説明

樹脂封止型パワー半導体モジュール

【課題】樹脂部5とベース板1との密着機能および水分浸入抑制機能を維持しつつ、搭載部1cと被取り付け部材200との間のみにグリス201が配置される場合であって、1回のねじ止めによってねじ止め部1aが被取り付け部材200に固定され、次いで、1回のねじ止めによってねじ止め部1bが被取り付け部材200に固定される場合であっても、ベース板1の変形を抑制する。
【解決手段】ねじ止め部1a,1bとそれらの間の搭載部1cとを有するベース板1を設け、搭載部1cにパワー半導体素子2Lと外部端子4Lとを搭載し、樹脂部5の下面5fとベース板1の下面1Dとが一致するように樹脂材料の成形によりベース板1の一部とパワー半導体素子2Lと外部端子4Lの一部とを封止した樹脂封止型パワー半導体モジュール100において、張り出し部1d2,1e2,1f2,1g2と、ベース板1の中心面CPabと鋭角をなす直線状の溝部1h1,1h2,1h4,1h5とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ穴を有する一方のねじ止め部と、ねじ穴を有する他方のねじ止め部と、それらの間に配置された搭載部とを具備する概略矩形形状の金属製ベース板を設け、ベース板の搭載部に少なくともパワー半導体素子と外部端子とを搭載し、樹脂部の下面とベース板の下面とが一致するように、樹脂材料の成形によって、少なくともベース板の一部分とパワー半導体素子と外部端子の一部分とを封止した樹脂封止型パワー半導体モジュールに関する。
【0002】
特に、本発明は、樹脂部とベース板との密着機能および水分浸入抑制機能を維持しつつ、ベース板の変形を抑制することができる樹脂封止型パワー半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
従来から、ねじ穴を有する一方のねじ止め部と、ねじ穴を有する他方のねじ止め部と、それらの間に配置された搭載部とを具備する概略矩形形状の金属製ベース板を設け、ベース板の搭載部に少なくともパワー半導体素子と外部端子とを搭載し、樹脂部の下面とベース板の下面とが一致するように、樹脂材料の成形によって、少なくともベース板の一部分とパワー半導体素子と外部端子の一部分とを封止した樹脂封止型パワー半導体モジュールが知られている。この種の樹脂封止型パワー半導体モジュールの例としては、例えば特許文献1(特開2010−129868号公報)の図8〜図10に記載されたものがある。
【0004】
特許文献1の図8〜図10に記載された樹脂封止型パワー半導体モジュールでは、ベース板が取り付けられる被取り付け部材として、冷却フィンが用いられている。また、ベース板の下面が冷却フィンの上面に取り付けられている。詳細には、ベース板の下面と冷却フィンの上面との間にグリスが配置されている(特許文献1の段落0028参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−129868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、被取り付け部材の表面(上面)の構成によっては、ベース板の下面の全体と被取り付け部材の表面(上面)の全体との間にグリスが配置される場合のみならず、パワー半導体素子からの熱の主要な伝熱経路であるベース板の搭載部の下面と被取り付け部材の表面(上面)との間のみにグリスが配置され、パワー半導体素子からの熱の主要な伝熱経路ではないベース板のねじ止め部の下面と被取り付け部材の表面(上面)との間にグリスが配置されない場合もある。
【0007】
ベース板のねじ止め部の下面と被取り付け部材の表面(上面)との間にグリスが配置されない場合には、ねじ止めが行われる前の段階で、ベース板の搭載部の下面と被取り付け部材の表面(上面)との間のグリスの厚さに相当する隙間が、ベース板のねじ止め部の下面と被取り付け部材の表面(上面)との間に存在することになる。
【0008】
更に、ねじ止めのやり方によっては、ベース板の下面と被取り付け部材の表面(上面)との間のグリスが均一に押し潰されるように、一方のねじ止め部の仮ねじ止めおよび他方のねじ止め部の仮ねじ止めが行われた後に、一方のねじ止め部の本ねじ止めが行われ、次いで、他方のねじ止め部の本ねじ止めが行われる場合がある。
【0009】
一方、例えばねじ止め工程のスループットを向上させるために、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板の一方のねじ止め部が被取り付け部材に対して固定され(つまり、一方のねじ止め部の本ねじ止めが行われ)、次いで、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板の他方のねじ止め部が被取り付け部材に対して固定される(つまり、他方のねじ止め部の本ねじ止めが行われる)場合もある。
【0010】
仮に、特許文献1の図8〜図10に記載された樹脂封止型パワー半導体モジュールのベース板の搭載部の下面と被取り付け部材の表面(上面)との間のみにグリスが配置され、かつ、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板の一方のねじ止め部が被取り付け部材に対して固定され、次いで、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板の他方のねじ止め部が被取り付け部材に対して固定される場合には、ベース板の一方のねじ止め部が被取り付け部材に対して固定された段階で、グリスの断面形状が、長方形にならず、概略楔形状になる。そのため、次いで、ベース板の他方のねじ止め部が被取り付け部材に対して固定される時に、ベース板の他方のねじ止め部と搭載部との境界部分の近傍に大きい応力がかかり、ベース板が変形して(詳細には、曲がって)しまうおそれがある。詳細には、ベース板の他方のねじ止め部と搭載部との境界部分の近傍におけるベース板の変形(曲がり)に伴い、その境界部分の近傍で、樹脂部が割れてしまったり、ベース板、パワー半導体素子、外部端子などを接合する例えば半田などの接合材が剥離してしまったりするおそれがある。
【0011】
また、特許文献1の図8〜図10に記載された樹脂封止型パワー半導体モジュールのように、樹脂材料の成形によって樹脂部が形成される従来の一般的な樹脂封止型パワー半導体モジュールでは、樹脂部とベース板との密着性を向上させる機能、および、外部からモジュールの内部に水分が浸入するのを抑制するために、ベース板の上面あるいは側面の沿面距離を増加させる機能(外部に露出しているベース板と樹脂部との境界線から例えばパワー半導体素子等までのベース板の上面あるいは側面の表面に沿った距離を増加せる機能)を有する凹部および凸部がベース板の上面および側面に形成される。詳細には、一般的に、ベース板の上面に対して上述した機能を有する凹部が形成され、ベース板の側面に対して上述した機能を有する凹部および/または凸部が形成される。
【0012】
ところで、ベース板の上面および側面に凹部および凸部を形成するやり方によっては、上述したベース板の変形(曲がり)に抗する強度が大幅に低下してしまうおそれがある。特に、ベース板の上面に凹部を形成するやり方(詳細には、ベース板の上面に凹部を配置するやり方)によっては、上述したベース板の変形(曲がり)に抗する強度が大幅に低下してしまうおそれがある。
【0013】
前記問題点に鑑み、本発明は、樹脂部とベース板との密着機能および水分浸入抑制機能を維持しつつ、ベース板の変形を抑制することができる樹脂封止型パワー半導体モジュールを提供することを目的とする。
【0014】
詳細には、本発明は、樹脂部とベース板との密着機能および水分浸入抑制機能を維持しつつ、ベース板の搭載部と被取り付け部材との間のみにグリスが配置される場合であって、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板の一方のねじ止め部が被取り付け部材に対して固定され、次いで、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板の他方のねじ止め部が被取り付け部材に対して固定される場合であっても、ベース板の変形を抑制することができる樹脂封止型パワー半導体モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、ねじ穴(1a7)を有する第1ねじ止め部(1a)と、ねじ穴(1b7)を有する第2ねじ止め部(1b)と、それらの間に配置された搭載部(1c)とを具備する概略矩形形状の金属製ベース板(1)を設け、
ベース板(1)の搭載部(1c)に少なくともパワー半導体素子(2L)と外部端子(4L)とを搭載し、
樹脂部(5)の下面(5f)とベース板(1)の下面(1D)とが一致するように、樹脂材料の成形によって、少なくともベース板(1)の一部分とパワー半導体素子(2L)と外部端子(4L)の一部分とを封止し、
ベース板(1)が取り付けられる被取り付け部材(200)とベース板(1)との間のうち、被取り付け部材(200)と第1ねじ止め部(1a)との間および被取り付け部材(200)と第2ねじ止め部(1b)との間にグリス(201)を配置することなく、搭載部(1c)と被取り付け部材(200)との間にグリス(201)を配置し、
仮ねじ止めを行うことなく、1回のねじ止めによってベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)を被取り付け部材(200)に対して固定し、次いで、仮ねじ止めを行うことなく、1回のねじ止めによってベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)を被取り付け部材(200)に対して固定するように構成された樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)において、
ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)と搭載部(1c)との境界である第1境界部分(BPac)の第1の側の端部に概略半円形状の第1切り欠き部(1d1)を形成すると共に、第1境界部分(BPac)の第1の側とは反対側の第2の側の端部に概略半円形状の第2切り欠き部(1e1)を形成し、
ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)と搭載部(1c)との境界である第2境界部分(BPbc)の第1の側の端部に概略半円形状の第3切り欠き部(1f1)を形成すると共に、第2境界部分(BPbc)の第2の側の端部に概略半円形状の第4切り欠き部(1g1)を形成し、
第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)のうち、第1切り欠き部(1d1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第1部分(1a1a)と、その第1部分(1a1a)および第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)に隣接する第2部分(1a1b)と、搭載部(1c)の上面(1c1)のうち、第1切り欠き部(1d1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第1部分(1c1a)とを潰すことにより、第1切り欠き部(1d1)および第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)から第1の側に突出する第1張り出し部(1d2)を形成し、
第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)のうち、第2切り欠き部(1e1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第3部分(1a1c)と、その第3部分(1a1c)および第1ねじ止め部(1a)の第2の側の側面(1a5)に隣接する第4部分(1a1d)と、搭載部(1c)の上面(1c1)のうち、第2切り欠き部(1e1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第2部分(1c1b)とを潰すことにより、第2切り欠き部(1e1)および第1ねじ止め部(1a)の第2の側の側面(1a5)から第2の側に突出する第2張り出し部(1e2)を形成し、
第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)のうち、第3切り欠き部(1f1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第1部分(1b1a)と、その第1部分(1b1a)および第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)に隣接する第2部分(1b1b)と、搭載部(1c)の上面(1c1)のうち、第3切り欠き部(1f1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第3部分(1c1c)とを潰すことにより、第3切り欠き部(1f1)および第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)から第1の側に突出する第3張り出し部(1f2)を形成し、
第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)のうち、第4切り欠き部(1g1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第3部分(1b1c)と、その第3部分(1b1c)および第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)に隣接する第4部分(1b1d)と、搭載部(1c)の上面(1c1)のうち、第4切り欠き部(1g1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第4部分(1c1d)とを潰すことにより、第4切り欠き部(1g1)および第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)から第2の側に突出する第4張り出し部(1g2)を形成し、
第1ねじ止め部(1a)のねじ穴(1a7)の中心軸線と第2ねじ止め部(1b)のねじ穴(1b7)の中心軸線とを含む中心面(CPab)と鋭角をなす直線状の第1溝部(1h1)を、第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)のうち、第1ねじ止め部(1a)のねじ穴(1a7)と第1切り欠き部(1d1)との間に形成し、
中心面(CPab)と鋭角をなす直線状の第2溝部(1h2)を、第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)のうち、第1ねじ止め部(1a)のねじ穴(1a7)と第2切り欠き部(1e1)との間に形成し、
中心面(CPab)に垂直な直線状の第3溝部(1h3)を、第1境界部分(BPac)上であって、第1溝部(1h1)と第2溝部(1h2)との間に形成し、
中心面(CPab)と鋭角をなす直線状の第4溝部(1h4)を、第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)のうち、第2ねじ止め部(1b)のねじ穴(1b7)と第3切り欠き部(1f1)との間に形成し、
中心面(CPab)と鋭角をなす直線状の第5溝部(1h5)を、第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)のうち、第2ねじ止め部(1b)のねじ穴(1b7)と第4切り欠き部(1g1)との間に形成し、
中心面(CPab)に垂直な直線状の第6溝部(1h3)を、第2境界部分(BPbc)上であって、第4溝部(1h4)と第5溝部(1h5)との間に形成し、
第1切り欠き部(1d1)と第2切り欠き部(1e1)と第3切り欠き部(1f1)と第4切り欠き部(1g1)と第1張り出し部(1d2)と第2張り出し部(1e2)と第3張り出し部(1f2)と第4張り出し部(1g2)と第1溝部(1h1)と第2溝部(1h2)と第3溝部(1h3)と第4溝部(1h4)と第5溝部(1h5)と第6溝部(1h6)とを樹脂部(5)によって覆ったことを特徴とする樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)が提供される。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、樹脂部(5)の第1ねじ止め部(1a)の側の側面(5d)を、概略円筒面形状の凹状面部分(5d3)と、その両側の平面部分(5d1,5d2)とによって構成し、
ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)と第2の側の側面(1a5)との間隔(W1a)を、樹脂部(5)の第1ねじ止め部(1a)の側の側面(5d)の概略円筒面形状の凹状面部分(5d3)の半径(R5d3)の概略2倍の値に設定し、
樹脂部(5)の第1ねじ止め部(1a)の側の側面(5d)の平面部分(5d1,5d2)を、第1ねじ止め部(1a)のねじ穴(1a7)と第1溝部(1h1)および第2溝部(1h2)との間に配置し、
樹脂部(5)の第2ねじ止め部(1b)の側の側面(5e)を、概略円筒面形状の凹状面部分(5e3)と、その両側の平面部分(5e1,5e2)とによって構成し、
ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)と第2の側の側面(1b5)との間隔(W1b)を、樹脂部(5)の第2ねじ止め部(1b)の側の側面(5e)の概略円筒面形状の凹状面部分(5e3)の半径(R5e3)の概略2倍の値に設定し、
樹脂部(5)の第2ねじ止め部(1b)の側の側面(5e)の平面部分(5e1,5e2)を、第2ねじ止め部(1b)のねじ穴(1b7)と第4溝部(1h4)および第5溝部(1h5)との間に配置したことを特徴とする請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)が提供される。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、ねじ穴(1a7)を有する第1ねじ止め部(1a)と、ねじ穴(1b7)を有する第2ねじ止め部(1b)と、それらの間に配置された搭載部(1c)とを具備する概略矩形形状の金属製ベース板(1)を設け、
ベース板(1)の搭載部(1c)に少なくともパワー半導体素子(2L)と外部端子(4L)とを搭載し、
樹脂部(5)の下面(5f)とベース板(1)の下面(1D)とが一致するように、樹脂材料の成形によって、少なくともベース板(1)の一部分とパワー半導体素子(2L)と外部端子(4L)の一部分とを封止し、
ベース板(1)が取り付けられる被取り付け部材(200)とベース板(1)との間のうち、被取り付け部材(200)と第1ねじ止め部(1a)との間および被取り付け部材(200)と第2ねじ止め部(1b)との間にグリス(201)を配置することなく、搭載部(1c)と被取り付け部材(200)との間にグリス(201)を配置し、
仮ねじ止めを行うことなく、1回のねじ止めによってベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)を被取り付け部材(200)に対して固定し、次いで、仮ねじ止めを行うことなく、1回のねじ止めによってベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)を被取り付け部材(200)に対して固定するように構成された樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)において、
ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)と搭載部(1c)との境界である第1境界部分(BPac)の第1の側の端部に概略半円形状の第1切り欠き部(1d1)を形成すると共に、第1境界部分(BPac)の第1の側とは反対側の第2の側の端部に概略半円形状の第2切り欠き部(1e1)を形成し、
ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)と搭載部(1c)との境界である第2境界部分(BPbc)の第1の側の端部に概略半円形状の第3切り欠き部(1f1)を形成すると共に、第2境界部分(BPbc)の第2の側の端部に概略半円形状の第4切り欠き部(1g1)を形成し、
第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)のうち、第1切り欠き部(1d1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第1部分(1a1a)と、その第1部分(1a1a)および第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)に隣接する第2部分(1a1b)と、搭載部(1c)の上面(1c1)のうち、第1切り欠き部(1d1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第1部分(1c1a)とを潰すことにより、第1切り欠き部(1d1)および第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)から第1の側に突出する第1張り出し部(1d2)を形成し、
第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)のうち、第2切り欠き部(1e1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第3部分(1a1c)と、その第3部分(1a1c)および第1ねじ止め部(1a)の第2の側の側面(1a5)に隣接する第4部分(1a1d)と、搭載部(1c)の上面(1c1)のうち、第2切り欠き部(1e1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第2部分(1c1b)とを潰すことにより、第2切り欠き部(1e1)および第1ねじ止め部(1a)の第2の側の側面(1a5)から第2の側に突出する第2張り出し部(1e2)を形成し、
