説明

樹脂成形品用補強シート、樹脂成形品の補強構造および補強方法

【課題】軽量でかつ良好な外観を保つことができ、樹脂成形品の劣化または溶融を防止できながら、樹脂成形品を簡易に補強することができ、しかも、樹脂成形品が溶融しない程度の高温雰囲気下において優れた補強力を維持することのできる、樹脂成形品用補強シート、樹脂成形品の補強構造および補強方法を提供すること。
【解決手段】拘束層3と、拘束層3に積層される補強層2とを備え、補強層2を厚み2.0mmのポリプロピレン板に貼着し、80℃で10分間加熱した後、90℃における1mm変位の曲げ強度が、厚み2.0mmのポリプロピレン板の90℃における1mm変位の曲げ強度に対して、2倍以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形品用補強シート、樹脂成形品の補強構造および補強方法、詳しくは、樹脂成形品用補強シート、それを用いた樹脂成形品の補強構造および樹脂成形品の補強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種産業製品に用いられる樹脂板または鋼板は、その製品の重量を軽減するために、薄板状に加工されている。
【0003】
そのため、薄板状の樹脂板の補強を図るべく、例えば、樹脂板の内側にリブを設けることが知られている。
【0004】
また、薄板状の鋼板の補強を図るべく、例えば、鋼板の内側に鋼板補強シートを設けることが知られている。
【0005】
例えば、拘束層と、発泡性組成物からなる補強層とを備える鋼板補強シートを、自動車の車体鋼板に貼着した後、電着塗装時の高温(例えば、160〜200℃)の熱を利用して、補強層を発泡および硬化させることにより、自動車の車体鋼板を補強することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−41210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、リブは、通常、樹脂板と一体的に成形されており、その成形時に、リブで補強された部分の樹脂板の表面にヒケを生じ、そのため、樹脂板の外観が損なわれるという不具合がある。
【0008】
また、特許文献1に記載される鋼板補強シートを用いて補強する場合には、鋼板補強シートの補強層を160〜200℃に加熱して硬化させる必要がある。そのため、そのような鋼板補強シートを樹脂板に貼着して、160〜200℃に加熱すると、樹脂板が劣化したり、溶融してしまうという不具合がある。
【0009】
また、鋼板補強シートを含む補強シートは、樹脂板または鋼板へ貼着した後、それとともに高温(樹脂板が溶融しない程度の高温)雰囲気下に置かれる場合があり、その場合でも、優れた補強力を維持することが望まれている。
【0010】
本発明の目的は、軽量でかつ良好な外観を保つことができ、樹脂成形品の劣化または溶融を防止できながら、樹脂成形品を簡易に補強することができ、しかも、樹脂成形品が溶融しない程度の高温雰囲気下において優れた補強力を維持することのできる、樹脂成形品用補強シート、樹脂成形品の補強構造および補強方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の樹脂成形品用補強シートは、拘束層と、前記拘束層に積層される補強層とを備える樹脂成形品用補強シートであって、前記樹脂成形品用補強シートを厚み2.0mmのポリプロピレン板に貼着し、80℃で10分間加熱した後、90℃における1mm変位の曲げ強度が、厚み2.0mmのポリプロピレン板の90℃における1mm変位の曲げ強度に対して、2倍以上であることを特徴としている。
【0012】
また、本発明の樹脂成形品用補強シートでは、前記樹脂成形品用補強シートを厚み2.0mmのポリプロピレン板に貼着し、80℃で10分間加熱した後、60〜90℃における1mm変位の曲げ強度が、60〜90℃における厚み2.0mmのポリプロピレン板の1mm変位の曲げ強度に対して、3倍以上であることが好適である。
【0013】
また、本発明の樹脂成形品用補強シートでは、前記補強層をポリプロピレン板に常温で貼着し、剥離速度300mm/分でJIS Z0237(2009年)の90度ピール試験により測定されるポリプロピレン板に対する粘着力が、3.0N/25mm以上であることが好適である。
【0014】
また、本発明の樹脂成形品用補強シートでは、前記補強層をポリプロピレン板に常温で貼着し、80℃で10分間加熱後に、剥離速度300mm/分でJIS Z0237(2009年)の90度ピール試験により測定されるポリプロピレン板に対する粘着力が、10.0N/25mm以上であることが好適である。
【0015】
また、本発明の樹脂成形品用補強シートでは、前記補強層が、熱可塑性の粘着剤組成物から形成されていることが好適であり、また、前記粘着剤組成物が、共役ジエン類を含む単量体の重合体の水素添加物を含有することが好適であり、また、前記粘着剤組成物が、ポリオレフィンをさらに含有することが好適であり、また、前記ポリオレフィンの配合割合が、前記水素添加物100質量部に対して、10〜200質量部であることが好適である。
【0016】
また、本発明の樹脂成形品用補強シートでは、前記粘着剤組成物が、粘着付与剤をさらに含有することが好適であり、また、前記粘着付与剤が、脂環族飽和炭化水素系樹脂を含有することが好適であり、また、前記粘着付与剤の配合割合が、前記水素添加物100質量部に対して、40〜200質量部であることが好適である。
【0017】
また、本発明の樹脂成形品の補強構造は、上記した樹脂成形品用補強シートを樹脂成形品に貼着することにより、前記樹脂成形品が補強されていることを特徴としている。
【0018】
また、本発明の樹脂成形品の補強構造では、前記樹脂成形品に貼着された前記樹脂成形品用補強シートを80℃以上に加熱して、前記樹脂成形品用補強シートを前記樹脂成形品に密着させることが好適である。
【0019】
また、本発明の樹脂成形品の補強構造では、プライマー層を前記樹脂成形品に設けた後、前記樹脂成形品用補強シートを前記プライマー層を介して前記樹脂成形品に貼着することが好適である。
【0020】
また、本発明の樹脂成形品の補強構造では、前記樹脂成形品用補強シートを、予め、80℃以上に加熱し、次いで、前記樹脂成形品用補強シートを前記樹脂成形品に貼着することが好適である。
【0021】
また、本発明の樹脂成形品用の補強方法は、上記した樹脂成形品用補強シートを樹脂成形品に貼着することにより、前記樹脂成形品を補強する工程を備えていることを特徴としている。
【0022】
また、本発明の樹脂成形品の補強方法では、前記樹脂成形品用補強シートおよび/または前記樹脂成形品を80℃以上に加熱して、前記樹脂成形品用補強シートを前記樹脂成形品に密着させる工程をさらに備えることが好適である。
【0023】
また、本発明の樹脂成形品の補強方法では、プライマー層を前記樹脂成形品に設ける工程をさらに備え、前記樹脂成形品用補強シートを前記樹脂成形品に貼着する工程では、前記樹脂成形品用補強シートを前記プライマー層を介して前記樹脂成形品に貼着することが好適である。
【0024】
