説明

樹脂用組成物

【課題】エピスルフィド化合物にチオール化合物とイソシアネート化合物を添加したものを、粘着材が塗布された粘着テープを使用したモールドを使用して、重合硬化させても、白濁が生じず、かつ、工業的に容易に光学材料を製造する手法を開発すること。
【解決手段】チオール化合物とイソシアネート化合物を予備反応することにより、白濁が発生しない光学材料を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記録基盤、フィルター等の光学材料、中でも、眼鏡用プラスチックレンズを製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチック材料は軽量かつ靭性に富み、また染色が容易であることから、各種光学材料、特に眼鏡レンズに近年多用されている。光学材料、中でも眼鏡レンズに特に要求される性能は、低比重、高透明性および低黄色度、光学性能として高屈折率と高アッベ数であり、高耐熱性、高強度などである。高屈折率はレンズの薄肉化を可能とし、高アッベ数はレンズの色収差を低減する。高強度は二次加工を容易にするとともに、安全性等の観点からも重要である。光学性能の高屈折率および高アッベ数、高耐熱性を同時に実現する手法として、エピスルフィド化合物の使用があげられるが、該化合物からなる光学材料については、高強度化が課題となっていた。このため、エピスルフィド化合物に加えてチオール化合物とイソシアネート化合物を添加することにより、引張強度、耐衝撃性などの各種強度の向上に関する検討が行われている(特許文献1、2参照)。これらの光学材料は通常注型重合法によって製造される。従来、成型用型は金属又はガラスのみ、又はガラス又は金属性モールドと樹脂性ガスケットとの組み合わせで作られる。ところが、樹脂性ガスケットを用いると、成型物1個に対して樹脂製ガスケットのコストがかかるばかりでなく、成型後の使用済み樹脂製ガスケットのリサイクルが殆ど出来ない為、コスト高となる問題を抱えており、その分産業廃棄物が増えていた。これらの問題を解決する方法として、樹脂ガスケットの代わりに対向する2個のモールドの外周部に粘着材が塗布された粘着テープを使用して重合する方法(特許文献3参照)が提案されており、近年では多くのレンズメーカーで工業的に採用されている。しかしながら、エピスルフィド化合物にチオール化合物とイソシアネート化合物を添加したものにおいては、粘着材が塗布された粘着テープを対向する2枚のモールドの外周部に巻きつけた型を使用して硬化させると、粘着材成分が溶出し、得られる光学材料に白濁が発生する欠点を有し、高い透明度が要求される光学材料には実用的ではなかった。
【特許文献1】特開2001−131257号公報
【特許文献2】特開2001−330701号公報
【特許文献3】特開平10−146849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、エピスルフィド化合物にチオール化合物とイソシアネート化合物を添加したものを、粘着材が塗布された粘着テープを使用したモールドを使用して、重合硬化させても、白濁が生じず、工業的に容易に光学材料を製造する手法を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、これらの問題を解決すべく鋭意検討を行った結果、下記(2)式で表される(b)化合物と、
【0005】
【化1】

チオール基を1分子中に2個以上有する(c)化合物を予備重合させることにより、得られる光学材料が、粘着材で塗布された粘着テープを対向する2枚のモールドの外周部を巻きつけた型を使用しても、白濁を生じないことを見出し、本発明に至った。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、モールドの外周部に粘着材が塗布された粘着テープを巻きつけた型を使用しても、予備重合を行うことによって、白濁が生じないことを達成し、工業的に容易に光学材料を製造する手法を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明で使用するエピスルフィド化合物としては、高屈折率と高アッベ数を同時に発現するために脂肪族のエピスルフィド化合物が選択され、なかでも高耐熱性を発現するために2個以上のエピスルフィド基を有する化合物が選択された。さらに検討の結果、下記(1)式で表される特定の(a)化合物において本発明の効果が非常に顕著に表れた。
【0008】
【化2】

【0009】
