説明

構造物の熱刻印

【課題】容易な方法で、特殊な電極または機能層の形成などに必要とされる多孔性構造物も製造できる構造物製造方法を提供すること。
【解決手段】 少なくとも1つの転写層(22)を、刻印箔(2)、特に熱刻印箔から全面または領域的に基板(1)の表面に転写し、その場合にこの転写層(22)は、結合剤により形成される領域を有する、基板上に構造物を形成する方法である。基板(1)上に転写された転写層内には開孔が形成され、その際結合剤が排除される。次にこの開孔内に充填材が入れられる。さらに基板上に構造物を形成するための刻印箔が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝導経路などの構造物の製造方法およびこの方法を実施するための刻印箔に関する。
【背景技術】
【0002】
伝導経路を形成するために、これを平底絹紗スクリーン捺染法によって、光起電モジュール製造のために設けられるシリコンウェーハなどの基板上に装着し、それから焼結することによって永続的に基板表面に接合させることが知られている。
【0003】
平底絹紗スクリーン捺染法は時間を要する方法であり、連続製造や安価な大量生産には適していない。特に平底絹紗スクリーン捺染法では、印刷中および特に研磨媒体を印刷する際に印刷画像のエッジが剥離されてしまう。このことは、電極の伝導経路の印刷画像内を不均一にし、それによって電極の電気的特性が一様でなくなる恐れがある。
【0004】
特許文献1には、薄い箔を基板上に印刷接着および熱間接着する方法および装置が記述されている。この基板は、例えばケイ素、ひ化ガリウムなどから成る電子回路基板である。箔と基板との間に空隙が出来るのを避けるために、真空にして行う。
【特許文献1】ドイツDE68926361T2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、構造物を基板上に装着するための改良された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この課題は、基板上に構造物を形成する方法を用いて解決され、その方法において、少なくとも1つの転写層が刻印箔、特に熱刻印箔によって全面または領域的に基板の表面に転写され、この転写層は、内部に粒子と結合剤とを含む領域を含み、その後基板上に転写された転写層内に開孔が形成され、その際結合剤が排除され、それによって基板上に多孔性構造物が形成される。さらにこの課題は、基板上に構造物を形成するための刻印箔、特に熱刻印箔を用いて解決され、その場合にこの刻印箔は、内部に粒子と結合剤とを含む領域を有する少なくとも1つの転写層を有し、その際結合剤を排除することによって、この転写層内に、多孔性の、特に伝導経路形の構造物を形成するための開孔を形成することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明による方法は、例えば伝導経路などの構造物の形成を、まず予め設定された製造工程、即ち、刻印箔、特に熱刻印箔の製造へ移すことを考慮している。熱刻印箔の製造は、構造物のレジスタ精度に対する最も高い要求を満たしていて、その場合にこの構造物は、例えば従来の意味での伝導経路であっても電極またはコンポーネントなどのその他の導電性領域または機能層であってもよい。本発明の解決策では、特に容易な方法で、特殊な電極または機能層の形成などに必要とされる多孔性構造物も製造できるという可能性が開かれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
熱刻印箔は、好ましくはロール−ツー−ロール−プロセスで製造される。その場合に材料組成、厚み、構造および形状などの転写層の重要な機能性パラメータが調整され、その場合に達成可能な公差は、マイクロメートルからナノメートルの領域にある。熱刻印では、温度、押圧力および滞留時間(刻印時間、速度)など数少ないパラメータのみが、転写された層の品質を一様にするために調整される。それに対して、平底絹紗スクリーン捺染法は、すでに述べたようにエッジが折れるか、または印刷工程中に印刷媒体から溶媒が漏れ出る恐れがあるので、工業技術上多大な労を要し、調整が困難である。
【0009】
結合剤は、1つの物質から成る結合剤であってもよく、結合剤混合物などの物質混合物であってもよい。この物質混合物は、有機成分により構成することができるが、有機成分と無機成分から成る混合物も考えられる。結合剤マトリックス内に挿入された粒子は、好ましくは平均直径が10〜300nmの無機粒子である。
【0010】
その他の好ましい形態は、従属項に記載されている。
【0011】
基板が無機材料、特にシリコンウェーハであることが考えられ、これは例えば太陽電池の製造に使用される。
【0012】
少なくとも1つの転写層を転写後または2つの連続する刻印工程の間に焼結プロセスを実施することが考えられる。この焼結プロセスでは、例えば転写した転写層の、シリコンウェーハなどの支持体基板への接着を改良することができ、および/または有機結合剤または焼結温度以下の沸点または昇華点を有する結合剤を、転写した転写層から排除することができる。プロセスパラメータである焼結温度および焼結時間を用いて、例えば隣り合う材料の相互の拡散に影響を及ぼすことができるので、相互の拡散によって境界層が形成され、その境界層で転写層と支持体基板が物質結合で互いに接合される。しかしながら最終転写層の刻印後に1回のみの最終焼結を行うことも可能である。その場合に焼結温度は好ましくは、焼結工程によって結合剤が排除され、粒子が相互に、および支持体基板と物質結合で接合されるように選択される。
【0013】
さらに2つまたはそれ以上の焼結プロセスを異なる温度および/または滞留時間で実施することが考えられる。
【0014】
焼結温度を300℃から800℃の領域に調整することが考えられる。
【0015】
好ましくは、焼結温度を450℃から550℃の領域に調整することが考えられる。
【0016】