また、本発明の樹脂成形品の補強方法においては、前記樹脂成形品用補強シートを前記樹脂成形品に貼着する工程では、前記樹脂成形品用補強シートを、予め、80℃以上に加熱し、次いで、前記樹脂成形品用補強シートを前記樹脂成形品に貼着することが好適である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の樹脂成形品用補強シートを用いる、本発明の樹脂成形品の補強構造および補強方法によれば、樹脂成形品用補強シートの補強層を樹脂成形品に貼着することによって、拘束層と樹脂成形品とを強固に密着させることができる。
【0026】
それとともに、本発明の樹脂成形品用補強シートが貼着されて、80℃で10分間加熱されたポリプロピレン板の90℃における1mm変位の曲げ強度は、ポリプロピレン板の90℃における1mm変位の曲げ強度に対して2倍以上と高いことから、高温雰囲気下における樹脂成形品用補強シートの剛性を向上させることができる。その結果、かかる樹脂成形品用補強シートによって樹脂成形品を確実に補強することができる。
【0027】
とりわけ、樹脂成形品が溶融しない程度の高温雰囲気下においても、軽量でかつ良好な外観を保つことができ、樹脂成形品の劣化または溶融を防止できながら、樹脂成形品の補強構造の優れた補強力を維持することができる。
【0028】
しかも、樹脂成形品における補強したい部分のみに、樹脂成形品用補強シートを貼着することにより、その部分のみを簡単に補強することができる。
【0029】
また、拘束層および補強層を備える、簡易な構成により、薄型化および軽量化を図りながら、樹脂成形品を補強することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】発明の樹脂成形品用補強シートを、樹脂成形品に貼着することにより補強する、本発明の樹脂成形品の補強方法の一実施形態を示す説明図であって、(a)は、樹脂成形品用補強シートを用意して、離型フィルムを剥がす工程、(b)は、樹脂成形品用補強シートを樹脂成形品に貼着する工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の樹脂成形品用補強シートは、拘束層と、拘束層に積層される補強層とを備えている。
【0032】
拘束層は、貼着および加熱後の補強層に靱性を付与するために設けられ、シート状をなし、また、軽量および薄膜で、好ましくは、補強層と密着一体化できる材料から形成されている。そのような材料としては、例えば、ガラスクロス、樹脂含浸ガラスクロス、不織布、金属箔、カーボンファイバー、ポリエステルフィルムなどが挙げられる。
【0033】
ガラスクロスは、ガラス繊維を布にしたものであって、公知のガラスクロスが挙げられる。
【0034】
樹脂含浸ガラスクロスは、上記したガラスクロスに、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などの合成樹脂が含浸処理されているものであって、公知のものが挙げられる。なお、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。また、熱可塑性樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、塩化ビニル樹脂、EVA−塩化ビニル樹脂共重合体などが挙げられる。また、上記した熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂は、それぞれ、単独使用または併用することができる。
【0035】
不織布は、例えば、木材繊維(木材パルプなど)、セルロース系繊維(例えば、レーヨンなどの再生セルロース系繊維、例えば、アセテートなどの半合成セルロース系繊維、例えば、麻、綿などの天然セルロース系繊維、例えば、それらの混紡糸など)、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール(PVA)繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、セルロース系繊維(麻、あるいは麻および他のセルロース系繊維)などの繊維から形成される不織布が挙げられる。
【0036】
金属箔としては、例えば、アルミニウム箔やスチール箔などの公知の金属箔が挙げられる。
【0037】
カーボンファイバーは、炭素を主成分とする繊維を布にしたものであって、公知のものが挙げられる。
【0038】
ポリエステルフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルムなどが挙げられる。好ましくは、PETフィルムが挙げられる。
【0039】
これら拘束層のうち、密着性、強度およびコストを考慮すると、好ましくは、樹脂含浸ガラスクロスが挙げられる。
【0040】
また、拘束層の厚みは、例えば、0.05〜2.0mm、好ましくは、0.1〜1.0mmである。
【0041】
補強層は、粘着剤組成物をシート状に成形することにより、形成されている。
【0042】
粘着剤組成物は、熱可塑性であり、詳しくは、例えば、80℃以上の加熱によって、熱融着性(粘着性)を発現する。
【0043】
粘着剤組成物は、例えば、共役ジエン類を含む単量体の重合体の水素添加物(水素化物)を含有している。
【0044】
単量体は、好ましくは、共役ジエン類を必須成分として含有し、共役ジエン類と共重合可能な共重合性単量体を任意成分として含有している。
【0045】
共役ジエン類としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、クロロプレン(2−クロロ−1,3−ブタジエン)などが挙げられる。
【0046】
共重合性単量体としては、少なくとも1つの二重結合を有する単量体であって、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン(2−メチルプロペン)などの脂肪族ビニル単量体、例えば、スチレンなどの芳香族ビニル単量体、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどのシアノ基含有ビニル単量体などが挙げられる。
【0047】
これら共重合性単量体は、単独または2種以上併用することができる。好ましくは、芳香族ビニル単量体が挙げられる。
【0048】
単量体の重合体として、具体的には、共役ジエン類および共重合体性単量体のブロックまたはランダム共重合体が挙げられ、好ましくは、ブロック共重合体が挙げられる。具体的には、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体などが挙げられる。
【0049】
なお、共重合性単量体の配合割合は、共役ジエン類100質量部に対して、例えば、5〜80質量部、好ましくは、15〜50質量部である。
【0050】
つまり、共重合性単量体(好ましくは、芳香族ビニル単量体、さらに好ましくは、スチレン)と共役ジエン類(好ましくは、ブタジエンまたはイソプレン)との配合割合は、質量基準で、例えば、50質量%以下/50質量%以上(共重合性単量体と共役ジエン類との質量比)、好ましくは、40質量%以下/60質量%以上であり、通常、10質量%以上/90質量%以下である。
【0051】
上記した重合体の水素添加物は、共役ジエン類に由来する不飽和結合(二重結合部分)が完全水素化または部分水素化され、好ましくは、完全水素化されている。水素添加物は、具体的には、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS、より具体的には、SEBSブロック共重合体)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS、より具体的には、SEPSブロック共重合体)が挙げられる。
