説明

標的内因性遺伝子の発現が抑制されたES細胞の選抜方法及び該選抜方法を利用したトランスジェニック動物の作製方法

【課題】標的内因性遺伝子がES細胞に発現していると否とに関係なく、該標的内因性遺伝子の発現を抑制するsiRNAを保持するES細胞を選抜すること、および、このようなES細胞の選抜方法を利用してトランスジェニック動物を効率的に作製すること
【解決手段】ES細胞に導入された標的外因性遺伝子の発現を指標に、標的内因性遺伝子に対するsiRNAの効果を評価し、これにより所望のsiRNA効果が期待できるES細胞を選抜する。さらに、選抜したES細胞を利用してトランスジェニック動物を作製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標的内因性遺伝子の発現が抑制されたES細胞の選抜方法及び該選抜方法を利用したトランスジェニック動物の作製方法に関し、より詳しくは、siRNAによる標的内因性遺伝子の発現抑制作用を、ES細胞に導入した標的内因性遺伝子に対応する外因性遺伝子の発現を指標に評価することを特徴とする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
RNA干渉は、2本鎖RNAがその配列特異的に、標的の遺伝子の発現を抑制する現象である。2本鎖RNAの細胞内での中間代謝産物であるsmall interfering RNA(siRNA)が、哺乳動物細胞において副作用なくその抑制効果を発揮できることから、近年急速に研究が進んでいる。この現象を利用したsiRNAトランスジェニックマウス(ノックダウンマウス)は、ノックアウトマウスと並んで特定の遺伝子の機能解析や、創薬の強力なツールとなることが期待されている。
既に、本発明者らは、siRNAを発現するDNA断片をES細胞にエレクトロポレーションで導入し、高い抑制効果を示すESクローンを選択し、胚盤胞(blastocyst)にマイクロインジェクションするという方法により、mouse Cu/Zn superoxide dismutase(SOD1)に対するsiRNAトランスジェニックマウスの作製に成功し(図1)、SOD1ノックアウトマウスと同様の表現型を示すことを確認している(非特許文献1)。さらに、このマウスと筋萎縮性側索硬化症モデルマウスを掛け合わせることにより疾患が改善し、siRNAが遺伝子治療の手段として有用であることを示している。
しかしながら、このような従来の手法においては、遺伝子導入したESクローンの中で、目的の高い抑制効果を示すESクローンを選択する際に、内因性の標的遺伝子の発現抑制を指標としていたため、ES細胞に発現していない遺伝子を標的とした場合、クローンの選択が不可能であり、siRNAトランスジェニックマウスの作製はできないという問題が生じていた。
【0003】
【非特許文献1】J Biol Chem 2005;280:42826
【非特許文献2】Nat Struct Biol 2003;10:91−92
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、標的内因性遺伝子がES細胞に発現していると否とに関係なく、該標的内因性遺伝子が発現した際に、その発現抑制作用を示すsiRNAを発現しているES細胞を選抜しうる方法を提供することにある。さらなる本発明の目的は、このようなES細胞の選抜方法を利用して、該標的内因性遺伝子の発現が抑制されたトランスジェニック動物を効率的に作製する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
siRNAを安定発現させたES細胞において、そのsiRNAの標的内因性遺伝子が発現している場合、標的内因性遺伝子の発現抑制効率はそのES細胞から作製されたsiRNAトランスジェニックマウスにおける標的内因性遺伝子の発現抑制効率(ノックダウン効率)とほぼ一致することが報告されている(非特許文献2)。
このことから本発明者等は、「ES細胞に発現させた標的内因性遺伝子に対応する外因性遺伝子のmRNAが、標的内因性遺伝子のmRNAと同様に、siRNAによって抑制されれば、この外因性遺伝子の発現抑制効率が、siRNAトランスジェニックマウスにおける標的内因性遺伝子の発現抑制効率を反映する」との仮説を立て、この仮説に基づく検証を行った。即ち、本発明者らは、標的内因性遺伝子に対するsiRNAをコードする遺伝子が染色体内に導入され安定的に発現するES細胞を調製し、このES細胞に、標的内因性遺伝子に対応する外因性遺伝子を導入し、siRNAによる該外因性遺伝子の発現抑制効果を評価した。この評価においては、該外因性遺伝子の発現抑制効果と標的内因性遺伝子の発現抑制効果との比較検討を行った。
