説明

樹脂パネル接合構造

【課題】樹脂パネル同士を接合する構造において、一方のパネルには、他方のパネル端部を挟み込む狭持部を延出し、他方のパネルには一方のパネルの狭持部と当接する隆起状の当接部を設け、狭持部と当接部とを溶着させて両パネルを接合すべく構成することで、当接部の隆起構造により樹脂パネル間を溶着接合する際のパネル間の密着性が高まり、接合強度の向上を図ることができるうえ、リサイクル性にも優れる樹脂パネル接合構造を提供する。
【解決手段】 樹脂パネル10,20同士を接合する樹脂パネル接合構造であって、一方のパネル10には、他方のパネル20端部を挟み込む狭持部18が延出され、他方のパネル20には、一方のパネル10の狭持部18と当接するよう隆起された当接部24,25,26が設けられ、一方のパネル10と他方のパネル20とは、狭持部18を上記当接部24,25,26と溶着させることにより接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、樹脂パネル同士を接合するような樹脂パネル接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂パネル構造の一例として樹脂バンパの構造を例示すると、一般に樹脂バンパ内にヘッドランプ等の比較的大きい灯体用の開口を形成した場合、バンパレインフォースメントから大きく離間するバンパフェイス上部の剛性、特に灯体用の開口上部近傍の剛性が不足する。
【0003】
このような剛性不足を解消するために従来、特許文献1に記載されたバンパ構造が既に発明されている。
すなわち、樹脂製のバンパフェイスの裏面側(リヤ側)に金属製の補強部材を設け、この補強部材を、バンパフェイスに形成された左右の開口を車幅方向に連結する長さに設定し、該補強部材でバンパフェイスを補強すると共に、これら両者(補強部材とバンパフェイス)を車体に対して共締め固定するように構成したものである。
【0004】
この特許文献1に開示された従来構造においては、補強部材でバンパフェイスを補強することができる反面、バンパが樹脂製のバンパフェイスと金属製の補強部材との材料を異にする2つの部材から構成されている関係上、車体に対する取付け構造が複雑化する問題点があった。
【0005】
このような問題点を解決するために、補強部材を樹脂で構成し、バンパフェイスと補強部材とを両面接着テープ等で接着固定する構造が考えられるが、この場合、複数箇所への接着テープの貼付工程が必要不可欠となって、生産性が低下する問題点があるうえ、リサイクル時には上記接着テープを剥す工程が必要となり、リサイクル性が大幅に阻害され、さらに極暑地域等においては熱変形に起因してバンパフェイスと補強部材とが剥離される問題点があった。
【特許文献1】実開平1−99755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明は、樹脂パネル同士を接合する構造において、一方のパネルには、他方のパネル端部を挟み込む狭持部を延出し、他方のパネルには一方のパネルの狭持部と当接する隆起状の当接部を設け、狭持部と当接部とを溶着させて両パネルを接合すべく構成することで、当接部の隆起構造により樹脂パネル間を溶着接合する際のパネル間の密着性が高まり、接合強度の向上を図ることができるうえ、リサイクル性にも優れる樹脂パネル接合構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による樹脂パネル接合構造は、樹脂パネル同士を接合する樹脂パネル接合構造であって、一方のパネルには、他方のパネル端部を挟み込む狭持部が延出され、他方のパネルには、上記一方のパネルの狭持部と当接するよう隆起された当接部が設けられ、一方のパネルと他方のパネルとは、上記狭持部を上記当接部と溶着させることにより接合されるものである。
【0008】
上記構成によれば、他方のパネルに設けられた当接部が隆起しているので、狭持部と当接部とを溶着して樹脂パネル間を溶着接合する際の両パネル間の密着性が高まり、接合強度の向上を図ることができるうえ、一方のパネルおよび他方のパネルの何れもが樹脂パネルであるから、リサイクル性にも優れる。
【0009】
