説明

構造部材の防汚構造

【課題】構造部材の下面に汚れが固着するのを防止できる構造部材の防汚構造を提供すること。
【解決手段】シート部材20が構造部材1の下面3aと稜3bで交わる面3cに貼着される。構造部材1の表面を流れる降雨等は、構造部材1の下面3aと稜3bで交わる面3cに貼着されるシート20部材を伝わって、シート部材20の下縁20aから流下する。シート部材20の下縁20aは構造部材1の下面3aより下方に突出されているので、シート部材20を伝わって流れる降雨等が構造部材1の下面3aに回り込むことが防止される。これにより、降雨等の影響による汚れが構造部材1の下面3aに固着するのを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造部材の防汚構造に関し、特に、構造部材の下面に汚れが固着することを防止できる構造部材の防汚構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、橋梁、タンク、水門等の構造物は、鋼材等の素材を工場で加工して構造物を構成する構造部材を製造し、その構造部材を現地に搬入して組立て工事を行い建設される。工場で構造部材を製造してから現地で建設されるまでの間、一般に、構造部材は屋外で暴露保管される。構造部材が金属製である場合は、屋外で暴露保管されている間、構造部材の表面に錆が生じ、その錆が降雨や降雪(以下「降雨等」と称す)によって流れ、構造部材の表面に錆による汚れが固着する(さび汁が生じる)という問題点があった。また、大気中に浮遊する粉塵や煤塵が降雨等によって落下し、粉塵や煤塵が含まれる降雨等が構造部材の表面を流れ、構造部材の表面に粉塵や煤塵による汚れが固着するという問題点があった。特に、構造部材の表面を流れる降雨等は、構造部材の側面や端面から構造部材の下面に回り込むため、構造部材の下面の汚れが酷くなるという問題点があった。
【0003】
降雨等によって構造部材の表面が汚れるのを防ぐ技術として、特許文献1には、コンクリート製橋げた(構造部材)の側面にスポンジを貼着する技術が開示されている。特許文献1に開示される技術では、降雨等に含まれる粉塵や煤塵をスポンジに吸着させて降雨等を浄化し、浄化した降雨等を流下させる。これにより、構造部材の表面を美麗に保つものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−138708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、スポンジが粉塵や煤塵を吸着する能力を超えると、粉塵や煤塵を含む降雨等が構造部材の表面を流れ、流れる降雨等は構造部材の下面に回り込み、構造部材の下面に汚れが固着するという問題点があった。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、構造部材の下面に汚れが固着するのを防止できる構造部材の防汚構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この目的を達成するために、請求項1記載の構造部材の防汚構造によれば、構造部材の表面を流れる降雨等は、構造部材の下面と稜で交わる面に貼着されるシート部材を伝わって、シート部材の下縁から流下する。シート部材の下縁は構造部材の下面より下方に突出されているので、シート部材を伝わって流れる降雨等が構造部材の下面に回り込むことが防止される。これにより、降雨等の影響による汚れが構造部材の下面に固着するのを防止できる効果がある。
【0008】
請求項2記載の構造部材の防汚構造によれば、構造部材に貼着されるシート部材は、下面と稜で交わる面から下縁が離間されると共に、下縁が構造部材の下面と同一の高さに位置されているので、シート部材を伝わって流れる降雨等がシート部材の下縁から流下し、構造部材の下面に回り込むことが防止される。これにより、降雨等の影響による汚れが構造部材の下面に固着するのを防止できる効果がある。
【0009】
請求項3記載の構造部材の防汚構造によれば、構造部材は水勾配が形成されるように載置されているので、降雨等の多くは水勾配に沿って水上から水下へ構造部材を流れる。水上から水下へ流れる降雨等の一部は水勾配から外れて側方へ流れようとするが、勾配の方向に沿って貼着されるシート部材により、水勾配から外れて側方へ流れる降雨等が構造部材の下面に回り込むことを防止できる。これにより、請求項1又は2の効果に加え、降雨等の影響による汚れが構造部材の下面に固着するのを防ぐ効果を向上できる効果がある。
【0010】
請求項4記載の構造部材の防汚構造によれば、シート部材は、ウェブ及びフランジを備える構造部材のフランジの下面と稜で交わる面に貼着されているので、請求項1から3のいずれかの効果に加え、フランジの下面に降雨等による汚れが固着することを防止できる効果がある。