その結果、このES細胞においては、外因性遺伝子と標的内因性遺伝子の発現が、siRNAによって同等に抑制されていることが示された。さらに、本発明者らは、このES細胞からトランスジェニックマウスを作製し、該マウスにおける標的内因性遺伝子のsiRNAによる発現抑制効率を検討した結果、マウスレベルでの発現抑制効率とES細胞における発現抑制効率がほぼ一致することを見出した。siRNAによる外因性遺伝子の発現抑制は、siRNAをコードする遺伝子及び該外因性遺伝子の双方を染色体に組み込んで安定的に発現させたES細胞においても同様に認められた。
以上から、本発明者らは、外因性遺伝子におけるsiRNAによる発現抑制率を指標に、ES細胞における標的内因性遺伝子の発現抑制率を評価しうること、及びこの評価は、ES細胞レベルだけでなく、個体レベルでも有効であることを見出し、これにより本発明を完成するに到った。
【0006】
即ち、本発明は、ES細胞に導入された、標的内因性遺伝子に対応する外因性遺伝子の発現を指標に、標的内因性遺伝子に対するsiRNAの効果を評価し、これにより所望のsiRNA効果が期待できるES細胞を選抜する方法、及び該方法により選抜したES細胞を利用したトランスジェニック動物の作製方法に関するものであり、より詳しくは、下記の発明を包含するものである。
(1)特定の標的内因性遺伝子の発現を抑制する機能を有するsiRNAをコードする遺伝子を保持するES細胞を選抜する方法であって、
(a)ES細胞に、(i)該特定の標的内因性遺伝子に対応する外因性遺伝子、及び(ii)該特定の標的内因性遺伝子の発現を抑制する機能を有するsiRNAをコードする遺伝子、を導入し、発現させる工程であって、ここで、少なくとも(ii)該特定の標的内因性遺伝子の発現を抑制する機能を有するsiRNAをコードする遺伝子、がES細胞の染色体内に導入される工程、
(b)該ES細胞における、該外因性遺伝子の発現を検出する工程、並びに、
(c)該外因性遺伝子の発現が抑制されたES細胞を選抜する工程、
を含む方法。
(2)該特定の標的内因性遺伝子が、ES細胞において実質的に発現していないものである、(1)に記載の方法。
(3)該外因性遺伝子がマーカー遺伝子との融合遺伝子としてES細胞に導入されており、かつ、該外因性遺伝子の発現が抑制されたES細胞の選抜を該マーカー遺伝子の発現を指標にして行う、(1)に記載の方法。
(4)ES細胞がげっ歯類に属する動物由来である、(1)に記載の方法。
(5)げっ歯類に属する動物がマウスである、(4)に記載の方法。
(6)特定の標的内因性遺伝子の発現が抑制されたトランスジェニック動物の作製方法であって、
(a)(1)から(5)のいずれかに記載の方法により、該特定の標的内因性遺伝子の発現を抑制する機能を有するsiRNAをコードする遺伝子を保持するES細胞を選抜する工程、並びに、
(b)選抜したES細胞からトランスジェニック動物を作製する工程、
を含む方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、標的内因性遺伝子がES細胞レベルで発現していると否とに関らず、siRNAにより標的内因性遺伝子の発現が抑制されたトランスジェニック動物を効率的に作製することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(ES細胞選抜方法)
本発明は、特定の標的内因性遺伝子の発現を抑制する機能を有するsiRNAをコードする遺伝子を保持するES細胞を選抜する方法を提供する。
【0009】
本発明のES細胞を選抜する方法においては、まず、ES細胞に、(i)該特定の標的内因性遺伝子に対応する外因性遺伝子、及び(ii)該特定の標的内因性遺伝子の発現を抑制する機能を有するsiRNAをコードする遺伝子、を導入し、発現させる(工程(a))。
【0010】
本発明における「標的内因性遺伝子」は、本発明において用いるsiRNAによりその発現が抑制される内因性の遺伝子を意味する。本発明の本質上、標的内因性遺伝子としては、特に制限はなく、その発現を抑制したい所望の遺伝子である。本発明においては標的内因性遺伝子に対するsiRNAの発現抑制効果を、それに対応する外因性遺伝子の発現抑制効果を指標に検出するため、ES細胞において実質的に発現していない内因性遺伝子であっても標的とすることができる。この点が、従来のsiRNAトランスジェニック動物の作製方法と比較した大きな利点である。
ここで、標的内因性遺伝子が「実質的に発現していない」とは、標的内因性遺伝子の発現が、汎用された発現検出技術により検出できないレベルにあることを意味する。汎用された発現検出技術としては、例えば、転写レベルであれば、RT−PCR、定量的RT−PCR、ノザンブロッティングなどが、翻訳レベルであればウェスタンブロッティング、ELISAなどが挙げられる。
【0011】
本発明は、標的内因性遺伝子の発現に対するsiRNAの抑制能力の評価において、ES細胞において発現させた外因性遺伝子に対するsiRNAの抑制能力を指標とすることを特徴としている。従って、本発明に用いる「外因性遺伝子」は、標的内因性遺伝子のmRNAのうち、少なくともsiRNAに対応する領域と同一の配列を含むmRNAをコードする外因性の遺伝子(以下、「標的外因性遺伝子」と称する場合がある)である。本発明の標的外因性遺伝子の形態は、その転写産物に対してsiRNAが作用しうる限り、cDNAであっても、ゲノムDNAであってもよい。