【0052】
水素添加物は、上記した重合体の水素化により、不飽和結合を実質的に含有していないため、高温雰囲気下において熱劣化しにくく、そのため、補強層の耐熱性を向上させることができる。
【0053】
また、水素添加物のメルトフローレート(MFR)は、温度190℃、質量2.16kgで、例えば、10g/10分以下、好ましくは、5g/10分以下、通常、0.1g/10分以上である。
【0054】
また、水素添加物のメルトフローレート(MFR)は、温度200℃、質量5kgで、例えば、50g/10分以下、好ましくは、20g/10分以下であり、通常、0.1g/10分以下である。
【0055】
これら水素添加物は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0056】
これら水素添加物のうち、好ましくは、SEBSが挙げられる。
【0057】
また、粘着剤組成物には、好ましくは、さらに、ポリオレフィンを含有させる。
【0058】
ポリオレフィンは、補強層の高温(樹脂成形品が溶融しない程度の高温、具体的には、60〜90℃)雰囲気下における補強力を向上させるために、粘着剤組成物に配合される。
【0059】
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの単独重合体、エチレン・プロピレン共重合体などの共重合体などが挙げられる。ポリオレフィンは、単独使用または複数併用することができる。
【0060】
ポリオレフィンとして、好ましくは、単独重合体が挙げられる。
【0061】
また、ポリオレフィンは、JIS K 7210(1999)またはJIS K 6922−2(2010)に準拠して測定されるメルトフローレート(MFR)が、例えば、0.1〜100g/10分、好ましくは、0.5〜25g/10分である。
【0062】
ポリオレフィンは、ISO11357−3に準拠してDSC法にて測定される融点が、例えば、90℃を超過し、好ましくは、100〜120℃である。
【0063】
また、ポリオレフィンは、JIS K 7206(1999)に準拠して測定されるビカット軟化温度が、例えば、70〜110℃、好ましくは、80〜100℃である。
【0064】
さらに、ポリオレフィンは、ISO 974に準拠して測定される脆化温度が、例えば、−25℃未満、好ましくは、−50℃未満であり、また、例えば、−100℃以上でもある。
【0065】
また、ポリオレフィンは、JIS K 6922−2(2010)に準拠して測定される引張破壊応力が、例えば、1〜50MPa、好ましくは、5〜20MPaである。
【0066】
また、ポリオレフィンは、JIS K 7161(1994)またはJIS K 7162(1994)に準拠して測定される引張降伏強さが、例えば、10〜50MPa、好ましくは、20〜40MPaである。
【0067】
ポリオレフィンは、JIS K 6922−2(2010)に準拠して測定される引張破壊呼びひずみが、例えば、50〜150%、好ましくは、70〜130%であり、JIS K 7161(1994)またはJIS K 7162(1994)に準拠して測定される引張破壊呼びひずみが、例えば、10〜1000%、好ましくは、25〜500%である。
【0068】
また、ポリオレフィンは、JIS K 6922−2(2010)に準拠して測定される曲げ弾性率が、例えば、80〜250MPa、好ましくは、100〜225MPaであり、JIS K 7171(2008)で測定される曲げ弾性率が、例えば、500〜5000MPa、好ましくは、800〜2000MPaである。
【0069】
ポリオレフィンは、JIS K 7111(2006)に準拠して測定されるシャルピー衝撃強さが、例えば、1〜100kJ/m、好ましくは、2〜80kJ/mである。
【0070】
ポリオレフィンは、JIS K 7215(1986)に準拠して測定されるデュロメータ硬さが、例えば、10〜100HDD、好ましくは、30〜70HDDである。
【0071】
また、ポリオレフィンは、JIS K 7202(2001)に準拠して測定されるロックウェル硬さが、例えば、10〜500HRR、好ましくは、25〜200HRRである。
【0072】
ポリオレフィンの配合割合は、例えば、水素添加物100質量部に対して、例えば、10〜200質量部、好ましくは、15〜180質量部、さらに好ましくは、30〜170質量部、とりわけ好ましくは、50〜160質量部、最も好ましくは、80〜150質量部である。
【0073】
ポリオレフィンの配合割合が上記範囲を超えると、樹脂成形品に対する粘着力が低下する場合がある。
【0074】
一方、ポリオレフィンの配合割合が上記範囲に満たないと、樹脂成形品が溶融しない程度の高温雰囲気下における補強力を十分に向上させることができない場合がある。
【0075】
また、粘着剤組成物には、好ましくは、さらに、粘着付与剤を含有させる。
【0076】
粘着付与剤は、補強層と、樹脂成形品および拘束層との密着性を向上させたり、あるいは、樹脂成形品の補強時の補強性を向上させるために、粘着剤組成物に含有される。
【0077】
粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂(テルペンフェノール共重合体、水素添加テルペン樹脂などを含む。)、クマロンインデン系樹脂、脂環族飽和炭化水素系樹脂(完全水素添加物、部分水素添加物を含む)、石油系樹脂(例えば、脂肪族/芳香族共重合系石油樹脂、芳香族系石油樹脂などの炭化水素系石油樹脂など)などが挙げられる。
【0078】
粘着付与剤の軟化点は、例えば、50〜150℃、好ましくは、50〜130℃である。
【0079】
なお、粘着付与剤の軟化点は、環球法によって測定される。
【0080】
粘着付与剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0081】
これら粘着付与剤のうち、好ましくは、水素添加物との相溶性の観点から、脂環族飽和炭化水素系樹脂が挙げられる。
【0082】
粘着付与剤の配合割合は、水素添加物100質量部に対して、例えば、40〜200質量部、好ましくは、50〜170質量部である。
【0083】
粘着付与剤の配合割合が上記した範囲に満たないと、補強層と、樹脂成形品および拘束層との密着性を十分に向上させたり、あるいは、樹脂成形品の補強時の補強性を十分に向上させることができない場合がある。
【0084】
一方、粘着付与剤の配合割合が上記した範囲を超えると、補強層が脆くなる場合がある。
【0085】
また、粘着剤組成物には、上記した成分の他に、充填剤、老化防止剤、さらには、軟化剤(例えば、ナフテン系オイル、パラフィン系オイルなど)、揺変剤(例えば、モンモリロナイトなど)、滑剤(例えば、ステアリン酸など)、顔料、スコーチ防止剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防カビ剤、難燃剤などの添加剤を適宜の割合で添加することもできる。
【0086】