この発明の一実施態様においては、上記狭持部はその基端部から折曲されるよう構成され、上記当接部は折り曲げられる狭持部の延出方向へいくに従って高くなるよう隆起されたものである。
【0010】
上記構成によれば、パネル間の位置決めがしやすいように、狭持部を開いた状態にしておき、他方のパネルの端部を狭持部の基端側に突き当てて位置決めした後に、狭持部を折り曲げて溶着する際に生ずる狭持部と当接部との間のギャップをなくすことができ、この結果、両パネル間の密着性をより一層高めることができる。
【0011】
この発明の一実施態様においては、上記当接部は上記狭持部の延出方向に対し略直交するよう延出されたものである。
上記構成によれば、狭持部と当接部との間の密着領域が、狭持部の延出方向と略直交することになるので、狭持部の延出方向へのパネル間のずれに対する耐力が向上する。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記狭持部と上記当接部とが互に略直交するよう溶着されるものである。
上記構成によれば、狭持部と当接部とが略直交する所謂クロス部位において確実な溶着が行われるので、溶着強度を高めることができる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、上記一方のパネルは車両のバンパ外表面を形成するバンパフェイスに設定され、上記他方のパネルは該バンパフェイスを補強する補強部材に設定され、上記狭持部はバンパフェイス裏面側へ延出されたものである。
【0014】
上記構成によれば、狭持部がバンパフェイスの裏面へ延出されているので、バンパフェイスの意匠面を損なうことなく、該バンパフェイスを補強部材にて補強することができる。
【0015】
この発明の一実施態様においては、上記バンパフェイスには開口が設けられると共に、上記補強部材は該開口縁の少なくとも一部に沿うよう設けられたものである。
上記構成によれば、バンパフェイスの開口周囲の剛性を補強部材にて確保することができる。
【0016】
この発明の一実施態様においては、上記狭持部がその基端部から折曲された時、折曲された狭持部が車両の前後方向に指向するよう構成されたものである。
上記構成によれば、バンパフェイスの熱変形が想定される車両前方への膨出変形を、狭持部と当接部との溶着にて確実に防止することができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、上記開口に対応する車体側には灯体が固定され、該灯体は開口を通して光を放射するよう設けられるものである。
上記構成によれば、灯体(ヘッドランプ参照)が車体側に固定されている場合、バンパフェイスの熱変形により生ずる灯体とバンパフェイスとの間の隙を最小限に抑止することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、樹脂パネル同士を接合する構造において、一方のパネルには、他方のパネル端部を挟み込む狭持部を延出し、他方のパネルには一方のパネルの狭持部と当接する隆起状の当接部を設け、狭持部と当接部とを溶着させて両パネルを接合すべく構成したので、当接部の隆起構造により樹脂パネル間を溶着接合する際のパネル間の密着性が高まり、接合強度の向上を図ることができるうえ、リサイクル性にも優れる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
樹脂パネル間を溶着接合する際のパネル間の密着性を高め、接合強度の向上を図ると共に、リサイクル性にも優れるという目的を、一方のパネルには、他方のパネル端部を挟み込む狭持部を延出し、他方のパネルには、一方のパネルの狭持部と当接すべく隆起された当接部を設け、一方のパネルと他方のパネルとは、狭持部を当接部と溶着させることにより接合するという構造に実現した。
【実施例】
【0020】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は樹脂パネル同士を接合する樹脂パネル接合構造を示すが、以下の実施例においては一方のパネルとしての樹脂製のバンパフェイスと、他方のパネルとしての樹脂製の補強部材とを接合する構造について説明する。
【0021】
