説明

樹脂ペレット乾燥装置の残留樹脂ペレット除去方法

【課題】簡易な作業により乾燥容器内の残留樹脂ペレットを効率的に除去して乾燥する樹脂ペレットの変更作業を効率的に行う。樹脂ペレット乾燥装置の構造を複雑化することなく、残留樹脂ペレットを効率的に除去することができ、装置の製造コストを低減する。
【解決手段】乾燥容器7・9内に所要の流量及び流速の空気流を供給し、該空気流の圧力により少なくとも乾燥容器7・9の内部に付着した残留樹脂ペレットRRPを強制除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形機の樹脂ペレットを乾燥する樹脂ペレット乾燥装置の残留樹脂ペレット除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂成形機に供給される樹脂ペレットの表面に付着した水分や、内部の結合水を除湿乾燥する樹脂ペレット乾燥装置としては、例えば特許文献1に示すように、水平状態に配置される1本のチューブにて形成されるペレット収容部と、当該ペレット収容部を形成するチューブ内に設置されるものであって電動モータにて回転駆動されるスクリューフィーダと、上記ペレット収容部内を所定の真空圧状態に保持する真空引き手段と、上記ペレット収容部を形成するチューブのところに設けられ、かつ上記ペレット収容部内を所定の温度に保持するヒータと、上記ペレット収容部を形成するチューブの一方の端部側に形成されるペレット導入部のところに設けられるものであって所定のアクチュエータにて駆動される導入側開閉と、同じくペレット収容部を形成するチューブのもう一方の端部側に形成されるペレット排出部のところに設けられるものであって所定のアクチュエータにて駆動される排出側開閉と、これら各開閉を駆動するアクチュエータの作動制御、上記スクリューフィーダを駆動する電動モータの作動制御及び上記真空引き手段の作動制御、更には上記ヒータの温度制御を行う制御手段とから構成されたものが知られている。
【0003】
この種の樹脂ペレット乾燥装置にあっては、樹脂成形機による成形品の種類により使用する樹脂ペレットが異なるため、成形品に応じて乾燥する樹脂ペレットを変更する必要がある。乾燥する樹脂ペレットを変更するには、変更前後の樹脂ペレットが互いに混ざり合うのを回避するため、チューブ内やスクリューフィーダ等に付着した変更前の残留樹脂ペレットを除去する必要がある。残留樹脂ペレットを除去しない場合には、異なる樹脂ペレットが互いに混ざり合い、これを原料とすることにより所望の成形品を成形できないことになる。
【0004】
残留樹脂ペレットを除去するには、チューブの端部を開放して内部のスクリューフィーダを取出した後に、これらチューブ内やスクリューフィーダにそれぞれ付着した残留樹脂ペレットを除去するためのクリーニング作業を行う必要がある。
【0005】
しかし、樹脂ペレット乾燥装置にあっては、チューブを簡易に開放可能にする構造とする一方、閉鎖後において一定の真空度を維持することができる構造にする必要があり、構造自体が複雑化して装置が高コスト化する問題を有している。
【0006】
また、チューブ内やスクリューフィーダに付着した残留樹脂ペレットを手作業で除去する必要があり、この作業に手間と時間がかかって短持間に残留樹脂ペレットを除去できず、成形作業を非効率化する要因になっている。
【特許文献1】特開2005−238691号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、乾燥する樹脂ペレットを変更する際には、残留した樹脂ペレットを除去する必要があるが、除去作業に手間と時間がかかり、短時間に変更できない点にある。乾燥容器内を、組立て時における気密状態を維持しながら簡易に開放可能な構造にするには、装置自体の構造が複雑化して高コスト化の要因になる点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、乾燥容器内に投入された樹脂ペレットを、投入側から排出側に向かう空気流を形成した状態で加熱して樹脂ペレットの水分を除湿して排出する樹脂ペレット乾燥装置において、乾燥される樹脂ペレットを変更する際に、乾燥容器内に所要の流量及び流速の空気流を供給して少なくとも乾燥容器内部に付着した残留樹脂ペレットを強制除去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、簡易な作業により乾燥容器内の残留樹脂ペレットを効率的に除去することができ、乾燥する樹脂ペレットの変更作業を効率的に行うことができる。樹脂ペレット乾燥装置の構造を複雑化することなく、残留樹脂ペレットを効率的に除去することができ、装置の製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、乾燥される樹脂ペレットを変更する際に、乾燥容器内に所要の流量及び流速の空気流を供給して少なくとも乾燥容器内部に付着した残留樹脂ペレットを強制除去することを最良の形態とする。
