説明

樹脂リサイクル装置

【課題】廃棄樹脂の破砕、粉状の樹脂の分離除去、破砕樹脂の計量、酸化防止剤の添加、混合物の攪拌の工程を1台で行うオールインワン装置であって、設置面積を少なくし、輸送経路を短くした小型の樹脂リサイクル装置を提供する。
【解決手段】本発明の樹脂リサイクル装置は、破砕部1と分離部2と計量添加部3と攪拌部4がこの順序で鉛直下向きに配置され、分離部2が、分離部2内に旋回流を起こす空気を上部から流入させるための空気流入口と、分離部2内の空気を下部から排出するための空気排出口と、分離部2の内部領域を外周領域とその外周領域よりも内側の領域に分けるメッシュと、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランナーや成形不良品などの廃棄樹脂を再利用するための樹脂リサイクル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リサイクル樹脂材の生成工程として、ランナーや成形不良品などの廃棄樹脂を破砕し、破砕された樹脂から細かくなりすぎた粉状の樹脂を分離除去した後、粉状の樹脂が除去された破砕樹脂の重量を計量し、その破砕樹脂の重量にあわせた量の酸化防止剤を添加し、攪拌による摩擦熱で破砕樹脂を軟化させて、破砕樹脂に酸化防止剤を付着させる方法が知られており、これらの工程は複数の装置で処理されている(例えば、特許文献1参照。)。図5は、特許文献1に記載された従来の樹脂リサイクル装置を示す図である。
【0003】
図5において、破砕装置201は、廃棄樹脂を破砕する。破砕された樹脂は空気輸送管202で搬送され、風力分離装置203で、相対的に重い破砕樹脂204と、相対的に軽い粉状の樹脂205に風力分離され、破砕樹脂204が次の工程に送られる。粉状の樹脂205は、風力分離装置203の分離塔内を上昇する空気流に乗って舞い上がり、配管206等を介して回収袋207に回収される。この装置では、破砕と分離の工程を行うために破砕装置201と風力分離装置203を設置する場所が必要となる。また、空気と共に粉状の樹脂を排出するための空気排気口が分離塔の上部に設けられている。
【0004】
一方、従来の風力分離装置として、粉状の樹脂を効率よく分離除去するものがある(例えば、特許文献2参照。)。図6は、特許文献2に記載された従来の風力分離装置を示す図である。
【0005】
図6に示す風力分離装置は、内層筒301と外層筒302からなる分離塔を備える。内層筒301の上部には、破砕された樹脂303を内層筒301内へ圧送するための流入口304が設けられており、下部には、目的物である破砕樹脂305を取り出す取出口306が設けられている。また、内層筒301は、円筒形部307と円錐形部308からなり、円錐形部308にのみ篩目309が設けられている。外層筒302の下部には、篩目309を通過した粉状の樹脂310を排出するための排出口311が設けられている。また、内層筒301の中央上部には、排気口312が設けられている。
【0006】
このような構成において、流入口304から内層筒301の中へ破砕された樹脂303を圧送すると、破砕された樹脂303は、旋回流に乗って分離塔内を旋回する。この旋回によって篩目309の内周面に擦られて、粉状の樹脂310が、目的物である破砕樹脂305の表面から分離し、篩目309を通過して排出口311へ落下する。その一方で、目的物である破砕樹脂305が取出口306へ落下する。また、粉状の樹脂310よりも軽い微粉物313が、旋回流の中心を通る上昇気流に乗って、空気排気口312から空気と共に排出される。
【0007】
この風力分離装置では、空気と共に微粉物を排出するための空気排気口が分離塔の上部に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−117837号公報
【特許文献2】特開2002−192017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上説明したように、従来の樹脂リサイクル装置は各工程を複数の装置に分けて処理しており、広い設置場所が必要であった。また、破砕した樹脂から細かい粉状の樹脂を分離した後、粉状の樹脂が除去された破砕樹脂を、酸化防止剤添加工程、攪拌工程に輸送する必要があり、その輸送の際に、振動や落下で破砕樹脂が細かくなったり、輸送中の漏れで破砕樹脂の量が減少したりする可能性が考えられる。