図1はバンパフェイス10と、補強部材20とを分解して示す平面図であって、バンパフェイス10は図2に平面図で、図3に正面図で、図4に右側面図で、図5に斜視図でそれぞれ示すように構成されている。
【0022】
すなわち、このバンパフェイス10はそのフロント側先端部11から左右両側部にかけて湾曲する湾曲形状に構成され、左右両側部の上部にはヘッドライト用の開口部12,12が形成され、フロント側中間部にはバンパフェイス10に沿って車幅方向に延びるエアインテーク部13が形成されている。
【0023】
また上述のヘッドライト用の開口部12,12の下方で、かつエアインテーク部13の車幅方向外方に対応する部位には、フォグランプ用の開口部14,14が形成される一方、上述のエアインテーク部13の下部には下部エアインテーク部15が車幅方向に延びるように形成されている。
【0024】
さらに上述のバンパフェイス10の上端部リヤ側には車体パネルに取付けられる平面視略円弧状のフランジ部16が一体形成され、このフランジ部16には複数の取付け孔17…が設けられている。ここで、上述のバンパフェイス10は車両のバンパ外表面を形成するものである。
【0025】
図1に示すように、上述のバンパフェイス10における左右のヘッドライト用の開口部12,12周辺にはその内側(リヤ側)から左右一対かつ左右略対称構造の補強部材20,20が接合固定され、これら補強部材20,20でバンパフェイス10を補強するように構成している。
【0026】
図6は車両の右側に位置する補強部材20の平面図、図7はその正面図、図8は右側面図、図9は斜視図であって、補強部材20はバンパフェイス10のコーナ部内面に対応する湾曲形状に形成されると共に、図10(図10はバンパフェイス10と補強部材20とを組合わせた状態下における図6のA−A線矢視断面図)にも示すように、ヘッドライト用の開口部12の開口縁12aと対応する部分には該開口縁12aの全周に沿う開口縁21aをもった開口部21が形成され、補強部材20の一部が開口縁12aに沿うように形成されている。
【0027】
また、上述の補強部材20にはバンパフェイス10のフランジ部16と対応する位置に折曲げ部22が一体形成されている。
図10においてバンパフェイス10の開口部12および補強部材20の開口部21と対応して、灯体としてのヘッドランプ30が設けられている。このヘッドランプ30は車体側に固定されると共に、ヘッドランプ30は各開口部12,21を通して光を放射するように設けられている。
【0028】
このヘッドランプ30はレンズ31、本体としてのハウジング32(いわゆるレンズボディ)、バルブおよびリフレクタを備え、これら各要素がユニット化されたものである。なお、図10において、33は車体パネルとしてのフェンダパネル、34はフェンダパネル33に位置決め孔33aに挿入される位置決めピンであって、この位置決めピン34は補強部材20の上部背面側から車両後方に向けて一体形成されている。
【0029】
ところで、図2〜図5に示すように一方のパネルとしてのバンパフェイス10の裏面には他方のパネルとしての補強部材20の端部を挟み込むために、開口部12の開口縁12aから裏面下側に向けて延びる複数の狭持部18が一体に延出されている。
【0030】
また上述の複数の狭持部18と対応するように他方のパネルとしての補強部材20における開口部21の開口縁21aには、図6〜図9に示すように複数の凹部23…が形成されている。
【0031】
図11はバンパフェイス10と補強部材20とを組合わせた状態下における図6のB−B線矢視断面図、図12は凹部23を斜め下方から見た状態で示す部分斜視図であって、他方のパネルとしての補強部材20の上記各凹部23にはバンパフェイス10(一方のパネル)の狭持部18と当接するように隆起された複数の当接部24,25,26が一体形成されている。
【0032】
ここで、上述の狭持部18は図11に仮想線αで示すように溶着前の通常時においては下方に延びるように形成されると共に、該狭持部18はその基端部から図11に実線で示す如く折曲されるように構成している。
【0033】
また補強部材20側の複数の当接部24,25,26は図11、図12に示すように、折曲げられた狭持部18の延出方向へいくに従って順次高くなるように隆起形成されている。
