説明

樹脂スクリーン印刷版およびその製造方法

【課題】レーザ光により樹脂スクリーン印刷版にパターン(印刷文字、図案など)を形成させる際、樹脂スクリーン紗にほとんど影響を与えることなく、かつ細線の印刷再現性のよいパターンを形成する。
【解決手段】樹脂スクリーン紗に積層あるいは取り込むためのポリマーフィルムとして、特定のものを用いることにより、樹脂スクリーン紗を用いるにもかかわらず、レーザ照射により実質的な紗の損傷なくスクリーン印刷版を製造することができることにより、細線の印刷再現性の優れた樹脂スクリーン印刷版が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂スクリーン印刷版、樹脂スクリーン印刷版の製造方法および該樹脂スクリーン印刷版を用いたスクリーン印刷版および製版方法に関する。より詳細には、本発明は、ポリエステル、ポリアミドなどからなる樹脂スクリーン紗とポリマーフィルムとからなるレーザ製版用樹脂スクリーン印刷版、その製造方法、並びに前記樹脂スクリーン印刷版を用いて作製されたスクリーン印刷版およびレーザ製版方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷は、孔版印刷の1種で、枠に張った紗に版膜を密着し、紗の目開きよりインキを通過させて、被印刷物に転移させる印刷方式であり、フィルムから成形品まで被印刷物の厚さ、大小、平面、曲面を問わず印刷でき、また紙、布、樹脂、金属など種々の材質に印刷することができる印刷方法であり、さらに、厚いインキ着肉層を形成することができる印刷法として知られている。スクリーン印刷の製版方法としては、大きく分けて(1)直接法製版と(2)間接法製版がある(非特許文献1〜3参照)。
【0003】
直接法製版は、スクリーンメッシュ上に感光液(乳剤)をバケットで塗布するか、コーティングマシンで塗布して感光皮膜を形成した後、原画であるポジフィルムあるいはネガフィルムを通して露光して感光皮膜を硬化させ、硬化しなかった部分を溶剤等で洗浄・除去することにより、原画のパターンを有するスクリーン印刷版を製造する方法である。しかしながら、この直接法製版では、製版を行うため、原画の作製、露光、現像工程が必要とされ、生産性に問題があるとともに、熟練を要し、さらに現像工程で使用する薬品類に費用がかかる上、使用した薬品による環境問題を引き起こさないために、これらの廃液処理も必要とされる。また、紫外線硬化しない樹脂あるいは、モノマーは、使用できないといった問題点もあるし、さらに紗の介在のもとで露光、現像を行うため、紗の糸の表面乱反射による画線部の乱れあるいは織目とポジとの干渉によるモアレの発生等の問題もある。
【0004】
間接法製版は、枠張りしたスクリーンとは別に感光性フィルムを用いて画像を作り、これをスクリーンに移す方法で、転写法とも呼ばれている。間接法製版は、直接法製版に比較して、感光膜厚が均一であり、露光と水洗現像に紗の干渉がなく、鮮鋭な画像が得られるが、版膜が薄く、物理的に傷つきやすく、また厚膜印刷には適しておらず、印刷枚数が少ないという問題がある。
【0005】
また、直接法製版と間接法製版とを組み合わせた直間法製版も考案されている。この製版は、直接法製版の乳剤を活かし、フィルムの上に感光層をコーティングした感光性フィルムの感光層を水または溶剤で紗に貼り付け、乾燥後にフィルムを剥がしてから露光することにより製版する方法である。この方法は、直接フィルム法とも呼ばれ、直接法製版の一種として分類されることもある。しかしながら、直接法製版と同様に、露光、現像の問題、環境等への配慮が必要とされる問題がある。
【0006】
上記のような従来からのスクリーン印刷版の製版方法とは異なり、レーザ光を版材に選択的に照射して選択的に孔を開け、この孔によるパターンを版として用いるスクリーン製版方法も提案されている。例えば、何らかの手段でパターン状に開口された金属箔を金属スクリーンに接着剤を介して接着した後、金属箔側の表面よりレーザ光を照射して、金属箔のパターン部分(開口部)の接着剤を蒸発除去することにより、スクリーン印刷版を製造する方法(特許文献1)、金属箔上に規則正しく開口が形成されたスクリーンの開口をラッカでコーティングして開口をラッカにより充填し、レーザ光照射により、インクを透過すべき開口のラッカを除去してスクリーン印刷版を製造する方法(特許文献2)、金属スクリーン紗に、ガラス転移点が100℃以上の重合体のシートを積層し、波長が150〜400nmのレーザ光線を照射し、高分子量物を低分子量物に分解し飛散させてスクリーン印刷版を製造する方法(特許文献3)、金属スクリーン紗に、カーボンブラックを0.1質量%以上含有させ、レーザ光の発振波長における吸光度を高めた樹脂液を塗布することにより塗膜を形成し、この樹脂塗膜にレーザ光を照射することによりスクリーン印刷版を製造する方法(特許文献4)、ポリマーフィルム層を接着剤により金属スクリーンメッシュ層に接着した積層体にレーザ光を照射してポリマーフィルム層に開口部を形成させ、次いで開口部の接着剤層を薬剤処理により除去することによりスクリーン印刷版を製造する方法(特許文献5)などが知られている。
