説明

構造部材補修装置、補修用電極および構造部材補修方法

【課題】従来、パルス放電を利用した肉盛溶接によりき裂を被覆する放電被覆法においては、施工前に酸化皮膜の除去が必要であるが従来は溶接装置とは別に研磨装置が必要であった。
【解決手段】補修用電極4を酸化皮膜除去層21で覆った補修用電極4を構造部材31表面に接触させてモータ2によって回転させ、構造部材31表面の酸化皮膜34と酸化皮膜除去層21との摩擦によって酸化皮膜34を除去し、補修用電極4と構造部材31との間でパルス放電を発生させて補修用電極4を溶融させ、肉盛被覆層33を形成し、構造部材31に発生したき裂32を被覆補修する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は構造部材に発生したき裂を被覆するための構造部材補修装置、補修用電極および構造部材補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、構造物に発生したき裂を補修する方法としては、き裂部分の周辺領域を削り取った後に開先成形し、この開先部に肉盛溶接を行う開先溶接が多かったが、き裂を残したままき裂の開口部のみを肉盛溶接により被覆する方法もある。この肉盛溶接方法としては、TIG溶接法や、より低入熱での施工が可能なレーザ溶接法、放電被覆法などがある。特に構造部材に与える熱的な影響が少ない放電被覆法に関して、パルス放電を利用してき裂を肉盛溶接により被覆するものが知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような技術は、構造部材表面に電極を接触させて電極にパルス電源から10−3〜10−6秒のパルス幅のパルスを通電させて電極を溶融し、この溶融した電極を構造部材の表面に移行させて肉盛溶接を実施するものである。放電被覆法は施工時の入熱量が低いため、他の溶接法に比べて構造部材の溶融が少ないことから、得られた肉盛溶接部と構造部材との間の密着性は構造部材の表面状態の影響を受けやすい。実際に補修する構造部材の表面には酸化皮膜が付着しているため、放電被覆法の施工前には酸化皮膜の除去が必要である。
【特許文献1】特開2003−1478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の放電被覆法を用いた溶接装置は構造部材表面の酸化皮膜を除去する機能を持たないため、溶接装置とは別に構造部材の研磨装置を用いる必要があった。
【0005】
従って本発明は、放電被覆法を用い、溶接装置の他に構造部材表面の酸化皮膜を除去するための研磨装置を不要とする構造部材補修装置、この構造部材補修装置で使用される補修用電極及び構造部材補修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明による構造部材補修装置は、ケーシングと、前記ケーシング内部に設けられた弾性体と、前記弾性体によって支持されるモータと、前記モータの回転軸に一側を連結され、他側を前記ケーシングから外方に突出させて配置した補修用電極と、前記補修用電極と前記構造部材との間でパルス放電を行う電力を前記補修用電極に供給するパルス電源とを備え、前記補修用電極は、棒状の電極と、この電極の表面に設けられ、前記補修用電極を補修対象となる構造部材表面に対して傾斜して接触した状態で前記モータによって回転させた時に前記構造部材表面に形成された酸化皮膜を除去する酸化皮膜除去層とを有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明による補修用電極は、構造部材の補修対象部に肉盛被覆層を形成して補修を行うための補修用電極であって、この補修用電極は、棒状の電極と、この電極の表面に、前記構造部材表面に形成された酸化皮膜を除去する酸化皮膜除去層を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明による構造部材補修方法は、モータに連結され、棒状の電極の表面に酸化皮膜除去層が設けられた補修用電極を、補修対象となる構造部材に対して傾けて接触させ、前記補修用電極を前記モータによって回転させながら傾斜方向へ前記構造部材表面に沿わせて移動させ、前記補修用電極の前記酸化皮膜除去層と前記構造部材表面との摩擦によって前記酸化