【0034】
つまり、当接部24の隆起高さに対して当接部25の隆起高さが高く、当接部25の隆起高さに対して当接部26の隆起高さが高くなるように形成されたものである。
しかも、図11、図12から明らかなように各当接部24,25,26の延出方向は、折曲げられた狭持部18の延出方向に対して直交または略直交するように形成されている。
【0035】
この実施例では凹部23に車両の前後方向に離間して当接部24,25,26が略車幅方向に延びるように形成され、狭持部18はその基端部から折曲された時、この折曲された狭持部18が車両の略前後方向に指向するように形成され、当接部24,25,26と狭持部18とが略直交するように構成している。
【0036】
バンパフェイス10(一方のパネル)と補強部材20(他方のパネル)とは、狭持部18を当接部24,25,26と溶着させることにより一体に接合するが、この場合、図11に示すような溶着ホーン40を用いる。
【0037】
この溶着ホーン40は図11、図13(但し、図13は図11における溶着ホーン40のみの側面図)に示すようにホーン本体41と、このホーン本体41の先端部に一体形成された複数の角部42(いわゆるホーン部)とを備え、これら複数の各角部42は当接部24,25,26の延出方向と直交すべくホーン本体41の先端部にそれぞれが平行になるように離間形成されている。
【0038】
上述の樹脂パネル(バンパフェイス10、補強部材20参照)同士を組付けて接合一体化する場合、バンパフェイス10の狭持部18が折り曲げられていない図11の仮想線αの状態下において、バンパフェイス10のヘッドライト用の開口部12の内側に図11に矢印a方向から補強部材20を装着して、この補強部材20の先端側を狭持部18の基端側に突き当てて位置決めする。
【0039】
次に、上記位置決め後において、図11に仮想線αで示す狭持部18を同図に実線で示すように折曲げる。この時、狭持部18は車両の前後方向に指向すると共に、補強部材20の各当接部24,25,26に当接し、これらの各当接部24,25,26の延出方向と、折曲げられた狭持部18の延出方向とが互に略直交するようになる。
【0040】
次に図11に示す溶着ホーン40を同図の矢印b方向に移動して狭持部18と各当接部24,25,26とが互に略直交するように溶着する。
溶着ホーン40を押圧した状態下における図11のC−C線矢視断面図を図14に示すように、該溶着ホーン40はその角部42の先端が狭持部18およびその塗膜層18aを溶融して突き破り、各当接部24,25,26(但し、図14では1つの当接部25のみを示す)を熱溶融して該当接部24,25,26に食い込むまで押圧すると共に、狭持部18下面をホーン本体41のトップデッキ面にてバックアップする。
【0041】
上記狭持部18を当接部24,25,26と溶着させた後、溶着ホーン40を引き抜くと、図15に示すように各角部42,42,42と対応する部分にはホーン溝43…が形成され、当接部24,25,26とホーン溝43とがクロスする部分および、その周辺部分において各当接部24,25,26と狭持部18とが図16に示すように熱溶着される。
【0042】
すなわち、隆起状の各当接部24,25,26の頂部の樹脂素材と、狭持部18の樹脂素材とが融合一体化され、当接部24,25,26と狭持部18とが溶着接合される。
【0043】
ここで、上述の塗膜層18aはバンパフェイス10を静電塗装する際に狭持部18の裏面側にもオーバースプレーされて形成されるものであり、この塗膜層18aが存在すると一般的に溶着強度が低下するが、上述の溶着ホーン40による角部42先端にて塗膜層18aを突き破って両者18,20を溶着するので、塗膜層18aが存在していても、充分な溶着強度を確保することができる。
【0044】
図11で示したバンパフェイス10の狭持部18は、その基端側が厚肉で、延出方向先端に行く程、薄肉に形成されているが、図17に示すように基端側から延出方向先端にかけてほぼ同一の肉厚の狭持部18と成して、延出方向先端側の偏肉による溶着強度不足を防止するように構成してもよい。なお、各図面において矢印Fは車両の前方を示すものである。
【0045】
