説明

樹枝状ポリウレタンコーティング

本明細書に記載の発明は、表面保護樹枝状ポリマーコーティング組成物及びそれにより形成される架橋された表面保護コーティングに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面用ポリマー保護コーティングに関する。特に本発明は、塗装表面用クリアポリマー保護コーティングに関し、かかる塗装表面は自動車用、船舶用、航空機用及び産業用等で見出されるが、これに限られるものではない。
【背景技術】
【0002】
表面、特に環境に曝露される塗装表面は、水、雪、氷、熱、汚れ、スモッグ、湿気、鳥の糞、煤、塩、化学腐食及び酸性雨等の要因により損なわれうる。自動車、船及び飛行機の塗装表面に関しては特にそうである。塗装表面はまた、表面洗浄で生じる細かい引っかき傷及び日光への長期曝露で生じる紫外線劣化による、光沢の減少にさらされうる。
【0003】
もちろん上述の問題は、製品が恒常的に環境に曝露されている産業の当業者にはよく知られている。例えば自動車産業では、自動車塗装に与える環境曝露の影響を緩和するため、塗装表面上に保護クリアコートを適用するのが普通である。自動車産業で用いられているクリアコートのほとんどが、ポリアクリル/メラミン樹脂をベースとする熱硬化性アクリル(thermosetting acrylic、TSA)を含むアクリル、ゲルコートエポキシ又は利用が増加しつつある1成分及び2成分ポリウレタン液体及び粉体コーティングのいずれかである。しかしながら、これら及び他の従来のコーティングは依然として、洗浄及び保守、天候、環境条件、製造及び流通プロセス並びに、さらに言えば、通常の使用の結果として、引っかき傷、剥がれ傷又は他の損傷をかなり受けやすい。
【0004】
必要とされるのは、表面、特に塗装表面を、現存の技術よりも十分に保護する、改良された保護コーティングである。本願はかかるコーティングを提供する。
【発明の概要】
【0005】
したがって、態様の1つにおいて本発明は、第1及び第2の成分が混合されて形成される表面保護コーティング組成物であって、
前記第1の成分が、
架橋性官能基を含む約32〜約128の末端官能性を有する樹枝状ポリマー;
任意で、架橋性官能基を含み、約2〜約6の末端官能性を有するアクリル化合物;
任意で、架橋性官能基を含むポリマー及び/又は架橋性官能基を含むフルオロ界面活性剤に任意で被包される複数の金属酸化物ナノ粒子;
任意で、立体障害アミン光安定剤;
任意で、UV吸収剤;
任意で、架橋触媒;及び
前記の物質を溶解させる又はナノ粒子の場合には分散させる、第1の実質的に無水の溶媒を含み、
前記第2の成分が、
架橋剤;及び
第1の実質的に無水の溶媒と同じでも異なっていてもよい、第2の実質的に無水の溶媒を含む組成物に関する。
【0006】
本発明の態様の1つにおいて、第1及び第2の成分は、コーティングの表面への適用前約2時間以内に混合される。
【0007】
本発明の態様の1つにおいて、架橋剤がブロッキングされているか、架橋触媒がブロッキングされているか、又は架橋剤及び架橋触媒の両方がブロッキングされており;且つ、コーティング組成物の初期調製の時点から、コーティング組成物の基材表面への塗着直前までの任意の時点で第1及び第2の成分が混合されてコーティング組成物が形成される。
【0008】
本発明の態様の1つにおいて、架橋性官能基はヒドロキシル基であり;第1及び第2の実質的に無水の溶媒は、極性非プロトン性溶媒であり;且つ、複数の金属酸化物ナノ粒子は採用されない。
【0009】
本発明の態様の1つにおいて、樹枝状ポリマーはBOLTORN H-40(登録商標)である。
【0010】
本発明の態様の1つにおいて、第1及び第2の実質的に無水の溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、ポリプレングリコールメチルエーテルアセテート及びそれらの混合液からなる群から独立に選択される。
【0011】
本発明の態様の1つにおいて、第1及び第2の実質的に無水の溶媒は、実質的に無水のアセトンである。
【0012】
本発明の態様の1つにおいて、アクリル化合物が採用される場合には、それはアクリルポリオールである。
【0013】
本発明の態様の1つにおいて、アクリルポリオールはG-CURE 108BL70(登録商標)である。
【0014】
本発明の態様の1つにおいて、立体障害アミン光安定剤が採用される場合には、それはTINUVIN 292(登録商標)及びTINUVIN 123(登録商標)からなる群から選択される。
【0015】
本発明の態様の1つにおいて、UV吸収剤が採用される場合には、それはTINUVIN 1130(登録商標)及びTINUVIN 384-2(登録商標)からなる群から選択される。
【0016】
本発明の態様の1つにおいて、架橋剤はポリイソシアネート又はブロッキングされたポリイソシアネートである。
【0017】
本発明の態様の1つにおいて、ポリイソシアネートはDESMODUR N-3300(登録商標)である。
【0018】
本発明の態様の1つにおいて、ブロッキングされたポリイソシアネートはDESMODUR BL 3272(登録商標)である。
【0019】
本発明の態様の1つにおいて、架橋触媒はジブチルスズ化合物である。
【0020】
本発明の態様の1つにおいて、ジブチルスズ化合物はジブチルスズジアセテートである。
【0021】
本発明の態様の1つにおいて、架橋剤はメラミンホルムアルデヒド樹脂である。
【0022】
本発明の態様の1つにおいて、メラミンホルムアルデヒド樹脂は、CYMEL 303(登録商標)、RESIMENE 747(登録商標)及びRESIMENE 755からなる群から選択される。
【0023】
本発明の態様の1つにおいて、架橋触媒は強酸である。
【0024】
本発明の態様の1つにおいて、強酸はスルホン酸である。
【0025】
本発明の態様の1つにおいて、スルホン酸はp−トルエンスルホン酸及びドデシルベンジルスルホン酸からなる群から選択される。
【0026】
本発明の態様の1つにおいて、架橋触媒はブロッキングされた強酸である。
【0027】
本発明の態様の1つにおいて、ブロッキングされた強酸はNACURE 5225(登録商標)である。
【0028】
本発明の態様の1つにおいて、樹枝状ポリマーはBOLTORN H-40であり;アクリル化合物はG-CURE 108BL-70であり;複数の金属酸化物ナノ粒子は採用されず;立体障害アミン光安定剤はTINUVIN 292(登録商標)であり;UV吸収剤はTINUVIN 384-2(登録商標)であり;架橋触媒はジブチルスズ触媒であり;架橋剤はポリイソシアネート又はブロッキングされたポリイソシアネートであり;且つ、第1及び第2の実質的に無水の溶媒は、実質的に無水のアセトン、実質的に無水のメチルエチルケトン及び実質的に無水のプロピレングリコールメチルエーテルアセテートからなる群から独立に選択される。
【0029】
本発明の態様の1つにおいて、前記組成物中のポリイソシアネートはDESMODUR N-3300(登録商標)である。
【0030】
本発明の態様の1つにおいて、前記組成物中のブロッキングされたポリイソシアネートはDESMODUR BL 3272(登録商標)である。
【0031】
本発明の態様の1つにおいて、樹枝状ポリマーはBOLTORN H-40であり;アクリル化合物はG-CURE 108BL-70であり;複数の金属酸化物ナノ粒子は採用されず;立体障害アミン光安定剤はTINUVIN 292(登録商標)であり;UV吸収剤はTINUVIN 384-2(登録商標)であり;架橋触媒は強酸であり;架橋剤はCYMEL 303(登録商標)、RESIMENE 747(登録商標)及びRESIMEN 755(登録商標)からなる群から選択され;且つ、第1及び第2の実質的に無水の溶媒は、実質的に無水のアセトン、実質的に無水のメチルエチルケトン及び実質的に無水のプロピレングリコールメチルエーテルアセテートからなる群から独立に選択される。
【0032】
本発明の態様の1つにおいて、前記組成物中の強酸はp−トルエンスルホン酸及びドデシルベンジルスルホン酸からなる群から選択される。
【0033】
本発明の態様の1つにおいて、樹枝状ポリマーはBOLTORN H-40であり;アクリル化合物はG-CURE 108BL-70であり;複数の金属酸化物ナノ粒子は採用されず;立体障害アミン光安定剤はTINUVIN 123(登録商標)であり;UV吸収剤はTINUVIN 384-2(登録商標)であり;架橋触媒はNACURE 5225(登録商標)であり;架橋剤はCYMEL 303(登録商標)、RESIMENE 747(登録商標)及びRESIMENE 755(登録商標)からなる群から選択され;且つ、第1及び第2の実質的に無水の溶媒は、実質的に無水のアセトン、実質的に無水のメチルエチルケトン及び実質的に無水のプロピレングリコールメチルエーテルアセテートからなる群から独立に選択される。
【0034】
本発明の態様の1つは、本願請求項1に記載の表面保護コーティングを含む表面である。
【0035】
本発明の態様の1つは、少なくとも表面の一部に本願請求項1に記載の表面保護コーティング組成物を塗着させること及び塗着させた表面保護コーティング組成物を硬化させることを含む、表面上の表面保護コーティングの形成方法である。
【0036】
本発明の態様の1つにおいて、硬化させることは塗着させた表面保護コーティング組成物を熱することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0037】
発明の詳細な記述
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1A−1B】本発明のコーティング組成物の自浄作用を示す図である。
【0039】