充填剤は、着色剤を含み、例えば、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム(例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、白艶華など)、ケイ酸マグネシウム(例えば、タルクなど)、マイカ、クレー、雲母粉、ベントナイト(例えば、有機ベントナイトなど)、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、アルミニウムシリケート、酸化チタン、カーボンブラック(例えば、絶縁性カーボンブラック、アセチレンブラックなど)、アルミニウム粉、ガラスバルーンなどが挙げられる。充填剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0087】
充填剤として、好ましくは、炭酸カルシウム、カーボンブラックが挙げられる。
【0088】
老化防止剤としては、例えば、アミン−ケトン化合物、芳香族第二級アミン化合物、フェノール化合物(例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなど)、ベンズイミダゾール化合物(例えば、2−メルカプトベンズイミダゾールなど)、チオウレア化合物、亜リン酸化合物などが挙げられる。老化防止剤は、単独使用または2種以上併用することができる。好ましくは、フェノール化合物、ベンズイミダゾール化合物が挙げられる。
【0089】
添加剤の添加割合は、水素添加物100質量部に対して、とりわけ、充填剤の場合では、例えば、1〜200質量部、老化防止剤の場合では、例えば、0.1〜5質量部である。
【0090】
そして、粘着剤組成物は、上記した各成分を上記した配合割合において配合することにより調製することができ、さらに、補強層を形成し、これを拘束層に積層するには、上記した各成分を、上記した配合割合において、公知の溶媒(例えば、トルエンなどの有機溶媒)または水中に、溶解または分散させて、溶液または分散液を調製した後、得られた溶液または分散液を、拘束層の表面に塗布した後、乾燥する方法(直接形成法)が挙げられる。
【0091】
あるいは、得られた溶液または分散液を、後述する離型フィルムの表面に塗布した後、乾燥することにより、補強層を形成し、その後、補強層を拘束層の表面に転写する方法(転写法)が挙げられる。
【0092】
また、粘着剤組成物を調製して、補強層を形成し、これを拘束層に積層するには、上記した各成分(上記した溶媒および水を除く。)を、例えば、ミキシングロール、加圧式ニーダ、押出機などによって直接混練して混練物を調製した後、例えば、カレンダー成形、押出成形あるいはプレス成形などによって、混練物をシート状に成形して補強層を形成し、これを拘束層の表面に積層する方法(直接形成法)も挙げられる。具体的には、混練物を、拘束層と離型フィルム(後述)との間に配置して挟み、その後、それらを、例えば、プレス成形によって、シート状に圧延する。あるいは、形成された補強層を離型フィルムの表面に積層し、その後、補強層を拘束層の表面に転写する方法(転写法)が挙げられる。
【0093】
このようにして形成される補強層の厚みは、例えば、0.02〜3.0mm、好ましくは、0.03〜1.3mmである。
【0094】
このようにして得られる樹脂成形品用補強シートの厚みは、例えば、0.25〜5.0mm、好ましくは、0.4〜2.3mmである。
【0095】
樹脂成形品用補強シートの厚みが上記した範囲を超える場合には、樹脂成形品用補強シートの軽量化を図ることが困難となる場合があり、また、製造コストが増大する場合がある。樹脂成形品用補強シートの厚みが上記した範囲に満たない場合には、補強性を十分に向上させることができない場合がある。
【0096】
なお、得られた樹脂成形品用補強シートには、必要により、補強層の表面(拘束層が貼積層されている裏面に対して反対側の表面)に、実際に使用するまでの間、離型フィルム(セパレータ)を貼着しておくこともできる。
【0097】
離型フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、PETフィルムなどの合成樹脂フィルムなど、公知の離型フィルムが挙げられる。
【0098】
このようにして形成される樹脂成形品用補強シート(の補強層)を厚み2.0mmのポリプロピレン板に貼着し、80℃で10分間加熱した後、90℃(測定温度)における1mm変位の曲げ強度は、厚み2.0mmのポリプロピレン板の90℃(測定温度)における1mm変位の曲げ強度に対して、2倍以上である。
【0099】
すなわち、樹脂成形品用補強シートにより補強されたポリプロピレン板の80℃で10分間加熱後の90℃における1mm変位の曲げ強度の、樹脂成形品用補強シートにより補強されていないポリプロピレン板の90℃における1mm変位の曲げ強度に対する比(曲げ強度比)が、2倍以上である。
【0100】
ポリプロピレン板に貼着された樹脂成形品用補強シートの90℃における1mm変位の曲げ強度を測定するには、まず、補強層と厚み2.0mmのポリプロピレン板とを接触させることにより、樹脂成形品用補強シートをポリプロピレン板に貼着し、次いで、それらを80℃(密着温度)に設定された乾燥機に10分間投入して、それらを密着させて、積層板を得る。
【0101】
その後、乾燥機から取り出した積層板を、長さ150mm×幅25mmの大きさに外形加工して試験片を得る。
【0102】
その後、90℃(測定温度)に設定された恒温槽が設けられた万能試験機において、試験片を恒温槽に設置するとともに、支点間距離を100mmとし、試験片の中央(長さ方向および幅方向中央)を、直径10mmの圧子で50mm/分の速度でポリプロピレン板側から押圧する三点曲げ試験により、90℃における試験片の1mm変位の曲げ強度を測定する。
【0103】
これを、ポリプロピレン板に貼着された樹脂成形品用補強シートの90℃における1mm変位の曲げ強度とする。
【0104】
なお、上記した説明では、測定温度を90℃として、変位1mmとして曲げ強度を算出しているが、後述する測定温度(90℃以外の測定温度)および変位(1mm以外の変位)においても、同様に処理することによって、曲げ強度を算出する。
【0105】
一方、ポリプロピレン板の90℃における1mm変位の曲げ強度を測定するには、樹脂成形品用補強シートにより補強されていない(貼着されていない)厚み2.0mmのポリプロピレン板を、長さ150mm×幅25mmの大きさに外形加工して試験片を得る。
【0106】
その後、90℃(測定温度)に設定された恒温槽が設けられた万能試験機において、試験片を恒温槽に設置するとともに、支点間距離を100mmとし、試験片の中央(長さ方向および幅方向中央)を、直径10mmの圧子で50mm/分の速度で押圧する三点曲げ試験を実施する。
【0107】
これにより、ポリプロピレン板の90℃における1mm変位の曲げ強度を、曲げ強度比の基準値として得る。
【0108】
なお、上記した1mm変位の曲げ強度は、押圧開始から圧子が1mm変位した時における曲げ強度(強さ)として測定される。
【0109】
1mm変位の曲げ強度比が上記した範囲内であれば、樹脂成形品が溶融しない程度の高温雰囲気下において、樹脂成形品を十分に補強することができる。
【0110】
また、90℃における1mm変位の曲げ強度比は、好ましくは、3倍以上、さらに好ましくは、4倍以上であり、例えば、10倍以下でもある。
【0111】