【0011】
請求項5記載の構造部材の防汚構造によれば、シート部材はフランジの上面より下方に上縁が位置するように貼着されている。これに対し、シート部材がフランジの上面より上方に上縁が位置するように貼着されている場合は、フランジの上面のウェブとシート部材との間に降雨等が滞留し易くなると共に、滞留した降雨等がシート部材とフランジとの間に浸み込むことがあり、フランジが腐食され易くなるおそれがある。また、フランジの上面に滞留した降雨等によってシート部材の上縁側が押され、シート部材が剥がれ易くなるおそれがある。請求項5記載の構造部材の防汚構造によれば、請求項4の効果に加え、フランジの上面に降雨等が滞留することを防ぎ、フランジの腐食を防止できると共に、シート部材を剥がれ難くできる効果がある。
【0012】
請求項6記載の構造部材の防汚構造によれば、水上の端面に貼着されるシート部材により、水上の端面から降雨等が構造部材の下面に回り込むことを防止できる。これにより請求項3から5のいずれかの効果に加え、降雨等の影響による汚れが構造部材の下面に固着するのを防ぐ効果を向上できる効果がある。
【0013】
請求項7記載の構造部材の防汚構造によれば、構造部材が耐候性鋼により製造されていると、暴露保管の初期に降雨等によりさび汁を生じ、構造部材の下面が黄褐色に汚染されることがあるが、シート部材により降雨等が構造部材の下面に回り込むことが防止される。これにより、請求項1から6のいずれかの効果に加え、構造部材の下面が黄褐色に汚染されることを防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は第1実施の形態における構造部材の防汚構造を示す構造部材の側面図であり、(b)は水下の構造部材の斜視図である。
【図2】(a)は第2実施の形態における構造部材の防汚構造を示す水下の構造部材の斜視図であり、(b)は水上の構造部材の斜視図である。
【図3】第3実施の形態における構造部材の防汚構造を示す構造部材の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本発明の第1実施の形態における構造部材1の防汚構造について説明する。図1(a)は構造部材1の防汚構造を示す構造部材1の側面図であり、図1(b)は水下の構造部材1の斜視図である。
【0016】
図1に示すように、構造部材1は、上フランジ2及び下フランジ3、並びに上フランジ2と下フランジ3とを連結するウェブ4を備えて構成され、高さの異なる2つの支持体10,11に架設されることで、2%以上の水勾配を設けて載置され、工場等の屋外で暴露保管される。本実施の形態では、水勾配は、図1(a)右から左へ水が流れるように付けられている。
【0017】
また、構造部材1は耐候性鋼で製造されている。耐候性鋼は、Cu,Cr,Ni等の合金元素を含有し、無塗装のままで年月の経過と共に表面に緻密で密着性の高い錆を形成する鋼である。構造部材1は、橋梁の桁用の部材として製造されている。
【0018】
シート部材20は、耐水性を有し降雨等の回り込みや浸入を遮って降雨等を流下させる部材である。シート部材20は、構造部材1を支持体10,11に載置した後、下フランジ3の下面3aと稜3bで交わる面(側面3c)に貼着され、シート部材20の下縁20aは、下フランジ3の下面3aより下方に突出される。本実施の形態では、シート部材20の突出長さ(下フランジ3の下面3aとシート部材20の下縁20aとの距離)は2cm以上に設定されている。
【0019】
降雨等は、上フランジ2、ウェブ4、下フランジ3を伝わって流れ、下フランジ3の上面3dから、下フランジ3の側面3cに貼着されるシート部材20を伝わって、シート部材20の下縁20aから流下する。シート部材20の下縁20aは下フランジ3の下面3aより下方に突出されているので、シート部材20を伝わって流れる降雨等が下フランジ3の側面3cから下面3aに回り込むことが防止される。その結果、降雨等の影響による汚れ(さび汁等)が下フランジ3の下面3aに固着するのを防止できる。
【0020】
耐候性鋼では、密着性の高い錆が形成されるまでの間、特に暴露保管の初期には、表面に形成された錆が剥離して降雨等によって流れ落ちることがある。下フランジ3の下面3aは降雨等が直接に降り注ぐ部位ではないので、降雨等が下フランジ3の側面3cを伝わって下面3aに回り込むと、下面3aに流れ跡が残り、下面3aが黄褐色のまだら状に汚染される。構造部材1が橋梁に用いられる桁用の部材であると、現地に架設した後の見え掛りの下面3aが汚染されることになるため、美観を損なう。本実施の形態では、下フランジ3の側面3cにシート部材20が貼着されているので、降雨等が下フランジ3の下面3aに回り込むことが防止され、下面3aの汚染を防止でき、下面3aを美麗に保つことができる。
