説明

樹脂成形品およびその製造法

【課題】端子板表面が露出しており、端子板から延長された電極板がインサート成形されている樹脂成形品において、端子板表面が射出成形の樹脂で覆われないようにする。
【解決手段】ナット1を樹脂製ナットホルダ2の凹陥部7に収容する。樹脂製ナットホルダ2には、凹陥部7の開口部分に、端子板4の厚み方向を深さ方向とする第1段部11を設け、端子板4を第1段部11に嵌め合わせ第1段部11の底部に当接させ保持する。これにより、端子板4のボルト挿入穴3とナット1の螺子穴3の位置が対応して端子板4がナット1の面に相対し、端子板4から一体に延長され断面形状がL字形状に屈曲した関係にある電極板5が樹脂製ナットホルダ2の外側面と相対した組立体とする。端子板4の表面を成形キャビティから隔離した状態で組立体をインサート成形し、樹脂製ナットホルダ2の一部と電極板5を樹脂中に埋設した樹脂成形品とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子板が表面に露出し、端子板から延長された電極板がインサート成形されている樹脂成形品に関する。殊に、前記端子板にはボルト挿入穴を有しており、その背面に位置している樹脂成形品中に、前記ボルト挿入穴に対し螺子穴の位置を合せているナットを配置した樹脂成形品に関する。また、その樹脂成形品の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
端子板が表面に露出し、端子板から延長された電極板がインサート成形された樹脂成形品は、パワー素子を組み込むためのケースとして、種々提案されている。前記端子板は、ボルト挿入穴を有し、その背面にはナットを配置してあり、端子板とこれに当接した外部電極板とを、これらを貫通するボルトと前記ナットとの螺合により締結することが行なわれている。前記ナットは、樹脂成形品中に配置されている。その配置は、端子板のボルト挿入穴に対しナットの螺子穴の位置を合せている。
【0003】
特開平09−069603号公報(特許文献1)には、樹脂成形品6が開示されている。この樹脂成形品6は、ナット1を収容した樹脂製ナットホルダ2と、ボルト挿入穴3を設けた端子板4と、当該端子板から一体に延長され端子板4とは断面形状がL字形をなすように屈曲している電極板5とを備えている。そして、端子板4を樹脂成形品6の表面に露出せしめて、樹脂製ナットホルダ2と電極板5とが所定の間隔を保ってインサート成形されている。
【0004】
特許文献1に開示されている樹脂成形品6を、図8に基づいて説明する。
樹脂製ナットホルダ2には有底の凹陥部7を設けてある。当該凹陥部7にナット1を収容してあり、前記ナット1は螺子穴を有する面の一側を外部に覗かせ、他側を樹脂製ナットホルダ2で覆われている。また、前記ナット1は、樹脂製ナットホルダ2内での回転を防止し得る状態で、樹脂製ナットホルダ2の凹陥部7に収容されている。例えば、前記凹陥部7は前記ナット1の外形と相似形状の若干大きい形状に形成されている。そして、前記ナット1を収容した樹脂製ナットホルダ2を樹脂成形品6にインサート成形して、外部に覗かせているナット1の面と樹脂成形品6の外面とを同一面としている。さらに、端子板4から一体に延長され端子板4と断面形状がL字形をなすように屈曲している電極板5を、前記ナット1を収容した樹脂製ナットホルダ2とともに樹脂成形品6にインサート成形している。さらに、端子板4は、表面に露出せしめられており、そのボルト挿入穴3とナット1の螺子穴の位置が合うように、外部に覗かせたナット1の面に相対している。
【0005】
特許文献1には、上記のインサート成形について具体的に開示されていないが、常法に従えば、次のように実施される。先ず、樹脂成形品6の成形金型(特許文献1には図示されていない)を準備する。この成形金型の成形キャビティ内には、樹脂製ナットホルダ2の凹陥部7にナット1を収容したときに、端子板4のボルト挿入穴3の中心軸とナット1の螺子穴の中心軸とが一致するように、樹脂製ナットホルダ2と端子板4及び電極板5の配設箇所が設定される。先ず、樹脂製ナットホルダ2をこの成形金型の成形キャビティ内の前記対応する配設箇所に設置し、次に、ナット1を樹脂製ナットホルダ2の凹陥部7に収容して保持する。ナット1と凹陥部7は、ナット1と凹陥部7の側壁間に若干の隙間ができる寸法関係とする。更に、端子板4及び電極板5を前記所定の配設箇所に設置する。これらの準備を整えた段階で成形金型を型締めし、成形キャビティ内に溶融樹脂を射出して、電極板5と樹脂製ナットホルダ2とを、樹脂成形品6と共に一体的にインサート成形する。これにより、図8に示すように、樹脂製ナットホルダ2のナット1を外部に覗かせている面と樹脂成形品6の外面とが同一面であり、表面に露出せしめられた端子板4のボルト挿入穴とナット1の螺子穴の中心軸が一致した構造の樹脂成形品6が成形される。
【0006】
