説明

樹木の根元保護具及び樹木の根元保護方法

【課題】簡単な構成で、樹幹の樹皮、特に樹木の根元部分の樹皮をシカなどによる食害から守ることのできる樹木の根元保護具を提供すること。
【解決手段】樹木の周囲に巻回可能な周回部材と、前記周回部材から垂下する複数の垂下部材とからなり、前記垂下部材は、柔軟性のある細長いテープ状部材により構成されることによって、風などの外力により揺動するようになされると共に、その先端側が地面を這うように配することが可能なようにし、これによって、樹木が山の斜面に立っている場合でも、また樹木の根元が複雑な凹凸形状を有している場合でも、樹木の根元部分を好適に覆うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シカや熊などの動物による食害から、山林の樹木を守るための保護具に関するものであり、より詳しくは、樹木の根元部分を防護して前記食害から樹木を守るための保護具及び当該保護具を利用した樹木の根元保護方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従前より、様々な鳥獣害による農業や林業への影響は甚大なものであり、近年は自然環境や気候の大きな変動等の影響から、前記影響は更に深刻なものとなっている。
【0003】
その一つとして、シカによる樹木の食害の問題がある。日本全国の山林で、スギやヒノキ、マツなどの樹木の樹皮がシカによって食べられ、或いはシカの角こすりによって剥がされるという被害(これらをまとめて「樹皮食害」と呼ぶ)が非常に深刻な問題となっている。
【0004】
樹皮食害を受け、樹幹の一部でも樹皮が剥がれた樹木は、当該樹木内に腐朽菌が進入して材質を悪化させてしまうので、樹木の商品価値が極端に下がってしまう。また、幹の全周にわたって樹皮が剥がされるなど、被害範囲が大きい場合には、当該樹木が枯死してしまう。したがって、このような樹木に対する食害は、林業経営者らにとって非常に重大な問題である。
【0005】
このような樹皮食害に対する対策としては、シカを殺処分にしたり、樹皮食害の発生する区域全体をフェンスで囲って野生動物が侵入できないようにしたり、忌避剤を樹木に塗布したり、あるいは樹木(樹幹)の周囲にさまざまな障害物を巻きつけたりして、樹皮食害の回避、低減が試みられてきた。
【0006】
しかしながら、殺処分については現状殺処分が間に合っておらず、樹皮食害は減っていない。また、自然との共生という観点からは、殺処分というのは好ましい手段とは言い難い。また、樹皮食害の発生する区域全体をフェンスで囲う方法では、長大な距離にわたってフェンスを延長する必要があり、コスト及び手間が膨大となる。さらに、忌避剤については効果持続期間が短く、また、すぐに鹿は当該忌避剤に慣れてしまう場合も多いので、やはり樹皮食害の低減には至らないというのが現状である。
【0007】
また、樹木の周囲に様々な障害物を巻きつけるという方法においては、例えば、下記特許文献1〜3に記載のものがある。すなわち、下記特許文献1においては、光反射性能を備えた保護テープを樹木の周囲に巻き付けるようにして、樹木を樹皮食害から守るための樹木保護テープ及び樹木保護方法が開示されている。また、下記特許文献2においては、透明または半透明の樹脂シートを、断面四角形以上の偶数角形状の筒体として折り畳み可能とし、その筒体の下端近傍に、切り起こしによって開口部を設け、これにより樹木を保護するようにしたツリープロテクタが開示されている。
【0008】
さらに、下記特許文献3には、繊維を構成要素とする生分解性を有する網状構造体と、この網状構造体を樹木にセットする、繊維を構成要素とする生分解性を有する紐状締結体とを具備する剥皮被害防護ネットが開示されている。
【0009】
上記各特許文献に記載の発明によれば、保護テープ等によって物理的に樹皮を覆うので、確かに一定の食害防止効果が得られるものと思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−276655号公報
【特許文献2】特開2000−262164号公報