【0012】
本発明における「siRNA」は、RNA干渉作用を有する短い二本鎖オリゴヌクレオチドであり、標的内因性遺伝子および標的外因性遺伝子の発現を抑制しうるものである。ここで「遺伝子の発現の抑制」には、完全な抑制および部分的な抑制が含まれ、本発明においては、目的に応じて所望の抑制効果を有するsiRNAを用いることができる。
本発明に用いるsiRNAは、その鎖長に特に制限はないが、細胞内で毒性を示さない範囲の短鎖からなることが好ましい。この目的のため、siRNAは、例えば、15〜50塩基対以内、好適には20〜30塩基対以内、さらに好ましくは20〜25塩基対以内(例えば、20塩基対、21塩基対、22塩基対、23塩基対、24塩基対、25塩基対)とすることができる。
siRNAにおける二重鎖RNAの部分は、本発明の目的が達せられる限り、完全に対合しているものに限らず、ミスマッチ(対応する塩基が相補的でない)、バルジ(一方の鎖に対応する塩基がない)などにより不対合部分が含まれていてもよい。このように不対合部分(ミスマッチまたはバルジ等)を設けることにより、siRNAにおけるアンチセンスRNA側(標的遺伝子のmRNAと相補する配列からなるRNA)をコードするDNAとセンスRNA側(上記アンチセンスRNAと相補するRNA)をコードするDNAとの間での組換えを抑制しうる。また、対合する二重鎖RNA領域中に、ミスマッチまたはバルジを含むsiRNAは、細胞内で安定となる利点をも有しうる。
siRNAの末端構造は、標的内因性遺伝子および標的外因性遺伝子の発現を抑制し得るものであれば、平滑末端あるいは粘着(突出)末端のいずれでもよい。また、粘着(突出)末端構造は、3’末端側が突出している構造だけでなく、目的の効果を発揮し得る限り5’末端側が突出している構造も含めることができる。
また、本発明に用いるsiRNAの末端構造は両側が断端構造を有している必要はなく、二重鎖RNAの一方の端部がリンカーRNAにより接続されたステムループ型構造であってもよい。即ち、本発明に用いるsiRNAの形態には、タンデム型のみならず、ステムループ型(ヘアピン型)も含まれる。リンカーの長さはステム部分の対合に支障のない長さであれば特に限定はない。
本発明に用いるsiRNAは、RNA分子と他の分子(例えば、DNA)とのキメラ分子であってもよく、また、これら分子の置換体又は修飾体であってもよい。
【0013】
標的外因性遺伝子を発現させるためのプロモーターは、siRNAによる標的外因性遺伝子の発現抑制効果をES細胞において検出する必要性から、ES細胞における標的外因性遺伝子の発現を保証するものである。また、siRNAを発現させるためのプロモーターは、ES細胞において標的外因性遺伝子に対するsiRNA効果を検出する必要性から、ES細胞におけるsiRNAの発現を保証するものであり、さらに、少なくとも、標的内因性遺伝子の発現を抑制する必要がある所望の時期(例えば、ES細胞の発生過程、あるいは成体)に、該siRNAの発現を保証するものである。上記目的にかなうプロモーターであれば、本発明に用いるプロモーターの種類に特に制限はないが、siRNAのような短いRNAを発現させる場合には、U6プロモーター、tRNAプロモーター、レトロウイルス性LTRプロモーター、アデノウイルスVA1プロモーター、5S rRNAプロモーターなどのpol III系のプロモーターが好適である。
【0014】
外因性遺伝子及びsiRNAを発現させるためのベクターとしては、例えば、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターなどの染色体への組み込み性のウイルスベクターを挙げることができる。これにより導入遺伝子を細胞内で安定的に発現させることが可能である。本発明においては、少なくともsiRNAをコードする遺伝子は、ノックダウン動物の作製のため、ES細胞の染色体内に導入して発現させることが必要である。一方、標的外因性遺伝子は、ES細胞において発現していればよく、必ずしも作製したノックダウン動物において発現している必要がないため、本発明の目的においては、それをES細胞の染色体外において発現させてもよい。この場合、染色体への非組み込み性のウイルスベクターや種々のプラスミドベクターを用いることも可能である。
ベクターには、必要に応じて、ベクターが導入された細胞を選択し得る選択マーカーなどをさらに保持させることができる。選択マーカーとしては、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子のような薬剤耐性マーカー、ガラクトシダーゼなどの酵素活性を指標に選択し得るマーカーなどが挙げられる。このように選択マーカーを用いることにより、該ベクターが導入されたES細胞のみを選択することが可能となる。