また、特開2004−106468号公報(特許文献2)には、上記特許文献1に開示されたものと類似構造の樹脂成形品が開示されている。この樹脂成形品6は、上記特許文献1における樹脂製ナットホルダ2を使用していない。その代わりに、図9に示すように、ナット1の螺子穴を有する面の一側を端子板4に当接し、ナット1の螺子穴8と端子板4のボルト挿入穴3の中心軸を一致させて一体化した組立体としている。尚、ナット1の螺子穴8を有する面の他側は封口されている。
このような組立体を、成形キャビティ内の所定の配設箇所に設置し、成形金型を型締めし、成形キャビティ内に溶融樹脂を射出して、電極板5とナット1とを、樹脂成形品6と一体的にインサート成形している。これにより、図9に示すように、ナット1の螺子穴8を有する面の一側と樹脂成形品6の外面とが同一面であり、表面に露出せしめられた端子板4のボルト挿入穴3とナット1の螺子穴8の中心軸が一致した構造の樹脂成形品6が成形される。
【0007】
上記特許文献1と特許文献2のいずれに開示された樹脂成形品6においても、インサート成形は、端子板4が成形キャビティ内に設置されて成形キャビティの内壁面に密接した状態で行なわれなければならない。その結果として、前記成形キャビティの内壁面に密接した端子板4の表面は、射出成形の溶融樹脂で覆われず、端子板4の表面が樹脂成形品6の表面に露出せしめられた状態となっている。一方、端子板4の背面側(ナット1と相対する面)は、インサート成形時に、成形キャビティ内の成形空間を構成している。従って、インサート成形した後は、端子板4の背面側と樹脂成形品6とは、ナット1と相対する領域を除いて密着した状態となっている。
【0008】
図10に示すように、端子板4とこれに当接した外部電極板9とを、これらを貫通するボルト10と前記ナット1との螺合により締結することが行なわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平09−069603号公報
【特許文献2】特開2004−106468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1や特許文献2に開示された技術において、通常、端子板及び電極板は、金属板を打ち抜き加工して製造されるので、打ち抜き加工端面にダレ、カエリが発生する。このようなカエリがある端子板を、成形キャビティ内の所定の配設箇所に設置するとき、位置決め精度を高めるためと、樹脂成形品の成形時の溶融樹脂の侵入を防ぐために、位置決め部材とのクリアランスを小さくしておくと、前記カエリが位置決め部材に引っ掛かり障害となって、端子板を所定の配設箇所に設置できない心配がある。これを回避するために、クリアランスを大きくしておくと、前記心配はないが、端子板を成形キャビティ内壁面に十分に密接させることができず、隙間に射出成形の溶融樹脂が侵入して、端子板表面の一部が樹脂層で覆われることがある。
このように成形された樹脂成形品の端子板に外部電極板を当接し、端子板と外部電極板を貫通するボルトを端子板背面のナットに螺合することにより端子板と外部電極板を締結すると、端子板表面を覆う樹脂層が、前記締結圧力を受けた状態で端子板と外部電極板の間に介在することになる。圧力を受けた状態が継続する前記樹脂層はクリープ現象を起こし、ボルトナットの締め付けトルクが低下して前記締結が緩む心配がある。
また、端子板と端子板背面のナット面との隙間に射出成形の溶融樹脂が侵入して、樹脂層が形成されることがある。この場合も、樹脂層のクリープ現象により、上記と同様に端子板と外部電極板の締結が緩む心配がある。
上記の懸念は、端子板の加工端面にカエリがなく、位置決め部材とのクリアランスを小さくできる場合にも皆無ではない。
【0011】
本発明は、ナットを収容した樹脂製ナットホルダと、ボルト挿入穴を設けた端子板と、当該端子板から一体に延長され端子板とは断面形状がL字形をなすように屈曲している電極板とを備えており、前記端子板は表面が露出せられ背面が樹脂製ナットホルダに当接して、前記樹脂製ナットホルダと前記電極板とが所定の間隔を保ってインサート成形されている樹脂成形品を対象としている。
【0012】
本発明が解決しようとする第1の課題は、前記樹脂成形品において、端子板表面が射出成形の樹脂層で覆われず、端子板と端子板背面のナット面との隙間に射出成形の溶融樹脂が侵入することがない樹脂成形品を提供することである。また、当該樹脂成形品の製造法を提供することである。
第2の課題は、第1の課題に加えて、樹脂製ナットホルダと電極板とが所定の間隔を保ってインサート成形されたとき、両者間に射出成形の溶融樹脂が充填されてできる厚肉部のヒケ、ボイド、寸法不良等の成形不良を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る樹脂成形品は、次のような基本構成が採用される。
