説明

横軸ローラベルトおよびモジュール

ベルトの側部に向かって自由回転しうるローラ(38)の密集したアレイを有するモジュラ式ローラトップコンベアベルト(10)である。これらのローラは、ベルトの頂部側にオフセットしたラインとカラムにチェッカーボードパターンで配列される。ローラは、ベルトの移動方向(16)に平行な軸上で回転する。ローラは、ベルトモジュール(14、14’)の隣接する列(12)の間に形成されたヒンジ軸を越えてベルトの移動方向に延在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に動力駆動のコンベアベルトに関し、より具体的には、ベルト移動方向の軸で回転するよう構成された物品支持ローラを有するモジュラ式コンベアベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
特にタイヤなどの摩擦が高い物品の搬送において、ベルト移動方向の軸で自由回転するよう構成された物品支持ローラを有するローラベルトが多く用いられている。この自由回転ローラは、側方からベルトの上へ、またはベルトから外にスライドさせるのを容易にする。ヒンジジョイントで直列に連結されたローラトップベルトモジュールの列で構成されたモジュラ式ローラトップコンベアが、多くの搬送用途に用いられている。これらのベルトでは、ローラはベルト列の頂部サイドでヒンジジョイント間に配列され、各ヒンジジョイントに沿ってローラ配列内にギャップを形成している。支持ローラに対し小さな面積の基部を有する小さな物品は、このギャップに捕まってしまう。側壁全体をコンベアベルトに呈する硬化した(cured)タイヤと異なり、硬化していない、または「グリーンの」タイヤは、細く円形のビードのみを基部としてコンベアベルトに呈する。この細いビードは、従来型のローラトップベルトのヒンジジョイントのローラのギャップに捕らわれてしまう。
【発明の概要】
【0003】
これらの欠点は、本発明の特徴を具現化したコンベアベルトにより解消され、他の利点も提供される。一態様では、コンベアベルトは、ヒンジジョイントで互いに連結された1またはそれ以上のベルトモジュールの一連の列を具える。モジュールの各列は、縦には第1および第2の端部の間にベルトの移動方向に、横には第1の側縁部と第2の側縁部の間に、厚さは頂部サイドと底部サイドの間に延在する。ヒンジジョイントは、横に配置されたヒンジ軸を規定する。ベルトの移動方向に整列された軸を有するローラは、コンベアベルトの頂部サイドに支持されている。この軸が、ローラの回転の縦軸を規定する。ベルトモジュールのある列のいくつかのローラは、この列の第1の端部のヒンジ軸上に延在する。
【0004】
別の態様では、モジュラコンベアベルトは、ベルトの頂部サイドから直立するローラサポートを具える。このローラサポートに支持されたローラは、ベルトの第1および第2の側縁部に向かって回転する。いくつかのローラはヒンジ軸上に配置され、これによりヒンジ軸の1つを含み、ベルト列の両方のヒンジ軸を含む別の面とは直交する1の面が、ヒンジ軸上でローラと交差する。
【0005】
本発明の別の態様では、コンベアベルトモジュールは、モジュールの長さを規定する第1の端部とこれに対向する第2の端部と、その幅を規定する対向する第1および第2の側縁部と、その厚さを規定する対向する頂部および底部サイドとを具える。整列されたヒンジ部材の第1のセットと、整列されたヒンジ部材の第2のセットとが、前記第1および第2の端部でモジュールの幅にわたって隔たれている。これらの整列されたヒンジ部材は第1および第2のヒンジ軸を規定し、これらが第1の面を規定する。ローラはモジュールの頂部サイドに支持されており、第1および第2の側縁部に向けて回転する。いくつかのローラは、前記第1の面に直交するとともに前記第1のヒンジ軸に交差する第2の面に交差する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明のこれらの特徴や態様は、その利点とともに、以下の説明、添付のクレーム、および添付図面を参照することによってより理解される。
【図1】図1は、本発明の特徴を具体化したコンベアベルトの一態様の一部の等角投影図である。
【図2】図2は、図1のコンベアベルトの平面図である。
【図3】図3は、図1のコンベアベルトの側面図である。
【図4】図4は、図1のコンベアベルトの正面図である。
【図5】図5は、本発明の特徴を具現化したコンベアベルトの別の態様の側面図であり、各モジュールの幅を横切る3ラインのローラを具えている。
