説明

横型フロキュレータ

【課題】 長尺の装置であっても、撹拌翼が分断されることなく、フロック形成池の全域に渡って高い撹拌処理効率を維持することができる横型フロキュレータを提供する。
【解決手段】 この発明は、水処理槽10に設置される横型フロキュレータであって、水処理槽外に配置された駆動装置16と、水処理槽10内に配置された撹拌翼フレーム12を有する。撹拌翼フレーム12は水平な軸線を有し、該軸線方向に平行に延びる一または複数の攪拌翼26と、撹拌翼フレーム12を軸線回りに回転自在に回転自在に支持する支持構造体14とを備えている。支持構造体14は、撹拌翼フレーム12の両端部を除く箇所においては、撹拌翼フレーム12を該撹拌翼フレーム12の外周部においてのみ支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水場等のフロック形成池等において凝集沈殿操作を行うために設置する横型フロキュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、浄水場では処理の前段階で固形浮遊物の除去を行う。このために、長尺の長方形状のフロック形成池を並列に設置し、各形成池に横型フロキュレータを設置して、薬剤の添加と併用して凝集沈殿操作を行う。横型フロキュレータは、水平軸線回りに複数の水平に延びる撹拌翼を取り付けた撹拌翼フレームを、フロック形成池の長手方向に沿って設置し、軸線回りに比較的低速で回転させるものであって、フロック形成池の一端側外部に設置した駆動装置(モータ)により撹拌翼フレームを回転駆動する。
【0003】
従来の撹拌翼フレームは、例えば、特許文献1の図1に示されているように、軸線に沿って延びる軸体から放射状に延びる棒状部材を、軸線方向に間隔をおいて配置し、これに指し渡すように撹拌翼を取り付けている。そして、この軸体を端部の軸受により支持し、駆動装置からの駆動力を伝達するようにしている。このような処理においては、フロック形成池を長尺に形成し、その池内に池の長手方向の長さと同程度の長さの横型フロキュレータを設置するのが、処理効率上有利である。従って、撹拌翼フレームはかなりの長尺となる場合が多く、その場合、軸体のたわみを防止するために、軸体を両端だけでなく、特許文献1の図2に示されているように、水中に設けた中間軸受で支持している。
【特許文献1】特開2002−336669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の技術では、中間軸受は池の底に立設した台上に設置するから、これを設置した個所では、撹拌翼が分断される。従って、この部分で撹拌処理効率が低下するとともに、この部分に凝集沈殿物が滞留しやすくなり、清掃等のメンテナンスの頻度を上げることになる。
【0005】
また、撹拌翼フレームの回転軸線にずれがあると、動力負荷が高くなり、軸受の磨耗量も多くなるので、軸体には高い精度での芯出しが必要で、水中軸受の据付施工時には多大な時間と労力が必要となる。特にフロック形成池の長さが長い場合、水中軸受の数が多くなり、施工に多大な時間や労力がかかる。さらに、水中軸受のオイルレスメタルは消耗品であり、定期的な交換が必要となり、交換時には軸のジャッキアップ等を伴なうので、維持管理労力が大きい。
【0006】
さらに、中間軸受に対応する軸体部分である中間軸は、撹拌翼フレームの軸体とは別個の機械加工部品であり、水中軸受との摺動部には耐摩耗用の溶射、めっきやスリーブを施工するので、製作には時間と費用がかかる。また、定期的に溶射、めっきの補修、スリーブの交換をすること等が必要となり、運転停止による損失や補修に掛かる労力や費用も多大であり、撹拌翼フレームの軸体と中間軸の芯出しも必要であるので、軸体の両端も機械加工しなければならず、製作に時間と費用がかかる。
【0007】
さらに、地震等による水処理槽の歪みを吸収するために水中撓み軸継手を設ける場合があるが、大きな撹拌動力を伝達するために充分な強度が必要であり、重量が大きく、据付や維持管理に手間が掛かる。また、水中撓み軸継手を取り付けるためには、その水中撓み軸継手の両側を水中軸受で支持する必要があるため、中間軸と水中軸受の数量が増える、という不具合も有った。