ベクターにおいて、例えば、アンチセンスRNAをコードするDNAとセンスRNAをコードするDNAの上流にプロモーターをそれぞれ備えれば、タンデム型発現システムとすることができる。また、アンチセンスRNAをコードするDNAとセンスRNAをコードするDNAを逆向きに配置し、さらにこれらDNAをリンカーDNAにより接続し、その片側にプロモーターを連結することにより、ステムループ型発現システムとすることもできる。
【0015】
本発明における「ES細胞」は、トランスジェニック動物の作製に利用しうるものであれば、特に制限はない。例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ブタ、アカゲザル、カニクイザル、コモンマーモセット、チンパンジーなどに由来するものが挙げられるが、個体発生及び繁殖が容易という観点からは、マウス、ラットなどのげっ歯類に由来するものが好ましく、特にマウス由来が好ましい。ES細胞の由来するマウスとしては、例えば、129系が好適に用いられる。倫理的観点に立つ場合には、本発明におけるES細胞から、ヒト細胞は除外されうる。
【0016】
ES細胞へのベクターの導入方法は、例えば、エレクトロポーレーション法やマイクロインジェクション法により行うことができる。また、ウイルスベクターを利用して、その感染力により導入することも可能である。導入効率の観点から、ベクターを制限酵素処理等により直鎖状化して、エレクトロポレーション法により導入することが、特に好ましい。
【0017】
次いで、本発明においては、該ES細胞における、標的外因性遺伝子の発現を検出する(工程(b))。
【0018】
ES細胞における標的外因性遺伝子の発現の検出においては、該遺伝子を直接的に検出してもよく、また、マーカー遺伝子を利用して間接的にその発現を検出してもよい。
標的外因性遺伝子の発現を直接的に検出する方法としては、例えば、転写レベルであれば、RT−PCR、定量的RT−PCR、ノザンブロッティングなどが、翻訳レベルであればウェスタンブロッティング、ELISAなどが挙げられる。標的外因性遺伝子の発現をマーカー遺伝子を利用して間接的に検出する場合において用いるマーカー遺伝子としては、ES細胞においてその発現を検出しうるものであれば特に制限はない。例えば、ルシフェラーゼ遺伝子を用いれば、発光によりその発現を検出することができ、Myc、flag、HAなどの遺伝子を用いれば、ウェスタンブロッティングによりその発現を検出することができる。また、GFP遺伝子を用いれば、蛍光あるいはウェスタンブロッティングによりその発現を検出することが可能である。
マーカー遺伝子を指標に標的外因性遺伝子の発現を検出する場合、マーカー遺伝子は標的外因性遺伝子との融合遺伝子として、ES細胞に導入し、発現させるのが一般的である。しかしながら、マーカー遺伝子と標的外因性遺伝子とを融合遺伝子としない場合であっても、マーカー遺伝子のストップコドンの後方であり、かつ、ポリAシグナルの前方に、外因性遺伝子を導入すれば、mRNAとしては、一つになるため、マーカー遺伝子の発現量で、外因性遺伝子の発現(即ち、siRNAの効果)を評価することが可能である(この場合、外因性遺伝子は、non−coding RNAとなる)。
【0019】
次いで、本発明においては、標的外因性遺伝子の発現が抑制されたES細胞を選抜する(工程(c))。
【0020】
ES細胞の選抜は、必ずしも標的外因性遺伝子発現の抑制効率が高いものを選抜する必要はなく、目的に応じて、所望の抑制効率のものを選抜すればよい。一般的には、ES細胞を用いて標的内因性遺伝子の機能を解析する場合や、遺伝子治療目的でES細胞を使用する場合は、可能な限り標的内因性遺伝子を抑制することが、その目的の達成において好ましいため、抑制効率が高いものを選択する場合が多い。しかしながら、生存に必須な遺伝子が標的である場合(例えば、VEGFなど発現量が半減するだけでも胎生致死になり、その後、必要な解析ができなくなってしまう場合等)や、ある遺伝子の疾患への関与を評価する際に、必ずしもその遺伝子の発現を著しく減少させなくても疾患が発症することが想定される場合(例えば、angiogeninなど、haploinsufficiencyによって疾患が起こることが想定される場合等)には、標的外因性遺伝子発現の抑制が適度なものを選択することが好ましい。
【0021】
以上により、ES細胞に導入された標的外因性遺伝子に対するsiRNAの発現抑制効果を指標として、標的内因性遺伝子に対する所望のsiRNA効果を有するES細胞を効率的に選抜することが可能となる。
【0022】
(トランスジェニック動物作製方法)
また、本発明は、上記ES細胞を選抜する方法を利用した、特定の標的内因性遺伝子の発現が抑制されたトランスジェニック動物の作製方法を提供する。即ち、本発明のトランスジェニック動物の作製方法は、上記本発明のES細胞を選抜する方法により、該特定の標的内因性遺伝子の発現を抑制する機能を有するsiRNAを保持するES細胞を選抜する工程、および、それに次ぐ、選抜したES細胞からトランスジェニック動物を作製する工程を含む。
