構造体の接合位置の最適化解析方法及び装置
【課題】平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適位置を求めることができる接合位置の最適化技術を提供する。
【解決手段】本発明に係る接合位置の最適化解析方法は、平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析方法であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部における解析対象部を設定する解析対象部設定ステップと、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定ステップと、前記解析対象部に対して接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定ステップと、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定ステップと、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記接合候補の中から求める解析ステップとを備えたことを特徴とするものである。
【解決手段】本発明に係る接合位置の最適化解析方法は、平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析方法であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部における解析対象部を設定する解析対象部設定ステップと、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定ステップと、前記解析対象部に対して接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定ステップと、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定ステップと、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記接合候補の中から求める解析ステップとを備えたことを特徴とするものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体の接合位置の最適化解析方法及び装置に関するものであり、主としてスポット溶接などの点接合や、レーザー溶接、アーク溶接、またはウェルドボンド接合などの連続接合の接合位置の最適化解析方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特に自動車産業においては環境問題に起因した車体の軽量化が進められており、車体の設計にコンピュータ支援工学による解析(以下、「CAE解析」という)は欠かせない技術となっている。
このCAE解析では数理最適化、板厚最適化、形状最適化、トポロジー最適化などの最適化技術を用いることによって剛性の向上や軽量化が図られることが知られており、例えばエンジンブロックなどの鋳物の構造最適化によく用いられている。
【0003】
最適化技術の中で、特にトポロジー最適化が着目されつつある。
トポロジー最適化はある程度の大きさの設計空間を設け、当該設計空間に立体要素を組み込み、与えられた条件を満たしかつ必要最小限の立体要素の部分を残すことで当該条件を満たす最適形状とするという方法である。そのため、トポロジー最適化は、設計空間をなす立体要素に直接拘束を行い、直接荷重を加えるという方法が用いられる。
このようなトポロジー最適化に関する技術として、複雑な構造体のコンポーネントのトポロジー最適化のための方法が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−250818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車体のような構造体は複数の部品を溶接などにより接合することにより一つの構造体を形成しており、接合量を増やせば剛性が向上することが知られている。しかし、コストの観点から接合量をできるだけ少なくすることが望まれている。
部品どうしの接合位置を決定する方法としては、均等間隔に設定する方法、経験や勘により設定する方法、応力解析により応力が高い部分に追加する方法などがある。
【0006】
しかしながら、接合位置を均等間隔に設定する方法や経験や勘により溶接位置を設定する方法では、剛性を向上させるために必要な位置を探して溶接位置を設定するのではないため、不要な位置に溶接位置を設定することになりコストの面からは効率が悪いと言わざるを得ない。
また、応力解析により応力が大きい部位に溶接位置を追加する方法では、追加前に対して変化はあるものの、溶接位置として追加した部位の近傍のみの特性が向上するものの、別の部位の特性が相対的に低下することになり、全体として評価したときには溶接位置を最適化しているとはいえない。
このように従来技術は、いずれも特性向上のための最適な位置に設定できるものではない。
【0007】
そこで、特許文献1に開示されたような最適化技術を適用することが考えられるが、溶接位置の最適化についてどのようにして最適化技術を適用するかについて開示した文献はなく、このような技術の開発が望まれていた。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適位置を求めることができる接合位置の最適化技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る接合位置の最適化解析方法は、平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析方法であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部における解析対象部を設定する解析対象部設定ステップと、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定ステップと、前記解析対象部に対して接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定ステップと、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定ステップと、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記接合候補の中から求める解析ステップとを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
(2)また、本発明に係る接合位置の最適化解析方法は、平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析方法であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定ステップと、設定された接合候補に対して解析対象部を設定する解析対象部設定ステップと、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定ステップと、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定ステップと、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記接合候補の中から求める解析ステップとを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
(3)また、本発明に係る接合位置の最適化解析方法は、平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析方法であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定ステップと、設定された接合候補に対して解析対象部を設定する解析対象部設定ステップと、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定ステップと、前記解析対象部に対して接合点又は接合部の候補となる接合候補を再設定する接合候補再設定ステップと、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定ステップと、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記再設定した接合候補の中から求める解析ステップとを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
(4)また、上記(3)に記載のものにおいて、前記接合候補再設定ステップは、前記接合点又は前記接合部を生成する接合生成ステップを有し、該接合生成ステップは、部品を構成する各平面要素の節点座標から要素の代表点を決定するステップと、前記部品の一つの平面要素を基準にして、他部品の平面要素に対し、それぞれの代表点同士の点間距離を座標値から計算し、溶接接合が可能な距離の平面要素間に接合要素を配置するステップとを備えたことを特徴とするものである。
【0013】
(5)また、上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のものにおいて、前記解析ステップは、離散化係数を4以上に設定して離散化を行うことを特徴とするものである。
【0014】
(6)また、上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のものにおいて、前記固定接合設定ステップは、接合された複数の部品に対して構造解析を行い、該構造解析の結果に基づいて前記固定接合点又は前記固定接合部を設定することを特徴とするものである。
【0015】
(7)また、上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のものにおいて、前記固定接合設定ステップは、接合された複数の部品における全ての接合要素を対象にして数値解析による最適化計算を行い、該最適化計算に基づいて前記固定接合点又は前記固定接合部を設定することを特徴とするものである。
【0016】
(8)また、上記(1)乃至(7)のいずれかに記載のものにおいて、前記接合候補設定ステップは、前記接合点又は前記接合部を生成する接合生成ステップを有し、該接合生成ステップは、部品を構成する各平面要素の節点座標から要素の代表点を決定するステップと、前記部品の一つの平面要素を基準にして、他部品の平面要素に対し、それぞれの代表点同士の点間距離を座標値から計算し、溶接接合が可能な距離の平面要素間に接合要素を配置するステップとを備えたことを特徴とするものである。
【0017】