皮膜を除去し、かつ前記補修用電極と前記構造部材との間にパルス放電を発生させることによって前記補修用電極を溶融させ、溶融した前記補修用電極で前記構造部材の欠陥部を被覆補修することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、補修用電極および補修装置によって構造部材表面の酸化皮膜を取り除くことができ、従来は補修装置とは別に必要であった研磨装置が不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は本実施例による構造部材補修装置の概略を示す断面図、また図2は図1のIIに示す破線楕円部分を拡大した溶接部近傍の概略を示す断面図である。
【0012】
31は補修対象となる構造部材で、表面にき裂32が発生しており、また表面に厚さ数μm程度からそれ以下の酸化皮膜33が形成されている状態を示している。
【0013】
1はケーシングで、ケーシング1内部に設けられたスプリング3を介してモータ2を支持している。これらがコネクタ5を介してモータ2に連結された補修用電極4の駆動装置を構成する。補修用電極4は、棒状に形成された電極の外周面に酸化皮膜除去層21が施されて構成されている。構造部材31に鉄系合金が用いられていれば補修用電極4も同様の合金を用いるといったように、補修用電極4は構造部材31と同一の金属組成であることが望ましい。酸化皮膜除去層21は、たとえばアルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、ジルコン、窒化珪素、炭化珪素の何れかから、またはこれらの材料を複数用いた複合材料で構成される。酸化皮膜除去層21はEBPVD法やCVD法を用いた蒸着、セラミックメッキ皮膜形成、セラミックコーティング、プラズマ溶射などによって補修用電極4表面に厚さおよそ1mm以下の薄膜として形成される。
【0014】
6は構造部材31と補修用電極4との間にパルス放電を起こす電力を供給するパルス電源、33はパルス放電によって溶融した補修用電極4によって構造部材31表面に形成された肉盛被覆層である。また、35は本補修装置の進行方向を示している。また、θは構造部材31に対する補修用電極4の進行方向への傾斜角度を示す。
【0015】
本実施例による構造部材補修装置は、補修用電極4の径が1.6〜3.2mm、パルス電源6の設定がアーク電圧100〜200V、パルス周波数100〜1000Hz、モータ2の回転速度が1000〜3000rpmの範囲内の条件であるもの想定したものである。
【0016】
本実施例による構造部材補修装置の作用は以下の通りである。
【0017】
補修用電極4を構造部材31に対して進行方向に傾斜させて接触させた状態でモータ2を動作させると、補修用電極4の回転による酸化皮膜除去層21と酸化皮膜34との摩擦によって酸化皮膜34が構造部材31から削り落とされ、構造部材31が露出する。また、酸化皮膜除去層21は酸化皮膜34との摩擦および露出した構造部材31との摩擦によって補修用電極4から剥離し脱落する。
【0018】
駆動装置とともに進行方向へ移動する補修用電極4と酸化皮膜除去層21によって露出した構造部材31とが接触すると、パルス電源6からの電力供給によってパルス放電が起こり、パルス放電によって補修用電極4は溶融する。溶融した補修用電極4は構造部材31表面に移行して肉盛被覆層33を形成する。この一連の動作によってき裂32の開口部近傍の酸化皮膜を除去した後に、き裂32の開口部を肉盛被覆層33によって被覆することができる。
【0019】
補修用電極4の傾斜角度θについては、補修用電極4の傾斜が構造部材31に対して略垂直であると形成した肉盛被覆層33と酸化皮膜除去層21が接触してしまうことから、摩擦によって肉盛被覆層33を削ってしまう。また、補修用電極4の傾斜が略水平であると補修用電極4と構造部材31とが接触しないことによってパルス放電を起こせず、肉盛被覆層33を形成できない。このため、傾斜角度θは概ね5〜80度の範囲内であることが望ましいと考えられる。
【0020】
酸化皮膜除去層21について述べれば、酸化皮膜34および構造部材31との摩擦によって補修用電極4から剥離した酸化皮膜除去層21の大部分は補修用電極4の回転によって生じる遠心力によって補修用電極4と構造部材31の接触部から排除されるが、一部は肉盛被覆層33の形成に巻き込まれる。これによる肉盛被覆層33の耐食性への影響はなく、また、酸化皮膜除去層21が肉盛被覆層33に溶け込むことによって肉盛被覆層33の分散強化に寄与する。