表の簡単な説明
表1は、本発明の表面保護コーティングの典型例であるZYVERE(登録商標)を現在市販されているコーティングと比較した実験室試験結果の要約である。
【0040】
考察
そうでないことが明示的に述べられていない限り、本明細書における単数形の使用は複数を含み、逆もまた同様である。すなわち、「a」及び「the」は、「a」又は「the」に続くものが何であれ、1又は2以上のものであることを指す。本願に見られる具体的ではあるがこれに限定されない例として、「架橋性官能基(a cross-linkable functional group)」又は「架橋性官能基(the cross-linkable functional group)」は、少なくとも2つのかかる基を指す(さもなければ架橋は不可能であろう)。同様にして、これに限定するものではないが、「溶媒(solvents)」及び「成分(components)」等の語は、そうでないことが明示的に述べられていない限り、又は、そのようには意図されていないことが文脈から自明でない限り、複数の溶媒又は成分のみならず、1つの溶媒又は成分をも指すだろう。
【0041】
本明細書における用法で、「実質的な」又は「実質的に」により修飾される条件又は事象は、その条件又は事象が、修飾されていない語句が示唆するであろうものとは精確又は完全には一致しないかもしれない一方で、そうしたものが存在すると称することを保証するほど十分に近似していると当業者がその条件又は事象をみなすであろうことを意味する。したがって、例えば本発明の目的にそって「実質的に無水」とは、現在の技術を鑑みて経済的に可能な範囲でできる限り水を除去するよう溶媒を処理することを意味する。すなわち、ある程度のごく少量の水が残存していてもよく、それでも当業者はその溶媒を「無水」とみなすであろう。
【0042】
本発明の表面保護コーティング組成物の調製に使用される溶媒に関して言えば、「無水」であるとみなされるには、500百万分率(parts-per-million、ppm)未満の水、ここで好ましくは250ppm未満の水、ここで最も好ましくは100ppm未満の水のみを含有すべきである。
【0043】
「約(about)」又は「およそ(approximately)」等、近似を表す他の語は、数値又は範囲を記述するのに用いられる際には同様に、精確な数値とは異なる値又は精確な範囲の外にある値が、それでもその数値又は範囲の圏内にあると言えるほど十分に近似していると、当業者が容易にみなすであろうことを意味すると理解される。少なくとも「約」又は「およそ」は、ある数値又は範囲の終始点の±15%を意味すると理解されるだろう。
【0044】
本発明は、架橋された樹枝状ポリマー(又はデンドリマー)を含む表面保護コーティング及びその作製方法に関する。デンドリマーとは、ポリマーをほぼ球状の三次元構造へと倍数増加させる反復分岐シークエンシング(repetitive branching sequencing)により形成される、繰り返し分岐した、単分散の、通常は高度に対称的である化合物を指す。デンドリマーのデンドリマーたる性質ゆえに、この分子の外表面又は末端表面で環境に曝露した多数の末端基がもたらされる。「外(outer)」表面又は「末端(peripheral)」表面とは、この分子に付加されるデンドリマーの最終世代により形成される表面を指す。本発明の目的にそって、末端基は架橋性官能基であり、その数はデンドリマーの「末端官能性」として言及される。架橋性官能基の例に含まれるのは、これに限定されるものではないが、ヒドロキシル基(−OH)、スルフヒドリル基(−SH)、アミノ基(−NHR、Rは水素(第1級アミン)又は炭化水素(第2級アミン))、カルボキシ基(−C(O)OH)、及びそれらの誘導体、例えばこれに限定するものではないが、エステル基、アルデヒド基(−CHO)、エポキシ基
【0045】
【化1】

【0046】
さらに、エチレン(−CR=CR´−、R及びR´は独立に水素又は炭化水素)基との化合物等が架橋性官能基の例に含まれる。以上の各官能基や明記していない他の多くの官能基に適した架橋剤は、当業者によく知られており、本明細書において明示的に記載したり議論したりする必要はない。かかる架橋性官能基及び適した架橋剤の全てが、本発明の範囲内にある。組成物中に1を超える架橋性成分が含まれる実施形態において、かかる各成分上にある架橋性官能基は、各成分上の官能基の性質が精確に同じである必要は必ずしもないものの、同じ架橋剤と反応可能でなければならない。例えば、これに限定するものではないが、ヒドロキシル基及びアミノ基はどちらも、ポリイソシアネートを架橋剤として用いて架橋可能であり、それゆえ架橋性成分の1つ、例えばデンドリマーが、ヒドロキシル官能性である一方で、組成物の別の成分がアミノ官能性であることが可能である。しかしながら、本明細書に記載の組成物の各架橋性成分の架橋性官能基が同じである、例えば、全てヒドロキシル基、全てアミノ基等であることがここでは好ましい。
【0047】
ここで好ましい実施形態の1つにおいて、樹枝状ポリマーはヒドロキシル官能性である。これは、ヒドロキシル官能性樹枝状ポリマーが、どの程度の末端ヒドロキシル官能性を有してもよいようにヒドロキシル基を含む末端官能性であるが、それが約32〜約128であることがここでは好ましい。
【0048】
本明細書における用法では、「ヒドロキシル官能性の(hydroxyl functional)」及び「ヒドロキシル官能性(hydroxyl functionality)」とは、指示されている官能基と典型的に反応する試薬との反応のために多官能性分子上で利用可能な、かかる官能基のタイプ及び数を指す。例えば、樹枝状ポリマーに関して言えば、それはポリマーの第n世代上で利用可能な官能基の数を指す。したがって例えば、これに限定するものではないが、64のヒドロキシル官能性を有する樹枝状ポリマーは、ポリマーの外「表面」又は末端「表面」上に、ヒドロキシル基と反応する試薬との反応のために利用可能な64のヒドロキシル基を有するものと理解されるであろう。したがって、本明細書における用法でのヒドロキシル官能性は、末端官能性の具体例の1つである。
【0049】
いくつかの実施形態においてコーティングはまた、コーティングの有益な特徴をさらに向上させるための、分散したナノ粒子をも含む。ナノ粒子は、官能基がデンドリマーの官能基と反応するのと同じ試薬と反応可能な官能基を有する官能化ポリマーに被覆又は被包(これら用語は本明細書において互換的に用いられる)されていてもよい。このようにしてナノ粒子は架橋に参加し、樹脂コーティングの不可欠な一部となる。したがって、もしここで好ましいヒドロキシル官能性樹枝状ポリマーが、本発明のコーティングの調製における使用のために選択されるのであれば、ナノ粒子を被包するのに用いられるポリマーもまた、好ましくはヒドロキシル官能性である。ここでナノ粒子を被包するための好ましいヒドロキシル官能性ポリマーの1つは、ヒドロキシル官能性シリコンアクリルポリオールである。
【0050】
本明細書に記載のコーティング組成物は、2つの成分を組み合わせることにより形成され、うち一方の成分はヒドロキシル官能性樹脂前駆物質及び任意で追加成分を含み、他方の成分はヒドロキシル基と反応可能な架橋剤を含む。両成分を組み合わせるタイミングにより、得られるコーティング系のタイプが決定される。すなわち、もし2つの成分が組成物を表面上に塗着させる直前、好ましくは塗着前約2時間以内に組み合わされる、つまりは混合されるのであれば、そのコーティング系全体は当技術分野において一般に、2成分系、ツーポット(two-pot)系又は2K系と呼ばれる。他方で、もし2つの成分を、組成物を表面に塗着させる前のいつでも(貯蔵寿命を考慮して)組み合わせる又は混合することができるのであれば、かかる組合せにとってここで好ましい時点は、組成物の初期調製におけるステップとしてであり、つまりは、組成物が市販されるのであれば製造の時点であり、したがってコーティング系全体は、1成分系、ワンポット(one-pot)系又は1K系となる。もし系全体が2K系であるならば、2成分は組み合わされた際に、周囲条件下で硬化されても熱硬化条件下で硬化されてもよい。他方、系全体が1K系である場合、当業者によく知られた従来の処理方法を用いた熱硬化条件が一般に用いられる。当業者は、架橋剤(ブロッキングされていない又はブロッキングされた)及び/又は触媒(ブロッキングされていない強酸又はブロッキングされた強酸)の性質に応じていずれの系を用いるべきであるかを知っており、それに応じて硬化温度を調節するだろう。
【0051】
ここで好ましい架橋剤の1つはポリイソシアネートであり、これはヒドロキシル基と反応し、ウレタンを形成することができる。使用されうるまた別の架橋剤はメラミンホルムアルデヒド樹脂であり、これはヒドロキシル基と反応し、ヒドロキシル官能化基の性質に応じて様々な架橋基を形成することができる。本明細書に記載の組成物におけるヒドロキシル官能性デンドリマー及び他の任意のヒドロキシル官能性成分並びに架橋剤としてポリイソシアネートを使用する際には、組成物の2つの成分は、別々の容器又は同じ容器の別々の区画に入れて分けたままにすべきであり、使用の直前、好ましくは保護する表面上に塗着させる前およそ2時間以内に混合すべきである。これは上述の標準的な2K系である。
【0052】
ポリイソシアネートの例には、これに限定されるものではないが、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4´−ジイソシアネート、メチレンビス−4,4´−イソシアネートシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4´,4″−トリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、高次ポリイソシアネート(higher order polyisocyanates)、すなわち3を超えるイソシアネート基を有する化合物、及びこれらのいずれかによるイソシアヌレートが含まれる。これに限定するものではないが、本明細書に記載の2成分コーティング組成物を用いた2Kコーティング系の調製に有用なイソシアネートの一例は、DESMODUR N-3300(登録商標)である。