【実施例】
【0011】
以下、本発明方法が適用される実施例装置を示す図に従って説明する。
先ず、本発明方法が適用される樹脂ペレット乾燥装置1に付いて説明すると、図1〜図3において、樹脂ペレット乾燥装置1の本体フレーム3には、投入ホッパー部5、乾燥容器を構成する水平方向に軸線を有した上段シリンダー部7及び下段シリンダー部9、排出ホッパー部11が組込まれている。
【0012】
投入ホッパー部5はチャンバー13の上部に投入口部13a及び下部に上段シリンダー部7への接続口部13bを有している。
【0013】
投入ホッパー部5の投入口部13aには第1開閉部材15を介してインテーク部17が着脱可能に取付けられている。第1開閉部材15は投入口部13aとインテーク部17の間の微小間隙に対して水平方向へ気密状態で摺動可能に配置された開閉板15aと、インテーク部17に取付けられた取付けステー15bに基端部が固定されると共にロッドが開閉板15aに固定されたエアーシリンダー等の作動部材15cにより構成される。
【0014】
上記開閉板15aは、例えば可撓性を有した薄板ステンレス板等の金属板からなり、一方側に投入口部13a及びインテーク部17の通路とほぼ一致する大きさの開口15dが形成されている。
【0015】
インテーク部17には樹脂ペレット供給ホース21の先端に取付けられたジョイント部材19がボルト17aにより着脱可能に固定されている。該樹脂ペレット供給ホース21は樹脂ペレットRPが貯えられた容器、袋等内に差し込まれ、後述する送風装置23の排気に伴う負圧により樹脂ペレットRPを投入ホッパー部5内へ導入させる。
【0016】
投入ホッパー部5の接続口部13bに接続された上段シリンダー部7は所要の内径で、例えばステンレス等の金属製からなる。該上段シリンダー部7内には水平方向に軸線を有したスクリュー25が回転可能に軸支され、上段シリンダー部7の端部から突出するスクリュー25の一方軸端部には本体フレーム3に固定された電動モータ27が連結されている。また、上段シリンダー部7の図示する右側下部には該上段シリンダー部7の内径とほぼ一致する大きさの開口を有した接続口部7aが設けられている。
【0017】
上段シリンダー部7の接続口部7aには下段シリンダー部9の図示する右端部が接続されている。即ち、下段シリンダー部9は上記上段シリンダー部7とほぼ一致する内径で、例えばステンレス等の金属製からなる。該下段シリンダー部9の図示する右側上部には開口部と一致する大きさの開口を有した接続口部9aが設けられている。そして互いに軸線が一致して重ね合わされた上段シリンダー部7の空気導入口7b及び下段シリンダー部9の空気排出口9bは緊締バンド(図示せず)により気密状に固定される。
【0018】
下段シリンダー部9内には水平方向に軸線を有したスクリュー31が回転可能に軸支され、下段シリンダー部9の端部から突出した該スクリュー31の一方軸端部には本体フレーム3に固定された電動モータ33が連結されている。
【0019】
上記上段シリンダー部7の図示する左側には空気導入口7bが、また上段シリンダー部7の図示する中央部及び右側と下段シリンダー部9の図示する右側、中央部及び左側には空気排出口7c・9bが、内部と連通するように設けられている。そして空気導入口7bには空気供給装置34が空気供給ホース7dを介して接続され、上段シリンダー部7内に所要量の空気を供給する。空気導入口7bを介して上段シリンダー部7内に導入される空気としては、乾燥加熱空気が望ましい。また、空気排出口7c・9bには排気装置36が空気排気ホース7e・9cを介してそれぞれ接続され、上段シリンダー部7及び下段シリンダー部9内の空気を排気し、上記空気導入口7bからの空気流入作用と相俟って内部を所要の減圧状態にさせる。これにより上段シリンダー部7及び下段シリンダー部9内を所要の減圧状態に形成しながら空気導入口7bからそれぞれの空気排出口7c・9bに至る空気流を形成する。
