説明

楽音データ補正装置およびプログラム

【課題】和音の構成音夫々の音量を多種多様に設定する楽音データ補正装置を提供する。
【解決手段】CPUは、読み出された音符データが和音の構成音であるか否かを、曲データの中からポインタiで指定される音符データに付加される識別データwaonの値に基づき判別する。読み出された音符データが和音の構成音であると、曲データ中から同じ和音の構成音の音符データを探し出し、探し出した全ての構成音の音符データの内、フラグstが「1」の音符データのベロシティを和音の基準ベロシティVELとして抽出する。基準ベロシティVELを抽出し終えると、同じ和音を構成する全ての構成音の音符データのベロシティを基準ベロシティVELに変換し、変換された基準ベロシティに従って和音の各構成音を発音させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子楽器に用いて好適な楽音データ補正装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
和音を構成する各音の楽音データを補正する技術が知られている。例えば特許文献1には、和音の構成音を表す各楽音データに含まれるベロシティ(タッチ情報)の平均値や中央値を代表値として検出し、検出した代表値に基づいて構成音の各楽音データに含まれるベロシティを補正する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2614532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に開示の技術を用いれば、和音の構成音を表す各楽音データのベロシティから検出した代表値(平均値や中央値)に基づき音量のばらつきの少ない和音とすることは可能である。このように和音の各構成音の音量のばらつきをなくすことは、ベロシティのコントロールが十分にできない初心者にはある程度有効であることは認められるが、演奏が上達してくると、これにやや違和感を覚える場合が出てくる。これは上記特許文献1に開示の技術によれば、和音の構成音の音量が常に平均値や中央値に強制的に設定されてしまうが、現実的には必ずしもそうはならない場合があるからである。
【0005】
そもそも演奏する各指の強さは異なるものであり、個人によっては演奏に用いるには得手・不得手な指があったりする。こうなると、演奏者によっては、和音構成音全ての音量が同一であるほうがよい場合、構成音夫々の音量が演奏したとおりの音量としたほうがよい場合、あるいは和音構成音の一部のみ同一の音量としたほうがよい場合など、いろいろな場合が想定される。
【0006】
さらには、和音構成音の音量を同一にする場合でも、その音量は、平均値や中央値ばかりでなく、いずれの構成音の音量に合わせねばならぬ場合もある。
このように、和音の構成音夫々の音量を設定することは、そのときの状況によって多種多様に変更せねばならず、単に平均値や中央値に設定するだけでは不十分であった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、和音の構成音夫々の音量を多種多様に設定することのできる楽音データ補正装置およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、曲を構成する複数の音符データが記憶されるとともに、各音符データは、ベロシティデータ、当該音符が和音の構成音であるか否かを示す識別データ及び当該ベロシティが基準ベロシティであるか否かを示す判別フラグを有する曲データを記憶する曲データ記憶手段と、この曲データ記憶手段から前記音符データを順次読み出すとともに、読み出された音符データの識別データから当該音符データが和音の構成音であるか否かを判別する第1判別手段と、前記第1判別手段により和音の構成音と判別された場合に、当該判別された音符データの属する和音の残りの構成音を、前記曲データ記憶手段からこの後に読み出される音符データの中から検出する構成音検出手段と、前記第1判別手段により判別された音符データ、及び前記構成音検出手段により検出された音符データが夫々有する判別フラグより、基準ベロシティを有する音符データを判別する第2判別手段と、前記第1判別手段により判別された音符データ及び前記構成音検出手段により検出された音符データ夫々が有するベロシティを、前記第2判別手段により判別された音符データが有する基準ベロシティに変換する変換手段と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、和音の構成音夫々の音量を多種多様に設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の一形態による楽音データ補正装置を備えた電子楽器100の構成を示すブロック図である。