(a)化合物の具体例としては、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)トリスルフィド、ビス(β−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、ビス(β−エピチオプロピルチオエチル)スルフィド、等のエピスルフィド類があげられる。(a)化合物は単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。中でも好ましい具体例は、ビス(β―エピチオプロピル)スルフィドおよび/またはビス(β―エピチオプロピル)ジスルフィドであり、最も好ましい具体例は、ビス(β―エピチオプロピル)スルフィドである。
【0010】
イソシアネート化合物としては、高屈折率を維持するために芳香族環を有するイソシアネート化合物が選択され、なかでも高耐熱性を発現するために2個以上のイソシアネート基を有する化合物が選択された。さらに検討の結果、下記(2)式で表される特定の(b)化合物において本発明の効果が非常に顕著に表れた。
【0011】
【化3】

【0012】
(b)化合物の具体例としては、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、などのポリイソシアネート類が挙げられる。(b)化合物は単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。これらのなかで好ましい具体例は、工業的に入手が容易なm−キシリレンジイソシアネートおよび/またはm−テトラメチルキシリレンジイソシアネートであり、最も好ましい具体例は、高耐熱性を発現するm−テトラメチルキシリレンジイソシアネートである。
チオール化合物としては、高屈折率を維持するためにスルフィド結合を1分子中に1個以上有するチオール化合物が選択され、なかでも高耐熱性を発現するためチオール基を1分子中に2個以上有する化合物が選択された。すなわち、スルフィド結合を1分子中に1個以上有しかつチオール基を1分子中に2個以上有する特定の(c)化合物において本発明の効果が非常に顕著に表れた。
【0013】
(c)化合物の具体例としては、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、2−(2−メルカプトエチルチオ)−1,3−ジメルカプトプロパン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、2,4−ビス(メルカプトメチル)−1,5−ジメルカプト−3−チアペンタン、4,8−ビス(メルカプトメチル)−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ビス(メルカプトメチル)−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、5,7−ビス(メルカプトメチル)−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、1,2,7−トリメルカプト−4,6−ジチアヘプタン、1,2,9−トリメルカプト−4,6,8−トリチアノナン、1,2,8,9−テトラメルカプト−4,6−ジチアノナン、1,2,10,11−テトラメルカプト−4,6,8−トリチアウンデカン、1,2,12,13−テトラメルカプト−4,6,8,10−テトラチアトリデカン、テトラキス(4−メルカプト−2−チアブチル)メタン、テトラキス(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタン、1,5-ジメルカプト−3−メルカプトメチルチオ−2,4−ジチアペンタン、3,7−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,9−ジメルカプト−2,4,6,8−テトラチアノナン、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2−メルカプトエチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1−チアン、2,5−ビス(2−メルカプトエチル)−1−チアン、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)スルフィド、3,4−チオフェンジチオール、などのポリチオール類およびこれらの2量体〜20量体といったオリゴマーなどのチオール類をあげることができる。(c)化合物は単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。これらのなかで好ましい具体例は、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィドおよび/または2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンであり、最も好ましい具体例は、工業的に入手が容易なビス(2−メルカプトエチル)スルフィドである。