【0010】
設置面積を少なくし、輸送経路を短くするための方法としては、各工程を縦(鉛直下向き)に配置する方法が挙げられる。しかしながら、前記した従来の風力分離装置では、空気の排出口が分離塔の上部に設けられている。そのため、風力分離装置から空気が鉛直上方に排出されるので、風力分離装置の鉛直上方に配置した破砕装置に、細かい粉状の樹脂が逆流するという問題が発生する。
【0011】
本発明は、廃棄樹脂の破砕、粉状の樹脂の分離除去、破砕樹脂の計量、酸化防止剤の添加、混合物の攪拌の工程を1台で行うオールインワン装置であって、設置面積を少なくし、輸送経路を短くした小型の樹脂リサイクル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の樹脂リサイクル装置は、樹脂を破砕する破砕部と、前記破砕した樹脂から粉状の樹脂を分離除去する分離部と、前記粉状の樹脂が分離除去された後の前記破砕した樹脂を計量し、計量後の前記破砕した樹脂に酸化防止剤を添加する計量添加部と、前記酸化防止剤が添加された後の前記破砕した樹脂を攪拌する攪拌部と、を備え、前記破砕部と前記分離部と前記計量添加部と前記攪拌部をこの順序で鉛直下向きに配置し、前記分離部が、前記分離部内に旋回流を起こす空気を上部から流入させるための空気流入口と、前記分離部内の空気を下部から排出するための空気排出口と、前記分離部の内部領域を外周領域とその外周領域よりも内側の領域に分けるメッシュと、を有することを特徴とする。
【0013】
このようにすれば、分離部の下部から空気を排出できるので、分離部の鉛直上方に配置した破砕部へ細かい粉状の樹脂が逆流する現象を抑制できる。よって、各工程を縦(鉛直下向き)に配置することができるので、設置面積を少なくし、輸送経路を短くした小型の樹脂リサイクル装置を提供することができる。
【0014】
また、本発明の樹脂リサイクル装置は、前記破砕部と前記分離部との間にエアカーテンを配置してもよい。このようにすれば、エアカーテンの空気の流れによって、分離部の鉛直上方に配置した破砕部へ細かい粉状の樹脂が逆流する現象を抑制できる。加えて、破砕部で破砕された樹脂に分離部の入口でエアカーテンの風を当てることで、破砕された樹脂と破砕された樹脂の表面に静電気などで付着した粉状の樹脂との分離が促進されるので、粉状の樹脂の分離除去にかかる時間を短縮できる。よって、分離部の鉛直方向長さの短縮化を図ることができ、ひいては、樹脂リサイクル装置の鉛直方向における小型化を図ることができる。これに対して、前記した従来の風力分離装置では、内層筒の上部の円筒形部の長さが短いと、旋回流速が小さくなり、篩目での擦る効果が小さくなる。このため、分級性能を上げるには、内層筒の上部の円筒形部を長くして必要十分な旋回流速を保持できるようにする必要があった。したがって、従来の風力分離装置は鉛直方向に長い構造となり、各工程を鉛直に配置すると鉛直方向に非常に大型の装置となる。
【0015】
また、本発明の樹脂リサイクル装置は、前記エアカーテンの空気の流れを前記分離部の内部領域に引き込む旋回流導入路をさらに備えてもよい。この構成において、前記エアカーテンは鉛直斜め下方向に噴出し、前記旋回流導入路は前記エアカーテンの空気の流れを前記分離部の内部領域に引き込み前記旋回流に加える形状を有するのが好適である。
【0016】
このようにすれば、エアカーテンの空気の流れを分離部内に引き込むことができるので、粉状の樹脂を分離部内から逃さず、分離部内に滞留させて十分に分離除去することができる。したがって、分級性能を上げるために鉛直方向に長い流路を必要とせず、分離部を縦方向に小さくすることが可能となり、ひいては、樹脂リサイクル装置の鉛直方向における小型化を図ることができる。
【0017】
また、本発明の樹脂リサイクル装置は、前記破砕部と前記分離部とをつなぐ分離部入口が、旋回流の中心より偏心した位置に配置されていてもよい。このようにすれば、分離部の鉛直上方に配置した破砕部へ細かい粉状の樹脂が逆流する現象を抑制できる。加えて、破砕部から投入される破砕樹脂を旋回流へ巻き込みやすくなる。
【0018】
また、本発明の樹脂リサイクル装置は、前記分離部と前記計量添加部とをつなぐ分離部出口を、前記旋回流を斜め上に流すように返りをつけた形状としてもよい。このようにすれば、分離部の底部から旋回流を浮かせることができ、分離部の鉛直下方に配置した計量添加部への旋回流の流れ込みの防止を図ることができる。