【0021】
また、本実施の形態では、図1(b)に示すように、支持体10は下フランジ3の幅より長いものが用いられている。支持体11も支持体10と同様に下フランジ3の幅より長いものが用いられているが、以下、支持体10について説明し、支持体11の説明は省略する。
【0022】
支持体10が下フランジ3の幅より長いため、図1(b)に示すように、下フランジ3に貼着されるシート部材20は、支持体10の付近では、支持体10の一部を覆うような状態となり、シート部材20の下縁20aは支持体10の上に位置される。支持体10は、2つの傾斜面10a,10bが頂部10cで交わる山形に形成されており、頂部10cが下フランジ3の下面3aと接触している。これにより、支持体10の付近では、シート部材20を伝わって流れる降雨等が支持体10に流下され、傾斜面10a,10bを伝わって落下する。その結果、シート部材20を伝わって流れる降雨等が下フランジ3の下面3aに回り込むことが防止される。
【0023】
なお、シート部材20を下フランジ3に貼着した後、構造部材1を支持体10,11に載置することも可能であるが、その場合は、シート部材20が下フランジ3と支持体10,11との間に挟み込まれないようにする必要がある。シート部材20が下フランジ3と支持体10,11との間に挟み込まれると、シート部材20を伝わって流れる降雨等が下フランジ3の下面3aに回り込むおそれがあるからである。
【0024】
図1(a)に示すように、シート部材20は勾配の方向(図1(a)左右方向)に沿って下フランジ3の側面3cに貼着される。構造部材1は2%以上の水勾配が設けられているので、下フランジ3の上面3dを流れる降雨等の多くは、水勾配に沿って水上(図1(a)右側)から水下(図1(a)左側)へ流れ、水下の端面3eから流下する。水勾配が付けられているので、水下の端面3eから流下する降雨等が下フランジ3の下面3aに回り込む可能性は低い。
【0025】
下フランジ3の上面3dを流れる降雨等の一部は水下の端面3eに到達せずに、下フランジ3の側面3cへ流れる。下フランジ3の側面3cにシート部材20が貼着されていないときは、降雨等が側面3cから下面3aに回り込み、流れ跡に黄褐色のさび汁が固着し、下面3aが黄褐色のまだら状に汚染される。これに対し本実施の形態では、勾配の方向に沿って下フランジ3の側面3cにシート部材20が貼着されているので、降雨等が下フランジ3の側面3cから下面3aに回り込むことを防止でき、下フランジ3の下面3aが汚染されることを効果的に防止できる。
【0026】
また、シート部材20は、勾配の方向に亘って水上から水下まで下フランジ3の側面3cに隙間なく貼着されているので、降雨等が下フランジ3の上面3dから側面3cを伝わって下面3aに回り込むことを確実に防止できる。なお、シート部材20は、合成樹脂製や紙製等の帯体の背面に粘着剤が塗布された粘着シートを用いることができる。また、下フランジ3の側面3cに粘着剤を連続して塗布し、そこにシート部材20を貼ることも可能である。
【0027】
図1(a)及び図1(b)に示すように、シート部材20は、下フランジ3の上面3dより下方に上縁20bが位置するように貼着される。これに対し、シート部材20が下フランジ3の上面3dより上方に上縁20bが位置するように貼着されている場合は、ウェブ4とシート部材20との間の下フランジ3の上面3dに降雨等が滞留し易くなると共に、滞留した降雨等がシート部材20と下フランジ3との間に浸み込むことがあり、下フランジ3が腐食され易くなるおそれがある。また、下フランジ3の上面3dに滞留した降雨等によってシート部材20の上縁20b側が押され、シート部材20が剥がれ易くなるおそれがある。本実施の形態によれば、下フランジ3の上面3dに降雨等が滞留することを防ぎ、下フランジ3の腐食を防止できると共に、シート部材20を剥がれ難くできる。
【0028】
なお、シート部材20は、構造部材1に着脱可能に貼着される。これにより、工場で構造部材1が製造されてから現地で建設されるまでの暴露保管の間、シート部材20を貼着し、現地で構造物を建設するときには、構造物に不要なシート部材20を剥離できる。
【0029】
以上説明したように第1実施の形態における構造部材1の防汚構造によれば、下フランジ3の下面3aより下方に下縁20aが突出するようにシート部材20が貼着されているので、降雨等が下フランジ3の下面3aに回り込むことが防止される。
【0030】