試験が示しているように、シリコンウェーハ上に電極を形成するために、好ましくは焼結温度を約500℃に調整することが考えられる。焼結時間は、約10分間から約30分間であり、その場合にこの焼結温度は約5分間保持される。焼結プロセス後ないし焼き戻しなどの温度処理プロセス後に冷却工程を設けることができる。
【0017】
基板が熱可塑性物質などの温度に敏感な材料である場合には、熱処理に関して最大190℃までの温度領域を選択することもできる。前述の高い焼結温度は、特に無機材料、例えばシリコンウェーハまたはセラミックスに対して考慮される。
【0018】
少なくとも1つの転写層を転写後または2つの連続する刻印工程の間に、結合剤を、例えば腐食剤または溶媒を用いて化学的に排除すること、または結合剤を洗い流すことが考えられる。例えば結合剤としてアクリレート化合物が考えられ、これはメチルエチルケトン(MEK)を用いて溶液に移行させることができる。その場合には、(導電性)マトリックスが分解または排除されずに粒子結合がそのまま保持されることが重要である。続いて上述の焼結プロセスを行うことができる。
【0019】
さらに焼結プロセスないし温度処理プロセスを、空気酸素との反応を回避するために、空気とは異なる雰囲気、例えば窒素またはアルゴンなどの保護ガス雰囲気で実施することが考えられる。他方で、目的に合った化学反応が引き起こされるように、例えば酸化物層の形成を促進するか、または有機成分を気相中に移行させるために、温度処理プロセスの際に使用した雰囲気にすることが考えられる。
【0020】
1つまたは複数の焼結プロセスおよび/または温度処理プロセス間に、1つまたは複数のクリーニング段階を設けることもできる。このクリーニング段階は、先に述べたように、例えば結合剤またはその残りを取り除くために設けられる。さらにこのクリーニング段階は、基板表面並びに基板上に転写した転写層の表面に気体および/または液体を供給して調整するために設けることができる。
【0021】
クリーニング段階における温度体系および/または滞留時間体系は、最適なクリーニング効果および/またはコンディショニング効果が得られるように変化させることができる。
【0022】
さらに1つまたは複数の刻印工程後にもクリーニング段階を実施することが考えられる。
【0023】
1つまたは複数の刻印工程後に化学プロセス工程を挿入することもでき、その場合には例えば層が部分的または全面で可溶化され、その場合に基板と接触する物質の化学組成、添加した化学物質の滞留時間、プロセス温度およびプロセス圧力など数多くのプロセスパラメータを調整することができる。
【0024】
さらに基板上に転写した転写層の開孔内に充填材を入れることが考えられる。この充填材は、転写した転写層の化学的および/または物理的性質を所望の使用目的のために修正するように設けられる。充填材は、1つの物質であってもよく、物質混合物であってもよい。
【0025】
充填材が導電性材料または半導体材料であることが可能である。本発明の構造物が非導電性粒子から形成され、この非導電性構造物の孔内に、導電性の充填材を入れることも考えられる。
【0026】
充填材が触媒作用材料であることも可能である。
【0027】
充填材が、孔の表面上に層を形成して、この層が孔を完全には埋めないことも可能である。そのような層は、例えば数ナノメートルの厚みを有し、基板上に転写した転写層の表面より何倍も大きい面をおおうことが考えられる。孔の表面は、前述のように、例えば触媒で被膜することができる。孔は、好ましくは500から5000nmの平均直径を有する。孔表面上に装着された充填材層の膜厚は、孔の平均直径の2%から20%となる。
【0028】
さらに多孔性伝導経路または電極を形成することが考えられ、その場合に転写層は、転写層が刻印箔により全面または領域的に基板表面に転写される領域に、粒子として導電性粒子を含み、その後基板上に転写した転写層内に開孔が形成され、その際結合剤が排除され、こうしてさらなる多孔性の導電性構造物が基板上に形成される。
【0029】
多孔性伝導経路または電極を形成することも考えられ、その場合に少なくとも1つの転写層が非導電性転写層として形成され、刻印箔により全面または領域的に基板表面に転写され、基板上に転写した転写層内に開孔が形成され、その際結合剤が排除され、その後開孔内に導電性材料または半導体材料が充填材として挿入される。
【0030】
同じく(上述のように)触媒作用層を形成することができ、その場合に転写層は触媒作用粒子と結合剤により形成され、結合剤は転写層の転写後に排除される。そのような多孔性触媒層は、その大きい表面積のためにきわめて効果的である。しかしながら孔の表面に、触媒作用材料から成る充填材を介して初めて触媒作用がもたらされることも可能である。
【0031】
構造物の幾何学的構造および/または導電性構造が、刻印箔および/または刻印父型を形成することによって調整されることが考えられる。例えば、全面の導電性の転写層を備える刻印箔を使用することと、転写層が、基板上に転写される場合に構造父型によって構造化されることが考えられる。その場合に構造父型の表面構造は、転写した転写層の輪郭を確定し、その場合にこのエッジを鋭く形成することができる。転写層の必要でない領域は、刻印後に刻印箔上に残り、取り除かれる。
【0032】
転写層を、巻き上げ刻印によって転写することが可能である。
【0033】
さらに転写層を、転がり刻印によって転写することが可能である。
【0034】
構造物を、複数の刻印工程中に形成することも可能である。即ち、例えば伝導経路を部分ごとに刻印することが考えられる。
【0035】
さらに異なる材料から成る転写層および/または異なる導電性を有する転写層および/または異なる幾何学的構造を有する転写層および/または異なる横断面輪郭を有する転写層を順に転写することが考えられる。このようにして、構造物の性質を多彩な方法で変化させることができる。特に部分的に変化させ、例えば電極としての領域と伝導経路としての領域などを形成することが可能となる。伝導経路は、例えば光電池の電極を互いに結合することができる。このようにして光電池を直列接続および/または並列接続することによって光起電モジュールを形成することができる。