【0007】
レーザ光をスクリーン印刷版(製版前の版材)の樹脂膜に所定パターンで照射して樹脂膜を熱消去して所定パターンの開口を形成することによりスクリーン印刷版を形成する方法(本明細書ではこれを「レーザスクリーン製版方法」という。)によれば、スクリーン印刷版材として感光膜を用いる場合に必要とされるパターンマスクの作製や、フォトレジストの未硬化部分の除去(現像)などの作業を必要としないので、生産性の向上が期待できる。しかし、特許文献1に記載の方法においては、従来法のフォトマスクに当るパターニングされた金属箔を作る際に、フォトエッチング等の工程が必要であるため、従来法と同様に生産性が高いとは言えず、また環境等への配慮の必要性もある。また、特許文献2の方法においては、スクリーンとして円筒状のニッケルスリーブなどの金属箔を用いることが必要とされる。さらに、特許文献1、3、4および5の方法においては、金属スクリーン紗を用いることが必要とされ、従来広く一般に使用されている樹脂スクリーン紗を用いてスクリーン印刷版を作製することはできないし、得られたスクリーン印刷版は金属スクリーンであるため平面印刷での印刷精度はあるものの、柔軟性がないため、曲面印刷性が劣るという問題がある。また、引用文献3の方法においては、YAGや炭酸ガスレーザのようなレーザ照射装置として一般的に用いられているものではなく、特殊なレーザ照射装置が必要とされるし、さらに、特許文献5の方法においては、レーザ光照射後、開口部の接着剤層を薬剤処理により除去しなくてはならないという問題がある。
【0008】
スクリーン印刷ではない、孔版印刷として広く用いられているものは、感熱孔版印刷と呼ばれるものであり、版としては、インキ通過孔を開ける感熱孔版印刷用フィルムと補強のための和紙とを接着剤で貼り合わせただけの構造となっている(非特許文献4、5)。
しかしながら、貼り合わせ時にフィルムが和紙繊維の凹凸に影響されることによる平滑性の低下と、フィルムとの接着面への和紙繊維あるいは接着剤の介在がさけられない構造となっている(非特許文献4、5)。
【0009】
このことを避けるために、ポリマーフィルムと不織布等の合成紙等の多孔性支持体とを積層することで平滑性を保ち、印刷適性の向上を目指している(例えば特許文献6〜16)。感熱孔版印刷ではインキが通過する孔を開けるためにサーマルヘッド等により、ポリマーフィルムであり熱可塑性樹脂でもある感熱孔版印刷フィルムを熱溶融させ、穿孔製版される。熱での製版のため、周りに熱の影響を与えるため、印刷での細線再現性が乏しくなっている。
【0010】
それを改善するためにキセノンフラッシュを利用する方法も考案されてはいるが、やはり細線再現性には劣る(特許文献17)。
【0011】
これからの感熱孔版印刷で使用される版では、本発明が目指しているスクリーン印刷の版としては不十分であり、耐久印刷性も低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開昭54−8003号公報
【特許文献2】特開昭64−82945号公報
【特許文献3】特開平3−72364号公報
【特許文献4】特開2002−67527号公報
【特許文献5】特開平11−77948号公報
【特許文献6】特開平07−205564号公報
【特許文献7】特開平07−237368号公報
【特許文献8】特開平08−67081号公報
【特許文献9】特開平08−67082号公報
【特許文献10】特開平10−193826号公報
【特許文献11】特開平11−198557号公報
【特許文献12】特開平11−235884号公報
【特許文献13】特開2000−94852号公報
【特許文献14】特開2000−318337号公報
【特許文献15】特開2000−85258号公報
【特許文献16】特開2000−85257号公報
【特許文献17】特開2000−198279号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】「増補版 印刷事典」昭和62年6月30日、初版第1刷、編集 社団法人 日本印刷学会、発行 財団法人 印刷局朝陽会
【非特許文献2】「特殊印刷とコンバーティング」1990年3月29日発行、発行 人 荒木正義、発行所 加工技術研究会
【非特許文献3】「特殊印刷」昭和58年7月15日初版発行、監修者 松本和雄、 著者 松本和雄、発行者 城所 守、発行所 株式会社印刷出版研 究所
【非特許文献4】山口 秀幸、他9名、「オフィス・プレスプリンタ Satelio A400」、Ricoh Technical Report No.29、2003年12月、136- 141ページ
