方向を決定する。ナノチューブを任意の長さまで成長させる能力に関して、室内に流入し、室内を流れるガス流の詳細は重要ではない。
【0029】
記載されたどの実施形態についても、スピンドルの表面は、ナノチューブが付着する材料を使用して製作される。具体的には、ナノチューブは、ナノチューブ自体の直径よりも大きな粗さフィーチャ(roughness feature)を有する表面によく付着する。ナノチューブの直径は1ナノメートルから数ナノメートル程度であり、そのため、ほぼ全ての表面が、必要な規模の有意な粗さを有する。したがって、スピンドルの表面の材料の要件は、その材料が、800℃にもなることがあるナノチューブの成長温度において安定であることである。スピンドルは、銅もしくは鋼、または他の材料から製作することができる。ナノチューブを傷つけない弱い酸浴などのプロセスによって後に溶解することができる材料で、スピンドルの表面をコーティングすることができる。記載された実施形態は、スピンドルの表面またはコーティングとじかに接触した、何回も巻かれたナノチューブを集めることを可能にする。
【0030】
本明細書に記載されたどの実施形態においても、アセンブリおよびアセンブリの構成要素は、形成されたナノチューブへ温度を伝えない材料から製作される。このような状況が起こった場合、ナノチューブの成長は止まる。例えば、スピンドルは、ナノチューブが成長する温度に維持されなければならないため、本明細書に記載されたベルト122がスピンドルを冷やしてはならない。また、スピンドル110は、ナノチューブを触媒72から引っ張ってはならず、または、あまりにゆっくりと回転することによってナノチューブをこぶにしてはならない。ステッパモータを、必要な任意の歯車装置と一緒に使用すると、ナノチューブが成長する速度でスピンドルが回転することを保証するのに必要な制御が提供される。さらに、この機械的なアセンブリは、スピンドルが触媒72に近づく(または触媒72から遠ざかる)ことができないことも保証する。
【0031】
さまざまな実施形態をその最良の形態を含めて開示するため、ならびに任意のデバイスまたはシステムを製作し、使用すること、および組み込まれた任意の方法を実行することを含め、当業者がそれらの実施形態を実施することを可能にするために、本明細書はいくつかの例を使用する。特許を受けられる範囲は下記の特許請求の範囲によって定義され、この範囲が、当業者が思いつくその他の例を含むことがある。このようなその他の例は、それらが特許請求の範囲の文字表現と異ならない構造要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文字表現との差異が実質的にない等価の構造要素を含む場合に、特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
【0032】
以下に、他の実施形態のいくつかの例を示す。
【0033】
前記機構が、炉のCNT成長領域内の温度を一定に維持することを可能にする材料を含む装置。
【0034】
前記機構が駆動システムを備える装置。
【0035】
前記駆動システムが、前記スピンドルが装着された車軸と、前記車軸上に装着されたベルト車と、駆動歯車を備えるモータと、前記駆動歯車を前記ベルト車に接続するチェーンとベルトのうちの少なくとも一方とを備える装置。
【0036】
前記駆動システムが、前記スピンドルが装着された車軸であり、炉の壁を通して延びる前記車軸と、前記車軸の前記炉の外側の部分に取り付けられたモータとを備える装置。
【0037】
前記スピンドルが表面を含み、炉を通過するガス流によってCNTが軸方向へ導かれた後に、CNTが前記表面にぶつかる装置。
【0038】
前記機構が2台のモータを備え、前記モータのうちの第1のモータが、前記スピンドルを第1の方向に回転させて前記スピンドル上にCNTを集めるように、前記スピンドルに機械的に結合され、前記モータのうちの第2のモータが、前記スピンドルを第1の方向とは反対の第2の方向に回転させて完成したCNTを前記スピンドルから回収するように、前記スピンドルに機械的に結合された装置。
【0039】
CNTが前記スピンドル上に螺旋形に集められるように、前記スピンドルの軸方向の軸に沿って前記スピンドルを前後に平行移動させるデバイスを、前記機構が備える装置。
【0040】
炉のCNT成長領域内でスピンドルを回転させるステップが、駆動システムを使用してスピンドルを回転させるステップを含む前記方法。
【0041】
駆動システムを使用してスピンドルを回転させるステップが、炉の壁を通して延びる車軸にスピンドルを装着するステップと、車軸を駆動モータに機械的に結合するステップであり、前記駆動モータが、車軸の炉の外側の部分に取り付けられるステップと、モータを動かすステップとを含む前記方法。
【符号の説明】
【0042】
10 直線化学蒸着反応器
20 反応炉
22 ガス導入管
24 不活性ガス
26 フィードガス
28 流量制御ノズル
30 熱交換器