【図2】RAM14に記憶される曲データSONGの構成を示すメモリマップである。
【図3】和音の一例を図示した楽譜である。
【図4】メインルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図5】設定処理の動作を示すフローチャートである。
【図6】演奏処理の動作を示すフローチャートである。
【図7】楽音データ補正処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
A.構成
図1は、実施の一形態による楽音データ補正装置を備えた電子楽器100の全体構成を示すブロック図である。この図において、鍵盤10は、演奏操作(押離鍵操作)に応じたキーオン/キーオフ信号、鍵番号およびベロシティ等を含む演奏情報を発生する。操作部11は、楽器パネルに配設される各種スイッチから構成され、各スイッチ操作に応じたスイッチイベントを発生する。本発明の要旨に係わるスイッチとして、操作部11には演奏開始を指示する演奏スイッチや、曲データを選択する曲選択スイッチ等が設けられる。操作部11が発生するスイッチイベントは後述するCPU12に取り込まれる。
【0012】
CPU12は、ROM13に記憶される各種プログラムを実行し、操作部11が発生するスイッチイベントに応じて装置各部を制御する。本発明の要旨に係わるCPU12の特徴的な処理動作については追って述べる。ROM13には、CPU12にロードされる各種プログラムが記憶される。各種プログラムとは、後述するメインルーチン、設定処理、演奏処理および楽音データ補正処理を含む。
【0013】
RAM14は、ワークエリアおよび曲データエリアを備える。RAM14のワークエリア(不図示)には、CPU12の処理に用いられる各種レジスタ・フラグデータが一時記憶される。RAM14の曲データエリアには、図2に図示するように、演奏練習に供せられる複数曲の曲データSONG[0]〜[N]が記憶され、これらの何れかの曲データSONGが曲選択スイッチ操作により選択される。
【0014】
曲データSONGは、曲を構成する各音を表す音符データNOTE[0]〜[n]と、これら各音符データNOTE[0]〜[n]毎の属性を表す属性情報とから形成される。属性情報は、識別データwaon、フラグstおよびベロシティvelから構成される。識別データwaonは、対応する音符データNOTEで表される音が和音の構成音であるか否かを示す。対応する音符データNOTEで表される音が和音の構成音でない場合、識別データwaonは「0」となる。一方、対応する音符データNOTEで表される音が和音の構成音である場合、例えば曲中で最初に弾かれる和音なら「1」、2番目なら「2」となるように、曲データSONGの中で弾かれる和音の順番を表す和音順番番号がセットされる。
【0015】
フラグstは、和音を発音する際の音量を表す基準ベロシティであるか否かを表すフラグであり、「0」ならば基準ベロシティではない旨を表し、一方、「1」であると基準ベロシティである旨を表す。ベロシティvelは発音音量を表し、上記フラグstが「1」の場合には当該ベロシティvelが和音を発音する際の基準ベロシティとなる。
【0016】
上記フラグstは、対応する音符データNOTEで表される音(和音の構成音)を右手で弾く場合と左手で弾く場合とで異なるように設定される。これについて図3に図示する和音の一例を参照して説明する。図3に図示するC4音(ド)およびE4音(ミ)の和音が鍵盤10の左手鍵域に含まれる場合には、左手の親指で弾かれるE4音(ミ)が基準ベロシティとなる為、E4音(ミ)の音符データNOTEに付加されるフラグstを「1」に設定する。
【0017】
これに対し、図3に図示するC4音(ド)およびE4音(ミ)の和音が鍵盤10の右手鍵域に含まれる場合には、右手の親指で弾かれるC4音(ド)が基準ベロシティとなる為、C4音(ド)の音符データNOTEに付加されるフラグstを「1」と設定する。
【0018】
こうした設定にすると、左手鍵域でC4音(ド)およびE4音(ミ)の和音を弾いた場合には、左手の親指で弾くE4音(ミ)のベロシティvelで和音が発音され、一方、右手鍵域でC4音(ド)およびE4音(ミ)の和音を弾いた場合には、右手の親指で弾くC4音(ド)のベロシティvelで和音が発音される。したがって、左手の親指で弾くE4音(ミ)のベロシティvelと、右手の親指で弾くC4音(ド)のベロシティvelとを異ならせておけば、構成音が同じ和音を右手で弾く場合と左手で弾く場合とで音量を異ならせることが可能になる。