【0023】
本発明におけるトランスジェニック動物の作製には、大きく次の2つの方法が好適に用いられる。
第一の方法においては、標的内因性遺伝子に対するsiRNAをコードする遺伝子をES細胞の染色体内に導入し、これを安定的に発現するES細胞を調製し、このES細胞に、標的外因性遺伝子を導入し、染色体外で発現させる。次いで、所望の外因性遺伝子の発現抑制効果が認められたES細胞からトランスジェニック動物を作製する。この方法は、ES細胞への遺伝子導入や動物の掛け合わせ等の手間が少ない点で有利である。
第二の方法においては、標的内因性遺伝子に対するsiRNAをコードする遺伝子及び標的外因性遺伝子をES細胞の染色体内に導入し、これら遺伝子を安定的に発現するES細胞を調製する。次いで、所望の外因性遺伝子の発現抑制効果が認められたES細胞からトランスジェニック動物を作製する。この方法では、ES細胞からは、siRNAをコードする遺伝子及び標的外因性遺伝子の双方の遺伝子が染色体に導入されたトランスジェニック動物が作製されることから、siRNAをコードする遺伝子のみが染色体に導入されたトランスジェニック動物を作製するために、双方の遺伝子が染色体に導入されたトランスジェニック動物を野生型と掛け合わせる。そして、その子孫から、siRNAをコードする遺伝子のみが染色体に導入された個体を選抜する。この方法では、ES細胞や胎仔発達の過程において標的内因性遺伝子の機能が標的外因性遺伝子により補われることになるため、良好なキメラ動物の作製効率が得られる点で有利である。
【0024】
なお、ES細胞からトランスジェニック動物を作製する手法は確立されている。例えば、ES細胞を8細胞期又は胚盤胞期の動物胚に注入し、作製したキメラ胚を偽妊娠させた非ヒト動物の子宮に移植し、これにより妊娠した仮親から生まれた子のうち、キメラ動物を選択すればよい。キメラマウスを作製する場合の受容胚としては、例えば、純系として、C57BL/6系、BALB/c系、DBA2系等、交雑系として、B6C3F1系、BDF1系、B6D2F1系、ICR系等が挙げられるが、中でもC57BL/6系が好ましく用いられる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
【0026】
[実施例1]
ES細胞に実際に内因性に発現している遺伝子を標的に、その標的遺伝子とマーカー遺伝子を融合させた発現ベクターを発現させ、内因性と外因性に発現した2つのmRNAの抑制率を比較検討した。また、ES細胞における外因性遺伝子の抑制率が、該ES細胞から作製したトランスジェニックマウスにおける内因性遺伝子の抑制率を反映することを以下のようにして確認した。
【0027】
(1)ES細胞における内因性遺伝子抑制率と外因性遺伝子抑制率との比較
以前、本発明者らがSOD1−siRNA Tgマウスを作製する際に使用した、マウスSOD1−siRNA発現DNA断片をエレクトロポレーションにより導入したSOD1−siRNA発現マウス129系ES細胞を用いて実験を行った(J Biol Chem 2005;280:42826参照)。
【0028】
まず、siRNAによる外因性遺伝子の抑制効果を評価するために、マウスSOD1のcoding領域のcDNAとマーカー遺伝子であるRenilla luciferase遺伝子を融合させた発現ベクターを構築した(図2)。SOD1 siRNAを導入した、抑制効果の異なる複数のESクローン、及び、コントロールとしてsiRNAが発現していない野生型ES細胞を24ウェルプレートに培養し、このRenilla luciferase−SOD1発現ベクターと、遺伝子導入効率の補正のためにfirefly luciferase発現ベクター(図3)の両者をリポフェクション法により共発現し、24時間後にタンパク質を抽出した。蛍光測定法(luciferase assay)により、各ESクローンでのfirefly luciferase及びRenilla luciferaseの発光シグナルを測定し、Renilla luciferase値をfirefly luciferase値で除することにより遺伝子導入効率を補正し、コントロールの値と比較することによりSOD1抑制率を算出した。
【0029】
続いて、siRNAによる内因性SOD1の抑制効果をmRNAレベルで評価するために、24ウェルプレートに培養したSOD1−siRNA発現ES細胞の各クローン及び野生型ES細胞からRNAを抽出し、逆転写反応によりcDNAを作製した。マウスSOD1及び内因性コントロールとしてマウスGAPDHに特異的なプライマー、プローブを用いて定量的RT−PCRを行った。GAPDH値でSOD1値を除することにより各ES細胞における内因性SOD1 mRNA量を定量し、コントロールである野生型ES細胞と比較することによりsiRNAによる内因性SOD1の抑制効果を算出した。