【0008】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、長尺の装置であっても、撹拌翼が分断されることなく、フロック形成池の全域に渡って高い撹拌処理効率を維持するとともに、凝集沈殿物の滞留によるメンテナンスを軽減することができ、さらには、水中における長い軸体の芯出しや軸受の設置、保全等に関わるコストを軽減することができる横型フロキュレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、水処理槽に設置される横型フロキュレータであって、前記水処理槽外に配置された駆動装置と、前記水処理槽内に配置された撹拌翼フレームであって、水平な軸線を有し、該軸線方向に平行に延びる一または複数の攪拌翼を有する撹拌翼フレームと、前記駆動装置の駆動力を該撹拌翼フレームに伝達する駆動力伝達部と、前記撹拌翼フレームを前記軸線回りに回転自在に回転自在に支持する支持構造体とを備え、前記支持構造体は、前記撹拌翼フレームの両端部を除く箇所においては、前記撹拌翼フレームを該撹拌翼フレームの外周部においてのみ支持することを特徴とする。
【0010】
ここで、「撹拌翼フレームの両端部を除く箇所においては、撹拌翼フレームを該撹拌翼フレームの外周部においてのみ支持する」とは、撹拌翼フレームの両端部においては、外周部で支持しても、外周部ではない箇所、すなわち中心軸線に近いところで支持しても、あるいは支持しなくてもよいが、端部以外の箇所では外周部のみにおいて支持する、という意味である。また、「外周部」とは、「撹拌翼フレームに取り付けられる最も外側の撹拌翼よりさらに外側」という意味であって、撹拌翼が連続して取り付けられていても干渉しない位置で支持するという趣旨である。
【0011】
請求項1に記載の発明においては、支持構造体が撹拌翼フレームの回転軌跡の外側に有るので、従来のような中間軸を軸受支持する場合のようにそこで撹拌翼を分断する必要が無い。従って、撹拌処理効率が向上するとともに、凝集沈殿物の滞留を防止し、効率の良い処理を行うことができる。また、高い芯出し精度を必要とする軸受を水中に配置する必要がないので、製造コストおよび設置・保全等の作業コストが大幅に低減される。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の横型フロキュレータにおいて、前記支持構造体は、前記撹拌翼フレームおよび水処理槽のいずれか一方に設置された複数のローラと、これらの他方に設置されて該ローラと当接する摺接面を有する案内部材とを有することを特徴とする。
請求項2に記載の発明においては、複数のローラを案内部材の摺接面に摺接させることで、水中であっても撹拌翼フレームが安定にかつ高い信頼性を維持しつつ支持される。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の横型フロキュレータにおいて、前記ローラが前記撹拌翼フレームに設けられ、前記案内部材が前記水処理槽に設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明においては、比較的重量の大きい案内部材が水処理槽に設けられているので、回転する撹拌翼フレーム側の質量が低減され、エネルギー効率が向上する。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の横型フロキュレータにおいて、前記案内部材は、半円またはそれ以下の中心角の円弧状であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明においては、案内部材を円の一部の円弧状とすることで、素材の節約、ローラの接触時間の低減、あるいは保全の便宜等が図られる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の横型フロキュレータにおいて、前記ローラが前記水処理槽に設けられ、前記案内部材が前記撹拌翼フレームに設けられていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明においては、ローラとして大径のものを採用することができるので、安定かつエネルギー効率の良い支持構造が得られる。なお、「水処理槽に」とは、「水処理槽側に」という意味で、必ずしもローラを槽の内部や水中に設ける必要はない。また、案内部材はローラの回転軌跡に沿った円弧面を持つが、ローラが案内部材の外周面に摺接する場合だけでなく、内周面に摺接する場合も有る。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の横型フロキュレータにおいて、前記撹拌翼フレームのねじり方向の強度を補うように斜めに配置された補強部材を有することを特徴とする。
