説明

横型製袋充填包装機のガセット形成装置

【課題】構造が簡易で、ガセット爪の進退における前進がエンドシーラの閉じ動作に完全同期可能で、包装筒に対するガセット形成が素早く後進可能で、ピロー袋との兼用時に手間がかからずメンテナンス性も良好な横型製袋充填包装機のガセット装置の提供。
【解決手段】横型製袋充填包装機のガセット装置は、エアシリンダ13、板カム15などからなる簡易な構造であり、ガセット爪10の進退における前進が板カム15によって行われるのでエンドシーラの閉じ動作に完全同期可能で、後退がエアシリンダ13によって素早く行うことができる。また、ピロー袋とガセット袋の切り替えがエアシリンダ13の制御を変更するだけなので、兼用時に手間がかからず、クラッチなどの機械的機構を用いていないのでメンテナンス性も良好である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横型製袋充填包装機のガセット形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
横型製袋充填包装機は、製袋器により筒状に成形されて水平に移送される筒状フィルム中に、供給コンベヤにより物品を所定間隔毎に順次受渡し供給すると共に、前記物品が供給された筒状フィルムにおける長手方向端縁部の重合面にセンタシーラにより、センタシールを施し、更に筒状フィルムの物品を挟む前後に夫々エンドシール装置により、エンドシール・切断を施してなるピロー包装体を製造する。
【0003】
エンドシールを施すためのシール装置は、筒状フィルムの移送経路を挟むようにして互いに対向する上下一対のヒータブロックを有している。これらヒータブロックは、互いに接離方向に移動可能となっている。そして、両ヒータブロックを互いに近接する方向に動かすことで、筒状フィルムを上下方向より押さえ込み、この状態で筒状フィルムの移送方向に沿って水平移動させることでシールを施す。その後、両ヒータブロックを互いに離間させる方向へ動かしつつ、再度元の位置に復帰させるといった一連の動作が繰り返し行われる。つまり、シール装置では、両ヒータブロックに筒状フィルムを前方へ移送させるべく、例えば円運動を行わしめることで、エンドシールが施される。
【0004】
上述したピロー包装体の一つとして、ガセットが形成されたものがある。ガセットとは、エンドシール部近傍のフィルム側面に形成される内側への折り目をいう。ガセットの形成は、エンドシールを施す際、筒状フィルムの側面を、ガセット爪にて内側へ押し込むことによってなされる。そのため、ガセット爪は、上述したシール装置のエンドシーラの動作に合わせて往復運動するよう構成されている(例えば特許文献1の段落4及び図2を参照のこと)。
【0005】
ガセット装置の機構として最も簡易な方法は、エアシリンダのピストンロッドの端部にガセット爪を取り付け、エンドシーラが閉じきる手前のタイミングでエアシリンダを前進させて包装筒にガセットを入れエンドシーラが閉じきったタイミングでエアシリンダを後進させてガセット爪を後退させるものがある。
【0006】
また、特許文献2に示されるようなエンドシーラの回転軸の端部に駆動力を取り出す溝カムを設け、エンドシーラの回転運動をガセット爪の直線往復運動に変換する技術が知られている。このように溝カムを用いて駆動力を取り出せば、エンドシーラの一連の動作に合わせてガセット爪を押し込むことができる。
【0007】
また、特許文献3の図4及び段落22に示されるような、板カムを用いる方式もある。これは、上部エンドシーラに板カムを取り付け、その板カムのカム面をガセット爪の基端側に接触させる方式もある。さらに、スプリングなどによりガセット爪は外側に移動する力がかかるようにするものである。両エンドシーラが離反(上部エンドシーラが上昇)しているときは、ガセット爪の先端は筒状フィルムの外側に位置し、この状態から上部エンドシーラが下降移動すると、それに追従して板カムも下降するので、ガセット爪は、カム面によって押されて内方に進む。これにより、筒状フィルムの側面が押し込まれてガセットが形成される。
【0008】
