説明

構造物の不同沈下制御構造

【課題】外部との間で水等を給排水する必要が無く、かつ迅速に基礎底面における接地圧分布を制御して不同沈下の発生を抑制することができる構造物の不同沈下制御構造を提供する。
【解決手段】 地下躯体の地下水位L以深に配置された複数のピット18内に、各々内部に気体が充填された袋体19を配置し、袋体19同士の内部を連通管20で連通させるとともに、袋体19の下面側に平板部材21を昇降自在に設け、直接基礎12にピット18内と外部とを連通させて平板部材21の下方に地下水Wを導入する通水孔23を形成するとともに、平板部材21とスラブ16との間に袋体19の伸縮手段22を介装し、各々の伸縮手段22を伸縮させて各袋体19に作用する浮力の大きさを変化させることで、底板13の下面における接地圧を調整する制御手段を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接基礎に地震時等における不同沈下を抑制する機能が設けられた構造物の不同沈下制御構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、中低層の構造物を構築する場合には、砂層を支持地盤とする直接基礎が広く用いられている。
一方、地震が発生した際に、上記砂層が地下水位以深に位置しており飽和している場合においては、過剰間隙水圧の上昇によってその剛性低下が発生する。特に、上記砂層が緩い場合には、大規模地震が作用すると液状化により極端な剛性低下が起こりうる。
【0003】
このため、図11に示すように、上述した緩い地盤1によって構造物2の直接基礎3が支持されている場合には、地震が発生すると地下水位以深における砂層において過剰間隙水圧が上昇し、地盤剛性が低下することにより構造物2に過度な沈下が生じることになる。
この際に、上記構造物が一様に沈下する場合には、使用上差し支えないこともあるものの、図12に示すように、構造物2における偏心や地盤1の不均一性に起因して、上記構造物2が左右に揺れながら、次第に一方への傾斜角が増加する不同沈下が生じた場合には、当該構造物の継続使用ができなくなる可能性が高い。
【0004】
このため、例えば下記特許文献1、2においては、地下水浮力によって支持される構造物の地下水位よりも下方箇所に、水平方向に分割された貯水タンク室や貯水槽を設けるとともに、各々の貯水タンク室や貯水槽に、注水装置および排水装置を連通接続して、構造物の傾斜に応じて、上記貯水タンク室あるいは貯水槽への注排水を行うことにより、各貯水タンク室や貯水槽の水量を調整して構造物の不同沈下を制御する沈下制御方法が提案されている。
【特許文献1】特公平07−42712号公報
【特許文献2】特開平06−185089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の沈下制御方法にあっては、いずれも貯水タンク室等への注排水によって接地圧分布を制御しているために、外部から水を給水したり、あるいは外部へ排水したりする必要があり、そのための貯水設備を別途設置する必要があるという問題点があった。
【0006】
また、大きな容積を有する貯水タンク室等に対して、給水・排水ポンプによる注排水によって上記制御を行っているために、当該制御に長時間を要し、よって地震時にアクティブに上記接地圧分布を制御することが困難であるという問題点もあった。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、外部との間で水等を給排水する必要が無く、かつ迅速に基礎底面における接地圧分布を制御して不同沈下の発生を抑制することができる構造物の不同沈下制御構造を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、地下躯体に形成された複数のピットが地下水位以深に配置された直接基礎を有する構造物の不同沈下制御構造であって、上記直接基礎の少なくとも外周の角隅部に位置する複数の上記ピット内に、各々内部に気体が充填された袋体を配置し、これら袋体同士の内部を、連通管を介して連通させるとともに、上記袋体の下面側に平板部材を昇降自在に設け、上記直接基礎に上記ピット内と外部とを連通させて上記平板部材の下方に地下水を導入する通水孔を形成するとともに、上記平板部材と上記スラブとの間に上記袋体の伸縮手段を介装し、かつ各々の上記伸縮手段を伸縮させて各上記袋体内の空気量を調整し、各上記袋体に作用する浮力の大きさを変化させることにより上記直接基礎の底面に作用する接地圧分布を制御して上記構造物の不同沈下を抑制する制御手段を設けたことを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記伸縮手段が、油圧ジャッキであるとともに、上記制御手段が、上記構造物の傾きを検知する傾斜計測手段からの検知信号に基づいて、沈下量の大きい上記ピットに配置された上記油圧ジャッキを伸長させて上記袋体の容積を増大させることを特徴とするものである。