請求項6に記載の発明においては、斜めに配置された補強部材が、撹拌翼フレームのねじり方向の強度を補うので、捻り変形を防止し、安定な操業および耐久性の向上が図られる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の横型フロキュレータにおいて、前記撹拌翼フレームには該撹拌翼フレームに浮力を付与するフロートが設けられていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明においては、フロートに作用する浮力が撹拌翼フレームの重量を相殺し、駆動装置の負荷を軽減することで、エネルギー効率の良い処理がなされる。勿論、撹拌翼フレームの構成部材自体を中空にする等によって軽量化を図ることもできる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1ないし請求項7に記載の発明によれば、撹拌翼を全長に渡って連続して設置することで、流れの無い滞留領域を排除して、水処理槽の全域で均等な処理を行い、撹拌処理効率を向上するとともに、凝集沈殿物の滞留を防止することができる。また、高い芯出し精度を必要とする軸受を水中に配置する必要がないので、製造コストおよび設置・保全等の作業コストが大幅に低減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1および図2は、この発明の実施の形態の横型フロキュレータを示すもので、コンクリートで形成された長尺の長方形状の水処理槽10に設置されている。この横型フロキュレータは、水平な軸線を水処理槽10の長手方向に平行にした状態で設置された撹拌翼フレーム12と、水処理槽10に設けられ、撹拌翼フレーム12をこの軸線回りに回転自在に回転自在に支持する支持構造体14と、水処理槽10の一端側外部に配置された駆動装置16と、この駆動装置16の駆動力を撹拌翼フレーム12の一端側から該撹拌翼フレーム12に伝達する駆動力伝達部18とを有している。
【0020】
図3は撹拌翼フレーム12の一部(ユニット)を示すもので、図4に示すように、十字状の枠部材20の端部どうしを補強部材22で連結して構成したフレーム部24と、枠部材20間に指し渡すように取り付けた複数の板状の撹拌翼26から構成されている。通常はフレーム部24は適当な鋼材で、撹拌翼26は樹脂や金属で製造されている。フレーム部24に浮力を与えて駆動負荷を軽減するために、部材を中空としてもよい。また、撹拌翼26どうし、あるいは撹拌翼26と補強部材22とを連結する桟部材28が設けられている。
【0021】
図3に示す一対の枠部材20からなる撹拌翼フレーム12のユニットは、撹拌翼26の長さとほぼ同じ長さであるが、これに補強部材22、撹拌翼26および別の枠部材20を取り付けることにより、ユニットを順次継ぎ足して、水処理槽10に適合した長さにすることができる。図1の例は、3つのユニットを繋ぎ合わせている。もちろん、最終段で継ぎ足す補強部材22、撹拌翼26を適宜に切断等すれば長さを調整することができる。このようにして作製した撹拌翼フレーム12は、撹拌翼26が枠部材20間に指し渡すように配置されており、撹拌翼フレーム12の全長に渡って連続している。
【0022】
各ユニットの長さは、用いる撹拌翼26の長さだけでなく、強度を考慮して決める。特に、長尺の撹拌翼フレーム12には回転モーメントにより大きな捻り応力が作用するので、ユニット自体をあまり長尺にせず、ユニットを継ぎ足して、枠部材20の補強作用で強度の向上を図る方が有利である。撹拌翼フレーム12は、複数の撹拌翼26を支持した状態で水平軸線回りに回転する構造であれば、各部の構造や素材、あるいは撹拌翼26の数等は適宜である。強度が確保されるのであれば、補強部材22を撹拌翼26と別個の部材として設ける必要はない。例えば、図5に示すように、捻り応力による変形を防止するために、隣接する枠部材20どうしを位相を90度ずらせて連結する斜行補強部材30を設けてもよい。この斜行補強部材30は、鋼材等の剛体の他、ワイヤのような引張力を負荷できるものでもよい。
【0023】