【図6】図6は、本発明の特徴を具現化したコンベアベルトのさらに別のバージョンの側面図であり、各モジュールの幅を横切る単一ラインのローラを具えている。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の特徴を具現化したコンベアベルトの一態様の一部が、図1−4に示されている。図示するベルト10の部分は、3つの列12の単一のベルトモジュール、あるいはシーム15で隔たれた並置型別とモジュール14、14’を具える。各列は、縦には長さ方向に(ベルト移動方向16に)第1の端部18から第2の端部19まで、横には(幅方向に)第1の側縁部20から反対側の第2の側縁部21まで、厚さが頂部サイド22から底部サイド23まで延在している。ヒンジ部材は、本例ではヒンジアイ24、25の形態で、各列の第1および第2の端部に沿って横に隔たれている。列の第1の端部のヒンジアイは、隣の列の第2の端部のヒンジアイと交互配置(interleaved)されている。交互配置されたヒンジアイの中に整列された開口部26が、列の間の横の通路を形成している。この通路内に受けられるヒンジピン28が、ドライブ、あるいはスプロケット、ドラム、またはリターンローラといった偏向部材(diverting element)の周りでベルトが連結されるように、隣接する列が回動するヒンジ軸32を規定するヒンジジョイント30で隣接するモジュールを連結している。
【0008】
ベルトモジュールの頂部サイド22から、ローラ38用の3つのサポート34、35、36が立ち上がっている。端部のサポート34、36は、各モジュールの第1および第2の端部でヒンジアイから立ち上がっている。中央のサポート35は、モジュールの中央から立ち上がっている。これらのサポートは、軸42を受けて支持する整列された開口部40を有する。ローラは、この軸上に搭載される。本例では、単一のローラが3つのグループそれぞれの各対のサポート間に設けられている。これらのローラ軸は、ベルトの移動方向に配列されて、ローラが横向きのローラ構成でベルトの第1および第2の側縁部に向けて自由回転できるようにしている。
【0009】
図2に最もよく示すように、ローラの2本の横のライン44、45が各列に沿って形成されている。各ラインのローラは、ローラの直径dより僅かに大きな距離Dだけ横に間隔を空けられている。これにより、ある列のローラが隣の列の横にオフセットしたローラと近接に入れ子状態に収まる。図3に最もよく示すように、ローラ38はヒンジ軸32を越えて延在し、したがって連続的なヒンジ軸で規定される面Pは、ヒンジ軸を通るPに直交する面Pと交差する。ローラがヒンジ軸を越えて延在するため、これらは交互配置された隣の列のヒンジアイの部分と重なり、横方向に隔てられたローラセット間のギャップ46に適合(fit)する。その結果、横のラインおよびオフセットした縦のカラムに配列されたローラのアレイを有するコンベア表面が、ローラセット間に比較的小さな空隙48をもつチェッカー盤パターンを形成する。
【0010】
似た特徴を有する別の態様のベルトの一部が、図5に示されている。このベルト50は、ヒンジピンによりヒンジジョイント54に一緒に連結されたモジュール列52で構成されている。モジュール下側のポケット56が、ドライブおよびアイドルスプロケットからの歯を受ける。取付基部58が、ねじ穴62に保持されるかモジュールの頂部サイドに挿入されたボルト、ねじ、または他の固定具により、各モジュールの頂部サイド60に固定されている。ローラサポート64は、取付基部から上に延在して、3つのローラ66を、ベルト移動方向16と平行な軸68上で回転するよう支持している。図1−4の構成のローラと同様に、図5のローラはヒンジ軸を越えて延在し、隣のベルト列の横にオフセットしたローラと縦に重なっている。
【0011】
列ごとに単一のローララインを有するベルトの内部が図6に示されている。このベルト70では、各列72が、ローラ76の単一の横のライン74を有する。ローラは、ベルト移動方向16に整列した軸上を回転する。この軸の端部は、ベルトの頂部面82から立ち上がっているローラサポート80に支持されている。ローラはヒンジ軸84を越えて延在し、したがってこれらは隣の列のローラと重なる。他の態様と同様に、図6に示すベルトは、ベルトの側縁部に向かって自由回転するローラの横のライン間のヒンジジョイントでの有意に広いギャップをなくしている。
【0012】