【0019】
また、本発明の樹脂リサイクル装置は、前記空気排出口に排気手段をさらに備えてもよい。このようにすれば、旋回流速を強めることができるので、分離部の鉛直上方に配置した破砕部へ細かい粉状の樹脂が逆流する現象を抑制できる。また、旋回流速を強めることができるので、メッシュでの擦る効果を大きくすることができ、破砕された樹脂と破砕された樹脂の表面に静電気などで付着した粉状の樹脂との分離を促進させて、粉状の樹脂の分離除去にかかる時間を短縮できる。よって、分離部の鉛直方向の長さの短縮化を図ることができ、ひいては、樹脂リサイクル装置の鉛直方向における小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、各工程を鉛直下向きに順番に配置することができ、廃棄樹脂の破砕、粉状の樹脂の分離除去、破砕樹脂の計量、酸化防止剤の添加、混合物の攪拌の工程を1台で行う小型の樹脂リサイクル装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態における樹脂リサイクル装置の構成を示す縦断面概略図
【図2】本発明の実施の形態における樹脂リサイクル装置の作業工程の概略を示す図
【図3】本発明の実施の形態における樹脂リサイクル装置の分離部の構成を示す縦断面概略図
【図4】本発明の実施の形態における樹脂リサイクル装置の分離部の構成を示す横断面概略図
【図5】従来の樹脂リサイクル装置を示す図
【図6】従来の風力分離装置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素には同じ符号を付して、重複する説明を省略する場合もある。また、図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示している。また図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は図面作成の都合上から、実際とは異なる。
【0023】
図1に示すように、この実施の形態における樹脂リサイクル装置は、破砕部1と分離部2と計量添加部3と攪拌部4をこの順序で鉛直下向きに配置した構造となっており、ランナーや成形不良品などの廃棄樹脂5が装置の上(破砕部1の投入口)から投入されると、それぞれの工程を経て、リサイクル樹脂材6が装置の下(攪拌部4の搬出口)から出てくる。
【0024】
続いて、この実施の形態における樹脂リサイクル装置の作業工程を、図1および図2を参照しながら具体的に説明する。
【0025】
廃棄樹脂5は、破砕部1に投入されると、破砕部1の内部で回転する破砕カッター7で破砕され(図2のステップS1)、様々な粒径の破砕樹脂8となって、次の工程である分離部2に落ちる。様々な粒径の破砕樹脂8に含まれる粉状の樹脂は再度成型に用いると焦げて黒くなってしまうため、リサイクル樹脂材としては不適切である。そこで、破砕樹脂8から粉状の樹脂9を分離部2で分離除去する(図2のステップS2)。粉状の樹脂9が取り除かれた破砕樹脂10は、次の工程である計量添加部3の計量ステージ11の上に落ちる。
【0026】
計量ステージ11上に溜まった破砕樹脂10の重量は常時あるいは一定時間間隔で監視(計量)されており、所定の閾値と比較される(図2のステップS3)。破砕樹脂10の重量が閾値を超えると、破砕部1を停止する。その後、計量された破砕樹脂10の重量に応じて、酸化防止剤の添加量を決定し、添加装置12から計量ステージ11の上に酸化防止剤13を散布する(図2のステップS4)。
【0027】
なお、破砕樹脂10の重量に対する所定の閾値には、撹拌1回分の重量、あるいは、その撹拌1回分の重量の1/Nの重量を設定する。この所定の閾値の具体例としては、撹拌部の大きさにもよるが、たとえば撹拌部の直径が30cm〜40cmの場合、1kg〜2kg、あるいは、その1/Nの重量に設定するのが、短時間で効率のよい撹拌を実施できるので好適である。
【0028】
破砕樹脂10と酸化防止剤13の混合物は計量ステージ11から次の工程である攪拌部4に落とされる。なお、閾値として撹拌1回分の重量の1/Nの重量を設定する場合には、破砕樹脂10と酸化防止剤13の混合物の撹拌部4への搬入をN回に分けて行うことになる。攪拌部4の内部には攪拌スピナー14が取り付けられており、攪拌スピナー14が回転することで、攪拌部4に入っている破砕樹脂10と酸化防止剤13が混合される(図2のステップS5)。攪拌されると、破砕樹脂同士の摩擦熱が発生し暖められることで破砕樹脂10が軟化し、酸化防止剤13が破砕樹脂10の表面に付着する。攪拌が完了すると、攪拌部4の搬出口15から酸化防止剤13が付着したリサイクル樹脂材6が搬出され、再度成型に利用される。