同様に、siRNAによる内因性SOD1の抑制効果をタンパクレベルで評価するために、24ウェルプレートに培養した各ESクローンからタンパクを抽出し、ウェスタンブロッティング法(WB)を行った。等量の総タンパク量を用いてSDS−PAGEを施行し、polyvinylidene difluoride膜に転写し、一次抗体として抗SOD1抗体及び内因性コントロールとして抗β−tubulin抗体を用いて検出を行った。シグナル強度を定量し、β−tubulin値でSOD1値を除することによりsiRNAによる内因性SOD1の抑制効果を算出した。
得られたmRNAおよびタンパクレベルでの内因性SOD1の抑制効果と、luciferase assayで得られた外因性遺伝子の発現抑制効果とを比較した。
【0030】
その結果、luciferase assayにより、Renilla luciferase−SOD1発現ベクターによって外因性に発現させたSOD1 mRNAの抑制率が得られ、3±5%〜84±1%と、ESクローンによって著しく異なることが判明した(図4)。また、定量的RT−PCR法によって内因性SOD1 mRNAの定量を行った結果、内因性SOD1 mRNAの抑制率が得られ、20±9〜88±1%と、luciferase assayの結果と同様に、ESクローンによって抑制効果が異なることが判明した(図5)。luciferase assayで得られた抑制率と、定量的RT−PCRで得られた内因性SOD1 mRNAの抑制率を比較すると、非常に高い相関が得られた(R=0.987)(図6)。WB法により評価した内因性SOD1タンパクの定量の結果においても、luciferase assayで得られた抑制率をよく反映していた(図7)。以上のことから、ES細胞においては、ベクターによって発現させた外因性mRNAと内因性mRNAが、ES細胞に安定発現したsiRNAによって同等に抑制されていることが示され、本発明者らが考案したluciferase assayによるsiRNAの抑制能力の評価法が、内因性遺伝子の抑制率の測定法の代替法、すなわちsiRNAトランスジェニックマウスにおける標的遺伝子のノックダウン効率の指標となることが判明した。
【0031】
(2)ES細胞における外因性遺伝子抑制率とトランスジェニックマウスにおける内因性遺伝子抑制率との比較
さらに、ES細胞でのluciferase assayで得られたsiRNAによる抑制率がトランスジェニックマウスにおける抑制効率を反映しているか否かを検討した。以前本発明者らが作製したSOD1−siRNA Tgマウス及びその同腹の野生型マウスを致死量のペントバルビタールで麻酔後、PBSで灌流し、大脳を摘出した。得られた大脳からRNAを抽出し、逆転写反応によりcDNAを作製し、マウスSOD1及び内因性コントロールとしてマウスGAPDHに特異的なプライマー及びプローブを用いて、定量的RT−PCRを行った。GAPDH値でSOD1値を除することによりマウス大脳でのSOD1 mRNA量を定量し、Tgマウスと野生型マウスを比較することにより、抑制効果を算出した。また、Tgマウス作製に用いたESクローン(クローン#42)における外因性遺伝子の抑制効果は、前述したようにluciferase assayにより測定した。
【0032】
その結果、ESクローン(クローン#42)では、luciferase assayでの標的外因性遺伝子の抑制率は84%であった。一方、このESクローンから得られたsiRNAトランスジェニックマウスの中枢神経での標的内因性遺伝子の抑制率は約80%であった(図8)。luciferase assayでの標的外因性遺伝子の抑制率はsiRNAトランスジェニックマウスでの標的内因性遺伝子の抑制率とほぼ同等であり、luciferase assayによる評価結果がマウスレベルの結果と一致したと考えられた。
【0033】
[実施例2]
本来はES細胞において未発現である標的遺伝子(変異遺伝子)と、該標的遺伝子に対するsiRNAとを段階的に発現させ、該標的遺伝子に対するsiRNAを安定に発現するES細胞を作製した。次いで、得られたES細胞を用いて、該siRNA発現トランスジェニックマウスを作製する方法を以下に示した。
【0034】
(1)標的遺伝子(変異遺伝子)のクローニングとsiRNA発現ベクター構築
家族性筋萎縮性側索硬化症病の原因であるSOD1のcDNAをヒト脳cDNAよりPCRによって増幅し、これにG93A変異をcoding regionに導入後、HAタグ遺伝子を融合させて、ハイグロマイシン耐性遺伝子をもったCMVプロモーターの発現ベクターにクローニングした。
変異遺伝子(G93ASOD1)を切断して野生型遺伝子に作用しない、変異遺伝子特異的なsiRNAの作製はすでに成功しており(BBRC 314:283−291,2004参照)、これを発現するヘアピン型のsiRNA発現ベクターを構築した。