【0053】
その方が好ましいのであれば、本明細書に記載の表面保護組成物にブロッキングされていないポリイソシアネートを含めるのではなく、ブロッキングされたポリイソシアネートを用いることもでき、その場合には表面保護コーティング組成物の第1及び第2の成分を、コーティングの表面への適用前のいつ混合してもよい。もちろん、かかる1K系の実際の貯蔵寿命は、精確には保護される表面への塗着のどれだけ前に、本発明の第1及び第2の成分を混合してよいかを決定する要因の1つであろうが、こうした決定は十分当業者の能力の範囲内にあり、本明細書においてさらなる説明を必要とはしない。
【0054】
イソシアネートブロッキング基としての使用に適した基は、当技術分野においてよく知られており、全てが本発明の範囲内に収まる。かかる基には、これに限定するものではないが、アルコール、ラクタム、オキシム、マロン酸エステル、アルキルアセトアセテート、トリアゾール、フェノール及びアミンが含まれる。これに限定するものではないが、本明細書に記載の2成分コーティング組成物を用いた1K又は2Kコーティング系のいずれかの調製に有用なブロッキングされたイソシアネートの一例は、DESMODUR BL 3272(登録商標)である。
【0055】
本明細書に記載の組成物中で、ヒドロキシル官能性デンドリマー及び他のヒドロキシル官能性成分と共にメラミン架橋剤を使用する際には、ブロッキングされていない強酸又はブロッキングされている強酸のどちらを架橋触媒として用いてもよい。もしブロッキングされていない酸が用いられるのであれば、本発明の表面保護コーティング組成物は、表面上への組成物の塗着の直前、すなわち通常は塗着前約2時間以内に形成されるべきである。他方で、NACURE 5225(登録商標)等のブロッキングされた強酸が用いられる場合には、2つの成分はいつでも混合されうるのであり、ここでは好ましくは初期の通常の市販の組成物の調製ステップとして、すなわち組成物の製造の時点で混合され、その場合には組成物は、上述のブロッキングされたポリイソシアネート系と同様に、「1成分」系として市販されうる。
【0056】
本発明の様々な実施形態が、自動車の相手先商標製品製造(Original Equipment Manufacturing、OEM)仕上げ、自動車のアフターマーケット再仕上げ、自動車のアフターマーケットカスタム塗装、車両市場(fleet market)、産業機械及び設備、船舶再仕上げ、軍事、航空機及び消費者製品への応用を含めた諸応用における使用に適しているが、これに限られるものではない。コーティングは、長期間の光沢保持力、非常に高い撥水性、優れた耐引っかき性及び汚れ放出特性を有する、極めて硬い保護表面を提供する。コーティング表面は、完全に硬化したコーティング表面上を水滴が流れる際に、液滴が汚れや汚染物質を拾い上げてより清浄な表面を後に残すよう、自浄特性を有しうる。これらの特徴は、本発明のコーティング組成物に表面保護特性を付与するものであり、このコーティング組成物は「表面保護コーティング組成物」と呼ばれる。
【0057】
本発明のコーティングは、自動車産業で用いられているような現存の多目的保護コーティングに比して、いくつかの利点を有する。例えば、コーティング組成物前駆物質、すなわち、2つの成分が混合されてはいるが、まだ硬化してはいない際に生じる組成物は、比較的高い固形物含有量(例えば、50〜65%)及び低粘性を有し、このことは組成物の基材上への適用を容易にする。さらに、硬化したコーティングは、これに限定されるものではないが、長期間にわたる耐候性、自浄的汚れ放出特性、超高耐引っかき性(ASTM D3363基準で6Hの鉛筆硬度と同程度)、高耐化学性(メチルエチルケトン(MEK)で1500回超こすっても表面損傷なし(ASTM D4752))、疎水性(水接触角90〜100度近く又はそれを超える)、高光沢性(ASTM D523基準で92.2)、優れた光沢保持力、及び長期間にわたるUV保護力を含めた独特の物理特性を有する。例えば、本発明の実施形態は、Ceramiclear(登録商標)(PPG社製、ペンシルベニア州ピッツバーグ)よりも高い耐引っかき性を有することが示されている。
【0058】
本明細書に記載のコーティング組成物は、ブラッシング、ディッピング、及び吹付けを含めた従来の自動車用塗装方法を用いて基材のベースコートに対し適用されてもよい。相手先商標製品製造者(Original Equipment Manufacturers、OEM)により従来使用されている、大量低圧(High Volume Low Pressure、HVLP)、少量低圧(Low Volume Low Pressure、LVLP)、圧搾空気吹付け及び静電吹付け装置を使用することができる。適用後、コーティング組成物を周囲空気又は熱硬化により硬化してもよい。
【0059】
本明細書に記載のコーティングの湿った膜構造は、厚さが約1〜約2ミル(25〜50ミクロン)の範囲でありえ、乾燥した膜構造は、約2〜約4ミル(50〜100ミクロン)の範囲でありうる。結果として生じたコーティングは、従来のコーティングに比して、独特の平滑化性、流動性及び耐たわみ性を有する高光沢性表面を生み出す。
【0060】
「湿った膜構造」とは、表面に吹き付けられた後に依然として液状で存在する組成物前駆物質を指す。組成物が硬化し硬くなったとき、それは「乾燥した膜構造」と呼ばれる。「平滑化性」とは、コーティングが平らになる又は一層平たい若しくはガラス状の表面になる際のことである。「流動性」とは、コーティングが吹き付けられ、表面上を容易に流動する際のことである。「耐弛み性」とは、コーティングが弛むことや流れ落ちることなしに垂直に吹き付けられた際のことである。本明細書に記載の組成物から生じるコーティングは、適用された際に垂直表面上でコーティングが弛む又は流れ落ちることを防ぐのに役立つナノ粒子ゆえに、優れた耐弛み性を示す。
【0061】
本発明のコーティングは、自浄作用(SELF-CLEANING ACTION(登録商標))を有する。これは、コートされる表面からの汚れ粒子の除去及び蓄積の減少を促進して水分を弾く、コーティングの能力を指す。この自浄作用は、従来のクリアコーティングを有する表面よりも洗浄及び保守が容易な、清浄なコーティング表面を生み出す。
【0062】
いかなる特定の理論にも囚われることなく、こうしたコーティング組成物の自浄作用は、本発明のコーティング表面に存在する酸化亜鉛ナノ粒子の光触媒特性に帰することができると考えられる。同時に、酸化亜鉛によるUV光の吸収はまた、UVにより引き起こされる基材劣化から表面を保護する。本明細書に記載のコーティングは、基材表面に汚れ放出特性を付与することもできる。この特性は、汚れ、煤、及び他の汚染物質が、十分に硬化したコーティングによりコートされた表面に付着することを減少させ、妨げる。加えて、汚れ、煤、塗料、又はインク等の望ましくない蓄積物又は残余物を、拭き取ることで比較的容易に除去することができる。これもまたいかなる特定の理論にも囚われることなく、この汚染放出特性は、少なくとも部分的にはコーティング組成物中の樹枝状骨格樹脂構造並びにシリコンポリアクリレート等のポリマーに被包された酸化アルミニウム及び酸化亜鉛ナノ粒子によるものでありうる。
【0063】
加えて、コーティング組成物はまた、チョーキングを無効化することにより、塗装表面上の色を回復することができる。「チョーキング」が生じるのは、コーティングが、時の経つにつれて風化又は日光による紫外線劣化することで、表面上で破断するときである。ナノ粒子及びナノ構造樹脂粒子(nano structured resin particles)は、紫外線劣化の結果として時の経つにつれてチョーキングが生じてきた劣化塗装を含めた、基材の細かな凹みに入りこむことが可能である。コーティング組成物は透明であり、抗黄変性を有する。
【0064】
コーティングの自浄特性はまた、少なくとも部分的には、本発明のコーティング組成物の疎水特性により生じるかもしれない。疎水性コーティングは、コートされた基材の水分を弾く。水滴は、玉となって十分に硬化した本発明の組成物から転げ落ちる傾向にある。液滴は表面上を移動する際に、汚れや他の表面上の汚染物質を拾い上げ、本明細書に記載のコーティングにさらに自浄特性を加えると考えられる。こうした現象の模式図が図1A及び図1Bに示されている。図1Aは、表面汚染物質を伴う露出表面上の水滴を示す。図1Bは、本発明の市販の実施形態であるZyvere(登録商標)ナノコーティングでコートされた表面上の水滴を示す。図1Bにおいて、液滴はコートされた表面を転がり落ちるにつれて、コートされた表面から表面汚染物質を取り去っていく。
【0065】
本発明のコーティングの疎水特性はまた、表面の洗浄及び保守を容易にする。例えば、コートされた基材の乾燥が促進され、「染み(spotting)」を減らす又はなくすことができる。酸化アルミニウムで処理された表面のナノ粒子はさらに、疎水性を高め、耐引っかき性を高める。疎水特性はまた、樹枝状骨格樹脂構造及び被包された酸化亜鉛ナノ粒子により促進される。
【0066】