【0029】
続いて、分離部における粉状の樹脂の分離除去について、図3および図4を参照しながら具体的に説明する。
【0030】
分離部本体101は、平面から見ると円形、側面から見ると、上部が円筒形状で、下部が鉛直方向の上から下に向かって狭まるテーパー形状(コーン形状)となっている。また、分離部本体101の内部には、その内部領域を外周領域とその外周領域よりも内側の領域に分けるメッシュ102が設けられている。
【0031】
分離部本体101の外壁の上側側面(円筒形状部の側面)には、円形の外壁内周面の接線方向から分離部本体101の内部へ空気を流し込むための空気流入口103が設けられている。この空気流入口103から空気を圧送することで、分離部本体101内に旋回流(サイクロン)が発生する。空気流入口103から吹き込まれた空気は分離部本体101の外壁内周面に沿って旋回しながら降りていき、分離部本体101の外壁の下側側面(コーン形状部の下側の側面)に設けられた空気排出口104から排出される。空気排出口104は、円形の外壁内周面の接線方向から分離部本体101の外部へ空気を排出できるように配置されている。
【0032】
このように、この実施の形態によれば、分離部2の下部から空気を排出できるので、分離部2の鉛直上方に配置した破砕部1へ細かい粉状の樹脂9が逆流する現象を抑制できる。よって、各工程を縦(鉛直下向き)に配置することができるので、設置面積を少なくし、輸送経路を短くした小型の樹脂リサイクル装置を提供することができる。
【0033】
破砕部1と分離部2との間には、エアカーテン105が配置されている。エアカーテン105は、鉛直斜め下方向に空気を噴出して、破砕部1と分離部2とをつなぐ分離部入口106の直下に空気の流れを発生させるように配置するのが好適である。
【0034】
このようにエアカーテン105を設けることにより、エアカーテン105の空気の流れによって、分離部2の鉛直上方に配置した破砕部1へ細かい粉状の樹脂9が逆流する現象を抑制できる。
【0035】
加えて、分離部入口106から落ちてきた破砕樹脂8がエアカーテン105の空気の流れを通ることで、破砕樹脂8の表面に静電気などで付着した粉状の樹脂9の分離を促進させることができる。ここで、エアカーテンの空気にイオンを加えて、そのイオンの作用によって、帯電した静電気を除去するようにしてもよい。このようにすれば、破砕樹脂と、当該破砕樹脂の表面に静電気などで付着した粉状の樹脂との分離を更に促進させることができる。また、空気流入口103から吹き込まれる旋回流の空気にイオンを加えても、同様に、粉状の樹脂の分離が促進する。
【0036】
このように粉状の樹脂9の分離を促進させることで、粉状の樹脂9の分離除去にかかる時間を短縮できる。よって、分離部2の鉛直方向長さの短縮化を図ることができ、ひいては、樹脂リサイクル装置の鉛直方向における小型化を図ることができる。
【0037】
エアカーテン105の空気の流れは分離部入口106を通り過ぎた後、旋回流導入路107によって、全て分離部本体101の内部に引き込まれる。この実施の形態では、エアカーテン105の空気を逃がさないよう滑らかな曲面形状となっている旋回流導入路107が分離部本体101の内部に設けられており、この旋回流導入路107によって、分離部入口106を通り過ぎたエアカーテン105の空気の流れが、そのまま分離部本体101の円形の外壁内周面に導かれ、空気流入口103から吹き込まれる旋回流に加えられる。
【0038】
このようにすれば、エアカーテン105の空気の流れが分離部本体101の内部に流れ込むので、粉状の樹脂9を分離部本体101の内部から逃さず、分離部本体101の内部に滞留させて十分に分離除去することができる。したがって、分級性能を上げるために鉛直方向に長い流路を必要とせず、分離部2を縦方向に小さくすることが可能となり、ひいては、樹脂リサイクル装置の鉛直方向における小型化を図ることができる。
【0039】
なお、空気流入口103を設けずに、エアカーテン105の空気の流れのみで旋回流を発生させてもよい。
【0040】
