説明

構成部分モジュールのための運搬・組付け車両

【課題】運搬・組付け車両により運搬したい種々異なる構成部分モジュールのジオメトリに迅速かつ廉価に適合可能となるような運搬・組付け車両を提供する。
【解決手段】可動のプラットホーム21が支持アーム構造体32を有しており、該支持アーム構造体に構成部分モジュール2が、運搬・保守作業の間、載設され、支持アーム構造体がプラットホームに対して相対的に運動可能であって、少なくとも2つの位置をとるようになっており、可動のプラットホームの支持アーム構造体が収容アダプタ34を有しており、該収容アダプタが、可動のプラットホームの長手方向および横方向42,43で位置可変に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば航空機推進機関(航空機ジェットエンジン)のような構成部分モジュールのための運搬・組付け車両であって、可動のプラットホームが設けられており、該プラットホームが支持アーム構造体を有しており、該支持アーム構造体に構成部分モジュールが、運搬・保守作業の間、載設されるようになっており、支持アーム構造体がプラットホームに対して相対的に運動可能であって、支持アーム構造体が少なくとも2つの位置、つまり支持アーム構造体が構成部分モジュールを保持するアクティブな位置と、支持アーム構造体が構成部分モジュールを解放する非アクティブな位置をとるようになっている形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第0147246号明細書に基づき、航空機推進機関に用いられるこのような形式の運搬架台が公知である。この運搬架台は複数の部分から成るプラットホーム構造体を有している。開示された実施例では、このプラットホーム構造体がベースと、このベースに解離可能に結合されたフレーム構造体とを有している。この場合、このフレーム構造体は航空機推進機関を収容するための保持エレメントを有している。ベースとフレーム構造体とが解離可能に互いに結合されていることにより、フレーム構造体には種々異なる寸法に設計されたベースを装備させることができるので、この運搬架台は種々異なる大きさの推進機関の運搬のために使用され得る。しかし、このような構成において不都合となるのは、前記運搬架台が各推進機関に合わせてそれぞれ別個の専用ベースを装備しなければならないことである。このことは、このような運搬架台のフレキシブルな使用のためのコストを著しく高める。
【0003】
さらに、公知先行技術に基づき、航空機推進機関のための運搬架台を移動可能に形成することが知られている。この例としては、たとえばドイツ連邦共和国実用新案第202004015422号明細書が挙げられる。同ドイツ連邦共和国実用新案明細書には、航空機推進機関を搬送するための移動可能な運搬架台が開示されている。運搬架台の走行装置がメカナムホイール(Mecanumraeder)を収容していることにより、運搬架台を同一平面に沿って完全に自由に移動させることができる。このことは特に次のような利点がある。すなわち、運搬架台が、航空機推進機関の組付けおよび取外しの際に生ぜしめられる空間的な条件に極めてフレキシブルに対応し得るようになる。走行装置の構造とは無関係に、このような運搬架台の使用は、運搬したい航空機推進機関のための位置固定手段に関連している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第0147246号明細書
【特許文献2】ドイツ連邦共和国実用新案第202004015422号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえに、本発明の課題は、上で説明した公知先行技術の欠点を回避して、特に、当該運搬・組付け車両により運搬したい種々異なる構成部分モジュールのジオメトリ(幾何学的形状)に迅速かつ廉価に適合可能となるような、たとえば航空機推進機関のような構成部分モジュールのための運搬・組付け車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために本発明の構成では、可動のプラットホームの支持アーム構造体が収容アダプタを有しており、該収容アダプタが、可動のプラットホームの長手方向および該長手方向に対して直交する横方向で位置可変に配置されているようにした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、たとえば航空機推進機関のような構成部分モジュールのための運搬・組付け車両が、可動のプラットホームを有しており、該プラットホームが保持アームを有しており、該保持アームに構成部分モジュールが、運搬・保守作業の間、載設されるようになっており、可動のプラットホームの保持アームが収容アダプタを有しており、該収容アダプタが、可動のプラットホームの長手方向および該長手方向に対して直交する横方向で位置可変に配置されていることにより、運搬・組付け車両が多目的に使用可能となることが達成される。なぜならば、位置固定メカニズムが、当該運搬・組付け車両により運搬したい種々異なる構成部分モジュールのジオメトリ(幾何学的形状)に、迅速かつ廉価に適合可能であるからである。