【非特許文献5】大田 真之、他4名、「新規孔版印刷用サテリオマスターの開発」 、Ricoh Technical Report No.31、2005年12月、139-143 ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来、スクリーン印刷版のスクリーン紗としては、絹、ポリエステル、ナイロン、ステンレス等の金属からなる紗が知られている。上記のとおり、従来提案されたレーザスクリーン製版法においては紗として金属紗が用いられている。これは、金属紗に比べポリエステル、ナイロン紗が熱に弱く、レーザ製版の際に焼き切れたり、紗が融けてしまうことに起因している。しかし、現在使用されているスクリーン印刷版の大部分はポリエステル紗またはナイロン紗であり、ステンレス紗などの金属スクリーン紗は限られた分野、例えば厚膜IC回路など電子回路の印刷分野に限られている。そして、ポリエステルスクリーンおよびナイロンスクリーンのような樹脂スクリーンはステンレススクリーンに比べ安価であり、また弾性回復力に優れており、印刷時の取り扱いが比較的簡単であるという長所を有している。したがって、樹脂スクリーン紗を用いたスクリーン製版において、レーザ製版が利用できれば、通常のスクリーン印刷において用いられる印刷版の製版における簡便化が図られ、環境問題を起こすことなく安価に印刷版を作製できるというメリットがあることから、樹脂スクリーン紗を用いたレーザ製版方法、スクリーン印刷版材が要望されている。
【0015】
本発明は、このような従来の課題、要望にかんがみなされたもので、樹脂スクリーン紗に樹脂塗膜を形成し、この塗膜にレーザ光照射を行うことにより、樹脂スクリーン紗に実質上の損傷を与えることなくポリマーフィルムのみを蒸発、飛散あるいは消去して、所望のパターン(印刷文字、図案など)開口を形成させることのできる樹脂スクリーン印刷版を提供することを目的とする。
【0016】
また、本発明は、上記樹脂スクリーン印刷版を製造する方法、該樹脂スクリーン印刷版を用いて形成されたスクリーン印刷版、および前記樹脂スクリーン印刷版を用いてレーザ製版する方法をも提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、前記問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、樹脂スクリーン紗に積層あるいは取り込むためのポリマーフィルムとして、特定のものを用いることにより、樹脂スクリーン紗を用いるにもかかわらず、レーザ照射により実質的な紗の損傷なくスクリーン印刷版を製造することができることにより、細線の印刷再現性の優れた樹脂スクリーン印刷版が得られることを見出して、本発明を成したものである。
【0018】
すなわち、本発明は、以下のレーザ製版用樹脂スクリーン印刷版、該レーザ製版用樹脂スクリーン印刷版の製造方法、前記レーザ製版用樹脂スクリーン印刷版を用いて形成された樹脂スクリーン印刷版、および前記レーザ製版用樹脂スクリーン印刷版を用いてスクリーン印刷版を製造する方法に関するものである。
【0019】
(1)樹脂スクリーン紗が、ポリマーフィルムに熱融着されてなることを特徴とするレーザ製版用樹脂スクリーン印刷版。
【0020】
(2)熱融着が、ポリマーフィルム射出成型時の樹脂スクリーン紗の埋め込みによることを特徴とする上記(1)に記載のレーザ製版用樹脂スクリーン印刷版。
【0021】
(3)ポリマーフィルムが、カーボンブラックを含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載のレーザ製版用樹脂スクリーン印刷版。
【0022】
(4)樹脂スクリーン紗が、ナイロンまたはポリエステルからなるスクリーン紗であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のレーザ製版用樹脂スクリーン印刷版。
【0023】
(5)ポリマーフィルムを加熱し、樹脂スクリーン紗に熱融着させることを特徴とするレーザ製版用樹脂スクリーン印刷版の製造方法。
【0024】
(6)ポリマーフィルム射出成型時に、樹脂スクリーン紗を存在させ、ポリマーフィルム中に前記樹脂スクリーン紗を埋め込むことを特徴とするレーザ製版用樹脂スクリーン印刷版の製造方法。
【0025】
(7)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の樹脂スクリーン印刷版にレーザ光を照射してポリマーフィルムに所定パターンの開口を形成させてなる樹脂スクリーン印刷版。
【0026】
(8)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の樹脂スクリーン印刷版をレーザ光で照射することを特徴とするスクリーン印刷版の製造方法。
【0027】