具体的には、樹脂成形品用補強シートにより補強されたポリプロピレン板の80℃で10分間加熱後の90℃における1mm変位の曲げ強度は、例えば、0.8〜4.5N、好ましくは、1.0〜4.0N、さらに好ましくは、1.4〜3.0Nである。
【0112】
なお、ポリプロピレン板の90℃における1mm変位の曲げ強度は、例えば、0.3〜0.6Nであり、また、0.4〜0.5Nでもある。
【0113】
また、樹脂成形品用補強シート(の補強層)を厚み2.0mmのポリプロピレン板に貼着し、80℃で10分間加熱した後、90℃における2mm変位の曲げ強度は、厚み2.0mmのポリプロピレン板の90℃における2mm変位の曲げ強度に対して、例えば、2〜10倍、好ましくは、2.5〜5倍である。
【0114】
具体的には、樹脂成形品用補強シートにより補強されたポリプロピレン板の80℃で10分間加熱後の90℃における2mm変位の曲げ強度は、例えば、1.6〜8.0N、好ましくは、1.8〜4.0Nである。
【0115】
なお、ポリプロピレン板の90℃における2mm変位の曲げ強度は、例えば、0.5〜1.0Nであり、また、例えば、0.6〜0.9Nでもある。
【0116】
さらに、樹脂成形品用補強シート(の補強層)を厚み2.0mmのポリプロピレン板に貼着し、80℃で10分間加熱した後、90℃における最大変位の曲げ強度は、厚み2.0mmのポリプロピレン板の90℃における最大変位の曲げ強度に対して、例えば、2〜10倍、好ましくは、2.5〜5倍である。
【0117】
具体的には、樹脂成形品用補強シートにより補強されたポリプロピレン板の80℃で10分間加熱後の90℃における最大変位の曲げ強度は、例えば、7.2〜36N、好ましくは、9.0〜18.0Nである。
【0118】
なお、ポリプロピレン板の90℃における最大変位の曲げ強度は、例えば、3.0〜4.0Nであり、また、例えば、3.2〜3.8Nでもある。
【0119】
なお、最大曲げ強度は、押圧開始時と試験片破断時との間における最大曲げ強度(強さ)として得られる。
【0120】
さらにまた、樹脂成形品用補強シート(の補強層)を厚み2.0mmのポリプロピレン板に貼着し、80℃で10分間加熱した後、60〜90℃における1mm変位の曲げ強度が、厚み2.0mmのポリプロピレン板の60〜90℃における1mm変位の曲げ強度に対して、例えば、3倍以上、好ましくは、3.2倍以上、さらに好ましくは、3.5倍以上であり、例えば、10倍以下でもある。
【0121】
すなわち、樹脂成形品用補強シートにより補強されたポリプロピレン板の80℃で10分間加熱後の60〜90℃における1mm変位の曲げ強度の、樹脂成形品用補強シートにより補強されていないポリプロピレン板の60〜90℃における1mm変位の曲げ強度に対する比(曲げ強度比)は、例えば、3倍以上、好ましくは、3.2倍以上、さらに好ましくは、3.5倍以上であり、例えば、10倍以下でもある。
【0122】
60〜90℃における1mm変位の曲げ強度比が上記範囲内であれば、樹脂成形品が溶融しない程度の広範囲な高温雰囲気下において、樹脂成形品を十分に補強することができる。
【0123】
詳しくは、60℃における1mm変位の曲げ強度比は、例えば、3.0倍以上、好ましくは、3.5倍以上、さらに好ましくは、4.0倍以上であり、例えば、10倍以下でもある。また、70℃における1mm変位の曲げ強度比は、例えば、3.0倍以上、好ましくは、3.5倍以上、さらに好ましくは、4.0倍以上であり、例えば、10倍以下でもある。また、80℃における1mm変位の曲げ強度比は、例えば、2.0倍以上、好ましくは、3.0倍以上、さらに好ましくは、3.5倍以上、とりわけ好ましくは、4.0倍以上であり、例えば、10倍以下でもある。
【0124】
具体的には、樹脂成形品用補強シートにより補強されたポリプロピレン板の80℃で10分間加熱後の60℃における加熱後の1mm変位の曲げ強度は、例えば、2.3〜7.5N、好ましくは、2.6〜7.0N、さらに好ましくは、2.9〜6.0Nである。一方、ポリプロピレン板の60℃における1mm変位の曲げ強度は、例えば、0.7〜0.8Nである。
【0125】
また、樹脂成形品用補強シートにより補強されたポリプロピレン板の80℃で10分間加熱後の70℃における加熱後の1mm変位の曲げ強度は、例えば、1.8〜6.0N、好ましくは、2.0〜5.0N、さらに好ましくは、2.2〜4.5Nである。一方、ポリプロピレン板の70℃における1mm変位の曲げ強度は、例えば、0.55〜0.65Nである。
【0126】
また、樹脂成形品用補強シートにより補強されたポリプロピレン板の80℃で10分間加熱後の80℃における加熱後の1mm変位の曲げ強度は、例えば、1.4〜5.0N、好ましくは、1.7〜4.5N、さらに好ましくは、1.9〜4.0Nである。一方、ポリプロピレン板の80℃における1mm変位の曲げ強度は、例えば、0.45〜0.50Nである。
【0127】
さらに、樹脂成形品用補強シート(の補強層)を厚み2.0mmのポリプロピレン板に貼着し、80℃で10分間加熱した後、常温(25℃)における1mm変位の曲げ強度は、厚み2.0mmのポリプロピレン板の常温(25℃)における1mm変位の曲げ強度に対して、例えば、3.0倍以上、好ましくは、3.5倍以上、さらに好ましくは、4.0倍以上であり、また、例えば、10倍以下でもある。
【0128】
具体的には、樹脂成形品用補強シートにより補強されたポリプロピレン板の80℃で10分間加熱後の常温(25℃)における1mm変位の曲げ強度は、例えば、4.8〜16N、好ましくは、5.6〜12N、さらに好ましくは、6.4〜10Nである。
【0129】
なお、ポリプロピレン板の常温(25℃)における1mm変位の曲げ強度は、例えば、1.5〜1.8Nである。
【0130】
一方、樹脂成形品用補強シートは、補強層をポリプロピレン板に常温(25℃)で貼着した後に、剥離速度300mm/分で90度ピール試験により測定されるポリプロピレン板に対する粘着力(初期粘着力)は、例えば、3.0N/25mm以上、好ましくは、3.5N/25mm以上、さらに好ましくは、4.0N/25mm以上であり、また、例えば、20N/25mm以下でもある。
【0131】
上記した粘着力は、JIS Z0237(2009年)に準拠して測定される。
【0132】
樹脂成形品用補強シートの初期粘着力が上記した範囲内であれば、補強層がわずかな粘着性(微タック性)を示すことにより、加熱することなく、常温において、樹脂成形品用補強シートを樹脂成形品に確実に貼着することができる。
【0133】
他方、樹脂成形品用補強シートは、補強層をポリプロピレン板に常温で貼着し、80℃で10分間加熱後に、剥離速度300mm/分で90度ピール試験により測定されるポリプロピレン板に対する粘着力(加熱後粘着力)は、例えば、10.0N/25mm以上、好ましくは、11.0N/25mm以上、さらに好ましくは、12.0N/25mm以上であり、また、例えば、80N/25mm以下でもある。
【0134】
樹脂成形品用補強シートの加熱後粘着力が上記した範囲内であれば、加熱により、補強層が粘着性を示すことにより、樹脂成形品用補強シートを樹脂成形品に確実に貼着することができる。
【0135】
上記した粘着力は、JIS Z0237(2009年)に準拠して測定される。
【0136】
なお、上記した樹脂成形品用補強シートの各粘着力は、対応する補強層の各粘着力と実質的に同一である。
【0137】
そして、本発明の樹脂成形品用補強シートは、樹脂成形品の補強に用いられる。
【0138】