【0008】
本発明の有利な構成では、可動のプラットホームが、互いに反対の側に位置する少なくとも2つのプラットホームセグメントを有しており、該プラットホームセグメントの間の中間室に少なくとも1つの構成部分モジュールが配置可能である。択一的には、構成部分モジュールを直接にプラットホームセグメントに収容して、該プラットホームセグメントに位置固定することもできる。このような配置には次のような利点がある。すなわち、構成部分モジュールが運搬・組付け車両の収容アダプタによって、力に応じて収容され、かつ構成部分の過剰寸法設定が不要になり得る。
【0009】
本発明の別の有利な改良形では、各プラットホームセグメントに1つまたは複数の収容アダプタが対応配置されており、各プラットホームセグメントの収容アダプタが、同一の鉛直方向位置または種々異なる鉛直方向位置に配置されている。このような構成によっても、たとえば種々異なるタイプの航空機推進機関および走行装置のような種々異なる構成部分モジュールの運搬における自在性もしくはフレキシブル性が一層高められる。
【0010】
互いに反対の側に位置するプラットホームが、互いに接近する方向および互いに離れる方向に運動可能であることにより、収容アダプタの横方向運動を実現するためのスペース節約的な構造が得られる。このような構造により、運搬・組付け車両が、作業位置および運搬位置において、または直接にプラットホームセグメントに構成部分モジュールを収容する際に、コンパクトな構造を有することが確保される。なぜならば、プラットホームセグメントが直接に互いに隣接して位置決め可能であるからである。
【0011】
1つのプラットホームセグメントの収容アダプタが、水平方向および/または鉛直方向に移動可能に各プラットホームセグメントに配置されていることによっても、種々異なる寸法設定における構成部分モジュールのための本発明による運搬・組付け車両の使用の自在性は一層高められる。
【0012】
本発明のさらに別の有利な改良形では、構成部分モジュールが運搬フレームによって収容され、該運搬フレームが、可動のプラットホームにおける位置固定のために位置固定ポケットを有している。このことには特に次のような利点がある。すなわち、運搬・組付け車両の運動時でも保持される、当該運搬・組付け車両における極めて精密な位置に構成部分モジュールを位置決めすることができる。
【0013】
本発明のさらに別の有利な構成では、可動のプラットホームセグメントの収容アダプタが該位置固定ポケットに到達して該位置固定ポケット内に係合し得るように位置固定ポケットが運搬フレームに配置されている。これにより、迅速かつ確実に各構成部分モジュールを運搬・組付け車両によって収容するか、または当該運搬・組付け車両から引き渡すことができるようにするための前提条件が提供される。
【0014】
運搬・組付け車両の走行時および構成部分モジュールの旋回時に、運搬・組付け車両における構成部分モジュールの確実な位置固定が常時保証されているようにするために、本発明のさらに別の有利な構成では、収容アダプタが前記位置固定ポケット内に係止可能である。
【0015】
可動のプラットホームが、昇降システムを介して当該運搬・組付け車両に組み込まれていると、構成部分モジュールの、しばしば技術的に有利であると立証された鉛直方向の位置変化、ひいては極めて信頼性良くかつ精密に動作する鉛直方向の位置変化が達成される。これに関連して、プラットホームが分割されている場合に各プラットホームセグメントに1つの昇降システムが対応配置されていて、各プラットホームセグメントがそれぞれ別個に、または全ての可動のプラットホームセグメントが一緒に、前記昇降システムによって鉛直方向に移動可能であると有利である。
【0016】
本発明のさらに別の有利な構成では、昇降システムがテーブル型リフトもしくはシザーリフトとして形成されている。この場合、シザーリフトはハイドロリック式に、またはスピンドル・電動モータ組合せユニットによって移動可能である。このようなシステムには特に次のような利点がある。すなわち、このようなシステムは、極めて精密に、しかも極めて小さなステップで、または無段式に、構成部分モジュールの鉛直方向の位置変更を可能にする。