破砕部1と分離部2とをつなぐ分離部入口106は、分離部本体101の円形の外壁内面の中心(空気の旋回流の中心)から半径方向に空気流入口103へ近づくようにずらした位置(偏心した位置)で、空気流入口103の上に位置するように設置される。より詳細には、鉛直下向きに分離部入口106と分離部本体101を見たとき、分離部入口106の内面のすべての位置が分離部本体101の円形の外壁内周面の中心と偏心する(ずれる)ように配置している。
【0041】
このようにすれば、分離部2の鉛直上方に配置した破砕部1へ細かい粉状の樹脂9が逆流する現象を抑制できる。
【0042】
加えて、破砕部1から分離部入口106を介して落ちてきた破砕樹脂8が、エアカーテン105を通り抜けた後にその下を流れている旋回流に巻かれやすくなる。これに対して、分離部入口106が分離部本体101の円形の外壁内周面の中心に配置されている場合、破砕樹脂8が旋回流に巻き込まれずに、粉状の樹脂9が分離除去されないまま鉛直下方の計量添加部3に落ちる不具合が発生する可能性がある。したがって、分離部入口106を分離部本体101の円形の外壁内周面の中心から偏心させることにより、破砕樹脂8から粉状の樹脂9を分離除去する性能を向上させることができる。
【0043】
破砕部1から分離部入口106を介して落ちてきた破砕樹脂8は、エアカーテン105を通り抜け、旋回流に巻かれた後、旋回流に流されて遠心力で外周方向に飛ばされる。ここで、破砕樹脂8のうち、大きくて重い樹脂は、メッシュ102を通過することなく、メッシュ102よりも内側の領域において旋回しながら、比較的早く、鉛直下方の計量添加部3に落下する。このとき、旋回によって、破砕樹脂はメッシュ102の内周面に当たりながら計量添加部3に落下する。また、大きくて比較的軽い中サイズの破砕樹脂は、メッシュ102よりも内側の領域において旋回しながら、比較的遅く、鉛直下方の計量添加部3に落下する。この中サイズの破砕樹脂も同様に、旋回によって、メッシュ102の内周面に当たりながら計量添加部3に落下する。このようにメッシュ102に当たることによって、破砕樹脂と該破砕樹脂の表面に静電気などで付着した粉状の樹脂とが分離される。一方、細かくて軽い粉状の樹脂9は、旋回流に流されて遠心力で外周方向に飛ばされて、メッシュ102を通って外周領域へ移動する。
【0044】
このようにして、破砕された樹脂は分級され、メッシュ102を通過できる軽量の粉状の樹脂9は分離部本体101の外周領域へ移動して、空気排出口104から空気と共に排出される。
【0045】
この実施の形態では、空気排出口104に、ファンなどの排気手段108が設置されている。このようにすれば、排気手段108によって旋回流速を強めることができるので、分離部2の鉛直上方に配置した破砕部1へ細かい粉状の樹脂9が逆流する現象を抑制することができる。また、旋回流速を強めることができるので、メッシュ102での擦る効果を大きくすることができ、破砕樹脂と該破砕樹脂の表面に静電気などで付着した粉状の樹脂との分離を促進させて、粉状の樹脂の分離除去にかかる時間を短縮できる。よって、分離部2の鉛直方向長さの短縮化を図ることができ、ひいては、樹脂リサイクル装置の鉛直方向における小型化を図ることができる。
【0046】
メッシュ102よりも内周の領域に残った、所望の重量を持つ破砕樹脂10は、計量添加部3に落ちていく。一例として、所望の重量を持つ破砕樹脂は、約0.05g以上、粒径2mm以上の樹脂である。例えばメッシュの開口を円形とした場合、その開口径を2mmよりも小さくする。このようにすることで、粒径2mm以上の樹脂を選択して計量添加部3へ導くことができる。
【0047】
分離部2と計量添加部3とをつなぐ分離部出口109には、旋回流の影響が計量添加部3にまで及ばないように、鉛直上方に向けて返り110が設けられており、この返り110によって、旋回流を分離部出口109から斜め上に流すことができ、分離部本体101の底部から旋回流を浮かせることができる。よって、分離部本体101の鉛直下方に配置した計量添加部3への旋回流の流れ込みの防止を図ることができる。
【0048】
また、計量添加部の通路111の空間容積は小さく抑えるのが好適である。このようにすれば、計量添加部の通路111に旋回流が流れ込んでも、計量添加部の通路111の気圧が上がりやすくなるので、計量添加部の通路111にそれ以上旋回流が流れ込むのを防止できる。
【0049】
なお、分離部2と計量添加部3との間に開閉式の蓋を設置し、風力分離中は計量添加部3に旋回流が流れ込まないように蓋を閉じておき、蓋の上に樹脂をためる構成としてもよい。