【0036】
さらに例えば個々の転写層が異なる導電性および内部抵抗を有する場合には、構造物内に2つまたはそれ以上の転写層を転写することによって導電性勾配を形成することができる。
【0037】
前述のように、幾何学的構造および/または構造物の導電性構造が、刻印父型および/または刻印箔の形成によって調整されることが考えられる。即ち、例えば、伝導経路領域を構造化された転写層を備える刻印箔から転写すること、および/または伝導経路領域を、構造父型を用いて全面転写層を備える刻印箔から転写することが考えられる。
【0038】
2つの方法は、互いに組み合わせることができる。例えば、その転写層が構造化領域も未構造化領域も有する刻印箔と、さらに領域的に構造父型として形成される刻印父型とを設けることができる。
【0039】
さらに2つまたはそれ以上の転写層を転写することによって構造物の接着を局所的に変化させることが考えられる。この異なる接着は、転写層の異なる構造化および/または転写層の異なる組成および/または刻印箔の1つまたは複数の層によって引き起こされる。例えば接着層または分離層として作用するか、若しくは焼結プロセスの結果、異なる接着効果を引き起こす層を設けることができる。
【0040】
さらに少なくとも1つの性質、例えば厚みおよび/または弾性および/または物質組成が互いに異なる支持体層を有する刻印箔を使用することができる。
【0041】
さらに、例えば伝導経路または電極の場合に、転写した転写層を少なくとも1つの保護層で刻印することが考えられる。保護層の選択および保護層の装着の方式と方法は、本発明のプロセスで製造した製品の寿命および品質に適合した機能に重大な影響を及ぼす。その場合に転写された保護層の物理的性質および/または化学的性質以外に、保護層の接着を仲介する接着層の選択が重要である。前述のように、この重要なパラメータは、刻印箔を製造する際にすでにほぼ調整されているので、刻印プロセスそのものへの要求は少なくて済み、したがって製造コストは個数が少ない場合でも低く抑えることができる。
【0042】
最終層として、光学可変素子を有する転写層を装着することも可能である。光学可変素子が安全素子として形成される場合には、光学可変素子は、例えば同時に真贋証明書として使用できる会社のロゴなどである(ホログラム、回折格子など)。
【0043】
その他の好ましい形態は、刻印箔に向けられている。
【0044】
刻印箔の支持体箔は、好ましくは200μm未満、特に50μm未満の厚みの弾性プラスチック箔により構成される。支持体箔は、好ましくは12μmから150μm、さらに好ましくは12μmから50μmの厚みを有するプラスチック箔から形成することができる。プラスチック箔の材料としては、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)またはBOPP(二軸伸長ポリプロピレン)を考慮することができる。
【0045】
粒子に関しては導電性粒子を考慮することができる。
【0046】
少なくとも1つの転写層を、粒子および結合剤、特に結合剤粒子の混合物から形成することが考えられる。別の関連ですでに何度も指摘したように、本発明のプロセスおよび本発明の刻印箔を用いて、構造物、例えば伝導経路の形成を、すでに刻印箔の製造において「オーダーメイド」にし、同時に大量生産プロセスへ移行させることが可能となる。
【0047】
導電性粒子は、金属粒子であると考えられる。この粒子は、好ましくは10から50nmの平均直径を有し、銀または銅若しくはこれらの金属の合金から構成される。金属粒子をベースにして、従来の金属の伝導経路および/または電極が製造可能なだけではなく、非金属の導電性および/または半導体コンポーネントを有するハイブリッド伝導経路および/または電極の製造も可能となる。例えば金属粒子は、内部に非金属粒子が埋め込まれたマトリックスを形成することができる。その場合に混合比を変化させることによって、例えば転写される転写層の導電性を調整することができる。しかしながら金属粒子に混ぜ合わせたコンポーネントが、転写層の装着後にこの転写層から排除され、そのようにして例えば多孔性電極および/またはマトリックス形電極を獲得するか、または多孔性転写層内へ前述のコンポーネントを装着および排除後に、所定の充填材を入れるか、または上述のように複数の充填コンポーネントを入れることも可能である。前述の充填材ないし充填材コンポーネントは、例えば焼結プロセス中に分解するので、その後初めてこれを結び付ける可能性が生じる物質である。
【0048】
さらに導電性粒子は炭素ナノチューブであると考えられる。「炭素ナノチューブ」という概念は、ここでは一方では炭素ナノチューブそのものを、またその性質が主にそのナノ構造によって決まる別の材料をも表す。炭素から好ましく形成され、この性質を示す粒子は、その場合に可視光の波長より短い寸法を有する。
【0049】
さらに導電性粒子は、少なくとも1つの導電性ポリマーから成る粒子であると考えられる。
【0050】
この粒子は半導体粒子であることも可能である。この粒子はここでは無機半導体材料または有機半導体材料、例えばSi合金により構成される。この粒子は、好ましくは約50〜100nmの平均直径を有する。
【0051】
好ましい形態では、半導体粒子は半導体TiO粒子、特にTiOナノ粒子であることが考えられる。1つまたは複数の転写層を含めて別のプロセス段階を介して形成されたこの層は、その場合にグレーツェル光電池(液体電池)の製造において使用することができる。
【0052】
半導体粒子は、少なくとも1つの半導体ポリマーから成る粒子でもあり得る。導電性および/または半導体ポリマーから成る構造物は、例えばポリマーベースの光電池(OPV)または光色素電池(DSSC)を形成するために設けることができる。
【0053】