【0017】
本発明のさらに別の有利な構成では、当該運搬・組付け車両の走行装置が、メカナムホイールを有している。これにより、運搬・組付け車両、ひいては運搬・組付け車両によりその都度収容された構成部分の、床面に沿った運動が達成される。メカナムホイールは床面に沿った運搬・組付け車両の完全に自由な運動の他に、極めて精密な方向変更をも可能にする。メカナムホイールの所要の極めて精密な制御に基づき、当該運搬・組付け車両の走行装置が電気的に駆動されると有利である。
【0018】
少なくとも航空機製造においては、航空機推進機関の組付けおよび取外しが大きな高さで行われることに基づき、プラットホームセグメントが、踏み面および工具収納室を有していると有利である。これにより、組付け作業チームは、必要となる全ての工具および器具を、運動するプラットホームと一緒に運んで行くことができる。このことは、とりわけ組付け時間または取外し時間を節約する。なぜならば、工具を調達するための補助時間が最小限に減じられるからである。さらに、大きな組付け作業チームであれば、複数の組付け・取外し作業を同時に実施することができる。
【0019】
本発明のさらに別の有利な構成では、収容アダプタが、ボールジョイントによって、高さ方向に可動のプラットホームまたはプラットホームセグメントに枢着されている支持アーム構造体によって収容される。このような構成には、とりわけ次のような利点がある。すなわち、収容アダプタを空間内で完全に自由に運動させることができるので、臨界的な位置に位置決めされた位置固定ポケットも収容アダプタによって良好に到達され得るようになる。これに関連して、前記ボールジョイントが、規定された複数の角度位置に係止可能であっても有利である。これにより、収容アダプタにより支持された構成部分モジュールは空間内の任意の位置を占めることができる。
【0020】
構成部分モジュールの組付け時または取外し時に機械システムおよび構成部分モジュールにおける損傷を回避するために、本発明のさらに別の有利な構成では、構成部分モジュールの運搬フレームおよび/または構成部分モジュールおよび/または高さ方向に可動のプラットホームおよび/または高さ方向に可動のプラットホームセグメントに、構成部分モジュールを収容する機械システムに対する構成部分モジュールの荷重または押付け圧を検出するためのセンサシステムが取り付けられている。
【0021】
さらに別の有利な構成は請求項2以下に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による運搬・組付け車両の側面図である。
【図2】本発明による運搬・組付け車両を上から見た平面図である。
【図3】航空機の翼面における航空機推進機関の組付けを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明を実施するための形態を図面につき詳しく説明する。
【0024】
図1には、構成部分モジュール2、たとえば航空機推進機関(ジェットエンジン)3を運搬するための運搬・組付け車両1が概略的に図示されている。この運搬・組付け車両1は、多数の走行ホイール4を収容した走行装置5を有している。図1に示した拡大図から判るように、走行ホイール4はメカナムホイール(Mecanumraeder)6として形成されている。このような走行ホイール4のホイールボディ7は一点鎖線でのみ示した走行ホイール軸8の他に、両側に、走行ホイール幅を画定する、互いに隣接して配置された支持エレメント9,10を有している。両支持エレメント9,10は走行ホイール軸8に相対回動不能に結合されている。支持エレメント9,10は規則的な間隔を置いて、1つの共通の円周線に沿って位置する複数の開口11によって貫通される。これらの開口11は軸受けシート(図示しない)を収容しており、この軸受けシートは走行ホイール4の周面に対応配置された転がり体12を支持している。これらの転がり体12はそれぞれ自由回転可能に支持エレメント9,10によって収容され、この場合、各転がり体12の回転軸線13は各走行ホイール4の回転ホイール軸8に対して所定の角度を成して配置されており、転がり体12のこのような傾斜位置は、正面図で見て前記回転ホイール軸8と各回転軸線13との間に生ぜしめられる角度αにより得られる。走行ホイール4が一方ではその固有の走行ホイール軸8を中心にして矢印方向14で示したように時計回り方向または逆時計回り方向に回転し得るようになっていて、他方では各転がり体12がその回転軸線13を中心にして矢印方向15で示したように同じく時計回り方向または逆時計回り方向に回転することにより、このような走行ホイール4を備えた運搬・組付け車両1は、自体公知の形式で、種々異なる運動方向における極めて精密な運動を実施することができるようになる。