【特許文献3】特開2004−229564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、山林における樹木の多くは山の斜面に植栽されており、このような樹木を確実に保護するためには、その根元部分、特に斜面の下側に位置する根元部分を好適に覆うなどして保護を図る必要がある。
【0012】
また、樹木の根元部分、特に地表面に現れた根張り部分は、複雑かつ不規則な凹凸形状を有しており、このような根張り部分についても、好適に覆うなどして保護を図る必要がある。
【0013】
しかるに、上記特許文献1〜3に開示された発明は、いずれも樹木の表面を覆う部材を樹木の周囲をその周方向に周回させるようにするものであるが、上記斜面の下側に位置する根元部分や、複雑かつ不規則な凹凸形状を有する根張り部分については、その形状に樹木の表面を覆う部材が沿うこと適わない。そのため、上記特許文献1〜3に開示された保護テープ等によって覆われていない樹木の表面部分が多く樹皮食害の被害に遭っている。上述のとおり、樹皮食害により樹幹の一部でも樹皮が剥がれた樹木は、当該樹木内に腐朽菌が進入して材質を悪化させてしまうので、樹木の商品価値が極端に下がってしまう。それゆえ、相変わらず樹皮食害の損害は甚大となっているのが現状である。
【0014】
尚、この点、上記特許文献1〜3に開示された樹木の表面を覆う部材においても、それを細かく切って張り合わせるなどして、樹木の根元部分の形状に沿うようにすることも不可能ではない。しかしながら、山林に植栽された膨大な数の樹木の一本一本に、そのような手段を講じることは、多大なる労力を必要とし、非現実的である。
【0015】
そこで、上記のような課題を克服すべく、本発明者は、食害を及ぼす野生動物の多くが足に何かが絡まるのを嫌うという習性を持つことに着目し、これを利用することによって野生動物を樹木に近づけないようにすることが可能であることを見出した。すなわち、本発明は、野生動物の習性を利用し、簡単な構成で、食害を及ぼす野生動物を樹木に近づけないようにして、樹木の表皮を物理的に完全に覆わなくとも樹幹の樹皮、特に樹木の根元部分の樹皮をシカなどの野生動物による食害から守ることのできる樹木の根元保護具および樹木の根元保護方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するため、本発明に係る樹木の根元保護具は、樹木の周囲に巻回可能な周回部材と、前記周回部材から垂下する複数の垂下部材とからなり、前記垂下部材は、柔軟性のある細長いテープ状部材により構成されることによって、風などの外力により揺動するようになされると共に、その先端側が地面を這うように配することが可能なようになされたことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る樹木の根元保護具によれば、周回部材から垂下する複数の垂下部材を備え、当該垂下部材を柔軟性のある細長いテープ状部材により構成したことで、樹木が山の斜面に立っている場合でも、また樹木の根元(根張り部分)が複雑な凹凸形状を有している場合でも、樹木の根元部分を好適に覆って保護することが可能となる。また、垂下部材が風などの外力によって揺動し、かつその先端側が地面を這うように配されることにより、必ずしも樹木の表皮全体を完全に覆わなくともシカなどは恐れて近づかないので忌避効果があり、これによって樹皮食害を防ぐことが可能となる。すなわち、多くの野生動物は、何かが足に絡まるのを嫌うので、揺動する細長いテープ状部材を警戒して樹木に近づかない。特に、シカなどの偶蹄目の動物は、蹄の隙間に異物が挟まることを嫌うため、地面に這う何本もの細長いテープ状部材が蹄の隙間に挟まるのを恐れて近寄らない。それゆえ、必ずしも樹木の表皮全体を完全に覆わなくてもシカなどに対する忌避効果があるので、樹皮食害を防ぐことが可能となる。
【0018】
また、本発明に係る樹木の根元保護具において、前記垂下部材は、生分解性樹脂により形成されているようにしてもよい。このようにすれば、いったん設置した樹木の根元保護具を回収する必要がなく、かつ自然環境を害する恐れもない。
【0019】
