説明

樹脂成形用金型およびこの金型を用いて製造される樹脂部品の製造方法

【課題】樹脂製品部分とスクラップ部分の切り離し時にバリの発生を抑制でき、バリ除去工程を不要にして生産性を向上させ、薄い樹脂製品にも対応することができる樹脂成型用金型およびこの金型を用いて製造される樹脂部品の製造方法を提供する。
【解決手段】金型3のゲート5に形成されるノッチ(凸部)を樹脂製品室1に近い箇所に設置することで、切り離しの際にノッチによって樹脂が薄くなった箇所(凹部11)に応力を集中させて、この箇所で切断する。その結果、バリの発生を抑制して樹脂製品部分1とスクラップ部分5を切り離すことができる。また、バリが発生した場合でも、このノッチの設置位置や大きさによってバリ形状などを制御できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、樹脂製品部分とスクラップ部分の切り離しの際にバリの発生を抑制できるサイドゲートを有する樹脂成形用金型およびこの金型を用いて製造される樹脂部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に樹脂成形用金型は上金型と下金型で構成され、下金型に樹脂製品部分を形成する樹脂製品室が設けられている。また、下金型には樹脂製品室に樹脂材料を注入するためのランナーが設けられ、このランナーと接して樹脂製品部分をスクラップ部分から切り離すためのゲートが設けられている。このゲートは細い溝や貫通孔であり、樹脂製品室とランナーの境界に設けられている。このゲートには、サイドゲートとサブマリンゲートの2種類の構造がある。
【0003】
図6は、サイドゲートを有する樹脂成形用金型500を用いて樹脂製品を形成する様子を示した図であり、同図(a)は金型500全体の断面図、同図(b)は金型500に樹脂材料58を注型した断面図、同図(c)は成形後金型から固化した樹脂材料58を外した要部断面図、同図(d)は樹脂製品部分51aとスクラップ部分55aを切り離した図である。なお、図中の符号で60は上金型52と下金型53の合わせ目であり、パーティングラインと呼ばれている。
【0004】
サイドゲートを有する樹脂成形用金型500では、樹脂製品室51、ゲート54およびランナー55を下金型53の表面に掘り込み、成型後、樹脂製品部分51aとスクラップ部分55aは一体となって取り出される。ゲート54は樹脂製品室51とランナー55を接続する部分を指し、ランナー55よりやや浅くパーティングラインと水平に掘り込まれている。その後、スクラップ部分55aに力を加えて樹脂製品部分51aからスクラップ部分55aを切り離す。このサイドゲートのメリットは金型50に掘り込みを入れてランナー55を形成するため、ランナー55が樹脂製品59上面に位置するため、樹脂製品59の厚さPを薄くできる点である。
【0005】
図7は、サブマリンゲートを有する樹脂成形用金型600を用いて樹脂製品を形成する様子を示した図であり、同図(a)は金型60全体の断面図、同図(b)は金型60に樹脂材料68を注型した断面図、同図(c)は成形後金型から固化した樹脂材料68を外し樹脂製品部分61aとスクラップ部分65aを切り離した図である。
【0006】
サブマリンゲートを有する樹脂成形用金型600では、下金型63に貫通孔を開けてランナー65およびゲート64とし、この貫通孔を通して樹脂材料68を樹脂製品室61へ流し込む構造である。成形後は、樹脂製品部分61aのみ樹脂製品室61から取り出す。
【0007】
このように、樹脂材料68を流し込むランナー65が下金型63に開けた貫通孔であり、成形後、樹脂製品部分61aのみを下側から垂直に上方へ押し上げてスクラップ部分65aから切り離して樹脂製品69が出来上がる。樹脂製品部分61aを上方へ押し上げるのは樹脂製品室61の底部61bを上方に移動させることで行なわれる。このように樹脂製品部分61aを持ち上げることで切り離しは刃物で切断したように行われ、バリの発生は抑制される。
【0008】