樹脂成形品としては、補強が必要な樹脂成形品であれば、特に限定されず、例えば、各種産業製品に用いられる樹脂成形品が挙げられる。樹脂成形品を形成する樹脂としては、例えば、ポリオレフィンなどの低極性樹脂などが挙げられる。
【0139】
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられ、好ましくは、ポリプロピレンが挙げられる。
【0140】
このような樹脂成形品としては、具体的には、自動車のバンパ、インストルメントパネルなどが挙げられる。
【0141】
図1は、本発明の樹脂成形品用補強シートを、樹脂成形品に貼着することにより補強する、本発明の樹脂成形品の補強方法の一実施形態を示す説明図であって、(a)は、樹脂成形品用補強シートを用意して、離型フィルムを剥がす工程、(b)は、樹脂成形品用補強シートを樹脂成形品に貼着する工程を示す。
【0142】
次に、図1を参照して、本発明の樹脂成形品用補強シートを、樹脂成形品に貼着することにより補強する、本発明の樹脂成形品の補強構造および補強方法の一実施形態について説明する。
【0143】
樹脂成形品用補強シート1は、図1(a)に示すように、拘束層3に補強層2が積層され、補強層2の表面(拘束層3が積層されている裏面に対して反対側の表面)に必要により離型フィルム6が貼着されている。
【0144】
また、樹脂成形品4は、図1(b)に示すように、上記した各種産業製品に用いられるものであって、例えば、板状に形成されており、より具体的には、外観に現れる外面7と、内部に向き、外観に現れない内面8とを備えるように形成されている。
【0145】
そして、樹脂成形品用補強シート1を樹脂成形品4に貼着するには、図1(a)の仮想線で示すように、まず、補強層2の表面から離型フィルム6を剥がして、次いで、図1(b)に示すように、その補強層2の表面を、樹脂成形品4の内面8に接触させ、必要により、圧着する。樹脂成形品用補強シート1の圧着では、例えば、0.15〜10MPa程度の圧力で、加圧する。
【0146】
さらに、必要により、加圧とともに加熱(熱圧着)することもできる。つまり、樹脂成形品用補強シート1を予め加熱し、次いで、加熱した樹脂成形品用補強シート1を樹脂成形品4に貼着する。
【0147】
熱圧着の条件は、温度が、例えば、80℃以上、好ましくは、90℃以上、さらに好ましくは、100℃以上、通常、樹脂成形品4の耐熱温度以下であり、具体的には、例えば、130℃以下、好ましくは、30〜120℃、さらに好ましくは、80〜110℃である。
【0148】
その後、好ましくは、樹脂成形品用補強シート1が貼着された樹脂成形品4を加熱する。
【0149】
加熱温度は、例えば、80℃以上、好ましくは、90℃以上、さらに好ましくは、100℃以上、通常、樹脂成形品4の耐熱温度以下であり、具体的には、例えば、130℃以下、好ましくは、30〜120℃、さらに好ましくは、80〜110℃である。また、加熱時間は、例えば、0.5〜20分間、好ましくは、1〜10分間である。
【0150】
加熱温度および加熱時間が上記した範囲に満たないと、樹脂成形品4と拘束層3とを十分に密着させることができず、あるいは、樹脂成形品4の補強時の補強性を十分に向上させることができない場合がある。加熱温度および加熱時間が上記した範囲を超えると、樹脂成形品4が劣化したり、溶融してしまう場合がある。
【0151】
上記した樹脂成形品4の加熱は、樹脂成形品用補強シート1が貼着された樹脂成形品4を、樹脂成形品4の製造の乾燥工程における乾燥炉に投入することにより、実施する。
【0152】
あるいは、樹脂成形品4の製造において、乾燥工程がない場合には、上記した乾燥炉への投入に代えて、ヒートガンなどの部分的な加熱装置を用いて、樹脂成形品用補強シート1のみを加熱する。
【0153】
あるいは、上記した加熱装置を用いて、樹脂成形品4のみ、さらには、樹脂成形品用補強シート1と樹脂成形品4との両方を加熱することもできる。なお、樹脂成形品4のみを加熱する場合には、加熱装置の熱が樹脂成形品4を介して樹脂成形品用補強シート1に伝導(熱伝導)する。
【0154】
そして、樹脂成形品用補強シート1を樹脂成形品4に貼着し、必要により、その後、さらに、樹脂成形品用補強シート1および/または樹脂成形品4を加熱することにより、樹脂成形品用補強シート1を樹脂成形品4に密着させて、樹脂成形品用補強シート1が補強された樹脂成形品4の補強構造が形成される。
【0155】
そして、樹脂成形品4の補強構造および補強方法によれば、樹脂成形品用補強シート1の補強層2を樹脂成形品4に貼着することによって、拘束層3と樹脂成形品4とを強固に密着させることができる。
【0156】
それとともに、樹脂成形品用補強シート1が貼着されて、80℃で10分間加熱されたポリプロピレン板の90℃における1mm変位の曲げ強度は、ポリプロピレン板の90℃における1mm変位の曲げ強度に対して2倍以上と高いことから、高温雰囲気下における樹脂成形品用補強シート1の剛性を向上させることができる。その結果、かかる樹脂成形品用補強シート1によって樹脂成形品4を確実に補強することができる。
【0157】
とりわけ、樹脂成形品4が溶融しない程度の高温雰囲気下においても、軽量でかつ良好な外観を保つことができ、樹脂成形品4の劣化または溶融を防止できながら、樹脂成形品4の補強構造の優れた補強力を維持することができる。
【0158】
すなわち、樹脂成形品4が溶融しないが、樹脂成形品4が熱変形し易い高温(具体的には、60〜90℃)雰囲気下において、軽量でかつ良好な外観を保つことができ、樹脂成形品4の劣化または溶融を防止できながら、樹脂成形品4の補強構造の優れた補強力を維持することができる。
【0159】
しかも、樹脂成形品4における補強したい部分のみに、樹脂成形品用補強シート1を貼着することにより、その部分のみを簡単に補強することができる。
【0160】
また、拘束層3および補強層2を備える、簡易な構成により、薄型化および軽量化を図りながら、樹脂成形品4を補強することができる。
【0161】
なお、図1(b)の実施形態では、補強層2を、樹脂成形品4の内面8に直接貼着しているが、例えば、図1(b)の1点鎖線で示すように、それらの間にプライマー層9を介在させることもできる。
【0162】
すなわち、図1(b)の1点鎖線で示すように、プライマー層9は、樹脂成形品4の内面8に形成されている。
【0163】
プライマー層9は、例えば、変性ポリプロピレンから調製されている。
【0164】
プライマー層9の厚みは、例えば、1〜20μm、好ましくは、2〜10μmである。
【0165】
プライマー層9は、例えば、変性ポリプロピレンが溶媒に溶解した液(ワニス)の塗布により、樹脂成形品4の内面8に形成される。
【0166】
プライマー層9および樹脂成形品用補強シート1を用いて樹脂成形品4を補強するには、まず、樹脂成形品4を用意し、次いで、樹脂成形品4の内面8にプライマー層9を形成する。
【0167】
その後、樹脂成形品用補強シート1を、プライマー層9を介して樹脂成形品4に貼着する。具体的には、樹脂成形品用補強シート1をプライマー層9に接触させる。必要により、上記と同様の条件で、圧着あるいは熱圧着する。
【0168】
その後、樹脂成形品用補強シート1が貼着された樹脂成形品4を加熱する。
【0169】
そして、樹脂成形品用補強シート1により補強された樹脂成形品4の補強構造では、プライマー層9によって、補強層2と樹脂成形品4の内面8との密着力(粘着力)が向上される。