さらに、本発明に係る樹木の根元保護方法は、上記樹木の根元保護具、すなわち樹木の周囲に巻回可能な周回部材と、前記周回部材から垂下する複数の垂下部材とからなり、前記垂下部材は、柔軟性のある細長いテープ状部材により構成され、風などの外力により、揺動するようになされた根元保護具を用いた樹木の根元保護方法であって、周回部材は、樹幹の根元近傍に周回され取り付けられるとともに、垂下部材は、その先端側が地面を這うように配されるようにしたことを特徴とする。
【0020】
本発明の樹木の根元保護方法によれば、周回部材から垂下する複数の垂下部材を備え、当該垂下部材を柔軟性のある細長いテープ状部材により構成したことで、樹木が山の斜面に立っている場合でも、また樹木の根元(根張り部分)が複雑な凹凸形状を有している場合でも、樹木の根元部分を好適に覆って保護することが可能となる。
【0021】
また、垂下部材が柔軟性のある細長いテープ状部材で構成されており、垂下部材が風などの外力によって揺動し、かつその先端側が地面を這うように配されることにより、必ずしも樹木の表皮全体を完全に覆わなくともシカなどは恐れて近づかないので忌避効果があり、これによって樹皮食害を防ぐことが可能となる。すなわち、多くの野生動物は、何かが足に絡まるのを嫌うので、揺動する細長いテープ状部材を警戒して樹木に近づかない。特に、シカなどの偶蹄目の動物は、蹄の隙間に異物が挟まることを嫌うため、地面に這う何本もの細長いテープ状部材が蹄の隙間に挟まるのを恐れて近寄らない。それゆえ、必ずしも樹木の表皮全体を完全に覆わなくてもシカなどに対する忌避効果があるので、樹皮食害を防ぐことが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
以上のとおり、本発明に係る樹木の根元保護具によれば、周回部材から垂下する複数の垂下部材を備え、当該垂下部材を柔軟性のある細長いテープ状部材により構成したことで、樹木が山の斜面に立っている場合でも、また樹木の根元(根張り部分)が複雑な凹凸形状を有している場合でも、樹木の根元部分を好適に覆って保護することが可能となる。また、垂下部材が風などの外力によって揺動し、かつその先端側が地面を這うように配されることにより、必ずしも樹木の表皮全体を完全に覆わなくともシカなどは恐れて近づかないので忌避効果があり、これによって樹皮食害を防ぐことが可能となる。すなわち、多くの野生動物は、何かが足に絡まるのを嫌うので、揺動する細長いテープ状部材を警戒して樹木に近づかない。特に、シカなどの偶蹄目の動物は、蹄の隙間に異物が挟まることを嫌うため、地面に這う何本もの細長いテープ状部材が蹄の隙間に挟まるのを恐れて近寄らない。それゆえ、必ずしも樹木の表皮全体を完全に覆わなくてもシカなどに対する忌避効果があるので、樹皮食害を防ぐことが可能となる。
【0023】
また、本発明に係る樹木の根元保護方法によれば、周回部材から垂下する複数の垂下部材を備え、当該垂下部材を柔軟性のある細長いテープ状部材により構成したことで、樹木が山の斜面に立っている場合でも、また樹木の根元(根張り部分)が複雑な凹凸形状を有している場合でも、樹木の根元部分を好適に覆って保護することが可能となる。また、垂下部材が柔軟性のある細長いテープ状部材で構成されており、垂下部材が風などの外力によって揺動し、かつその先端側が地面を這うように配されることにより、必ずしも樹木の表皮全体を完全に覆わなくともシカなどは恐れて近づかないので忌避効果があり、これによって樹皮食害を防ぐことが可能となる。すなわち、多くの野生動物は、何かが足に絡まるのを嫌うので、揺動する細長いテープ状部材を警戒して樹木に近づかない。特に、シカなどの偶蹄目の動物は、蹄の隙間に異物が挟まることを嫌うため、地面に這う何本もの細長いテープ状部材が蹄の隙間に挟まるのを恐れて近寄らない。それゆえ、必ずしも樹木の表皮全体を完全に覆わなくてもシカなどに対する忌避効果があるので、樹皮食害を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る樹木の根元保護具の一実施形態を示す説明図であり、当該根元保護具を樹木に取り付けた状態を示す正面図である。
【図2】図1の樹木の根元保護具を展開した図である。
【図3】本発明に係る樹木の根元保護具の別の一実施形態を示す説明図である。
【図4】本発明に係る樹木の根元保護具の更に別の一実施形態を示す説明図である。
【図5】本発明に係る樹木の根元保護具における垂下部材の別の一実施形態を示す図である。