すなわち、ナットを収容した樹脂製ナットホルダと、ボルト挿入穴を設けた端子板と、当該端子板から一体に延長され端子板とは断面形状がL字形をなすように屈曲している電極板とを備えている。前記ナットは、螺子穴を有する面の一側を外部に覗かせるとともに回転を防止し得る状態で前記樹脂製ナットホルダに設けた凹陥部に収容されている。前記端子板は、そのボルト挿入穴とナットの螺子穴の位置が合うように、外部に覗かせたナットの面に相対し、前記電極板は、前記樹脂製ナットホルダの外側面と相対している。そして、前記端子板は表面に露出せられており、前記樹脂製ナットホルダと前記電極板とが所定の間隔を保ってインサート成形されている基本構成の樹脂成形品である。
【0014】
上記第1の課題を解決するために、本発明に係る樹脂成形品は、前記端子板が、樹脂製ナットホルダに設けた段部に嵌め合せて保持されている。これによって、端子板及び端子板から延長された前記電極板と樹脂製ナットホルダとの位置関係が規制される。そして、前記樹脂製ナットホルダは、その下方側ブロックが前方側から後方側の全体に亘って樹脂成形品中に埋設され、前記電極板は、少なくとも前記樹脂製ナットホルダと相対する部分が樹脂成形品中に埋設されるように、インサート成形されていることを特徴とするものである(請求項1)。
ここで、樹脂製ナットホルダの下方側とは、樹脂製ナットホルダが所定間隔を保持して前記電極板と相対する側をいう。樹脂製ナットホルダの上方側とは、前記下方側とは反対の側をいう。また、樹脂製ナットホルダの後方側とは、樹脂製ナットホルダの段部に嵌め合せた端子板から断面形状がL字形をなすように屈曲して一体に延長されている電極板の延長方向の側をいう。樹脂製ナットホルダの前方側とは、前記後方側とは反対の側、すなわち、端子板を配した側をいう。以下、同様である。
樹脂成形品に埋設される樹脂製ナットホルダの上記下方側ブロックの前方側且つ上方側に樹脂成形品中に埋設されないブロックを残すようにしてもよい(請求項4)。
【0015】
上記第1の課題に加え第2の課題を解決するために、本発明に係る樹脂成形品は、上記請求項1において、樹脂製ナットホルダの外側面とこれに相対する電極板との間に、樹脂製ナットホルダから一体に突出させて設けたリブを配置し、当該リブの先端を電極板に当接させてインサート成形されていることを特徴とするものである(請求項5)。当該インサート成形時に射出した溶融樹脂は、リブが占有している部分を除いて、樹脂製ナットホルダの外側面とこれに相対する電極板との間の空間に充填されている。
【0016】
本発明にかかる樹脂成形品の製造法は、次のとおりである。
ナットと、当該ナットを収容する樹脂製ナットホルダと、ボルト挿入穴を設けた端子板と、当該端子板から一体に延長され端子板とは断面形状がL字形をなすように屈曲している電極板とを用意し、以下の第1工程〜第4工程を経ることを基本とする。
第1工程は、前記ナットの螺子穴を有する面の一側を外部に覗かせるとともにナットの回転を防止し得るようにナットを樹脂製ナットホルダに設けられた凹陥部に収容する工程である。第2工程は、前記端子板のボルト挿入穴とナットの螺子穴の位置が合い、且つ、前記電極板が前記樹脂製ナットホルダの外側面と相対するように、前記端子板及び電極板と前記樹脂製ナットホルダとの位置関係を規定する工程である。第3工程は、前記端子板が表面に露出せられるように、前記樹脂製ナットホルダと前記電極板を樹脂成形品成形金型の成形キャビティに位置決めし型締めする工程である。第4工程は、前記成形キャビティ内に溶融樹脂を射出して、前記樹脂製ナットホルダと前記電極板を両者が所定の間隔を保った状態でインサート成形する工程である。
本発明に係る樹脂成形品の製造法は、上記の第1工程〜第4工程において、第2工程、第3工程及び第4工程に特徴とする点がある。すなわち、第2工程が、前記端子板を樹脂製ナットホルダに設けた段部に嵌め合せて保持し、前記端子板及び電極板と前記樹脂製ナットホルダとの位置関係を規定したナットと樹脂製ナットホルダと端子板及び電極板の組立体を構成する工程であり、前記第3工程が、端子板の表面を成形キャビティから隔離し成形キャビティ外に位置せしめると共に、樹脂製ナットホルダの下方側ブロックを成形キャビティ内に臨ませ、且つ、樹脂製ナットホルダの一部表面領域を成形キャビティに設けた位置決め壁に密接させて成形キャビティに位置決めすると共に、樹脂製ナットホルダ前方側の最先部面が成形金型の型面に当接するように型締めする工程であり、前記第4工程が、樹脂製ナットホルダの前記成形キャビティ内に臨んでいるブロックと電極板の少なくとも樹脂製ナットホルダの外側面に相対している部分とを樹脂中に埋設する工程である(請求項7)。
前記3工程は、下方側ブロックの上方側且つ前方側において、最先部に続く後方側に、成形キャビティ内に設けた位置決め壁に密接する領域を残すようにしてもよい(請求項10)。
【0017】