特許文献1では、金型に形成してあるキャビテイに対して溶融樹脂を注入する部分であるゲートを、ICモジュールが埋設される埋設用凹部を形成するための金型突部から最も遠い位置のキャビティ内側壁に形成し、このゲートが形成してあるキャビティ内側壁に対向するキャビティ内側壁に、前記キャビテイに連続してオーバーフロー空間を形成し、溶融樹脂を、キャビテイ内とオーバーフロー空間内に充填するように、前記ゲートから注入して射出成形を行う。これにより、薄肉部に反りや不良成形部分が発生せず、十分な曲げ負荷に対する強度を有するICカード用カード基材を効率的に製造することができるICカード用カード基材の製造方法とICカード用カード基材の製造用金型とを提供することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5−286295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、前記の2種類のゲートにはそれぞれデメリットが存在する。
(1)サイドゲートでは、成型時に樹脂製品部分51aとスクラップ部分55aがつながったまま出来上がる。つまり、樹脂製品部分51aとスクラップ部分55aは、スクラップ部分55aのゲート54に対応する部分54aが薄い状態でつながっている。そして、このゲート54に対応する薄い部分54aで切り離すことにより、樹脂製品部分51aを分離する。図8(a)は、図6(d)におけるCの部分を上面方向から見た図である。また図8(b)は図6(d)のCの部分の拡大図である。樹脂製品部分51aとスクラップ部分55aの切り離しのときに、図8(a)に符号71で示すように、ゲート54に対応する部分54a内で不規則に割れ、また、図(b)に示すように、切り離し面に許容値を超える高さRのバリ70が形成されてしまう。そのため後工程でバリ取り作業が必要になる。この切り離し面に許容値を超える大きさのバリ70があると、この面が他の部品との合わせ面になる樹脂製品では、相手側の面と密着して面合わせすることができなくなる。
(2)サブマリンゲートでは、下金型63にランナー65となる貫通孔を横方向に開ける必要があるため、樹脂製品室61の深さは深くなり、厚みQの厚い樹脂製品69が対象となる。そのため、薄い樹脂製品には対応できない。
【0011】
また、特許文献1では、サイドゲートを有する樹脂成形金型を用いて、ゲートを凸部や楔部とすることで、樹脂製品部分とスクラップ部分を切り離す時に凸部や楔部で形成された樹脂部に応力を集中させて切り離して、バリの発生を抑制すことについては記載されていない。
【0012】
この発明の目的は、前記の課題を解決して、樹脂製品部分とスクラップ部分の切り離し時にバリの発生を抑制でき、バリ除去工程を不要にして生産性を向上させ、薄い樹脂製品にも対応することができる樹脂成型用金型およびこの金型を用いて製造される樹脂部品の製造方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的を達成するために、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明によれば、下金型と、該下金型上に接して固定される上金型とを有するサイドゲートを有する樹脂成形用金型において、前記下金型の表面層に、樹脂製品室となる凹部と、樹脂材料の通路でランナーとなる溝と、前記凹部と前記溝を繋ぎ前記溝の深さより浅いゲートとを有し、該ゲート上に前記凹部に接する突出部を設け、該突出部の前記下金型の表面からの深さが前記ゲートの深さより浅い構成とする。
【0014】
また、特許請求の範囲の請求項2記載の発明によれば、請求項1に記載の発明において、前記突出部が、上部が丸みを帯びた凸部であるとよい。
また、特許請求の範囲の請求項3記載の発明によれば、請求項1に記載の発明において、前記突出部が、楔状に突出した凸部であるとよい。
【0015】
また、特許請求の範囲の請求項4に記載の発明によれば、下金型と、該下金型上に接して固定される上金型とを有するサイドゲートを有する樹脂成形用金型において、前記下金型の表面層に、樹脂製品室となる凹部と、樹脂材料の通路でランナーとなる溝と、前記凹部と前記溝を繋ぎ前記溝の深さより浅いゲートとを有し、前記ゲートに傾斜をつけて楔部とし、前記楔部の頂点が、前記上金型に向かって突出しているとよい。
【0016】