撹拌翼フレーム12の各枠部材20の外端部には、それぞれローラ32が設置されており、一方、水処理槽10の該当個所には、これらのローラ32に摺接して撹拌翼フレーム12を回転自在に支持する環状のガイドレール(案内部材)34が設けられている。このローラ32およびガイドレール34が、撹拌翼フレーム12を撹拌翼より外側の外周部において支持する支持構造体14を構造している。ローラ32およびガイドレール34には、樹脂、セラミックス、あるいは金属からなる耐摺動性部材が好適である。例えば、ローラ32に柔軟性素材を用いれば、経時的な変動や地震等によるずれを吸収することができる。ガイドレール34は保全の際の撹拌翼フレーム12の取り出しの便宜のために、例えば上下分割型とするとよい。なお、ローラ32およびガイドレール34からなる支持構造体14は、全ての枠部材20に設ける必要はなく、撹拌翼フレーム12を安定に支持できる数を設置すればよい。
【0024】
撹拌翼フレーム12の一端側の枠部材20には、駆動装置16の駆動軸36が取り付けられている。駆動軸36は、水処理槽10の壁に設けた水封装置38付きの開口を貫通し、駆動軸受40により支持されている。この実施の形態では、撹拌翼フレーム12の他端(自由端)側の枠部材20に支持軸42が突出して設けられ、これは水処理槽10の壁面に設けた軸受44により支持されている。なお、この実施の形態の他端側の軸受44は、図6に示すように、樹脂製の転動体(ころ)46を用いた転がり軸受を採用しており、軸芯の多少のずれを吸収することができるようになっている。
【0025】
このように構成された横型フロキュレータでは、被処理水は横型フロキュレータの横方向から流入し、反対側へ流出する(例えば、図1において紙面表側から裏側に流れる)。撹拌翼フレーム12は、その両端部の駆動軸36および支持軸42において軸受支持されるとともに、それ以外の箇所においては、撹拌翼フレーム12の外周部において各枠部材20の位置に設置された支持構造体14により支持されている。撹拌翼フレーム12は、駆動装置16により所定の速度で回転し、その全長に渡って延びる撹拌翼26が被処理水をムラなく、効率良く撹拌し、凝集処理する。従来のように、撹拌翼26が分断されていないので、流れが滞って凝集物が滞留することもなく、そのためのメンテナンスの負荷は軽減される。撹拌翼フレーム12自体のメンテナンスの際は、分割ガイドレール34を開いて取り出すことができる。
【0026】
この横型フロキュレータでは、撹拌翼フレーム12をその外周部において支持しているので、例えば、経時的な変化や地震等の影響で軸芯がずれた場合でも、支持構造体14に掛かる負荷が複数のローラ32に分散されるとともに、撹拌翼フレーム12自体が全体としてある程度弾性変形して、ずれを吸収するので、運転に支障を来すことが少ない。同様に、撹拌翼フレーム12の組立や設置も、芯出し精度に対する要求が小さいので、軸受による支持の場合に比較して容易であり、製造や作業のコストの低減、および作業時間の短縮等の効果が得られる。なお、この実施の形態では撹拌翼フレーム12の両端側に軸受を設けたが、後述する実施の形態のように、自由端側の軸受を省いてもよい。
【0027】
図7は、図1の実施の形態の変形例であり、ここではガイドレール34Aは下側の半円形の部分だけで構成されている。この例では、同図(a)に示すように一方の枠部材20が水平な場合には3カ所のローラ32が、(b)に示すそれ以外の場合は2ヶ所のローラ32が、それぞれガイドレール34Aと接することで、充分安定な支持が得られる。この実施の形態では、撹拌翼フレーム12の設置や取り出しが容易になるとともに、ガイドレール34Aの製造コストも低減される。また、ローラ32が摺接する時間も半分になるため、ローラ32の寿命が延長される。ガイドレール34Aには、ローラ32が常時2個当接すればよいので、枠部材20の間の角度の2倍の中心角を持つようにすればよい。
【0028】
図8ないし図10は、この発明の他の実施の形態の横型フロキュレータを示すもので、ここでは、支持構造体14のガイドレール34Bが撹拌翼フレーム12側に、ローラ32Bが水処理槽10側にそれぞれ設けられている。この例では、ローラ32Bは水処理槽10の底面に2個と、側壁に2個がそれぞれ左右対称となる位置に設けられている。ガイドレール34Bは完全な円形のリング状である。ローラ32Bは、槽底部の2個が有れば荷重を支持することが可能であり、場合によっては、それだけでも良いが、図8のように軸線より上にローラ32Bを配置すれば撹拌翼フレーム12を上から抑えて、がたつきを防ぐことができる。この実施の形態では、ガイドレール34Bが補強部材の役割を果たし、撹拌翼フレーム12の強度の向上に寄与する。従って、この図では斜行補強部材30を設けていないが、勿論設けても良い。また、中心軸線上には、浮力を作用させて支持構造体14の負荷を軽減するためのフロート48が設けられている。