(9)本発明に係る接合位置の最適化解析装置は、平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析装置であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部における解析対象部を設定する解析対象部設定部と、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定部と、前記解析対象部に対して接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定部と、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定部と、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記接合候補の中から求める最適化解析部とを備えたことを特徴とするものである。
【0018】
(10)また、本発明に係る接合位置の最適化解析装置は、平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析装置であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定部、設定された接合候補に対して解析対象部を設定する解析対象部設定部と、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定部と、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定部と、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記接合候補の中から求める最適化解析部とを備えたことを特徴とするものである。
【0019】
(11)また、本発明に係る接合位置の最適化解析装置は、平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析装置であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定と、設定された接合候補に対して解析対象部を設定する解析対象部設定部と、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定部と、前記解析対象部に対して接合点又は接合部の候補となる接合候補を再設定する接合候補再設定部と、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定部と、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記再設定した接合候補の中から求める最適化解析部とを備えたことを特徴とするものである。
【0020】
(12)また、上記(11)に記載のものにおいて、前記接合候補再設定部は、前記接合点又は前記接合部を生成する接合生成部を有し、該接合生成部は、部品を構成する各平面要素の節点座標から要素の代表点を決定し、前記部品の一つの平面要素を基準にして、他部品の平面要素に対し、それぞれの代表点同士の点間距離を座標値から計算し、溶接接合が可能な距離の平面要素間に接合要素を配置することを特徴とするものである。
【0021】
(13)また、上記(9)乃至(12)のいずれかに記載のものにおいて、前記最適化解析部は、離散化係数を4以上に設定して離散化を行うことを特徴とするものである。
【0022】
(14)また、上記(9)乃至(13)のいずれかに記載のものにおいて、前記固定接合設定部は、接合された複数の部品に対して構造解析を行い、該構造解析の結果に基づいて前記固定接合点又は前記固定接合部を設定することを特徴とするものである。
【0023】
(15)また、上記(9)乃至(13)のいずれかに記載のものにおいて、前記固定接合設定部は、接合された複数の部品における全ての接合要素を対象にして数値解析による最適化計算を行い、該最適化計算に基づいて前記固定接合点又は前記固定接合部を設定することを特徴とするものである。
【0024】
(16)また、上記(9)乃至(15)のいずれかに記載のものにおいて、前記接合候補設定部は、前記接合点又は前記接合部を生成する接合生成部を有し、該接合生成部は、部品を構成する各平面要素の節点座標から要素の代表点を決定し、前記部品の一つの平面要素を基準にして、他部品の平面要素に対し、それぞれの代表点同士の点間距離を座標値から計算し、溶接接合が可能な距離の平面要素間に接合要素を配置することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明においては、複数の部品を接合する接合点又は接合部における解析対象部を設定する解析対象部設定ステップと、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定ステップと、前記解析対象部に対して接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定ステップと、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定ステップと、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記接合候補の中から求める解析ステップとを備えたことにより、構造体の特性向上のための最適な接合位置を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態に係る接合位置の最適化解析装置のブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る接合位置の最適化解析装置における接合生成部の処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施の形態に係る接合位置の最適化解析装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の他の実施の形態に係る接合位置の最適化解析装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】構造体モデルの一例を説明する説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態において固定接合点を設定した状態の説明図である。
【図7】本発明の一実施の形態において固定点接合点を設定した後、接合部を生成した状態を説明する説明図である。
【図8】図7に示す状態に対して最適な接合点を求める解析処理をした状態を説明する説明図である。
【図9】比較例の説明図であり、固定点接合点を設定しないで、接合部を生成した状態を説明する図である。
【図10】図9に示す状態に対して最適な接合点を求める解析処理をした状態を説明する説明図である。
【図11】解析条件としての荷重拘束条件を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[実施の形態1]
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、主として図1に示すブロック図に基づき、図5に示す複数の部品から成る車体の構造体モデル21について、これらの部品どうしの点接合(スポット溶接)の最適化をする場合を例に挙げて、複数の部品の接合最適化解析装置1(以下、単に「接合最適化解析装置1」という)の構成について説明する。
【0028】
本実施の形態に係る接合最適化解析装置1は、複数の部品の接合の最適化を行う装置であり、PC(パーソナルコンピュータ)によって構成され、表示装置3と入力装置5と記憶装置7と作業用データメモリ9および演算処理部11を有している。
また、演算処理部11には、表示装置3と入力装置5と記憶装置7および作業用データメモリ9が接続され、演算処理部11の指令によって各機能を行う。
【0029】
<表示装置>
表示装置3は計算結果の表示等に用いられ、液晶モニター等で構成される。
【0030】
<入力装置>
入力装置5は構造体モデルファイル13の表示指示、操作者の条件入力等に用いられ、キーボードやマウス等で構成される。
【0031】
<記憶装置>
記憶装置7は、ファイルの記憶等に用いられ、ハードディスク等で構成される。記憶装置7内には、少なくとも、構造体モデルファイル13等の各種の情報が格納される。構造体モデルファイル13を表示装置に表示した一例が図5に示されている。構造体モデル21は、平面要素のみによって構成されたものでもよいし、あるいは平面要素と立体要素の組合せによって構成されたものでもよい。例えば、構造体モデル21の例として図5に示すような車体(ボディ)を例に挙げると、車体は主に薄鋼板によって形成されることから平面要素によって構成される。ただ、例えばエンジンのような鋳物で形成されるブロック体のようなものは立体要素で構成される。図5に示した、構造体モデル21は構造体モデル21を構成する各部品が初期接合点25によって40mmピッチで接合されている例である。
【0032】
<作業用データメモリ>
作業用データメモリ9、演算処理部11で使用するデータの一時保存や演算等に用いられ、RAM等で構成される。
【0033】
<演算処理部>
演算処理部11はPCのCPUによって構成され、以下に説明する各部はCPUが所定のプログラムを実行することによって実現される。
演算処理部11は、複数の部品を接合する接合点または接合部における解析対象部23を設定する解析対象部設定部15と、設定された解析対象部23において少なくとも1箇所の接合点または接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定部16と、解析対象部23に図7に示す接合候補29を設定する接合生成部19と、解析対象部23に対して解析条件を設定する解析条件設定部17と、離散化を行って解析条件を満たす最適な接合点又は接合位置最適化計算を行う最適化解析部18と、を備えたことを特徴とするものである。
なお、接合点とはスポット溶接の場合であり、接合部とは連続溶接の場合であるが、以下の説明では主として接合点を例に挙げて説明する。もっとも本発明は連続接合の場合にも適用できるものである。
各部の構成を詳細に説明する。
【0034】
〔解析対象部設定部〕
解析対象部設定部15は、構造体モデル21の一部に最適化の対象となる部分を解析対象部23として設定する。図5に示した構造体モデル21においては、車体の中央部のフロア以下の部分に矩形で囲んだ部位が示されているが、この例では当該部位が解析対象部23となる部位である。
【0035】
〔固定接合設定部〕
固定接合設定部16は、あらかじめ設定された接合部(以下、「初期接合点25」という)に対して有意な接合点として図6に示す固定接合点27を選出する。固定接合点27を選出する理由は、最適化解析の前処理として必ず接合する1カ所以上の接合箇所を選出することで、最適化解析が適切に行えるという知見に基づくものである。
固定接合点27は、単純構造解析または、トポロジー最適化を実施した結果に基づいて設定される。
単純構造解析を用いて固定接合点27を設定する場合は、次のように設定する。まず、剛性解析などの単純構造解析を行い、初期接合点25の各々に対し応力、ひずみ、ひずみエネルギー、荷重等を算出する。次に、この算出した結果を順位づけし、順位の高いものから順番に、あらかじめ設定された固定接合点27の数だけ選出する。固定接合点27の数は、1以上とする。
トポロジー最適化を用いて固定接合点27を設定する場合は、初期接合点25全体に対して解析を実行し、密度の大きい有意な点を固定接合点27として予め定めた数だけ選択する。
固定接合設定部16による、固定接合設定処理を実行することで、図6に示すように、固定接合点27が配置された。