エアシリンダでガセット爪を進退させる方式は、構成が簡易であり、ガセット爪の後退が素早く行えること、利点はあるが、ガセット爪の前進がエンドシーラの動きとは非同期に行われるので包装筒に対するガセットの形成があまり良くないという難点を有する。
【0009】
特許文献2に示される溝カムを用いてエンドシーラの回転運動をガセット爪の直線往復運動に変換する方法は、エアシリンダを用いる方式に比較してガセット爪の前進がエンドシーラの動きとほぼ同期できるが、構造がやや複雑であるという難点がある。
【0010】
特許文献3に示される板カムを用いる方式は、溝カムを用いる方式に比べると構成が容易で、エンドシーラの上側ヒータブロックの下降に同期してガセット爪が前進するので、ガセットの形成は非常に良好であるが、ガセット爪の後退に関しては素早く後退することができないという難点がある。ガセット爪の後退がゆっくり行われると、爪が製品に引っ掛かるなどして包装不良の原因となる。
【0011】
また、ピロー包装機は、高さ等その大きさの種々異なる多品種の被包装物に対して包装処理するようになっており、被包装物の種類に応じてガセットを形成したり、形成しなかったりする。例えば、被包装物の高さが低い場合などには、ガセットを形成しない。1つのピロー包装機で、このようにガセットを形成する包装体と形成しない包装体の2種類に対応するためには、従来、ガセット爪を駆動力伝達手段に対して着脱自在に取り付けていた。これにより、ガセットを必要としない被包装物の包装を行うにあたっては、ガセット爪を駆動力伝達手段から取り外すようにしていた。しかしながら、そのようにガセット爪を取り外した場合でも、係るガセット爪を駆動する機構は、ガセットを形成するか否かに拘わらず、そのピロー包装作業中においては絶えず動作させられていることになる。このため、係る機構の摺動各部等を無駄に摩耗させてしまい、ガセット成形の実働時間に比して、機構部の損耗の進行は早く、耐久性の面で問題があった。さらに、機構部の動作に伴い、ガセット爪を取り付ける部材は、直線往復運動を行うことになり、その運動に伴い駆動力伝達手段から大きな音を発生することになる。係る音は、騒音となり、生産工場における環境の低下を招くので好ましくない。特に、生産効率の向上から、単位時間あたりの生産個数を増加させると、駆動力伝達手段の動作も高速になり、上記した損耗や騒音の問題はより顕著に発生することになる。
【0012】
このような、ガセットとピローの兼用については、特許文献2に示されるような解決策が提案されている。これは、ガセット爪をエンドシーラの回転移動に同期させて内方に向けて往復移動させる駆動力伝達手段の途中に、駆動力の伝達を任意に継続・遮断可能なクラッチ機構を設けて、入力側部材と出力側部材とに分断し、両支軸の端面同士間に軸方向に沿って移動して動力の継続・遮断を行うクラッチ板を設けるものである。この方式を用いれば、ガセット爪の着脱やピロー包装時のガセット爪駆動伝達部の不要な動作は防止できるがクラッチ機構という機械的な機構を用いているため複雑でコストが高いという難点がある。また、クラッチ板は消耗品であり、これを交換するには大掛かりな作業が必要となりメンテナンス性にも難点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006−168795号公報
【特許文献2】特開2004−276986号公報
【特許文献3】特開2001−114203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
構造が簡易で、ガセット爪の進退における前進がエンドシーラの閉じ動作に完全同期可能で、包装筒に対するガセット形成が素早く後進可能で、ピロー袋との兼用時に手間がかからずメンテナンス性も良好な横型製袋充填包装機のガセット装置の提供が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に記載の発明は、被包装物が所定間隔ごとに内包されて水平に搬送されてくる筒状フィルムの所定部位を、所定の軌跡で公転移動する一対のエンドシーラ間に挟んで横方向にシールする横型製袋充填包装機のエンドシール部に設けられ、前記エンドシーラによるシールに先だって前記筒状フィルムのエンドシール部位の前後にわたる進行方向両側面を、ガセット爪にて内方に向けて押し込んで前記筒状フィルムの側面に折り目を付けてガセットを形成する横型製袋充填包装機のガセット形成装置であって、