第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)のうち、第3切り欠き部(1f1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第1部分(1b1a)と、その第1部分(1b1a)および第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)に隣接する第2部分(1b1b)と、搭載部(1c)の上面(1c1)のうち、第3切り欠き部(1f1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第3部分(1c1c)とを潰すことにより、第3切り欠き部(1f1)および第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)から第1の側に突出する第3張り出し部(1f2)を形成し、
第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)のうち、第4切り欠き部(1g1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第3部分(1b1c)と、その第3部分(1b1c)および第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)に隣接する第4部分(1b1d)と、搭載部(1c)の上面(1c1)のうち、第4切り欠き部(1g1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第4部分(1c1d)とを潰すことにより、第4切り欠き部(1g1)および第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)から第2の側に突出する第4張り出し部(1g2)を形成し、
第1ねじ止め部(1a)のねじ穴(1a7)を中心とする概略円弧形状の第1溝部(1h7)を、第1境界部分(BPac)に接するように第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)に形成し、
第2ねじ止め部(1b)のねじ穴(1b7)を中心とする概略円弧形状の第2溝部(1h8)を、第2境界部分(BPbc)に接するように第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)に形成し、
第1切り欠き部(1d1)と第2切り欠き部(1e1)と第3切り欠き部(1f1)と第4切り欠き部(1g1)と第1張り出し部(1d2)と第2張り出し部(1e2)と第3張り出し部(1f2)と第4張り出し部(1g2)と第1溝部(1h7)と第2溝部(1h8)とを樹脂部(5)によって覆ったことを特徴とする樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)が提供される。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、樹脂部(5)の第1ねじ止め部(1a)の側の側面(5d)を、概略円筒面形状の凹状面部分(5d3)と、その両側の平面部分(5d1,5d2)とによって構成し、
ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)と第2の側の側面(1a5)との間隔(W1a)を、樹脂部(5)の第1ねじ止め部(1a)の側の側面(5d)の概略円筒面形状の凹状面部分(5d3)の半径(R5d3)の概略2倍の値に設定し、
樹脂部(5)の第1ねじ止め部(1a)の側の側面(5d)の平面部分(5d1,5d2)を、第1ねじ止め部(1a)のねじ穴(1a7)と第1溝部(1h7)との間に配置し、
樹脂部(5)の第2ねじ止め部(1b)の側の側面(5e)を、概略円筒面形状の凹状面部分(5e3)と、その両側の平面部分(5e1,5e2)とによって構成し、
ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)と第2の側の側面(1b5)との間隔(W1b)を、樹脂部(5)の第2ねじ止め部(1b)の側の側面(5e)の概略円筒面形状の凹状面部分(5e3)の半径(R5e3)の概略2倍の値に設定し、
樹脂部(5)の第2ねじ止め部(1b)の側の側面(5e)の平面部分(5e1,5e2)を、第2ねじ止め部(1b)のねじ穴(1b7)と第2溝部(1h8)との間に配置したことを特徴とする請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)が提供される。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)を、搭載部(1c)の第1の側の側面(1c4)よりも第1の側に突出させ、
ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)を、搭載部(1c)の第2の側の側面(1c5)よりも第2の側に突出させたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)が提供される。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、ねじ穴(1a7)を有する第1ねじ止め部(1a)と、ねじ穴(1b7)を有する第2ねじ止め部(1b)と、それらの間に配置された搭載部(1c)とを具備する概略矩形形状の金属製ベース板(1)が設けられている。また、ベース板(1)の搭載部(1c)に少なくともパワー半導体素子(2L)と外部端子(4L)とが搭載されている。また、樹脂部(5)の下面(5f)とベース板(1)の下面(1D)とが一致するように、樹脂材料の成形によって、少なくともベース板(1)の一部分とパワー半導体素子(2L)と外部端子(4L)の一部分とが封止されている。
【0021】
更に、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、ベース板(1)が取り付けられる被取り付け部材(200)とベース板(1)との間のうち、被取り付け部材(200)と第1ねじ止め部(1a)との間および被取り付け部材(200)と第2ねじ止め部(1b)との間にグリス(201)が配置されることなく、搭載部(1c)と被取り付け部材(200)との間にグリス(201)が配置されている。
【0022】
そのため、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、第1ねじ止め部(1a)および第2ねじ止め部(1b)のねじ止めが行われる前の段階で、ベース板(1)の搭載部(1c)と被取り付け部材(200)のとの間のグリスの厚さ(T1c)に相当する隙間(SP1a,SP1b)が、ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)と被取り付け部材(200)との間およびベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)と被取り付け部材(200)との間に存在する。
【0023】
また、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)が被取り付け部材(200)に対して固定され、次いで、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)が被取り付け部材(200)に対して固定される。
【0024】
その結果、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)が被取り付け部材(200)に対して固定された段階で、グリス(201)の断面形状が、長方形にならず、概略楔形状になる。
【0025】
従って、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、次いで、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)が被取り付け部材(200)に対して固定される時に、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)と搭載部(1c)との境界である第2境界部分(BPbc)の近傍に大きい応力がかかる。
【0026】
そのため、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)が被取り付け部材(200)に対して固定される時に第2境界部分(BPbc)の近傍にかかる応力に伴うベース板(1)の変形(曲がり)を抑制するために、後述するような対策が施されている。
【0027】
また、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、樹脂材料の成形によって樹脂部(5)が形成されている。そのため、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、樹脂部(5)とベース板(1)との密着性を向上させると共に、外部に露出しているベース板(1)と樹脂部(5)との境界線から樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)の内部に水分が浸入するのを抑制するために、後述するような対策が施されている。
【0028】
詳細には、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)と搭載部(1c)との境界である第1境界部分(BPac)の第1の側の端部に概略半円形状の第1切り欠き部(1d1)が形成されると共に、第1境界部分(BPac)の第1の側とは反対側の第2の側の端部に概略半円形状の第2切り欠き部(1e1)が形成されている。また、ベース板(1)の第2境界部分(BPbc)の第1の側の端部に概略半円形状の第3切り欠き部(1f1)が形成されると共に、第2境界部分(BPbc)の第2の側の端部に概略半円形状の第4切り欠き部(1g1)が形成されている。更に、第1切り欠き部(1d1)と第2切り欠き部(1e1)と第3切り欠き部(1f1)と第4切り欠き部(1g1)とが樹脂部(5)によって覆われている。
【0029】
そのため、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、第1切り欠き部(1d1)、第2切り欠き部(1e1)、第3切り欠き部(1f1)および第4切り欠き部(1g1)が形成されていない場合よりも、ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)および搭載部(1c)の第1の側の側面(1c4)と樹脂部(5)との密着性、ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)の第2の側の側面(1a5)および搭載部(1c)の第2の側の側面(1c5)と樹脂部(5)との密着性、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)および搭載部(1c)の第1の側の側面(1c4)と樹脂部(5)との密着性、並びに、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)および搭載部(1c)の第2の側の側面(1c5)と樹脂部(5)との密着性を向上させることができる。
【0030】
更に、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)のうち、第1切り欠き部(1d1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第1部分(1a1a)と、その第1部分(1a1a)および第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)に隣接する第2部分(1a1b)と、搭載部(1c)の上面(1c1)のうち、第1切り欠き部(1d1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第1部分(1c1a)とを潰すことにより、第1切り欠き部(1d1)および第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)から第1の側に突出する第1張り出し部(1d2)が形成されている。また、第1張り出し部(1d2)が樹脂部(5)によって覆われている。
【0031】
そのため、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、第1張り出し部(1d2)が形成されていない場合よりも、ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)および搭載部(1c)の第1の側の側面(1c4)と樹脂部(5)との密着性を向上させることができ、更に、ベース板(1)の下面(1D)と樹脂部(5)の下面(5f)との境界線からベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)および搭載部(1c)の第1の側の側面(1c4)に沿って樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)の内部に水分が浸入するのを抑制することができる。
【0032】
また、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)のうち、第2切り欠き部(1e1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第3部分(1a1c)と、その第3部分(1a1c)および第1ねじ止め部(1a)の第2の側の側面(1a5)に隣接する第4部分(1a1d)と、搭載部(1c)の上面(1c1)のうち、第2切り欠き部(1e1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第2部分(1c1b)とを潰すことにより、第2切り欠き部(1e1)および第1ねじ止め部(1a)の第2の側の側面(1a5)から第2の側に突出する第2張り出し部(1e2)が形成されている。更に、第2張り出し部(1e2)が樹脂部(5)によって覆われている。
【0033】
そのため、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、第2張り出し部(1e2)が形成されていない場合よりも、ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)の第2の側の側面(1a5)および搭載部(1c)の第2の側の側面(1c5)と樹脂部(5)との密着性を向上させることができ、更に、ベース板(1)の下面(1D)と樹脂部(5)の下面(5f)との境界線からベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)の第2の側の側面(1a5)および搭載部(1c)の第2の側の側面(1c5)に沿って樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)の内部に水分が浸入するのを抑制することができる。
【0034】
更に、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)のうち、第3切り欠き部(1f1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第1部分(1b1a)と、その第1部分(1b1a)および第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)に隣接する第2部分(1b1b)と、搭載部(1c)の上面(1c1)のうち、第3切り欠き部(1f1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第3部分(1c1c)とを潰すことにより、第3切り欠き部(1f1)および第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)から第1の側に突出する第3張り出し部(1f2)が形成されている。また、第3張り出し部(1f2)が樹脂部(5)によって覆われている。
【0035】
そのため、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、第3張り出し部(1f2)が形成されていない場合よりも、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)および搭載部(1c)の第1の側の側面(1c4)と樹脂部(5)との密着性を向上させることができ、更に、ベース板(1)の下面(1D)と樹脂部(5)の下面(5f)との境界線からベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)および搭載部(1c)の第1の側の側面(1c4)に沿って樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)の内部に水分が浸入するのを抑制することができる。
【0036】
詳細には、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、第3張り出し部(1f2)を形成するために、第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)の第1部分(1b1a)が潰されるのみならず、その第1部分(1b1a)および第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)に隣接する第2部分(1b1b)も潰されている。
【0037】
そのため、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)が被取り付け部材(200)に対してねじ止めされる時に、第2境界部分(BPbc)の近傍にかかる大きい応力によって、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)に密着している樹脂部(5)が割れてしまうおそれを、第2部分(1b1b)が潰されていない場合よりも低減することができる。
【0038】
また、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)のうち、第4切り欠き部(1g1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第3部分(1b1c)と、その第3部分(1b1c)および第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)に隣接する第4部分(1b1d)と、搭載部(1c)の上面(1c1)のうち、第4切り欠き部(1g1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第4部分(1c1d)とを潰すことにより、第4切り欠き部(1g1)および第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)から第2の側に突出する第4張り出し部(1g2)が形成されている。更に、第4張り出し部(1g2)が樹脂部(5)によって覆われている。
【0039】
そのため、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、第4張り出し部(1g2)が形成されていない場合よりも、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)および搭載部(1c)の第2の側の側面(1c5)と樹脂部(5)との密着性を向上させることができ、更に、ベース板(1)の下面(1D)と樹脂部(5)の下面(5f)との境界線からベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)および搭載部(1c)の第2の側の側面(1c5)に沿って樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)の内部に水分が浸入するのを抑制することができる。
【0040】
詳細には、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、第4張り出し部(1g2)を形成するために、第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)の第3部分(1b1c)が潰されるのみならず、その第3部分(1b1c)および第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)に隣接する第4部分(1b1d)も潰されている。
【0041】
そのため、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)が被取り付け部材(200)に対してねじ止めされる時に、第2境界部分(BPbc)の近傍にかかる大きい応力によって、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)に密着している樹脂部(5)が割れてしまうおそれを、第4部分(1b1d)が潰されていない場合よりも低減することができる。
【0042】
更に、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、第1ねじ止め部(1a)のねじ穴(1a7)の中心軸線と第2ねじ止め部(1b)のねじ穴(1b7)の中心軸線とを含む中心面(CPab)と鋭角(θ1)をなす直線状の第1溝部(1h1)が、第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)のうち、第1ねじ止め部(1a)のねじ穴(1a7)と第1切り欠き部(1d1)との間に形成されている。また、中心面(CPab)と鋭角(θ2)をなす直線状の第2溝部(1h2)が、第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)のうち、第1ねじ止め部(1a)のねじ穴(1a7)と第2切り欠き部(1e1)との間に形成されている。更に、中心面(CPab)に垂直な直線状の第3溝部(1h3)が、第1境界部分(BPac)上であって、第1溝部(1h1)と第2溝部(1h2)との間に形成されている。また、第1溝部(1h1)と第2溝部(1h2)と第3溝部(1h3)とが樹脂部(5)によって覆われている。