従来のポリウレタン自動車用コーティングは、2〜6のヒドロキシル基というヒドロキシル官能性を有するアクリルポリオールを用いて合成される。このポリオールは、同様に2〜6のイソシアネート官能性を有するポリイソシアネートで硬化される。ジブチルスズ触媒は一般に、硬化時間を短縮するために用いられる。加えて典型的には、表面平滑化剤、流動添加剤、着色顔料、並びに流動、平滑化及び硬化時間の短縮を促進する様々な溶媒を含む他の添加剤が付加される。かかるポリオール及び架橋剤が、本発明の表面保護コーティング組成物を調製するために用いられてもよい。
【0067】
本発明のここで好ましい実施形態の1つにおいて、樹枝状ポリマーは、約32〜約128のヒドロキシル官能性を有する樹枝状ポリエステルである。樹枝状ポリエステルの分子量は、約5000〜約10000でありうる。特に、64の末端ヒドロキシル官能性を有するBOLTORN H-40(登録商標)がここで好ましい。ヒドロキシル官能性樹枝状ポリエステルは、2〜6のイソシアネート官能性を有するポリイソシアネート架橋剤を用いて架橋されうる。ここで好ましいポリイソシアネートの1つは、DESMODUR N-3300(登録商標)である。硬化時間を短縮するため、ジブチルスズ架橋触媒を用いることができる。ヒドロキシル官能性樹枝状ポリエステルはまた、メラミンホルムアルデヒド官能性を有する架橋剤及び強酸触媒又はブロッキングされた強酸触媒を用いて架橋されてもよい。
【0068】
ブロッキングされた又はブロッキングされていないポリイソシアネートと共に使用するための、多数の架橋触媒が利用可能であり、かかる触媒には、亜鉛N−エチル−N−フェニルジチオカルバメート、金属アセトニルアセテート、第4級アンモニウム塩、シクロヘキシルアミンアセテート、スズオクトエート、第2スズクロリド、ブチルスズトリクロリド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ビス(2−エチルヘキシル)スズオキシド、1,3−ジアセトキシテトラブチルスタノキセート(1,3-diacetoxy tetrabutyl stannoxate)、ジブチルジブトキシスズ、ビスマストリクロリド、第1スズオクトエート、ジルコニウムオクトエート、亜鉛ナイトレート、バリウムナイトレート、鉛ステアレート、ジメチルスズジクロリド、第1スズナフテート及びトリフェニルアンチモンジクロリドが含まれるが、これに限定されるものではない。しかしながら上述のように、ジブチルスズ架橋触媒、特にここではジブチルスズジアセテートが、好ましい架橋触媒である。
【0069】
ポリイソシアネート架橋剤に代わるものの1つは、例えば、これに限定するものではないが、CYMEL 303(登録商標)、RESIMENE 747(登録商標)又はRESIMENE 755等の、メラミンホルムアルデヒド樹脂架橋剤である。メラミンホルムアルデヒド樹脂による架橋は通常、強酸触媒を要する。本発明のコーティングの調製における使用のためにここで好ましい酸触媒は、有機酸、特に、やはりこれに限定するものではないが、p−トルエンスルホン酸又はドデシルベンジルスルホン酸等の有機スルホン酸である。
【0070】
本発明の2成分系の第1の成分を形成するために、樹枝状ポリエステルを、これに限定するものではないが、実質的に無水のアセトン、実質的に無水のメチルエチルケトン、実質的に無水のメチルn−アミルケトン、実質的に無水のエチレン又はプロピレングリコールn−プロピルエーテルアセテート及びそれらの混合液等の適切な溶媒に溶解させることができる。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態において、最終産物である樹脂組成物はまた、樹枝状ポリエステルに加えて、2〜6のヒドロキシル官能性を有するアクリルポリオールを含みうる。アクリルポリオールの付加は、コーティング組成物の硬度及び脆性を減少させる傾向にある。
【0072】
ここで好ましい実施形態において、コーティング組成物はまた、架橋されたコーティング組成物中に分散した金属ナノ粒子を含みうる。かかるナノ粒子の代表例には、これに限定するものではないが、酸化アルミニウム(Al)ナノ粒子及び/又は酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子が含まれる。酸化アルミニウムナノ粒子は、約10〜約500ナノメートル、ここで好ましくは約20〜約60nmの範囲の粒子サイズを有しうる。ここで好ましい酸化アルミニウムナノ粒子は、市販のNANOBYK 3610(登録商標)酸化アルミニウムナノ粒子である。同様に、酸化亜鉛ナノ粒子は、約10〜約500nmの範囲の粒子サイズを有しうるが、ここで好ましくは約50〜約70nmである。ここで好ましい酸化亜鉛ナノ粒子は、NANOBYK 3840(登録商標)酸化亜鉛ナノ粒子として同様に市販されている。Al及びZnナノ粒子は、本明細書の別の箇所に記載の所望の特性をコーティング組成物に付与する。本発明の実施形態の1つにおいて、ナノ粒子を溶媒中に分散させて懸濁液を形成しうる。ナノ粒子懸濁液をしかるのちに、上述の他の前駆物質成分を含有する溶液と組み合わせうる。組成物前駆物質成分及びナノ粒子を含むこの懸濁液をしかるのちに、架橋剤と組み合わせ、硬化後に最終的に、分散したナノ粒子を含有する高度に架橋されたポリウレタンコーティングが生じうる。
【0073】
本発明のここで特に好ましい実施形態の1つにおいて、アルミニウム及び亜鉛ナノ粒子はポリマーに被包されている。ポリマーは好ましくは、ナノ粒子に対する高度の接着性を示す。加えてポリマーは、選択される架橋剤で架橋可能な官能基を有しうる。例えば、もし選択される架橋剤がポリイソシアネート又はメラミンホルムアルデヒドであるならば、被包するポリマーはヒドロキシル官能性ポリマーでありうる。被包するポリマーはこのとき、架橋反応に参加可能であり、そのことによりナノ粒子を最終産物である架橋されたコーティング樹脂組成物中のデンドリマーに固着させる。ここで好ましいのは、これに限定するものではないが、BYK SILCLEAN 3700(登録商標)等のヒドロキシル官能性シリコンポリアクリレートである。被包された酸化アルミニウム及び/又は酸化亜鉛ナノ粒子により、コーティングの耐引っかき性が高まり、疎水性が向上し、自浄的表面特性が増加する。本発明のコーティングが酸化アルミニウムナノ粒子及び酸化亜鉛ナノ粒子の両方を含むことが、ここでは好ましい。
【0074】
本発明の実施形態のいくつかはまた、ヒドロキシル官能性フルオロカーボン、特にここでは、これに限定されるものではないが、ZONYL 8857A(登録商標)フルオロ界面活性剤(DuPont社製)等のヒドロキシル官能性フッ素化メタクリレートポリマーを含有する。ZONYL 8857A(登録商標)は、最終産物であるコーティングにさらなる撥油性及び撥水性並びにより高い洗浄可能性を提供する。本明細書で論じられている他のヒドロキシル官能性添加剤と同様に、ヒドロキシル官能性フルオロカーボンもやはり、選択される架橋剤がポリイソシアネートであろうと、メラミンホルムアルデヒド樹脂であろうと、又は他の適切な架橋剤であろうと、それと反応するので、最終産物である樹脂の架橋に参加する。フルオロ界面活性剤が採用される際には、樹脂総重量に対して重量で約0.2〜0.3%のフルオロ界面活性剤が付加されることがここでは好ましい。いくつかの実施形態において、ヒドロキシ官能性フルオロカーボンポリマーは、ヒドロキシ官能性シリコンポリアクリレートと共にコーティング組成物中に含まれる。他の実施形態において、それはヒドロキシ官能性シリコンポリアクリレートの代わりに用いられる。
【0075】
いくつかの実施形態において、障害アミン光安定剤(hindered amine light stabilizer、HALS)がコーティング組成物中に含まれうる。HALSは、ポリマーの光誘発性劣化に対処するための効率的な安定剤として当業者によく知られている。ここで好ましいHALSは、架橋が酸触媒反応性でない本明細書に記載のどの表面保護コーティング組成物中にも使用されうるTINUVIN 292(登録商標)及び架橋が酸触媒反応性である本明細書に記載の組成物中のTINUVIN 123(登録商標)である。
【0076】
いくつかの実施形態において、UV吸収剤が組成物中に含まれうるのであり、その例として挙げられるのは、これに限定されるものではないが、TINUVIN 1130(登録商標)及びTINUVIN 384-2(登録商標)である。
【0077】
上述の添加剤のそれぞれが、架橋剤を含有する第2の成分と組み合わされる前の、コーティング組成物の第1の成分中に含まれてもよい。もし1又は2以上のさらなる成分が選択される架橋剤と反応しないものとして知られる又は示されるのであれば、それが2成分系の第2の成分中に含まれてもよい。もちろん、もしコーティング系全体が1K系であるのなら、全ての成分が同じ混合液中で組み合わされうる。
【0078】
樹枝状ポリエステルにより架橋されたコーティングの耐引っかき性、耐候性、耐化学性、疎水性、表面硬度、及び耐UV性が高まる。樹枝状ポリマーは、高度に分岐した樹状構造を有し、その最外部の枝は、ここでの例で言えば複数のヒドロキシル基等、多数の反応性官能基を含みうる。これらのヒドロキシル基は、もしそれが組成物中に含まれるならアクリルポリオール、もしそれが組成物中に含まれるならフルオロ界面活性剤、及びヒドロキシ官能性ポリマーにコートされたAl及びZnナノ粒子のヒドロキシル基と共に、全てがポリイソシアネート架橋剤と反応して3次元樹脂構造をもたらしうる。結果として生じたデンドリマー含有樹脂構造は、アクリルジオール又はアクリルトリオール及びジイソシアネート又はポリイソシアネート架橋剤から合成される従来のポリウレタン自動車用コーティングよりもはるかに耐引っかき性及び耐候性の高いコーティングを生み出す。
【0079】
本発明の組成物は基本的には透明で、表面の外観に他の影響を与えることなくその保護に用いられうる一方で、本発明の実施形態のいくつかにおいては、様々な塗装顔料を樹脂組成物に付加し、着色面、つや消しの外観又は暗闇での発光効果をもたらしてもよい。