【0025】
走行装置5は支持フレーム構造体16により収容される。この支持フレーム構造体16は端側の範囲にシステムモジュール17を有している。このシステムモジュール17は走行ホイール4の電気的な駆動装置(図示しない)にエネルギを供給するための1つまたは複数のバッテリ18を有している。さらにシステムモジュール17は制御ユニット19を収容している。この制御ユニット19は運搬・組付け車両1およびその位置可変のエレメント(あとで詳しく説明する)のあらゆる運動(以下にさらに詳しく説明する)を制御する。支持フレーム構造体16には、上側で昇降システム20が対応配置されている。この昇降システム20の上側の自由端部は本発明によるプラットホーム21を収容している。図示の実施例では、昇降システム20が鋏状リンク機構から成るテーブル型リフトもしくはシザーリフト(Hubschere)22として形成されている。このシザーリフト22に設けられた、対になってかつ互いに交差されて配置された支持ビーム23の上側および下側の自由端部はそれぞれ水平方向軸線24を中心にして旋回可能に、走行装置5を収容した支持フレーム構造体16に旋回運動可能に取り付けられている。この場合、相応する支持ビーム23の、それぞれシステムモジュール17に対応した下側の端部は、長さ変化を補償するために、水平方向のガイドレール(図示しない)に移動可能に配置されている。さらに、各支持ビーム23がそれぞれ別個に、または多数の支持ビーム23が一緒になって、支持フレーム構造体16により旋回運動可能に収容された位置変更駆動装置25を介して案内される。この位置変更駆動装置25はシザーリフト22の伸縮両行程を可能にし、ひいては鉛直方向における可動のプラットホーム21の位置変更を可能にする。鉛直方向の位置変更を実施するためには、図示の実施例に記載の位置変更駆動装置25が、ハイドロリック式またはニューマチック式に圧力負荷可能な1つまたは複数のリフトシリンダ26を有している。しかし、このリフトシリンダ26が、自体公知の1つまたは複数のスピンドル・電動モータアッセンブリ27(図示しない)により代えられていることも考えられる。
【0026】
運搬・組付け車両1が、航空機推進機関3として形成された構成部分モジュール2を、力に応じて収容し得るようにするために、支持フレーム構造体16には、運搬・組付け車両1の長手方向軸線に対して直交する横方向で両側にそれぞれ、別個の位置変更駆動装置25を備えたシザーリフト22として形成された1つの昇降システム20と、それぞれ別個のプラットホームセグメント28とが対応配置されている。こうして、両プラットホームセグメント28を互いに独立して別個に高さ方向可動に案内することができる。しかし、位置変更駆動装置25および/または可動のプラットホームセグメント28の昇降システム20を、両プラットホームセグメント28がその位置を同期的に変更し得るように互いに連結させることも考えられる。可動のプラットホーム21または各プラットホームセグメント28は踏み面29を有している。組付けオペレータ30は作業時にこの踏み面29上で、運搬・組付け車両1により収容された構成部分モジュール2の組付けおよび取外しのために運動することができる。さらに、プラットホーム21には工具収納室31が対応配置されている。
【0027】
可動のプラットホーム21ならびに可動のプラットホームセグメント28には、図示の実施例では、踏み面29の下方に位置する範囲において、互いに間隔を置いて配置された2つの支持アーム構造体32が対応配置されている。支持アーム構造体32の下側の自由端部33は、それぞれプラットホームセグメント28の間に配置された構成部分モジュール2の方向に向けられた収容アダプタ34(さらに詳しく説明する)を収容している。構成部分モジュール2の組付け、取外しおよび運搬を容易にするためには、収容アダプタ34を収容した支持アーム構造体32をテレスコープ式に伸縮可能に形成することもできるので、収容アダプタ34の鉛直方向の位置はプラットホームセグメント28の位置を変えない場合でも微調節可能となる。これに関連して、ボールジョイントメカニズム35を介して各プラットホームセグメント28によって支持アーム構造体32を収容することも考えられる。こうして、各収容アダプタ34がプラットホームセグメント28に対して相対的にいかなる任意の位置をも占めることが可能となる。ボールジョイントメカニズム35が自体公知の形式であらゆる任意の位置に係止可能である(詳しく説明しない)ことにより、各ボールジョイントメカニズム35を別の位置に係止することも可能である。