このように上記実施例の樹脂パネル接合構造は、樹脂パネル(バンパフェイス10、補強部材20参照)同士を接合する樹脂パネル接合構造であって、一方のパネル(バンパフェイス10参照)には、他方のパネル(補強部材20参照)端部を挟み込む狭持部18が延出され、他方のパネル(補強部材20参照)には、上記一方のパネル(バンパフェイス10参照)の狭持部18と当接するよう隆起された当接部24,25,26が設けられ、一方のパネル(バンパフェイス10参照)と他方のパネル(補強部材20参照)とは、上記狭持部18を上記当接部24,25,26と溶着させることにより接合されるものである。
【0046】
この構成によれば、他方のパネル(補強部材20参照)に設けられた当接部24,25,26が隆起しているので、狭持部18と当接部24,25,26とを溶着して樹脂パネル間を溶着接合する際の両パネル(バンパフェイス10、補強部材20参照)間の密着性が高まり、接合強度の向上を図ることができるうえ、一方のパネル(バンパフェイス10参照)および他方のパネル(補強部材20参照)の何れもが樹脂パネルであるからリサイクル性にも優れる。
【0047】
また、上記狭持部18はその基端部から折曲されるよう構成され、上記当接部24,25,26は折り曲げられた狭持部18の延出方向へいくに従って高くなるよう隆起されたものである。
【0048】
この構成によれば、パネル(バンパフェイス10、補強部材20参照)間の位置決めがしやすいように、狭持部18を開いた状態(図11の仮想線α参照)にしておき、他方のパネル(補強部材20参照)の端部を狭持部18の基端側に突き当てて位置決めした後に、狭持部18を折り曲げて溶着する際に生ずる狭持部18と当接部24,25,26との間のギャップをなくす又はギャップを可及的
僅少かつ均等と成すことができ、この結果、両パネル間の密着性をより一層高めることができる。
【0049】
さらに、上記当接部24,25,26は上記狭持部18の延出方向に対し略直交するよう延出されたものである。
この構成によれば、狭持部18と当接部4,25,26との間の密着領域が、狭持部18の延出方向と略直交することになるので、狭持部18の延出方向へのパネル(バンパフェイス10、補強部材20参照)間のずれに対する耐力が向上する。
【0050】
しかも、上記狭持部18と上記当接部24,25,26とが互に略直交するよう溶着されるものである。換言すれば、当接部24,25,26の延出方向とホーン溝43…とが互に略直交するものである。
【0051】
この構成によれば、狭持部18と当接部24,25,26とが略直交する所謂クロス部位において確実な溶着が行われるので、溶着強度を高めることができる。
【0052】
加えて、上記一方のパネルは車両のバンパ外表面を形成するバンパフェイス10に設定され、上記他方のパネルは該バンパフェイス10を補強する補強部材20に設定され、上記狭持部18はバンパフェイス10の裏面側へ延出されたものである。
【0053】
この構成によれば、狭持部18がバンパフェイス10の裏面へ延出されているので、バンパフェイス10の意匠面を損なうことなく、該バンパフェイス10を補強部材20にて補強することができる。
【0054】
また、上記バンパフェイス10には開口部12が設けられると共に、上記補強部材20は該開口部12の開口縁12aの少なくとも一部に沿うよう設けられたものである。
【0055】
この構成によれば、バンパフェイス10の開口部12周囲の剛性を補強部材20にて確保することができる。
さらに、上記狭持部18がその基端部から折曲げされた時、折曲げされた狭持部18が車両の前後方向に指向するよう構成されたものである。
【0056】
この構成によれば、バンパフェイス10の熱変形が想定される車両前方への膨出変形を、狭持部18と当接部24,25,26との溶着にて確実に防止することができる。
【0057】
加えて、上記開口部12に対応する車体側には灯体(ヘッドランプ30参照)が固定され、該灯体(ヘッドランプ30参照)は開口部12を通して光を放射するよう設けられるものである。
【0058】
この構成によれば、灯体(ヘッドランプ30参照)が車体側に固定されている場合、バンパフェイス10の熱変形により生ずる灯体(ヘッドランプ30参照)とバンパフェイス10との間の隙を最小限に抑止することができる。