32 エンドキャップ
34 排出管
40 主ダクト
42 バイパスダクト
50 遮断弁
52 遮断弁
60 主ダクトの直径が拡大された部分
70 担体
72 触媒
74 反応室
100 増強された反応器
110 スピンドル
112 スピンドルの頂部
114 スピンドルの表面
120 ブラケット
121 ベルト車
122 ベルト
124 モータ
126 ブラケット
140 カーボンナノチューブ
150 車軸
152 ブラケットのプレート
154 ブラケットのプレート
156 ロッド
160 突起デバイス
162 スピンドルの内径
164 対合スロット
170 ベースユニット
200 駆動アセンブリ
202 モータ
204 モータ
210 駆動スピンドル
212 駆動スプロケット
220 ブラケット
222 ブラケット
224 スペーサ
226 スペーサ
228 ベース
230 支柱
232 支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学蒸着(CVD)プロセス反応器炉を使用して、任意の長さのカーボンナノチューブ(CNT)を生成する装置であって、前記CNTが、前記炉の全長の一部分に沿って軸方向に成長し、前記装置が、
スピンドルと、
前記スピンドルを回転させる機構とを備え、前記スピンドルが、前記炉の温度が一定の領域に配置されており、前記CNTが前記炉内で成長しているときに、回転している前記スピンドルに巻き付けて前記CNTを集めるように動作可能である装置。
【請求項2】
前記スピンドルが、前記炉内のCNT成長領域の下流に、前記CNT成長領域に隣接して配置され、前記スピンドルが、CNTの成長が起こるような局所的な炉温を維持するために断熱された、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記スピンドルと接触したCNTが、接着することなしに、前記スピンドルの表面に付着するようなCNTの付着に適合した材料を、前記スピンドルが含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記機構が、生成中のCNTに関連した成長速度と実質的に一致した速度で前記スピンドルを回転させる駆動システムを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
標準化学蒸着(CVD)炉内で、任意の長さのカーボンナノチューブ(CNT)を成長させる方法であって、
前記炉のCNT成長領域内でスピンドルを回転させるステップと、
前記CNTが成長しているときに、成長している前記CNTが前記スピンドルに付着し、前記スピンドル上に回転式に集まるような態様で、前記CNTを、回転している前記スピンドルの方向へ導くステップと、
前記スピンドルの前記領域内の温度を、CNTの成長温度に近い温度に維持するステップとを含む方法。
【請求項6】
材料を、前記CNTが付着する前記スピンドルの表面に配置するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記炉のCNT成長領域内でスピンドルを回転させるステップが、駆動システムを使用して、生成中の前記CNTに関連した成長速度と実質的に一致した速度で前記スピンドルを回転させるステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記炉のCNT成長領域内でスピンドルを回転させるステップが、前記CNTが前記スピンドル上に螺旋形に集められるように、前記スピンドルの軸方向の軸に沿って前記スピンドルを前後に平行移動させるステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
その中の触媒およびその中を流れるガス流からカーボンナノチューブを成長させるように構成された反応室と、
前記反応室内に配置された回転可能なスピンドルとを備え、前記回転可能なスピンドルが、前記ガス流に関して前記触媒の下流にあり、前記回転可能なスピンドルが、前記ガス流によって前記CNTが前記回転可能なスピンドルの方向へ吹き流されたときに、前記回転可能なスピンドルに巻き付けてCNTを集めるように動作可能である化学蒸着(CVD)プロセス炉。
【請求項10】
前記回転可能なスピンドルに機械的に結合された駆動機構をさらに備え、前記駆動機構が、前記炉がCNTを生成する速度に実質的に等しい速度で、前記回転可能なスピンドルを回転させるように構成された、請求項9に記載のCVDプロセス炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−126637(P2012−126637A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−268696(P2011−268696)
【出願日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】