さらに、siRNA配列をDNAベクターに挿入後に複製の際に生じる変異を防ぐため、独自のミスマッチ変異をデザインした。この際に、ヒトpol III系のプロモーターを使用したが、ヘアピンRNAが有効に核外に輸送されるようにするために、核外輸送タンパク(エクスポーチン5)などに認識されやすいヘアピンループ配列を用いた。この発現ベクターにES細胞で発現するG418性遺伝子(PGKneo)を挿入して完成させた。
【0035】
(2)標的遺伝子のES細胞への導入による第1段階の安定発現
直鎖状化したHAタグ遺伝子を融合させたターゲット変異遺伝子発現ベクターをエレクトロポレーションによりES細胞に導入した。ハイグロマイシン耐性フィーダー上にES細胞を培養し、ハイグロマイシンを添加し、耐性ES細胞を選択し、クローン化した。ESクローンからタンパクを抽出し、HAタグでウエスタンブロットを行い、標的遺伝子安定発現ES細胞クローンを選択した。
【0036】
(3)Short−hairpin RNA(shRNA)配列のES細胞への導入による第2段階の安定発現
第2段階として未発現遺伝子安定発現ES細胞ラインに、直鎖状化したShort−hairpin タイプのsiRNA発現ベクターをエレクトロポレーションにより導入した。ネオマイシンを添加し、shRNAを安定発現するES細胞をクローン化した。このES細胞のSODに対するウエスタンブロットを示す。第1段階で安定発現したHuman G93A SODは、第2段階で安定発現したshRNAによって、有効にその発現が抑制された(図9)。
【0037】
(4)siRNA過剰発現トランスジェニックマウスの作製
抑制効果の最も高いsiRNA安定発現ES細胞を、C57BL/6マウスの胚盤胞にマイクロインジェクションして、これを偽妊娠させたICRマウスの子宮内に移植してキメラマウスを作製した。これをwild typeマウスと掛け合わせることにより、2つのトランスジーンは分離されてsiRNAトランスジェニックマウスが作製できる(図10)。その手法は、次の通りである。キメラマウスの雄からキメラ率の高い個体を選び、C57BL/6野生型雌マウスと交配してF1を得る。2つのトランスジーンであるタグ付き遺伝子とshRNA配列の有無をPCRで確認して、タグ付き遺伝子はないがshRNA配列のみが発現しているマウスを選択する。更に、このsiRNA過剰発現トランスジェニックマウスとG93ASOD1過剰発現トランスジェニックマウスを掛け合わせてG93ASOD1遺伝子特異的な発現抑制を確認する。
【産業上の利用可能性】
【0038】
従来のsiRNAトランスジェニック動物の作製では、ES細胞に発現しているごく一部の遺伝子を標的とした場合のみ可能であったが、本発明によれば、理論的には、いかなる遺伝子を標的にした場合でもsiRNAトランスジェニック動物を作製することが可能である。遺伝子の機能評価目的においてノックアウト動物の有用性は確立しているが、siRNAトランスジェニック動物は、(1)複数の遺伝子を同時に抑制した動物を作製できる点、(2)mRNAレベルでのスプライスバリアントに選択的な抑制をした動物を作製できる点、(3)ノックアウト動物では遺伝子の抑制率は100%か50%であったが、siRNAトランスジェニック動物では遺伝子の抑制率は任意にコントロールできる点、(4)比較的短期間で作製できる点、において、ノックアウト動物と比較した利点がある。本発明により、siRNAトランスジェニック動物の作製において、ES細胞において発現していない遺伝子までをも標的とすることを可能としたことは、siRNAトランスジェニックマウスの産業上の利用において大きく貢献するものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、従来のsiRNA Tgマウス作製法を示す図である。siRNA発現DNA断片をエレクトロポレーションにより129系ES細胞に導入し、抑制効果の高いESクローンを選択する。そのES細胞をblastocystにマイクロインジェクションにより導入し、キメラマウス(F0)を得る。このキメラマウスと野生型マウス(B6)と掛け合わせることにより、siRNA Tgマウス(F1)が得られる。
【図2】図2は、Renilla luciferase−SOD1発現ベクターを示す図である。psiCHECK−Iベクターを元に、制限酵素処理によりRenilla luciferase遺伝子の下流にマウスSOD1のcoding領域cDNAを挿入した。このベクターからはRenilla luciferaseとSOD1が融合したmRNAが発現されるため、siRNAによってそのmRNAの標的部位が切断されるとRenilla luciferaseの発現量も低下し、luciferase値が低下する。
【図3】図3は、firefly luciferase発現ベクターを示す図である。該発現ベクターはTransfection効率補正用に、Renilla luciferase−SOD1発現ベクターとco−transfectionされる。