【図6】本発明に係る樹木の根元保護具における垂下部材の更に別の一実施形態を示す図である。
【図7】図1の樹木の根元保護具を山の斜面に設置した状態を示す説明図である。
【図8】図2に示す樹木の根元保護具の別の使用状態を示す説明図である。
【図9】図2に示す樹木の根元保護具の更に別の使用状態を示す説明図である。
【図10】図2に示す樹木の根元保護具の更に別の使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明に係る樹木の根元保護具1の一実施形態を示す図であり、樹木Wの根元近くに根元保護具1を取り付けた状態を示している。この実施形態における根元保護具1は、図2に示すように、周回部材2と複数の垂下部材3より構成されている。そして、この周回部材2が樹木Wの樹幹の周囲に巻回され取り付けられることにより、この根元保護具は、図1のような使用状態となされるものである。
【0027】
この実施形態における周回部材2は、乳酸系ポリマーを主成分とする生分解性の樹脂材料からなり、細長いテープ状に形成され、柔軟性を備えたものである。この周回部材2を形成する材料は、上記生分解性の樹脂材料のほか、合成樹脂、ゴム、金属などであって、樹木Wの周囲に巻回することが可能な程度に柔軟性を備えていれば、任意の材料を選択して用いることが可能である。ただし、生分解性の材料を用いる場合には、いったん根元保護具1を設置すれば、これを回収する必要がなく、かつ環境への悪影響を及ぼさないので、そのような材料を用いるのが望ましい。
【0028】
また、この実施形態における垂下部材3は、周回部材2と同じく乳酸系ポリマーを主成分とする生分解性の樹脂材料により細長いテープ状に形成され、所定の柔軟性を備えたものとなされている。この垂下部材3を形成する材料としては、上記生分解性の樹脂材料のほか、合成樹脂、ゴム、金属などであって、所定の柔軟性を備えていれば、任意の材料を選択して用いることが可能である。ただし、生分解性の材料を用いる場合には、いったん根元保護具1を設置すれば、これを回収する必要がなく、かつ環境への悪影響を及ぼさないので、やはりそのような材料を用いるのが望ましい。
【0029】
この垂下部材3は、周回部材2から垂下するように構成される。垂下部材3は、接着剤等の取り付け手段によって、周回部材2に取り付けられるようにしてもよいし、あるいは周回部材2と一体的に形成されるようにしてもよい。なお、周回部材2と垂下部材3は、同じ原材料で形成されるようにしてもよく、あるいはそれぞれ別の原材料によって形成されるようにしてもよい。また、周回部材2及び垂下部材3は、例えばいったん使用された梱包用バンドや各種樹脂シートなどを再加工(リサイクル)して使用することも可能である。
【0030】
樹木の根元保護具1は、この実施形態においては、周回部材2を樹幹Wの周囲に巻回するとともに、その両端部2a,2a同士を接着剤により結合して、樹木の根元近くに取り付けられている。周回部材2の内側面、すなわち樹幹の表皮と接する面には、複数箇所に凹凸が形成され、これにより樹幹Wの表皮に対して滑り止めになるようになされている。この滑り止めに関しては、前記のほか、例えば周回部材2の内側面に粘着性の部材を付与するようにしてもよく、或いは周回部材2をゴムなどその長手方向に伸縮自在な部材で構成するようにしてもよい。無論、この滑り止めのための手段は、これらに限られるものではない。
【0031】
また、周回部材2は、この実施形態においては1本のみの構成としているが、上下2段に(すなわち2本)設けるようにしてもよい(図3参照)し、あるいはそれ以上の本数にしてもよい。その場合、上下2段の周回部材2は、それぞれ別の原材料で形成するようにしてもよく、また別の形状のものとすることもできる。
【0032】
垂下部材3は、この実施形態においては上述のような構成であり、樹木の根元の形状に沿うようにして変形し、また風などの外力を受けると軽く揺動する程度の柔軟性を備えるとともに、必要以上に揺れない程度の剛性(腰の強さ)を備えているものとなされている。垂下部材3の幅や厚みなどは、前記の条件を満たしていれば任意に設定してよいが、シカなどの動物が嫌がる程度、すなわちシカなどの動物の蹄の隙間に挟まる可能性がある程度に、細く、或いは薄いものとして形成するのが好ましい。