【0014】
本発明の光学材料用組成物において、(a)化合物の量に対する(b)化合物と(c)化合物の総量は、これら化合物の種類によって得られる硬化物の光学特性、強度、耐熱性によって変化するため一概には決められないが、通常は(a)化合物50〜90重量部に対して(b)化合物と(c)化合物の総計が50〜10重量部、好ましくは(a)化合物60〜85重量部に対して(b)化合物と(c)化合物の総計が40〜15重量部、さらに好ましくは(a)化合物65〜80重量部に対して(b)化合物と(c)化合物の総計が35〜20重量部である。(a)化合物の添加量が50重量部を下回ると耐熱性が低下する場合があり、90重量部を上回ると強度向上効果が得られない場合がある。
【0015】
さらに、(b)化合物のNCO基と(c)化合物のSH基の割合に関しては、好ましくはSH基/NCO基=1.0〜2.5であり、より好ましくはSH基/NCO基=1.25〜2.25であり、さらに好ましくはSH基/NCO基=1.5〜2.0である。同割合が1.0を下回ると硬化物が黄色くなる場合があり、2.5を上回ると耐熱性が低下する場合がある。
【0016】
本発明の光学材料の製造方法は、あらかじめ(b)化合物と(c)化合物を予備重合させることを特徴とする。本予備反応では(b)化合物のチオール基と(c)化合物のイソシアネート基が付加反応してチオウレタン結合が生成する。粘着材が塗布された粘着テープを対向する2枚のモールドの外周部に巻きつけたものを使用して、予備重合をせずに光学材料を製造した場合、粘着材成分が溶出し、白濁してしまうが、(b)化合物と(c)化合物の予備重合を行うことにより、得られる光学材料の白濁が抑制される。予備重合は、好ましくは−10〜120℃で0.1〜240時間、より好ましくは−5〜100℃で0.1〜120時間、特に好ましくは0〜80℃で0.1〜60時間である。予備重合は、大気、窒素または酸素等の気体の存在下、常圧もしくは加減圧による密閉下、または減圧下等の任意の雰囲気下で行ってよい。
【0017】
予備重合に際し、性能改良剤として使用する組成成分の一部もしくは全部と反応可能な化合物、紫外線吸収剤などの各種添加剤の一部もしくは全部を加えて行っても構わない。また、この予備重合を液体クロマトグラフィーおよび/または粘度および/または比重および/または屈折率および/またはIRで測定することは、反応進行度を制御し、一定の光学材料を製造する上で好ましい。中でも、IRを用いる手法が簡便であることからより好ましく、さらにFT−IRを用いると測定精度が高まるので、最も好ましい。
【0018】
予備重合の効果をあげるためには、(b)化合物と(c)化合物を効果的に反応させ、(b)化合物のイソシアネート基を消費させることである。(b)化合物のイソシアネート基の消費量が50%未満の場合は、光学材料に白濁が生じ、好ましくない。好ましくは(b)化合物のイソシアネート基を50%以上、より好ましくは、70%以上消費させることである。
【0019】
予備重合に際しては、(a)化合物を添加して行ってもよい。添加量は、反応温度、反応時間を設定することによって一概に決められないが、(b)化合物と(c)化合物の総量40〜15重量部に対して、通常は0〜80重量部であり、好ましくは0〜40重量部である。(a)化合物が未添加であると、予備重合液の粘度が高くなり、ハンドリングが困難であり、(a)化合物が40重量部を越えると、チオウレタン化反応が遅くなる。
【0020】
予備重合に際しては、触媒を使用しても構わない。触媒を使用する場合は、(b)化合物と(c)化合物の反応に寄与するのであればどのような種類でも構わないが、好ましくは、重合硬化で使用可能な触媒である。具体的には、アミン、ルイス酸、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第3級スルホニウム塩、第2級ヨードニウム塩である。これらの中で特に好ましいのは、第4級ホスホニウム塩である。触媒を使用する際の重量は、反応温度、反応時間や(b)化合物と(c)化合物の割合によって変化するので、一概に決められないが、通常は(b)化合物と(c)化合物の総量40〜15重量部に対して、0.00001重量部〜5.0重量部であり、好ましくは0.0001重量部〜2.0重量部である。