いくつかの好ましい態様を参照して本発明を説明したが、他の態様も実現可能である。一例として、連続するローラサポート間に個々のローラが複数あってもよい。別の例としては、記載されたローラはモジュール式のプラスチックコンベアベルトであるが、これは金属やセラミックのモジュール式であってもよい。さらに別の例では、軸は回転式ではなく、ローラのボアを通って延在するか、ローラの側部から突出してサポートの受け部内で回転する突起であってもよい。すなわち、少しの例を示したが、クレームはこれらの詳細に説明した好適な態様に限定されると解されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアベルトにおいて、
1またはそれ以上のベルトモジュールでなる複数の列であって、各列が、縦にはベルトの移動方向で第1および第2の端部の間に、横には第1の側縁部と第2の側縁部の間に、厚さとしては頂部サイドと底部サイドの間に延在し、各列が前記コンベアベルトを連接させる(articulate)横に配列されたヒンジ軸をそれぞれ規定するヒンジジョイントの第1の端部から第2の端部でともにヒンジ連結されている列と、
前記頂部サイドに支持された複数のローラであって、ベルト移動方向に整列され前記ローラの回転の縦軸を規定する軸を有するローラとを具え、
前記ベルトモジュールの1の列のローラの少なくともいくつかが、当該列の第1の端部で前記ヒンジ軸を越えて延在することを特徴とするコンベアベルト。
【請求項2】
請求項1に記載のコンベアベルトにおいて、前記列の頂部サイドから立ち上がって前記ローラ軸を支持する複数のローラサポートを具えることを特徴とするコンベアベルト。
【請求項3】
請求項2に記載のコンベアベルトにおいて、前記ローラがそれぞれ、縦に離された対の前記ローラサポート間に支持されていることを特徴とするコンベアベルト。
【請求項4】
請求項2に記載のコンベアベルトにおいて、さらに、1の列の頂部サイドに固定された取付基部を具え、前記ローラサポートが前記取付基部から延在することを特徴とするコンベアベルト。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のコンベアベルトにおいて、前記ローラは、チェッカーボードパターンで配列されていることを特徴とするコンベアベルト。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のコンベアベルトにおいて、前記列がそれぞれ、ローラの横のラインを1本有することを特徴とするコンベアベルト。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれかに記載のコンベアベルトにおいて、前記列がそれぞれ、ローラの横のラインを複数本有することを特徴とするコンベアベルト。
【請求項8】
請求項7に記載のコンベアベルトにおいて、1のラインのローラが、隣のラインのローラから横にオフセットしていることを特徴とするコンベアベルト。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載のコンベアベルトにおいて、前記列の第1の端部のローラが、当該列の第2の端部のローラから横にオフセットしていることを特徴とするコンベアベルト。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載のコンベアベルトにおいて、ある列のいずれのローラも当該列の第2の端部のヒンジ軸を越えて延在しないことを特徴とするコンベアベルト。
【請求項11】
コンベアベルトにおいて、
1またはそれ以上のベルトモジュールの一連の列であって、各列が、縦にはベルトの移動方向で第1および第2の端部の間に、横には第1の側縁部と第2の側縁部の間に、厚さとしては頂部サイドと底部サイドの間に延在し、前記列が、前記コンベアベルトが連接する(articulate)横に配列されたヒンジ軸を規定するヒンジジョイントの第1の端部から第2の端部でともにヒンジ連結されており、1の列における対向する端部の前記ヒンジ軸が第1の平面を規定する列と、
前記頂部サイドから立ち上がるローラサポートと、
前記ローラサポート間に支持されて前記第1および第2の側縁部に向かって回転するよう配列されたローラとを具え、
前記ローラの少なくともいくつかが、前記ヒンジ軸の上に配置され、前記列のヒンジ軸を通って前記第1の平面と直交する第2の平面が、前記ヒンジ軸の上に配置されたローラと交差することを特徴とするコンベアベルト。
【請求項12】
請求項11に記載のコンベアベルトにおいて、前記ローラがそれぞれ、縦に離された対のローラサポートに支持されていることを特徴とするコンベアベルト。