【0043】
つまり、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、第1溝部(1h1)、第2溝部(1h2)および第3溝部(1h3)が、第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)のうち、第1境界部分(BPac)上およびその近傍に形成されている。
【0044】
そのため、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、第1溝部(1h1)、第2溝部(1h2)および第3溝部(1h3)が形成されていない場合よりも、樹脂部(5)とベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)との密着性を向上させることができる。
【0045】
また、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、第1溝部(1h1)、第2溝部(1h2)および第3溝部(1h3)が形成されていない場合よりも、外部に露出しているベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)と樹脂部(5)との境界線から樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)の内部に水分が浸入するのを抑制することができる。
【0046】
一方、樹脂部(5)とベース板(1)との密着性を向上させると共に、外部に露出しているベース板(1)と樹脂部(5)との境界線から樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)の内部に水分が浸入するのを抑制するための溝部の配置のやり方によっては、ベース板(1)の変形に抗する強度(詳細には、ベース板(1)の曲げ強度)が大幅に低下してしまうおそれがある。
【0047】
この点に鑑み、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、直線状の第1溝部(1h1)が、中心面(CPab)に垂直に形成されるのではなく、中心面(CPab)と鋭角(θ1)をなすように形成されている。また、直線状の第2溝部(1h2)が、中心面(CPab)に垂直に形成されるのではなく、中心面(CPab)と鋭角(θ2)をなすように形成されている。更に、中心面(CPab)に垂直な直線状の第3溝部(1h3)が、第1境界部分(BPac)の第1の側の端部と第2の側の端部との間の全体にわたって形成されるのではなく、第1溝部(1h1)と第2溝部(1h2)との間に形成されている。
【0048】
そのため、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、中心面(CPab)に垂直な直線状の溝部(1h3’)が第1境界部分(BPac)の第1の側の端部と第2の側の端部との間の全体にわたって形成されている場合よりも、第1境界部分(BPac)におけるベース板(1)の断面積を大きくすることができ、それにより、第1境界部分(BPac)におけるベース板(1)の変形に抗する強度(ベース板(1)の曲げ強度)を向上させることができる。
【0049】
換言すれば、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、中心面(CPab)に垂直な直線状の溝部(1h3’)が第1境界部分(BPac)の第1の側の端部と第2の側の端部との間の全体にわたって形成されている場合よりも、第1境界部分(BPac)上に溝部が形成されることに伴うベース板(1)の変形に抗する強度(ベース板(1)の曲げ強度)の低下を抑制することができる。
【0050】
更に、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、中心面(CPab)と鋭角(θ4)をなす直線状の第4溝部(1h4)が、第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)のうち、第2ねじ止め部(1b)のねじ穴(1b7)と第3切り欠き部(1f1)との間に形成されている。また、中心面(CPab)と鋭角(θ5)をなす直線状の第5溝部(1h5)が、第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)のうち、第2ねじ止め部(1b)のねじ穴(1b7)と第4切り欠き部(1g1)との間に形成されている。更に、中心面(CPab)に垂直な直線状の第6溝部(1h3)が、第2境界部分(BPbc)上であって、第4溝部(1h4)と第5溝部(1h5)との間に形成されている。また、第4溝部(1h4)と第5溝部(1h5)と第6溝部(1h6)とが樹脂部(5)によって覆われている。
【0051】
つまり、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、第4溝部(1h4)、第5溝部(1h5)および第6溝部(1h6)が、第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)のうち、第2境界部分(BPbc)上およびその近傍に形成されている。
【0052】
そのため、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、第4溝部(1h4)、第5溝部(1h5)および第6溝部(1h6)が形成されていない場合よりも、樹脂部(5)とベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)との密着性を向上させることができる。
【0053】
また、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、第4溝部(1h4)、第5溝部(1h5)および第6溝部(1h6)が形成されていない場合よりも、外部に露出しているベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)と樹脂部(5)との境界線から樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)の内部に水分が浸入するのを抑制することができる。
【0054】
一方、樹脂部(5)とベース板(1)との密着性を向上させると共に、外部に露出しているベース板(1)と樹脂部(5)との境界線から樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)の内部に水分が浸入するのを抑制するための溝部の配置のやり方によっては、ベース板(1)の変形に抗する強度(詳細には、ベース板(1)の曲げ強度)が大幅に低下してしまうおそれがある。
【0055】
この点に鑑み、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、直線状の第4溝部(1h4)が、中心面(CPab)に垂直に形成されるのではなく、中心面(CPab)と鋭角(θ4)をなすように形成されている。また、直線状の第5溝部(1h5)が、中心面(CPab)に垂直に形成されるのではなく、中心面(CPab)と鋭角(θ5)をなすように形成されている。更に、中心面(CPab)に垂直な直線状の第6溝部(1h6)が、第2境界部分(BPbc)の第1の側の端部と第2の側の端部との間の全体にわたって形成されるのではなく、第4溝部(1h4)と第5溝部(1h5)との間に形成されている。
【0056】
そのため、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、中心面(CPab)に垂直な直線状の溝部(1h6’)が第2境界部分(BPbc)の第1の側の端部と第2の側の端部との間の全体にわたって形成されている場合よりも、第2境界部分(BPbc)におけるベース板(1)の断面積を大きくすることができ、それにより、第2境界部分(BPbc)におけるベース板(1)の変形に抗する強度(ベース板(1)の曲げ強度)を向上させることができる。
【0057】
換言すれば、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、中心面(CPab)に垂直な直線状の溝部(1h6’)が第2境界部分(BPbc)の第1の側の端部と第2の側の端部との間の全体にわたって形成されている場合よりも、第2境界部分(BPbc)上に溝部が形成されることに伴うベース板(1)の変形に抗する強度(ベース板(1)の曲げ強度)の低下を抑制することができる。
【0058】
すなわち、請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、樹脂部(5)とベース板(1)との密着機能および水分浸入抑制機能を維持しつつ、ベース板(1)の搭載部(1c)と被取り付け部材(200)との間のみにグリス(201)が配置される場合であって、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)が被取り付け部材(200)に対して固定され、次いで、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)が被取り付け部材(200)に対して固定される場合であっても、ベース板(1)の変形を抑制することができる。
【0059】
請求項2に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、樹脂部(5)の第1ねじ止め部(1a)の側の側面(5d)が、概略円筒面形状の凹状面部分(5d3)と、その両側の平面部分(5d1,5d2)とによって構成されている。また、ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)と第2の側の側面(1a5)との間隔(W1a)が、樹脂部(5)の第1ねじ止め部(1a)の側の側面(5d)の概略円筒面形状の凹状面部分(5d3)の半径(R5d3)の概略2倍の値に設定されている。更に、樹脂部(5)の第1ねじ止め部(1a)の側の側面(5d)の平面部分(5d1,5d2)が、第1ねじ止め部(1a)のねじ穴(1a7)と第1溝部(1h1)および第2溝部(1h2)との間に配置されている。
【0060】
また、請求項2に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、樹脂部(5)の第2ねじ止め部(1b)の側の側面(5e)が、概略円筒面形状の凹状面部分(5e3)と、その両側の平面部分(5e1,5e2)とによって構成されている。更に、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)と第2の側の側面(1b5)との間隔(W1b)が、樹脂部(5)の第2ねじ止め部(1b)の側の側面(5e)の概略円筒面形状の凹状面部分(5e3)の半径(R5e3)の概略2倍の値に設定されている。また、樹脂部(5)の第2ねじ止め部(1b)の側の側面(5e)の平面部分(5e1,5e2)が、第2ねじ止め部(1b)のねじ穴(1b7)と第4溝部(1h4)および第5溝部(1h5)との間に配置されている。
【0061】
そのため、請求項2に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)と第2の側の側面(1a5)との間隔(W1a)が、樹脂部(5)の第1ねじ止め部(1a)の側の側面(5d)の概略円筒面形状の凹状面部分(5d3)の半径(R5d3)の2倍より大きい値に設定され、樹脂部(5)の第1ねじ止め部(1a)の側の側面(5d)の平面部分(5d1,5d2)が、第1ねじ止め部(1a)のねじ穴(1a7)を隔てて樹脂部(5)の第1ねじ止め部(1a)の側の側面(5d)の凹状面部分(5d3)の反対側に配置され、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)と第2の側の側面(1b5)との間隔(W1b)が、樹脂部(5)の第2ねじ止め部(1b)の側の側面(5e)の概略円筒面形状の凹状面部分(5e3)の半径(R5e3)の2倍より大きい値に設定され、樹脂部(5)の第2ねじ止め部(1b)の側の側面(5e)の平面部分(5e1,5e2)が、第2ねじ止め部(1b)のねじ穴(1b7)を隔てて樹脂部(5)の第2ねじ止め部(1b)の側の側面(5e)の凹状面部分(5e3)の反対側に配置されている特許文献1の図8〜図10に記載された樹脂封止型パワー半導体モジュールよりも、樹脂部(5)の第1の側の側面(5b)と第2の側の側面(5c)との間隔(W5)を小さくすることができ、それにより、樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)全体を小型化することができる。
【0062】
請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、ねじ穴(1a7)を有する第1ねじ止め部(1a)と、ねじ穴(1b7)を有する第2ねじ止め部(1b)と、それらの間に配置された搭載部(1c)とを具備する概略矩形形状の金属製ベース板(1)が設けられている。また、ベース板(1)の搭載部(1c)に少なくともパワー半導体素子(2L)と外部端子(4L)とが搭載されている。また、樹脂部(5)の下面(5f)とベース板(1)の下面(1D)とが一致するように、樹脂材料の成形によって、少なくともベース板(1)の一部分とパワー半導体素子(2L)と外部端子(4L)の一部分とが封止されている。
【0063】
更に、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、ベース板(1)が取り付けられる被取り付け部材(200)とベース板(1)との間のうち、被取り付け部材(200)と第1ねじ止め部(1a)との間および被取り付け部材(200)と第2ねじ止め部(1b)との間にグリス(201)が配置されることなく、搭載部(1c)と被取り付け部材(200)との間にグリス(201)が配置されている。
【0064】
そのため、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、第1ねじ止め部(1a)および第2ねじ止め部(1b)のねじ止めが行われる前の段階で、ベース板(1)の搭載部(1c)と被取り付け部材(200)のとの間のグリスの厚さ(T1c)に相当する隙間(SP1a,SP1b)が、ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)と被取り付け部材(200)との間およびベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)と被取り付け部材(200)との間に存在する。
【0065】
また、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)が被取り付け部材(200)に対して固定され、次いで、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)が被取り付け部材(200)に対して固定される。
【0066】
その結果、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)が被取り付け部材(200)に対して固定された段階で、グリス(201)の断面形状が、長方形にならず、概略楔形状になる。
【0067】
従って、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、次いで、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)が被取り付け部材(200)に対して固定される時に、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)と搭載部(1c)との境界である第2境界部分(BPbc)の近傍に大きい応力がかかる。
【0068】
そのため、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)が被取り付け部材(200)に対して固定される時に第2境界部分(BPbc)の近傍にかかる応力に伴うベース板(1)の変形(曲がり)を抑制するために、後述するような対策が施されている。
【0069】
また、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、樹脂材料の成形によって樹脂部(5)が形成されている。そのため、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、樹脂部(5)とベース板(1)との密着性を向上させると共に、外部に露出しているベース板(1)と樹脂部(5)との境界線から樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)の内部に水分が浸入するのを抑制するために、後述するような対策が施されている。
【0070】
詳細には、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)と搭載部(1c)との境界である第1境界部分(BPac)の第1の側の端部に概略半円形状の第1切り欠き部(1d1)が形成されると共に、第1境界部分(BPac)の第1の側とは反対側の第2の側の端部に概略半円形状の第2切り欠き部(1e1)が形成されている。また、ベース板(1)の第2境界部分(BPbc)の第1の側の端部に概略半円形状の第3切り欠き部(1f1)が形成されると共に、第2境界部分(BPbc)の第2の側の端部に概略半円形状の第4切り欠き部(1g1)が形成されている。更に、第1切り欠き部(1d1)と第2切り欠き部(1e1)と第3切り欠き部(1f1)と第4切り欠き部(1g1)とが樹脂部(5)によって覆われている。
【0071】
そのため、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、第1切り欠き部(1d1)、第2切り欠き部(1e1)、第3切り欠き部(1f1)および第4切り欠き部(1g1)が形成されていない場合よりも、ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)および搭載部(1c)の第1の側の側面(1c4)と樹脂部(5)との密着性、ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)の第2の側の側面(1a5)および搭載部(1c)の第2の側の側面(1c5)と樹脂部(5)との密着性、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)および搭載部(1c)の第1の側の側面(1c4)と樹脂部(5)との密着性、並びに、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)および搭載部(1c)の第2の側の側面(1c5)と樹脂部(5)との密着性を向上させることができる。
【0072】
更に、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)のうち、第1切り欠き部(1d1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第1部分(1a1a)と、その第1部分(1a1a)および第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)に隣接する第2部分(1a1b)と、搭載部(1c)の上面(1c1)のうち、第1切り欠き部(1d1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第1部分(1c1a)とを潰すことにより、第1切り欠き部(1d1)および第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)から第1の側に突出する第1張り出し部(1d2)が形成されている。また、第1張り出し部(1d2)が樹脂部(5)によって覆われている。
【0073】
そのため、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、第1張り出し部(1d2)が形成されていない場合よりも、ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)および搭載部(1c)の第1の側の側面(1c4)と樹脂部(5)との密着性を向上させることができ、更に、ベース板(1)の下面(1D)と樹脂部(5)の下面(5f)との境界線からベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)および搭載部(1c)の第1の側の側面(1c4)に沿って樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)の内部に水分が浸入するのを抑制することができる。
【0074】
また、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)のうち、第2切り欠き部(1e1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第3部分(1a1c)と、その第3部分(1a1c)および第1ねじ止め部(1a)の第2の側の側面(1a5)に隣接する第4部分(1a1d)と、搭載部(1c)の上面(1c1)のうち、第2切り欠き部(1e1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第2部分(1c1b)とを潰すことにより、第2切り欠き部(1e1)および第1ねじ止め部(1a)の第2の側の側面(1a5)から第2の側に突出する第2張り出し部(1e2)が形成されている。更に、第2張り出し部(1e2)が樹脂部(5)によって覆われている。
【0075】