【0036】
〔接合生成部〕
接合生成部19は、本発明の接合候補設定部の一態様に相当する。
接合生成部19は、ある2つの部品(以下、それぞれ「部品A」および「部品B」という)の間に図7の接合候補29を設定する。接合候補29の設定の手順を図2に示したフローチャートに基づいて説明する。
まず、各部品上の各平面要素の節点座標から中心点、重心点を算出し、要素の代表点を決める。FEM解析での積分点座標を用いてもよい(ステップS1)。
次に、部品A上のあるひとつの平面要素aの代表点と、部品B上の全平面要素の代表点の間のそれぞれの点距離を座標値から計算する(ステップS2)。
次に、点間距離がそれぞれの部品の板厚の1/2の和+Xmmのものみについて、代表点を結ぶものを連結線として作成する(ステップS3)。点間距離を規定したのは、実際の溶接において接合が可能なもののみを選別するためである。なお、スポット接合の場合X<3mm、レーザー接合の場合X<3mm、アーク接合の場合X<6mm、ウェルドボンド接合の場合X<6mmが好ましい。
【0037】
次に、連結線と平面要素の角度を算出し、角度が50〜90°の間の連結線を選出する(ステップS4)。
角度を規定した理由も上記の点間距離を規定したのと同様に、実際の溶接において接合が可能なもののみを選別するためである。
次に、選出した連結線の中心にポイントを設定し、メッシングソフトにより接合要素を配置し、接合候補29を設定する(ステップS5)。
次に、一度計算をした平面要素a以外の部品A上の全平面要素について、ステップS1〜ステップS5を順次おこなう(ステップS6)。
【0038】
なお、図1の接合生成部19によって図7に示す接合候補29を生成する処理は、図5の構造体モデル21そのものが複数の部品で構成されているが、それについて接合点が与えられていないような場合にも行われる。また、予め初期接合点が与えられていた場合においては、接合対象部について最適化処理を行う前に行われる。
解析対象部23に対して接合生成部19によって接合候補29を生成した状態が図7に示されている。
なお、接合生成部19を用いて接合候補29を設定する場合は、解析対象部23の体積などに応じて、接合候補29の数を設定してもよいし、設定可能な範囲でできる限り多く設定してもよい。
【0039】
〔解析条件設定部〕
解析条件設定部17は最適化計算を行うための解析条件を入力する。解析条件としては、例えば構造体の拘束位置、荷重を付加する位置、材料体積率、剛性を最大にする、変位を最小にする、応力を最小にする等である。
例えば、構造体モデル21(車体)に捩じるような荷重が作用する場合において、解析対象部23について最大剛性を計算するような場合には、図11に示すように、構造体モデル21の4箇所(a、b、c、d)を設定して、このうちの3カ所を拘束し、残りの1カ所に荷重を付加するような条件とする。
【0040】
〔最適化解析部〕
最適化解析部18は、解析対象部23に存在する接合候補29に対して解析条件設定部17で設定された解析条件に基づいて最適化解析を実行し、最適接合点31を選出する。
最適化解析方法としては、トポロジー最適化を適用することができ、その場合には要素のペナルティ係数を4以上に設定して離散化を行うようにするのが好ましい。
トポロジー最適化で密度法を用いる場合に、中間的な密度が多い場合には離散化が好ましく、式(1)であらわされる。
K(ρ)=ρpK・・・・・(1)
ただし、
K:要素の剛性マトリックスにペナルティを科したマトリックス
K:要素の剛性マトリックス
ρ:密度
p:ペナルティ係数
離散化によく用いられるペナルティ係数は2以上であるが、本発明ではペナルティ係数として4以上の値が接合の最適化に必要であることが明らかになった。
なお、最適化解析部18はトポロジー最適化処理を行うものでもよいし、他の計算方式による最適化処理であってもよい。したがって、最適化解析部18としては、例えば市販されている有限要素を用いた解析ソフトを使用することができる。
【0041】
接合生成部19によって解析対象部23に接合候補29を生成し(図7参照)、これに対して最適化解析処理を実行することで、図7に示す解析対象部23に設定された接合候補29のうち、図10に示す与えられた解析条件を満たす最適接合点31が残る。
【0042】
次に、図3に示すフローチャートに基づいて接合最適化解析装置1を用いた接合最適化解析方法について、図5に示す複数の部品から成る構造体モデル21について、これらの部品どうしの接合の最適化をする場合を例に挙げて説明する。ここでは、図5に示すように、あらかじめ初期接合点25が40mmのピッチで設定されているものとする。なお、以下に説明する処理は、操作者が入力装置5を通じてPCに指示することによって、PCにおける演算処理部11の各機能が処理を実行するものである。
【0043】
操作者が、解析処理の対象となる構造体モデル21のファイル読み出しを入力装置5によって指示することで、構造体モデル21が記憶装置7から読みだされ、表示装置3に表示される。
操作者は、表示された構造体モデル21において、最適化処理の対象となる解析対象部23の設定を指示する。この指示がなされることで、解析対象部設定部15が当該部位を解析対象部23として設定される(S11)。
【0044】
解析対象部23が設定されると、操作者は解析対象部23に存在する初期接合点25の中から固定接合点27を設定する指示を行う。この指示を受けて、固定接合設定部16は上述した単純構造解析またはトポロジー最適化によって予め定めた数の固定接合点27を設定する(図6参照)(S12)。
固定接合点27が設定されると、操作者は解析対象部23に接合候補29を設定する指示を行う。この指示を受けて、接合生成部19は解析対象部23に、上述した処理によって接合候補29を生成する(図7参照)(S13)。
次に、操作者は、解析条件設定部17によって解析条件を設定する(S14)。解析条件としては、前述したように、構造体の拘束位置、荷重を加える位置、材料体積率、剛性を最大にする、変位を最小にする、応力を最小にする等である。解析条件の入力が完了すると、解析実行を指示する。
最適化解析部18は、指示を受けて最適化解析の計算を実行する(S15)。最適化計算によって接合候補29のうちの必要な接合点が表示部に表示される(図8参照)。
【0045】
操作者は、最適化計算によって得られた接合点によってモデルを作成し、当該モデルに基づいて剛性の確認を行う。
【0046】
以上のように本実施の形態では、接合最適化の対象となる部位を構造体モデル21の中に解析対象部23として設定し、設定された解析対象部23に固定接合点27を設定し、さらに解析対象部23に接合候補29を生成して最適化解析処理を行うようにしたので、接合点に対する最適化解析処理を適切に行うことができる。
これによって、例えば車体構造における溶接個所の最適化が可能になり、溶接コストの低減が実現できる。
【0047】
なお、上記の説明では、構造体モデル21にあらかじめ初期接合点25が40mmのピッチで設定されている場合を例に挙げ、固定接合設定部16が初期接合点25の中から単純構造解析またはトポロジー最適化によって予め定めた数の固定接合点27を設定する例を示した。
しかし、本発明における固定接合設定ステップにおける固定接合点又は固定接合部の設定方法は上記の場合に限られるものではなく、初期接合点25とは別に操作者が入力装置5によって所望の位置を固定接合点又は固定接合部として設定してもよい。
また、初期接合点25とは別に操作者が入力装置5によって適当な位置を固定接合点又は固定接合部の候補として入力し、当該入力された候補に対して、単純構造解析またはトポロジー最適化によって予め定めた数の固定接合点27を設定するようにしてもよい。
また、接合生成部19によって固定接合点又は固定接合部の候補を生成し、生成された候補に対して、単純構造解析またはトポロジー最適化によって予め定めた数の固定接合点27を設定するようにしてもよい。
【0048】
なお、上記の説明において、構造体モデル21にあらかじめ初期接合点25が設定されている場合とは、例えば操作者とは別の者において予め初期接合点が設定されている場合の他、別の者において設定されていた初期設定点に操作者等が接合点を追加設定したような場合も含む。
【0049】
[実施の形態2]
上記の実施の形態1においては、図5に示すように、車体の構造体モデル21を構成する部品が予め初期接合されている場合であった。
しかし、構造体モデル21によっては構造体モデル21を構成する各部品が接合されていない場合もある。このような場合には、構造体モデル21を構成する各部品全体に対して接合生成部19による接合候補29の生成を行って、生成された接合候補29を初期接合点として実施の形態1と同様の処理を行えばよい。
【0050】
図4はこのような場合についてのフローチャートであり、図3と同じを処理を行う箇所には同じ符号が付してある。以下、図4に基づいて初期接合点25が無い場合の接合最適化解析方法の処理の流れを説明する。
なお、下記の説明においては、実施の形態1で説明したのと同様の処理については説明を省略する。
【0051】
記憶装置7に記憶されている構造体モデル21を読み出し、構造体モデル21を構成する各部品を接合する接合候補29を生成する(S13)。
接合候補29が生成されると、解析対象となる解析対象部23を設定する(S11)。設定された解析対象部に存在するS13によって生成された接合候補29に対して、固定接合設定部16によって例えば単純構造解析またはトポロジー最適化によって予め定めた数の固定接合点27を設定する(S12)。
固定接合点27が設定された後は、実施の形態1と同様に解析条件を設定し(S14)、解析対象部23に存在する接合候補29に対して最適化処理を実行する(S15)。
【0052】
以上のように、本実施の形態によれば、構造体モデル21に初期の接合が設定されていないような場合であっても所望の解析対象部23について接合の最適化を行うことができる。
【0053】
なお、上記の説明では、固定接合点27の設定方法として、初期接合点として生成された接合候補29の中から単純構造解析またはトポロジー最適化によって予め定めた数の固定接合点27を設定する例を示した。
しかし、本発明における固定接合設定ステップにおける固定接合点又は固定接合部の設定方法は上記の場合に限られるものではなく、初期接合点として生成された接合候補29とは別に操作者が入力装置5によって所望の位置を固定接合点又は固定接合部として設定してもよい。
また、生成された接合候補29とは別に操作者が入力装置5によって適当な位置を固定接合点又は固定接合部の候補として入力し、当該入力された候補に対して、単純構造解析またはトポロジー最適化によって予め定めた数の固定接合点27を設定するようにしてもよい。
また、初期接合点として生成された接合候補29とは別に接合生成部19と同様の機能を有する接合候補再設定部によって固定接合点又は固定接合部の候補を自動で再生成し、再生成された候補に対して、単純構造解析またはトポロジー最適化によって予め定めた数の固定接合点27を設定するようにしてもよい。
【0054】
なお、上記の実施の形態1、2においては、接合候補29を設定する方法として接合生成部によって自動的に生成する方法を説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば操作者が入力装置5を使って手入力することによって設定してもよい。