好ましくは、上記請求項7において、樹脂製ナットホルダの外側面とこれに相対する電極板との間に、樹脂製ナットホルダから一体に突出させて設けたリブを配置し、当該リブの先端を電極板に当接させた組立体をインサート成形する(請求項11)。前記インサート成形の成形キャビティへの溶融樹脂射出時には、電極板は、電極板の先端に当接しているリブによって支えられる。また、射出した溶融樹脂は、リブが占有している部分を除いて、樹脂製ナットホルダの外側面とこれに相対する電極板との間の空間に充填されるので、充填樹脂量は、リブの体積分だけ少なくなる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明においては、端子板を樹脂製ナットホルダの段部に嵌め合せて保持し、端子板及び電極板と樹脂製ナットホルダとの位置関係を規定したナットと樹脂製ナットホルダと端子板及び電極板の組立体を用いている。従って、これ等各部材間の位置関係を、成形キャビティ内に所定の配設箇所を設置することにより規定する必要がない。そして、端子板の表面を成形キャビティから隔離し成形キャビティ外に位置せしめると共に、樹脂製ナットホルダの下方側ブロックが成形キャビティ内に臨むように、且つ、樹脂製ナットホルダを成形キャビティに位置決めして、樹脂製ナットホルダ前方側の最先部面が成形キャビティの外で成形金型面に当接するように型締めする。これによって、前記組立体の位置決めが行なわれるので、成形キャビティ内に電極板の位置決め部材を設置しなくて済む。また、樹脂製ナットホルダを成形金型で挟んで型締めするので、樹脂製ナットホルダの弾力性により、成形金型の型締め面に樹脂製ナットホルダが密接し、インサート成形の射出樹脂が樹脂製ナットホルダと型締め面との界面から漏出することがない。
このように、端子板は、その表面が樹脂成形品の成形の前後を通じて成形キャビティ内に配設されることがなく、前記射出溶融樹脂の漏出もないので、端子板表面が樹脂層で覆われる心配はない。端子板とその背面に位置するナット面の界面についても、同様に樹脂層が形成される心配はない。成形キャビティ内に端子板の設置箇所を設けないので、端子板の端面のカエリ等が脱落することによる金属異物発生の心配もない。
樹脂製ナットホルダを成形キャビティ内に位置決めするので、樹脂製ナットホルダの樹脂弾性を利用して、成形キャビティの所定位置に樹脂製ナットホルダを押し込むことができる。従って、樹脂製ナットホルダを成形キャビティに位置決めした面に隙間は生じ難く、バリ発生の心配も少なくなる。クリアランス設計も容易である。
【0019】
樹脂製ナットホルダの外側面とこれに相対する電極板との間に、樹脂製ナットホルダから一体に突出させて設けたリブを配置する場合は、射出した溶融樹脂は、リブが占有している部分を除いて、樹脂製ナットホルダの外側面とこれに相対する電極板との間の空間に充填されるので、充填樹脂量は、リブの体積分だけ少なくなる。従って、厚肉になりがちなこの部分のヒケ、ボイド、寸法不良等の成形不良を抑制することができる。また、射出成形時に、電極板は、電極板に当接しているリブの先端によって支えられる。従って、溶融樹脂の射出圧によって、電極板が変形するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態において、ナットと樹脂製ナットホルダと端子板及び電極板の位置関係を説明する斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態において、ナットと樹脂製ナットホルダと端子板及び電極板からなる組立体を示す斜視図である。
【図3】図2の組立体を樹脂成形品にインサート成形した成形品の要部斜視図である。
【図4】図3におけるA−A’線に沿う断面図である。
【図5】図3におけるB−B’線に沿う断面図である。
【図6】図2における組立体をインサート物として二次成形品を成形する本発明の実施の形態において、二次成形の成形金型とインサート物の位置関係を示す説明図である。型締め前の状態を示す。
【図7】図2における組立体をインサート物として二次成形品を成形する本発明の実施の形態において、二次成形の成形金型とインサート物の位置関係を示す説明図である。型締め後の状態を示す。
【図8】従来の樹脂成形品の要部断面図である。
【図9】他の従来の樹脂成形品の要部断面図である。
【図10】図9に示した樹脂成形品において、外部電極板を締結した状態を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施するに当り、樹脂製ナットホルダ及び樹脂成形品を構成する樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレン−エチレンテレフタレート(PBT−PET共重合樹脂)、ポリエーテル・エーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、6ナイロン(PA6)、6−6ナイロン(PA66)、ポリカーボネート(PC)等である。これらを単独又は混合して用いる。また、これらの樹脂に、耐熱性や寸法安定性を向上させる目的で、ガラス繊維、ガラスビーズ、タルク等の無機充填材を適宜配合してもよい。