そのため、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、第2張り出し部(1e2)が形成されていない場合よりも、ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)の第2の側の側面(1a5)および搭載部(1c)の第2の側の側面(1c5)と樹脂部(5)との密着性を向上させることができ、更に、ベース板(1)の下面(1D)と樹脂部(5)の下面(5f)との境界線からベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)の第2の側の側面(1a5)および搭載部(1c)の第2の側の側面(1c5)に沿って樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)の内部に水分が浸入するのを抑制することができる。
【0076】
更に、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)のうち、第3切り欠き部(1f1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第1部分(1b1a)と、その第1部分(1b1a)および第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)に隣接する第2部分(1b1b)と、搭載部(1c)の上面(1c1)のうち、第3切り欠き部(1f1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第3部分(1c1c)とを潰すことにより、第3切り欠き部(1f1)および第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)から第1の側に突出する第3張り出し部(1f2)が形成されている。また、第3張り出し部(1f2)が樹脂部(5)によって覆われている。
【0077】
そのため、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、第3張り出し部(1f2)が形成されていない場合よりも、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)および搭載部(1c)の第1の側の側面(1c4)と樹脂部(5)との密着性を向上させることができ、更に、ベース板(1)の下面(1D)と樹脂部(5)の下面(5f)との境界線からベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)および搭載部(1c)の第1の側の側面(1c4)に沿って樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)の内部に水分が浸入するのを抑制することができる。
【0078】
詳細には、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、第3張り出し部(1f2)を形成するために、第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)の第1部分(1b1a)が潰されるのみならず、その第1部分(1b1a)および第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)に隣接する第2部分(1b1b)も潰されている。
【0079】
そのため、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)が被取り付け部材(200)に対してねじ止めされる時に、第2境界部分(BPbc)の近傍にかかる大きい応力によって、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)に密着している樹脂部(5)が割れてしまうおそれを、第2部分(1b1b)が潰されていない場合よりも低減することができる。
【0080】
また、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)のうち、第4切り欠き部(1g1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第3部分(1b1c)と、その第3部分(1b1c)および第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)に隣接する第4部分(1b1d)と、搭載部(1c)の上面(1c1)のうち、第4切り欠き部(1g1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第4部分(1c1d)とを潰すことにより、第4切り欠き部(1g1)および第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)から第2の側に突出する第4張り出し部(1g2)が形成されている。更に、第4張り出し部(1g2)が樹脂部(5)によって覆われている。
【0081】
そのため、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、第4張り出し部(1g2)が形成されていない場合よりも、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)および搭載部(1c)の第2の側の側面(1c5)と樹脂部(5)との密着性を向上させることができ、更に、ベース板(1)の下面(1D)と樹脂部(5)の下面(5f)との境界線からベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)および搭載部(1c)の第2の側の側面(1c5)に沿って樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)の内部に水分が浸入するのを抑制することができる。
【0082】
詳細には、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、第4張り出し部(1g2)を形成するために、第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)の第3部分(1b1c)が潰されるのみならず、その第3部分(1b1c)および第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)に隣接する第4部分(1b1d)も潰されている。
【0083】
そのため、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)が被取り付け部材(200)に対してねじ止めされる時に、第2境界部分(BPbc)の近傍にかかる大きい応力によって、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)に密着している樹脂部(5)が割れてしまうおそれを、第4部分(1b1d)が潰されていない場合よりも低減することができる。
【0084】
更に、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、第1ねじ止め部(1a)のねじ穴(1a7)を中心とする概略円弧形状の第1溝部(1h7)が、第1境界部分(BPac)に接するように第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)に形成されている。また、第1溝部(1h7)が樹脂部(5)によって覆われている。
【0085】
つまり、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、第1溝部(1h7)が、第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)のうち、第1境界部分(BPac)上およびその近傍に形成されている。
【0086】
そのため、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、第1溝部(1h7)が形成されていない場合よりも、樹脂部(5)とベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)との密着性を向上させることができる。
【0087】
また、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、第1溝部(1h7)が形成されていない場合よりも、外部に露出しているベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)と樹脂部(5)との境界線から樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)の内部に水分が浸入するのを抑制することができる。
【0088】
一方、樹脂部(5)とベース板(1)との密着性を向上させると共に、外部に露出しているベース板(1)と樹脂部(5)との境界線から樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)の内部に水分が浸入するのを抑制するための溝部の配置のやり方によっては、ベース板(1)の変形に抗する強度(詳細には、ベース板(1)の曲げ強度)が大幅に低下してしまうおそれがある。
【0089】
この点に鑑み、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、中心面(CPab)に垂直な直線状の溝部(1h3’)が第1境界部分(BPac)の第1の側の端部と第2の側の端部との間の全体にわたって形成されるのではなく、概略円弧形状の第1溝部(1h7)が、第1境界部分(BPac)に接するように形成されている。
【0090】
そのため、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、中心面(CPab)に垂直な直線状の溝部(1h3’)が第1境界部分(BPac)の第1の側の端部と第2の側の端部との間の全体にわたって形成されている場合よりも、第1境界部分(BPac)におけるベース板(1)の断面積を大きくすることができ、それにより、第1境界部分(BPac)におけるベース板(1)の変形に抗する強度(ベース板(1)の曲げ強度)を向上させることができる。
【0091】
換言すれば、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、中心面(CPab)に垂直な直線状の溝部(1h3’)が第1境界部分(BPac)の第1の側の端部と第2の側の端部との間の全体にわたって形成されている場合よりも、第1境界部分(BPac)上に溝部が形成されることに伴うベース板(1)の変形に抗する強度(ベース板(1)の曲げ強度)の低下を抑制することができる。
【0092】
更に、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、第2ねじ止め部(1b)のねじ穴(1b7)を中心とする概略円弧形状の第2溝部(1h8)が、第2境界部分(BPbc)に接するように第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)に形成されている。また、第2溝部(1h8)が樹脂部(5)によって覆われている。
【0093】
つまり、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、第2溝部(1h8)が、第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)のうち、第2境界部分(BPbc)上およびその近傍に形成されている。
【0094】
そのため、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、第2溝部(1h8)が形成されていない場合よりも、樹脂部(5)とベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)との密着性を向上させることができる。
【0095】
また、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、第2溝部(1h8)が形成されていない場合よりも、外部に露出しているベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)と樹脂部(5)との境界線から樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)の内部に水分が浸入するのを抑制することができる。
【0096】
一方、樹脂部(5)とベース板(1)との密着性を向上させると共に、外部に露出しているベース板(1)と樹脂部(5)との境界線から樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)の内部に水分が浸入するのを抑制するための溝部の配置のやり方によっては、ベース板(1)の変形に抗する強度(詳細には、ベース板(1)の曲げ強度)が大幅に低下してしまうおそれがある。
【0097】
この点に鑑み、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、中心面(CPab)に垂直な直線状の溝部(1h6’)が第2境界部分(BPbc)の第1の側の端部と第2の側の端部との間の全体にわたって形成されるのではなく、概略円弧形状の第2溝部(1h8)が、第2境界部分(BPbc)に接するように形成されている。
【0098】
そのため、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、中心面(CPab)に垂直な直線状の溝部(1h6’)が第2境界部分(BPbc)の第1の側の端部と第2の側の端部との間の全体にわたって形成されている場合よりも、第2境界部分(BPbc)におけるベース板(1)の断面積を大きくすることができ、それにより、第2境界部分(BPbc)におけるベース板(1)の変形に抗する強度(ベース板(1)の曲げ強度)を向上させることができる。
【0099】
換言すれば、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、中心面(CPab)に垂直な直線状の溝部(1h6’)が第2境界部分(BPbc)の第1の側の端部と第2の側の端部との間の全体にわたって形成されている場合よりも、第2境界部分(BPbc)上に溝部が形成されることに伴うベース板(1)の変形に抗する強度(ベース板(1)の曲げ強度)の低下を抑制することができる。
【0100】
すなわち、請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、樹脂部(5)とベース板(1)との密着機能および水分浸入抑制機能を維持しつつ、ベース板(1)の搭載部(1c)と被取り付け部材(200)との間のみにグリス(201)が配置される場合であって、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)が被取り付け部材(200)に対して固定され、次いで、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)が被取り付け部材(200)に対して固定される場合であっても、ベース板(1)の変形を抑制することができる。
【0101】
請求項4に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、樹脂部(5)の第1ねじ止め部(1a)の側の側面(5d)が、概略円筒面形状の凹状面部分(5d3)と、その両側の平面部分(5d1,5d2)とによって構成されている。また、ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)と第2の側の側面(1a5)との間隔(W1a)が、樹脂部(5)の第1ねじ止め部(1a)の側の側面(5d)の概略円筒面形状の凹状面部分(5d3)の半径(R5d3)の概略2倍の値に設定されている。更に、樹脂部(5)の第1ねじ止め部(1a)の側の側面(5d)の平面部分(5d1,5d2)が、第1ねじ止め部(1a)のねじ穴(1a7)と第1溝部(1h7)との間に配置されている。
【0102】
また、請求項4に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、樹脂部(5)の第2ねじ止め部(1b)の側の側面(5e)が、概略円筒面形状の凹状面部分(5e3)と、その両側の平面部分(5e1,5e2)とによって構成されている。更に、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)と第2の側の側面(1b5)との間隔(W1b)が、樹脂部(5)の第2ねじ止め部(1b)の側の側面(5e)の概略円筒面形状の凹状面部分(5e3)の半径(R5e3)の概略2倍の値に設定されている。また、樹脂部(5)の第2ねじ止め部(1b)の側の側面(5e)の平面部分(5e1,5e2)が、第2ねじ止め部(1b)のねじ穴(1b7)と第2溝部(1h8)との間に配置されている。
【0103】
そのため、請求項4に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)と第2の側の側面(1a5)との間隔(W1a)が、樹脂部(5)の第1ねじ止め部(1a)の側の側面(5d)の概略円筒面形状の凹状面部分(5d3)の半径(R5d3)の2倍より大きい値に設定され、樹脂部(5)の第1ねじ止め部(1a)の側の側面(5d)の平面部分(5d1,5d2)が、第1ねじ止め部(1a)のねじ穴(1a7)を隔てて樹脂部(5)の第1ねじ止め部(1a)の側の側面(5d)の凹状面部分(5d3)の反対側に配置され、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)と第2の側の側面(1b5)との間隔(W1b)が、樹脂部(5)の第2ねじ止め部(1b)の側の側面(5e)の概略円筒面形状の凹状面部分(5e3)の半径(R5e3)の2倍より大きい値に設定され、樹脂部(5)の第2ねじ止め部(1b)の側の側面(5e)の平面部分(5e1,5e2)が、第2ねじ止め部(1b)のねじ穴(1b7)を隔てて樹脂部(5)の第2ねじ止め部(1b)の側の側面(5e)の凹状面部分(5e3)の反対側に配置されている特許文献1の図8〜図10に記載された樹脂封止型パワー半導体モジュールよりも、樹脂部(5)の第1の側の側面(5b)と第2の側の側面(5c)との間隔(W5)を小さくすることができ、それにより、樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)全体を小型化することができる。
【0104】
本発明者等の鋭意研究により、ベース板(1)の搭載部(1c)と被取り付け部材(200)との間のみにグリス(201)が配置される場合であって、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)が被取り付け部材(200)に対して固定され、次いで、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)が被取り付け部材(200)に対して固定される場合には、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)に密着している樹脂部(5)、および、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)に密着している樹脂部(5)が割れてしまうおそれが高くなることが見い出された。
【0105】
更に、本発明者等の鋭意研究により、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)を搭載部(1c)の第1の側の側面(1c4)よりも第1の側に突出させると共に、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)を搭載部(1c)の第2の側の側面(1c5)よりも第2の側に突出させることにより、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)に密着している樹脂部(5)、および、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)に密着している樹脂部(5)が割れてしまうおそれを低減できることが見い出された。
【0106】
この点に鑑み、請求項5に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)では、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)が、搭載部(1c)の第1の側の側面(1c4)よりも第1の側に突出せしめられている。更に、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)が、搭載部(1c)の第2の側の側面(1c5)よりも第2の側に突出せしめられている。
【0107】
そのため、請求項5に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)によれば、ベース板(1)の搭載部(1c)と被取り付け部材(200)との間のみにグリス(201)が配置される場合であって、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)が被取り付け部材(200)に対して固定され、次いで、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)が被取り付け部材(200)に対して固定される場合に、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)に密着している樹脂部(5)、および、ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)に密着している樹脂部(5)が割れてしまうおそれを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100を示した図である。
【図2】ねじ止めによって第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100が被取り付け部材200に取り付けられる様子を示した図である。
【図3】図1に示すベース板1の部品図である。