(9)レーザ光による照射が、印刷時において、スクリーンインキが供給される反対側から行われることを特徴とする上記(8)に記載のスクリーン印刷版の製造方法。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ポリマーフィルムと樹脂スクリーン紗とからなるレーザ製版用樹脂スクリーン印刷版にレーザ光を照射することによって、樹脂スクリーン紗には実用上の損傷を与えず、ポリマーフィルムのみを蒸発あるいは消去し、除去することによって樹脂スクリーン印刷版を製造することができることから、従来スクリーン印刷版を製造する際に必要とされたネガまたはポジ原稿の作製、感光性皮膜を露光、現像する工程を必要とせず、熟練者を要することなく、簡便にかつ生産性よく樹脂スクリーン紗を用いたスクリーン印刷版を製造することができる。また現像液を用いないことから、現像液による環境汚染の問題なくスクリーン印刷版を製造することができ、スクリーン印刷版のさらなる品質アップ、生産性向上に寄与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明について図1〜4を参照しつつ、さらに詳細に説明するが、図は説明のために便宜上使用されるものであり、本発明の実施形態が図示のものに限定されるものではない。
【0030】
図1は、本発明における樹脂スクリーン紗が、ポリマーフィルムに熱融着されてなる樹脂スクリーン印刷版の部分拡大断面を模式的に示した図であり、
図2は、本発明における樹脂スクリーン紗が、ポリマーフィルムに熱融着されてなる樹脂スクリーン印刷版をレーザ光照射することにより開口が形成された樹脂スクリーン印刷版の部分拡大断面を模式的に示した図であり、
図3は、本発明における樹脂スクリーン紗が、ポリマーフィルム中に埋め込まれている樹脂スクリーン印刷版の部分拡大断面を模式的に示した図であり、
図4は、本発明における樹脂スクリーン紗が、ポリマーフィルム中に埋め込まれている樹脂スクリーン印刷版をレーザ光照射することにより開口が形成された樹脂スクリーン印刷版の部分拡大断面を模式的に示した図である。
【0031】
図1あるいは図3中、1は樹脂スクリーン印刷版を、2は樹脂スクリーン紗を、3はポリマーフィルムを示す。樹脂スクリーン印刷版1は、次のようにして形成される。
【0032】
図1においては、樹脂スクリーン紗に、ポリマーフィルムを熱融着させて積層させる方法であり、特に樹脂スクリーン紗と接触させるときにポリマーフィルムが溶融状態になっていない場合に、ポリマーフィルムに樹脂スクリーン紗が熱圧着された状態である。なお、ポリマーフィルムが溶融状態であると図3に示すように、樹脂スクリーン紗がポリマーフィルム中に埋め込まれた状態として形成することができる。
【0033】
このようにポリマーフィルムを樹脂スクリーン紗と積層する方法としては、例えば、樹脂スクリーン紗をラミネーターに供給し、樹脂スクリーン紗と溶融状態のまたは溶融していないポリマーフィルムとを重ねると共に、弾性ロールと金属ロールとで挟圧することによって樹脂スクリーン紗とポリマーフィルムとを積層することができる。この場合にポリマーフィルムが溶融状態であると図3のように樹脂スクリーン紗がポリマーフィルム中に埋め込まれた状態に形成され、溶融状態でないと図1のように樹脂スクリーン紗がポリマーフィルム上に積層されたように形成される。
【0034】
図1は、片面にのみポリマーフィルムを積層させた場合を示すが、両面にポリマーフィルムを積層するときは、同様の方法によって他の面にポリマーフィルムを積層することによって、樹脂スクリーン紗を芯材としてその両面にポリマーフィルム層が積層されたサンドイッチ構造とすることができる。

【0035】
使用される樹脂スクリーン紗のメッシュ数は、印刷される図形に要求される解像度、使用されるインキ、印刷対象に応じ、従来知られた適宜のメッシュ数のものが用いられればよい。
【0036】
本発明において用いられるポリマーフィルム(層)において、カーボンブラックは効率良くレーザ光を吸収し、かつレーザ光による樹脂スクリーン紗への影響を極力避ける目的で含有させるものである。本発明においては、カーボンブラックは、あまりに少量であると効率良くレーザ光を吸収することが出来ないため、ポリマーフィルム(層)の全体量の0.3重量%以上が好ましく、より好ましくは1重量%以上であり、3重量%以上であることがさらに好ましい。また、含有量が多すぎると、樹脂スクリーン印刷版の印刷面の視認性が悪くなるためおよびレーザ光による熱の影響を受け、樹脂スクリーン紗が損傷を受けるため、ポリマーフィルム(層)の全体量の20重量%以下が好ましく、より好ましくは、10重量%以下である。
【0037】
本発明に用いられるカーボンブラックとしては、種類や製造履歴に特に制約されることはなく、市販のオイルファーネスブラック、ガスファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなど各種のものを用いることができる。また、通常行われているオゾン処理、プラズマ処理、あるいは液相酸化処理などの処理がなされたカーボンブラックを用いてもよい。
【0038】