【実施例】
【0055】
以下、本発明の効果を確認するシミュレーションを行ったので、これについて説明する。
シミュレーションは図5に示す車体の構造体モデル21における直方体で囲まれた領域を解析対象部23として、解析対象部23内の部品どうしの接合の最適化をする場合について行った。初期接合点25が40mmピッチで設定されているという条件で、前述した実施の形態1の手順に則って行った。また、接合候補29、最適接合点31は、解析対象部23の体積等に応じてそれぞれ5424個、347個とした。なお固定接合点27の設定はトポロジー最適化計算を用いて行った。トポロジー最適化計算の結果、密度の高い66個を固定接合27とした。
【0056】
以下、本発明の効果と比較するため固定接合点27を設定しないで最適化解析処理を行った。図9はこの場合における解析対象部23に接合候補29を生成した状態を示し、図10は生成した接合候補29に対して固定接合点27を設定しないでトポロジー最適化計算を行った結果を示している。
なお、比較例と実施例では、最終的な接合点の数は、同数の413個であるが、図8と図10を比較すると、最適接合点31の位置が異なっていることがわかる。
【0057】
実施例と比較例のそれぞれで算出した最適接合点の設定をもとに、剛性解析を行った。解析条件は図11に示すa、b、c、dの4か所のうち1か所に0.5kNの荷重を与え、他方3か所を拘束し、ねじりを与えるものとした。
また、解析条件として密度の離散化の有無、ペナルティ係数、固定接合点27の設定の有無、接合候補自動生成の有無を変えて行った。
解析に用いた車体の寸法は、巾1200mm、長さ3350mm、高さ1130mmで、板厚0.8mmから2.0mmの鋼板および鋼材を用いた。基準の重量は125kgであり、元の形状でのねじり剛性の平均値は25.1(kN*m/deg)である。本実施例では鋼ベースの材料を用いたが、アルミニウム、チタニウム、マグネシウム、ガラス、樹脂、ゴム等、種種の材料を用いても何ら問題はない。
解析の結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
表1に示されるように、比較例6、7では剛性向上率がほとんどアップしていないのに対して、本発明例1〜5では剛性向上率が大きく向上している。本発明によるモデルの作成方法および計算方法により接合点の最適化が適切であることが実証された。
なお、表1における剛性向上率とは、初期の40mmピッチで接合点を設けた場合を基準としてその場合の剛性に対する剛性の向上率をいう。
【符号の説明】
【0060】
1 接合最適化解析装置
3 表示装置
5 入力装置
7 記憶装置
9 作業用データメモリ
11 演算処理部
13 構造体モデルファイル
15 解析対象部設定部
16 固定接合設定部
17 解析条件設定部
18 最適化解析部
19 接合生成部
21 構造体モデル
23 解析対象部
25 初期接合点
27 固定接合点
29 接合候補
31 最適接合点
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体の接合位置の最適化解析方法及び装置に関するものであり、主としてスポット溶接などの点接合や、レーザー溶接、アーク溶接、またはウェルドボンド接合などの連続接合の接合位置の最適化解析方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特に自動車産業においては環境問題に起因した車体の軽量化が進められており、車体の設計にコンピュータ支援工学による解析(以下、「CAE解析」という)は欠かせない技術となっている。
このCAE解析では数理最適化、板厚最適化、形状最適化、トポロジー最適化などの最適化技術を用いることによって剛性の向上や軽量化が図られることが知られており、例えばエンジンブロックなどの鋳物の構造最適化によく用いられている。
【0003】
最適化技術の中で、特にトポロジー最適化が着目されつつある。
トポロジー最適化はある程度の大きさの設計空間を設け、当該設計空間に立体要素を組み込み、与えられた条件を満たしかつ必要最小限の立体要素の部分を残すことで当該条件を満たす最適形状とするという方法である。そのため、トポロジー最適化は、設計空間をなす立体要素に直接拘束を行い、直接荷重を加えるという方法が用いられる。
このようなトポロジー最適化に関する技術として、複雑な構造体のコンポーネントのトポロジー最適化のための方法が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−250818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車体のような構造体は複数の部品を溶接などにより接合することにより一つの構造体を形成しており、接合量を増やせば剛性が向上することが知られている。しかし、コストの観点から接合量をできるだけ少なくすることが望まれている。
部品どうしの接合位置を決定する方法としては、均等間隔に設定する方法、経験や勘により設定する方法、応力解析により応力が高い部分に追加する方法などがある。
【0006】
しかしながら、接合位置を均等間隔に設定する方法や経験や勘により溶接位置を設定する方法では、剛性を向上させるために必要な位置を探して溶接位置を設定するのではないため、不要な位置に溶接位置を設定することになりコストの面からは効率が悪いと言わざるを得ない。
また、応力解析により応力が大きい部位に溶接位置を追加する方法では、追加前に対して変化はあるものの、溶接位置として追加した部位の近傍のみの特性が向上するものの、別の部位の特性が相対的に低下することになり、全体として評価したときには溶接位置を最適化しているとはいえない。
このように従来技術は、いずれも特性向上のための最適な位置に設定できるものではない。
【0007】
そこで、特許文献1に開示されたような最適化技術を適用することが考えられるが、溶接位置の最適化についてどのようにして最適化技術を適用するかについて開示した文献はなく、このような技術の開発が望まれていた。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適位置を求めることができる接合位置の最適化技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る接合位置の最適化解析方法は、平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析方法であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部における解析対象部を設定する解析対象部設定ステップと、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定ステップと、前記解析対象部に対して接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定ステップと、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定ステップと、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記接合候補の中から求める解析ステップとを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
(2)また、本発明に係る接合位置の最適化解析方法は、平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析方法であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定ステップと、設定された接合候補に対して解析対象部を設定する解析対象部設定ステップと、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定ステップと、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定ステップと、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記接合候補の中から求める解析ステップとを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
(3)また、本発明に係る接合位置の最適化解析方法は、平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析方法であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定ステップと、設定された接合候補に対して解析対象部を設定する解析対象部設定ステップと、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定ステップと、前記解析対象部に対して接合点又は接合部の候補となる接合候補を再設定する接合候補再設定ステップと、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定ステップと、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記再設定した接合候補の中から求める解析ステップとを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
(4)また、上記(3)に記載のものにおいて、前記接合候補再設定ステップは、前記接合点又は前記接合部を生成する接合生成ステップを有し、該接合生成ステップは、部品を構成する各平面要素の節点座標から要素の代表点を決定するステップと、前記部品の一つの平面要素を基準にして、他部品の平面要素に対し、それぞれの代表点同士の点間距離を座標値から計算し、溶接接合が可能な距離の平面要素間に接合要素を配置するステップとを備えたことを特徴とするものである。
【0013】
(5)また、上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のものにおいて、前記解析ステップは、離散化係数を4以上に設定して離散化を行うことを特徴とするものである。
【0014】
(6)また、上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のものにおいて、前記固定接合設定ステップは、接合された複数の部品に対して構造解析を行い、該構造解析の結果に基づいて前記固定接合点又は前記固定接合部を設定することを特徴とするものである。
【0015】
(7)また、上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のものにおいて、前記固定接合設定ステップは、接合された複数の部品における全ての接合要素を対象にして数値解析による最適化計算を行い、該最適化計算に基づいて前記固定接合点又は前記固定接合部を設定することを特徴とするものである。
【0016】
(8)また、上記(1)乃至(7)のいずれかに記載のものにおいて、前記接合候補設定ステップは、前記接合点又は前記接合部を生成する接合生成ステップを有し、該接合生成ステップは、部品を構成する各平面要素の節点座標から要素の代表点を決定するステップと、前記部品の一つの平面要素を基準にして、他部品の平面要素に対し、それぞれの代表点同士の点間距離を座標値から計算し、溶接接合が可能な距離の平面要素間に接合要素を配置するステップとを備えたことを特徴とするものである。