【0170】
具体的には、変性ポリプロピレン(RC−1028、ロード・ファー・イースト社製)からなる厚み10μmのプライマー層をポリプロピレン板に設け、その後、補強層をポリプロピレン板に、常温(25℃)で、プライマー層を介して貼着した後に、剥離速度300mm/分で90度ピール試験により測定される、樹脂成形品用補強シートのポリプロピレン板に対する粘着力(初期粘着力)は、例えば、20N/25mm以上、好ましくは、30N/25mm以上、さらに好ましくは、40N/25mm以上であり、また、例えば、200N/25mm以下でもある。
【0171】
また、変性ポリプロピレンからなる厚み10μmのプライマー層をポリプロピレン板に設け、その後、補強層をプライマー層を介してポリプロピレン板に、常温で、プライマー層を介して貼着し、その後、80℃で10分間加熱後に、剥離速度300mm/分で90度ピール試験により測定される、樹脂成形品用補強シートのポリプロピレン板に対する粘着力(加熱後粘着力)は、例えば、10.0N/25mm以上、好ましくは、30N/25mm以上、さらに好ましくは、40N/25mm以上であり、また、例えば、200N/25mm以下でもある。
【0172】
また、図1の実施形態では、補強層2を粘着剤組成物からなる1枚のシートのみから形成しているが、例えば、図1の破線で示すように、補強層2の厚み方向途中に、不織布5を介在させることもできる。
【0173】
不織布5は、上記した不織布と同様のものが挙げられる。不織布5の厚みは、例えば、0.01〜0.3mmである。
【0174】
このような樹脂成形品用補強シート1を製造するには、例えば、直接形成法では、拘束層3の表面に、第1補強層を積層し、また、第1補強層の表面(拘束層3が積層されている裏面に対して反対側の表面)に不織布5を積層し、その後、不織布5の表面(第1補強層が積層されている裏面に対して反対側の表面)に第2補強層を積層する。
【0175】
転写法では、不織布5を、第1補強層および第2補強層によって、不織布5の表面側および裏面側の両側から挟み込む。詳しくは、まず、2枚の離型フィルム6の表面に、第1補強層および第2補強層をそれぞれ形成し、次いで、第1補強層を不織布5の裏面に転写し、また、第2補強層を不織布5の表面に転写する。
【0176】
不織布5を介在させることにより、補強層2を、補強したい樹脂成形品4の強度に応じて、厚い厚みで容易に形成することができる。
【実施例】
【0177】
以下に、実施例、比較例および参考例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、何らそれらに限定されない。
【0178】
実施例1〜11および比較例1
表1に示す配合処方において、各成分を質量部基準で配合して、120℃に予め加熱したミキシングロールで混練することにより、熱可塑性の粘着剤組成物の混練物を調製した。
【0179】
次いで、調製した粘着剤組成物の混練物を、エポキシ樹脂が含浸された厚み0.18mmの樹脂含浸ガラスクロス(拘束層)と、離型フィルムとの間に挟み、120℃のプレス成形により、混練物をシート状に圧延して、厚み0.8mmの樹脂成形品用補強シートを作製した。(図1(a)参照)。なお、補強層の厚みは、0.62mmであった。
【0180】
【表1】

【0181】
なお、表1の粘着材組成物(補強層)の各成分の数値は、配合部数を示す。
【0182】
また、表1に示す各成分の詳細を以下に示す。
【0183】
H1052X:商品名「タフテックH1052」、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン/エチレン・ブタジエン比:20質量%/80質量%、MFR(190℃、2.16kg):3g/10分、MFR(200℃、5kg):10g/10分、旭化成ケミカルズ社製
ノバテックLD LF440C:商品名、ポリエチレン、物性:表2参照、日本ポリプロ社製
ペトロセン208:商品名、ポリエチレン、物性:表2参照、東ソー社製
スミカセンF213P:商品名、ポリエチレン、物性:表2参照、住友化学社製
ノバテックLD LC720:商品名、ポリエチレン、物性:表2参照、日本ポリプロ社製
ペトロセン202:商品名、ポリエチレン、物性:表2参照、東ソー社製
ウィンテックWEG7T:商品名、ポリプロピレン、物性:表3参照、日本ポリプロ社製
サンアロマーPC480A:商品名、ポリプロピレン、物性:表3参照、サンアロマー社製
T432:商品名「アサプレンT432」、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン比:30質量%/70質量%、旭化成ケミカルズ社製
A:商品名「タフプレンA」、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン含有量40%、旭化成ケミカルズ製
アルコンP100:商品名、脂環族飽和炭化水素系樹脂(完全水素添加物)、軟化点(環球法)100℃、荒川化学工業社製
アルコンM100:商品名、脂環族飽和炭化水素系樹脂(部分水素添加物)、軟化点(環球法)100℃、荒川化学工業社製
ペトロタック90HM:商品名、炭化水素系石油樹脂、軟化点(環球法)88℃、東ソー社製
重質炭酸カルシウム:丸尾カルシウム社製
旭カーボン♯50:商品名、カーボンブラック、旭カーボン社製
イルガノックス1010:商品名、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、BASF社製
ノクラックMB:商品名、2−メルカプトベンズイミダゾール、大内新興化学工業社製
ポリプロピレンおよびポリエチレンの詳細をさらに表2および表3にそれぞれ示す。
【0184】
【表2】

【0185】
【表3】

【0186】
(評価)
得られた実施例1〜11および比較例1について、曲げ強度および粘着力を次のように評価した。
【0187】
それらの結果を表4に示す。
1)樹脂成形品用補強シートの曲げ強度
実施例1〜11および比較例1の樹脂成形品用補強シートを、厚み2.0mmのポリプロピレン板に、補強層とポリプロピレン板とが接触するように、貼着し、これらを80℃で10分間加熱して、それらを密着させて、積層体を得た。その後、乾燥機から取り出した積層板を、長さ150mm×幅25mmの大きさに外形加工して試験片を得た。
【0188】
得られた試験片を、表4に記載の測定温度(25℃、60℃、70℃、80℃、90℃)に設定された、万能試験機(ミネベア社製)の恒温槽にそれぞれ設置し、三点曲げ試験により、1mm変位の曲げ強度、2mm変位の曲げ強度(測定温度90℃の場合のみ)および最大曲げ強度(測定温度90℃の場合のみ)を、それぞれ測定した。
【0189】
なお、三点曲げ試験では、万能試験機(ミネベア社製)において、支点間距離を100mmとし、試験片の中央(長さ方向および幅方向中央)を、直径10mmの圧子で50mm/分の速度でポリプロピレン板側から押圧した。
【0190】
別途、参考例1として、厚み2mmのポリプロピレン板(樹脂成形品用補強シートが貼着されていないポリプロピレン板)のみを、長さ150mm×幅25mmの大きさに外形加工して試験片を得た。
【0191】