【図4】図3に示す切り欠き部1d1,1e1,1f1,1g1が形成された後であって、図3に示す張り出し部1d2,1e2,1f2,1g2,1c4a,1c4b,1c5a,1c5bおよび溝部1h1,1h2,1h3,1h4,1h5,1h6が形成される前におけるベース板1を示した図である。
【図5】図3に示す溝部1h1,1h2,1h3,1h4,1h5,1h6を説明するための図である。
【図6】第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100の内部構造を説明するための図である。
【図7】図3に示すベース板1の右ねじ止め部1aと図1に示す樹脂部5の右側面5dとの関係、図3に示すベース板1の左ねじ止め部1bと図1に示す樹脂部5の左側面5eとの関係などを説明するための図である。
【図8】第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100の等価回路図である。
【図9】第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100のベース板1の部品図である。
【図10】図9に示す溝部1h7,1h8を説明するための図である。
【図11】第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100の内部構造を説明するための図である。
【図12】図9に示すベース板1の右ねじ止め部1aと図10(B)に示す樹脂部5の右側面5dとの関係、図9に示すベース板1の左ねじ止め部1bと図10(B)に示す樹脂部5の左側面5eとの関係などを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0109】
以下、本発明の樹脂封止型パワー半導体モジュールの第1の実施形態について説明する。図1は第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100を示した図である。詳細には、図1(A)は第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100の平面図、図1(B)は第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100の正面図、図1(C)は第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100の左側面図、図1(D)は第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100の右側面図、図1(E)は図1(A)のA−A線に沿った断面図である。詳細には、図1(E)はベース板1の右ねじ止め部1a(図1(E)参照)のねじ穴1a7の中心軸線と左ねじ止め部1b(図1(E)参照)のねじ穴1b7の中心軸線とを含む中心面CPab(図1(A)参照)に沿った第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100の断面図である。
【0110】
図2はねじ止めによって第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100が被取り付け部材200に取り付けられる様子を示した図である。図3は図1に示すベース板1の部品図である。詳細には、図3(A)はベース板1の平面図、図3(B)はベース板1の正面図、図3(C)は図3(A)のB−B線に沿った断面図である。詳細には、図3(C)は右ねじ止め部1aのねじ穴1a7の中心軸線と左ねじ止め部1bのねじ穴1b7の中心軸線とを含む中心面CPabに沿ったベース板1の断面図である。図3(D)はベース板1の底面図、図3(E)はベース板1の後側面図である。
【0111】
図4は図3に示す切り欠き部1d1,1e1,1f1,1g1が形成された後であって、図3に示す張り出し部1d2,1e2,1f2,1g2,1c4a,1c4b,1c5a,1c5bおよび溝部1h1,1h2,1h3,1h4,1h5,1h6が形成される前におけるベース板1を示した図である。詳細には、図4(A)は図3に示す切り欠き部1d1,1e1,1f1,1g1が形成された後であって、図3に示す張り出し部1d2,1e2,1f2,1g2,1c4a,1c4b,1c5a,1c5bおよび溝部1h1,1h2,1h3,1h4,1h5,1h6が形成される前におけるベース板1の平面図である。図4(B)はベース板1の右ねじ止め部1aの上面1a1、左ねじ止め部1bの上面1b1および搭載部1cの上面1c1のうち、張り出し部1d2,1e2,1f2,1g2,1c4a,1c4b,1c5a,1c5b(図3参照)を形成するために潰される部分1a1a,1a1b,1a1c,1a1d,1b1a,1b1b,1b1c,1b1d,1c1a,1c1b,1c1c,1c1d,1c1e,1c1f,1c1g,1c1hを示した図である。図4(C)は図4(B)に示す部分1a1a,1a1b,1c1a,1c1eなどの拡大図、図4(D)は図4(B)に示す部分1a1c,1a1d,1c1b,1c1fなどの拡大図、図4(E)は図4(B)に示す部分1b1a,1b1b,1c1c,1c1gなどの拡大図、図4(F)は図4(B)に示す部分1b1c,1b1d,1c1d,1c1hなどの拡大図である。
【0112】
図5は図3に示す溝部1h1,1h2,1h3,1h4,1h5,1h6を説明するための図である。図6は第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100の内部構造を説明するための図である。詳細には、図6(A)は図1に示す樹脂部5が形成される前における第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100の他の構成部品の平面図、図6(B)は図1に示す樹脂部5が形成される前における第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100の他の構成部品の正面図、図6(C)は図1に示す樹脂部5が形成される前における第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100の他の構成部品の右側面図、図6(D)は図1に示す樹脂部5が形成される前における第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100の他の構成部品の左側面図である。図7は図3に示すベース板1の右ねじ止め部1aと図1に示す樹脂部5の右側面5d(図7参照)との関係、図3に示すベース板1の左ねじ止め部1bと図1に示す樹脂部5の左側面5e(図7参照)との関係などを説明するための図である。図8は第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100の等価回路図である。
【0113】
第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図1および図3に示すように、ねじ穴1a7を有する右ねじ止め部1aと、ねじ穴1b7を有する左ねじ止め部1bと、それらの間に配置された搭載部1cとを具備し、例えば2mmの厚さを有する概略矩形形状の金属製ベース板1が設けられている。また、図3および図6に示すように、電極板3L1と、例えばダイオードなどのようなパワー半導体素子2Lと、電極板3L2と、外部端子4Lとが、ベース板1の搭載部1cに搭載されると共に、電極板3R1と、例えばダイオードなどのようなパワー半導体素子2Rと、電極板3R2と、外部端子4Rとが、ベース板1の搭載部1cに搭載されている。更に、ベース板1の搭載部1cと、電極板3L1と、パワー半導体素子2Lと、電極板3L2と、外部端子4Lの下側部分4L1とが、例えば半田などのような接合材によって相互に接合されると共に、ベース板1の搭載部1cと、電極板3R1と、パワー半導体素子2Rと、電極板3R2と、外部端子4Rの下側部分4R1とが、例えば半田などのような接合材によって相互に接合されている。
【0114】
詳細には、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、電極板3L1の熱膨張係数が、ベース板1の熱膨張係数とパワー半導体素子2Lの熱膨張係数との間の値に設定されている。また、電極板3L2の熱膨張係数が、パワー半導体素子2Lの熱膨張係数と外部端子4Lの熱膨張係数との間の値に設定されている。更に、電極板3R1の熱膨張係数が、ベース板1の熱膨張係数とパワー半導体素子2Rの熱膨張係数との間の値に設定されている。また、電極板3R2の熱膨張係数が、パワー半導体素子2Rの熱膨張係数と外部端子4Rの熱膨張係数との間の値に設定されている。
【0115】
更に、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図1に示すように、樹脂部5の下面5fとベース板1の下面1Dとが一致するように、例えばトランスファー成形などのような樹脂材料の成形によって、少なくともベース板1の一部分と、パワー半導体素子2R,2L(図1(E)参照)と、電極板3R1,3R2,3L1,3L2(図6参照)と、外部端子4R,4Lの一部分とが封止されている。
【0116】
詳細には、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図1および図3に示すように、ベース板1の右ねじ止め部1aの上面1a1の一部分が樹脂部5によって覆われ、ベース板1の右ねじ止め部1aの上面1a1の残りの部分が、外部に露出せしめられている。また、ベース板1の右ねじ止め部1aの右側面1a2が、外部に露出せしめられている。更に、ベース板1の右ねじ止め部1aの前側面1a4の一部分が樹脂部5によって覆われ、ベース板1の右ねじ止め部1aの前側面1a4の残りの部分が、外部に露出せしめられている。また、ベース板1の右ねじ止め部1aの後側面1a5の一部分が樹脂部5によって覆われ、ベース板1の右ねじ止め部1aの後側面1a5の残りの部分が、外部に露出せしめられている。更に、ベース板1の右ねじ止め部1aの下面1a6が、外部に露出せしめられている。
【0117】
また、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図1および図3に示すように、ベース板1の左ねじ止め部1bの上面1b1の一部分が樹脂部5によって覆われ、ベース板1の左ねじ止め部1bの上面1b1の残りの部分が、外部に露出せしめられている。また、ベース板1の左ねじ止め部1bの左側面1b3が、外部に露出せしめられている。更に、ベース板1の左ねじ止め部1bの前側面1b4の一部分が樹脂部5によって覆われ、ベース板1の左ねじ止め部1bの前側面1b4の残りの部分が、外部に露出せしめられている。また、ベース板1の左ねじ止め部1bの後側面1b5の一部分が樹脂部5によって覆われ、ベース板1の左ねじ止め部1bの後側面1b5の残りの部分が、外部に露出せしめられている。更に、ベース板1の左ねじ止め部1bの下面1b6が、外部に露出せしめられている。
【0118】
更に、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図1および図3に示すように、ベース板1の搭載部1cの上面1c1が樹脂部5によって覆われている。また、ベース板1の搭載部1cの前側面1c4が樹脂部5によって覆われている。更に、ベース板1の搭載部1cの後側面1c5が樹脂部5によって覆われている。また、ベース板1の搭載部1cの下面1c6が、外部に露出せしめられている。
【0119】
また、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図1および図6に示すように、パワー半導体素子2R,2Lと、電極板3R1,3R2,3L1,3L2とが、樹脂部5によって覆われている。更に、外部端子4Rの下側部分4R1と、中間部分4R3の一部分とが樹脂部5によって覆われ、外部端子4Rの中間部分4R3の残りの部分と、ねじ穴4R2aを有する上側部分4R2とが、外部に露出せしめられている。また、外部端子4Lの下側部分4L1と、中間部分4L3の一部分とが樹脂部5によって覆われ、外部端子4Lの中間部分4L3の残りの部分と、ねじ穴4L2aを有する上側部分4L2とが、外部に露出せしめられている。
【0120】
更に、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図1(E)に示すように、樹脂部5の上面5aに形成された凹部内にナット6R,6Lが挿入されている。また、図1および図6に示すように、外部端子4Rの中間部分4R3と上側部分4R2との境界部分が折り曲げられ、外部端子4Rの上側部分4R2によって、ナット6Rが覆われている。更に、外部端子4Lの中間部分4L3と上側部分4L2との境界部分が折り曲げられ、外部端子4Lの上側部分4L2によって、ナット6Lが覆われている。
【0121】
その結果、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図1および図8に示すように、ベース板1によってパワー半導体素子(ダイオード)2R,2Lの共通のアノード端子が構成されている。また、外部端子4Rの上側部分4R2によってパワー半導体素子(ダイオード)2Rのカソード端子が構成され、外部端子4Lの上側部分4L2によってパワー半導体素子(ダイオード)2Lのカソード端子が構成されている。
【0122】
第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、ベース板1によってパワー半導体素子(ダイオード)2R,2Lのアノード端子が構成され、外部端子4R,4Lの上側部分4R2,4L2によってパワー半導体素子(ダイオード)2R,2Lのカソード端子が構成されているが、第2の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、代わりに、ベース板1によってパワー半導体素子(ダイオード)2R,2Lのカソード端子を構成し、外部端子4R,4Lの上側部分4R2,4L2によってパワー半導体素子(ダイオード)2R,2Lのアノード端子を構成することも可能である。
【0123】
第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、パワー半導体素子2R,2Lとしてダイオードが用いられているが、第3の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、代わりに、パワー半導体素子として、ダイオード以外の任意のパワー半導体素子を用いたり、あるいは、パワー半導体素子としてダイオードとダイオード以外の任意のパワー半導体素子とを併用したりすることも可能である。
【0124】
第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、2個のパワー半導体素子2R,2Lが設けられているが、第4の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、代わりに、1個以上の任意の数のパワー半導体素子を設けることも可能である。
【0125】
第2から第4の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100においても、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100と同様に、大電流が流れるパワー半導体素子の一方の端子がベース板によって構成され、大電流が流れるパワー半導体素子の他方の端子が外部端子によって構成されている。
【0126】
第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100のベース板1が被取り付け部材200に取り付けられる場合には、図2(A)に示すように、被取り付け部材200とベース板1との間のうち、被取り付け部材200と右ねじ止め部1aとの間および被取り付け部材200と左ねじ止め部1bとの間にグリス201が配置されることなく、搭載部1cと被取り付け部材200との間にグリス201が配置される。
【0127】
そのため、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100のベース板1が被取り付け部材200に取り付けられる場合には、図2(A)に示すように、ベース板1の右ねじ止め部1aおよび左ねじ止め部1bのねじ止めが行われる前の段階で、ベース板1の搭載部1cと被取り付け部材200のとの間のグリス201の厚さT1cに相当する隙間SP1a,SP1bが、ベース板1の右ねじ止め部1aと被取り付け部材200との間およびベース板1の左ねじ止め部1bと被取り付け部材200との間に存在する。
【0128】
また、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100のベース板1が被取り付け部材200に取り付けられる場合には、図2(B)に示すように、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板1の右ねじ止め部1aが被取り付け部材200に対して固定され、次いで、図2(C)に示すように、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板1の左ねじ止め部1bが被取り付け部材200に対して固定される。
【0129】
その結果、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100のベース板1が被取り付け部材200に取り付けられる場合には、図2(B)に示すように、ベース板1の右ねじ止め部1aが被取り付け部材200に対して固定された段階で、グリス201の断面形状が、長方形にならず、概略楔形状になる。従って、次いで、図2(C)に示すように、ベース板1の左ねじ止め部1bが被取り付け部材200に対して固定される時に、ベース板1の左ねじ止め部1bと搭載部1cとの境界である境界部分BPbcの近傍に大きい応力がかかる。
【0130】
そこで、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図2(C)に示すようにベース板1の左ねじ止め部1bが被取り付け部材200に対して固定される時に境界部分BPbcの近傍にかかる応力に伴うベース板1の変形(曲がり)を抑制するために、後述するような対策が施されている。
【0131】
また、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、上述したように、例えばトランスファー成形などのような樹脂材料の成形によって樹脂部5(図1参照)が形成されている。そのため、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、樹脂部5とベース板1(図1および図3参照)との密着性を向上させると共に、外部に露出しているベース板1と樹脂部5との境界線から樹脂封止型パワー半導体モジュール100の内部に水分が浸入するのを抑制するために、後述するような対策が施されている。
【0132】
詳細には、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図3および図4に示すように、ベース板1の右ねじ止め部1aと搭載部1cとの境界である境界部分BPacの前側(図3(A)および図4(A)の下側)の端部に概略半円形状の切り欠き部1d1が形成されると共に、境界部分BPacの後側(図3(A)および図4(A)の上側)の端部に概略半円形状の切り欠き部1e1が形成されている。また、ベース板1の境界部分BPbcの前側(図3(A)および図4(A)の下側)の端部に概略半円形状の切り欠き部1f1が形成されると共に、境界部分BPbcの後側(図3(A)および図4(A)の上側)の端部に概略半円形状の切り欠き部1g1が形成されている。更に、図1および図3に示すように、切り欠き部1d1,1e1,1f1,1g1(図3参照)が樹脂部5(図1参照)によって覆われている。
【0133】
そのため、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、切り欠き部1d1,1e1,1f1,1g1(図3参照)が形成されていない場合よりも、ベース板1(図3参照)の右ねじ止め部1a(図3参照)の前側面1a4(図3参照)および搭載部1c(図3参照)の前側面1c4(図3参照)と樹脂部5(図1参照)との密着性、ベース板1(図3参照)の右ねじ止め部1a(図3参照)の後側面1a5(図3参照)および搭載部1c(図3参照)の後側面1c5(図3参照)と樹脂部5(図1参照)との密着性、ベース板1(図3参照)の左ねじ止め部1b(図3参照)の前側面1b4(図3参照)および搭載部1c(図3参照)の前側面1c4(図3参照)と樹脂部5(図1参照)との密着性、並びに、ベース板1(図3参照)の左ねじ止め部1b(図3参照)の後側面1b5(図3参照)および搭載部1c(図3参照)の後側面1c5(図3参照)と樹脂部5(図1参照)との密着性を向上させることができる。
【0134】
更に、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図4に示すように、右ねじ止め部1aの上面1a1のうち、切り欠き部1d1に隣接する概略4分の1円弧形状の部分1a1a(図4(B)および図4(C)参照)と、その部分1a1aおよび右ねじ止め部1aの前側面1a4に隣接する部分1a1b(図4(B)および図4(C)参照)と、搭載部1cの上面1c1のうち、切り欠き部1d1に隣接する概略4分の1円弧形状の部分1c1a(図4(B)および図4(C)参照)とを潰すことにより、切り欠き部1d1および右ねじ止め部1aの前側面1a4から前側(図3(A)の下側)に突出する張り出し部1d2(図3(A)および図3(B)参照)が形成されている。また、図1および図3に示すように、張り出し部1d2(図3参照)が樹脂部5(図1参照)によって覆われている。
【0135】