【0021】
予備重合に際して、重合調整剤を使用しても構わない。重合調整剤を使用する場合は、上記触媒効果を制御するのであればどのような種類でも構わないが、好ましくは、重合硬化で使用可能な化合物である。重合調整剤は、長期周期律表における第13〜16族のハロゲン化物を挙げることができる。これらのうち好ましいものは、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、アンチモンのハロゲン化物であり、より好ましいものはアルキル基を有するゲルマニウム、スズ、アンチモンの塩化物である。さらに好ましいのは具体的にはジブチルスズジクロライド、ブチルスズトリクロライド、ジオクチルスズジクロライド、オクチルスズトリクロライド、ジブチルジクロロゲルマニウム、ブチルトリクロロゲルマニウム、ジフェニルジクロロゲルマニウム、フェニルトリクロロゲルマニウム、トリフェニルアンチモンジクロライドであり、最も好ましいものの具体例は、ジブチルスズジクロライドである。重合調整剤は単独でも2種類以上を混合して使用してもかまわない。重合調整剤を使用する際の重量は、反応温度、反応時間や(b)化合物と(c)化合物の割合によって変化するので、一概に決められないが、通常は(b)化合物と(c)化合物の総量40〜15重量部に対して、0.00001重量部〜5.0重量部であり、好ましくは0.0001重量部〜2.0重量部である。
【0022】
混合にあたり、設定温度、これに要する時間等は基本的には各成分が十分に混合される条件であれば良い。
【0023】
本発明で使用する重合触媒は、主に熱硬化型触媒を用いるが、光硬化型触媒や他の活性エネルギー線触媒を用いても構わない。重合触媒としては、エピスルフィド化合物の重合とイソシアネート化合物とチオール化合物の重付加に両方に効果を有するイオン系の触媒が選択され、なかでも組成物調合時の粘度の安定性が高く、ハンドリングが良好なことおよび高耐熱性を発現することから、オニウム塩である(d)化合物において本発明の効果が非常に顕著に表れた。
【0024】
(d)化合物としては、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第3級スルホニウム塩、第2級ヨードニウム塩が好ましく、中でも組成物との相溶性の良好な第4級アンモニウム塩および第4級ホスホニウム塩がより好ましく、さらに好ましくは第4級ホスホニウム塩である。
【0025】
より好ましい(d)化合物の具体例としては、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、1−n−ドデシルピリジニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド等の第4級ホスホニウム塩が挙げられる。これらの中で、さらに好ましい具体例は、トリエチルベンジルアンモニウムクロライドおよび/またはテトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイドであり、最も好ましい具体例は、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイドである。
【0026】
(d)化合物の添加量は、組成物の成分、混合比および重合硬化方法によって変化するため一概には決められないが、通常は(a)化合物、(b)化合物および(c)化合物の合計100重量部に対して0.0001重量部〜10重量部、好ましくは、0.001重量部〜5重量部、より好ましくは、0.01重量部〜1重量部、最も好ましくは、0.01重量部〜0.5重量部使用する。(d)化合物の量が10重量部より多いと硬化物の屈折率、耐熱性が低下し、着色する場合がある。また、0.0001重量部より少ないと十分に硬化せず耐熱性が不十分となる場合がある。
【0027】
本発明の樹脂用組成物において、(a)化合物以外のエピスルフィド化合物、(b)化合物以外のイソ(チオ)シアネート化合物、(c)化合物以外のチオール化合物、(d)化合物以外の重合触媒を添加し組成物とすることは、それぞれ硬化物の諸物性を調整するために有効な手段である。これら化合物の添加量は通常、(a)化合物、(b)化合物および(c)化合物の合計100重量部に対して0.0001〜5重量部である。