【0080】
本発明の架橋された樹枝状ポリウレタンクリアコーティングの典型例の1つは、下に示される反応混合液から形成されうる。この実施例は、例示のみを目的としており、どのような形であろうとも本発明の範囲を限定することを意図しておらず、そのように解釈されるべきでもない。
【0081】
「A側」及び「B側」なる指示は、本明細書に記載のコーティング組成物の別々の成分を指しており、これらは使用の際に、架橋剤及び/又は架橋触媒がブロッキングされていない場合には、別々の区画に収納されて使用の直前に混合されるだろう。他方で、第1及び第2の成分の前述の構成要素のいずれか又は両方がブロッキングされている場合には、第1及び第2の成分の全量を、表面上への塗着前のいつでも、実際のところ好ましくはコーティング組成物の製造の時点で組み合わせうる。
【0082】
a)約32〜約128のヒドロキシル官能性を有する高固形分(40〜60重量%)ヒドロキシル官能性ポリエステルデンドリマー(A側で使用)。樹枝状ポリエステルは、ナノ粒子がヒドロキシ官能性シリコンポリアクリレート及び/又はフルオロ界面活性剤でコートされていなければ、ナノ粒子の結合剤として作用しうる。樹枝状ポリエステルは、その粘性を減少させるアセトン又は他の適切な溶媒中に溶解しうる。アセトンはVOC規制免除(VOC exempt)溶媒である。アセトンは、nブチルアセテートの蒸発速度1と比較して3.8の高蒸発速度を有する無色溶媒である。
【0083】
b)2〜約6のヒドロキシル官能性を有する高固形分(40〜60重量%)ヒドロキシル官能性アクリルポリオール。(A側で使用)。
【0084】
c)適切な溶媒(例えば、これに限定するものではないが、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)中の、約20〜約40ナノメートルの平均粒子サイズを有する被包された酸化アルミニウムナノ粒子の分散又は懸濁。酸化アルミニウムナノ粒子は、2〜約4のヒドロキシル官能性を有するヒドロキシル官能性シリコンポリアクリレート及び/又はフルオロ界面活性剤中に被包される。(A側で使用)
【0085】
d)適切な溶媒(例えば、これに限定するものではないが、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)中の、約50〜約70nmの平均粒子サイズを有する被包された酸化亜鉛ナノ粒子の分散又は懸濁(A側で使用)。酸化亜鉛ナノ粒子もまた、2〜約4のヒドロキシル官能性を有する上述のヒドロキシル官能性シリコンポリアクリレート及び/又は上述のフルオロ界面活性剤に被包される。
【0086】
e)ジブチルスズジアセテートポリウレタン触媒(A側で使用)。
【0087】
f)立体障害アミン光安定剤(A側で使用)。
【0088】
g)ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾールUV吸収剤(A側で使用)。
【0089】
h)2〜約6のイソシアネート官能性を有する高固形分(40〜60重量%)ポリイソシアネート架橋剤(B側で使用)。従来のポリイソシアネートは、15〜20%のイソシアネート(NCO)含有量を有する。本発明の実施形態は、20%よりも多いNCO含有量を有するポリイソシアネートの使用を含む。
【0090】
架橋性組成物前駆物質(樹枝状ポリエステル、アクリルポリオール、ヒドロキシル官能性フルオロ界面活性剤、ヒドロキシ官能性シリコンポリアクリレート及びポリイソシアネート)は、下に述べるような処理技術を用いて組み合わされる。組み合わされた前駆物質から生じる組成物は、架橋前は低粘性溶液(又は、ナノ粒子が存在する場合には分散液)である。架橋後のコーティングは、高架橋密度クリアコーティングである。
【0091】
本発明のコーティングの機能及び特性全体は、以下の要因に依存する:使用される結合剤のタイプ、結合剤の濃度及び固形分レベル、分岐の度合及びタイプ、架橋の度合、官能性/反応性、NCO含有量、NCO/OH比、ヒドロキシル含有量、触媒のタイプ及び濃度、溶媒の選択及び性質、コーティング中の添加剤のタイプ、反応基の含有量並びに原材料の物理的状態。
【0092】
一般に、特定の反応物のヒドロキシル含有量が高いほど、コーティング組成物は硬くなり、その耐化学性は高くなる。逆に、ヒドロキシル含有量が低いほど、結果として生じる架橋されたコーティング組成物は柔らかくなり、その柔軟性は高くなる。一般に、分岐の度合が高いほど架橋密度が高くなり、結果として耐化学性、耐引っかき性、及び耐候性が高くなる。また一般に、ポリイソシアネート架橋剤のNCO含有量が高いほど、コーティング組成物は硬くなり、その耐化学性は高くなる。本明細書に記載の典型的な実施形態は高NCO含有であり、これは高度な柔軟性及び耐候性を有する高耐引っかき性コーティングを生み出す。
【0093】
ここで好ましいヒドロキシル官能性樹枝状ポリエステルは、これに限定するものではないが、2,2−ジメチロールプロピオン酸等のポリヒドロキシ−官能性エステルから調製される。樹枝状ポリエステル粒子のドメインサイズは、約1〜約20nmの範囲である。走査電子顕微鏡法(scanning electron microscopy、SEM)、小角中性子散乱法(small-angle neutron scattering、SANS)及び小角X線散乱法(small-angle X ray scattering、SAXS)による研究から、樹脂網の大部分を通して、これらのドメインの均一な3次元分布が存在することが観察されている。樹枝状官能性ポリエステルから合成された架橋されたコーティング組成物は、塗装された金属、塗装されたプラスチック表面、ガラス、ある種の裸プラスチック、ガラス繊維、及び他の材質を含む様々な基材に接着する。
【0094】
前述したように、「デンドリマー」なる用語は、樹状分岐構造を有するポリマーを指す。架橋を最大化し架橋されたコーティングの性能を最適化するため、反応物、すなわちヒドロキシル化合物及び架橋剤の化学量論比が用いられ、例えば、化学量論量のヒドロキシル官能性樹枝状ポリエステル、アクリルポリオール、ポリイソシアネート又はメラミンホルムアルデヒド樹脂及びヒドロキシ官能性シリコンポリアクリレート樹脂を反応させてもよい。選択される反応率は、使用されるポリイソシアネート樹脂の当量に相当する、樹枝状ポリエステル、アクリルポリオール及びヒドロキシ官能性シリコンポリアクリレートの当量から計算されうる。樹枝状ポリマーは、分岐のより少ない又は分岐のないポリマーよりも多数の反応基の存在を可能にする高度に分岐した構造により特徴付けられる。樹枝状ポリマーは、高分子量であっても処理を容易にする優れた流動特性をもたらす球状構造を有する傾向にある。反応基が高密度であることにより、広範にわたる最終用途のための特性のカスタマイズが容易となる。樹枝状ポリエステルは高度の分子均一性、比較的狭い分子量分布、特定のサイズ及び形状の特徴、並びに高度に官能化された末端表面又は末端基を有する。
【0095】
樹枝状ポリマーの合成には、中央開始核に始まる一連の反復ステップが含まれる。引き続く各成長ステップがポリマーの新「世代」を表し、この世代は前の世代より大きな分子直径、前の世代の2倍の反応表面部位、及び前の世代のおよそ2倍の分子量を有する。本発明の実施形態において使用される樹枝状ポリマーの典型例であるBOLTORN H-40(登録商標)は、64のヒドロキシル官能性を有する第4世代デンドリマーである。樹枝状ポリエステルの高密度分岐脂肪族構造及び高官能性は、低揮発性有機成分(volatile organic content、VOC)を有する溶媒を用いた合成を可能にし、反応混合液の迅速な乾燥を可能にする。樹枝状ポリエステルの高密度分岐脂肪族構造及び高官能性はまた、優れた耐引っかき性、優れた柔軟性、撥水性、及び優れた耐化学性を有する架橋された組成物の合成をも可能にする。
【0096】
本発明のコーティングの調製において、ヒドロキシル官能性樹枝状ポリエステルは、架橋された構成要素及びエラストマー架橋剤として使用される。本発明の高度に架橋されたポリウレタンを生み出すためにポリイソシアネートで架橋されたヒドロキシ官能性樹枝状ポリエステルを用いることによって、結果として生じる樹脂のガラス転移温度(glass transition temperature、Tg)が高められる傾向にある。典型的には、ガラス転移温度が高いほど、ショア硬さ試験(Shore-hardness test)等の方法で測定してコーディング表面は硬くなる。
【0097】
架橋を最大化し、架橋されたコーティングの性能を最適化するため、化学量論比のアクリルポリオール、ヒドロキシ官能性樹枝状ポリエステル、ヒドロキシ官能性シリコンポリアクリレート及び/又はフルオロ界面活性剤を、ポリイソシアネート又はメラミンホルムアルデヒド樹脂と反応させてもよい。反応率は、ヒドロキシ官能性樹枝状ポリエステル、アクリルポリオール及びヒドロキシ官能性シリコンポリアクリレートの当量、並びにポリイソシアネート又はメラミンホルムアルデヒド樹脂の当量から計算されうる。アクリル樹脂が、塗装、金属、木材、及びプラスチック上の高固形分クリアコートのために従来使用されている。
【0098】
典型的にはジブチルスズジアセテート(ここで好ましい)及びジブチルスズジラウレート等の触媒が硬化時間を短縮するため、2成分ポリウレタンコーティング中、特に脂肪族ポリイソシアネートを含有する2成分ポリウレタンコーティング中で使用される。ジブチルスズジアセテート、亜鉛オクトエート及びトリエチレンジアミン等の様々な他の化合物もまた、2成分コーティング及び1成分湿気硬化型の両方に適した触媒の選択肢として用いられうる。
【0099】