前記エンドシーラの上側ヒータブロックに対して上下に調整可能に取り付けられ、前記上側ヒータブロックとともに上下に進退する板カムと、
前記筒状フィルムの進行方向に対して横切る方向に進退自在な、前記ガセット爪、スライド台、カムフォロアが一体的に連結されたガセットユニットと、
前記ガセットユニットを進退させ、カムフォロアを前記板カムに対して係合、離脱させるエアシリンダと、
前記エアシリンダを制御する制御装置を備えたことを特徴とする横型製袋充填包装機のガセット形成装置である。
【0016】
請求項1の発明によれば、本発明の横型製袋充填包装機のガセット形成装置は、エンドシーラの上側ヒータブロックに対して上下に調整可能に取り付けられ、前記上側ヒータブロックとともに上下に進退する板カムと、ガセット爪、スライド台、カムフォロアが連結され一体となったガセットユニットと、ガセットユニットを進退させ、カムフォロアを前記板カムに対して係合、離脱させるエアシリンダと、エアシリンダを制御する制御装置から構成されており、制御装置がエアシリンダを制御することにより、ガセットユニットを板カムから離脱させる位置に保つことも、ガセットユニットを板カムに係合することにより進退させることも自在に行うことができる。また、板カムの取付けが、上下に調整可能に構成されているので、この取り付け位置を調整することにより、機構的にガセット爪の前進のタイミングを調整することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1の発明に係わるもので、ガセットの形成が不要な袋を製造するときには、前記制御装置が、前記エアシリンダを制御して前記ガセットユニットを板カムから離脱した位置を保つ制御を行うことにより、前記ガセット爪を後退した位置に保つことを特徴とする横型製袋充填包装機のガセット形成装置である。
【0018】
請求項2の発明によれば、ガセットの形成が不要な袋を製造するときには、制御装置が、前記エアシリンダを制御して前記ガセットユニットを板カムから離脱した位置を保つ制御を行うことにより、前記ガセット爪を後退した位置に保つことができるので、ガセットユニットが不要な動作を行わなくて済み、損耗を防ぐとともに動作音による騒音も防ぐことができる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項1の発明に係わるもので、ガセットの形成が必要な袋を製造するときには、前記制御装置が、前記上側ヒータブロックが最上位位置付近にあるタイミングで前記エアシリンダを制御して前記ガセットユニットを前記板カムに係合させ、前記上側ヒータブロックが最下位位置付近にあるタイミングで前記エアシリンダを制御して前記ガセットユニットを前記板カムから離脱させる制御を行うことを特徴とする横型製袋充填包装機のガセット形成装置である。
【0020】
請求項3の発明によれば、ガセットの形成が必要な袋を製造するときには、上側ヒータブロックが最上位位置付近、即ち、エンドシーラが全開の前後の状態にあるときに、エアシリンダを制御して前記ガセットユニットを前記板カムに係合させることによりガセットユニットの進退を上側ヒータブロックとともに下降する板カムの軌跡に従って前進させてガセットを形成させることにより、上側ヒータブロックの下降に同期した良好なガセット形成が実現できる。また、上側ヒータブロックが最下位位置付近、即ち、エンドシーラが閉じてエンドシールが開始される前後のタイミングで前記エアシリンダを制御して前記ガセットユニットを前記板カムから離脱させることにより、ガセットユニットを素早く後退させることができるので、爪が製品に引っ掛かるなどの包装不良の発生を防止できる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項3の発明に係わるもので、前記タイミングが前記制御装置に対して、製品アイテムごとに設定可能であることを特徴とする横型製袋充填包装機のガセット形成装置である。
【0022】