【0028】
光学材料用組成物を重合硬化させる際に、ポットライフの延長や重合発熱の分散化などを目的として、必要に応じて重合調整剤を添加することができる。重合調整剤は、長期周期律表における第13〜16族のハロゲン化物を挙げることができる。これらのうち好ましいものは、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、アンチモンのハロゲン化物であり、より好ましいものはアルキル基を有するゲルマニウム、スズ、アンチモンの塩化物である。さらに好ましいのは具体的にはジブチルスズジクロライド、ブチルスズトリクロライド、ジオクチルスズジクロライド、オクチルスズトリクロライド、ジブチルジクロロゲルマニウム、ブチルトリクロロゲルマニウム、ジフェニルジクロロゲルマニウム、フェニルトリクロロゲルマニウム、トリフェニルアンチモンジクロライドであり、最も好ましいものの具体例は、ジブチルスズジクロライドである。重合調整剤は単独でも2種類以上を混合して使用してもかまわない。
【0029】
重合調整剤の添加量は、(a)化合物、(b)化合物および(c)化合物の合計100重量部に対して、0.0001〜5.0重量部であり、好ましくは0.0005〜3.0重量部であり、より好ましくは0.001〜2.0重量部である。
【0030】
また、硫黄原子を含む無機化合物を添加し組成物とすることも、硬化物の光学特性を調整するために有効な手段である。硫黄原子を含む無機化合物の具体例としては、硫黄、硫化水素、二硫化炭素、セレノ硫化炭素、硫化アンモニウム、二酸化硫黄、三酸化硫黄等の硫黄酸化物、チオ炭酸塩、硫酸およびその塩、硫化水素塩、亜硫酸塩、次亜硫酸塩、過硫酸塩、チオシアン酸塩、チオ硫酸塩、二塩化硫黄、塩化チオニル、チオホスゲン等のハロゲン化物、硫化ホウ素、硫化窒素、硫化珪素、硫化リン、硫化砒素、硫化セレン、金属硫化物、金属水硫化物などがあげられる。これらは単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。これらのなかで、好ましい具体例は硫黄もしくは硫化セレンであり、最も好ましいのは硫黄である。添加量は通常、(a)化合物、(b)化合物および(c)化合物の合計100重量部に対して0.0001〜5重量部である。
【0031】
さらには、エポキシ化合物を添加し組成物とすることも、硬化物の均一性を高めるために有効な手段である。エポキシ化合物の具体例としては、フェノールやビスフェノールAなどの芳香族ヒドロキシ化合物とエピハロヒドリンの縮合により製造されるフェノール系エポキシ化合物、アルコール化合物とエピハロヒドリンの縮合により製造されるアルコール系エポキシ化合物、カルボン酸化合物とエピハロヒドリンの縮合により製造されるグリシジルエステル系エポキシ化合物、アミンとエピハロヒドリンの縮合により製造されるアミン系エポキシ化合物、不飽和化合物の酸化エポキシ化により製造されるエポキシ化合物、アルコール、フェノール化合物とジイソシアネートおよびグリシドールなどから製造されるウレタン系エポキシ化合物、およびエピスルフィド化合物のチイラン環の一部または全部がエポキシ環に置換した化合物等をあげることができる。これらのなかで、好ましくはフェノール系エポキシ化合物であり、最も好ましいのはビスフェノールAのジグリシジルエーテルである。添加量は通常、(a)化合物、(b)化合物および(c)化合物の合計100重量部に対して0.0001〜5重量部である。
【0032】
また、本発明の組成物を重合した硬化物の染色性を向上せしめるために、染色性向上成分として、カルボン酸、メルカプトカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、アミド、1,3−ジケトン、1,3−ジカルボン酸、3−ケトカルボン酸およびそのエステル類、メルカプトアルコール類、不飽和基を有する化合物と併用して使用することも可能である。これら化合物の添加量は通常、(a)化合物、(b)化合物および(c)化合物の合計100重量部に対して0.0001〜5重量部である。
【0033】
本発明の硬化物は(a)化合物と反応可能な官能基を2個以上有する化合物や(a)化合物と反応可能な官能基を1個と他の単独重合可能な官能基を1個以上有する化合物などの重合性化合物と硬化重合して製造することもできる。これら化合物としては、公知のチイラン環を有する化合物、多価カルボン酸無水物、不飽和基を有する化合物などがあげられ、これらは単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。