【0029】
この実施の形態においても、先の実施の形態と同様に、撹拌翼フレーム12は、端部の駆動軸36以外の箇所においては、撹拌翼フレーム12の外周部において支持構造体14により支持されているので、撹拌翼26は分断されることなく、水処理槽10の全域に渡ってムラの無い処理がなされる。また、駆動側以外は軸受支持をしていないので、製造や設置等の作業コストが低減される。ローラ32Bを槽側に設置するので、大径のローラ32Bを採用することができ、摩擦低減による効率上昇や信頼性の向上を図ることができる。
【0030】
この実施の形態では、自由端側には軸受を設けておらず、軸受は駆動軸36を支持するものだけである。従って、自由端側は撹拌翼フレーム12の外周部だけで支持されており、芯出し精度がさらに緩和される。また、駆動装置16からの駆動軸36は、円盤状の駆動力伝達板50に連結され、駆動力伝達板50は撹拌翼フレーム12の枠部材20に図11に示すような可動結合部52を介して連結されている。可動結合部52は、駆動力伝達板50側の突起54と枠部材20側の凹部56の間に柔軟性を有する緩衝材58を挟んで結合したもので、緩衝材58の弾性変形によりずれを吸収する。
【0031】
図12は、支持構造体14において、ガイドレール34Bの内周面に摺接するローラ32Cを用いている例である。すなわち、水処理槽10の底部に、ガイドレール34Bの外周面に接するローラ32Bとともに、内周面に接するローラ32Cを設置し、前者は荷重を支え、後者は上から抑えるようになっている。ローラ32Cは、槽の底部に設置した支持金具60からガイドレール34Bに向けて張り出すようになっている。この例では、図9の例に比較して、ローラ32B,32CCの配置を底部のみに限定することができる。なお、内周面に接するローラ32Cを用いる場合には、これと補強部材22や撹拌翼26が干渉しないようにする必要がある。枠部材20とガイドレール34Bを大きくすれば、撹拌翼26を縮小しないで済む。
【0032】
図13の例は、水処理槽10の上部に支持部材61を設置し、これから内周面接触型のローラ32Cを、垂下して設置したものである。このローラ32Cは、撹拌翼フレーム12の荷重を支持するものであるが、同図に破線で示すように、外周面接触型のローラ32Bを併置して上から抑えるようにしてもよい。この実施の形態では、水処理槽10の底部にローラを設置しないで済むので、これらの存在に起因する凝集物の滞留を防ぐことができ、また、これらの部材の監視や保全が容易となる。なお、場合によっては、ローラ32Cがガイドレール34Bに接触する位置を水面より上にすることも可能であり、その場合は水中で採用が困難な種々の手段を採用することができる。
【0033】
図14の例は、底部に外周面接触型ローラ32Bを、上部に内周面接触型ローラ32Cをそれぞれ設置したもので、荷重を多くのローラ32Cに分散して個々の負荷を軽減するようにしたものである。言うまでもなく、以上の例において説明した以外に、外周面接触型ローラ32Bおよび内周面接触型ローラ32Cを適宜の箇所に配置して、それぞれの利点を活かすように組み合わせることができる。
【0034】
図15は、横型フロキュレータの駆動装置16に関する実施の形態を示すもので、駆動装置16と撹拌翼フレーム12の間には、枠部材20に端面に取り付けられた枠部材20とほぼ同径のラック62と、駆動モータの駆動軸36に取り付けられたピニオン64とからなる駆動力伝達機機構66が設けられている。このような構成によれば、撹拌翼26の外径部分で撹拌翼26を駆動するため、駆動装置16の必要トルクが小さくなり、駆動装置16、駆動軸36、駆動軸受40をそれぞれ小さくすることができ、安価になる。また、水面に近い箇所に駆動軸36が有るので、水封装置38に掛かる水圧が低く、水封が容易となる。
【0035】
図16は、本発明の支持構造体14に、ピニオン64Aとラック62Aからなる駆動力伝達機構66Aを組み込んだものである。すなわち、図9の実施の形態の横型フロキュレータにおいて、ガイドレール34Bの内周面にラック62Aを形成し、一方、水処理槽10の上部には駆動装置16につながる共通駆動軸68を設置する。そして、支持金具60で支持したピニオン64Aをラック62Aと噛合させるとともに、ギア70を介してピニオン64Aに共通駆動軸68の駆動力を伝達するようにしている。全てのガイドレール34Bにラックを形成して駆動する必要はなく、撹拌翼フレーム12の長さや強度に応じて適宜に選択すればよい。