【0019】
表示部15は、CPU12から供給される表示制御信号に応じて楽器各部の設定状態や動作状態などを画面表示する他、選択された曲データSONGに基づき楽譜表示したりする。音源16は、周知の波形メモリ読み出し方式にて構成され、鍵盤10から出力される演奏情報に応じてCPU12が発生するノートイベントに従って楽音形成する。サウンドシステム17は、音源16から出力される楽音波形をアナログ信号形式に変換した後、不要ノイズ除去やレベル増幅を施してからスピーカから発音させる。
【0020】
B.動作
次に、図4〜図7参照して、上記構成による実施形態の動作について説明する。以下では、CPU12が実行するメインルーチン、設定処理、演奏処理および楽音データ補正処理の各動作について述べる。
【0021】
(1)メインルーチンの動作
電源スイッチ操作により電子楽器100がパワーオンされると、CPU12は図4に図示するステップSA1に進み、楽器各部を初期化するイニシャライズを実行した後、ステップSA2に進む。ステップSA2では、モードフラグMODEのフラグ値に基づき動作モードを判別する。モードフラグMODEは、フラグ値が「1」の場合に設定処理(後述する)を実行する設定モードを表し、「0」の場合に演奏処理(後述する)を実行する演奏モードを表す。なお、モードフラグMODEは、上記ステップSA1のイニシャライズにおいてデフォルトのフラグ値として「1」がセットされる。
【0022】
ステップSA2において、モードフラグMODEが「1」にセットされていると、判断結果は「YES」となり、設定モードに遷移し、ステップSA3を介して設定処理(後述する)を実行する。設定処理において演奏スイッチがオン操作されると、モードフラグMODEが「0」にセットされて上記ステップSA2に戻る。そして、モードフラグMODEが「0」になると、上記ステップSA2の判断結果は「NO」になり、演奏モードに遷移し、ステップSA4を介して演奏処理(後述する)を実行する。この後、演奏処理が完了し、モードフラグMODEが「1」にセットされて上記ステップSA2に戻ると、上記ステップSA2の判断結果が「NO」になり、再び設定モードに復帰する。
【0023】
(2)設定処理の動作
次に、図5を参照して設定処理の動作を説明する。上述したメインルーチンのステップSA3(図4参照)を介して本処理が実行されると、CPU12は図5に図示するステップSB1に進み、RAM14の曲データエリアに格納される複数曲の曲データSONG[0]〜[N]の中から所望の曲データSONGを曲選択スイッチ操作により選択し、続くステップSB2では演奏スイッチのオン操作の有無を判断する。演奏スイッチがオン操作されなければ、判断結果は「NO」となり、一旦本処理を終えるが、演奏スイッチがオン操作されると、判断結果が「YES」になり、ステップSB3に進み、モードフラグMODEを「0」にセットして本処理を終える。
【0024】
(3)演奏処理の動作
次に、図6を参照して演奏処理の動作を説明する。上述したメインルーチンのステップSA4(図4参照)を介して本処理が実行されると、CPU12は図6に図示するステップSC1に進む。ステップSC1では、音符データNOTEを指定するポインタiをゼロリセットすると共に、上述の設定処理(図5参照)において曲選択スイッチ操作で選択された曲データSONGの中からポインタiで指定される先頭の音符データNOTE[0]と、当該音符データNOTE[0]に付加される識別データwaon、フラグst、ベロシティvelとを読み出す。
【0025】
続いて、ステップSC2では、楽音データ補正処理を実行する。楽音データ補正処理では、後述するように、読み出された音符データが和音の構成音であるか否かを、曲データSONGの中からポインタiで指定される音符データNOTE[i]に付加される識別データwaonの値に基づき判別する。そして、読み出された音符データが和音の構成音であると、曲データSONG中から同じ和音の構成音の音符データNOTEを探し出し、探し出した全ての構成音の音符データNOTEの内、フラグstが「1」の音符データNOTEのベロシティvelを和音の基準ベロシティVELとして抽出する。基準ベロシティVELを抽出し終えると、同じ和音を構成する全ての構成音の音符データNOTEにおけるベロシティvelを、基準ベロシティVELに変換し、変換された基準ベロシティに従って和音の各構成音を発音させる。