そのため、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、張り出し部1d2(図3参照)が形成されていない場合よりも、ベース板1(図3参照)の右ねじ止め部1a(図3参照)の前側面1a4(図3参照)および搭載部1c(図3参照)の前側面1c4(図3参照)と樹脂部5(図1参照)との密着性を向上させることができ、更に、ベース板1(図3参照)の下面1D(図3参照)と樹脂部5(図1参照)の下面5f(図1参照)との境界線からベース板1(図3参照)の右ねじ止め部1a(図3参照)の前側面1a4(図3参照)および搭載部1c(図3参照)の前側面1c4(図3参照)に沿って樹脂封止型パワー半導体モジュール100の内部に水分が浸入するのを抑制することができる。
【0136】
また、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図4に示すように、右ねじ止め部1aの上面1a1のうち、切り欠き部1e1に隣接する概略4分の1円弧形状の部分1a1c(図4(B)および図4(D)参照)と、その部分1a1cおよび右ねじ止め部1aの後側面1a5に隣接する部分1a1d(図4(B)および図4(D)参照)と、搭載部1cの上面1c1のうち、切り欠き部1e1に隣接する概略4分の1円弧形状の部分1c1b(図4(B)および図4(D)参照)とを潰すことにより、切り欠き部1e1および右ねじ止め部1aの後側面1a5から後側(図3(A)の上側)に突出する張り出し部1e2(図3(A)および図3(E)参照)が形成されている。更に、図1および図3に示すように、張り出し部1e2(図3参照)が樹脂部5(図1参照)によって覆われている。
【0137】
そのため、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、張り出し部1e2(図3参照)が形成されていない場合よりも、ベース板1(図3参照)の右ねじ止め部1a(図3参照)の後側面1a5(図3参照)および搭載部1c(図3参照)の後側面1c5(図3参照)と樹脂部5(図1参照)との密着性を向上させることができ、更に、ベース板1(図3参照)の下面1D(図3参照)と樹脂部5(図1参照)の下面5f(図1参照)との境界線からベース板1(図3参照)の右ねじ止め部1a(図3参照)の後側面1a5(図3参照)および搭載部1c(図3参照)の後側面1c5(図3参照)に沿って樹脂封止型パワー半導体モジュール100の内部に水分が浸入するのを抑制することができる。
【0138】
更に、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図4に示すように、左ねじ止め部1bの上面1b1のうち、切り欠き部1f1に隣接する概略4分の1円弧形状の部分1b1a(図4(B)および図4(E)参照)と、その部分1b1aおよび左ねじ止め部1bの前側面1b4に隣接する部分1b1b(図4(B)および図4(E)参照)と、搭載部1cの上面1c1のうち、切り欠き部1f1に隣接する概略4分の1円弧形状の部分1c1c(図4(B)および図4(E)参照)とを潰すことにより、切り欠き部1f1および左ねじ止め部1bの前側面1b4から前側(図3(A)の下側)に突出する張り出し部1f2(図3(A)および図3(B)参照)が形成されている。また、図1および図3に示すように、張り出し部1f2(図3参照)が樹脂部5(図1参照)によって覆われている。
【0139】
そのため、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、張り出し部1f2(図3参照)が形成されていない場合よりも、ベース板1(図3参照)の左ねじ止め部1b(図3参照)の前側面1b4(図3参照)および搭載部1c(図3参照)の前側面1c4(図3参照)と樹脂部5(図1参照)との密着性を向上させることができ、更に、ベース板1(図3参照)の下面1D(図3参照)と樹脂部5(図1参照)の下面5f(図1参照)との境界線からベース板1(図3参照)の左ねじ止め部1b(図3参照)の前側面1b4(図3参照)および搭載部1c(図3参照)の前側面1c4(図3参照)に沿って樹脂封止型パワー半導体モジュール100の内部に水分が浸入するのを抑制することができる。
【0140】
詳細には、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、張り出し部1f2(図3参照)を形成するために、左ねじ止め部1b(図4参照)の上面1b1(図4参照)の部分1b1a(図4(B)および図4(E)参照)が潰されるのみならず、その部分1b1a(図4(B)および図4(E)参照)および左ねじ止め部1b(図4参照)の前側面1b4(図4参照)に隣接する部分1b1b(図4(B)および図4(E)参照)も潰されている。
【0141】
そのため、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、図2(C)に示すように、ベース板1の左ねじ止め部1bが被取り付け部材200に対してねじ止めされる時に、境界部分BPbcの近傍にかかる大きい応力によって、ベース板1の左ねじ止め部1bの前側面1b4(図3参照)に密着している樹脂部5が割れてしまうおそれを、部分1b1b(図4(B)および図4(E)参照)が潰されていない場合よりも低減することができる。
【0142】
また、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図4に示すように、左ねじ止め部1bの上面1b1のうち、切り欠き部1g1に隣接する概略4分の1円弧形状の部分1b1c(図4(B)および図4(F)参照)と、その部分1b1cおよび左ねじ止め部1bの後側面1b5に隣接する部分1b1d(図4(B)および図4(F)参照)と、搭載部1cの上面1c1のうち、切り欠き部1g1に隣接する概略4分の1円弧形状の部分1c1d(図4(B)および図4(F)参照)とを潰すことにより、切り欠き部1g1および左ねじ止め部1bの後側面1b5から後側(図3(A)の上側)に突出する張り出し部1g2(図3(A)および図3(E)参照)が形成されている。更に、図1および図3に示すように、張り出し部1g2(図3参照)が樹脂部5(図1参照)によって覆われている。
【0143】
そのため、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、張り出し部1g2(図3参照)が形成されていない場合よりも、ベース板1(図3参照)の左ねじ止め部1b(図3参照)の後側面1b5(図3参照)および搭載部1c(図3参照)の後側面1c5(図3参照)と樹脂部5(図1参照)との密着性を向上させることができ、更に、ベース板1(図3参照)の下面1D(図3参照)と樹脂部5(図1参照)の下面5f(図1参照)との境界線からベース板1(図3参照)の左ねじ止め部1b(図3参照)の後側面1b5(図3参照)および搭載部1c(図3参照)の後側面1c5(図3参照)に沿って樹脂封止型パワー半導体モジュール100の内部に水分が浸入するのを抑制することができる。
【0144】
詳細には、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、張り出し部1g2(図3参照)を形成するために、左ねじ止め部1b(図4参照)の上面1b1(図4参照)の部分1b1c(図4(B)および図4(F)参照)が潰されるのみならず、その部分1b1c(図4(B)および図4(F)参照)および左ねじ止め部1b(図4参照)の後側面1b5(図4参照)に隣接する部分1b1d(図4(B)および図4(F)参照)も潰されている。
【0145】
そのため、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、図2(C)に示すように、ベース板1の左ねじ止め部1bが被取り付け部材200に対してねじ止めされる時に、境界部分BPbcの近傍にかかる大きい応力によって、ベース板1の左ねじ止め部1bの後側面1b5(図3参照)に密着している樹脂部5が割れてしまうおそれを、部分1b1d(図4(B)および図4(F)参照)が潰されていない場合よりも低減することができる。
【0146】
更に、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図4に示すように、搭載部1cの上面1c1のうち、切り欠き部1d1と切り欠き部1f1との間の部分1c1e,1c1g(図4(B)、図4(C)および図4(E)参照)を潰すことにより、搭載部1cの前側面1c4から前側(図3(A)の下側)に突出する張り出し部1c4a,1c4b(図3(A)および図3(B)参照)が形成されている。また、図1および図3に示すように、張り出し部1c4a,1c4b(図3参照)が樹脂部5(図1参照)によって覆われている。
【0147】
そのため、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、張り出し部1c4a,1c4b(図3参照)が形成されていない場合よりも、ベース板1(図3参照)の搭載部1c(図3参照)の前側面1c4(図3参照)と樹脂部5(図1参照)との密着性を向上させることができ、更に、ベース板1(図3参照)の下面1D(図3参照)と樹脂部5(図1参照)の下面5f(図1参照)との境界線からベース板1(図3参照)の搭載部1c(図3参照)の前側面1c4(図3参照)に沿って樹脂封止型パワー半導体モジュール100の内部に水分が浸入するのを抑制することができる。
【0148】
また、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図4に示すように、搭載部1cの上面1c1のうち、切り欠き部1e1と切り欠き部1g1との間の部分1c1f,1c1h(図4(B)、図4(D)および図4(F)参照)を潰すことにより、搭載部1cの後側面1c5から後側(図3(A)の上側)に突出する張り出し部1c5a,1c5b(図3(A)および図3(E)参照)が形成されている。また、図1および図3に示すように、張り出し部1c5a,1c5b(図3参照)が樹脂部5(図1参照)によって覆われている。
【0149】
そのため、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、張り出し部1c5a,1c5b(図3参照)が形成されていない場合よりも、ベース板1(図3参照)の搭載部1c(図3参照)の後側面1c5(図3参照)と樹脂部5(図1参照)との密着性を向上させることができ、更に、ベース板1(図3参照)の下面1D(図3参照)と樹脂部5(図1参照)の下面5f(図1参照)との境界線からベース板1(図3参照)の搭載部1c(図3参照)の後側面1c5(図3参照)に沿って樹脂封止型パワー半導体モジュール100の内部に水分が浸入するのを抑制することができる。
【0150】
更に、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図5(A)に示すように、右ねじ止め部1aのねじ穴1a7の中心軸線と左ねじ止め部1bのねじ穴1b7の中心軸線とを含む中心面CPabと例えば45°の鋭角θ1をなす直線状の溝部1h1が、右ねじ止め部1aの上面1a1のうち、右ねじ止め部1aのねじ穴1a7と切り欠き部1d1との間に形成されている。また、中心面CPabと例えば45°の鋭角θ2をなす直線状の溝部1h2が、右ねじ止め部1aの上面1a1のうち、右ねじ止め部1aのねじ穴1a7と切り欠き部1e1との間に形成されている。更に、中心面CPabに垂直な直線状の溝部1h3が、境界部分BPac上であって、溝部1h1と溝部1h2との間に形成されている。また、図1および図5(B)に示すように、溝部1h1,1h2,1h3が樹脂部5によって覆われている。
【0151】
つまり、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図5(A)に示すように、溝部1h1,1h2,1h3が、右ねじ止め部1aの上面1a1のうち、境界部分BPac上およびその近傍に形成されている。
【0152】
そのため、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、溝部1h1,1h2,1h3(図5(A)参照)が形成されていない場合よりも、樹脂部5(図1および図5(B)参照)とベース板1(図5(A)参照)の右ねじ止め部1a(図5(A)参照)の上面1a1(図5(A)参照)との密着性を向上させることができる。また、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、溝部1h1,1h2,1h3(図5(B)参照)が形成されていない場合よりも、外部に露出しているベース板1(図5(B)参照)の右ねじ止め部1a(図5(B)参照)の上面1a1(図5(B)参照)と樹脂部5(図5(B)参照)との境界線から樹脂封止型パワー半導体モジュール100の内部に水分が浸入するのを抑制することができる。
【0153】
一方、樹脂部5(図1および図5(B)参照)とベース板1(図5(A)参照)との密着性を向上させると共に、外部に露出しているベース板1(図5(A)参照)と樹脂部5(図1および図5(B)参照)との境界線から樹脂封止型パワー半導体モジュール100の内部に水分が浸入するのを抑制するための溝部1h1,1h2,1h3(図5(A)参照)の配置のやり方によっては、ベース板1(図2参照)の変形に抗する強度(詳細には、ベース板1の曲げ強度)が大幅に低下してしまうおそれがある。
【0154】
この点に鑑み、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、直線状の溝部1h1(図5(A)参照)が、中心面CPab(図5(A)参照)に垂直に形成されるのではなく、中心面CPab(図5(A)参照)と鋭角θ1(図5(A)参照)をなすように形成されている。また、直線状の溝部1h2(図5(A)参照)が、中心面CPab(図5(A)参照)に垂直に形成されるのではなく、中心面CPab(図5(A)参照)と鋭角θ2(図5(A)参照)をなすように形成されている。更に、中心面CPab(図5(A)参照)に垂直な直線状の溝部1h3(図5(A)参照)が、境界部分BPac(図5(A)参照)の前側(図5(A)の下側)の端部と後側(図5(A)の上側)の端部との間の全体にわたって形成されるのではなく、溝部1h1(図5(A)参照)と溝部1h2(図5(A)参照)との間に形成されている。
【0155】
そのため、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、中心面CPab(図5(C)参照)に垂直な直線状の溝部1h3’(図5(C)参照)が境界部分BPac(図5(C)参照)の前側の端部と後側の端部との間の全体にわたって形成されている図5(C)に示す場合よりも、境界部分BPac(図5(A)参照)におけるベース板1(図5(A)参照)の断面積を大きくすることができ、それにより、境界部分BPac(図5(A)参照)におけるベース板1(図5(A)参照)の変形に抗する強度(ベース板1の曲げ強度)を向上させることができる。
【0156】
換言すれば、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、中心面CPab(図5(C)参照)に垂直な直線状の溝部1h3’(図5(C)参照)が境界部分BPac(図5(C)参照)の前側の端部と後側の端部との間の全体にわたって形成されている図5(C)に示す場合よりも、境界部分BPac(図5(A)参照)上に溝部1h3(図5(A)参照)が形成されることに伴うベース板1(図5(A)参照)の変形に抗する強度(ベース板1の曲げ強度)の低下を抑制することができる。
【0157】
更に、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図5(A)に示すように、中心面CPabと例えば45°の鋭角θ4をなす直線状の溝部1h4が、左ねじ止め部1bの上面1b1のうち、左ねじ止め部1bのねじ穴1b7と切り欠き部1f1との間に形成されている。また、中心面CPabと例えば45°の鋭角θ5をなす直線状の溝部1h5が、左ねじ止め部1bの上面1b1のうち、左ねじ止め部1bのねじ穴1b7と切り欠き部1g1との間に形成されている。更に、中心面CPabに垂直な直線状の溝部1h6が、境界部分BPbc上であって、溝部1h4と溝部1h5との間に形成されている。また、図1および図5(B)に示すように、溝部1h4,1h5,1h6が樹脂部5によって覆われている。
【0158】
つまり、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図5(A)に示すように、溝部1h4,1h5,1h6が、左ねじ止め部1bの上面1b1のうち、境界部分BPbc上およびその近傍に形成されている。
【0159】
そのため、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、溝部1h4,1h5,1h6(図5(A)参照)が形成されていない場合よりも、樹脂部5(図1および図5(B)参照)とベース板1(図5(A)参照)の左ねじ止め部1b(図5(A)参照)の上面1b1(図5(A)参照)との密着性を向上させることができる。また、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、溝部1h4,1h5,1h6(図5(B)参照)が形成されていない場合よりも、外部に露出しているベース板1(図5(B)参照)の左ねじ止め部1b(図5(B)参照)の上面1b1(図5(B)参照)と樹脂部5(図5(B)参照)との境界線から樹脂封止型パワー半導体モジュール100の内部に水分が浸入するのを抑制することができる。
【0160】
一方、樹脂部5(図1および図5(B)参照)とベース板1(図5(A)参照)との密着性を向上させると共に、外部に露出しているベース板1(図5(A)参照)と樹脂部5(図1および図5(B)参照)との境界線から樹脂封止型パワー半導体モジュール100の内部に水分が浸入するのを抑制するための溝部1h4,1h5,1h6(図5(A)参照)の配置のやり方によっては、ベース板1(図2参照)の変形に抗する強度(詳細には、ベース板1の曲げ強度)が大幅に低下してしまうおそれがある。
【0161】
この点に鑑み、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、直線状の溝部1h4(図5(A)参照)が、中心面CPab(図5(A)参照)に垂直に形成されるのではなく、中心面CPab(図5(A)参照)と鋭角θ4(図5(A)参照)をなすように形成されている。また、直線状の溝部1h5(図5(A)参照)が、中心面CPab(図5(A)参照)に垂直に形成されるのではなく、中心面CPab(図5(A)参照)と鋭角θ5(図5(A)参照)をなすように形成されている。更に、中心面CPab(図5(A)参照)に垂直な直線状の溝部1h6(図5(A)参照)が、境界部分BPbc(図5(A)参照)の前側(図5(A)の下側)の端部と後側(図5(A)の上側)の端部との間の全体にわたって形成されるのではなく、溝部1h4(図5(A)参照)と溝部1h5(図5(A)参照)との間に形成されている。
【0162】
そのため、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、中心面CPab(図5(C)参照)に垂直な直線状の溝部1h6’(図5(C)参照)が境界部分BPbc(図5(C)参照)の前側の端部と後側の端部との間の全体にわたって形成されている図5(C)に示す場合よりも、境界部分BPbc(図5(A)参照)におけるベース板1(図5(A)参照)の断面積を大きくすることができ、それにより、境界部分BPbc(図2(C)参照)におけるベース板1(図2(C)参照)の変形に抗する強度(ベース板1の曲げ強度)を向上させることができる。
【0163】
換言すれば、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、中心面CPab(図5(C)参照)に垂直な直線状の溝部1h6’(図5(C)参照)が境界部分BPbc(図5(C)参照)の前側の端部と後側の端部との間の全体にわたって形成されている図5(C)に示す場合よりも、境界部分BPbc(図5(A)参照)上に溝部1h6(図5(A)参照)が形成されることに伴うベース板1(図2(C)参照)の変形に抗する強度(ベース板1の曲げ強度)の低下を抑制することができる。
【0164】
すなわち、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、樹脂部5(図1参照)とベース板1(図1参照)との密着機能および水分浸入抑制機能を維持しつつ、ベース板1(図2参照)の搭載部1c(図2参照)と被取り付け部材200(図2参照)との間のみにグリス201(図2参照)が配置され、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板1(図2参照)の右ねじ止め部1a(図2参照)が被取り付け部材200(図2参照)に対して固定され、次いで、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板1(図2参照)の左ねじ止め部1b(図2参照)が被取り付け部材200(図2参照)に対して固定される図2に示す場合であっても、ベース板1(図2参照)の変形を抑制することができる。
【0165】
図3および図4に示す例では、切り欠き部1d1,1e1,1f1,1g1(図4参照)が形成された後に、溝部1h1,1h2,1h3,1h4,1h5,1h6(図3参照)が形成されているが、他の例では、代わりに、切り欠き部1d1,1e1,1f1,1g1(図4参照)を形成する前に溝部1h1,1h2,1h3,1h4,1h5,1h6(図3参照)を形成したり、あるいは、切り欠き部1d1,1e1,1f1,1g1(図4参照)を形成すると同時に溝部1h1,1h2,1h3,1h4,1h5,1h6(図3参照)を形成したりすることも可能である。また、図1および図6に示す例では、一体化せしめられている外部端子4R,4L(図6参照)が樹脂部5の成形時に用いられ、樹脂部5の成形後に外部端子4R(図1参照)と外部端子4L(図1参照)とが互いに分離されているが、他の例では、予め互いに分離されている外部端子4Rと外部端子4Lとを、樹脂部5の成形時に用いることも可能である。
【0166】