【0059】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の一方のパネル(樹脂パネル)は、実施例のバンパフェイス10に対応し、
以下同様に、
他方のパネル(樹脂パネル)は、補強部材20に対応し、
バンパフェイスの開口は、開口部12に対応し、
その開口縁は、開口縁12aに対応し、
灯体は、ヘッドランプ30に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0060】
例えば、図15において当接部24,25,26は合計3条設けたが、これは1条を含む複数条であってもよく、図13における溶着ホーン40の角部42も3条以外の条数に設定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の樹脂パネル接合構造を示す分解平面図
【図2】バンパフェイスの平面図
【図3】バンパフェイスの正面図
【図4】バンパフェイスの右側面図
【図5】バンパフェイスの斜視図
【図6】補強部材の平面図
【図7】補強部材の正面図
【図8】補強部材の右側面図
【図9】補強部材の斜視図
【図10】バンパフェイスと補強部材とを組合せた状態下における図6のA−A線矢視断面図
【図11】バンパフェイスと補強部材とを組合せた状態下における図6のB−B線矢視断面図
【図12】補強部材の要部を斜め下方から見た状態で示す部分斜視図
【図13】溶着ホーンの側面図
【図14】溶着時における図11のC−C線矢視断面図
【図15】狭持部と当接部とのクロス状態を示す説明図
【図16】狭持部と当接部との融合一体化状態を示す断面図
【図17】狭持部構造の他の実施例を示す断面図
【符号の説明】
【0062】
10…バンパフェイス(一方のパネル)
12…開口部(開口)
12a…開口縁
18…狭持部
20・・・補強部材(他方のパネル)
24,25,26…当接部
30…ヘッドランプ(灯体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂パネル同士を接合する樹脂パネル接合構造であって、
一方のパネルには、他方のパネル端部を挟み込む狭持部が延出され、
他方のパネルには、上記一方のパネルの狭持部と当接するよう隆起された当接部が設けられ、
一方のパネルと他方のパネルとは、上記狭持部を上記当接部と溶着させることにより接合される
樹脂パネル接合構造。
【請求項2】
上記狭持部はその基端部から折曲されるよう構成され、
上記当接部は折り曲げられる狭持部の延出方向へいくに従って高くなるよう隆起された
請求項1記載の樹脂パネル接合構造。
【請求項3】
上記当接部は上記狭持部の延出方向に対し略直交するよう延出された
請求項1または2記載の樹脂パネル接合構造。
【請求項4】
上記狭持部と上記当接部とが互に略直交するよう溶着される
請求項3記載の樹脂パネル接合構造。
【請求項5】
上記一方のパネルは車両のバンパ外表面を形成するバンパフェイスに設定され、
上記他方のパネルは該バンパフェイスを補強する補強部材に設定され、
上記狭持部はバンパフェイス裏面側へ延出された
請求項1〜4の何れか1に記載の樹脂パネル接合構造。
【請求項6】
上記バンパフェイスには開口が設けられると共に、上記補強部材は該開口縁の少なくとも一部に沿うよう設けられた
請求項5記載の樹脂パネル接合構造。
【請求項7】
上記狭持部がその基端部から折曲された時、折曲された狭持部が車両の前後方向に指向するよう構成された
請求項6記載の樹脂パネル接合構造。
【請求項8】
上記開口に対応する車体側には灯体が固定され、該灯体は開口を通して光を放射するよう設けられる
請求項6または7記載の樹脂パネル接合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−193097(P2006−193097A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−8915(P2005−8915)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)