【0026】
そして、ステップSC3では、ポインタiが曲の最後の音符データNOTEに達したかを否かを判断し、曲の最後の音符データNOTEに達していなければ、判断結果は「NO」になり、次のステップSC4に進み、ポインタiをインクリメントして歩進させた後、上述のステップSC2に処理を戻す。以後、ポインタiで指定される音符データNOTEが曲の最後に達するまで上記ステップSC2〜SC4を繰り返す。そして、ポインタiで指定される音符データNOTEが曲の最後に達すると、上記ステップSC3の判断結果が「YES」となり、ステップSC5に進み、モードフラグMODEを「1」にセットして本処理を終える。
【0027】
(3)楽音データ補正処理の動作
次に、図7を参照して楽音データ補正処理の動作を説明する。上述した演奏処理のステップSC2(図6参照)を介して本処理が実行されると、CPU12は図7に図示するステップSD1に進み、ポインタiで指定される音符データNOTE[i]に付加される識別データwaonの値に基づき読み出された音符データが和音の構成音であるか否かを判別する。
【0028】
ここで、識別データwaonの値が「0」、すなわち読み出された音符データが和音の構成音でなければ、判断結果は「NO」になり、ステップSD2に進み、読み出された音符データの発音を音源16に指示する。具体的には、鍵盤10から出力される演奏情報に応じたノートイベントを生成して音源16に供給する。
【0029】
一方、識別データwaonの値が「0」以外の場合、すなわち読み出された音符データが和音の構成音であると、上記ステップSD1の判断結果は「YES」になり、ステップSD3に進み、識別データwaonの値で表される和音順番番号をレジスタCにストアする。以下、レジスタCの値を和音順番番号Cと称す。
【0030】
続いて、ステップSD4に進み、この時点ではポインタiで指定される音符データNOTE[i]に付加されるフラグstに基づき基準になるベロシティの音であるか否か、つまりフラグstが「1」であるかどうかを判断する。フラグstが基準ベロシティである旨を表す「1」ならば、判断結果は「YES」になり、ステップSD5に進み、ポインタiで指定される音符データNOTE[i]に付加されるベロシティvelを、基準ベロシティとしてレジスタVELにストアした後、ステップSD6に進む。
【0031】
これに対し、フラグstが基準ベロシティでない旨を表す「0」であると、上記ステップSD4の判断結果が「NO」になり、直接ステップSD6に進む。ステップSD6では、現在指定される音符データの次に続く音符データを読み出して指定する。続くステップSD7において、こうして指定された音符データの識別データwaonの値と上記ステップSD3にてレジスタCにストアされている識別データwaonの値(和音順番番号)と同じ値であるかどうか、つまり現在指定されている音符データはポインタiで指定される音符データNOTE[i]と同じ和音の構成音であるか否か判断する。同じ和音の構成音であるならば、判断結果は「YES」となり、上述のステップSD4に戻り、この現在指定されている音符データのフラグstが「1」であるか否かを判断する動作を行う。
【0032】
以後、上記ステップSD4〜SD7を繰り返し実行することによって、同じ和音の構成音全ての中から基準となるベロシティの音(フラグstが「1」の音符データNOTE[i])を探し出し、該当する音のベロシティvelを抽出してレジスタVELにストアし終えると、上記ステップSD7の判断結果が「NO」になり、ステップSD8に進む。以下、レジスタVELの内容を基準ベロシティVELと称す。
【0033】
ステップSD8では、ポインタiで指定されている音符データのベロシティデータvelを基準ベロシティVELに変換し、続くステップSD9にてこの変換された基準ベロシティVLで指定されている音符データに対応する楽音を発音させるよう音源16に指示する。この後、ステップSD10にてポインタi
をインクリメントし、続くステップSD11にてこのポインタiにて指定される音符データNOTE[i]の識別データwaonの値がレジスタCにストアされている識別データwaonの値(和音順番番号)と同じ値であるかどうか、つまり現在指定されている音符データはポインタiで最初に指定される音符データと同じ和音の構成音であるか否か判断する。同じ和音の構成音であるならば、判断結果は「YES」となり、上述のステップSD8に戻り、同様の処理動作を行う。そして、全ての構成音を基準ベロシティVELで発音させ終えると、ステップSD11の判断結果が「NO」となり、本処理を終える。