【0028】
各構成部分モジュール2が運搬・組付け車両1の収容アダプタ34によって時間節約的にかつ確実に収容され得るようにするためには、構成部分モジュール2が運搬フレーム36に固定されている。各運搬フレーム36の側方範囲は位置固定ポケット37により貫通される。この位置固定ポケット37は、運搬・組付け車両1のプラットホームセグメント28の既に説明した収容アダプタ34が該位置固定ポケット37に接近して該位置固定ポケット37内に係合し得るように運搬フレーム36に位置決めされている。
【0029】
図2には、本発明による運搬・組付け車両1における構成部分モジュール2の係止過程が概略的に示されている。この場合、図2の右側の図は、運搬フレーム36が運搬・組付け車両1の収容アダプタ34によって支持される位置を示している。運搬・組付け車両1の支持フレーム構造体16は左右の走行装置モジュール38を有している。両走行装置モジュール38は1つのセンタフレーム39を介して互いに結合されている。各走行装置モジュール38はそれぞれ1つの昇降システム20と、この昇降システム20の上側に対応配置された1つのプラットホームセグメント28とを支持している。構成部分モジュール2の運搬フレーム36が走行ホイール40を有していて、かつプラットホームセグメント28が2つの部分から成っていることに基づき、両プラットホームセグメント28の間の範囲が空いていることにより、構成部分モジュール2を両プラットホームセグメント28の間の中間室41内へ簡単に移動させることができる。プラットホームセグメント28に対応配置された収容アダプタ34によって運搬フレーム36を位置固定するためには、各プラットホームセグメント28が矢印方向42で示したように運搬フレーム36の方向に運動させられる。有利な1構成では、プラットホームセグメント28を収容する右側および左側のセンタフレームエレメント39a,39bが、たとえばリフトシリンダアッセンブリを介して一緒に、または互いに別個に独立してテレスコープ式に伸縮可能または移動可能であるので、運搬・組付け車両1のプラットホームセグメント28は互いに接近する方向または互いに離れる方向へ運動可能となる。それと同時に、またはその後に、収容アダプタ34は矢印方向43で示したように運搬・組付け車両1の長手方向で互いに対して相対的に移動させられ、この場合、収容アダプタ34は、該収容アダプタ34が各位置固定ポケット37の範囲に位置決めされるまで移動させられる。これによって本発明によれば、支持アーム構造体32に対応配置された収容アダプタ34は、矢印方向42,43に示したように構成部分モジュール2の長手方向および横方向で位置可変に運搬・組付け車両1に配置されるようになる。図1に示した実施例では収容アダプタ34がテレスコープ式に伸縮可能な支持アーム構造体32を有していて、それと同時に該支持アーム構造体32がボールジョイントメカニズム35によって各プラットホームセグメント28に配置可能であることにより、各収容アダプタ34が、各位置固定ポケット37に到達するためにほぼ任意に空間を通って運動させられかつこの空間に位置決めされ得ることが可能となる。それぞれ1つの収容アダプタ34を収容した各支持アーム構造体32が別個に制御可能に形成されていることにより、1つのプラットホームセグメント28の収容アダプタ34または運搬・組付け車両1の全ての収容アダプタ34が同一の鉛直方向位置または種々の鉛直方向位置に位置決め可能であることが可能となる。前記位置変更手段の全てが同一の運搬・組付け車両1において実現されることにより、各プラットホームセグメント28の収容アダプタ34は水平方向でかつ/または鉛直方向で移動可能にかつ/または旋回可能に運搬・組付け車両1に配置されていてよい。構成部分モジュール2が運搬・組付け車両1の収容アダプタ34によって常時確実に保持されかつ運動させられるようにするためには、収容アダプタ34が運搬フレーム36の位置固定ポケット37内に係止されるようになっていてよい。このためには、自体公知の、手動により操作可能または遠隔操作可能であるロック装置(詳しくは説明しない)が設けられていてよい。
【0030】