使用するカーボンブラックの粒径は、通常のインキや塗料に用いるカーボンブラックの粒径範囲と同様に0.01〜1μmが好ましく、特に、0.01〜0.2μmが好ましい。ただし、本発明において、粒径とは走査型電子顕微鏡で測定された平均一次粒子径を示す。また、ジブチルフタレート(DBP)吸油量としては、80〜120(cm3/100g)が好ましく、窒素吸着比表面積としては、60〜130(m2/g)が好ましい。
【0039】
ただし、本発明において、粒径とは走査型電子顕微鏡で測定された平均一次粒子系を示し、DBP吸油量、窒素吸着比表面積はいずれもJIS K6217に準拠して測定されたものである。これらの物性値は一般にカーボンブラックの物理的特性を表すのに用いられている。
【0040】
また、本発明で用いられるポリマーフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂(ABS樹脂)、ナイロン、ポリカーボネート、セロハン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリアセテート、ポリスチレンフィルム、アクリル系樹脂、耐熱性・エンプラ系樹脂、フッ素樹脂等が例示できる。
【0041】
このなかでも樹脂スクリーン紗を熱ラミネートにより積層あるいは埋め込むために、熱可塑性樹脂であることが好ましく、特にポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびナイロンが良い。
【0042】
フィルムの厚さとしては、5〜40μm程度、より好ましくは5〜20μmがよい。ポリマーフィルムには、カーボンブラックを含有させるのが好ましい。なお、カーボンブラックを含有させる場合には、0.1〜20%がよく、好ましくは1〜5%がよい。
本発明において、ポリマーフィルムを溶融して形成させる図3の場合にはフィルム状をではないチップ、ビーズあるいは粉状であっても良い。
【0043】
本発明において、熱ラミネートを行う場合に、樹脂スクリーン紗との密着性を上げる目的で、ポリマーフィルムの表面に何らかの表面処理を行うことも可能である。樹脂スクリーン紗との密着性を上げると、よりレーザ製版時に樹脂塗膜のエッジの欠損が少なくなり、細線の印刷再現性の優れた樹脂スクリーン印刷版が得られる。
【0044】
ポリマーフィルムの表面処理としては、以下のような方法が挙げられる。
i)プライマーを塗布することによりポリマーフィルムの表面処理を行う方法。
ii)電離線放射を行うことによりポリマーフィルムの表面処理を行う方法。
iii)上記のi)とii)を併用する方法。
【0045】
上記のiii)の方法としては、上記のii)でポリマーフィルムの表面処理を行ってから上記のi)のプライマーを塗布する方法、あるいは、上記のi)のプライマーを塗布してから電離線放射を行いプライマー自体の表面処理を行う方法が挙げられる。
【0046】
プライマーの樹脂成分としては、例えば水溶性の、セルロース、メチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、カゼイン、ゼラチン、スチレン/無水マレイン酸共重合体塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体塩、ポリアクリル酸エステル、ポリウレタン樹脂、アクリル/スチレン樹脂等が挙げられる。溶剤型樹脂としてはスチレン/マレイン酸、アクリル/スチレン樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネイト、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリブチラール樹脂、ポリアクリル酸エステル、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。これらの樹脂は単独、または2種以上混合することで得られる。この樹脂成分に、適宜、水あるいは溶剤、添加剤、カーボンブラック等の顔料成分を加えることができる。溶剤としては、上記の溶剤が使用できる。
【0047】
また、プライマーの樹脂成分としては、活性エネルギー線硬化型樹脂等も使用可能である。具体的には、不飽和ポリエステル系樹脂、アクリレート系樹脂、ポリエン/ポリチオール系樹脂、スピラン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、フラン系樹脂等が挙げられる。これら樹脂と必要に応じて活性エネルギー線硬化型モノマーなどの各種モノマー、プレポリマー、光重合開始剤が使用される。
【0048】
活性エネルギー線としては、電子線、紫外線が挙げられるが、本発明では紫外線が主として使用される。
【0049】