樹脂製ナットホルダと樹脂成形品は、射出成形で成形することが好ましい。樹脂製ナットホルダを構成する樹脂は、樹脂成形品を構成する樹脂と相溶性または親和性を有し、樹脂成形品を成形するために射出した溶融樹脂の熱でその表面が一部溶融するような樹脂で構成するのがよい。しかし、前記溶融は、必須ではない。
【0022】
端子板及び電極板は、銅板、アルミニウム板等を打ち抜き加工して製作することができる。このとき、端子板のボルト挿入穴を同時に形成する。また、前記打ち抜き加工した平板を曲げ加工して、端子板から一体に延長され端子板とは断面形状がL字形をなすように屈曲させた電極板を形成することが好ましい。銅板を用いた端子板及び電極板は、必要に応じ、表面にニッケルメッキ等が施される。
【0023】
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0024】
図1は、ナット1と樹脂製ナットホルダ2と端子板4及び電極板5の位置関係を説明する斜視図である。
ナット1は、螺子穴8を有する面の一側を外部に覗かせるとともに回転を防止し得る状態で前記樹脂製ナットホルダ2に設けた凹陥部7に収容される。端子板4は、そのボルト挿入穴3とナット1の螺子穴3の位置が対応するように、外部に覗かせたナット1の面に相対する。その結果、端子板4から一体に延長され断面形状がL字形に屈曲した関係にある電極板5は、樹脂製ナットホルダ2の外側面と相対する。樹脂製ナットホルダ2には、ナット1を収容するための凹陥部7の開口部分に、端子板4の厚み方向を深さ方向とする第1段部11を設け、端子板4は第1段部11に嵌め合わせ第1段部11の底部に当接させて保持される。
【0025】
尚、ナット1と凹陥部7の側壁間に若干の隙間ができる寸法関係としておくと、ボルト挿入穴3とナット1の螺子穴3の位置合せを厳密にしておかなくとも、ナット1を前記隙間の範囲で動かせるので、位置合せの融通が利く。
また、図4に断面図で示すように、凹陥部7の底部から外形の小さい凹陥部7’を連続して設け、凹陥部7と7’の段部にナット1の面を支持することができる。端子板4とこれに当接した外部電極板9とを、これらを貫通するボルト10とナット1との螺合により締結したとき、凹陥部7’はナット1から突出するボルト10の収容部とすることができる。
【0026】
図2は、端子板4を第1段部11に嵌め合わせて保持し構成したナット1、樹脂製ナットホルダ2、端子板4及び電極板5からなる組立体12を示す斜視図である。すなわち、図1に示した各部材を合体した状態を示している。組立体12を構成することによって、端子板4及び端子板4から延長された電極板5と樹脂製ナットホルダ2との位置関係が規制されている。端子板4は、第1段部11の底面に当接しており、樹脂製ナットホルダ2と電極板5とは、所定の間隔を保って位置し、この位置関係も規制される。
【0027】
図3は、組立体12を樹脂成形品6にインサート成形した成形品の要部斜視図であり、図4は、図3におけるA−A’線に沿う断面図、図5は、図3におけるB−B’線に沿う断面図である。
樹脂製ナットホルダ2は、樹脂成形品6中にその一部が埋設される。
樹脂製ナットホルダ2が所定間隔を保持して電極板5と相対する側を下方側、電極板5の延長されている方向を後方側と方向を規定して、以下説明する。
樹脂製ナットホルダ2が埋設される箇所は、下方側ブロックの前方側から後方側の全体に亘ってである。また、電極板5は、少なくとも樹脂製ナットホルダ2と相対する部分が樹脂成形品6中に埋設されるように、インサート成形されている。
【0028】
図6、図7は、組立体12をインサート物として樹脂成形品6を一体に射出成形する際の成形金型とインサート物との位置関係を示している。図6が型締め前、図7が型締め後を示している。尚、図2と、図6及び図7とでは、組立体12の上下の位置関係を反転して示してある。
インサート成形は、端子板4の表面を成形キャビティ17から隔離し成形キャビティ17外に位置せしめると共に、樹脂製ナットホルダ2の下方側ブロックを成形キャビティ17内に臨ませる。且つ、樹脂製ナットホルダ2の一部表面領域を成形キャビティに設けた位置決め壁に密接させて成形キャビティに位置決めすると共に、成形キャビティの外で、樹脂製ナットホルダ2の前方側の最先部面が成形金型の型面に当接するように型締めする。この型締めにより、樹脂製ナットホルダ2の一部表面領域を成形キャビティに設けた位置決め壁に密接させることと協働して、組立体12全体が位置決め固定される。