【0010】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、リアルタイム地震情報の受信手段を有し、かつ上記制御手段は上記リアルタイム地震情報を受信した際に作動するように設定されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1〜3のいずれかに記載の発明においては、少なくとも不同沈下の影響が顕著に現れる外周の角隅部に位置するピット内に、直接基礎に形成した通水孔を通じて地下水が流入することにより、当該ピット内の底部と平板部材との間が地下水によって満たされるとともに、平板部材とスラブとの間に気体が充填された袋体が設けられている。加えて、上記袋体同士は、連通管によって互いの内部が連通している。
【0012】
このため、平常時においては、ピット内の地下水から平板部材を介して袋体にほぼ均一な浮力が作用している。
そして、地震時等に地盤剛性が低下して構造物に不同沈下が生じた場合には、制御手段によって沈下量が大きい角隅部に配置された伸縮手段を伸長させて、袋体内の空気量を増加させる。これにより、当該ピットにおいて袋体に作用する浮力が増大して、基礎底面の当該ピット直下の部分における接地圧が小さくなることにより、上記沈下量が減少する。
【0013】
他方、伸縮手段によって強制的に内部の空気量が増加させられた袋体には、連通管を通じて他の沈下量が少ないピットに配置された袋体内の空気が流入するために、逆に当該沈下量が少ないピットに配置された袋体に作用する浮力が減少し、基礎底面の当該ピット直下の部分における接地圧が大きくなって沈下量が増大する。
【0014】
この結果、上記構造物の傾斜が小さくなるように、接地圧分布を制御することができ、よって当該構造物における不同沈下を効果的に抑制することができる。
さらに、上記直接基礎の支持地盤が粘性土質である場合にも、圧密によって生じる長期的な不同沈下を抑制することができる。
【0015】
また、これにより、従来は地盤の液状化の可能性を考慮して支持杭を採用していた構造物に対しても、一様な沈下を許容できる場合には、直接基礎を採用することが可能になるという効果も得られる。この際に、地震時に地盤が液状化すると、その剛性の低下により加速度応答が低減することによる免震効果を得られることが知られているが、支持杭を採用した構造物にあっては、地震動が上記支持杭を伝わって構造物に入力されてしまう結果、上記液状化による応答の低減効果が減殺されてしまうのに対して、直接基礎を採用した場合には、地盤のみを介して地震動が構造物に入力されるために、上記液状化による応答の低減効果も充分に得ることができる。
【0016】
なお、請求項2に記載の発明のように、上記伸縮手段としては、応答性に優れるとともに、制御が容易な油圧ジャッキを用いることが好適である。また、構造物に、その傾きを検知する傾斜計測手段を設置し、当該傾斜計測手段からの検知信号に基づいて、制御手段によって沈下量の大きいピットに配置された油圧ジャッキを伸長させて上記袋体の空気量を増大させるようにすれば、簡易な設備によって構造物の不同沈下を抑制するための上記接地圧分布の制御を行うことができる。
【0017】
また、特に構造物の支持地盤が飽和した緩い砂地盤である場合には、大規模な地震が発生した際に、比較的短時間で上記構造物の不同沈下が発生するおそれがある。このため、上記制御装置は、常時作動させてアクディブ制御を行うことにより、地震時に確実に作動するように構成することが好ましい。
しかしながら、常時上記制御装置を作動させたままの状態に保持しておくことは、コスト面から合理的とはいえない。
【0018】