プライマーに使用可能なモノマーとしては、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、スチレン、アクリルアミド、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシー3−フェノキシプロピルアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートエチル、3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能モノマー、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート等の2官能モノマー、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の3官能モノマー、ペンタエリスリトールポリプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の4官能モノマー、その他5官能以上のモノマーとしてジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。活性エネルギー線硬化型組成物としてモノマー、プレポリマー、オリゴマーを用いる場合3官能以上のモノマー、プレポリマー、オリゴマーは20〜95重量%以内で使用することが好ましい。20重量%以下ではポリマーフィルムへの密着性が弱く、膜密度、膜強度が低く、95重量%以上の場合、硬くなりすぎるために脆くなり、細線の印刷再現性がかえって悪くなる可能性がある。
【0050】
本発明において、電離線照射に用いる電離線としては、レーザービーム、イオンビーム、電子線ビーム、紫外線照射、プラズマ放電、コロナ放電等の方法があるが、中でも電子線ビーム、プラズマ放電、コロナ放電が好ましく使用され、より好ましくは、コロナ放電が使用される。本発明においてコロナ放電を使用した表面処理をコロナ処理とする。
【0051】
コロナ放電処理はスパークギャップ方式、真空管方式、ソリッドステート方式などを利用することができる。樹脂塗膜との密着性を確保するためには、その基材表面に5〜40,000W/m/分)、好ましくは150〜40,000W/m/分程度のエネルギーを放射賦与することが好ましい。コロナ放電を利用した表面処理(コロナ処理)。コロナ放電装置の発振器の種類、周波数等は任意に定めることができる。
【0052】
電子線照射処理としては、例えば放射性同位元素から放出されるα線、β線、γ線を挙げることができる。また、Mini−EB、ヴァン・デ・クラーク型電子加速器、コックロフト・ウォルトン型電子加速器、絶縁変圧型電子加速器、変圧器型ガス(油)絶縁方式電子加速器、冷陰極衝撃電圧型電子加速器、線状フィラメント型電子加速器からの電子線を挙げることができる。加速電圧については、特に限定されるものではないが、フィルム基材への影響を考慮すれば、150kV以下が好ましく、100kV以下がより好ましい。また、照射量は、15kGy以上が好ましく、20kGy以上がより好ましい。ただし、必要以上の照射量は、エネルギーコストの点で実現性がない。
【0053】
プラズマ処理は、通常10−2 〜10Torrの低圧ガス(アルゴン、窒素、酸素など)のグロー放電を使用するが、特に好ましくは、0.01〜0.1Torr程度の圧力の、空気又は酸素ガスのプラズマが用いられる。
【0054】
こうして製造された印刷版は、図2あるいは図4に示すように、レーザ光5により所定パターンで照射され、前記ポリマーフィルム3が熱消去されて所定パターンの開口6が形成され、スクリーン印刷版とされる。レーザ光としては、炭酸ガスレーザ光、YAGレーザ光またはYVO4レーザ光が好ましい。YAGレーザの高次高調波は、YAGレーザ発振器の内部に組み込んだ第2もしくは第3高調波変換素子によって、第2高調波(波長532nm)もしくは第3高調波(波長355nm)が効率よく出力されることが知られており、第4高調波(波長266nm)は、一般に第2高調波が第4高調波変換素子を通過することで出力され、YAGレーザの高次高調波のいずれかまたはこれらの任意のミキシング光を用いることが特に好ましい。これら炭酸ガスレーザ光、YAGレーザ光などは、エキシマレーザ光よりも発振安定性に優れており、エキシマレーザを使用した場合に比べ生産性を高めることができる。
【0055】
レーザ光によるポリマーフィルムの照射強度は、ポリマーフィルムは熱消去されるが樹脂スクリーン紗は実質的に損傷されない強さとされる。レーザ光による照射強度は、本発明の照射強度にあった出力のレーザ発振装置を用いる、レーザ装置の出力を制御する、スキャンスピードなどをコントロールするなど種々の方法により制御することができる。レーザの照射条件としては、レーザパワー10〜90%、スキャンスピード5〜8000mm/s、Qスイッチ周波数5〜150kHz、スキャン回数3〜30回が好ましい。
【0056】
こうして作製された樹脂スクリーン印刷版により、従来のスクリーン印刷と同様な方法で従来と同様な被印刷体に印刷を行うことができる。使用されるインキも従来と同様のものでよい。
【実施例】