図6、図7に示した成形金型は、第1金型部材21、第2金型部材22、第3金型部材23から構成されている。成形金型の断面形状と型締めの相対的な方向とが仮想線(点線と矢印)で示されている。図示したものでは、第1金型部材21に位置決め壁が設けられている。図6、図7では、成形金型を断面図で示しているために位置決め壁を図示できないが、樹脂製ナットホルダ2にドットの集合体で示した一部表面領域18が第1金型部材21に設けた位置決め壁と密接していることを表している。
【0029】
以下、図6、図7を参照して、より詳細に説明する。
樹脂製ナットホルダ2(組立体12)を第1金型部材21に配置し、一部表面領域18を第1金型部材21に設けた位置決め壁に密接させる。一部表面領域18は主として樹脂製ナットホルダ2の上方側ブロックの表面にあり、樹脂製ナットホルダ2の下方側ブロックにおいても前方側ブロックの表面を一部含んでもよい。そして、図6に示すように、第2金型部材22を矢印方向に下降させると共に第3金型部材23を矢印方向にスライドさせる。これにより、図7に示すように、樹脂製ナットホルダ2の前方側の最先部面が第3金型部材23の型面に当接し型締めが完了する。組立体12はこの型締めにより確実に位置決め固定され、同時に、第1金型部材21、第2金型部材22及び第3金型部材23により、成形キャビティ17が構成される。端子板4の表面は、第3金型部材23に設けた凹部に臨み、樹脂製ナットホルダ2の前方側の最先部面が第3金型部材23の型面に当接することにより、端子板4の表面が成形キャビティ17から隔離される。
そして、成形キャビティ17内に溶融樹脂を射出し、成形キャビティ17に臨んでいる樹脂製ナットホルダ2(主として下方側ブロック)を樹脂中に埋設する。また、電極板5は、少なくとも樹脂製ナットホルダ2の外側面に相対している部分を樹脂中に埋設する。これによって、端子板4の表面が樹脂成形品6から露出し、樹脂製ナットホルダ2と電極板5の間隙に樹脂が充填され、電極板5が樹脂中に埋設された樹脂成形品6とすることができる(図4、図5参照)。
端子板4は、その表面が樹脂成形品6の成形キャビティ17内に配設されることがない。しかも、樹脂製ナットホルダ2の前方側の最先端部面が成形金型の型面に当接しているので、端子板4の表面が樹脂層で覆われる心配はない。端子板4とその背面に位置するナット1の面の界面についても、同様に樹脂層が形成される心配はない。
【0030】
また、好ましくは、樹脂製ナットホルダ2の一部表面領域18には、成形キャビティ17内から外側に達する溝16を設けておき、当該面に当接する第1金型部材21に設けた位置決め壁との協働によりエアベント機能を持たせる。
樹脂製ナットホルダ2の溝16と第1金型部材21の前記位置決め壁との協働によりエアベント機能を持たせると、当該エアベント(溝16)に流出した樹脂は、樹脂成形品6の一部として樹脂成形品側に残る。これは、成形の型開きごとに取出されることになるので、ベント詰りが発生せず成形金型の保守頻度を低減することができる。
【実施例】
【0031】
上記実施の態様を基本として、以下、実施例を具体的に説明する。
【0032】
実施例1
端子板4が、電極板5の延長部位とは反対部位から一体に延長されて端子板4と断面形状がL字形をなすように電極板5と同じ方向に屈曲した屈曲部13を有したものとする。屈曲部13を当接しようとする樹脂製ナットホルダ2の外側面に、屈曲部13の厚み方向を深さ方向とする第2段部14(図1参照)を設けて、屈曲部13を第2段部14に嵌め合せ第2段部の底部に当接させて保持する。このようにして組立体12を構成し、以下、上記実施の形態と同様にして樹脂成形品6を成形する。この場合、端子板4の表面と同様に、屈曲部13の表面も第1金型部材に21に設けた凹部に臨み、樹脂製ナットホルダ2の上方側の天面が第1金型部材21の型面に当接する。
本実施例では、端子板4を第1段部11に、屈曲部13を第2段部14に、それぞれ嵌め合わせて保持することにより、端子板4及び電極板5と樹脂製ナットホルダ2との位置関係を、より確実に規制することができる。
【0033】
実施例2
上記例において、樹脂製ナットホルダ2が樹脂成形品6に埋設される箇所は、下方側ブロックの前方側から後方側の全体に亘ってとしている。本実施例では、樹脂製ナットホルダ2の下方側ブロックの前方側に、第1金型部材21の位置決め壁に密接させることにより樹脂成形品6中に埋設されない表面領域を残す。言い換えると、樹脂製ナットホルダ2の下方側ブロックの前方側領域において、樹脂成形品6中に埋設されるのは、凹陥部7の側壁(ナット1の周面と相対する壁面)より下方側の部位とする。
本実施例は、樹脂製ナットホルダ2の上方側ブロックに加えて、樹脂製ナットホルダ2の下方側ブロックにおける前方側且つ上方側の領域が、樹脂成形品6中に埋設されない領域である(すなわち、図6及び図7にドットの集合で示した一部表面領域18)。この領域は、第1金型部材21の位置決め壁に密接させる面である。この面は、成形キャビティ17内には臨まないので、端子板4とその背面に位置するナット1の面の界面に射出成形の溶融樹脂が侵入するのを確実に抑えられる。前記界面に樹脂層が形成される心配はない。