【0021】
しかし、形成された肉盛被覆層33に巻き込まれた剥離した酸化皮膜除去層21が多量であると、補修用電極4と構造部材31の間に剥離した酸化皮膜除去層21が入りこむことによってパルス放電が阻害されたり、剥離した酸化皮膜除去層21がパルス放電で溶けきらずに残留して肉盛被覆層33と構造部材31の密着状態に悪影響を与えることが考えられる。このような現象を考慮して成された本実施例の変形例を以下に示す。
【0022】
図3は本実施例の変形例として補修用電極4表面の酸化皮膜除去層21にらせん状の溝8を設けた場合の補修用電極4の側面図である。このようならせん状の溝8は、補修用電極4表面に酸化皮膜除去層を形成する際、らせん状のマスキングを施してから酸化皮膜除去層21を形成し、その後にマスキングを排除することによって形成することができる。このようにらせん状の溝8を設けることによって、補修用電極4から剥離した酸化皮膜除去層21を溝8に沿って排除し易くすることができ、剥離した酸化皮膜除去層21が多量に肉盛被覆層の形成に巻き込まれることを防止する。
【0023】
本実施例によれば、溶接装置によって構造部材31表面の酸化皮膜を取り除くことができるため、構造部材31表面に発生したき裂34の被覆補修を行う際に、従来は溶接装置と別に必要であった研磨装置を不要とすることができる。また、酸化皮膜除去層21にらせん状の溝8を設けることによって剥離した酸化皮膜除去層21が多量に肉盛被覆層の形成に巻き込まれることを防止することができる。
【実施例2】
【0024】
図4は本実施例による構造部材補修装置の概略を示す断面図である。本実施例による構造部材補修装置には貯蔵タンク9、液滴供給部10が設けられている。なお実施例1と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0025】
貯蔵タンク9には酸化皮膜排除媒体である液体が貯蔵されており、液滴供給部10から貯蔵タンク9に貯蔵された液体を酸化皮膜34表面に供給する。なお、図4においては貯蔵タンク9、液滴供給部10をケーシング1外部に設けているが、ケーシング1の内部に設けるようにしてもよい。
【0026】
酸化皮膜除去層21による酸化皮膜34の除去を行う際、あらかじめ貯蔵タンク9に貯蔵された液体を液滴供給部10から装置の進行先の酸化皮膜34に供給しておくことによって、酸化皮膜除去層21との摩擦によって剥離した酸化皮膜34が供給された液体によって浮き上がり、補修用電極4と構造部材31の接触部近傍から排除されやすくなる。
【0027】
酸化皮膜排除媒体は液体であるが、酸化皮膜排除媒体に有機溶剤や還元剤を用いるのが特に好適である。酸化皮膜排除媒体に有機溶剤を用いた場合は酸化皮膜34を溶解させることによって、還元剤を用いた場合は酸化皮膜34を還元させることによって、酸化皮膜除去層21との摩擦による酸化皮膜34の排除を容易にすることができる。有機溶剤には例えばアセトンやアルコールを、還元剤には、例えば構造部材31が鉄系の材料で構成される場合はシュウ酸などを用いることができる。
【0028】
また、上述の有機溶剤もしくは還元剤によって酸化皮膜の排除を容易にする効果については、酸化皮膜除去層21に有機溶剤または還元剤を含浸させることによっても得ることができる。有機溶剤と還元剤の組み合わせによっては、例えば酸化皮膜排除媒体に還元剤を用い、酸化皮膜除去層21には有機溶剤を含浸させておくなどして有機溶剤と還元剤を併用することができる。
【0029】
本実施例によれば、酸化皮膜除去層21との摩擦によって酸化皮膜34を排除する際にあらかじめ酸化皮膜排除媒体を酸化皮膜34に供給しておくことによって、酸化皮膜除去層21との摩擦によって剥離した酸化皮膜34の排除を容易にすることができる。
【0030】
また、酸化皮膜排除媒体に有機溶剤または還元剤を用いた場合、あらかじめ酸化皮膜34が溶解もしくは還元されることによって酸化皮膜除去層21との摩擦による酸化皮膜34の排除を容易にすることができる。
【0031】