また、特許請求の範囲の請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂成形用金型を用いて製造される樹脂製品の製造方法であって、前記下金型と前記上金型を接して固定する工程と、前記ランナーを通して樹脂製品室へ樹脂材料を注入して該樹脂を固化して成型する工程と、前記上金型および前記下金型から固化した前記樹脂材料を取り出す工程と、前記樹脂製品室で形成される樹脂製品部分と前記ランナーで形成されるスクラップ部分を前記凸部もしくは前記楔部で形成された樹脂部で切り離しバリの高さを抑制した樹脂製品を形成する工程と、を含む製造方法とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、金型のゲートに形成されるノッチ(凸部)を樹脂製品部分に近い箇所に設置することで、切り離しの際にノッチによって樹脂が薄くなった箇所(凹部)に応力を集中させて、この箇所で切断する。その結果、バリの発生を抑制して樹脂製品部分とスクラップ部分を切り離すことができる。また、バリが発生した場合でも、このノッチの設置位置や大きさによってバリ形状などを制御できる。
【0018】
また、ゲートにエッジ(楔部)を設けることで成型樹脂に鋭い切り込みを入れることができ、この箇所に応力が集中するので、樹脂製品部分とスクラップ部分の切り離しが容易となり、バリの高さを抑制できる。
【0019】
前記のように、バリの発生が抑制されることで、後工程のバリの除去作業が不要となり、生産性が向上する。
また、樹脂成形用金型にセラミックやステンレスなど硬度の高い材料を用いることで、エッジの磨耗や欠けを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の第1実施例の樹脂成形用金型100の構成図であり、(a)は下金型の要部平面図、(b)は(a)のX−X線で切断した上下金型の要部断面図、(c)は同図(b)のA部の拡大図である。
【図2】図2は、樹脂成形用金型100を用いた樹脂製品20の製造方法であり、(a)〜(e)は工程順に示した要部製造工程断面図である。
【図3】図1の樹脂成形用金型100を用いて形成した樹脂製品部分1aとスクラップ部分5aを切り離す様子を示した図である。
【図4】この発明の第2実施例の樹脂成形用金型200の構成図であり、(a)は下金型の要部平面図、(b)は(a)のX−X線で切断した上下金型の要部断面図、(c)は同図(b)のB部の拡大図である。
【図5】図4の樹脂成形用金型200を用いて形成した樹脂製品部分1aとスクラップ部分5aを切り離す様子を示した図である。
【図6】サイドゲートを有する樹脂成形用金型500を用いて樹脂製品59を形成する様子を示した図であり、(a)は金型500全体の断面図、(b)は金型500に樹脂材料71を注型した断面図、(c)は成形後金型から固化した樹脂材料58を外した要部断面図、(d)は樹脂製品部分51aとスクラップ部分55aを切り離した図である。
【図7】サブマリンゲートを有する樹脂成形用金型600を用いて樹脂製品69を形成する様子を示した図であり、(a)は金型600全体の断面図、(b)は金型600に樹脂材料68を注型した断面図、(c)は成形後金型から固化した樹脂材料68を外し樹脂製品部分61aとスクラップ部分65aを切り離した図である。
【図8】図6の樹脂成形用金型500を用いて形成した樹脂製品部分51aとスクラップ部分55aを切り離す様子を示した図であり、(a)は図6のCの部分を状面から見た図、(b)は図6のCの部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施の形態を以下の実施例で具体的に説明する。
<実施例1>
図1は、この発明の第1実施例の樹脂成形用金型100の構成図であり、同図(a)は下金型の要部平面図、同図(b)は同図(a)のX−X線で切断した上下金型の要部断面図、同図(c)は同図(b)のA部の拡大図である。また、図3は、図1の樹脂成形用金型100を用いて形成した樹脂製品部分1aとスクラップ部分5aを切り離す様子を示した図である。
【0022】
この樹脂成形用金型100は、樹脂製品20を形成するための金型である。この樹脂成形用金型100は、樹脂製品20となる樹脂製品部分1aが形成される樹脂製品室1と、成型後不要となるスクラップ部分5aが形成されるランナー5とゲート4からなる下金型3と、樹脂材料21を流し込む流入孔13が設けられた上金型2で構成される。
【0023】
ゲート4には、樹脂製品室1と接する凸部11(ノッチ)がゲート4上に形成されている。この凸部11の上部は丸みを有し、その高さHは小さく0.2mm程度であり、幅Wは0.2mm程度である。また、ゲート4の長さLは0.5mm程度である。
【0024】