【0034】
実施例3
樹脂製ナットホルダ2の外側面とこれに相対する電極板5との間に、樹脂製ナットホルダ2から一体に突出させて設けたリブ15を配置し、リブ15の先端を電極板5に当接させた組立体12(図2参照)とする。この組立体12を用い、以下、上記実施の形態と同様にして樹脂成形品6を成形する。
この場合、成形キャビティ17内に射出した溶融樹脂は、リブ15が占有している部分を除いて、樹脂製ナットホルダ2の外側面とこれに相対する電極板5との間の空間に充填される。充填樹脂量は、リブ15の体積分だけ少なくなる。従って、厚肉になりがちなこの部分のヒケ、ボイド、寸法不良等の成形不良を抑制することができる。また、射出成形時に、電極板2は、これに先端が当接しているリブ15によって支えられる。従って、溶融樹脂の射出圧によって、電極板5が変形するのを抑制することができる。
【0035】
実施例4
本実施例は、実施例3において、リブ15が樹脂製ナットホルダ2の奥行きを越えて後方側まで突出した長さとなっている。これによって、電極板2とリブ15の当接する範囲(長さ)広がるので、溶融樹脂の射出圧による電極板5の変形を、よりいっそう効果的に抑制することができる。
【0036】
実施例5
上記実施例2においては、樹脂製ナットホルダ2の上方側ブロックと樹脂製ナットホルダ2の下方側ブロックにおける前方側且つ上方側とに樹脂成形品6中に埋設されない一部表面領域18を設定している。樹脂製ナットホルダ2の当該領域は、第1金型部材21の位置決め壁に密接させる面であるが、本実施例では、当該領域に溝16を設け、第1金型部材21の位置決め壁との協働によりエアベント機能を持たせる。溝16は、成形キャビティの内壁面側ではなく、樹脂製ナットホルダ2側の面に設けられる。樹脂製ナットホルダ2を成形キャビティ17に配置し型締めしたとき、溝16は、成形キャビティ17内から外部に通じるエアベントとなる。
成形キャビティ17に溶融樹脂を射出して樹脂成形品6を成形すると、溶融樹脂は、若干量が溝16に流出して固化する。成形金型を開いたとき、この樹脂は樹脂成形品6側に成形品の一部として残る。成形の型開きごとに取出されるので、ベント詰りが発生せず、成形金型の保守頻度を減らすことができる。
【符号の説明】
【0037】
1 ナット
2 樹脂製ナットホルダ
3 ボルト挿入穴
4 端子板
5 電極板
6 樹脂成形品
7,7’ 凹陥部
8 螺子穴
9 外部電極板
10 ボルト
11 第1段部
12 組立体
13 屈曲部
14 第2段部
15 リブ
16 溝
17 成形キャビティ
18 一部表面領域
21 第1金型部材
22 第2金型部材
23 第3金型部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナットを収容した樹脂製ナットホルダと、ボルト挿入穴を設けた端子板と、当該端子板から一体に延長され端子板とは断面形状がL字形をなすように屈曲している電極板とを備えており、
前記ナットは、螺子穴を有する面の一側を外部に覗かせるとともに回転を防止し得る状態で前記樹脂製ナットホルダに設けた凹陥部に収容されており、
前記端子板は、そのボルト挿入穴とナットの螺子穴の位置が対応するように、外部に覗かせたナットの面に相対し、前記電極板は、前記樹脂製ナットホルダの外側面と相対しており、
前記端子板が表面に露出せられ、前記樹脂製ナットホルダと前記電極板とが所定の間隔を保ってインサート成形されている樹脂成形品において、
前記端子板は、樹脂製ナットホルダに嵌め合せて保持され、
前記樹脂製ナットホルダが所定間隔を保持して前記電極板と相対する側を下方側、前記電極板の延長されている方向を後方側として、前記樹脂製ナットホルダは、下方側ブロックが前方側から後方側の全体に亘って樹脂成形品中に埋設され、
前記電極板は、少なくとも前記樹脂製ナットホルダと相対する部分が樹脂成形品中に埋設されるように、インサート成形されていることを特徴とする樹脂成形品。
【請求項2】
樹脂製ナットホルダには、ナットを収容するための凹陥部開口部分に、端子板の厚み方向を深さ方向とする第1段部を設け、端子板は当該第1段部に嵌め合わせ第1段部の底部に当接させて保持されていることを特徴とする請求項1記載の樹脂成形品。
【請求項3】
端子板が、電極板延長部位とは反対部位から一体に延長されて端子板と断面形状がL字形をなすように前記電極板と同じ方向に屈曲した屈曲部を有し、当該屈曲部が当接する樹脂製ナットホルダの外側面に、屈曲部の厚み方向を深さ方向とする第2段部を設けて、屈曲部は当該第2段部に嵌め合せ第2段部の底部に当接させて保持されていることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂成形品。
【請求項4】
樹脂製ナットホルダは、下方側ブロックの前方側且つ上方側に樹脂成形品中に埋設されない領域を残していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂成形品。