ナノ粒子は、コーティングの特性を複数の仕方で向上させうる。例えば、アルミナ及びシリカ等の硬い粒子がコーティング中に含まれる際には、耐引っかき性及び耐摩耗性を向上させることがよく知られている。しかしながら、直径数ミクロンの大きな粒子の使用は、例えばクリアコーティングの光沢性及び透明性が減少する可能性があり、且つ、コーティングの柔軟性又は強度が実質的に減少する可能性があり、望ましくない結果をもたらしうる。
【0100】
他方ナノ粒子は一般に、これらのネガティブな効果を有さず、したがってミクロンサイズの粒子に比して利点を有する。ナノ粒子とは、約1nm〜約500nmの寸法を有する粒子を指しうる。アルミナ及び亜鉛等のある種のナノ粒子は、抗引っかき性を向上させるが、他のコーティング特性に対して効果をほとんど又は全く有しない傾向にある。具体的には、コーティングの光沢性、透明性及び柔軟性は、ナノ粒子により変化しない又は実質的に影響を受けないことがありうる。
【0101】
ナノ粒子により生じるコーティング特性の向上は、コーティング中のナノ粒子の均一な又は実質的に均一な分散及び安定化により促進される。ナノ粒子は、液体有機担体中に良く分散された分散液として市販されているものを入手可能である。ナノ分散は、当業者に知られた方法を用いて中程度の剪断力を有するコーティング反応混合液に付加されうる。
【0102】
本明細書に記載の樹枝状ポリウレタンクリアコーティングは、アルミニウム及び亜鉛金属酸化物ナノ粒子を利用する。いくつかの実施形態において、粒子は一切又は実質的に一切凝集形成しない。これらの金属酸化物ナノ粒子は、物理蒸気合成(Physical Vapor Synthesis、PVS)法を用いて作製されうる。この方法において、高温の蒸気を発生させるためにアークエネルギーが固形前駆物質(典型的には金属)に適用される。しかるのちに反応ガスがこの蒸気に付加され、しかるのちに制御された速度で冷却され、凝縮してナノ粒子を形成する。PVS法により作製されるナノ物質は、一定の結晶化度を有する分散した無孔性又は実質的に無孔性の粒子を含む。この方法は典型的には、約8〜約75nmの範囲の平均サイズを有する粒子を生み出す。
【0103】
酸化アルミニウム及び酸化亜鉛ナノ粒子のいずれか又は両方を、架橋されたポリウレタンコーティング内に組み込むことにより、コーティング組成物の耐引っかき性及び硬度が向上する傾向にある。酸化アルミニウムナノ粒子は、約1〜約500nm、ここで好ましくは約20〜約40nmの、均一な又は実質的に均一な粒子サイズ分布を有しうる。酸化亜鉛ナノ粒子は、約1〜約500nm、ここで好ましくは約50〜約70nmの均一な又は実質的に均一な粒子サイズ分布を有しうる。ナノ粒子は、架橋された組成物の強化することで耐引っかき性を向上させうる。ナノ粒子は、反応混合液中にナノ粒子の分散液を含めることにより、ポリマー網全体に組み込まれうる。酸化アルミニウム又は酸化亜鉛ナノ粒子は、例えば、これに限定するものではないが、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート中の分散として用いられうる。プロピレングリコールメチルエーテルアセテートは、n−ブチルアセテートの約1の蒸発速度に比して、0.30の蒸発速度を有する無色溶媒である。プロピレングリコールメチルエーテルアセテートは、本明細書に記載の反応成分のための優れた溶解特性を有する。
【0104】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、表面処理された又はヒドロキシ官能性シリコンポリアクリレート樹脂及び/又はフッ素化メタクリレートポリマー(界面活性剤)内に被包されたものでありうる。ヒドロキシル官能性シリコンポリアクリレートは、コーティング組成物の樹脂網内へと架橋されうる。被包ポリマーの架橋は、コーティング組成物の表面の耐引っかき性を高め、疎水性を高めるよう作用しうる。加えて、組み込まれたナノ粒子は、コーティング組成物の自浄作用を生み出す又は増加させる。ナノ粒子によるコーティングの耐引っかき性の向上は、ナノ粒子がシリコンポリアクリレート及び/又はフッ素化メタクリレートポリマー(界面活性剤)中に被包される際に劇的に増強される傾向にある。シリコンポリアクリレート及び/又はヒドロキシル官能性フッ素化メタクリレート界面活性剤は、耐引っかき性及び耐摩耗性、長期にわたる疎水性、並びに滑り抵抗性及び耐傷性向上させることを含め、ナノ粒子の性能全体を大きく向上させる傾向にある。ナノ粒子は、光透過性、光沢性、色、又は他の物理的コーティング特性に顕著な影響を与えることなしに、長期にわたる耐引っかき性、耐傷性及び/又は耐摩耗性を提供しうる。これらの粒子は、低アスペクト比、広い表面積及び高化学純度並びに制御された表面化学的性質を有する。ナノ粒子は、分散能を向上させるためにシラン、シリコン又はフルオロ界面活性剤で被包されうる。ナノ粒子をヒドロキシル官能性シリコンポリアクリレート又はヒドロキシ官能性フッ素化メタクリレートポリマー(界面活性剤)で表面処理することにより、表面コーティングの性能を劇的に強化しうることが実験的に観察されている。
【0105】
酸化亜鉛ナノ粒子のコーティング組成物内への組込みは、コートされた基材のUV劣化を減少させる又は防止する傾向にあり、汚れがコーティング表面に接着することを減少させる又は防止する傾向にある。これらの効果は、酸化亜鉛ナノ粒子中の電子がUV光曝露により励起される、光触媒プロセスによる。この光触媒プロセスは、基材の黄変を減少させる又は防止する。酸化亜鉛分散液は、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートで希釈される。
【0106】
上で論じたように、ヒドロキシ官能性シリコンポリアクリレート及び/又はヒドロキシ官能性フッ素化メタクリレートポリマー(界面活性剤)は、酸化アルミニウム及び酸化亜鉛ナノ粒子を表面処理し、架橋されたポリマー網全体で疎水性、抗落書き、及び自浄的汚れ放出効果を生み出すために用いられうる。ヒドロキシ官能性シリコンポリアクリレート樹脂又はヒドロキシル官能性フッ素化メタクリレートポリマー(界面活性剤)は、本明細書に記載の他の反応成分と架橋し、疎水性及び汚れ放出特性を有する耐久性コーティングを生み出す。
[実施例]
【0107】
以下の実施例は、本発明の理解を助けるためにのみ提供されるのであって、どのような形であろうとも、本発明の範囲を限定することを意図するものでも、そのように解釈されうるものでもない。
【実施例1】
【0108】
実施例1は、2成分樹枝状ポリウレタンクリアコーティングの調製を例示する。パートAとは樹脂成分を指し、パートBとは架橋剤成分又は、本明細書の記載においてそれと互換的に述べられることがあるように、「活性化剤」成分を指す。パートA及びパートBは、1:1の体積比で混合される。
【0109】
ステップ1:パート(A)
200ml丸底密封フラスコに、BOLTORN H40(登録商標)ヒドロキシル官能性樹枝状ポリエステル(Perstorp Specialty Chemicals社製、スウェーデン、パーストープ)4〜6グラム及び無水アセトン12グラムを入れる。この物質を5〜10分間攪拌する。
【0110】
ステップ2:パート(A)
別の100ml丸底フラスコに、G CURE 108BL70(登録商標)(Cognis Polymers社製、オハイオ州シンシナティ)20〜30グラムを入れる。このフラスコを、パート(A)樹脂を作製するための基本混合容器として用いる。
【0111】
ステップ3:パート(A)
ステップ2に記載の100ml丸底フラスコを用いて、ステップ1に記載の樹枝状ポリエステル溶液15〜20グラムをこれに付加し、この混合液を40〜60秒間、樹枝状ポリエステル溶液が十分分散するまで攪拌する。
【0112】
ステップ4:パート(A)
ステップ3に記載の100ml丸底フラスコを用いて、ジブチルスズジアセテート(dibutyltin diacetate、DBTA、OMG Group社製、オハイオ州クリーブランド)0.25〜0.30グラムをこれに付加し、この混合液を40〜60秒間、触媒が溶液中に広がるまで攪拌する。
【0113】
ステップ5:パート(A)
別の50ml丸底フラスコに、NANOBYK 3610(登録商標)酸化アルミニウムナノ分散液(BYK Chemie社製、ドイツ、ヴェーゼル、10%酸化アルミニウムナノ粒子(20〜40nm)及び90%プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)3.5〜5.5グラムを入れる。しかるのちにこのフラスコに、酸化亜鉛ナノ分散液(NANOBYK 3840(登録商標)、BYK Chemie社製、ドイツ、ヴェーゼル、10%酸化亜鉛ナノ粒子(50〜60nm)及び90%プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)0.5〜0.8グラムを入れる。しかるのちに、BYK SILCLEAN 3700(登録商標)(BYK Chemie社製、ドイツ、ヴェーゼル)0.25〜0.7グラムをこれに付加し、この混合液を40〜60秒間、十分に分散するまで攪拌する。これらナノ粒子に対し高度の親和性を有するヒドロキシ官能性シリコンポリアクリレート樹脂をナノ粒子に付着させてそれを被包し、シリコンポリアクリレート殻を有するナノ粒子核構造を作製する。
【0114】
ステップ6:パート(A)
ステップ4に記載の100ml丸底フラスコを用いて、ステップ5に記載のナノ粒子分散溶液4〜6グラムをこれに付加し、これを40〜60秒間、ヒドロキシ官能性シリコンポリアクリレート表面処理されたナノ粒子の分散液が組み合わされた混合液全体によく分散するまで攪拌する。
【0115】
ステップ7:パート(A)