【0017】
(9)本発明に係る接合位置の最適化解析装置は、平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析装置であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部における解析対象部を設定する解析対象部設定部と、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定部と、前記解析対象部に対して接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定部と、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定部と、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記接合候補の中から求める最適化解析部とを備えたことを特徴とするものである。
【0018】
(10)また、本発明に係る接合位置の最適化解析装置は、平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析装置であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定部、設定された接合候補に対して解析対象部を設定する解析対象部設定部と、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定部と、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定部と、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記接合候補の中から求める最適化解析部とを備えたことを特徴とするものである。
【0019】
(11)また、本発明に係る接合位置の最適化解析装置は、平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析装置であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定と、設定された接合候補に対して解析対象部を設定する解析対象部設定部と、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定部と、前記解析対象部に対して接合点又は接合部の候補となる接合候補を再設定する接合候補再設定部と、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定部と、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記再設定した接合候補の中から求める最適化解析部とを備えたことを特徴とするものである。
【0020】
(12)また、上記(11)に記載のものにおいて、前記接合候補再設定部は、前記接合点又は前記接合部を生成する接合生成部を有し、該接合生成部は、部品を構成する各平面要素の節点座標から要素の代表点を決定し、前記部品の一つの平面要素を基準にして、他部品の平面要素に対し、それぞれの代表点同士の点間距離を座標値から計算し、溶接接合が可能な距離の平面要素間に接合要素を配置することを特徴とするものである。
【0021】
(13)また、上記(9)乃至(12)のいずれかに記載のものにおいて、前記最適化解析部は、離散化係数を4以上に設定して離散化を行うことを特徴とするものである。
【0022】
(14)また、上記(9)乃至(13)のいずれかに記載のものにおいて、前記固定接合設定部は、接合された複数の部品に対して構造解析を行い、該構造解析の結果に基づいて前記固定接合点又は前記固定接合部を設定することを特徴とするものである。
【0023】
(15)また、上記(9)乃至(13)のいずれかに記載のものにおいて、前記固定接合設定部は、接合された複数の部品における全ての接合要素を対象にして数値解析による最適化計算を行い、該最適化計算に基づいて前記固定接合点又は前記固定接合部を設定することを特徴とするものである。
【0024】
(16)また、上記(9)乃至(15)のいずれかに記載のものにおいて、前記接合候補設定部は、前記接合点又は前記接合部を生成する接合生成部を有し、該接合生成部は、部品を構成する各平面要素の節点座標から要素の代表点を決定し、前記部品の一つの平面要素を基準にして、他部品の平面要素に対し、それぞれの代表点同士の点間距離を座標値から計算し、溶接接合が可能な距離の平面要素間に接合要素を配置することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明においては、複数の部品を接合する接合点又は接合部における解析対象部を設定する解析対象部設定ステップと、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定ステップと、前記解析対象部に対して接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定ステップと、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定ステップと、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記接合候補の中から求める解析ステップとを備えたことにより、構造体の特性向上のための最適な接合位置を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態に係る接合位置の最適化解析装置のブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る接合位置の最適化解析装置における接合生成部の処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施の形態に係る接合位置の最適化解析装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の他の実施の形態に係る接合位置の最適化解析装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】構造体モデルの一例を説明する説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態において固定接合点を設定した状態の説明図である。
【図7】本発明の一実施の形態において固定点接合点を設定した後、接合部を生成した状態を説明する説明図である。
【図8】図7に示す状態に対して最適な接合点を求める解析処理をした状態を説明する説明図である。
【図9】比較例の説明図であり、固定点接合点を設定しないで、接合部を生成した状態を説明する図である。
【図10】図9に示す状態に対して最適な接合点を求める解析処理をした状態を説明する説明図である。
【図11】解析条件としての荷重拘束条件を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[実施の形態1]
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、主として図1に示すブロック図に基づき、図5に示す複数の部品から成る車体の構造体モデル21について、これらの部品どうしの点接合(スポット溶接)の最適化をする場合を例に挙げて、複数の部品の接合最適化解析装置1(以下、単に「接合最適化解析装置1」という)の構成について説明する。
【0028】
本実施の形態に係る接合最適化解析装置1は、複数の部品の接合の最適化を行う装置であり、PC(パーソナルコンピュータ)によって構成され、表示装置3と入力装置5と記憶装置7と作業用データメモリ9および演算処理部11を有している。
また、演算処理部11には、表示装置3と入力装置5と記憶装置7および作業用データメモリ9が接続され、演算処理部11の指令によって各機能を行う。
【0029】
<表示装置>
表示装置3は計算結果の表示等に用いられ、液晶モニター等で構成される。
【0030】
<入力装置>
入力装置5は構造体モデルファイル13の表示指示、操作者の条件入力等に用いられ、キーボードやマウス等で構成される。
【0031】
<記憶装置>
記憶装置7は、ファイルの記憶等に用いられ、ハードディスク等で構成される。記憶装置7内には、少なくとも、構造体モデルファイル13等の各種の情報が格納される。構造体モデルファイル13を表示装置に表示した一例が図5に示されている。構造体モデル21は、平面要素のみによって構成されたものでもよいし、あるいは平面要素と立体要素の組合せによって構成されたものでもよい。例えば、構造体モデル21の例として図5に示すような車体(ボディ)を例に挙げると、車体は主に薄鋼板によって形成されることから平面要素によって構成される。ただ、例えばエンジンのような鋳物で形成されるブロック体のようなものは立体要素で構成される。図5に示した、構造体モデル21は構造体モデル21を構成する各部品が初期接合点25によって40mmピッチで接合されている例である。
【0032】
<作業用データメモリ>
作業用データメモリ9、演算処理部11で使用するデータの一時保存や演算等に用いられ、RAM等で構成される。
【0033】
<演算処理部>
演算処理部11はPCのCPUによって構成され、以下に説明する各部はCPUが所定のプログラムを実行することによって実現される。
演算処理部11は、複数の部品を接合する接合点または接合部における解析対象部23を設定する解析対象部設定部15と、設定された解析対象部23において少なくとも1箇所の接合点または接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定部16と、解析対象部23に図7に示す接合候補29を設定する接合生成部19と、解析対象部23に対して解析条件を設定する解析条件設定部17と、離散化を行って解析条件を満たす最適な接合点又は接合位置最適化計算を行う最適化解析部18と、を備えたことを特徴とするものである。
なお、接合点とはスポット溶接の場合であり、接合部とは連続溶接の場合であるが、以下の説明では主として接合点を例に挙げて説明する。もっとも本発明は連続接合の場合にも適用できるものである。
各部の構成を詳細に説明する。
【0034】
〔解析対象部設定部〕
解析対象部設定部15は、構造体モデル21の一部に最適化の対象となる部分を解析対象部23として設定する。図5に示した構造体モデル21においては、車体の中央部のフロア以下の部分に矩形で囲んだ部位が示されているが、この例では当該部位が解析対象部23となる部位である。
【0035】
〔固定接合設定部〕
固定接合設定部16は、あらかじめ設定された接合部(以下、「初期接合点25」という)に対して有意な接合点として図6に示す固定接合点27を選出する。固定接合点27を選出する理由は、最適化解析の前処理として必ず接合する1カ所以上の接合箇所を選出することで、最適化解析が適切に行えるという知見に基づくものである。
固定接合点27は、単純構造解析または、トポロジー最適化を実施した結果に基づいて設定される。