請求項4の発明によれば、請求項3の発明の上側ヒータブロックが最上位位置付近、即ち、エンドシーラが全開の前後の状態にあるときのタイミング、及び、上側ヒータブロックが最下位位置付近、即ち、エンドシーラが閉じてエンドシールが開始される前後のタイミングが製品アイテムごとに設定可能であるので、製品アイテムごとの最適なタイミングを得ることができる。
【0023】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかの発明に係わるもので、前記制御装置が、製品アイテムごとにガセットの形成の要不要が設定可能であることを特徴とした横型製袋充填包装機のガセット形成装置である。
【0024】
請求項5の発明によれば、製品アイテムごとにガセットの形成の要不要が設定可能であるので、ガセットが不要な製品アイテムのときには請求項2の発明であるガセットユニットを後退位置に保つ制御を行い、ガセットが必要な製品アイテムのときには請求項3及び請求項4の発明を行うことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の横型製袋充填包装機のガセット装置は、エアシリンダ、板カムなどからなる簡易な構造であり、ガセット爪の進退における前進が板カムによって行われるのでエンドシーラの閉じ動作に完全同期可能で、後退がエアシリンダによって素早く行うことができる。また、ピロー袋とガセット袋の切り替えがエアシリンダの制御を変更するだけなので、兼用時に手間がかからず、クラッチなどの機械的機構を用いていないのでメンテナンス性も良好である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】横型製袋充填包装機の概略図である。
【図2】ガセット形成装置の斜視図である。
【図3】ガセット爪の進退動作を説明する図である。
【図4】ガセット爪の進退動作を説明する図である。
【図5】ガセット爪の進退動作を説明する図である。
【図6】ガセット形成動作の制御を説明するタイムチャートの図である。
【図7】ガセットを使わない袋を製造するときの制御を説明するタイムチャートの図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施例について図を用いて説明する。図1は本発明の適用された横型製袋充填包装機の概略図である。巻取り軸1に装着されたフィルムロールFrから引き出された帯状包装材Fwは、紙送りローラ2によって下流に搬送され、製筒器3により湾曲され長手方向の縁部を重合され、筒状包装材Ftが成形される。筒状包装材Ftは、被包装品Pが図示しない供給コンベヤにより筒内に搬送されるとともに筒状包装材Ftの重合部を挟持する一対のロールから構成された紙引きローラ4が回転することにより、さらに下流へと搬送される。紙引きローラ4の下流にあるセンタシール装置5は、筒状包装材Ftの重合面にセンタシールを施す。その後、被包装品Pを内蔵した筒状包装材Ftは、エンドシーラ6により筒状包装材Ft内部の被包装品Pを挟む前後に夫々エンドシール・切断を施して、ピロー包装体Bpを製造する。エンドシール装置は内部に図示しないカッタを内蔵しており、これにより切断を行う。
【0028】
エンドシーラ6は、上側ヒータブロック17と下側ヒータブロック19からなり、所定の軌跡で公転移動する。エンドシーラ6の前後には、エンドシーラ6によるシールに先だって筒状包装材Ftのエンドシール部位の前後にわたる進行方向両側面を内方に向けて押し込んで筒状フィルムの側面に折り目を付けてガセットを形成するガセット爪10が筒状包装材Ftの両側にエンドシーラ6を挟んで前後に配置されている。
【0029】
ガセット爪10を進退させてガセットを形成するガセット装置の構成について図2を用いて説明する。図2はガセット装置の筒状包装材Ftの進行方向に対して手前上側から見た斜視図である。図2には片側のガセット装置しか図示していないが、反対側も同様な構成となっている。ガセット爪10はスライドブロック11に固定されている。スライドブロック11は図示しないフレーム上を、筒状包装材Ftの進行方向を横切る方向に摺動自在になっている。スライド台11の端部下方には、エアシリンダ連結部材12が取り付けられている。エアシリンダ連結部材12にはエアシリンダ13のロッドが連結されるとともに、カムフォロア14が回転自在に配設されている。