一方、近年においては、気象庁の緊急地震速報や、防災科学技術研究所のリアルタイム地震情報活用システム(REIS)等の、地震発生時に震源の近くで検知された上記P波によって当該地震に関するリアルタイム地震情報を即時的に得る各種のシステムが開発されて、一部は実用化しつつある。
【0019】
そこで、請求項3に記載の発明のように、構造物に、上記リアルタイム地震情報の受信手段を設置して、当該リアルタイム地震情報を受信した際に上記制御装置を作動するように設定すれば、一層合理的な制御システムを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1の実施形態)
図1〜図5は、本発明に係る構造物の不同沈下制御構造の第1の実施形態を示すもので、図中符号10が構造物である。
この構造物10は、地下水位Lが高く、かつ飽和砂地盤等の軟弱な地盤11に直接基礎12によって支持されている。
【0021】
ここで、直接基礎12は、底板13上に立設された柱14の下部間に梁15が横架され、梁15の上部間にスラブ16が打設されるとともに、外周が外壁17によって囲繞されることにより矩形状に構築されたものである。これにより、直接基礎12は、底部に柱14、梁15、スラブ16および底板13によって画成された複数(図では、9)の方形状のピット18が形成されており、これらピット18が地下水位Lよりも深い位置に配置されている。
【0022】
そして、各々のピット18内には、内部に空気(気体)が充填された袋体19が配置されている。各袋体19は、伸長に追従可能な弾性性能と引張強さとを有する素材によって形成されたもので、平面形状が直接基礎12の梁15または外壁17に沿って納まる矩形状に、また高さ寸法が直接基礎12の底板13からスラブ16までの高さ寸法よりも小さく形成されている。
【0023】
この袋体19を構成する素材としては、例えば消防ホースの内張材料などにも用いられている熱可塑性エラストマー(TPE)等を用いることができ、特に上記TPEのうちの上記弾性性能と引張強さに優れるポリエステル系TPE、ポリウレタン系TPE、ポリ塩化ビニル系TPE等が好適である。
【0024】
そして、梁15を間に介して隣接する袋体19同士は、当該梁15の上部を貫通する連通管20によって互いの内部が連通されている。さらに、各袋体19の下面側には、方形板状の鋼板(平板部材)21が、直接基礎12の梁15または外壁17との間に僅かの間隙を形成して昇降自在に配置されている。
【0025】
さらに、各袋体19の内部には、複数(例えば4組)の油圧ジャッキ(伸縮手段)22が、各々袋体19の平面を等分割する面積の中心部に配置されている(なお、図1および図2においては、上記油圧ジャッキ22の図示を、図3においては中間のピット18をそれぞれ略してある)。この油圧ジャッキ22は、油圧の供給路および排出路を切り換えることにより、伸長方向および縮小方向に駆動可能なジャッキであり、シリンダが袋体19を介して鋼板21上に載置されるとともに、ピストンの上端部が袋体19を介してスラブ16を押圧可能に配置されている。
【0026】
また、この直接基礎12においては、梁15および外壁17の下部であって底板13の近傍位置に、それぞれピット18内と外部、および隣接するピット18同士を連通させて鋼板21の下方に地下水Wを導入する通水孔23が形成されている。
【0027】
他方、この構造物10には、各々の油圧ジャッキ22を伸縮させて鋼板21を上下させることにより、各袋体19内の空気量を調整して、底板13の下面に作用する接地圧分布を制御する制御手段が設けられている。
この制御手段は、構造物10の上部に設置された傾斜センサー(傾斜計測手段)24と、この傾斜センサー24から経時的に送られてくる検知信号に基づいて、構造物10の傾斜方向および傾斜速度を算出し、各々のピット18の沈下量に対応して当該ピット18における油圧ジャッキ22の伸長量または縮小量およびその駆動速度を決定して油圧ジャッキ22の油圧装置に出力するコンピュータとから概略構成されている。
【0028】
ここで、上記制御手段における制御対象は、地震動によって左右に繰り返し生じる揺れではなく、地震発生時から経時的に構造物10が一方向に漸増する傾斜の抑制である。このため、上記コンピュータにおいては、傾斜センサー24からの検知信号を、数秒おきに受信して上記制御を行うように設定されている。ちなみに、図5は、図12に示した構造物における傾斜角度の時刻歴を、5秒おきにサンプリングした場合を示すもので、このような受信間隔によっても、充分に構造物10の一方向への傾斜の漸増を捉えることができる。