図3には、航空機45の翼面44における、新たに製作されたか、または修理された航空機推進機関3の組付け状態が図示されている。航空機推進機関3はその運搬フレーム36と、本発明による収容アダプタ34とを介して、運搬・組付け車両1のプラットホームセグメント28に位置固定されている。翼面44に一体成形された取付け収容部46に航空機推進機関3をスムーズに挿入することができるようにするためには、さらに、運搬・組付け車両1にセンサシステム47が対応配置されている。このセンサシステム47は航空機推進機関3として形成された構成部分モジュール2の、構成部分モジュール2を収容する機械システム48、つまりこの場合には航空機45の翼面44に対する押付け圧を検出する。提供されている構成スペースおよび所望の測定精度に応じて、1つまたは複数のセンサシステム47が設けられていてよい。この場合、センサシステム47は構成部分モジュール2の運搬フレーム36および/または構成部分モジュール2および/または高さ方向に可動のプラットホーム21および/または高さ方向に可動のプラットホームセグメント28に取り付けられていてよい。本発明の枠内では、センサシステム47が制御装置49を有しており、この制御装置49は、所定の閾値に関連して、つまり機械システム48に対する構成部分モジュール2の許容可能な押付け圧のためのメモリされた閾値が達成されるか、または上回られるやいなや、翼面44の取付け収容部46の方向における航空機推進機関3の運動を停止させる。
【符号の説明】
【0031】
1 運搬・組付け車両
2 構成部分モジュール
3 航空機推進機関
4 走行ホイール
5 走行装置
6 メカナムホイール
7 ホイールボディ
8 走行ホイール軸
9,10 支持エレメント
11 開口
12 転がり体
13 回転軸線
16 支持フレーム構造体
17 システムモジュール
18 バッテリ
19 制御ユニット
20 昇降システム
21 プラットホーム
22 シザーリフト
23 支持ビーム
24 水平方向軸線
25 位置変更駆動装置
26 リフトシリンダ
27 スピンドル・電動モータアッセンブリ
28 プラットホームセグメント
29 踏み面
30 組付けオペレータ
31 工具収納室
32 支持アーム構造体
33 端部
34 収容アダプタ
35 ボールジョイントメカニズム
36 運搬フレーム
37 位置固定ポケット
38 走行装置モジュール
39 センタフレーム
39a,39b センタフレームエレメント
40 走行ホイール
41 中間室
44 翼面
45 航空機
46 取付け収容部
47 センサシステム
48 機械システム
49 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
たとえば航空機推進機関(3)のような構成部分モジュール(2)のための運搬・組付け車両(1)であって、可動のプラットホーム(21)が設けられており、該プラットホーム(21)が支持アーム構造体(32)を有しており、該支持アーム構造体(32)に構成部分モジュール(2)が、運搬・保守作業の間、載設されるようになっており、支持アーム構造体(32)がプラットホーム(21)に対して相対的に運動可能であって、支持アーム構造体(32)が少なくとも2つの位置、つまり支持アーム構造体(32)が構成部分モジュール(2)を保持するアクティブな位置と、支持アーム構造体(32)が構成部分モジュール(2)を解放する非アクティブな位置をとるようになっている形式のものにおいて、可動のプラットホーム(21,28)の支持アーム構造体(32)が収容アダプタ(34)を有しており、該収容アダプタ(34)が、可動のプラットホーム(21,28)の長手方向および横方向(42,43)で位置可変に配置されていることを特徴とする、構成部分モジュールのための運搬・組付け車両。
【請求項2】
可動のプラットホーム(21)が、互いに反対の側に位置する少なくとも2つのプラットホームセグメント(28)を有しており、該プラットホームセグメント(28)の間の中間室(41)に少なくとも1つの構成部分モジュール(2)が配置可能である、請求項1記載の運搬・組付け車両。
【請求項3】
可動のプラットホーム(21)または各プラットホームセグメント(28)に1つまたは複数の収容アダプタ(34)が対応配置されており、該収容アダプタ(34)が、同一の鉛直方向位置または種々異なる鉛直方向位置に配置されている、請求項1または2記載の運搬・組付け車両。
【請求項4】
互いに反対の側に位置するプラットホームセグメント(28)が、互いに接近する方向および互いに離れる方向に運動可能である、請求項1から3までのいずれか1項記載の運搬・組付け車両。
【請求項5】