【0020】
上記スクリュー25・31の各軸内には、例えばシーズヒータ等の内部加熱部材(図示せず)が内蔵されている。また、上段シリンダー部7及び下段シリンダー部9の外周面には、例えば面状ヒータ等の外部加熱部材(図示せず)が取付けられている。これら内部加熱部材及び外部加熱部材はスクリュー25・31を含む上段シリンダー部7及び下段シリンダー部9を加熱して内部を移送される樹脂ペレットRPを、外面に付着した水や内部の結合水が蒸発可能で、かつ樹脂ペレットRP自体が溶融しない温度に加熱させる。
【0021】
尚、上段シリンダー部7及び下段シリンダー部9には、例えばグラスウール等の断熱材39が、外周面全体を覆うようにそれぞれ取付けられている。
【0022】
下段シリンダー部9の図示する左側下部には下段シリンダー部9の内径にほぼ一致する大きさの開口部を有した接続口部9dが設けられ、該接続口部9dには排出ホッパー部11が接続されている。
【0023】
上記排出ホッパー部11はストック用ホッパー41及び排出用ホッパー43とからなり、ストック用ホッパー41及び排出用ホッパー43の間には第2開閉部材45が取付けられている。該第2開閉部材45は、上記第1開閉部材15と同様に、ストック用ホッパー41及び排出用ホッパー43間の微小間隙内にて水平方向へ気密状態で摺動可能な開閉板45aと、排出用ホッパー43の下部口部に固定された取付けステー45bに基端部が固定されると共にロッドが開閉板45aに固定されたエアーシリンダー等の作動部材45cとから構成される。上記開閉板45aは、例えば可撓性を有した薄手状ステンレス板等の金属板からなり、その一部にはストック用ホッパー41及び排出用ホッパー43の流路と一致する大きさの開口部45dが形成されている。
【0024】
排出用ホッパー43の下部には排出口部47が設けられ、該排出口部47には樹脂成形機の原料供給部(図示せず)に接続された原料導入ホース48が着脱可能に取付けられている。
【0025】
上記送風装置23は、例えばブロア装置等からなり、該送風装置23には給排気バルブ49が接続されている。そして給排気バルブ49の給気ポートは上記した排出口部47に接続され、導入される空気流により排出用ホッパー43内に溜められた乾燥後の樹脂ペレットRPを、原料導入ホース48を介して樹脂成形機の原料供給部へ圧送させる。また、排気ポートはインテーク部17に接続され、排気による負圧により樹脂ペレットRPを投入ホッパー部5内に導入させる。
【0026】
図5において、残留樹脂ペレット除去装置は、圧気発生装置51及び残留樹脂ペレット回収容器53から構成される。上記圧気発生装置51は、例えば送風機や窒素ガス源等の圧気発生源51aと、これに接続され、先端部にジョイントヘッド51bが取付けられた圧気供給ホース51cにより構成される。圧気発生源51aを送風装置とした場合にあっては、投入ホッパー部5、上段シリンダー部7及び下段シリンダー部9、排出ホッパー部11内に付着した残留樹脂ペレットRRPを除去して排出するのに充分な空気量及び流速を得る必要があり、1台で所望の空気量及び流速を得ることができない場合には、複数台の送風装置を並列接続した構成であってもよい。
【0027】
また、残留樹脂ペレットRRPを除去する媒体として窒素ガスを使用する場合には、液体窒素タンクからの液体窒素を蒸発器により所望のガス量及び流速になるようにガス化して使用する。
【0028】
そして上記した圧気発生装置51は、ジョイントヘッド51bを、ジョイント部材19が取外されたインテーク部17のボルト17aを介して固定し、樹脂ペレット乾燥装置1内に所要の流量及び流速の空気流を供給する。
【0029】
一方、残留樹脂ペレット回収容器53は、容器53a内に多数の小孔57aを有した邪魔板57を、排出口部47から排気される空気流に対して所要の角度、例えば45度の角度を設けて取付けると共に邪魔板57の空気排出側に大気と連通する放出口59を設けた構造からなる。そして該残留樹脂ペレット回収容器53は、原料導入ホース48が取外された排出口部47に対し、容器53aの空気導入口に接続されたホース61を取付けて樹脂ペレット乾燥装置1に接続する。
【0030】