ガセット爪10、スライドブロック11、カムフォロア14は一体的に形成され、ガセットユニット21を構成している。上側ヒータブロック17が固定されている上側昇降ブロック18には、板カム固定部材16を介して板カム15が固定されている。板カム15の取付け穴22は、板カム15の取り付け位置を上側昇降ブロックに対して上下に調整可能なように長円になっている。エアシリンダ13は、図示しないフレームに固定され、図示しない制御装置30によりガセットユニット21を進退させる。エアシリンダ13が前進位置まで前進するとガセットユニット21のカムフォロア14は板カム15から離脱し、エンドシーラ6の開閉動作による上側昇降ブロック18の上下動作に伴う板カム15の上下動作から切り離される。エアシリンダ13が後進位置に向けて移動すると、カムフォロア14は、板カム15に押し付けられ係合する。従って、エアシリンダ13が後進位置に向けて動作している間は、ガセットユニット21は、上側昇降ブロック18の上下動作に伴う板カム15の上下動作により得られる軌跡に従って筒状包装材Ftの進行方向を横切る方向に進退する。
【0030】
ガセットを形成するためのガセット爪10の動作について図3から図5を用いて説明する。図3(a)、(b)に示すように、制御装置30は、上側ヒータブロック17が最上位位置にあり、下側ヒータブロック19が最下位位置にあるとき、即ちエンドシーラ6が全開位置になる付近のタイミングで、最前進位置にあるエアシリンダ13に対してエアシリンダ制御信号31により後進させる。これによりエアシリンダ13は後進を開始し、板カム15にカムフォロア14が押し付けられる。これにより図4(a)に示すように、板カム15とカムフォロア14は係合し、板カムの動きに従動して、ガセット爪10、スライドブロック11、カムフォロア14が一体的に形成されたガセットユニット21が前進を開始する。板カム15は、板カム固定部材16を介して上側ヒータブロックの取り付けられている上側昇降ブロック18の下降に伴い下側に移動する。つまり、制御装置30がエアシリンダ制御信号31によりエアシリンダ13を後進させている間は、ガセットユニット21は板カム15の動きに従動して前進し、図示しない筒状包装材Ftのエンドシール部位の前後にわたる進行方向両側面を内方に向けて押し込んで筒状フィルムの側面に折り目を付けてガセットを形成する。ガセットユニット21が上側ヒータブロックの下降に同期して前進するので良好なガセット形成ができる。図4(b)に示すように、ガセット形成後、上側ヒータブロック17と下側ヒータブロック17が接触、即ちエンドシーラ6が閉じると、ガセットが形成されたエンドシールが完成する。図5(a)に示すように、ガセット形成が完成するエンドシーラ6が閉じる前後の付近で、制御装置30は、エアシリンダ制御信号31によりエアシリンダ13を前進させる。これによりガセットユニット21は急速に後退するとともに、カムフォロア14が板カムとの係合を離脱する。これにより、ガセットの形成という目的を果たしたガセットユニット21は、爪が製品に引っ掛かるなどの包装不良の発生を防止できる。
【0031】
上記の動作を整理したのが図6に示すタイムチャートの図であるである。エンドシーラの位置32は、図示のごとく開閉動作を繰り返す。エンドシーラの位置32が開き位置にあるときエアシリンダ制御信号31が前進指令から後進指令に切り替わり、エアシリンダの動作33が後進となり、図示しない板カム15にカムフォロア14が押し付けられて係合し、エンドシーラの位置32が閉じ位置になるまで、板カム15の動きに従動して移動する。これによりガセット爪の動作34は、板カム15に従動して前進する。エンドシーラの位置32が閉じ位置になったときにエアシリンダ制御信号31が後進指令から前進指令に切り替わり、エアシリンダの動作33が前進となり、図示しない板カム15からカムフォロア14が急速に離脱し、ガセット爪の動作34は急速に最後退位置にまで離脱する。このようにガセット形成時、即ちガセット爪の前進はエンドシーラの閉じ動作に同期して行われ、ガセット形成後は、素早く最後退位置まで移動する。
【0032】