また、酸化皮膜除去層21に有機溶剤または還元材を含浸させておくことによって酸化皮膜34を排除することが容易にすることができる。
【実施例3】
【0032】
図5は本実施例による構造部材補修装置の概略を示す断面図である。本実施例による構造部材補修装置にはスカート14が設けられている。なお、実施例1と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0033】
ケーシング1に取り付けられたスカート14は、補修用電極4を構造部材31に接触させた際にはケーシング1、構造部材31とともに補修用電極4と構造部材31の接触部近傍を包囲するように設けられている。シールドガス供給口13はシールドガスボンベ12から隔室へシールドガスを供給する。シールドガス供給口13は隔室内にシールドガスを供給できる位置に設けられてあればよく、例えばケーシング1底面に設けてもよい。また、シールドガスとしてはAr、He、ArとHeの混合ガスなどが挙げられる。ポンプ17はシールドガス回収口15を介して、隔室内に供給されたシールドガスを回収する。また、シールドガス回収口15からは酸化皮膜除去層21との摩擦によって排除された酸化皮膜34および剥離した酸化皮膜除去層21もシールドガスと共に回収可能であり、回収された酸化皮膜34と酸化皮膜除去層21はフィルタ16によってトラップされる。
【0034】
補修用電極4と構造部材31の接触部近傍には、ケーシング1、スカート14、構造部材31によって包囲された隔室が形成される。この隔室内はシールドガス供給口13から供給されるシールドガスによってシールドガス雰囲気となり、酸化皮膜34が剥離した後の構造部材表面31への再付着や露出した構造部材31の再酸化を防止する。
【0035】
また、図6はケーシング4内部に隔壁18およびベロー19を設けた変形例である。
【0036】
水中においては、パルス放電による放電被覆法は気中と同様に実施することはできない。本変形例によれば、補修用電極4と構造部材31の接触部近傍を隔室とし、さらに水圧よりも高い圧力でシールドガスを供給することによって隔室内をシールドガス雰囲気に保ち、水中であっても気中と同様にパルス放電による放電被覆法を実施することができる。例えば水深30m前後においてはシールドガスを5〜7気圧で隔室内に供給する。
【0037】
本実施例によれば、実施例1の作用に加えて構造部材31への酸化皮膜34の再付着や構造部材31の再酸化を防止し、また水中においても隔室内を気中に保つことによってパルス放電による放電被覆法を実施することができる。
【実施例4】
【0038】
図7は本実施例による構造部材補修装置の概略を示す断面図である。本実施例による構造部材補修装置には貯蔵タンク9、液滴供給部10、スカート14が設けられている。なお実施例1と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0039】
ケーシング1にスカート14と貯蔵タンク9が設けられている。貯蔵タンク9からは液体供給部10が、ケーシング内部を通過して隔室内に液体を供給するように設けられている。
【0040】
本実施例によれば、実施例2の作用と実施例3の作用とを同時に得ることが可能となる。
【0041】
以上本発明の実施例について図を参照して説明してきたが、上記複数の実施例に説明した特徴を任意に組み合わせたところの構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施例1の構造部材補修装置の概略を示す断面図。
【図2】実施例1の構造部材補修装置の溶接部近傍の概略を示す断面図。
【図3】実施例1の構造部材補修装置の変形例を示す側面図。
【図4】実施例2の構造部材補修装置の概略を示す断面図。
【図5】実施例3の構造部材補修装置の概略を示す断面図。
【図6】実施例3の構造部材補修装置の変形例の概略を示す断面図。
【図7】実施例4の構造部材補修装置の概略を示す断面図。
【符号の説明】
【0043】
1 ケーシング
2 モータ
3 スプリング
4 補修用電極
5 コネクタ
6 パルス電源
8 溝
9 貯蔵タンク
10 液滴供給部
12 シールドガスボンベ
13 シールドガス供給口
14 スカート
15 シールドガス回収口
16 フィルタ
17 ポンプ
18 隔壁
19 ベロー
21 酸化皮膜除去層
31 構造部材
32 き裂