【0029】
さらに、この構造物10には、リアルタイム地震情報の受信手段が設けられており、上記制御手段は、上記リアルタイム地震情報を受信した際に作動し始めて、地震が到達する時には、装置全体が完全に稼働するように設定されている。
【0030】
次に、以上の構成からなる構造物の不同沈下制御構造の作用効果について説明する。
この不同沈下制御構造においては、通水孔23から直接基礎12の各ピット18内に地下水が流入することにより、当該ピット18内の底板13と鋼板21との間が地下水Wによって満たされるとともに、鋼板21とスラブ16との間に空気が充填された袋体19が設けられている。加えて、袋体19同士は、連通管20によって互いの内部が連通している。
【0031】
このため、図3(a)に示すように、平常時においては、ピット18内の地下水Wから鋼板21を介して袋体19にほぼ均一な浮力が作用している。
そして、構造物10に設置したリアルタイム地震情報の受信手段が地震発生の情報を受信すると、上記制御手段が作動し始め、地震が到達する時には、装置全体が完全に稼働してアクディブ制御を行う状態になる。
【0032】
次いで、図2(a)に示すように、上記地震によって地盤11の剛性が低下して構造物10に不同沈下が生じると、建物10に設置した傾斜センサー24がこれを検知し、制御手段のコンピュータが構造物10の傾斜方向および傾斜速度を算出して、各々のピット18の沈下量に対応して当該ピット18における油圧ジャッキ22の伸長量または縮小量およびその駆動速度を決定して油圧ジャッキ22の油圧装置に出力する。
【0033】
そして、上記コンピュータからの出力により、図2(b)および図3(b)に示すように、沈下量が大きいピット18に配置された油圧ジャッキ22を伸長させて、袋体19内の空気量を増加させるとともに、沈下量が小さいピット18に配置された油圧ジャッキ22が縮小されて、袋体19内の空気量を減少させる。これに伴い、油圧ジャッキ22が縮小された袋体19内の空気が、連通管20を介して油圧ジャッキ22が伸長された袋体19内へと流入する。
【0034】
これより、沈下量が大きいピット18において袋体19に作用する浮力が増大して、当該箇所における底板13の下面に作用する接地圧が小さくなることにより、上記沈下量が減少する。他方、沈下量が少ないピット18に配置された袋体19は、空気量が減少するために、袋体19に作用する浮力が減少し、この結果接地圧が大きくなって沈下量が増大する。
【0035】
この結果、構造物10の傾斜が小さくなるように、接地圧分布を制御することができ、よって構造物10における不同沈下を効果的に抑制することができる。
【0036】
(第2の実施形態)
図6〜図8は、本発明の第2の実施形態を示すもので、図1〜図5に示したものと同一構成部分については、同一符号を付してその説明を簡略化する。
この不同沈下制御構造が第1の実施形態に示したものと相違する点は、袋体19に替えて袋体30を設置したこと、および油圧ジャッキ22の設置構造にある。
【0037】
すなわち、この袋体30においては、油圧ジャッキ22を設置する箇所に、内壁を有する穴部31が形成されている。そして、各穴部31内に、上記油圧ジャッキ22が挿入されている。これにより、油圧ジャッキ22は、シリンダ部が直接鋼板21上に載置されるとともに、ピストン部の上端部が直接スラブ16を押圧するようになっている。
【0038】
上記構成からなる不同沈下制御構造によっても、第1の実施形態と同様に作用効果を得ることができる。加えて、油圧ジャッキ22を直接鋼板21とスラブ16との間に介装しているために、作動時に、袋体30に局部的な荷重が作用することがないという利点がある。
【0039】
(第3の実施形態)
図9および図10は、本発明の第3の実施形態を示すもので、同様に図1〜図5に示したものと同一構成部分には、同一符号を付してある。
この不同沈下制御構造においては、構造物10の不同沈下の影響が顕著に現れる直接基礎12における外周の角隅部に位置するピット18内に、各々袋体19が配置されている。これにより、角隅部間のピット18および中央部のピット18には、袋体が設けられていない。そして、袋体が設けられていないピット18を間に介して隣接する袋体19の内部同士が、連通管20によって接続されている。
【0040】