さらに、粒子は非導電性粒子であることが考えられる。この粒子は、好ましくは無機の非導電性材料、例えばガラス玉から構成される。しかしながらこの粒子が、有機の非導電性材料、例えば時としてPET(ポリエチレンテレフタレート)から構成されることも可能である。焼結プロセスまたは熱処理によって結合剤を排除する場合に、粒子の材料として好ましくは焼結温度ないし熱処理のプロセス温度で高々10%、好ましくは高々5%しか分解または蒸発しない、最も有利には全く分解または蒸発しない材料が使用される。粒子の材料としては、その際例えばSiO、シランなどの骨格構造を形成する無機物質が使用される。さらに適切な粒子はシロキサンおよび/または有機ポリマーを含むことができる。粒子の材料としては、特に例えばポリエステル、ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンなどの熱硬化性物質および/またはその共重合体および/または混合物が適している。好ましくはこの熱硬化性物質はフルオロ基、芳香族基および/または複素環基を有する。熱硬化性物質としては、さらに例えばポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルホン、ポリエテンケトンを使用することができる。その場合にこの粒子は、好ましくはこれが焼結プロセス前および/または焼結プロセス後に骨格構造を先に決められた材料から形成する形で使用される。
【0054】
粒子は、例えば充填材を受け入れる支持マトリックスを形成することができる。この粒子は、好ましくは100から300nmの平均直径を有するが、その場合に、それ以外の大きさまたは大きさを混合することも考えられる。
【0055】
粒子が、例えば前述のように白金から構成される触媒作用粒子であることも可能である。この粒子は、好ましくは20から50nmの平均直径を有する。
【0056】
粒子は、ほぼ等しい寸法を有することが可能である。「ほぼ等しい」寸法に関しては、寸法が平均値あたりで上下し得ること、例えばガウス分布内に存在することと理解されたい。
【0057】
しかしながら粒子が異なる寸法を有することも可能である。「異なる寸法」に関しては、この寸法が、例えばナノメートル領域の寸法を有する粒子とマイクロメートル領域の寸法を有する粒子など、少なくとも2つの大きさのグループに分類できるほど互いに異なることと理解されたい。その場合に1つの大きさのグループの粒子は、これもガウス分布内に存在するか、並数分布などの別の分布内に存在することができる。
【0058】
さらに少なくとも1つの転写層内の粒子の体積濃度が一定ではないことが考えられる。この体積濃度は、例えば転写層を製造する場合に結合剤の割合を変化させることによってか、または例えば垂直壁でインクを塗布する場合に観察されるような、重力作用によってまだ液状の転写層を部分的に分解させることによって調整することができる。
【0059】
結合剤は、温度プロセスによって排除可能であることが考えられる。排除可能に関しては、好ましくは結合剤が、焼結温度以下の沸点および/または昇華点および/または分解温度を有することと理解される。焼結温度に関しては、先行する説明を参照することが望ましい。熱プロセスによって排除可能な結合剤としては、例えば昇華性物質が考慮の対象となる。結合剤としては、この場合には好ましくは材料、特に焼結温度ないし熱処理のプロセス温度で少なくとも90%、好ましくは95%が蒸発および/または分解する有機ポリマーが使用される。上述の無機の導電性、非導電性および半導体粒子並びに上述の有機の導電性、非導電性および半導体粒子に対する結合剤としては、ここでは、例えば、有機ポリマーを使用することができる。有機ポリマーとしては、特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ硝酸アクリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、アクリレート化合物および/またはポリ(メタ)アクリレートなどの熱可塑性物質が適している。さらに有機ポリマーとしては、例えばセルロース化合物が適している。
【0060】
さらに結合剤に溶媒を添加することができる。粒子の体積濃度は、結合剤に対して好ましくは40から80体積%となる。結合剤の体積濃度によって構造物の多孔性が調整される。粒子の体積濃度を高く選択すればするほど、構造物中の孔の体積率は小さくなる。
【0061】
温度プロセスは、同時に化学プロセスを引き起こすことができ、この化学プロセスは、初めは化学的に不溶の結合剤を化学的に可溶な結合剤へ移行させる。例えば酸化可能または熱分解可能な結合剤を考慮することができる。
【0062】
ほぼ室温で進行する化学プロセスによって結合剤を排除できることも考えられる。その場合には、例えばアクリレートまたはアクリレート混合物などの、ある溶媒中に化学的に可溶な結合剤が重要となる。
【0063】
刻印箔が1つまたは複数の剥離層を有することが考えられる。剥離層としては、例えば組成が20%体積のポリアクリレート、70%体積のメチルエチルケトンおよび10%体積の酢酸ブチルのラッカーが考慮され、これは乾燥状態では約1μmの厚みの層を形成する。
【0064】
さらに刻印箔が1つまたは複数の下塗り層を有することが考えられ、この下塗り層は部分的にのみ設けることも可能である。下塗り層は転写される転写層の接着を改良する。例えば好ましくは熱間固定接着剤、UV硬化可能な接着剤または冷間固定接着剤から成る層などの接着剤層または基板ないし予め転写された転写層に特別に適合され、好ましくはこの上に付着した層が重要である。下塗り層としては、例えば26%体積のポリエステルまたは接着剤などの結合剤、4%体積のSiO、50%体積のメチルエチルケトンおよび20%体積の、シクロヘキサノンなどの高沸騰物質の組成を有するラッカーが考慮される。下塗り層の塗布重量は、例えば0.5から0.8g/mであり、約500から800nmの膜厚が生じる。
【実施例】
【0065】
本発明の実施例を、図に基づいて詳しく説明する。
【0066】
図1は、熱刻印を用いて電極層を装着するために設けられる支持体基板1を示している。支持体基板1としては、例えば
−場合によっては非導電性カバー層を備える50から150μmの厚みの金属箔、
−約1mmの厚みのガラス支持体、