33 肉盛被覆層
34 酸化皮膜
35 進行方向
θ 傾斜角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシング内部に設けられた弾性体と、
前記弾性体によって支持されるモータと、
前記モータの回転軸に一側を連結され、他側を前記ケーシングから外方に突出させて配置した補修用電極と、
前記補修用電極と前記構造部材との間でパルス放電を行う電力を前記補修用電極に供給するパルス電源とを備え、
前記補修用電極は、
棒状の電極と、
この電極の表面に設けられ、前記補修用電極を補修対象となる構造部材表面に対して傾斜して接触した状態で前記モータによって回転させた時に前記構造部材表面に形成された酸化皮膜を除去する酸化皮膜除去層とを有することを特徴とする構造部材補修装置。
【請求項2】
前記補修用電極を前記構造部材に接触させたまま移動させる補修用電極移動手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の構造部材補修装置。
【請求項3】
前記ケーシングに、
酸化皮膜排除媒体を貯蔵する貯蔵タンクと、
前記補修用電極の移動時に前記貯蔵タンクに貯蔵された酸化皮膜排除媒体を、前記補修用電極と前記構造部材の接触部近傍の前記酸化皮膜に供給する酸化皮膜排除媒体供給口と、
を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の構造部材補修装置。
【請求項4】
前記酸化皮膜除去層には有機溶剤、還元剤の少なくともいずれか一つが含浸されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の構造部材補修装置。
【請求項5】
前記ケーシングに、
前記構造部材と前記補修用電極の接触部近傍を覆うように設けた隔室を形成するスカートと、
前記隔室内にシールドガスを供給するシールドガス供給部と、
前記隔室内に供給された前記シールドガスを回収するシールドガス回収部と
を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の構造部材補修装置。
【請求項6】
前記シールドガス回収部は、前記酸化皮膜除去層と前記酸化皮膜との摩擦によって前記補修用電極表面から剥離する前記酸化皮膜除去層および前記構造部材表面から排除される前記酸化皮膜を、前記シールドガスとともに回収するようにした
ことを特徴とする請求項5に記載の構造部材補修装置。
【請求項7】
構造部材の補修対象部に肉盛被覆層を形成して補修を行うための補修用電極であって、
この補修用電極は、
棒状の電極と、
この電極の表面に、前記構造部材表面に形成された酸化皮膜を除去する酸化皮膜除去層を有することを特徴とする補修用電極。
【請求項8】
前記酸化皮膜除去層は、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、ジルコン、窒化珪素、炭化珪素のうち少なくとも何れか一つを含有することを特徴とする請求項7に記載の補修用電極。
【請求項9】
前記酸化皮膜除去層の表面には、らせん状の溝を形成した
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の補修用電極。
【請求項10】
モータに連結され、棒状の電極表面に酸化皮膜除去層が設けられた補修用電極を補修対象となる構造部材に対して傾けて接触させ、前記補修用電極を前記モータによって回転させながら傾斜方向へ前記構造部材表面に沿わせて移動させ、前記補修用電極の前記酸化皮膜除去層と前記構造部材表面との摩擦によって前記酸化皮膜を除去し、かつ前記補修用電極と前記構造部材との間にパルス放電を発生させることによって前記補修用電極を溶融させ、溶融した前記補修用電極により前記構造部材の欠陥部を被覆補修することを特徴とする構造部材補修方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−119709(P2008−119709A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−304444(P2006−304444)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】