【0036】
この実施の形態では、駆動力が撹拌翼フレーム12の一端側のみでなく、長手方向に分散した箇所から伝達されるので、撹拌翼フレーム12が長尺であっても、過大な捻れ応力が負荷されることがなく、捻れ変形に起因する変位や軸芯のずれが発生しにくい。また、駆動装置16を含む駆動伝達機構が水面より上に有り、水封装置等が不要となるので、製造や保全のコストが減少する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の第1の実施の形態の横型フロキュレータを示す正面図である。
【図2】図1の横型フロキュレータの横断面図である。
【図3】図1の横型フロキュレータの要部である撹拌翼フレームのユニットの斜視図である。
【図4】図3の撹拌翼フレームのユニットの分解斜視図である。
【図5】撹拌翼フレームの変形例を示す、(a)横断面図、および(b)斜視図である。
【図6】自由端側の軸受の構造を示す図である。
【図7】ガイドレールの変形例を示す図である。
【図8】この発明の第2の実施の形態の横型フロキュレータを示す正面図である。
【図9】図8の横型フロキュレータの横断面図である。
【図10】図8の横型フロキュレータの撹拌翼フレームのユニットの分解斜視図である。
【図11】可動結合部の構造を示す図である。
【図12】支持構造体の変形例を示す横断面図である。
【図13】支持構造体の他の変形例を示す横断面図である。
【図14】支持構造体のさらに他の変形例を示す横断面図である。
【図15】駆動装置の変形例を示す図である。
【図16】駆動装置の他の変形例を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0038】
10 水処理槽
12 撹拌翼フレーム
14 支持構造体
16 駆動装置
18 駆動力伝達部
20 枠部材
22 補強部材
24 フレーム部
26 撹拌翼
28 桟部材
30 斜行補強部材
32,32B,32C ローラ
34,34A,34B ガイドレール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水処理槽に設置される横型フロキュレータであって、
前記水処理槽外に配置された駆動装置と、
前記水処理槽内に配置された撹拌翼フレームであって、水平な軸線を有し、該軸線方向に平行に延びる一または複数の攪拌翼を有する撹拌翼フレームと、
前記駆動装置の駆動力を該撹拌翼フレームに伝達する駆動力伝達部と、
前記撹拌翼フレームを前記軸線回りに回転自在に回転自在に支持する支持構造体とを備え、
前記支持構造体は、前記撹拌翼フレームの両端部を除く箇所においては、前記撹拌翼フレームを該撹拌翼フレームの外周部においてのみ支持することを特徴とする横型フロキュレータ。
【請求項2】
前記支持構造体は、前記撹拌翼フレームおよび水処理槽のいずれか一方に設置された複数のローラと、これらの他方に設置されて該ローラと当接する摺接面を有する案内部材とを有することを特徴とする請求項1に記載の横型フロキュレータ。
【請求項3】
前記ローラが前記撹拌翼フレームに設けられ、前記案内部材が前記水処理槽に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の横型フロキュレータ。
【請求項4】
前記案内部材は、半円またはそれ以下の中心角の円弧状であることを特徴とする請求項3に記載の横型フロキュレータ。
【請求項5】
前記ローラが前記水処理槽に設けられ、前記案内部材が前記撹拌翼フレームに設けられていることを特徴とする請求項2に記載の横型フロキュレータ。
【請求項6】
前記撹拌翼フレームのねじり方向の強度を補うように斜めに配置された補強部材を有することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の横型フロキュレータ。
【請求項7】
前記撹拌翼フレームには該撹拌翼フレームに浮力を付与するフロートが設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の横型フロキュレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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