しかるのちにステップ6に記載の100ml丸底フラスコに、立体障害アミン光安定剤(TINUVIN 292(登録商標)、Ciba Specialty Chemicals社製、ニューヨーク州タリータウン)0.3〜0.5グラムを入れ、しかるのちにヒドロキシフェニル−ベンゾトリアゾールUV吸収剤(TINUVIN 1130(登録商標)、Ciba Specialty Chemicals社製、ニューヨーク州タリータウン)0.8〜0.3グラムを付加する。この混合液を40〜60秒間、これら物質が十分に分散するまで攪拌する。パートA樹脂結合剤溶液は完成である。ステップ7の溶液で、完成したパートB活性化剤溶液に1;1の体積比で付加される準備ができる。
【0116】
ステップ8:パート(B)
別の100ml丸底フラスコに、DESMOUR N-3300(登録商標)(Bayer Material Sciences社製、ドイツ、レーヴァークーゼン。DESMODUR N-100(登録商標)を用いてもよい)8〜15グラムを入れる。
【0117】
ステップ9:パート(B)
ステップ8に記載の100ml丸底フラスコに、粘性を下げるためにメチルエチルケトン又はアセトン15〜22グラムを入れる。しかるのちに、この混合液を40〜60秒間攪拌する。
【0118】
ステップ10:パート(B)
しかるのちに、ステップ9に記載の100ml丸底フラスコに、粘性を下げてコーティング組成物の蒸発速度を遅くするため、さらに0.30の蒸発速度を有するプロピレングリコールメチルエーテルアセテート3〜5グラムを入れる。しかるのちに、この混合液を40〜60秒間、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートが十分分散するまで攪拌する。
【0119】
ステップ11
ステップ7に記載の100ml丸底フラスコを用いて、ステップ10に記載の物質の全量(27〜32グラム)を、ステップ7に記載の物質46〜50グラムと混合し、40〜60秒間、組み合わされた混合液が十分に分散するまで攪拌する。ステップ11には、最終産物であるコーティング組成物のための原材料が全て含まれる。
【実施例2】
【0120】
以下の実施例は、樹枝状ポリウレタンナノ複合材料に基づくコーティングの適用のための情報である。ZYVERE(登録商標)はこのコーティングの実施形態の1つに相当する登録商標である。
【0121】
A.全般的な指示
活性化剤(架橋剤)は湿気に弱い。湿気の混入を避けるため、容器を密閉せよ。表面は完全に乾燥して湿気がない状態にすべきである。ZYVERE(登録商標)は、従来のベースコート塗装の上に適用されうる:
1.ZYVERE(登録商標)クリアナノコーティングの性能は、表面準備の度合に応じる。表面はコーティング前、非常に清浄で極度に乾燥していなければならない。汚れ、グリース、遊離粒子(loose particles)及びワックスは、適切な非水洗浄剤又はウレタングレード溶媒で除去せよ。
2.表面パネルはコーティング前に、ランダムオービタルサンダーに取り付けたP800グリット(grit)又はそれより細かい目の紙やすりでやすりがけするか、又はグレースコッチブライトパッド(gray scotch-brite pad)でやすりがけすべきである。
3.ステップ1を繰り返し、しかるのちに完全に表面を乾燥させて清浄なタッククロスで払え。
4.適切な基材(コーティング前にやすりがけされ、洗浄されなければならない):
OEMエナメル、ウレタンベースコート、単層ウレタン、アクリルエナメル、アクリルラッカー、ポリカーボネート、ガラス繊維、ガラス、セラミック及びほとんどの塗装されたプラスチック。
【0122】
B.2成分系の適用のための指示:
1.適切な接着を保証するため、1500〜2000グリットの紙やすり又は000スチールウールで表面を軽く水研ぎすべきである。
2.表面はコーティング前、非常に清浄で乾燥していなければならない。汚れ、グリース、遊離粒子及びワックスを含むあらゆる異物を適切な溶媒で除去せよ。
3.適切な硬化を保証するため、温度が72°F〜80°F(19°〜27℃)であり、且つ、湿度が50〜65%である際には、換気されたスプレーブース中で用いよ。
4.等体積のパートのZYVERE(登録商標)樹脂(パートA)をZYVERE(登録商標)活性化剤(パートB)と、1:1の体積比、例えば100ml樹脂パート+100ml活性化剤パートで混合せよ。
5.ZYVERE(登録商標)混合液を業務用HVLP/LVLP塗装吹付け器を用いて適用せよ。液体チップ(Fluid Tip):1.3〜1.4mm又はそれと同等。空気圧:HVLP/LVLPガンのキャップで8〜10PSI。
6.5〜7インチの吹付け距離で、1層の連続的な中間コート、しかるのちに1層の完全コート(2層のコート)を適用せよ。各コートの適用の間は5〜10分間空け、平滑化及び溶媒蒸発を可能とするため、焼付けの前に5〜10分間待機せよ。
7.混合組成物の可使時間は60分間である。
8.150〜170°F(金属温度(Metal Temp))で30分間焼付けし、2時間冷却することが推奨される。もし本明細書に記載の1K系が使用されるのであれば、推奨される焼付け温度は約250°Fで約30分間である。
9.72°Fでの常温乾燥硬化:30分後まで無塵状態を保つ。4時間後に接触可能。48時間後に72°Fでバフ研磨(バフ研磨前に表面硬度を試験せよ)。
10.洗浄:アセトン、MEK、Dowanol PMA又はMIBKを、吹付け面及び吹付け器の洗浄のために使用できる。
【0123】
C.適用パラメータ
1.ガン圧:HVLP/LVLPのキャップで8〜10PSIを用いよ。
従来のものについては、50〜55PSIにガンの空気圧を調製せよ。
2.液体チップ:1.3〜1.4mm又はそれと同等。
3.フラッシュ時間(Flash Time):コートの間に5〜10分間
4.混合:体積比で1:1
5.膜構造:コート当たり1.4〜1.8ミル
6.最終産物である乾燥膜の厚さ:2〜3ミル
7.推奨される熱硬化:
a.バフ研磨のため:150〜170°F(金属温度)で30分間及び室温で2時間
b.赤外線:中波で15分間、短波で8分間
8.常温硬化時間:可使時間は72°Fで60分間
a.無塵状態:72°Fで30分間
b.指触乾燥状態:72°Fで2時間
c.テープ時間(Tape Time):72°Fで5〜6時間
d.赤外線:中波で15分間。短波で8分間。
e.バフ研磨:72°Fで48時間
9.適用のための情報:5〜7インチの吹付け距離で、1層の連続的な中間コート、しかるのちに1層の完全コート(2層のコート)を適用せよ。各コートの適用の合間に溶媒蒸発及び平滑化をせよ。重ね塗りによる浮き(recast lift)を防止するため、最初のコート適用の5〜10分以内にコートを適用せよ。焼付け前に10分間空けよ。
10.重要:スプレーガンは使用後すぐに、ラッカーシンナー又は洗浄溶媒で洗浄せよ。ミネラルスピリットの使用は避けよ。
11.適切な噴霧を保証するために、製造者提供のキットで測定可能な空気を確認することが重要である。
【0124】
C.硬化スケジュール:
硬化時間は、ベースコートカラーについて1.0〜1.5ミル及びZyvereクリアナノコーティングについて2.0〜3.0ミルという、推奨される乾燥膜の厚さに基づく。
【0125】
D.バフ研磨についての指示:
1.2K系(ここで好ましい)の熱硬化:やすりがけ又はバフ研磨の前にZYVERE(登録商標)を150〜170°F(金属温度)で30分間及び室温で2時間硬化させよ。
2.常温硬化:やすりがけ又はバフ研磨の前にZYVERE(登録商標)を通常の周囲条件下で48時間硬化させよ。
3.もし必要であれば、1500〜2000グリットの紙やすりでやすりがけせよ。
4.良質のミクロ仕上げ化合物、続いてミクロ仕上げ釉薬を用いて、研磨パッドを着用した機械でバフ研磨せよ。
【実施例3】
【0126】
ZYVERE(登録商標)コーティングは、Stonebridge Technical Services(マサチューセッツ州フェントン)により試験された。表1に要約された結果が示すのは、本明細書に記載されたコーティングが、組成物中にナノ粒子を使用するPPG社製CERAMICLEAR(登録商標)(米国公開特許公報第2003/0162876号及び2003/0162015号)を含めた、最も類似した自動車用OEMアフターマーケットポリウレタンクリアコーティングと比較して、はるかに優れた性能を提供するということである。
【0127】
本明細書に記載のコーティング組成物は、吹付けを容易にし、且つ、塗装された金属、アルミニウム、塗装されたプラスチック、ある種のプラスチック、ガラス繊維、木材、エポキシ系、アクリル系及びほとんどのポリウレタン系の塗料及び粉体コーティングを含む様々な基材への化学的接着を容易にする、低粘性により特徴付けられる。このコーティング組成物は、No.2(#2)ザーンカップを用いて15〜18秒間室温(およそ18℃)で測定されるコーティング粘性により特徴付けられる。
【0128】
【表1】


【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の成分が混合されて形成される表面保護コーティング組成物であって、
前記第1の成分が、
架橋性官能基を含む約32〜約128の末端官能性を有する樹枝状ポリマー;
任意で、架橋性官能基を含み、約2〜約6の末端官能性を有するアクリル化合物;
任意で、架橋性官能基を含むポリマー及び/又は架橋性官能基を含むフルオロ界面活性剤に任意で被包される複数の金属酸化物ナノ粒子;
任意で、立体障害アミン光安定剤;
任意で、UV吸収剤;
任意で、架橋触媒;及び
前記の物質を溶解させる又はナノ粒子の場合には分散させる、第1の実質的に無水の溶媒を含み、
前記第2の成分が、
架橋剤;及び
第1の実質的に無水の溶媒と同じでも異なっていてもよい、第2の実質的に無水の溶媒を含む
組成物。
【請求項2】