その後、得られた試験片を、表4に記載の測定温度に設定された、万能試験機(ミネベア社製)の恒温槽に設置し、その万能試験機において、支点間距離を100mmとし、試験片の中央(長さ方向および幅方向中央)を、直径10mmの圧子で50mm/分の速度で押圧した。
【0192】
これにより、参考例1の1mm変位の曲げ強度、2mm変位の曲げ強度(測定温度90℃の場合のみ)および最大曲げ強度(測定温度90℃の場合のみ)をそれぞれ測定した。
2)補強層の粘着力(初期粘着力および加熱後粘着力)
A.初期粘着力および加熱後粘着力(プライマー層なし)
実施例1〜11および比較例1において形成した補強層のみについて、剥離速度300mm/分でJIS Z0237(2009年)の90度ピール試験によって、ポリプロピレン板に対する次に述べる初期粘着力および加熱後粘着力をそれぞれ測定した。
(i) 初期粘着力(プライマー層なし)
まず、実施例1〜11および比較例1の補強層のみを、常温(25℃)でポリプロピレン板に貼着し、その後、ポリプロピレン板に対する補強層の粘着力(初期粘着力)を測定した。
(ii) 加熱後粘着力(プライマー層なし)
まず、実施例1〜11および比較例1の補強層のみを、常温(25℃)でポリプロピレン板に貼着し、次いで、それらを80℃で10分間加熱した後に、ポリプロピレン板に対する補強層の粘着力(加熱後粘着力)を測定した。
B.初期粘着力(プライマー層あり)
(i) 初期粘着力
まず、変性ポリプロピレンからなる厚み10μmのプライマー層をポリプロピレン板に設けた。
【0193】
その後、実施例1〜11および比較例1の補強層のみを、常温(25℃)でポリプロピレン板に、プライマー層を介して貼着し、その後、補強層のポリプロピレン板に対する補強層の粘着力(初期粘着力)を測定した。
【0194】
【表4】

【符号の説明】
【0195】
1 樹脂成形品用補強シート
2 補強層
3 拘束層
4 樹脂成形品
9 プライマー層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拘束層と、前記拘束層に積層される補強層とを備える樹脂成形品用補強シートであって、
前記樹脂成形品用補強シートを厚み2.0mmのポリプロピレン板に貼着し、80℃で10分間加熱した後、90℃における1mm変位の曲げ強度が、厚み2.0mmのポリプロピレン板の90℃における1mm変位の曲げ強度に対して、2倍以上であることを特徴とする、樹脂成形品用補強シート。
【請求項2】
前記樹脂成形品用補強シートを厚み2.0mmのポリプロピレン板に貼着し、80℃で10分間加熱した後、60〜90℃における1mm変位の曲げ強度が、60〜90℃における厚み2.0mmのポリプロピレン板の1mm変位の曲げ強度に対して、3倍以上であることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂成形品用補強シート。
【請求項3】
前記補強層をポリプロピレン板に常温で貼着し、剥離速度300mm/分でJIS Z0237(2009年)の90度ピール試験により測定されるポリプロピレン板に対する粘着力が、3.0N/25mm以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の樹脂成形品用補強シート。
【請求項4】
前記補強層をポリプロピレン板に常温で貼着し、80℃で10分間加熱後に、剥離速度300mm/分でJIS Z0237(2009年)の90度ピール試験により測定されるポリプロピレン板に対する粘着力が、10.0N/25mm以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂成形品用補強シート。
【請求項5】
前記補強層が、熱可塑性の粘着剤組成物から形成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂成形品用補強シート。
【請求項6】
前記粘着剤組成物が、共役ジエン類を含む単量体の重合体の水素添加物を含有することを特徴とする、請求項5に記載の樹脂成形品用補強シート。
【請求項7】
前記粘着剤組成物が、ポリオレフィンをさらに含有することを特徴とする、請求項6に記載の樹脂成形品用補強シート。
【請求項8】
前記ポリオレフィンの配合割合が、前記水素添加物100質量部に対して、10〜200質量部であることを特徴とする、請求項7に記載の樹脂成形品用補強シート。
【請求項9】
前記粘着剤組成物が、粘着付与剤をさらに含有することを特徴とする、請求項5〜8のいずれか一項に記載の樹脂成形品用補強シート。
【請求項10】
前記粘着付与剤が、脂環族飽和炭化水素系樹脂を含有することを特徴とする、請求項9に記載の樹脂成形品用補強シート。
【請求項11】
前記粘着付与剤の配合割合が、前記水素添加物100質量部に対して、40〜200質量部であることを特徴とする、請求項9または10に記載の樹脂成形品用補強シート。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の樹脂成形品用補強シートを樹脂成形品に貼着することにより、前記樹脂成形品が補強されていることを特徴とする、樹脂成形品の補強構造。
【請求項13】
前記樹脂成形品に貼着された前記樹脂成形品用補強シートを80℃以上に加熱して、前記樹脂成形品用補強シートを前記樹脂成形品に密着させることを特徴とする、請求項12に記載の樹脂成形品の補強構造。
【請求項14】
プライマー層を前記樹脂成形品に設けた後、前記樹脂成形品用補強シートを前記プライマー層を介して前記樹脂成形品に貼着することを特徴とする、請求項12または13に記載の樹脂成形品の補強構造。
【請求項15】
前記樹脂成形品用補強シートを、予め、80℃以上に加熱し、次いで、前記樹脂成形品用補強シートを前記樹脂成形品に貼着することを特徴とする、請求項12〜14のいずれか一項に記載の樹脂成形品の補強構造。
【請求項16】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の樹脂成形品用補強シートを樹脂成形品に貼着することにより、前記樹脂成形品を補強する工程
を備えていることを特徴とする、樹脂成形品の補強方法。
【請求項17】
前記樹脂成形品用補強シートおよび/または前記樹脂成形品を80℃以上に加熱して、前記樹脂成形品用補強シートを前記樹脂成形品に密着させる工程
をさらに備えることを特徴とする、請求項16に記載の樹脂成形品の補強方法。
【請求項18】
プライマー層を前記樹脂成形品に設ける工程
をさらに備え、
前記樹脂成形品用補強シートを前記樹脂成形品に貼着する工程では、
前記樹脂成形品用補強シートを前記プライマー層を介して前記樹脂成形品に貼着することを特徴とする、請求項16または17に記載の樹脂成形品の補強方法。
【請求項19】
前記樹脂成形品用補強シートを前記樹脂成形品に貼着する工程では、前記樹脂成形品用補強シートを、予め、80℃以上に加熱し、次いで、前記樹脂成形品用補強シートを前記樹脂成形品に貼着することを特徴とする、請求項16〜18のいずれか一項に記載の樹脂成形品の補強方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−63513(P2013−63513A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201814(P2011−201814)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】