−例えば光電池または光起電モジュールを構成するためのドーピングしたシリコンウェーハ、または
−プラスチック箔
が考えられる。
【0067】
熱刻印箔2は、支持体箔20、剥離層21、導電性転写層22および下塗り層23により構成され、その場合にこの熱刻印箔2は加熱した刻印父型3上に受け入れられる。この刻印父型3の表面温度は、例えば180℃から190℃となり得る。
【0068】
支持体箔20は、例えば12から150μm、好ましくは12から50μmのプラスチック箔である。このプラスチック箔は、例えばPETまたはBOPPから構成することができる。図1に示した実施例では、これは19から23μmの厚みのPET箔である。
【0069】
剥離層21は、例えば組成が20%体積のポリアクリレート、70%体積のメチルエチルケトンおよび10%体積の酢酸ブチルのラッカーにより構成され、乾燥状態では約1μmの厚みの層を形成する。
【0070】
導電性転写層22は、結合剤部分と導電性コンポーネントにより構成される。この転写層22は、金、銀、アルミニウム、銅またはこれらの金属の合金などの、56%体積の粉末状金属コンポーネントと、19%体積の結合剤および25%体積の溶媒の組成を有するラッカーにより形成されたラッカー層であり、このラッカー層は乾燥状態で約25μmの厚みの転写層を形成する。結合剤としては例えばアクリレート化合物が使用され、溶媒としては例えばケトンと芳香族化合物から成る混合物が使用される。しかしながら金属コンポーネントの代わりにTiOが考慮されるラッカー層でもよく、その場合には25%体積のTiO、10%体積の結合剤および65%体積の溶媒の組成が選択される。前述の結合剤は、転写層22の導電性領域間に配置される第1充填材を形成する。転写層22は、よく知られている方法で熱刻印箔上に印刷することによって装着することができる。
【0071】
下塗り層23は、同じく例えば26%体積の、ポリエステルまたは接着剤などの結合剤、4%体積のSiO、50%体積のメチルエチルケトンおよび20%体積の、シクロヘキサノン(沸点155℃)などの高沸騰物の組成を有するラッカーにより形成される。下塗り層の塗布重量は、例えば0.5から0.8g/mである。下塗り層内のSiO粒子は、箔を巻き付ける際のスペーサーとして働き、「閉塞」または支持体箔20の裏面への望まれないラッカー転写を回避する。下塗り層は接着剤層でもよく、好ましくは熱間固定接着剤、UV硬化可能な接着剤または冷間固定接着剤から成る層である。
【0072】
熱刻印箔の製造は、好ましくはロール−ツー−ロール−プロセスで行われ、その場合に前述の層は全て印刷プロセスによって転写することができる。
【0073】
支持体箔20の裏面は刻印父型3の表側に向いている。熱刻印箔2の表側は、これは同時に下塗り層23の表側であるが、支持体基板1の表面に向いていて、刻印プロセス中にこれと接触される。その場合に下塗り層23は付着媒介層ないし接着剤層として作用する。図1bに示しているように、刻印プロセスによって転写層22は支持体基板1の表面に転写され、そこで伝導経路を形成し、これは電極領域および/または接触領域および/またはその他の導電性領域として使用できる。
【0074】
転写層22の転写後に刻印父型3が取り外され、その場合に剥離層21は、転写層22の熱刻印箔2からの分離を助ける。
【0075】
図1cは、後処理をした転写層22oを有する支持体基板1を示していて、この場合に結合剤は除去されている。結合剤は、焼結プロセスにおいて、基板1上に転写された転写層22から取り除かれる。例えばおよそ10から30分間焼結し、その場合におよそ10分間約500℃の温度に保持することが考えられる。その場合に剥離層、転写層および接着剤層の有機成分は排除され、気相中に出て行き、転写層の不揮発成分では、粒子と基板との間の接合が形成される。排除されなかったコンポーネントの粒子は、その際表面的に互いに接合するので、その結果として開孔が形成される。結合剤が焼結プロセス中に一部のみ除去され、残りは続く洗浄および/または乾燥を含む、次の湿式化学プロセスで除去されることも考えられる。この関連で転写層内の結合剤が、刻印工程中に基板への接合を十分に保証する場合には、層23全てを省略することも可能である。この関連で焼結プロセス中の滞留時間または温度が十分に高く選択されない場合には、層23が気相中へ移行しないことも考えられる。
【0076】
図2a乃至図2cは、第2実施例を示していて、ここでは熱刻印箔2の転写層22が全面に形成されている(図2a)。刻印父型3は、転写される回線構造に相当する表面構造体を有し、その場合に伝導経路間の領域は、深く形成されているので、刻印父型3の表面は、伝導経路の領域でのみ熱刻印箔2と接触している。
【0077】
図2bに示されるように、転写層22の刻印の際、この転写層22の、刻印父型3の隆起した領域に配された領域のみが支持体基板1に転写される。刻印父型3を支持体基板1から分離する場合に、この領域は支持体基板1上に残る。刻印父型3の凹んだ領域上に配置された転写層22の領域22rと下塗り層23の領域23rは熱刻印箔2上に残り、父型3を取り去る際に熱刻印箔と共に剥ぎ取られる。
【0078】
図2a乃至図2cに示した方法は、試験的実施および小さい規格に対して有利であり、好ましくは刻印父型3の製造コストが、構造化された転写層を用いて形成された熱刻印箔の製造コストより低い場合には常に考慮される。上述のように、剥離層が少なくとも部分的に転写され、例えば続く焼結プロセスにおいて気相へ移行することが考えられる。部分的に転写された下塗り層は、支持体基板1上に転写された転写層の領域の付着を改良する役割を果たし、したがって刻印父型3の空いている領域の下側に配置された転写層の領域は、問題なく剥ぎ取ることができる。
【0079】
図2cに示した実施例では、下塗り媒体が焼結プロセス中に取り除かれる。例えばおよそ10から30分間焼結し、その場合におよそ10分間約500℃の温度に保持することが考えられる。その場合に転写層の有機成分、特に結合剤は排除され、気相中に出て行く。
【0080】
図3a乃至図3cは、多層電極層を構成するためのプロセス工程を示している。