【0033】
垂下部材3は、この実施形態においては周回部材2から垂直に垂れ下がる直線状のものとしているが、例えば図4に示すように、周回部材2から斜めに垂れ下がる直線状のものとすることもできる。また、図5に示すように波状(曲線状)のものとしてもよいし、図6に示すような螺旋形状のものとしてもよく、あるいはその他の形状としてもよい。このようにすれば、より野生動物の足に絡まりやすくなり、忌避効果が高くなる。さらに、垂下部材3に忌避剤を練り込んだり、塗布したりするようにしてもよい。すなわち、カプサイシンなど、動物が嫌がる忌避剤を垂下部材3に練り込み、あるいは垂下部材3の表面に塗布したりすれば、より一層有効な樹皮食害の防止が可能となる。また、垂下部材3を野生動物の嫌がる色(例えばシカに対しては黄色など)に着色するようにしてもよい。このようにすれば、より一層忌避効果を高めることが可能となる。
【0034】
また、垂下部材3は、その先端部分が地面に這うように設置されている。多くの野生動物は、足に何かが絡まるのを嫌うので、複数の垂下部材3が地面を這っている範囲には野生動物が近づかない。特に、上述したように、シカなどの偶蹄目の動物は、蹄の隙間に異物が挟まるのを嫌うため、地面に這う何本もの細長いテープ状部材が蹄の隙間に挟まるのを恐れて近寄らない。それゆえ、必ずしも樹木の表皮全体を完全に覆わなくてもシカなどに対する忌避効果があるので、樹皮食害を大きく減少させることが可能となる。
【0035】
以上のように構成することで、樹木の根張り部分の形状を問わず、また、樹木が山間部の斜面途中に立っている場合でも(図7参照)、垂下部材3が当該根張り部分を好適に覆い、樹皮食害を防止することが可能となる。
【0036】
図8は、図1における樹木の根元保護具1の別の使用状態を示す図である。図1の使用状態においては、保護具1の周回部材2を直接樹幹に取り付けているが、図8の使用状態においては、樹木Wの周囲に複数の支柱Pを立設し、当該支柱Pに保護具1の周回部材2を取り付けて、これにより保護具1を樹幹の周りに周回させるようにしている。
【0037】
また、図9は別の使用状態を示すものであり、樹木の根元近くに本発明の根元保護具1を取り付けるとともに、その上側に従来型の防獣ネットNを設置している。このようにすれば、樹皮食害をより好適に防止することが可能となる。この点、例えば下側に本発明に係る根元保護具1を設置し、その上側に上記特許文献1〜3に記載の保護テープや防護ネットを設置するようにしてもよい。さらに、図10に示すように、本発明に係る樹木の根元保護具1を上下に複数段(図10においては2段)備えるようにしてもよい。
【0038】
以上、本発明に係る樹木の根元保護具について、実施形態を例示して説明したが、本発明は、むろん上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々に形態等を変更することが可能なものである。
【符号の説明】
【0039】
1 樹木の根元保護具
2 周回部材
3 垂下部材
W 樹木(樹幹)
P 支柱




【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹木の周囲に巻回可能な周回部材と、
前記周回部材から垂下する複数の垂下部材とからなり、
前記垂下部材は、柔軟性のある細長いテープ状部材により構成されることによって、風などの外力により揺動するようになされると共に、その先端側が地面を這うように配することが可能なようになされたことを特徴とする樹木の根元保護具。
【請求項2】
垂下部材は、生分解性樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1記載の樹木の根元保護具。
【請求項3】
請求項1に記載の樹木の根元保護具を用いた樹木の根元保護方法であって、
周回部材は、樹幹の根元近傍に周回され取り付けられるとともに、
垂下部材は、その先端側が地面を這うように配されるようにしたことを特徴とする樹木の根元保護方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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