次に、図2を参照して、第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、構造部材1が上フランジ2及び下フランジ3並びにそれらを連結するウェブ4を備え、耐候性鋼で製造される場合について説明した。これに対し、第2実施の形態では、構造部材101が断面略矩形状の管体として構成され、コンクリートで製造される場合について説明する。なお、図示は省略するが、第2実施の形態における構造部材101も、第1実施の形態と同様に支持体に架設され、長手方向に水勾配が付けられているものとする。図2(a)は第2実施の形態における構造部材101の防汚構造を示す水下の構造部材101の斜視図であり、図2(b)は水上の構造部材101の斜視図である。
【0031】
図2(a)に示すように、シート部材120は、構造部材101の下面101aと稜101bで交わる面(側面101c)に貼着される。シート部材120の下縁120aは、構造部材101の下面101aより下方に突出される。降雨等は、構造部材の上面101d、側面101cを伝わって流れ、構造部材101の下面101aと稜101bで交わる面(側面101c)に貼着されるシート部材120を伝わって、シート部材120の下縁120aから流下する。シート部材120の下縁120aは構造部材101の下面101aより下方に突出されているので、シート部材120を伝わって流れる降雨等が構造部材101の側面101cから下面101aに回り込むことが防止される。その結果、降雨等の影響による汚れ(粉塵や煤塵等の流れ跡等)が構造部材101の下面101aに固着するのを防止できる。
【0032】
さらに、図2(b)に示すように、シート部材121は、構造部材101の下面101aと稜101eで交わる面(水上の端面101f)に貼着される。シート部材121の下縁121aは、構造部材101の下面101aより下方に突出される。構造部材101の端面101fを伝わって流れる降雨等は、端面101fに貼着されるシート部材121を伝わって、シート部材121の下縁121aから流下する。シート部材121の下縁121aは構造部材101の下面101aより下方に突出されているので、シート部材121を伝わって流れる降雨等が構造部材101の端面101fから下面101aに回り込むことが防止される。その結果、降雨等の影響による汚れ(粉塵や煤塵等の流れ跡等)が構造部材101の下面101aに固着するのを防止できる。
【0033】
図2(b)に示すように、シート部材121は、構造部材101の内側下面101gより下方に上縁121bが位置するように貼着される。降雨等がシート部材121と端面101fとの間に浸み込んだり、暴露保管中にシート部材121が剥がれ易くなったりすることを防止するためである。
【0034】
なお、水勾配によって構造部材101の内側下面101gを伝わって流れる降雨等は、水下の端面101h(図1(a)参照)に到達し、端面101hから流下する。水勾配が付けられているので、端面101hから流下する降雨等が構造部材101の下面101aに回り込む可能性は低い。
【0035】
以上説明したように第2実施の形態における構造部材101の防汚構造によれば、構造部材101の下面101aより下方に下縁120a,121aが突出するようにシート部材120,121が貼着されているので、降雨等が構造部材101の下面101aに回り込むことが防止される。
【0036】
次に、図3を参照して、第3実施の形態について説明する。第1実施の形態および第2実施の形態では、構造部材1,101に貼着されるシート部材20,120,121の下縁20a,120a,121aが構造部材1,101の下面3a,101aより下方に突出される場合について説明した。これに対し、第3実施の形態では、構造部材201に貼着されるシート部材220の下縁220aが構造部材201の下面201aと同一の高さに位置する場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、以下の説明を省略する。
【0037】
図3は第3実施の形態における構造部材201の防汚構造を示す構造部材201の正面図である。構造部材201は、断面略矩形状の管体として構成されている。シート部材220は、構造部材201の下面201aと稜201bで交わる面(側面201c)に貼着され、側面201cから下縁220aが離間されると共に、下縁220aが構造部材201の下面201aと同一の高さに位置されている。シート部材220を硬質の素材で製造し、シート部材220の上縁220bに対して下縁220aが外側に広がるようシート部材220を成形することにより、この構造を実現できる。あるいは、シート部材220を軟質の素材で製造し、シート部材220の上縁220bに対して下縁220aが外側に広がるようにシート部材220を別の部材で支持しても、この構造を実現できる。
【0038】
これらの場合は、シート部材220を伝わって流れる降雨等が、構造部材201から離間したシート部材220の下縁220aから流下するので、降雨等が構造部材201の下面201aに回り込むことが防止される。その結果、降雨等の影響による汚れが構造部材201の下面201aに固着するのを防止できる。