【0081】
図3aは、刻印父型3と共に支持体基板1上にプレスされる熱刻印箔3pを示している。この熱刻印箔3pは、支持体箔30、剥離層31、第1導電性転写層32a、考えられ得る中間層33(例えば印刷中の付着改良のため)、第2導電性転写層32bおよび下塗り層34により形成される。
【0082】
熱刻印では、図3bに示されるように、2つの転写層32a、32bが共に転写され、転写後に再び焼結プロセスが行われ、この両転写層は相互にも、支持体基板1の表面とも永続して接合される。剥離層31、中間層33の有機成分も下塗り層34の有機成分も焼結プロセスによって排除される。
【0083】
剥離層31は、熱刻印箔3p上ではなく電極層上に残るように調整される。したがって剥離層31は焼結工程で初めて取り除かれる。
【0084】
図3cは、下方部分層32bと上方部分層32oにより構成される構造化された電極層35を有する支持体基板1を示している。支持体基板1は、例えばドーピングしたシリコンウェーハであり、これは光電池ないし光起電モジュールを構成するために設けられる。下方部分層32bは、図3cに示した実施例では均一な、非多孔性部分透明電極層として形成される。上方の電極層32oは、開孔電極層として形成され、その孔は、次のプロセス工程で、充填材を部分的または完全に充填することができる。これに関連して、多孔性は、揮発性コンポーネントの割合によってだけではなく、不揮発性コンポーネントの融解挙動および焼結温度の選択によっても調整できることが言及される。
【0085】
図4は、例えば不活性支持体上の多孔性構造物の全く別の利用の可能性を示している。支持体基板1の表側には、2つの転写層42bと42kにより形成された多孔性マトリックス45が装着され、これは図3cに示した構成と類似である。上方の多孔性転写層42kは、この場合に化学反応の触媒として作用する。転写層42kは非常に大きい表面積を有する。転写層42kは、触媒作用材料により形成することができるが、転写層42k内に形成された孔を、拡大した表面積が失われないように、触媒作用充填材で表面を被膜することも考えられる。図4に図式的に示されるように、出発コンポーネントAおよびBから最終コンポーネントCおよびDへ化学平衡はずれる。
【0086】
図5は、その他の実施例を示していて、ここでは図2cに示した中間工程から出発して、電極層22oが電着させた金属層52で覆われている。
【0087】
図6は、第6実施例を示していて、ここでは図2cに示した中間工程から出発して、支持体基板1上に電極層62が形成され、これは、例えば銅または銀から成る開孔金属層として形成され、それ自体にも基板に対しても焼結プロセスによって良好な付着が得られ、その孔が充填材PEDOT/PSSで充填される。そのような電極形成は、例えば有機半導体層ベースの光電池ないし光起電モジュールを構成するために行われる。
【0088】
図7a乃至図7eは、色素電池の原理にしたがって光電池ないし光起電モジュールを構成するための製造段階を示している。
【0089】
図7aは、図2cに示した例に類似した出発構成として、支持体基板1上に開孔電極層72oを示していて、これは例えば約60μmの厚みの銅または銀から成る金属層として形成される。支持体基板1は、この実施例では導電性基板であり、例えば約20μmの総膜厚を有する金で蒸着したチタン箔から成る金属基板である。
【0090】
転写層72oは、それからチタン酸塩で被膜ないし含浸させ、その場合に例えばテトラアルキレート溶液が塗布される。チタン酸塩は、続く約120℃での温度プロセスにおいて、高い空気湿度の存在下でTiOに移行する。この工程の後に開孔電極層の孔はTiOで被膜される。この孔は、例えばこの実施例では20から50nmの平均直径を有する。TiOは孔表面上に約3nmの膜厚の層を形成する。しかしながら転写層72oを直接TiOマトリックスから形成して、これが焼結プロセス後に多孔性TiO形成物を形成することも考えられる。
【0091】
ここで、支持体基板1を、図7bに示しているように、それぞれ転写層72oの1つの領域を含む帯状物1’に切断する。
【0092】
次にこの帯状物1’を、表面を接着剤層71で被膜した非導電性支持体箔70、例えば19μmの厚みのPET箔上に積層する(図7c)。接着剤層としては、例えば2g/mの塗布密度を有するアクリレート化合物が考慮される。
【0093】
次にこの被膜された電極層72oを色素溶液に含浸させ、図7dに示しているように、電極層72gに移行させる。色素溶液は、例えばルテニウム2,2AE−ビピリジル−4,4AE−ジカルボキシレート2(NCS)2からなる溶液である。
【0094】
図7eは、完成した電気化学色素電池7を示していて、ここではまず図7gに示した構造から出発して、電極層72gの互いに区切られる領域にそれぞれ1つの酸化還元電解質層73を挿入し、これは例えばヨードとヨウ化カリウムから成る溶液である。この酸化還元電解質層73は、約30μmの厚みを有する。
【0095】
酸化還元電解質層73上に、透明カバー層75で覆われている透明電極74が配置される。垂直に配置された絶縁層76および78は、支持体箔70上に配置された光電池を互いに分離し、その場合にこの絶縁層は、重なって配置された電極層72g、酸化還元電解質層73および透明電極74の端面のそれぞれ1つを覆っている。2つの絶縁層76および78の間には、隣り合う光電池を電気接続するために、それぞれ垂直に広がる接続部77が設けられる。この導電性接続部77は、絶縁層76の、光電池とは反対側に配置され、1つの隣り合う光電池の電極層72gを、別の隣り合う光電池の透明電極74と接合させる。絶縁層78は、支持体基板1’、電極層72gおよび透明電極74の、絶縁層76とは反対側の端面を覆っている。絶縁層76および78は、それぞれ光電池を密閉するための接着剤層として形成することができる。とりわけ前述の光起電モジュール7の品質維持性と寿命が光電池の永続的な密閉に依存している。モジュールを、例えば太陽光(例えばAM1.5=標準スペクトル)で照射する場合に、導電性支持体基板1(図1)から分離した帯状物1’と透明電極74との間に、電圧Uが調整される。