先ず、樹脂ペレットRPの乾燥方法を説明すると、内部加熱部材及び外部加熱部材により上段シリンダー部7及び下段シリンダー部9とスクリュー25・31を所要の温度になるように加熱させると共に空気導入口7bを介して上段シリンダー部7内に所要量の空気を導入しながら空気排出口7c・9bを介して上段シリンダー部7及び下段シリンダー部9内の空気を排気させる。これにより上段シリンダー部7及び下段シリンダー部9内は一定の減圧状態を保ちながらスクリュー25・31の移送方向に向う空気流を形成する。
【0031】
上記状態にて作動部材15cを作動して開閉板15aの開口15dを投入口部13aに一致させて投入口部13aを開放させると共に作動部材45cを復動して開閉板45aによりストック用ホッパー41及び排出用ホッパー43間の通路を閉鎖させる。次に、作動する送風装置23によりインテーク部17内を負圧形成して容器や袋内の樹脂ペレットRPを負圧吸引して投入ホッパー部5内に導入させる(図6参照)。
【0032】
そして投入ホッパー部5内に一定量の樹脂ペレットRPが溜められると、作動部材15cを復動して開閉板15aを水平方向へ移動して投入口部13aの通路を閉鎖させる。このとき、投入口部13aは上記負圧により内側に撓んで密着し、投入ホッパー部5、上段シリンダー部7及び下段シリンダー部9と排出ホッパー部11内を所定の減圧状態に保たせる。
【0033】
この状態にて電動モータ27を駆動してスクリュー25を、その移送方向が図示する左側から右側へ、また電動モータ33を駆動してスクリュー31を、その移送方向が図示する右側から左側になるように回転させる。これにより投入ホッパー部5内に溜められていた樹脂ペレットRPはスクリュー25・31の回転に伴って上段シリンダー部7及び下段シリンダー部9内を、上記した所要の減圧下で加熱させられながら排出ホッパー部11側へ移送させる。
【0034】
上記移送途中においては、樹脂ペレットRPを加熱して外面に付着した水を水蒸気化させる。また、樹脂ペレットRPを加熱して内部の結合水を水蒸気化して減圧作用により外部へ放出させる。このように樹脂ペレットRPからの水蒸気を、上段シリンダー部7の図示する左側からスクリュー25・31の移送方向へ向う空気流に乗って上段シリンダー部7及び下段シリンダー部9から排気させる(図7参照)。
【0035】
上記した作用により表面に付着した水分や含有された結合水が除去された樹脂ペレットRPを、少なくともスクリュー31の回転に伴ってストック用ホッパー41内へ導入して溜める(図8参照)。そしてストック用ホッパー41内の樹脂ペレットRPが所定量に達すると、作動部材45cを作動して開閉板45aを、その開口部45dがストック用ホッパー41及び排出用ホッパー43間の通路に一致させて開放し、ストック用ホッパー41内に溜められた除湿後の樹脂ペレットRPを、排出用ホッパー43内へ自重落下させた後に、送風装置23から導入される空気流により原料導入ホース48を介して樹脂成形機の原料供給部へ圧送させる(図9参照)。
【0036】
尚、ストック用ホッパー41内に溜められた樹脂ペレットRPが所定量に達した際には、スクリュー25・31の駆動を停止してもよく、またその駆動を継続してもよい。また、ストック用ホッパー41内に溜められた乾燥後の樹脂ペレットRPの全量が排出用ホッパー43内に導入された際には、作動部材45cを復動してストック用ホッパー41及び排出用ホッパー43間の通路を閉鎖させると共に作動部材15cを作動して投入口部13aの通路を開放した後に、送風装置23による負圧により、次に除湿される樹脂ペレットRPを投入ホッパー部5内へ供給させる。
【0037】
次に、樹脂成形機に使用する樹脂ペレットRPを変更して別の成形品を成形する際には、樹脂ペレット乾燥装置1により除湿する樹脂ペレットRPを、新たに成形する成形品に応じた樹脂ペレットRPへ変更する必要がある。
【0038】
その際、前回の残留樹脂ペレットRRPと次回の樹脂ペレットRPが混ざり合うのを防止するため、投入ホッパー部5、スクリュー25・31を含む上段シリンダー部7及び下段シリンダー部9、排出ホッパー部11内に付着した残留樹脂ペレットRRPを除去する必要がある。
【0039】
この場合、先ず、インテーク部17からジョイント部材19を取外した後に、該インテーク部17に対してジョイントヘッド51bをボルト17aにより固定すると共に排出口部47から原料導入ホース48を取外した後に、ホース61を接続する(図5参照)。
【0040】