凸部11の高さHが高すぎると上金型2の底面(パーティングライン6)からの凸部11の頂点12の深さT4が小さくなり、この箇所で樹脂材料21が流れにくくなる。一方、高さHが低すぎるとこの箇所で形成される樹脂の凹部11aの厚さN2が厚くなり、バリ30が発生しやすくなる。そのため、凸部11の高さHは0.15mm以上で0.3mm以下がよい。また、凸部11の幅Wは広すぎると、図3に示すバリ30の高さMが高くなる場合が出てくるので好ましくない。また、幅Wが狭すぎると凸部11が磨耗したり欠けやすくなる。そのため、凸部11の幅Wは0.1mm以上で0.3mm以下がよい。この凸部11の高さHと幅Wの値は許容できるバリ30の高さMにより変わり、許容するバリ30の高さMが高くなれば、凸部11の高さHは低くでき、幅Wは大きくできる。
【0025】
前記したように、凸部11がある箇所の樹脂は極めて薄い凹部11aが形成される。凸部11が丸みを帯びているので、樹脂材料を流し込む際に金型にかかる圧力を小さくできて、高温高圧下で連続使用される樹脂成形用金型100の磨耗や破損を抑えることができる。
【0026】
なお、この凸部11の形状は丸みを帯びた形状に限定されない。例えばより鋭利に楔状の形状としてもよい。凸部11を楔状とする場合は、樹脂を注入する際に、楔の先端に大きな圧力が印加されるので、硬度の高い材料で金型を形成する。通常の金型に用いる鋼材より硬度の高い材料としては、セラミックやステンレスなどがある。
【0027】
また、前記したパーティングライン6とは上金型2と下金型3の合わせ目のことをいう。このパーティングライン6を基準にして前記の凸部11の頂点12の深さT4が最も浅く、ゲート4の深さT3、ランナーの深さT2、樹脂製品室1の底部の深さT1の順に深くなる。そのため、樹脂製品部分1aの厚さN1が最も厚く、凸部11で形成される凹部11aの厚さN2が最も薄くなる。その結果、樹脂製品部分1aとスクラップ部分5aを切り離すときに、この凹部11aに応力が集中する。この凹部11aは樹脂製品部分1aの側壁面1bに接しているため、バリ30の高さMは極めて小さくなる。
【0028】
また、前記のT4は従来のゲート54の深さと同程度であるため、凸部11を設けても樹脂材料58の流れ方は従来と同じである。
図2は、樹脂成形用金型100を用いた樹脂製品20の製造方法であり、同図(a)〜同図(e)は工程順に示した要部製造工程断面図である。
【0029】
まず、同図(a)において、上金型2と下金型3を合せる。
つぎに、同図(b)において、樹脂材料21を上金型2の注入孔13から下金型3のランナー5とゲート4を経由して樹脂製品室1へと流し込み成形する。
【0030】
つぎに、同図(c)において、成型後、固化した樹脂材料21が入ている下金型3から上方へ上金型2を引き上げ、下金型3と上金型2を引き離す。
つぎに、同図(d)において、固化した樹脂材料21を下金型3から取り出す。この固化した樹脂21は樹脂製品部分1aとスクラップ部分5aからなる。スクラップ部分5aと樹脂製品部分1aの境界23には、ゲート4の凸部11で形成された凹部11aが形成されている。
【0031】
つぎに、同図(e)において、図3に示すように、スクラップ部分5aに力を加えると、凹部11aに応力が集中し、スクラップ部分5aが極めて小さなバリを発生させながら境界23の箇所で樹脂製品部分1aから切り離され、樹脂製品20が出来上がる。
【0032】
このように、バリ30が発生しても、許容値より小さく抑制されるため、後工程でバリ取り作業が不要となり、生産性は向上する。バリ30の許容値は、樹脂製品20の製造仕様で種々あるが、通常、0.1mm〜0.2mm程度以内である。
【0033】
また、凸部11の設置位置や大きさによって、バリ形状などを制御することができる。
<実施例2>
図4は、この発明の第2実施例の樹脂成形用金型200の構成図であり、同図(a)は下金型の要部平面図、同図(b)は同図(a)のX−X線で切断した上下金型の要部断面図、同図(c)は同図(b)のB部の拡大図である。
【0034】
図1の樹脂成形用金型100とこの図4の樹脂成形用金型200の違いは、ゲート4に傾斜17を付けて楔部15(エッジ部)を形成した点である。この楔部15の頂点16は樹脂製品室1に接して形成される。例えば、図4(c)に示すように、樹脂製品室1の側壁面1bは、楔部15の頂点6まで同一平面として直線状(平面状)に連続している。このように構成することで、図5に示すように、切り込み部15aに露出する樹脂製品部分1aの側面は楔部15の頂点16に対応する部分まで平坦となり、バリ30を小さくすることができる。