図6においては、エアシリンダ制御信号31の切り替わりタイミングが、エンドシーラの開き位置、閉じ位置となっているが、このタイミングは、制御装置30への設定により製品アイテムごとに可変できるように構成されており、製品ごとに最適なタイミングを提供することができる。
【0033】
次に、ガセットを使用しない通常のピロー袋を製造するときの制御について、図7を用いて説明する。本実施例の横型製袋充填包装機のガセット形成装置では、製品アイテムごとにガセット形成装置の使用・未使用の設定を備えている。ガセット形成装置が未使用となっている場合、エアシリンダ制御信号31は前進指令のままとなる。これによりエアシリンダの動作33は前進したままとなり、板カム15とカムフォロア14は離脱したままの状態となり、ガセット爪の動作34は、エンドシーラの位置32に係わらず最後退位置において動くことがない。このように、本発明においては、ガセットと通常のピロー袋の兼用が簡単な構成で容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0034】
1 巻取り軸 2 紙送りローラ
3 製筒器 4 紙引きローラ
5 センタシール装置 6 エンドシーラ
10 ガセット爪 11 スライドブロック
12 エアシリンダ連結部材 13 エアシリンダ
14 カムフォロア 15 板カム
16 板カム固定部材 17 上側ヒータブロック
18 上側昇降ブロック 19 下側ヒータブロック
20 下側昇降ブロック 21 ガセットユニット
22 板カムの取付け穴 30 制御装置
31 エアシリンダ制御信号 32 エンドシーラの位置
33 エアシリンダの動作 34 ガセット爪の動作


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物が所定間隔ごとに内包されて水平に搬送されてくる筒状フィルムの所定部位を、所定の軌跡で公転移動する一対のエンドシーラ間に挟んで横方向にシールする横型製袋充填包装機のエンドシール部に設けられ、前記エンドシーラによるシールに先だって前記筒状フィルムのエンドシール部位の前後にわたる進行方向両側面を、ガセット爪にて内方に向けて押し込んで前記筒状フィルムの側面に折り目を付けてガセットを形成する横型製袋充填包装機のガセット形成装置であって、
前記エンドシーラの上側ヒータブロックに対して上下に調整可能に取り付けられ、前記上側ヒータブロックとともに上下に進退する板カムと、
前記筒状フィルムの進行方向に対して横切る方向に進退自在な、前記ガセット爪、スライド台、カムフォロアが一体的に連結されたガセットユニットと、
前記ガセットユニットを進退させ、カムフォロアを前記板カムに対して係合、離脱させるエアシリンダと、
前記エアシリンダを制御する制御装置を備えたことを特徴とする横型製袋充填包装機のガセット形成装置。
【請求項2】
ガセットの形成が不要な袋を製造するときには、前記制御装置が、前記エアシリンダを制御して前記ガセットユニットを板カムから離脱した位置を保つ制御を行うことにより、前記ガセット爪を後退した位置に保つことを特徴とする請求項1に記載の横型製袋充填包装機のガセット形成装置。
【請求項3】
ガセットの形成が必要な袋を製造するときには、前記制御装置が、前記上側ヒータブロックが最上位位置付近にあるタイミングで前記エアシリンダを制御して前記ガセットユニットを前記板カムに係合させ、前記上側ヒータブロックが最下位位置付近にあるタイミングで前記エアシリンダを制御して前記ガセットユニットを前記板カムから離脱させる制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の横型製袋充填包装機のガセット形成装置。
【請求項4】
前記タイミングが前記制御装置に対して、製品アイテムごとに設定可能であることを特徴とする請求項3に記載の横型製袋充填包装機のガセット形成装置。
【請求項5】
前記制御装置が、製品アイテムごとにガセットの形成の要不要が設定可能であるであることを特徴とした請求項1から4のいずれかに記載の横型製袋充填包装機のガセット形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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