1つのプラットホームセグメント(28)の収容アダプタ(34)が、水平方向および/または鉛直方向に移動可能または旋回可能に当該運搬・組付け車両(1)に配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の運搬・組付け車両。
【請求項6】
構成部分モジュール(2)が運搬フレーム(36)によって収容され、該運搬フレーム(36)が、可動のプラットホーム(21)における位置固定のために位置固定ポケット(37)を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載の運搬・組付け車両。
【請求項7】
前記位置固定ポケット(37)は、可動のプラットホームセグメント(28)の収容アダプタ(37)が該位置固定ポケット(37)に到達して該位置固定ポケット(37)内に係合し得るように運搬フレーム(36)に配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の運搬・組付け車両。
【請求項8】
収容アダプタ(34)が前記位置固定ポケット(37)内に係止される、請求項7記載の運搬・組付け車両。
【請求項9】
可動のプラットホーム(21)または可動のプラットホームセグメント(28)が、昇降システム(20)を介して当該運搬・組付け車両(1)に組み込まれている、請求項1から8までのいずれか1項記載の運搬・組付け車両。
【請求項10】
可動のプラットホームセグメント(28)がそれぞれ別個に、または全ての可動のプラットホームセグメント(28)が一緒に、前記昇降システム(20)によって鉛直方向に移動可能である、請求項9記載の運搬・組付け車両。
【請求項11】
各可動のプラットホームセグメント(28)または可動のプラットホーム(21)に1つの昇降システム(20)が対応配置されており、該昇降システム(20)がシザーリフト(22)として形成されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の運搬・組付け車両。
【請求項12】
シザーリフト(22)が、ハイドロリック式に、またはスピンドル・電動モータ組合せユニット(27)によって移動可能である、請求項11記載の運搬・組付け車両。
【請求項13】
当該運搬・組付け車両(1)に、メカナムホイール(6)を収容する走行装置(5)が対応配置されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の運搬・組付け車両。
【請求項14】
当該運搬・組付け車両(1)が電気的に駆動される、請求項1から13までのいずれか1項記載の運搬・組付け車両。
【請求項15】
少なくとも前記可動のプラットホーム(21)または前記各可動のプラットホームセグメント(28)が、踏み面(29)および工具収納室(31)を有している、請求項1から14までのいずれか1項記載の運搬・組付け車両。
【請求項16】
収容アダプタ(34)が、ボールジョイント(35)によって、高さ方向に可動のプラットホーム(21)またはプラットホームセグメント(28)に枢着されている支持アーム構造体(32)によって収容される、請求項1から15までのいずれか1項記載の運搬・組付け車両。
【請求項17】
前記ボールジョイント(35)が、規定された複数の角度位置で係止可能である、請求項16記載の運搬・組付け車両。
【請求項18】
構成部分モジュール(2)の運搬フレーム(36)および/または構成部分モジュール(2)および/または高さ方向に可動のプラットホーム(21)および/または高さ方向に可動のプラットホームセグメント(28)に、構成部分モジュール(2)を収容する機械システム(48)に対する構成部分モジュール(2)の荷重または押付け圧を検出するためのセンサシステム(47)が配置されている、請求項1から17までのいずれか1項記載の運搬・組付け車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−23832(P2010−23832A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171021(P2009−171021)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(508285466)クラース フェアティグングステヒニーク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (2)
【氏名又は名称原語表記】CLAAS Fertigungstechnik GmbH
【住所又は居所原語表記】Dieselstrasse 6, D−48361 Beelen, Germany
【Fターム(参考)】