【0035】
また、楔部15の樹脂製品室1の側壁面1bに対する角度θは0°超で90°未満とする。この角度θが小さいと楔部15の磨耗や欠けが生じ易くなり、大きいと樹脂製品部分1aとスクラップ部分5aの境界の応力集中が弱まる。そのため、この角度θを30°〜70°程度とすると楔部15の磨耗や欠けが生じ難くなり、また樹脂製品部分1aとスクラップ部分5aの境界23の応力集中が大きくなるのでよい。
【0036】
ここで、樹脂製品室1の側壁面1bと、楔部15の頂点16までを、図4(c)のように同一平面とはせずに、楔部15の頂点16までを頂点側に傾斜させてもよい。
また、パーティングライン6から楔部15までの深さT5は0.2mm程度(T4と同じ)である。
【0037】
この樹脂成形用金型200を用いることで、樹脂成形後、上下金型2,3をパーティングライン6で切り離したときに、図5に示すように、楔部15で形成される切り込み部15aの箇所で応力が集中するので、容易に樹脂製品部分1aとスクラップ部分5aをバリ30の発生を抑制して(バリ30の高さMが許容値以下)切り離すことができる。そのため、後工程でバリ取り作業が不要となり、生産性は向上する。
【0038】
また、樹脂成形用金型200を鋼材などに比べて硬度が高い材質、例えば、セラミックやステンレスなどで製作することで、楔部15の磨耗や欠けを防止することができる。
なお、これらの実施例1,2は、圧力センサのキャップなどの樹脂ケースに適用される。
【符号の説明】
【0039】
1 樹脂製品室
1a 樹脂製品部分
1b 側壁面
2 上金型
3 下金型
4 ゲート
5 ランナー
5a スクラップ部分
6 パーティングライン
11 凸部
11a 凹部
12,16 頂点
13 注入孔
15 楔部
15a 切り込み部
20 樹脂製品
21 樹脂材料
23 境界
30 バリ
H 凸部の高さ
W 凸部の幅
L ゲートの長さ
M バリの高さ
T1,T2,T3,T4,T5 深さ
N1,N2 厚さ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下金型と、該下金型上に接して固定される上金型とを有するサイドゲートを有する樹脂成形用金型において、
前記下金型の表面層に、樹脂製品室となる凹部と、樹脂材料の通路でランナーとなる溝と、前記凹部と前記溝を繋ぎ前記溝の深さより浅いゲートとを有し、該ゲート上に前記凹部に接する突出部を設け、該突出部の前記下金型の表面からの深さが前記ゲートの深さより浅いことを特徴とする樹脂成形用金型。
【請求項2】
前記突出部が、上部が丸みを帯びた凸部であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形用金型。
【請求項3】
前記突出部が、楔状に突出した凸部であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形用金型。
【請求項4】
下金型と、該下金型上に接して固定される上金型とを有するサイドゲートを有する樹脂成形用金型において、
前記下金型の表面層に、樹脂製品室となる凹部と、樹脂材料の通路でランナーとなる溝と、前記凹部と前記溝を繋ぎ前記溝の深さより浅いゲートとを有し、
前記ゲートに傾斜をつけて楔部とし、前記楔部の頂点が、前記上金型に向かって突出していることを特徴とする樹脂成形用金型。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂成形用金型を用いて製造される樹脂製品の製造方法であって、
前記下金型と前記上金型を接して固定する工程と、
前記ランナーを通して樹脂製品室へ樹脂材料を注入して該樹脂を固化して成型する工程と、
前記上金型および前記下金型から固化した前記樹脂材料を取り出す工程と、
前記樹脂製品室で形成される樹脂製品部分と前記ランナーで形成されるスクラップ部分を前記凸部もしくは前記楔部で形成された樹脂部で切り離しバリの高さを抑制した樹脂製品を形成する工程と、
を含むことを特徴とする樹脂製品の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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