上記状態にて作動部材15cを作動して投入口部13aの通路を開放させると共に作動部材45cを作動してストック用ホッパー41及び排出用ホッパー43間の通路を開放させた後、圧気発生装置51を作動して所定の流量及び流速の空気流を樹脂ペレット乾燥装置1内へ導入させる。
【0041】
これにより投入ホッパー部5、スクリュー25・31を含む上段シリンダー部7及び下段シリンダー部9、排出ホッパー部11内に付着した残留樹脂ペレットRRPを、導入された空気流の圧力により剥離除去して空気流と共に残留樹脂ペレット回収容器53内に導入させる(図10参照)。そして残留樹脂ペレット回収容器53内に導入された空気流中の残留樹脂ペレットRRPを邪魔板57により放出口59側への移送を遮断して容器53a内に回収する。尚、残留樹脂ペレットRRPが分離された空気流は邪魔板57の小孔57aを通過して放出口59から大気中へ放出される(図11参照)。
【0042】
空気流が、スクリュー25・31を含む上段シリンダー部7及び下段シリンダー部9内を通過する際においては、スクリュー25・31の羽根により旋回流に形成される。この旋回空気流は、空気流の進行方向と共に放射方向への力を有しているため、スクリュー25・31に付着した残留樹脂ペレットRRPや上段シリンダー部7及び下段シリンダー部9の内周面に付着した残留樹脂ペレットRRP及びスクリュー25・31の外周端と上段シリンダー部7及び下段シリンダー部9の内周面の間の残留樹脂ペレットRRPを効率的に除去することができる。
【0043】
本実施例は、樹脂ペレット乾燥装置1内に対して所要の流量及び流速の空気流を導入することにより投入ホッパー部5、スクリュー25・31を含む上段シリンダー部7及び下段シリンダー部9、排出ホッパー部11内に付着した残留樹脂ペレットRRPを効率的に除去して回収することができる。これにより樹脂ペレット乾燥装置1のクリーニングを簡易かつ短持間に行うことができる。また、従来のように樹脂ペレット乾燥装置1を分解可能な構造にする必要がなく、装置構造を簡易化することができる。
【0044】
本発明は、以下のように変更実施することができる。
1.上記説明は、残留樹脂ペレット回収容器53を、容器53a内に邪魔板57を設けた構造としたが、樹脂ペレットの大きさ以下の網目を有したフィルターを、排出口部47またはホース61の先端部に取付けて残留樹脂ペレットを回収してもよい。
【0045】
2.上記説明は、インテーク部17に対してストレート状の空気流を導入して残留樹脂ペレットRRPを空気圧で除去する方法としたが、ジョイントヘッド51b内に羽根を設けてインテーク部17内に導入される空気流を旋回流としてもよい。この場合にあっては、特に投入ホッパー部5内に付着した残留樹脂ペレットを効率的に除去することができる。
【0046】
3.上記説明は、スクリュー25・31の回転を停止した状態で、上段シリンダー部7及び下段シリンダー部9内に空気流を通過させる方法としたが、上段シリンダー部7及び下段シリンダー部9内に対して空気流を通過させる際に、スクリュー25・31を樹脂ペレットの移送方向またはこれと反対方向へ回転させてもよい。この場合にあっては、上段シリンダー部7及び下段シリンダー部9内に対して空気流が通過する際に、強い旋回流が形成されることにより、これらに付着した残留樹脂ペレットを効率的に剥離除去することができる。
【0047】
4.上記説明は、乾燥容器として水平方向に軸線を有した上下2段のシリンダー部材としたが、乾燥容器をシリンダー部材とした場合にあっては、少なくとも1個のシリンダー部材であればよく、樹脂ペレットの乾燥時間に応じて3段以上の構成としてもよい。また、乾燥容器としては、上下方向に軸線を有し、上部及び下部の開口が開閉可能な構造からなり、内部に電動モータにより回転する撹拌部材を設けたホッパー容器であってもよい。この場合にあっては、ホッパー容器の下部から空気を流入させると共に上部から排気して内部を所要の減圧状態に保つ構成であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明方法を具体化した樹脂ペレット乾燥装置の概略を示す斜視図である。
【図2】樹脂ペレット乾燥装置の略体中央縦断面図である。
【図3】残留樹脂ペレット除去装置の圧気供給装置が接続される箇所を拡大して示す斜視図である。
【図4】残留樹脂ペレット除去装置の残留樹脂ペレット回収装置が接続される箇所を拡大して示す斜視図である。
【図5】残留樹脂ペレット除去装置の概略を示す説明図である。