【請求項13】
請求項11または12に記載のコンベアベルトにおいて、さらに、1の列の頂部サイドに固定された取付基部を具え、前記ローラサポートが前記取付基部から延在することを特徴とするコンベアベルト。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれかに記載のコンベアベルトにおいて、前記ローラは、チェッカーボードパターンで配列されていることを特徴とするコンベアベルト。
【請求項15】
請求項11乃至14のいずれかに記載のコンベアベルトにおいて、前記列がそれぞれ、ローラの横のラインを1本有することを特徴とするコンベアベルト。
【請求項16】
請求項11乃至14のいずれかに記載のコンベアベルトにおいて、前記列がそれぞれ、ローラの横のラインを複数本有することを特徴とするコンベアベルト。
【請求項17】
請求項16に記載のコンベアベルトにおいて、1のラインのローラが、隣のラインのローラから横にオフセットしていることを特徴とするコンベアベルト。
【請求項18】
請求項11乃至17のいずれかに記載のコンベアベルトにおいて、前記列の第1の端部のローラが、当該列の第2の端部のローラから横にオフセットしていることを特徴とするコンベアベルト。
【請求項19】
請求項11乃至18のいずれかに記載のコンベアベルトにおいて、ある列のいずれのローラも当該列の第2の端部のヒンジ軸を越えて延在しないことを特徴とするコンベアベルト。
【請求項20】
コンベアベルトモジュールであって、
前記モジュールの長さを規定する第1の端部および反対側の第2の端部と、
前記モジュールの幅を規定する第1の端縁部および反対側の第2の端縁部と、
前記モジュールの厚さを規定する頂部サイドおよび反対側の底部サイドと、
前記第1の端部に沿って前記モジュール本体の幅方向にわたり隔てられた整列されたヒンジ部材の第1のセットであって、前記整列されたヒンジ部材を通る第1のヒンジ軸を規定する第1のセットと、
前記第2の端部に沿って前記モジュール本体の幅方向にわたり隔てられた整列されたヒンジ部材の第2のセットであって、前記整列されたヒンジ部材を通る第2のヒンジ軸を規定する第2のセットとを具え、
前記第1および第2のヒンジ軸が第1の平面を規定し、
前記第1および第2の側縁部に向かって回転するよう前記頂部サイドで支持された複数のローラを具え、
前記ローラの少なくともいくつかが、前記第1のヒンジ軸を通る前記第1の平面に直交する第2の平面に交差することを特徴とするコンベアベルトモジュール。
【請求項21】
請求項20に記載のコンベアベルトモジュールにおいて、前記モジュールの頂部サイドから立ち上がり前記ローラを支持する複数のローラサポートを具えることを特徴とするコンベアベルトモジュール。
【請求項22】
請求項21に記載のコンベアベルトモジュールにおいて、前記ローラがそれぞれ、前記長さ方向に隔てられた一対の前記ローラサポートの間に支持されていることを特徴とするコンベアベルトモジュール。
【請求項23】
請求項21に記載のコンベアベルトモジュールにおいて、さらに、前記モジュールの頂部サイドに固定された取付基部を具え、前記ローラサポートは前記取付基部から延在することを特徴とするコンベアベルトモジュール。
【請求項24】
請求項20乃至23のいずれかに記載のコンベアベルトモジュールにおいて、各モジュールが、当該モジュールの幅方向に沿って延在するローラのラインを1本有することを特徴とするコンベアベルトモジュール。
【請求項25】
請求項20乃至23のいずれかに記載のコンベアベルトモジュールにおいて、各モジュールが、当該モジュールの幅方向に沿って延在するローラのラインを複数本有するとともに、1のラインのローラが隣のラインのローラから幅方向にオフセットしていることを特徴とするコンベアベルトモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−526005(P2010−526005A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506605(P2010−506605)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/062028
【国際公開番号】WO2008/134728
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(508181663)レイトラム,エル.エル.シー. (43)
【Fターム(参考)】