【0096】
図8は、第8実施例を示していて、ここでは支持体基板1、例えばシリコンウェーハ上に、4つの部分転写層822aから822dにより形成された転写層822が転写されている。図8に示した実施例では、この転写された部分転写層822aから822dは様々に構造化されているので、例えば伝導経路ないし電極領域に1つの導電性特性を形成することができる。
【0097】
しかしながら、部分転写層822aから822dを異なる材料から形成することも考えられる。例えば最上の、外側にある部分転写層822dは特に天候の影響を受けないように形成されていて、最も内側の部分転写層822aは特にしっかり付着するように形成されていて、その間に配置された2つの部分転写層822bおよび822cは高い導電性を有するようにすることができる。この例では、最も内側の部分転写層822aまたは内側の層結合が、例えばアルミニウムを含み、外側にある部分転写層822dまたは外側の層結合がクロムを含むことが考えられる。
【0098】
それぞれ層を装着後に焼結プロセスを行うことができ、その場合にさらに焼結温度と焼結時間を、それぞれの層装着に関して変化させることが考えられる。
【0099】
図9は、第9実施例を平面図で示していて、これは例として本発明の方法の形態の可能性を明示するものである。
【0100】
支持体基板1上に3つの部分転写層922aから922cが順に転写され、伝導経路922を形成している。この部分転写層922aと922bは、図5に示した実施例では1つの面内にあり、部分転写層922bの領域を覆っていない部分転写層922cの領域も同じである。部分転写層922bは、例えば電極層である。部分転写層922cは伝導経路であり、部分転写層922bと互いに電気接続している。この部分転写層922bおよび922cは、異なる材料から形成することができ、したがって材料特性を「電極」の機能と、「回線接続」の機能とに最適に適合させることができる。
【0101】
部分転写層922aは、例えば構造内に集積したRFIDチップ用のコンデンサまたはアンテナなどの追加の機能を実現するために、コンデンサまたはアンテナ列を形成することができる。例えば部分転写層922aの材料および/または断面構造および/または表面構造をこの機能に対して最適化することができる。何重にも区分された表面構造は、例えば平滑な表面構造より大幅に大きい表面積を有し、それ故高い周波数に対してより良い導電性を有する。これは、所謂表皮効果の利用に関して最適化できることを意味する。
【0102】
図10は、その他の実施例を示していて、ここでは支持体基板1上に個人を特定化する電極層1022が刻印されている。この個人の特定化は、電極層1022を転写後に、この電極層1022の表面に、例えばホログラムなどの表面輪郭を刻印することによって行われる。この個人の特定化は、例えば偽造されない真贋証明書を装着するために行われる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1a乃至図1cは、第1実施例の製造工程の図式的な断面図である。
【図2】図2a乃至図2cは、第2実施例の製造工程の図式的な断面図である。
【図3】図3a乃至図3cは、第3実施例の製造工程の図式的な断面図である。
【図4】図4は、第4実施例の図式的な断面図である。
【図5】図5は、第5実施例の図式的な断面図である。
【図6】図6は、第6実施例の図式的な断面図である。
【図7】図7a乃至図7eは、第7実施例の製造工程の図式的な断面図である。
【図8】図8は、第8実施例の図式的な断面図である。
【図9】図9は、第9実施例の図式的な断面図である。
【図10】図10は、第10実施例の図式的な断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に構造物を形成する方法であって、粒子と結合剤とを含む領域を有する少なくとも1つの転写層(22)を、刻印箔(2)、特に熱刻印箔によって基板(1)の表面に全面または部分的に転写し、基板(1)上に転写された転写層内に開孔を形成し、その際、前記結合剤を排除し、それによって基板上に多孔性構造物が形成されることを特徴とする、基板上に構造物を形成する方法。
【請求項2】
少なくとも1つの転写層(22)の転写後または2つの順次行われる刻印工程の間に、焼結プロセスを実行することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
2つまたはそれ以上の焼結プロセスを、異なる温度および/または滞留時間で実行することを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項4】
焼結プロセスが300℃から800℃の範囲の焼結温度で調整されることを特徴とする、請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
焼結プロセスが450℃から550℃の範囲の焼結温度で調整されることを特徴とする、請求項2または3記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの転写層(22)の転写後または2つの順次行われる刻印工程の間で、結合剤が化学的に排除されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項7】
基板上に転写される転写層(22o)の開孔内に、少なくとも1つの充填材を挿入することを特徴とする、前述の請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
充填材が、導電性材料または半導体材料であることを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
充填材が、触媒作用材料であることを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項10】