単純構造解析を用いて固定接合点27を設定する場合は、次のように設定する。まず、剛性解析などの単純構造解析を行い、初期接合点25の各々に対し応力、ひずみ、ひずみエネルギー、荷重等を算出する。次に、この算出した結果を順位づけし、順位の高いものから順番に、あらかじめ設定された固定接合点27の数だけ選出する。固定接合点27の数は、1以上とする。
トポロジー最適化を用いて固定接合点27を設定する場合は、初期接合点25全体に対して解析を実行し、密度の大きい有意な点を固定接合点27として予め定めた数だけ選択する。
固定接合設定部16による、固定接合設定処理を実行することで、図6に示すように、固定接合点27が配置された。
【0036】
〔接合生成部〕
接合生成部19は、本発明の接合候補設定部の一態様に相当する。
接合生成部19は、ある2つの部品(以下、それぞれ「部品A」および「部品B」という)の間に図7の接合候補29を設定する。接合候補29の設定の手順を図2に示したフローチャートに基づいて説明する。
まず、各部品上の各平面要素の節点座標から中心点、重心点を算出し、要素の代表点を決める。FEM解析での積分点座標を用いてもよい(ステップS1)。
次に、部品A上のあるひとつの平面要素aの代表点と、部品B上の全平面要素の代表点の間のそれぞれの点距離を座標値から計算する(ステップS2)。
次に、点間距離がそれぞれの部品の板厚の1/2の和+Xmmのものみについて、代表点を結ぶものを連結線として作成する(ステップS3)。点間距離を規定したのは、実際の溶接において接合が可能なもののみを選別するためである。なお、スポット接合の場合X<3mm、レーザー接合の場合X<3mm、アーク接合の場合X<6mm、ウェルドボンド接合の場合X<6mmが好ましい。
【0037】
次に、連結線と平面要素の角度を算出し、角度が50〜90°の間の連結線を選出する(ステップS4)。
角度を規定した理由も上記の点間距離を規定したのと同様に、実際の溶接において接合が可能なもののみを選別するためである。
次に、選出した連結線の中心にポイントを設定し、メッシングソフトにより接合要素を配置し、接合候補29を設定する(ステップS5)。
次に、一度計算をした平面要素a以外の部品A上の全平面要素について、ステップS1〜ステップS5を順次おこなう(ステップS6)。
【0038】
なお、図1の接合生成部19によって図7に示す接合候補29を生成する処理は、図5の構造体モデル21そのものが複数の部品で構成されているが、それについて接合点が与えられていないような場合にも行われる。また、予め初期接合点が与えられていた場合においては、接合対象部について最適化処理を行う前に行われる。
解析対象部23に対して接合生成部19によって接合候補29を生成した状態が図7に示されている。
なお、接合生成部19を用いて接合候補29を設定する場合は、解析対象部23の体積などに応じて、接合候補29の数を設定してもよいし、設定可能な範囲でできる限り多く設定してもよい。
【0039】
〔解析条件設定部〕
解析条件設定部17は最適化計算を行うための解析条件を入力する。解析条件としては、例えば構造体の拘束位置、荷重を付加する位置、材料体積率、剛性を最大にする、変位を最小にする、応力を最小にする等である。
例えば、構造体モデル21(車体)に捩じるような荷重が作用する場合において、解析対象部23について最大剛性を計算するような場合には、図11に示すように、構造体モデル21の4箇所(a、b、c、d)を設定して、このうちの3カ所を拘束し、残りの1カ所に荷重を付加するような条件とする。
【0040】
〔最適化解析部〕
最適化解析部18は、解析対象部23に存在する接合候補29に対して解析条件設定部17で設定された解析条件に基づいて最適化解析を実行し、最適接合点31を選出する。
最適化解析方法としては、トポロジー最適化を適用することができ、その場合には要素のペナルティ係数を4以上に設定して離散化を行うようにするのが好ましい。
トポロジー最適化で密度法を用いる場合に、中間的な密度が多い場合には離散化が好ましく、式(1)であらわされる。
K(ρ)=ρpK・・・・・(1)
ただし、
K:要素の剛性マトリックスにペナルティを科したマトリックス
K:要素の剛性マトリックス
ρ:密度
p:ペナルティ係数
離散化によく用いられるペナルティ係数は2以上であるが、本発明ではペナルティ係数として4以上の値が接合の最適化に必要であることが明らかになった。
なお、最適化解析部18はトポロジー最適化処理を行うものでもよいし、他の計算方式による最適化処理であってもよい。したがって、最適化解析部18としては、例えば市販されている有限要素を用いた解析ソフトを使用することができる。
【0041】
接合生成部19によって解析対象部23に接合候補29を生成し(図7参照)、これに対して最適化解析処理を実行することで、図7に示す解析対象部23に設定された接合候補29のうち、図10に示す与えられた解析条件を満たす最適接合点31が残る。
【0042】
次に、図3に示すフローチャートに基づいて接合最適化解析装置1を用いた接合最適化解析方法について、図5に示す複数の部品から成る構造体モデル21について、これらの部品どうしの接合の最適化をする場合を例に挙げて説明する。ここでは、図5に示すように、あらかじめ初期接合点25が40mmのピッチで設定されているものとする。なお、以下に説明する処理は、操作者が入力装置5を通じてPCに指示することによって、PCにおける演算処理部11の各機能が処理を実行するものである。
【0043】
操作者が、解析処理の対象となる構造体モデル21のファイル読み出しを入力装置5によって指示することで、構造体モデル21が記憶装置7から読みだされ、表示装置3に表示される。
操作者は、表示された構造体モデル21において、最適化処理の対象となる解析対象部23の設定を指示する。この指示がなされることで、解析対象部設定部15が当該部位を解析対象部23として設定される(S11)。
【0044】
解析対象部23が設定されると、操作者は解析対象部23に存在する初期接合点25の中から固定接合点27を設定する指示を行う。この指示を受けて、固定接合設定部16は上述した単純構造解析またはトポロジー最適化によって予め定めた数の固定接合点27を設定する(図6参照)(S12)。
固定接合点27が設定されると、操作者は解析対象部23に接合候補29を設定する指示を行う。この指示を受けて、接合生成部19は解析対象部23に、上述した処理によって接合候補29を生成する(図7参照)(S13)。
次に、操作者は、解析条件設定部17によって解析条件を設定する(S14)。解析条件としては、前述したように、構造体の拘束位置、荷重を加える位置、材料体積率、剛性を最大にする、変位を最小にする、応力を最小にする等である。解析条件の入力が完了すると、解析実行を指示する。
最適化解析部18は、指示を受けて最適化解析の計算を実行する(S15)。最適化計算によって接合候補29のうちの必要な接合点が表示部に表示される(図8参照)。
【0045】
操作者は、最適化計算によって得られた接合点によってモデルを作成し、当該モデルに基づいて剛性の確認を行う。
【0046】
以上のように本実施の形態では、接合最適化の対象となる部位を構造体モデル21の中に解析対象部23として設定し、設定された解析対象部23に固定接合点27を設定し、さらに解析対象部23に接合候補29を生成して最適化解析処理を行うようにしたので、接合点に対する最適化解析処理を適切に行うことができる。
これによって、例えば車体構造における溶接個所の最適化が可能になり、溶接コストの低減が実現できる。
【0047】
なお、上記の説明では、構造体モデル21にあらかじめ初期接合点25が40mmのピッチで設定されている場合を例に挙げ、固定接合設定部16が初期接合点25の中から単純構造解析またはトポロジー最適化によって予め定めた数の固定接合点27を設定する例を示した。
しかし、本発明における固定接合設定ステップにおける固定接合点又は固定接合部の設定方法は上記の場合に限られるものではなく、初期接合点25とは別に操作者が入力装置5によって所望の位置を固定接合点又は固定接合部として設定してもよい。
また、初期接合点25とは別に操作者が入力装置5によって適当な位置を固定接合点又は固定接合部の候補として入力し、当該入力された候補に対して、単純構造解析またはトポロジー最適化によって予め定めた数の固定接合点27を設定するようにしてもよい。
また、接合生成部19によって固定接合点又は固定接合部の候補を生成し、生成された候補に対して、単純構造解析またはトポロジー最適化によって予め定めた数の固定接合点27を設定するようにしてもよい。
【0048】
なお、上記の説明において、構造体モデル21にあらかじめ初期接合点25が設定されている場合とは、例えば操作者とは別の者において予め初期接合点が設定されている場合の他、別の者において設定されていた初期設定点に操作者等が接合点を追加設定したような場合も含む。
【0049】
[実施の形態2]
上記の実施の形態1においては、図5に示すように、車体の構造体モデル21を構成する部品が予め初期接合されている場合であった。
しかし、構造体モデル21によっては構造体モデル21を構成する各部品が接合されていない場合もある。このような場合には、構造体モデル21を構成する各部品全体に対して接合生成部19による接合候補29の生成を行って、生成された接合候補29を初期接合点として実施の形態1と同様の処理を行えばよい。
【0050】
図4はこのような場合についてのフローチャートであり、図3と同じを処理を行う箇所には同じ符号が付してある。以下、図4に基づいて初期接合点25が無い場合の接合最適化解析方法の処理の流れを説明する。
なお、下記の説明においては、実施の形態1で説明したのと同様の処理については説明を省略する。
【0051】
記憶装置7に記憶されている構造体モデル21を読み出し、構造体モデル21を構成する各部品を接合する接合候補29を生成する(S13)。
接合候補29が生成されると、解析対象となる解析対象部23を設定する(S11)。設定された解析対象部に存在するS13によって生成された接合候補29に対して、固定接合設定部16によって例えば単純構造解析またはトポロジー最適化によって予め定めた数の固定接合点27を設定する(S12)。
固定接合点27が設定された後は、実施の形態1と同様に解析条件を設定し(S14)、解析対象部23に存在する接合候補29に対して最適化処理を実行する(S15)。
【0052】
以上のように、本実施の形態によれば、構造体モデル21に初期の接合が設定されていないような場合であっても所望の解析対象部23について接合の最適化を行うことができる。
【0053】
なお、上記の説明では、固定接合点27の設定方法として、初期接合点として生成された接合候補29の中から単純構造解析またはトポロジー最適化によって予め定めた数の固定接合点27を設定する例を示した。
しかし、本発明における固定接合設定ステップにおける固定接合点又は固定接合部の設定方法は上記の場合に限られるものではなく、初期接合点として生成された接合候補29とは別に操作者が入力装置5によって所望の位置を固定接合点又は固定接合部として設定してもよい。
また、生成された接合候補29とは別に操作者が入力装置5によって適当な位置を固定接合点又は固定接合部の候補として入力し、当該入力された候補に対して、単純構造解析またはトポロジー最適化によって予め定めた数の固定接合点27を設定するようにしてもよい。