【図4】図4は、Luciferase assayによって得られた各ESクローンでの外因性SOD1 mRNA抑制率を示す図である。Renilla luciferase−SOD1発現ベクターによって発現させた外因性SOD1 mRNAの抑制率は、ESクローンによって著しく異なり、3±5%〜84±1%であった。
【図5】図5は、定量的RT−PCR法による内因性SOD1 mRNAの抑制率を示す図である。内因性SOD1 mRNAの抑制率も20±9〜88±1%と、luciferase assayの結果と同様にESクローンによって抑制効果が異なることが判明した。
【図6】図6は、Luciferase assayで得られた外因性SOD1 mRNAの抑制率と内因性SOD1 mRNAの抑制率との相関を示す図である。Luciferase assayで得られた外因性SOD1 mRNAの抑制率と、定量的RT−PCRで得られた内因性SOD1 mRNAの抑制率を比較すると、非常に高い相関を示すことが判明した(R=0.987)。
【図7】図7は、ウェスタンブロッティング法による内因性SOD1タンパクの抑制効果を示す図(上段)である。WB法により評価した内因性SOD1タンパクの抑制効果の結果も、luciferase assayで得られた外因性SOD1 mRNAの抑制効果(下段)をよく反映していた。
【図8】図8は、SOD1 siRNAトランスジェニックマウス組織における内因性SOD1の抑制効果を示す写真である。ES細胞においてluciferase assayで得られた外因性SOD1 mRNAの抑制率と、SOD1 siRNAトランスジェニックマウスの組織から抽出したRNA(A)及びタンパク(B)における抑制効果はよい相関を示した。
【図9】図9は、ES細胞における標的遺伝子の発現とsiRNAによるその発現抑制を示す写真である。標的遺伝子とそれに対するsiRNAの2段階発現により、ES細胞に未発現の標的遺伝子(Human G93A SOD)の発現を有効に抑制するsiRNAが安定発現したES cloneを選択できた。
【図10】図10は、本発明におけるキメラマウス作製の一態様を示す図である。作製したキメラマウスには2つのトランスジーンが導入されているが、これをwild typeマウスと掛け合わせることにより、2つのトランスジーンは分離されてsiRNAトランスジェニックマウスが作製できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の標的内因性遺伝子の発現を抑制する機能を有するsiRNAをコードする遺伝子を保持するES細胞を選抜する方法であって、
(a)ES細胞に、(i)該特定の標的内因性遺伝子に対応する外因性遺伝子、及び(ii)該特定の標的内因性遺伝子の発現を抑制する機能を有するsiRNAをコードする遺伝子、を導入し、発現させる工程であって、ここで、少なくとも(ii)該特定の標的内因性遺伝子の発現を抑制する機能を有するsiRNAをコードする遺伝子、がES細胞の染色体内に導入される工程、
(b)該ES細胞における、該外因性遺伝子の発現を検出する工程、並びに、
(c)該外因性遺伝子の発現が抑制されたES細胞を選抜する工程、
を含む方法。
【請求項2】
該特定の標的内因性遺伝子が、ES細胞において実質的に発現していないものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該外因性遺伝子がマーカー遺伝子との融合遺伝子としてES細胞に導入されており、かつ、該外因性遺伝子の発現が抑制されたES細胞の選抜を該マーカー遺伝子の発現を指標にして行う、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ES細胞がげっ歯類に属する動物由来である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
げっ歯類に属する動物がマウスである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
特定の標的内因性遺伝子の発現が抑制されたトランスジェニック動物の作製方法であって、
(a)請求項1から5のいずれかに記載の方法により、該特定の標的内因性遺伝子の発現を抑制する機能を有するsiRNAをコードする遺伝子を保持するES細胞を選抜する工程、並びに、
(b)選抜したES細胞からトランスジェニック動物を作製する工程、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−271849(P2008−271849A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−118962(P2007−118962)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000125347)学校法人近畿大学 (389)
【Fターム(参考)】