上記構成からなる不同沈下制御構造においては、構造物10の不同沈下の影響が顕著に現れる直接基礎12における外周の角隅部に位置するピット18内にのみ、各々袋体19を配置しているために、構造が簡易化するとともに、上記袋体19によって効果的な制御を行うことができるために、第1の実施形態と同様に作用効果を得ることができる。
【0041】
なお、本発明は、基礎形式を直接基礎とした場合のみならず、パイルド・ラフト基礎やフローティング基礎など、基礎スラブ底面の地盤の抵抗力を利用する他の基礎形式に対しても適用することができ、かつ同様の作用効果を得ることができる。
また、伸縮手段についても、上述した油圧式のものに限定されるものではなく、空気圧式や電動式等であって、上記油圧式と同等の性能を有するものを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す直接基礎下部の平断面図である。
【図2】第1の実施形態の作用を説明するための縦断面図で、(a)は地震発生時、(b)は傾斜調整時の状態を示すものである。
【図3】図1の中間位置のピットを省略した縦断面図で、(a)は平常時、(b)は傾斜調整時の状態を示すものである。
【図4】第1の実施形態の全体を概略的に示す縦断面図である。
【図5】第1の実施形態において傾斜センサーにより構造物の傾斜角度を5秒おきにサンプリングした結果を示すグラフである。
【図6】本発明の第2の実施形態における袋体を示す平面図である。
【図7】図6のA−A線視した直接基礎の要部断面図である。
【図8】図6のB−B線視した直接基礎の要部断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態における直接基礎下部の平断面図である。
【図10】図9の縦断面図である。
【図11】従来の軟弱地盤に構築された構造物の地震時における不同沈下の状態を示す模式図である。
【図12】図11における構造物の経時的な傾斜角度の漸増の計測結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0043】
10 構造物
12 直接基礎
14 柱
15 梁
16 スラブ
18 ピット
19、30 袋体
20 連通管
21 鋼板(平板部材)
22 油圧ジャッキ(伸縮手段)
23 通水孔
24 傾斜センサー
L 地下水位
W 地下水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下躯体に形成された複数のピットが地下水位以深に配置された直接基礎を有する構造物の不同沈下制御構造であって、
上記直接基礎の少なくとも外周の角隅部に位置する複数の上記ピット内に、各々内部に気体が充填された袋体を配置し、これら袋体同士の内部を、連通管を介して連通させるとともに、上記袋体の下面側に平板部材を昇降自在に設け、上記直接基礎に上記ピット内と外部とを連通させて上記平板部材の下方に地下水を導入する通水孔を形成するとともに、上記平板部材と上記スラブとの間に上記袋体の伸縮手段を介装し、かつ各々の上記伸縮手段を伸縮させて各上記袋体内の空気量を調整し、各上記袋体に作用する浮力の大きさを変化させることにより上記直接基礎の底面に作用する接地圧分布を制御して上記構造物の不同沈下を抑制する制御手段を設けたことを特徴とする構造物の不同沈下制御構造。
【請求項2】
上記伸縮手段は、油圧ジャッキであるとともに、上記制御手段は、上記構造物の傾きを検知する傾斜計測手段からの検知信号に基づいて、沈下量の大きい上記ピットに配置された上記油圧ジャッキを伸長させて上記袋体の容積を増大させることを特徴とする請求項1に記載の構造物の不同沈下制御構造。
【請求項3】
リアルタイム地震情報の受信手段を有し、かつ上記制御手段は上記リアルタイム地震情報を受信した際に作動するように設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の構造物の不同沈下制御構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−65389(P2010−65389A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229896(P2008−229896)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】