【0039】
なお、シート部材220の下縁220aと構造部材201の側面201cとは、シート部材220の下縁220aに滞留する液滴が構造部材201の側面201cに接触できないような間隔に離間される。液滴が構造部材201の側面201cに接触すると、構造部材201の下面201aに液滴が伝わって、下面201aが汚染されるからである。
【0040】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0041】
上記第1実施の形態では、上フランジ2、下フランジ3及びウェブ4を備える断面I型の構造部材1を採用した場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の断面形状の構造部材を採用することも可能である。他の断面形状としては、例えば、フランジとウェブとを備えるL型やT型を挙げることができる。また、鋼板や山形鋼等を使ってフランジやウェブを箱形に構成した箱桁を挙げることもできる。
【0042】
上記第1実施の形態では、耐候性鋼を無塗装で使用する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、耐候性鋼に塗装処理を施すことが可能である。また、緻密で密着性の高い錆の形成を助長する処理剤を耐候性鋼に塗布することも可能である。また、耐候性鋼ではなく、他の鋼材や鋳鉄等により製造される構造部材1に適用することも可能である。これらの場合も、降雨等によって形成される流れ跡が構造部材1の下面3aに固着することを防止できる。
【0043】
上記第1実施の形態では説明を省略したが、第2実施の形態で説明したシート部材121のように、構造部材1の水上の端面にシート部材を貼着することも可能である。これにより、構造部材1の水上の端面から下面3aに降雨等が回り込むことが確実に防止される。
【0044】
上記各実施の形態では説明を省略したが、構造部材1,101の水下の端面3e,101hにシート部材20,120を貼着することも可能である。水下の端面3e,101hにシート部材20,120を貼着することで、降雨等が流下する構造部材1,101の下面3a,101aと端面3e,101hとの稜にさび汁等の汚れが固着することを防止できる。
【符号の説明】
【0045】
1,101,201 構造部材
3 下フランジ(フランジ)
4 ウェブ
3a,101a,201a 下面
3b,101b,101e,201b 稜
3d 上面
101f 端面
20,120,121,220 シート部材
20a,120a,121a,220a 下縁
20b,121b 上縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造部材の下面と稜で交わる面に貼着されるシート部材を備え、
そのシート部材は、前記構造部材の下面より下方に下縁が突出されていることを特徴とする構造部材の防汚構造。
【請求項2】
構造部材の下面と稜で交わる面に貼着されるシート部材を備え、
そのシート部材は、前記稜で交わる面から下縁が離間されると共に、前記下縁が前記構造部材の下面と同一の高さに位置されていることを特徴とする構造部材の防汚構造。
【請求項3】
前記構造部材は、水勾配が形成されるように載置されており、
前記シート部材は、勾配の方向に沿って貼着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の構造部材の防汚構造。
【請求項4】
前記構造部材は、ウェブ及びフランジを備えて構成されており、
前記シート部材は、前記フランジの下面と稜で交わる面に貼着されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の構造部材の防汚構造。
【請求項5】
前記シート部材は、前記フランジの上面より下方に上縁が位置するように貼着されていることを特徴とする請求項4記載の構造部材の防汚構造。
【請求項6】
前記シート部材は、水上の端面に貼着されていることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の構造部材の防汚構造。
【請求項7】
前記構造部材は、耐候性鋼により製造されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の構造部材の防汚構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−62652(P2012−62652A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206307(P2010−206307)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】