また、初期接合点として生成された接合候補29とは別に接合生成部19と同様の機能を有する接合候補再設定部によって固定接合点又は固定接合部の候補を自動で再生成し、再生成された候補に対して、単純構造解析またはトポロジー最適化によって予め定めた数の固定接合点27を設定するようにしてもよい。
【0054】
なお、上記の実施の形態1、2においては、接合候補29を設定する方法として接合生成部によって自動的に生成する方法を説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば操作者が入力装置5を使って手入力することによって設定してもよい。
【実施例】
【0055】
以下、本発明の効果を確認するシミュレーションを行ったので、これについて説明する。
シミュレーションは図5に示す車体の構造体モデル21における直方体で囲まれた領域を解析対象部23として、解析対象部23内の部品どうしの接合の最適化をする場合について行った。初期接合点25が40mmピッチで設定されているという条件で、前述した実施の形態1の手順に則って行った。また、接合候補29、最適接合点31は、解析対象部23の体積等に応じてそれぞれ5424個、347個とした。なお固定接合点27の設定はトポロジー最適化計算を用いて行った。トポロジー最適化計算の結果、密度の高い66個を固定接合27とした。
【0056】
以下、本発明の効果と比較するため固定接合点27を設定しないで最適化解析処理を行った。図9はこの場合における解析対象部23に接合候補29を生成した状態を示し、図10は生成した接合候補29に対して固定接合点27を設定しないでトポロジー最適化計算を行った結果を示している。
なお、比較例と実施例では、最終的な接合点の数は、同数の413個であるが、図8と図10を比較すると、最適接合点31の位置が異なっていることがわかる。
【0057】
実施例と比較例のそれぞれで算出した最適接合点の設定をもとに、剛性解析を行った。解析条件は図11に示すa、b、c、dの4か所のうち1か所に0.5kNの荷重を与え、他方3か所を拘束し、ねじりを与えるものとした。
また、解析条件として密度の離散化の有無、ペナルティ係数、固定接合点27の設定の有無、接合候補自動生成の有無を変えて行った。
解析に用いた車体の寸法は、巾1200mm、長さ3350mm、高さ1130mmで、板厚0.8mmから2.0mmの鋼板および鋼材を用いた。基準の重量は125kgであり、元の形状でのねじり剛性の平均値は25.1(kN*m/deg)である。本実施例では鋼ベースの材料を用いたが、アルミニウム、チタニウム、マグネシウム、ガラス、樹脂、ゴム等、種種の材料を用いても何ら問題はない。
解析の結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
表1に示されるように、比較例6、7では剛性向上率がほとんどアップしていないのに対して、本発明例1〜5では剛性向上率が大きく向上している。本発明によるモデルの作成方法および計算方法により接合点の最適化が適切であることが実証された。
なお、表1における剛性向上率とは、初期の40mmピッチで接合点を設けた場合を基準としてその場合の剛性に対する剛性の向上率をいう。
【符号の説明】
【0060】
1 接合最適化解析装置
3 表示装置
5 入力装置
7 記憶装置
9 作業用データメモリ
11 演算処理部
13 構造体モデルファイル
15 解析対象部設定部
16 固定接合設定部
17 解析条件設定部
18 最適化解析部
19 接合生成部
21 構造体モデル
23 解析対象部
25 初期接合点
27 固定接合点
29 接合候補
31 最適接合点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析方法であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部における解析対象部を設定する解析対象部設定ステップと、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定ステップと、前記解析対象部に対して接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定ステップと、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定ステップと、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記接合候補の中から求める解析ステップとを備えたことを特徴とする接合位置の最適化解析方法。
【請求項2】
平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析方法であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定ステップと、設定された接合候補に対して解析対象部を設定する解析対象部設定ステップと、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定ステップと、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定ステップと、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記接合候補の中から求める解析ステップとを備えたことを特徴とする接合位置の最適化解析方法。
【請求項3】
平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析方法であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定ステップと、設定された接合候補に対して解析対象部を設定する解析対象部設定ステップと、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定ステップと、前記解析対象部に対して接合点又は接合部の候補となる接合候補を再設定する接合候補再設定ステップと、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定ステップと、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記再設定した接合候補の中から求める解析ステップとを備えたことを特徴とする接合位置の最適化解析方法。
【請求項4】
前記接合候補再設定ステップは、前記接合点又は前記接合部を生成する接合生成ステップを有し、該接合生成ステップは、部品を構成する各平面要素の節点座標から要素の代表点を決定するステップと、前記部品の一つの平面要素を基準にして、他部品の平面要素に対し、それぞれの代表点同士の点間距離を座標値から計算し、溶接接合が可能な距離の平面要素間に接合要素を配置するステップとを備えたことを特徴とする請求項3記載の接合位置の最適化方法。
【請求項5】
前記解析ステップは、離散化係数を4以上に設定して離散化を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の接合位置の最適化解析方法。
【請求項6】
前記固定接合設定ステップは、接合された複数の部品に対して構造解析を行い、該構造解析の結果に基づいて前記固定接合点又は前記固定接合部を設定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の接合位置の最適化解析方法。
【請求項7】
前記固定接合設定ステップは、接合された複数の部品における全ての接合要素を対象にして数値解析による最適化計算を行い、該最適化計算に基づいて前記固定接合点又は前記固定接合部を設定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の接合部の最適化解析方法。
【請求項8】
前記接合候補設定ステップは、前記接合点又は前記接合部を生成する接合生成ステップを有し、該接合生成ステップは、部品を構成する各平面要素の節点座標から要素の代表点を決定するステップと、前記部品の一つの平面要素を基準にして、他部品の平面要素に対し、それぞれの代表点同士の点間距離を座標値から計算し、溶接接合が可能な距離の平面要素間に接合要素を配置するステップとを備えたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の接合位置の最適化方法。
【請求項9】
平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析装置であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部における解析対象部を設定する解析対象部設定部と、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定部と、前記解析対象部に対して接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定部と、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定部と、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記接合候補の中から求める最適化解析部とを備えたことを特徴とする接合位置の最適化解析装置。
【請求項10】
平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析装置であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定部、設定された接合候補に対して解析対象部を設定する解析対象部設定部と、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定部と、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定部と、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記接合候補の中から求める最適化解析部とを備えたことを特徴とする接合位置の最適化解析装置。
【請求項11】
平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析装置であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定と、設定された接合候補に対して解析対象部を設定する解析対象部設定部と、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定部と、前記解析対象部に対して接合点又は接合部の候補となる接合候補を再設定する接合候補再設定部と、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定部と、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記再設定した接合候補の中から求める最適化解析部とを備えたことを特徴とする接合位置の最適化解析装置。
【請求項12】