【0057】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例は本発明を具体的に説明するために挙げられているものであり、本発明をなんら制限するものでない。なお、本発明において、「部」および「%」は、特に断らない限り、重量による。
【0058】
[実施例1]
270メッシュのポリエステル(PET)紗の片面にカーボンブラック含有低密度ポリエチレン(密度0.922g/cm、融点113℃、カーボンブラックの添加量0.3%)を押出しラミネート法によって厚み40μmにラミネートしてシート状基材を得、製版前の版(印刷版)を作製した。ラミネートの際、ポリマーフィルムは溶融しないようにした(図1参照)。
【0059】
この製版前の樹脂スクリーン印刷版に、YAGレーザ(レーザパワー80%、スキャンスピード1518mm/s、Qスイッチ周波数20kHz、スキャン回数15回)にてフォント18ポイントで0〜9までの数字パターンを製版した。数字パターン(線幅300μm)をパターニングした樹脂スクリーン印刷版について、下記の試験方法により、「レーザによる加工性」、「レーザ製版性」、「印刷耐久性」、「連続印刷性(印刷効果、版の状態)」の評価を行った。結果を表1に示す。
【0060】
(レーザによる加工性試験)
レーザ光照射により開口した部分の状況を50倍の光学顕微鏡により観察を行い、下記評価基準に基づいて評価した。
〈評価基準〉
○:開口部がきっちりと開いており、270メッシュのポリエステル紗に損傷がない 。
△:開口部が開いているが、270メッシュのポリエステル紗に、損傷が多少観察さ
れる。
×:開口部がほとんど貫通されていないか、270メッシュのポリエステル紗に、損 傷がかなり観察される。
【0061】
(レーザ製版性試験)
作製した樹脂スクリーン印刷版を使用し、シルクスクリーンインキ(東洋インキ製造(株)製SS8391藍)を紙に印刷し、その印刷効果を下記評価基準に基づいて評価した。
〈評価基準〉
○:きれいに印刷できる。
△:エッジが欠ける印刷しかできない。
×:印刷できない。
【0062】
(印刷耐久性試験)
学振型耐摩擦試験機(テスター産業社製)の駆動部にスキージ素材を固定し、500gの加重をかけるよう取り付けたものに、レーザにより製版した樹脂スクリーン印刷版をセットし、シルクスクリーンインキ(東洋インキ製造(株)製SS8391藍)を載せた状態で1万回往復後、この版を使用して、シルクスクリーンインキを紙に印刷し、印刷品質の劣化具合を下記評価基準に基づいて評価した。
〈評価基準〉
○:印刷品質の劣化がない。
△:印刷品質の劣化が一部観察される。
×:印刷品質の劣化が観察される。
【0063】
(連続印刷性試験)
シルクスクリーン印刷機(美濃商事株式会社製、MEDIA 68−AN−II)に、レーザにより製版した樹脂スクリーン印刷版をセットし、シルクスクリーンインキ(東洋インキ製造(株)製SS8391藍)により、紙に5000回印刷を行い、5000回目の印刷効果および版の状態を下記評価基準に基づいて評価した。
(連続印刷性試験:印刷効果)
〈評価基準〉
○:印刷品質の劣化がない。
△:印刷品質の劣化が一部観察される。
×:印刷品質の劣化が観察される。
(連続印刷性試験:版の状態)
〈評価基準〉
○:版の劣化がない。
△:紗とフィルムとの剥離が一部観察される。
×:紗とフィルムとの剥離が観察される。
【0064】
なお、これら試験と共に、上記製版前の印刷版の「細線印刷再現性」について、下記条件により試験試料を作製し、下記条件で試験および評価を行った。結果を表1に示す。
【0065】
(細線印刷再現性試験)
上記で得られた印刷版を用い、上記条件(YAGレーザ(レーザパワー80%、スキャンスピード1518mm/s、Qスイッチ周波数20kHz、スキャン回数15回)で照射)で線幅100μmの細線を製版し、シルクスクリーンインキ(東洋インキ製造(株)製SS8391藍)にて紙に印刷を行い、印刷物を50倍の光学顕微鏡によりエッジ部分を観察し、下記評価基準に基づいて評価した。
〈評価基準〉
○:なめらかな細線である。
△:ぎざぎざな細線である。
×:細線が印刷できない。
【0066】
[実施例2]
実施例1において、カーボンブラック含有低密度ポリエチレンの替わりに、カーボンブラック含有PETフィルム(密度1.40g/cm、融点258℃、カーボンブラックの添加量0.3%)を用いた以外は、同様に行い、実施例1と同様にして数字パターンをパターニングした樹脂スクリーン印刷版を作製した。この樹脂スクリーン印刷版について、実施例1と同様にして、「レーザによる加工性」、「レーザ製版性」、「印刷耐久性」、「連続印刷性(印刷効果、版の状態)」の評価を行った。結果を表1に示す。
【0067】
[実施例3]
実施例1において、ラミネートの際、ポリマーフィルムが溶融するようにして、樹脂スクリーン紗がポリマーフィルム中に埋め込まれるようにした(図3参照)。その他は実施例1と同様に行い、実施例1と同様にして数字パターンをパターニングした樹脂スクリーン印刷版を作製した。この樹脂スクリーン印刷版について、実施例1と同様にして、「レーザによる加工性」、「レーザ製版性」、「印刷耐久性」、「連続印刷性(印刷効果、版の状態)」の評価を行った。結果を表1に示す。