更に、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図1および図7(A)に示すように、樹脂部5の右側面5dが、概略円筒面形状の凹状面部分5d3と、その前後の平面部分5d1,5d2とによって構成されている。また、ベース板1の右ねじ止め部1aの前側面1a4と後側面1a5との間隔W1a(図7(A)参照)が、樹脂部5の右側面5dの概略円筒面形状の凹状面部分5d3の半径R5d3(図7(A)参照)の概略2倍の値に設定されている。更に、樹脂部5の右側面5dの平面部分5d1がベース板1の右ねじ止め部1aのねじ穴1a7と溝部1h1との間に配置され、樹脂部5の右側面5dの平面部分5d2がベース板1の右ねじ止め部1aのねじ穴1a7と溝部1h2との間に配置されている。
【0167】
また、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図1および図7(A)に示すように、樹脂部5の左側面5eが、概略円筒面形状の凹状面部分5e3と、その前後の平面部分5e1,5e2とによって構成されている。更に、ベース板1の左ねじ止め部1bの前側面1b4と後側面1b5との間隔W1b(図7(A)参照)が、樹脂部5の左側面5eの概略円筒面形状の凹状面部分5e3の半径R5e3(図7(A)参照)の概略2倍の値に設定されている。また、樹脂部5の左側面5eの平面部分5e1がベース板1の左ねじ止め部1bのねじ穴1b7と溝部1h4との間に配置され、樹脂部5の左側面5eの平面部分5e2がベース板1の左ねじ止め部1bのねじ穴1b7と溝部1h5との間に配置されている。
【0168】
そのため、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、ベース板1(図7(B)参照)の右ねじ止め部1a(図7(B)参照)の前側面1a4(図7(B)参照)と後側面1a5(図7(B)参照)との間隔W1a(図7(B)参照)が、樹脂部5(図7(B)参照)の右側面5d(図7(B)参照)の概略円筒面形状の凹状面部分5d3(図7(B)参照)の半径R5d3(図7(B)参照)の2倍より大きい値に設定され、樹脂部5(図7(B)参照)の右側面5d(図7(B)参照)の平面部分5d1,5d2(図7(B)参照)が、ベース板1(図7(B)参照)の右ねじ止め部1a(図7(B)参照)のねじ穴1a7(図7(B)参照)よりも右側に配置され、ベース板1(図7(B)参照)の左ねじ止め部1b(図7(B)参照)の前側面1b4(図7(B)参照)と後側面1b5(図7(B)参照)との間隔W1b(図7(B)参照)が、樹脂部5(図7(B)参照)の左側面5e(図7(B)参照)の概略円筒面形状の凹状面部分5e3(図7(B)参照)の半径R5e3(図7(B)参照)の2倍より大きい値に設定され、樹脂部5(図7(B)参照)の左側面5e(図7(B)参照)の平面部分5e1,5e2(図7(B)参照)が、ベース板1(図7(B)参照)の左ねじ止め部1b(図7(B)参照)のねじ穴1b7(図7(B)参照)よりも左側に配置されている特許文献1の図8〜図10に記載された樹脂封止型パワー半導体モジュールよりも、樹脂部5(図7(A)参照)の前側面5b(図7(A)参照)と後側面5c(図7(A)参照)との間隔W5(図7(A)参照)を小さくすることができ、それにより、樹脂封止型パワー半導体モジュール100の全体を小型化することができる。
【0169】
本発明者等の鋭意研究により、図2(A)に示すように、ベース板1の搭載部1cと被取り付け部材200との間のみにグリス201が配置され、次いで、図2(B)に示すように、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板1の右ねじ止め部1aが被取り付け部材200に対して固定され、次いで、図2(C)に示すように、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板1の左ねじ止め部1bが被取り付け部材200に対して固定される場合には、ベース板1の左ねじ止め部1bの前側面1b4(図7(A)参照)に密着している樹脂部5(図7(A)参照)、および、ベース板1の左ねじ止め部1bの後側面1b5(図7(A)参照)に密着している樹脂部5(図7(A)参照)が割れてしまうおそれが高くなることが見い出された。
【0170】
更に、本発明者等の鋭意研究により、図3(A)に示すように、ベース板1の左ねじ止め部1bの前側面1b4を例えば0.5mmほど搭載部1cの前側面1c4よりも前側(図3(A)の下側)に突出させると共に、ベース板1の左ねじ止め部1bの後側面1b5を例えば0.5mmほど搭載部1cの後側面1c5よりも後側(図3(A)の上側)に突出させることにより、ベース板1の左ねじ止め部1bの前側面1b4に密着している樹脂部5(図1および図7(A)参照)、および、ベース板1の左ねじ止め部1bの後側面1b5に密着している樹脂部5(図1および図7(A)参照)が割れてしまうおそれを低減できることが見い出された。
【0171】
この点に鑑み、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図3(A)に示すように、ベース板1の左ねじ止め部1bの前側面1b4が、例えば0.5mmほど搭載部1cの前側面1c4よりも前側(図3(A)の下側)に突出せしめられている。更に、ベース板1の左ねじ止め部1bの後側面1b5が、例えば0.5mmほど搭載部1cの後側面1c5よりも後側(図3(A)の上側)に突出せしめられている。
【0172】
そのため、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、図2(A)に示すように、ベース板1の搭載部1cと被取り付け部材200との間のみにグリス201が配置され、次いで、図2(B)に示すように、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板1の右ねじ止め部1aが被取り付け部材200に対して固定され、次いで、図2(C)に示すように、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板1の左ねじ止め部1bが被取り付け部材200に対して固定される場合に、ベース板1(図7(A)参照)の左ねじ止め部1b(図7(A)参照)の前側面1b4(図7(A)参照)に密着している樹脂部5(図7(A)参照)、および、ベース板1(図7(A)参照)の左ねじ止め部1b(図7(A)参照)の後側面1b5(図7(A)参照)に密着している樹脂部5(図7(A)参照)が割れてしまうおそれを低減することができる。
【0173】
同様に、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図3(A)に示すように、ベース板1の右ねじ止め部1aの前側面1a4が、例えば0.5mmほど搭載部1cの前側面1c4よりも前側(図3(A)の下側)に突出せしめられている。更に、ベース板1の右ねじ止め部1aの後側面1a5が、例えば0.5mmほど搭載部1cの後側面1c5よりも後側(図3(A)の上側)に突出せしめられている。
【0174】
以下、本発明の樹脂封止型パワー半導体モジュールの第5の実施形態について説明する。第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100は、後述する点を除き、上述した第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100とほぼ同様に構成されている。従って、第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、後述する点を除き、上述した第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100とほぼ同様の効果を奏することができる。
【0175】
図9は第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100のベース板1の部品図である。詳細には、図9(A)はベース板1の平面図、図9(B)はベース板1の正面図、図9(C)は図9(A)のC−C線に沿った断面図である。詳細には、図9(C)は右ねじ止め部1aのねじ穴1a7の中心軸線と左ねじ止め部1bのねじ穴1b7の中心軸線とを含む中心面CPabに沿ったベース板1の断面図である。図9(D)はベース板1の底面図、図9(E)はベース板1の後側面図である。
【0176】
図10は図9に示す溝部1h7,1h8を説明するための図である。図11は第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100の内部構造を説明するための図である。詳細には、図11(A)は図10(B)に示す樹脂部5が形成される前における第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100の他の構成部品の平面図、図11(B)は図10(B)に示す樹脂部5が形成される前における第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100の他の構成部品の正面図、図11(C)は図10(B)に示す樹脂部5が形成される前における第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100の他の構成部品の右側面図、図11(D)は図10(B)に示す樹脂部5が形成される前における第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100の他の構成部品の左側面図である。図12は図9に示すベース板1の右ねじ止め部1aと図10(B)に示す樹脂部5の右側面5d(図12参照)との関係、図9に示すベース板1の左ねじ止め部1bと図10(B)に示す樹脂部5の左側面5e(図12参照)との関係などを説明するための図である。
【0177】
第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100においても、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100と同様に、図2(C)に示すようにベース板1の左ねじ止め部1bが被取り付け部材200に対して固定される時に境界部分BPbcの近傍にかかる応力に伴うベース板1の変形(曲がり)を抑制するために、後述するような対策が施されている。
【0178】
また、第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100においても、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100と同様に、樹脂部5(図10(B)参照)とベース板1(図9および図10(B)参照)との密着性を向上させると共に、外部に露出しているベース板1と樹脂部5との境界線から樹脂封止型パワー半導体モジュール100の内部に水分が浸入するのを抑制するために、後述するような対策が施されている。
【0179】
第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図5(A)に示すように、直線状の溝部1h1,1h2,1h3が右ねじ止め部1aの上面1a1に形成され、図1および図5(B)に示すように、溝部1h1,1h2,1h3が樹脂部5によって覆われているが、第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、代わりに、図9および図10(A)に示すように、右ねじ止め部1aのねじ穴1a7を中心とする概略円弧形状の溝部1h7が、境界部分BPacに接するように右ねじ止め部1aの上面1a1に形成され、図10(B)に示すように、溝部1h7が樹脂部5によって覆われている。
【0180】
つまり、第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図9および図10(A)に示すように、溝部1h7が、右ねじ止め部1aの上面1a1のうち、境界部分BPac上およびその近傍に形成されている。
【0181】
そのため、第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、溝部1h7(図10(A)参照)が形成されていない場合よりも、樹脂部5(図10(B)参照)とベース板1(図10(B)参照)の右ねじ止め部1a(図10(B)参照)の上面1a1(図10(B)参照)との密着性を向上させることができる。また、第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、溝部1h7(図10(A)参照)が形成されていない場合よりも、外部に露出しているベース板1(図10(B)参照)の右ねじ止め部1a(図10(B)参照)の上面1a1(図10(B)参照)と樹脂部5(図10(B)参照)との境界線から樹脂封止型パワー半導体モジュール100の内部に水分が浸入するのを抑制することができる。
【0182】
一方、樹脂部5(図10(B)参照)とベース板1(図10(A)参照)との密着性を向上させると共に、外部に露出しているベース板1(図10(A)参照)と樹脂部5(図10(B)参照)との境界線から樹脂封止型パワー半導体モジュール100の内部に水分が浸入するのを抑制するための溝部の配置のやり方によっては、ベース板1(図10(B)参照)の変形に抗する強度(詳細には、ベース板1の曲げ強度)が大幅に低下してしまうおそれがある。
【0183】
この点に鑑み、第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、中心面CPab(図10(C)参照)に垂直な直線状の溝部1h3’(図10(C)参照)が境界部分BPac(図10(C)参照)の前側(図10(C)の下側)の端部と後側(図10(C)の上側)の端部との間の全体にわたって形成されるのではなく、概略円弧形状の溝部1h7(図10(A)参照)が、境界部分BPac(図10(A)参照)に接するように形成されている。
【0184】
そのため、第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、中心面CPab(図10(C)参照)に垂直な直線状の溝部1h3’(図10(C)参照)が境界部分BPac(図10(C)参照)の前側の端部と後側の端部との間の全体にわたって形成されている図10(C)に示す場合よりも、境界部分BPac(図10(A)参照)におけるベース板1(図10(A)参照)の断面積を大きくすることができ、それにより、境界部分BPac(図10(A)参照)におけるベース板1(図10(A)参照)の変形に抗する強度(ベース板1の曲げ強度)を向上させることができる。
【0185】
換言すれば、第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、中心面CPab(図10(C)参照)に垂直な直線状の溝部1h3’(図10(C)参照)が境界部分BPac(図10(C)参照)の前側の端部と後側の端部との間の全体にわたって形成されている図10(C)に示す場合よりも、境界部分BPac(図10(A)参照)上に溝部1h7(図10(A)参照)が形成されることに伴うベース板1(図10(A)参照)の変形に抗する強度(ベース板1の曲げ強度)の低下を抑制することができる。
【0186】
更に、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図5(A)に示すように、直線状の溝部1h4,1h5,1h6が左ねじ止め部1bの上面1b1に形成され、図1および図5(B)に示すように、溝部1h4,1h5,1h6が樹脂部5によって覆われているが、第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、代わりに、図9および図10(A)に示すように、左ねじ止め部1bのねじ穴1b7を中心とする概略円弧形状の溝部1h8が、境界部分BPbcに接するように左ねじ止め部1bの上面1b1に形成され、図10(B)に示すように、溝部1h8が樹脂部5によって覆われている。
【0187】
つまり、第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図9および図10(A)に示すように、溝部1h8が、左ねじ止め部1bの上面1b1のうち、境界部分BPbc上およびその近傍に形成されている。
【0188】
そのため、第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、溝部1h8(図10(A)参照)が形成されていない場合よりも、樹脂部5(図10(B)参照)とベース板1(図10(B)参照)の左ねじ止め部1b(図10(B)参照)の上面1b1(図10(B)参照)との密着性を向上させることができる。また、第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、溝部1h8(図10(A)参照)が形成されていない場合よりも、外部に露出しているベース板1(図10(B)参照)の左ねじ止め部1b(図10(B)参照)の上面1b1(図10(B)参照)と樹脂部5(図10(B)参照)との境界線から樹脂封止型パワー半導体モジュール100の内部に水分が浸入するのを抑制することができる。
【0189】
一方、樹脂部5(図10(B)参照)とベース板1(図10(A)参照)との密着性を向上させると共に、外部に露出しているベース板1(図10(A)参照)と樹脂部5(図10(B)参照)との境界線から樹脂封止型パワー半導体モジュール100の内部に水分が浸入するのを抑制するための溝部の配置のやり方によっては、ベース板1(図10(B)参照)の変形に抗する強度(詳細には、ベース板1の曲げ強度)が大幅に低下してしまうおそれがある。
【0190】
この点に鑑み、第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、中心面CPab(図10(C)参照)に垂直な直線状の溝部1h6’(図10(C)参照)が境界部分BPbc(図10(C)参照)の前側(図10(C)の下側)の端部と後側(図10(C)の上側)の端部との間の全体にわたって形成されるのではなく、概略円弧形状の溝部1h8(図10(A)参照)が、境界部分BPbc(図10(A)参照)に接するように形成されている。
【0191】
そのため、第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、中心面CPab(図10(C)参照)に垂直な直線状の溝部1h6’(図10(C)参照)が境界部分BPbc(図10(C)参照)の前側の端部と後側の端部との間の全体にわたって形成されている図10(C)に示す場合よりも、境界部分BPbc(図10(A)参照)におけるベース板1(図10(A)参照)の断面積を大きくすることができ、それにより、境界部分BPbc(図2参照)におけるベース板1(図2参照)の変形に抗する強度(ベース板(1)の曲げ強度)を向上させることができる。
【0192】
換言すれば、第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、中心面CPab(図10(C)参照)に垂直な直線状の溝部1h6’(図10(C)参照)が境界部分BPbc(図10(C)参照)の前側の端部と後側の端部との間の全体にわたって形成されている図10(C)に示す場合よりも、境界部分BPbc(図10(A)参照)上に溝部1h8(図10(A)参照)が形成されることに伴うベース板1(図2参照)の変形に抗する強度(ベース板1の曲げ強度)の低下を抑制することができる。
【0193】
すなわち、第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、樹脂部5(図10(B)参照)とベース板1(図10(B)参照)との密着機能および水分浸入抑制機能を維持しつつ、ベース板1(図2参照)の搭載部1c(図2参照)と被取り付け部材200(図2参照)との間のみにグリス201(図2参照)が配置され、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板1(図2参照)の右ねじ止め部1a(図2参照)が被取り付け部材200(図2参照)に対して固定され、次いで、仮ねじ止めが行われることなく、1回のねじ止めによってベース板1(図2参照)の左ねじ止め部1b(図2参照)が被取り付け部材200(図2参照)に対して固定される図2に示す場合であっても、ベース板1(図2および図9参照)の変形を抑制することができる。
【0194】
図9に示す例では、切り欠き部1d1,1e1,1f1,1g1が形成された後に、溝部1h7,1h8が形成されるが、他の例では、代わりに、切り欠き部1d1,1e1,1f1,1g1を形成する前に溝部1h7,1h8を形成したり、あるいは、切り欠き部1d1,1e1,1f1,1g1を形成すると同時に溝部1h7,1h8を形成したりすることも可能である。
【0195】
更に、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図7(A)に示すように、樹脂部5の右側面5dの平面部分5d1がベース板1の右ねじ止め部1aのねじ穴1a7と溝部1h1との間に配置され、樹脂部5の右側面5dの平面部分5d2がベース板1の右ねじ止め部1aのねじ穴1a7と溝部1h2との間に配置されているが、第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、代わりに、図12(A)に示すように、樹脂部5の右側面5dの平面部分5d1,5d2が右ねじ止め部1aのねじ穴1a7と溝部1h7との間に配置されている。
【0196】
また、第1の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、図7(A)に示すように、樹脂部5の左側面5eの平面部分5e1がベース板1の左ねじ止め部1bのねじ穴1b7と溝部1h4との間に配置され、樹脂部5の左側面5eの平面部分5e2がベース板1の左ねじ止め部1bのねじ穴1b7と溝部1h5との間に配置されているが、第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100では、代わりに、図12(A)に示すように、樹脂部5の左側面5eの平面部分5e1,5e2が左ねじ止め部1bのねじ穴1b7と溝部1h8との間に配置されている。
【0197】