【請求項5】
樹脂製ナットホルダの外側面とこれに相対する電極板との間に、樹脂製ナットホルダから一体に突出させて設けたリブを配置し、当該リブの先端を電極板に当接させてインサート成形されていることを特徴とする請求項4記載の樹脂成形品。
【請求項6】
端子板から断面形状がL字形に延長されている電極板の延長方向を後方側として、リブが樹脂製ナットホルダの本体から後方側へはみ出る長さで設けられていることを特徴とする請求項5記載の樹脂成形品。
【請求項7】
ナットと、当該ナットを収容する樹脂製ナットホルダと、ボルト挿入穴を設けた端子板と、当該端子板から一体に延長され端子板とは断面形状がL字形をなすように屈曲している電極板とを用意し、
前記ナットの螺子穴を有する面の一側を外部に覗かせるとともにナットの回転を防止し得るようにナットを樹脂製ナットホルダに設けられた凹陥部に収容する第1工程と、前記端子板のボルト挿入穴とナットの螺子穴の位置が対応し、且つ、前記電極板が前記樹脂製ナットホルダの外側面と相対するように、前記端子板及び電極板と前記樹脂製ナットホルダとの位置関係を規定する第2工程と、前記端子板が表面に露出せられるように、前記樹脂製ナットホルダと前記電極板を樹脂成形品成形用の成形金型の成形キャビティに位置決めし型締めする第3工程と、前記成形キャビティ内に溶融樹脂を射出して、前記樹脂製ナットホルダと前記電極板を両者が所定の間隔を保った状態でインサート成形する第4工程とを、経る樹脂成形品の製造において、
前記第2工程は、前記端子板を樹脂製ナットホルダに嵌め合せて保持し、前記端子板及び電極板と前記樹脂製ナットホルダとの位置関係を規定したナットと樹脂製ナットホルダと端子板及び電極板の組立体を構成する工程であり、
前記第3工程は、前記樹脂製ナットホルダが所定間隔を保持して前記電極板と相対する側を下方側、前記電極板の延長されている方向を後方側として、端子板の表面を成形キャビティから隔離し成形キャビティ外に位置せしめると共に、樹脂製ナットホルダの下方側ブロックを成形キャビティ内に臨ませ、且つ、樹脂製ナットホルダの一部表面領域を成形キャビティに設けた位置決め壁に密接させて成形キャビティに位置決めすると共に、成形キャビティの外で、樹脂製ナットホルダ前方側の最先部面が成形金型の型面に当接するように型締めする工程であり、
前記第4工程は、樹脂製ナットホルダの前記成形キャビティに臨んでいるブロックと電極板の少なくとも樹脂製ナットホルダの外側面に相対している部分とを樹脂中に埋設する工程であることを特徴とする樹脂成形品の製造法。
【請求項8】
樹脂製ナットホルダには、ナットを収容するための凹陥部開口部分に、端子板の厚み方向を深さ方向とする第1段部を設け、端子板を当該第1段部に嵌め合わせ第1段部の底部に当接させて保持することにより組立体を構成することを特徴とする請求項7記載の樹脂成形品の製造法。
【請求項9】
端子板が、電極板延長部位とは反対部位から一体に延長されて端子板と断面形状がL字形をなすように前記電極板と同じ方向に屈曲した屈曲部を有し、当該屈曲部が当接する樹脂製ナットホルダの外側面に、屈曲部の厚み方向を深さ方向とする第2段部を設けて、屈曲部を当該第2段部に嵌め合せて保持することにより組立体を構成することを特徴とする請求項7又は8記載の樹脂成形品の製造法。
【請求項10】
第3工程は、樹脂製ナットホルダを、その下方側ブロックの上方側且つ前方側において、最先部に続く前方側に、成形キャビティ内に設けた位置決め壁と密接する領域を残すように成形キャビティに位置決めし型締めする工程であることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の樹脂成形品。
【請求項11】
樹脂製ナットホルダの外側面とこれに相対する電極板との間に、樹脂製ナットホルダから一体に突出させて設けたリブを配置し、当該リブの先端を電極板に当接させた組立体をインサート成形することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の樹脂成形品の製造法。
【請求項12】
端子板から断面形状がL字形に延長されている電極板の延長方向を後方側として、リブが樹脂製ナットホルダの本体から後方側へはみ出る長さで設けられている組立体をインサート成形することを特徴とする請求項11記載の樹脂成形品の製造法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−245848(P2011−245848A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84551(P2011−84551)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000001203)新神戸電機株式会社 (518)
【Fターム(参考)】