【0068】
[実施例4]
実施例3において、カーボンブラック含有低密度ポリエチレンの替わりに、カーボンブラック含有PETフィルム(密度1.40g/cm、融点258℃、カーボンブラックの添加量0.3%)を用いた以外は、同様に行い、実施例1と同様にして数字パターンをパターニングした樹脂スクリーン印刷版を作製した。この樹脂スクリーン印刷版について、実施例1と同様にして、「レーザによる加工性」、「レーザ製版性」、「印刷耐久性」、「連続印刷性(印刷効果、版の状態)」の評価を行った。結果を表1に示す。
【0069】
[比較例1]
現行の乳化剤であるムラカミ(株)製「ONEPOT 50M」にて通常の方法により樹脂スクリーン印刷版を作製し、実施例1と同様にして数字パターンをパターニングした樹脂スクリーン印刷版を作製した。この樹脂スクリーン印刷版について、実施例1と同様にして、「レーザによる加工性」、「レーザ製版性」、「印刷耐久性」、「連続印刷性(印刷効果、版の状態)」の評価を行った。結果を表1に示す。
【0070】
また、実施例2〜4および比較例1で用いた印刷版の「細線印刷再現性」についても、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
なお、比較例1は、レーザ製版ではないため、「レーザによる加工性」および「レーザ製版性」について評価を行わなかった。
【0071】
【表1】

【0072】
表1から、本発明の樹脂スクリーン印刷版は、樹脂スクリーン紗には実用上の損傷がなく、しかも、レーザ光により簡便に製版でき、細線の印刷再現性に優れ、さらに耐久性にも優れていることが分る。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】ポリマーフィルムに熱融着されてなる樹脂スクリーン印刷版の模式断面図で ある。
【図2】ポリマーフィルムに熱融着されてなる樹脂スクリーン印刷版をレーザ光照射 することにより開口が形成された樹脂スクリーン印刷版の模式断面図であ る。
【図3】ポリマーフィルム中に埋め込まれている樹脂スクリーン印刷版の模式断面図 である。
【図4】ポリマーフィルム中に埋め込まれている樹脂スクリーン印刷版をレーザ光照 射することにより開口が形成された樹脂スクリーン印刷版の模式断面図であ る。
【符号の説明】
【0074】
1 樹脂スクリーン印刷版
2 樹脂スクリーン紗
3 ポリマーフィルム(層)
4 樹脂スクリーン印刷版
5 レーザ光
6 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂スクリーン紗が、ポリマーフィルムに熱融着されてなることを特徴とするレーザ製版用樹脂スクリーン印刷版。
【請求項2】
熱融着が、ポリマーフィルム射出成型時の樹脂スクリーン紗の埋め込みによることを特徴とする請求項1に記載のレーザ製版用樹脂スクリーン印刷版。
【請求項3】
ポリマーフィルムが、カーボンブラックを含有することを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ製版用樹脂スクリーン印刷版。
【請求項4】
樹脂スクリーン紗が、ナイロンまたはポリエステルからなるスクリーン紗であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のレーザ製版用樹脂スクリーン印刷版。
【請求項5】
ポリマーフィルムを加熱し、樹脂スクリーン紗に熱融着させることを特徴とするレーザ製版用樹脂スクリーン印刷版の製造方法。
【請求項6】
ポリマーフィルム射出成型時に、樹脂スクリーン紗を存在させ、ポリマーフィルム中に前記樹脂スクリーン紗を埋め込むことを特徴とするレーザ製版用樹脂スクリーン印刷版の製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし4のいずれかに記載の樹脂スクリーン印刷版にレーザ光を照射してポリマーフィルムに所定パターンの開口を形成させてなる樹脂スクリーン印刷版。
【請求項8】
請求項1ないし4のいずれかに記載の樹脂スクリーン印刷版をレーザ光で照射することを特徴とするスクリーン印刷版の製造方法。
【請求項9】
レーザ光による照射が、印刷時において、スクリーンインキが供給される反対側から行われることを特徴とする請求項8に記載のスクリーン印刷版の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−247406(P2010−247406A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98574(P2009−98574)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】