そのため、第5の実施形態の樹脂封止型パワー半導体モジュール100によれば、ベース板1(図12(B)参照)の右ねじ止め部1a(図12(B)参照)の前側面1a4(図12(B)参照)と後側面1a5(図12(B)参照)との間隔W1a(図12(B)参照)が、樹脂部5(図12(B)参照)の右側面5d(図12(B)参照)の概略円筒面形状の凹状面部分5d3(図12(B)参照)の半径R5d3(図12(B)参照)の2倍より大きい値に設定され、樹脂部5(図12(B)参照)の右側面5d(図12(B)参照)の平面部分5d1,5d2(図12(B)参照)が、ベース板1(図12(B)参照)の右ねじ止め部1a(図12(B)参照)のねじ穴1a7(図12(B)参照)よりも右側に配置され、ベース板1(図12(B)参照)の左ねじ止め部1b(図12(B)参照)の前側面1b4(図12(B)参照)と後側面1b5(図12(B)参照)との間隔W1b(図12(B)参照)が、樹脂部5(図12(B)参照)の左側面5e(図12(B)参照)の概略円筒面形状の凹状面部分5e3(図12(B)参照)の半径R5e3(図12(B)参照)の2倍より大きい値に設定され、樹脂部5(図12(B)参照)の左側面5e(図12(B)参照)の平面部分5e1,5e2(図12(B)参照)が、ベース板1(図12(B)参照)の左ねじ止め部1b(図12(B)参照)のねじ穴1b7(図12(B)参照)よりも左側に配置されている特許文献1の図8〜図10に記載された樹脂封止型パワー半導体モジュールよりも、樹脂部5(図12(A)参照)の前側面5b(図12(A)参照)と後側面5c(図12(A)参照)との間隔W5(図12(A)参照)を小さくすることができ、それにより、樹脂封止型パワー半導体モジュール100の全体を小型化することができる。
【0198】
第6の実施形態では、上述した第1から第5の実施形態および各例を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0199】
1 ベース板
1U 上面
1D 下面
1a,1b ねじ止め部
1a1 上面
1a1a,1a1b,1a1c,1a1d 部分
1a2,1a4,1a5 側面
1a6 下面
1a7 ねじ穴
1b1 上面
1b1a,1b1b,1b1c,1b1d 部分
1b3,1b4,1b5 側面
1b6 下面
1b7 ねじ穴
1c 搭載部
1c1 上面
1c1a,1c1b,1c1c,1c1d 部分
1c1e,1c1f,1c1g,1c1h 部分
1c4,1c5 側面
1c4a,1c4b,1c5a,1c5b 張り出し部
1c6 下面
1d1,1e1,1f1,1g1 切り欠き部
1d2,1e2,1f2,1g2 張り出し部
1h1,1h2,1h3,1h4 溝部
1h5,1h6,1h7,1h8 溝部
BPac,BPbc 境界部分
CPab 中心面
W1a,W1b 間隔
2R,2L パワー半導体素子
3R1,3R2,3L1,3L2 電極板
4R,4L 外部端子
4R1,4L1 下側部分
4R2,4L2 上側部分
4R2a,4L2a ねじ穴
4R3,4L3 中間部分
5 樹脂部
5a 上面
5b,5c,5d,5e 側面
5d1,5d2,5e1,5e2 平面部分
5d3,5e3 凹状面部分
5f 下面
W5 間隔
6R,6L ナット
100 樹脂封止型パワー半導体モジュール
200 被取り付け部材
201 グリス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ穴(1a7)を有する第1ねじ止め部(1a)と、ねじ穴(1b7)を有する第2ねじ止め部(1b)と、それらの間に配置された搭載部(1c)とを具備する概略矩形形状の金属製ベース板(1)を設け、
ベース板(1)の搭載部(1c)に少なくともパワー半導体素子(2L)と外部端子(4L)とを搭載し、
樹脂部(5)の下面(5f)とベース板(1)の下面(1D)とが一致するように、樹脂材料の成形によって、少なくともベース板(1)の一部分とパワー半導体素子(2L)と外部端子(4L)の一部分とを封止し、
ベース板(1)が取り付けられる被取り付け部材(200)とベース板(1)との間のうち、被取り付け部材(200)と第1ねじ止め部(1a)との間および被取り付け部材(200)と第2ねじ止め部(1b)との間にグリス(201)を配置することなく、搭載部(1c)と被取り付け部材(200)との間にグリス(201)を配置し、
仮ねじ止めを行うことなく、1回のねじ止めによってベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)を被取り付け部材(200)に対して固定し、次いで、仮ねじ止めを行うことなく、1回のねじ止めによってベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)を被取り付け部材(200)に対して固定するように構成された樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)において、
ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)と搭載部(1c)との境界である第1境界部分(BPac)の第1の側の端部に概略半円形状の第1切り欠き部(1d1)を形成すると共に、第1境界部分(BPac)の第1の側とは反対側の第2の側の端部に概略半円形状の第2切り欠き部(1e1)を形成し、
ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)と搭載部(1c)との境界である第2境界部分(BPbc)の第1の側の端部に概略半円形状の第3切り欠き部(1f1)を形成すると共に、第2境界部分(BPbc)の第2の側の端部に概略半円形状の第4切り欠き部(1g1)を形成し、
第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)のうち、第1切り欠き部(1d1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第1部分(1a1a)と、その第1部分(1a1a)および第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)に隣接する第2部分(1a1b)と、搭載部(1c)の上面(1c1)のうち、第1切り欠き部(1d1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第1部分(1c1a)とを潰すことにより、第1切り欠き部(1d1)および第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)から第1の側に突出する第1張り出し部(1d2)を形成し、
第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)のうち、第2切り欠き部(1e1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第3部分(1a1c)と、その第3部分(1a1c)および第1ねじ止め部(1a)の第2の側の側面(1a5)に隣接する第4部分(1a1d)と、搭載部(1c)の上面(1c1)のうち、第2切り欠き部(1e1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第2部分(1c1b)とを潰すことにより、第2切り欠き部(1e1)および第1ねじ止め部(1a)の第2の側の側面(1a5)から第2の側に突出する第2張り出し部(1e2)を形成し、
第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)のうち、第3切り欠き部(1f1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第1部分(1b1a)と、その第1部分(1b1a)および第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)に隣接する第2部分(1b1b)と、搭載部(1c)の上面(1c1)のうち、第3切り欠き部(1f1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第3部分(1c1c)とを潰すことにより、第3切り欠き部(1f1)および第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)から第1の側に突出する第3張り出し部(1f2)を形成し、
第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)のうち、第4切り欠き部(1g1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第3部分(1b1c)と、その第3部分(1b1c)および第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)に隣接する第4部分(1b1d)と、搭載部(1c)の上面(1c1)のうち、第4切り欠き部(1g1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第4部分(1c1d)とを潰すことにより、第4切り欠き部(1g1)および第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)から第2の側に突出する第4張り出し部(1g2)を形成し、
第1ねじ止め部(1a)のねじ穴(1a7)の中心軸線と第2ねじ止め部(1b)のねじ穴(1b7)の中心軸線とを含む中心面(CPab)と鋭角をなす直線状の第1溝部(1h1)を、第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)のうち、第1ねじ止め部(1a)のねじ穴(1a7)と第1切り欠き部(1d1)との間に形成し、
中心面(CPab)と鋭角をなす直線状の第2溝部(1h2)を、第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)のうち、第1ねじ止め部(1a)のねじ穴(1a7)と第2切り欠き部(1e1)との間に形成し、
中心面(CPab)に垂直な直線状の第3溝部(1h3)を、第1境界部分(BPac)上であって、第1溝部(1h1)と第2溝部(1h2)との間に形成し、
中心面(CPab)と鋭角をなす直線状の第4溝部(1h4)を、第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)のうち、第2ねじ止め部(1b)のねじ穴(1b7)と第3切り欠き部(1f1)との間に形成し、
中心面(CPab)と鋭角をなす直線状の第5溝部(1h5)を、第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)のうち、第2ねじ止め部(1b)のねじ穴(1b7)と第4切り欠き部(1g1)との間に形成し、
中心面(CPab)に垂直な直線状の第6溝部(1h3)を、第2境界部分(BPbc)上であって、第4溝部(1h4)と第5溝部(1h5)との間に形成し、
第1切り欠き部(1d1)と第2切り欠き部(1e1)と第3切り欠き部(1f1)と第4切り欠き部(1g1)と第1張り出し部(1d2)と第2張り出し部(1e2)と第3張り出し部(1f2)と第4張り出し部(1g2)と第1溝部(1h1)と第2溝部(1h2)と第3溝部(1h3)と第4溝部(1h4)と第5溝部(1h5)と第6溝部(1h6)とを樹脂部(5)によって覆ったことを特徴とする樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)。
【請求項2】
樹脂部(5)の第1ねじ止め部(1a)の側の側面(5d)を、概略円筒面形状の凹状面部分(5d3)と、その両側の平面部分(5d1,5d2)とによって構成し、
ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)と第2の側の側面(1a5)との間隔(W1a)を、樹脂部(5)の第1ねじ止め部(1a)の側の側面(5d)の概略円筒面形状の凹状面部分(5d3)の半径(R5d3)の概略2倍の値に設定し、
樹脂部(5)の第1ねじ止め部(1a)の側の側面(5d)の平面部分(5d1,5d2)を、第1ねじ止め部(1a)のねじ穴(1a7)と第1溝部(1h1)および第2溝部(1h2)との間に配置し、
樹脂部(5)の第2ねじ止め部(1b)の側の側面(5e)を、概略円筒面形状の凹状面部分(5e3)と、その両側の平面部分(5e1,5e2)とによって構成し、
ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)と第2の側の側面(1b5)との間隔(W1b)を、樹脂部(5)の第2ねじ止め部(1b)の側の側面(5e)の概略円筒面形状の凹状面部分(5e3)の半径(R5e3)の概略2倍の値に設定し、
樹脂部(5)の第2ねじ止め部(1b)の側の側面(5e)の平面部分(5e1,5e2)を、第2ねじ止め部(1b)のねじ穴(1b7)と第4溝部(1h4)および第5溝部(1h5)との間に配置したことを特徴とする請求項1に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)。
【請求項3】
ねじ穴(1a7)を有する第1ねじ止め部(1a)と、ねじ穴(1b7)を有する第2ねじ止め部(1b)と、それらの間に配置された搭載部(1c)とを具備する概略矩形形状の金属製ベース板(1)を設け、
ベース板(1)の搭載部(1c)に少なくともパワー半導体素子(2L)と外部端子(4L)とを搭載し、
樹脂部(5)の下面(5f)とベース板(1)の下面(1D)とが一致するように、樹脂材料の成形によって、少なくともベース板(1)の一部分とパワー半導体素子(2L)と外部端子(4L)の一部分とを封止し、
ベース板(1)が取り付けられる被取り付け部材(200)とベース板(1)との間のうち、被取り付け部材(200)と第1ねじ止め部(1a)との間および被取り付け部材(200)と第2ねじ止め部(1b)との間にグリス(201)を配置することなく、搭載部(1c)と被取り付け部材(200)との間にグリス(201)を配置し、
仮ねじ止めを行うことなく、1回のねじ止めによってベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)を被取り付け部材(200)に対して固定し、次いで、仮ねじ止めを行うことなく、1回のねじ止めによってベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)を被取り付け部材(200)に対して固定するように構成された樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)において、
ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)と搭載部(1c)との境界である第1境界部分(BPac)の第1の側の端部に概略半円形状の第1切り欠き部(1d1)を形成すると共に、第1境界部分(BPac)の第1の側とは反対側の第2の側の端部に概略半円形状の第2切り欠き部(1e1)を形成し、
ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)と搭載部(1c)との境界である第2境界部分(BPbc)の第1の側の端部に概略半円形状の第3切り欠き部(1f1)を形成すると共に、第2境界部分(BPbc)の第2の側の端部に概略半円形状の第4切り欠き部(1g1)を形成し、
第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)のうち、第1切り欠き部(1d1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第1部分(1a1a)と、その第1部分(1a1a)および第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)に隣接する第2部分(1a1b)と、搭載部(1c)の上面(1c1)のうち、第1切り欠き部(1d1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第1部分(1c1a)とを潰すことにより、第1切り欠き部(1d1)および第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)から第1の側に突出する第1張り出し部(1d2)を形成し、
第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)のうち、第2切り欠き部(1e1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第3部分(1a1c)と、その第3部分(1a1c)および第1ねじ止め部(1a)の第2の側の側面(1a5)に隣接する第4部分(1a1d)と、搭載部(1c)の上面(1c1)のうち、第2切り欠き部(1e1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第2部分(1c1b)とを潰すことにより、第2切り欠き部(1e1)および第1ねじ止め部(1a)の第2の側の側面(1a5)から第2の側に突出する第2張り出し部(1e2)を形成し、
第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)のうち、第3切り欠き部(1f1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第1部分(1b1a)と、その第1部分(1b1a)および第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)に隣接する第2部分(1b1b)と、搭載部(1c)の上面(1c1)のうち、第3切り欠き部(1f1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第3部分(1c1c)とを潰すことにより、第3切り欠き部(1f1)および第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)から第1の側に突出する第3張り出し部(1f2)を形成し、
第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)のうち、第4切り欠き部(1g1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第3部分(1b1c)と、その第3部分(1b1c)および第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)に隣接する第4部分(1b1d)と、搭載部(1c)の上面(1c1)のうち、第4切り欠き部(1g1)に隣接する概略4分の1円弧形状の第4部分(1c1d)とを潰すことにより、第4切り欠き部(1g1)および第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)から第2の側に突出する第4張り出し部(1g2)を形成し、
第1ねじ止め部(1a)のねじ穴(1a7)を中心とする概略円弧形状の第1溝部(1h7)を、第1境界部分(BPac)に接するように第1ねじ止め部(1a)の上面(1a1)に形成し、
第2ねじ止め部(1b)のねじ穴(1b7)を中心とする概略円弧形状の第2溝部(1h8)を、第2境界部分(BPbc)に接するように第2ねじ止め部(1b)の上面(1b1)に形成し、
第1切り欠き部(1d1)と第2切り欠き部(1e1)と第3切り欠き部(1f1)と第4切り欠き部(1g1)と第1張り出し部(1d2)と第2張り出し部(1e2)と第3張り出し部(1f2)と第4張り出し部(1g2)と第1溝部(1h7)と第2溝部(1h8)とを樹脂部(5)によって覆ったことを特徴とする樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)。
【請求項4】
樹脂部(5)の第1ねじ止め部(1a)の側の側面(5d)を、概略円筒面形状の凹状面部分(5d3)と、その両側の平面部分(5d1,5d2)とによって構成し、
ベース板(1)の第1ねじ止め部(1a)の第1の側の側面(1a4)と第2の側の側面(1a5)との間隔(W1a)を、樹脂部(5)の第1ねじ止め部(1a)の側の側面(5d)の概略円筒面形状の凹状面部分(5d3)の半径(R5d3)の概略2倍の値に設定し、
樹脂部(5)の第1ねじ止め部(1a)の側の側面(5d)の平面部分(5d1,5d2)を、第1ねじ止め部(1a)のねじ穴(1a7)と第1溝部(1h7)との間に配置し、
樹脂部(5)の第2ねじ止め部(1b)の側の側面(5e)を、概略円筒面形状の凹状面部分(5e3)と、その両側の平面部分(5e1,5e2)とによって構成し、
ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)と第2の側の側面(1b5)との間隔(W1b)を、樹脂部(5)の第2ねじ止め部(1b)の側の側面(5e)の概略円筒面形状の凹状面部分(5e3)の半径(R5e3)の概略2倍の値に設定し、
樹脂部(5)の第2ねじ止め部(1b)の側の側面(5e)の平面部分(5e1,5e2)を、第2ねじ止め部(1b)のねじ穴(1b7)と第2溝部(1h8)との間に配置したことを特徴とする請求項3に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)。
【請求項5】
ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第1の側の側面(1b4)を、搭載部(1c)の第1の側の側面(1c4)よりも第1の側に突出させ、
ベース板(1)の第2ねじ止め部(1b)の第2の側の側面(1b5)を、搭載部(1c)の第2の側の側面(1c5)よりも第2の側に突出させたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂封止型パワー半導体モジュール(100)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−110234(P2013−110234A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253458(P2011−253458)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【出願人】(000227928)日本インター株式会社 (67)