【0050】
また、破砕部1を停止させて粉状の樹脂9を分離する工程を完了させた後の酸化防止剤13の添加中に、旋回流を発生させて計量添加部の通路111に流し込み、酸化防止剤13を広く散布してもよい。
【0051】
また、エアカーテン105の空気と空気流入口103から吹き込まれる旋回流の空気に温風を用いることで、破砕した樹脂の予備加熱を行い、攪拌に要する時間の短縮化を図ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の樹脂リサイクル装置は、廃棄樹脂の破砕、粉状の樹脂の分離除去、破砕樹脂の計量、酸化防止剤の添加、混合物の攪拌の工程を1台で行う小型の樹脂リサイクル装置を提供でき、多種多様の廃棄樹脂を再利用する用途に適用できる。
【符号の説明】
【0053】
1 破砕部
2 分離部
3 計量添加部
4 撹拌部
5 廃棄樹脂
6 リサイクル樹脂材
7 破砕カッター
8 破砕樹脂
9 粉状の樹脂
10 粉状の樹脂が取り除かれた破砕樹脂
11 計量ステージ
12 添加装置
13 酸化防止剤
14 攪拌スピナー
15 搬出口
101 分離部本体
102 メッシュ
103 空気流入口
104 空気排出口
105 エアカーテン
106 分離部入口
107 旋回流導入路
108 排気手段
109 分離部出口
110 返り
111 計量添加部の通路
201 破砕装置
202 空気輸送管
203 風力分離装置
204 破砕樹脂
205 粉状樹脂
206 配管
207 回収袋
301 内層筒
302 外層筒
303 破砕物
304 流入口
305 破砕樹脂
306 取出口
307 円筒形部
308 円錐形部
309 篩目
310 粉状樹脂
311 排出口
312 排気口
313 微分物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂を破砕する破砕部と、前記破砕した樹脂から粉状の樹脂を分離除去する分離部と、前記粉状の樹脂が分離除去された後の前記破砕した樹脂を計量し、計量後の前記破砕した樹脂に酸化防止剤を添加する計量添加部と、前記酸化防止剤が添加された後の前記破砕した樹脂を攪拌する攪拌部と、を備え、
前記破砕部と前記分離部と前記計量添加部と前記攪拌部をこの順序で鉛直下向きに配置し、
前記分離部が、前記分離部内に旋回流を起こす空気を上部から流入させるための空気流入口と、前記分離部内の空気を下部から排出するための空気排出口と、前記分離部の内部領域を外周領域とその外周領域よりも内側の領域に分けるメッシュと、を有する
ことを特徴とする樹脂リサイクル装置。
【請求項2】
前記破砕部と前記分離部との間にエアカーテンが配置されていることを特徴とする請求項1記載の樹脂リサイクル装置。
【請求項3】
前記エアカーテンの空気の流れを前記分離部の内部領域に引き込む旋回流導入路をさらに備えたことを特徴とする請求項2記載の樹脂リサイクル装置。
【請求項4】
前記エアカーテンは鉛直斜め下方向に噴出し、前記旋回流導入路は前記エアカーテンの空気の流れを前記分離部の内部領域に引き込み前記旋回流に加える形状を有することを特徴とする請求項3記載の樹脂リサイクル装置。
【請求項5】
前記破砕部と前記分離部とをつなぐ分離部入口が、旋回流の中心より偏心した位置に配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の樹脂リサイクル装置。
【請求項6】
前記分離部と前記計量添加部とをつなぐ分離部出口を、前記旋回流を斜め上に流すように返りをつけた形状としたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の樹脂リサイクル装置。
【請求項7】
前記空気排出口に排気手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の樹脂リサイクル装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−218226(P2012−218226A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84133(P2011−84133)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】