【0034】
このように、楽音データ補正処理では、読み出された音符データが和音の構成音であるか否かを、曲データSONGの中からポインタiで指定される音符データNOTE[i]に付加される識別データwaonの値に基づき判別する。そして、読み出された音符データが和音の構成音であると、曲データSONG中から同じ和音の構成音の音符データNOTEを探し出し、探し出した全ての構成音の音符データNOTEの内、フラグstが「1」の音符データNOTEのベロシティvelを和音の基準ベロシティVELとして抽出する。基準ベロシティVELを抽出し終えると、同じ和音を構成する全ての構成音の音符データNOTEのベロシティvelを基準ベロシティVELに変換し、変換された基準ベロシティに従って和音の各構成音を発音させる。
【0035】
したがって、曲を構成する各音を表す音符データNOTE[0]〜[n]と、これら各音符データNOTE[0]〜[n]に各々付加される識別データwaon、フラグst、ベロシティvelとから構成される曲データSONGにおいて、例えば図3に図示するC4音(ド)およびE4音(ミ)の和音を左手鍵域で演奏させるケースであれば、左手の親指で弾くE4音(ミ)が基準ベロシティとなり、そのフラグstが「1」となるように設定し、一方、C4音(ド)およびE4音(ミ)の和音を右手鍵域で演奏させるケースならば、右手の親指で弾くC4音(ド)が基準ベロシティとなり、そのフラグstが「1」となるように設定する。
【0036】
そうした設定にすれば、左手鍵域でC4音(ド)およびE4音(ミ)の和音を演奏するケースでは、左手の親指で弾くE4音(ミ)のベロシティvelで和音が発音され、一方、右手鍵域でC4音(ド)およびE4音(ミ)の和音を演奏するケースでは、右手の親指で弾くC4音(ド)のベロシティvelで和音が発音される為、左手の親指で弾くE4音(ミ)のベロシティvelと、右手の親指で弾くC4音(ド)のベロシティvelとを異ならせておけば、構成音が同じ和音を右手で弾く場合と左手で弾く場合とで音量を異ならせることが可能になる。
【0037】
以上、本発明の実施の一形態について説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、本願出願の特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下では、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された各発明について付記する。
【0038】
(付記)
[請求項1]
曲を構成する複数の音符データが記憶されるとともに、各音符データは、ベロシティデータ、当該音符が和音の構成音であるか否かを示す識別データ及び当該ベロシティが基準ベロシティであるか否かを示す判別フラグを有する曲データを記憶する曲データ記憶手段と、
この曲データ記憶手段から前記音符データを順次読み出すとともに、読み出された音符データの識別データから当該音符データが和音の構成音であるか否かを判別する第1判別手段と、
前記第1判別手段により和音の構成音と判別された場合に、当該判別された音符データの属する和音の残りの構成音を、前記曲データ記憶手段からこの後に読み出される音符データの中から検出する構成音検出手段と、
前記第1判別手段により判別された音符データ、及び前記構成音検出手段により検出された音符データが夫々有する判別フラグより、基準ベロシティを有する音符データを判別する第2判別手段と、
前記第1判別手段により判別された音符データ及び前記構成音検出手段により検出された音符データ夫々が有するベロシティを、前記第2判別手段により判別された音符データが有する基準ベロシティに変換する変換手段と、
を具備することを特徴とする楽音データ補正装置。
【0039】
[請求項2]
前記識別データはさらに、和音の構成音である旨を表す場合、前記曲データ記憶手段から当該和音が読み出される順番を示す和音順番番号であることを特徴とする請求項1記載の楽音データ補正装置。
【0040】
[請求項3]
前記構成音検出手段は、読み出された音符データの識別データが表す和音順番番号と同じ番号の識別データを有する音符データを、同じ和音の構成音として検出することを特徴とする請求項1記載の楽音データ補正装置。
【0041】
[請求項4]
曲を構成する複数の音符データが記憶されるとともに、各音符データは、ベロシティデータ、当該音符が和音の構成音であるか否かを示す識別データ及び当該ベロシティが基準ベロシティであるか否かを示す判別フラグを有する曲データを記憶する曲データ記憶手段を有するコンピュータに、