コーティングの表面への適用前約2時間以内に第1及び第2の成分が混合される、請求項1に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項3】
架橋剤がブロッキングされているか、架橋触媒がブロッキングされているか、又は架橋剤及び架橋触媒の両方がブロッキングされており;且つ、
コーティング組成物の初期調製の時点からコーティング組成物の基材表面への塗着直前までの任意の時点で第1及び第2の成分が混合されてコーティング組成物が形成される、
請求項1に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項4】
架橋性官能基がヒドロキシル基であり;
第1及び第2の実質的に無水の溶媒が極性非プロトン性溶媒であり;且つ
複数の金属酸化物ナノ粒子は採用されない、
請求項1に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項5】
樹枝状ポリマーがBOLTORN H-40(登録商標)である、請求項4に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項6】
第1及び第2の実質的に無水の溶媒が、アセトン、メチルエチルケトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及びそれらの混合液からなる群から独立に選択される、請求項5に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項7】
第1及び第2の実質的に無水の溶媒が、実質的に無水のアセトンである、請求項6に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項8】
アクリル化合物が採用される場合には、それがアクリルポリオールである、請求項5に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項9】
アクリルポリオールがG-CURE 108BL70(登録商標)である、請求項5に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項10】
立体障害アミン光安定剤が採用される場合には、それがTINUVIN 292(登録商標)及びTINUVIN 123(登録商標)からなる群から選択される、請求項9に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項11】
UV吸収剤が採用される場合には、それがTINUVIN 1130(登録商標)及びTINUVIN 384-2(登録商標)からなる群から選択される、請求項5に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項12】
架橋剤が、ポリイソシアネート又はブロッキングされたポリイソシアネートである、請求項5に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項13】
ポリイソシアネートがDESMODUR N-3300(登録商標)である、請求項12に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項14】
ブロッキングされたポリイソシアネートがDESMODUR BL 3272(登録商標)である、請求項12に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項15】
架橋触媒がジブチルスズ化合物である、請求項12に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項16】
ジブチルスズ化合物がジブチルスズジアセテートである、請求項15に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項17】
架橋剤がメラミンホルムアルデヒド樹脂である、請求項5に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項18】
メラミンホルムアルデヒド樹脂が、CYMEL 303(登録商標)、RESIMENE 747(登録商標)及びRESIMENE 755からなる群から選択される、請求項17に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項19】
架橋触媒が強酸である、請求項17に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項20】
強酸がスルホン酸である、請求項19に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項21】
スルホン酸が、p−トルエンスルホン酸及びドデシルベンジルスルホン酸からなる群から選択される、請求項20に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項22】
架橋触媒がブロッキングされた強酸である、請求項17に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項23】
ブロッキングされた強酸がNACURE 5225(登録商標)である、請求項22に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項24】
樹枝状ポリマーがBOLTORN H-40であり;
アクリル化合物がG-CURE 108BL-70であり;
複数の金属酸化物ナノ粒子は採用されず;
立体障害アミン光安定剤がTINUVIN 292(登録商標)であり;
UV吸収剤がTINUVIN 384-2(登録商標)であり;
架橋触媒がジブチルスズ触媒であり;
架橋剤がポリイソシアネート又はブロッキングされたポリイソシアネートであり;且つ、
第1及び第2の実質的に無水の溶媒が、実質的に無水のアセトン、実質的に無水のメチルエチルケトン及び実質的に無水のプロピレングリコールメチルエーテルアセテートからなる群から独立に選択される、
請求項1に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項25】
ポリイソシアネートがDESMODUR N-3300(登録商標)である、請求項24に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項26】
ブロッキングされたポリイソシアネートがDESMODUR BL 3272(登録商標)である、請求項24に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項27】
樹枝状ポリマーがBOLTORN H-40であり;
アクリル化合物がG-CURE 108BL-70であり;
複数の金属酸化物ナノ粒子は採用されず;
立体障害アミン光安定剤がTINUVIN 292(登録商標)であり;
UV吸収剤がTINUVIN 384-2(登録商標)であり;
架橋触媒が強酸であり;
架橋剤が、CYMEL 303(登録商標)、RESIMENE 747(登録商標)及びRESIMENE 755(登録商標)からなる群から選択され;且つ、
第1及び第2の実質的に無水の溶媒が、実質的に無水のアセトン、実質的に無水のメチルエチルケトン及び実質的に無水のプロピレングリコールメチルエーテルアセテートからなる群から独立に選択される、
請求項1に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項28】
強酸が、p−トルエンスルホン酸及びドデシルベンジルスルホン酸からなる群から選択される、請求項27に記載の表面保護コーティング。
【請求項29】
樹枝状ポリマーがBOLTORN H-40であり;
アクリル化合物がG-CURE 108BL-70であり;
複数の金属酸化物ナノ粒子は採用されず;
立体障害アミン光安定剤がTINUVIN 123(登録商標)であり;
UV吸収剤がTINUVIN 384-2(登録商標)であり;
架橋触媒がNACURE 5225(登録商標)であり;
架橋剤が、CYMEL 303(登録商標)、RESIMENE 747(登録商標)及びRESIMENE 755(登録商標)からなる群から選択され;且つ、
第1及び第2の実質的に無水の溶媒が、実質的に無水のアセトン、実質的に無水のメチルエチルケトン及び実質的に無水のプロピレングリコールメチルエーテルアセテートからなる群から独立に選択される、
請求項1に記載の表面保護コーティング組成物。
【請求項30】
請求項1に記載の表面保護コーティングを含む表面。
【請求項31】
以下のステップを含む、表面上の表面保護コーティングの形成方法。
少なくとも表面の一部に請求項1に記載の表面保護コーティング組成物を塗着させること;及び、
塗着させた表面保護コーティング組成物を硬化させること
【請求項32】
硬化させることが、塗着させた表面保護コーティング組成物を熱することを含む、請求項31に記載の方法。

【公表番号】特表2011−527721(P2011−527721A)
【公表日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517576(P2011−517576)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/049970
【国際公開番号】WO2010/006073
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(511005343)ナノヴェレ テクノロジーズ, インク. (1)
【氏名又は名称原語表記】NANOVERE TECHNOLOGIES, INC.
【Fターム(参考)】