充填材が、孔の表面上に、該孔を完全には埋めない層を形成することを特徴とする、請求項7ないし9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
多孔性の導電性構造物、特に伝導経路または電極を形成し、その場合に転写層(22)のある領域を、刻印箔(2)によって基板(1)の表面に全面または部分的に転写し、この転写層(22)が、結合剤以外に、粒子として導電性粒子を含み、その後基板(1)上に転写された転写層内に開孔を形成し、その際結合剤を除去し、それによって基板上に多孔性の導電性構造物が形成されることを特徴とする、前述の請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
多孔性の導電性構造物、特に伝導経路または電極を形成し、その場合に少なくとも1つの転写層(22)を、非導電性転写層として形成し、刻印箔(2)によって基板(1)の表面に全面または部分的に転写し、その後基板(1)上に転写された転写層内に開孔を形成し、その際結合剤を除去し、それから該開孔内に導電性材料または半導体材料を充填材として挿入することを特徴とする、請求項1ないし10のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
構造物(22,822,922)の幾何学的構造および/または導電性構造を、刻印箔(2)および/または刻印父型(3)の形成によって調整することを特徴とする、前述の請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
構造物(22,822,922)を、2以上の刻印工程で形成することを特徴とする、前述の請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
異なる材料から成る転写層および/または異なる導電性を有する転写層および/または異なる幾何学的構造を有する転写層および/または異なる横断面輪郭を有する転写層を順に転写することを特徴とする、請求項14記載の方法。
【請求項16】
2つまたはそれ以上の転写層を転写することによって、構造物(822)内に導電性勾配を形成することを特徴とする、請求項15記載の方法。
【請求項17】
2つまたはそれ以上の転写層を転写することによって、構造物の付着を局所的に変えることを特徴とする、前述の請求項の一項記載の方法。
【請求項18】
構造物(22,822,922)を、少なくとも1つの保護層で刻印することを特徴とする、前述の請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
光学可変要素(1022h)を有する転写層(1022)を最終層として装着することを特徴とする、前述の請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
基板が、無機材料、特にシリコンウェーハであることを特徴とする、前述の請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
刻印箔(2)を備え、該刻印箔(2)は、粒子と結合剤を含む領域を有する、少なくとも1つの転写層(22)を有し、該転写層(22)内の結合剤を排除することによって、多孔性構造物を設けるための開孔が形成可能であることを特徴とする、基板上に構造物を形成するための刻印箔、特に熱刻印箔。
【請求項22】
少なくとも1つの転写層(22)が、粒子および結合剤、特に結合剤粒子の混合物により形成されることを特徴とする、請求項21記載の刻印箔。
【請求項23】
粒子が導電性粒子であることを特徴とする、請求項22記載の刻印箔。
【請求項24】
導電性粒子が金属粒子であることを特徴とする、請求項23記載の刻印箔。
【請求項25】
導電性粒子が炭素ナノチューブであることを特徴とする、請求項23記載の刻印箔。
【請求項26】
導電性粒子が少なくとも1つの導電性ポリマーから成る粒子であることを特徴とする、請求項23記載の刻印箔。
【請求項27】
粒子が半導体粒子であることを特徴とする、請求項22記載の刻印箔。
【請求項28】
半導体粒子がTiO粒子、特にTiOナノ粒子であることを特徴とする、請求項27記載の刻印箔。
【請求項29】
半導体粒子が少なくとも1つの半導体ポリマーから成る粒子であることを特徴とする、請求項27記載の刻印箔。
【請求項30】
粒子が非導電性粒子であることを特徴とする、請求項22記載の刻印箔。
【請求項31】
粒子が触媒作用粒子であることを特徴とする、請求項22記載の刻印箔。
【請求項32】
粒子がほぼ等しい寸法を有することを特徴とする、請求項21ないし31のいずれか1項記載の刻印箔。
【請求項33】
粒子が異なる寸法を有することを特徴とする、請求項21ないし31のいずれか1項記載の刻印箔。
【請求項34】
少なくとも1つの転写層内の粒子の体積濃度が一定でないことを特徴とする、請求項21ないし33のいずれか1項記載の刻印箔。
【請求項35】
結合剤が温度プロセスによって排除可能であることを特徴とする、請求項21ないし34のいずれか1項記載の刻印箔。
【請求項36】
結合剤が化学プロセスによって排除可能であることを特徴とする、請求項21ないし35のいずれか1項記載の刻印箔。
【請求項37】
刻印箔(2)が1つまたは複数の剥離層(21)を有することを特徴とする、請求項21ないし36のいずれか1項記載の刻印箔。
【請求項38】
刻印箔(2)が1つまたは複数の下塗り層(23)を有することを特徴とする、請求項21ないし37のいずれか1項記載の刻印箔。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−10372(P2009−10372A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157179(P2008−157179)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(507370644)レオンハード クルツ シュティフトゥング ウント コー. カーゲー (21)
【Fターム(参考)】