【図6】投入ホッパー部内に樹脂ペレットを溜めた状態を示す説明図である。
【図7】上段シリンダー部及び下段シリンダー部内からの水蒸気の排気状態を示す説明図である。
【図8】ストック用ホッパー内に除湿乾燥された樹脂ペレットを溜めた状態を示す説明図である。
【図9】樹脂成形機に除湿乾燥された樹脂ペレットを導入する状態を示す説明図である。
【図10】残留樹脂ペレットの除去状態を示す説明図である。
【図11】残留樹脂ペレットの回収状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0049】
1 樹脂ペレット乾燥装置
5 投入ホッパー部
7 乾燥容器の一部を構成する上段シリンダー部
9 乾燥容器の一部を構成する下段シリンダー部
51 圧気発生装置
53 残留樹脂ペレット回収容器
RP 樹脂ペレット
RRP 残留樹脂ペレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥容器内に投入された樹脂ペレットを、投入側から排出側に向かう空気流を形成した状態で加熱して樹脂ペレットの水分を除湿して排出する樹脂ペレット乾燥装置において、乾燥容器内に所要の流量及び流速の空気流を供給して少なくとも乾燥容器内部に付着した残留樹脂ペレットを強制除去する残留樹脂ペレット除去方法。
【請求項2】
請求項1の乾燥容器は、上下方向に中心軸線を有したホッパーからなる樹脂ペレット乾燥装置の残留樹脂ペレット除去方法。
【請求項3】
請求項1の乾燥容器は、水平方向に中心軸線を有した複数のシリンダーを折返し状に連結した樹脂ペレット乾燥装置の残留樹脂ペレット除去方法。
【請求項4】
請求項2又は3において、乾燥容器内には樹脂ペレットを強制的に移送する回転スクリューを設けた樹脂ペレット乾燥装置の残留樹脂ペレット除去方法。
【請求項5】
請求項1において、乾燥容器内に空気流を供給するに際し、該空気流を旋回運動させて樹脂ペレット乾燥装置内に供給する残留樹脂ペレット除去方法。
【請求項6】
請求項1において、乾燥容器内に供給される空気流は、送風手段により発生させる空気流とした樹脂ペレット乾燥装置の残留樹脂ペレット除去方法。
【請求項7】
請求項4において乾燥容器内に空気流を供給する際に、回転スクリューを所要の方向へ回転させる樹脂ペレット乾燥装置の残留樹脂ペレット除去方法。
【請求項8】
請求項1において、樹脂ペレット乾燥装置の排出側にフィルターを設け、該フィルターにより排出される空気流から除去された残留樹脂ペレットを分離可能にした樹脂ペレット乾燥装置の残留樹脂ペレット除去方法。
【請求項9】
請求項1において、樹脂ペレット乾燥装置の排出側に、多数の小孔を有した邪魔板を設け、該邪魔板に対して除去された残留樹脂ペレットを含む空気流を衝突させて空気流から残留樹脂ペレットを分離可能にした樹脂ペレット乾燥装置の残留樹脂ペレット除去方法。
【請求項10】
請求項1の樹脂乾燥装置は、上部開口が第1開閉部材により開閉可能な投入ホッパー部と、投入ホッパー部の下部に対して一方端部が連通可能に接続され、内部に水平方向に軸腺を有したスクリュー部材が回転可能に軸支されて投入された樹脂ペレットを水平方向へ移送する少なくとも一段のシリンダー部材と、スクリュー部材を所要の方向へ回転させる回転駆動部材と、スクリュー部材及びシリンダー部材の少なくとも一方を樹脂ペレットの非溶融温度まで加熱する加熱部材と、シリンダー部材の移送方向下手側から排出される乾燥後の樹脂ペレットを溜める排出ホッパー部と、シリンダー部材と排出ホッパー部の流路を開閉する第2開閉部材と、シリンダー部材の移送方向上手側内に空気を供給する空気導入手段及び移送方向下手側に向かって内部の空気を排出する複数の空気排気手段を備え、投入ホッパー部の上部に対して残留樹脂ペレット除去用の空気を供給可能にした樹脂ペレット乾燥装置の残留樹脂ペレット除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−152620(P2007−152620A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−347820(P2005−347820)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(000132231)株式会社スター精機 (47)
【Fターム(参考)】