前記接合候補再設定部は、前記接合点又は前記接合部を生成する接合生成部を有し、該接合生成部は、部品を構成する各平面要素の節点座標から要素の代表点を決定し、前記部品の一つの平面要素を基準にして、他部品の平面要素に対し、それぞれの代表点同士の点間距離を座標値から計算し、溶接接合が可能な距離の平面要素間に接合要素を配置することを特徴とする請求項11記載の接合位置の最適化装置。
【請求項13】
前記最適化解析部は、離散化係数を4以上に設定して離散化を行うことを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項に記載の接合位置の最適化装置。
【請求項14】
前記固定接合設定部は、接合された複数の部品に対して構造解析を行い、該構造解析の結果に基づいて前記固定接合点又は前記固定接合部を設定することを特徴とする請求項9乃至13のいずれか一項に記載の接合位置の最適化解析装置。
【請求項15】
前記固定接合設定部は、接合された複数の部品における全ての接合要素を対象にして数値解析による最適化計算を行い、該最適化計算に基づいて前記固定接合点又は前記固定接合部を設定することを特徴とする請求項9乃至13のいずれか一項に記載の接合位置の最適化解析装置。
【請求項16】
前記接合候補設定部は、前記接合点又は前記接合部を生成する接合生成部を有し、該接合生成部は、部品を構成する各平面要素の節点座標から要素の代表点を決定し、前記部品の一つの平面要素を基準にして、他部品の平面要素に対し、それぞれの代表点同士の点間距離を座標値から計算し、溶接接合が可能な距離の平面要素間に接合要素を配置することを特徴とする請求項9乃至15のいずれか一項に記載の接合位置の最適化装置。
【請求項1】
平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析方法であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部における解析対象部を設定する解析対象部設定ステップと、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定ステップと、前記解析対象部に対して接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定ステップと、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定ステップと、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記接合候補の中から求める解析ステップとを備えたことを特徴とする接合位置の最適化解析方法。
【請求項2】
平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析方法であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定ステップと、設定された接合候補に対して解析対象部を設定する解析対象部設定ステップと、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定ステップと、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定ステップと、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記接合候補の中から求める解析ステップとを備えたことを特徴とする接合位置の最適化解析方法。
【請求項3】
平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析方法であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定ステップと、設定された接合候補に対して解析対象部を設定する解析対象部設定ステップと、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定ステップと、前記解析対象部に対して接合点又は接合部の候補となる接合候補を再設定する接合候補再設定ステップと、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定ステップと、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記再設定した接合候補の中から求める解析ステップとを備えたことを特徴とする接合位置の最適化解析方法。
【請求項4】
前記接合候補再設定ステップは、前記接合点又は前記接合部を生成する接合生成ステップを有し、該接合生成ステップは、部品を構成する各平面要素の節点座標から要素の代表点を決定するステップと、前記部品の一つの平面要素を基準にして、他部品の平面要素に対し、それぞれの代表点同士の点間距離を座標値から計算し、溶接接合が可能な距離の平面要素間に接合要素を配置するステップとを備えたことを特徴とする請求項3記載の接合位置の最適化方法。
【請求項5】
前記解析ステップは、離散化係数を4以上に設定して離散化を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の接合位置の最適化解析方法。
【請求項6】
前記固定接合設定ステップは、接合された複数の部品に対して構造解析を行い、該構造解析の結果に基づいて前記固定接合点又は前記固定接合部を設定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の接合位置の最適化解析方法。
【請求項7】
前記固定接合設定ステップは、接合された複数の部品における全ての接合要素を対象にして数値解析による最適化計算を行い、該最適化計算に基づいて前記固定接合点又は前記固定接合部を設定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の接合部の最適化解析方法。
【請求項8】
前記接合候補設定ステップは、前記接合点又は前記接合部を生成する接合生成ステップを有し、該接合生成ステップは、部品を構成する各平面要素の節点座標から要素の代表点を決定するステップと、前記部品の一つの平面要素を基準にして、他部品の平面要素に対し、それぞれの代表点同士の点間距離を座標値から計算し、溶接接合が可能な距離の平面要素間に接合要素を配置するステップとを備えたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の接合位置の最適化方法。
【請求項9】
平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析装置であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部における解析対象部を設定する解析対象部設定部と、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定部と、前記解析対象部に対して接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定部と、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定部と、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記接合候補の中から求める最適化解析部とを備えたことを特徴とする接合位置の最適化解析装置。
【請求項10】
平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析装置であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定部、設定された接合候補に対して解析対象部を設定する解析対象部設定部と、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定部と、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定部と、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記接合候補の中から求める最適化解析部とを備えたことを特徴とする接合位置の最適化解析装置。
【請求項11】
平面要素及び/または立体要素からなる構造体モデルを構成する複数部品の接合に用いられる点接合または連続接合の最適化解析装置であって、
前記複数の部品を接合する接合点又は接合部の候補となる接合候補を設定する接合候補設定と、設定された接合候補に対して解析対象部を設定する解析対象部設定部と、設定された解析対象部において少なくとも1箇所の接合点又は接合部を固定接合点又は固定接合部として設定する固定接合設定部と、前記解析対象部に対して接合点又は接合部の候補となる接合候補を再設定する接合候補再設定部と、前記解析対象部に対して解析条件を設定する解析条件設定部と、前記解析条件を満たす最適な接合点又は接合部を前記再設定した接合候補の中から求める最適化解析部とを備えたことを特徴とする接合位置の最適化解析装置。
【請求項12】
前記接合候補再設定部は、前記接合点又は前記接合部を生成する接合生成部を有し、該接合生成部は、部品を構成する各平面要素の節点座標から要素の代表点を決定し、前記部品の一つの平面要素を基準にして、他部品の平面要素に対し、それぞれの代表点同士の点間距離を座標値から計算し、溶接接合が可能な距離の平面要素間に接合要素を配置することを特徴とする請求項11記載の接合位置の最適化装置。
【請求項13】
前記最適化解析部は、離散化係数を4以上に設定して離散化を行うことを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項に記載の接合位置の最適化装置。
【請求項14】
前記固定接合設定部は、接合された複数の部品に対して構造解析を行い、該構造解析の結果に基づいて前記固定接合点又は前記固定接合部を設定することを特徴とする請求項9乃至13のいずれか一項に記載の接合位置の最適化解析装置。
【請求項15】
前記固定接合設定部は、接合された複数の部品における全ての接合要素を対象にして数値解析による最適化計算を行い、該最適化計算に基づいて前記固定接合点又は前記固定接合部を設定することを特徴とする請求項9乃至13のいずれか一項に記載の接合位置の最適化解析装置。
【請求項16】
前記接合候補設定部は、前記接合点又は前記接合部を生成する接合生成部を有し、該接合生成部は、部品を構成する各平面要素の節点座標から要素の代表点を決定し、前記部品の一つの平面要素を基準にして、他部品の平面要素に対し、それぞれの代表点同士の点間距離を座標値から計算し、溶接接合が可能な距離の平面要素間に接合要素を配置することを特徴とする請求項9乃至15のいずれか一項に記載の接合位置の最適化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−25593(P2013−25593A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160382(P2011−160382)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
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