この曲データ記憶手段から前記音符データを順次読み出すとともに、読み出された音符データの識別データから当該音符データが和音の構成音であるか否かを判別する第1判別ステップと、
当該和音の構成音と判別された場合に、当該判別された音符データの属する和音の残りの構成音を、前記曲データ記憶手段からこの後に読み出される音符データの中から検出する構成音検出ステップと、
前記和音の構成音と判別された音符データ及び前記構成音検出ステップにより検出された音符データが夫々有する判別フラグより、基準ベロシティを有する音符データを判別する第2判別ステップと、
前記和音の構成音と判別された音符データ及び前記構成音検出ステップにより検出された音符データ夫々が有するベロシティを、前記第2判別手段により判別された音符データが有する基準ベロシティに変換する変換ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0042】
10 鍵盤
11 操作部
12 CPU
13 ROM
14 RAM
15 表示部
16 音源
17 サウンドシステム
100 電子楽器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲を構成する複数の音符データが記憶されるとともに、各音符データは、ベロシティデータ、当該音符が和音の構成音であるか否かを示す識別データ及び当該ベロシティが基準ベロシティであるか否かを示す判別フラグを有する曲データを記憶する曲データ記憶手段と、
この曲データ記憶手段から前記音符データを順次読み出すとともに、読み出された音符データの識別データから当該音符データが和音の構成音であるか否かを判別する第1判別手段と、
前記第1判別手段により和音の構成音と判別された場合に、当該判別された音符データの属する和音の残りの構成音を、前記曲データ記憶手段からこの後に読み出される音符データの中から検出する構成音検出手段と、
前記第1判別手段により判別された音符データ、及び前記構成音検出手段により検出された音符データが夫々有する判別フラグより、基準ベロシティを有する音符データを判別する第2判別手段と、
前記第1判別手段により判別された音符データ及び前記構成音検出手段により検出された音符データ夫々が有するベロシティを、前記第2判別手段により判別された音符データが有する基準ベロシティに変換する変換手段と、
を具備することを特徴とする楽音データ補正装置。
【請求項2】
前記識別データはさらに、和音の構成音である旨を表す場合、前記曲データ記憶手段から当該和音が読み出される順番を示す和音順番番号であることを特徴とする請求項1記載の楽音データ補正装置。
【請求項3】
前記構成音検出手段は、読み出された音符データの識別データが表す和音順番番号と同じ番号の識別データを有する音符データを、同じ和音の構成音として検出することを特徴とする請求項1記載の楽音データ補正装置。
【請求項4】
曲を構成する複数の音符データが記憶されるとともに、各音符データは、ベロシティデータ、当該音符が和音の構成音であるか否かを示す識別データ及び当該ベロシティが基準ベロシティであるか否かを示す判別フラグを有する曲データを記憶する曲データ記憶手段を有するコンピュータに、
この曲データ記憶手段から前記音符データを順次読み出すとともに、読み出された音符データの識別データから当該音符データが和音の構成音であるか否かを判別する第1判別ステップと、
当該和音の構成音と判別された場合に、当該判別された音符データの属する和音の残りの構成音を、前記曲データ記憶手段からこの後に読み出される音符データの中から検出する構成音検出ステップと、
前記和音の構成音と判別された音符データ及び前記構成音検出ステップにより検出された音符データが夫々有する判別フラグより、基準ベロシティを有する音符データを判別する第2判別ステップと、
前記和音の構成音と判別された音符データ及び前記構成音検出ステップにより検出された音符データ夫々が有するベロシティを、前記第2判別手段により判別された音符データが有する基準ベロシティに変換する変換ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−252073(P2012−252073A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123140(P2011−123140)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】