【0034】
さらに、不飽和基を有する化合物を使用する際には、重合促進剤として、ラジカル重合開始剤を使用する事は好ましい方法である。ラジカル重合開始剤とは、加熱あるいは紫外線や電子線によってラジカルを生成するものであれば良く、公知のパーオキサイド類やアゾ系化合物類などの熱重合触媒、ベンゾフェノン、ベンゾインベンゾインメチルエーテルなどの公知の光重合触媒が挙げられる。これらは単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。ラジカル重合開始剤の配合量は、組成物の成分や重合硬化方法によって変化するので一慨には決められないが、通常は(a)化合物、(b)化合物および(c)化合物の合計100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の範囲である。
【0035】
さらには、本発明に関わる組成物にはこれらばかりでなく、(a)化合物のオリゴマー類、合成時に用いた溶媒や酸類、未反応原料、副生成物も問題にならない範囲で含まれて良い。
【0036】
また、本発明の組成物を重合硬化して光学材料を得るに際して、公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、黄変防止剤、ブルーイング剤、顔料等の添加剤を加えて、得られる材料の実用性をより向上せしめることはもちろん可能である。また、本発明の組成物は重合中に型から剥がれやすい場合は、公知の外部および/または内部密着性改善剤を使用または添加して、得られる硬化物と型の密着性を制御向上せしめることも可能である。密着性改善剤とは、公知のシランカップリング剤やチタネート化合物類などがあげられ、これらは単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。添加量は通常、(a)化合物、(b)化合物および(c)化合物の合計100重量部に対して0.0001〜5重量部である。逆に、本発明の組成物は重合後に型から剥がれにくい場合は、公知の外部および/または内部離型剤を使用または添加して、得られる硬化物の型からの離型性を向上せしめることも可能である。離型剤とは、フッ素系ノニオン界面活性剤、シリコン系ノニオン界面活性剤、アルキル第4級アンモニウム塩、燐酸エステル、酸性燐酸エステル、オキシアルキレン型酸性燐酸エステル、酸性燐酸エステルのアルカリ金属塩、オキシアルキレン型酸性燐酸エステルのアルカリ金属塩、高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸エステル、パラフィン、ワックス、高級脂肪族アミド、高級脂肪族アルコール、ポリシロキサン類、脂肪族アミンエチレンオキシド付加物などがあげられ、これらは単独でも、2種類以上を混合して用いてもかまわない。添加量は通常、(a)化合物、(b)化合物および(c)化合物の合計100重量部に対して0.0001〜5重量部である。
【0037】
本発明の組成物を重合硬化して光学材料を製造する方法は、さらに詳しく述べるならば以下の通りである。前述した各組成成分、酸化防止剤、紫外線吸収剤、重合触媒、ラジカル重合開始剤、密着性改善剤、離型剤などの添加剤を、全て同一容器内で同時に撹拌下に混合しても、各原料を段階的に添加混合しても、数成分を別々に混合後さらに同一容器内で再混合しても良い。各原料および副原料はいかなる順序で混合してもかまわない。
【0038】
本発明では樹脂用組成物に対し、あらかじめ脱気処理を行うが、これにより光学材料の高度な透明性が達成される場合がある。脱気処理は、組成成分の一部もしくは全部と反応可能な化合物、重合触媒、添加剤の混合前、混合時あるいは混合後に、減圧下に行う。好ましくは、混合時あるいは混合後に、減圧下に行う。処理条件は、0.001〜50torrの減圧下、1分間〜24時間、0℃〜100℃で行う。減圧度は、好ましくは0.005〜25torrであり、より好ましくは0.01〜10torrであり、これらの範囲で減圧度を可変しても構わない。脱気時間は、好ましくは5分間〜18時間であり、より好ましくは10分間〜12時間である。脱気の際の温度は、好ましくは5℃〜80℃であり、より好ましくは10℃〜60℃であり、これらの範囲で温度を可変しても構わない。脱気処理の際は、撹拌、気体の吹き込み、超音波などによる振動などによって、樹脂用組成物の界面を更新することは、脱気効果を高める上で好ましい操作である。脱気処理により、除去される成分は、主に硫化水素等の溶存ガスや低分子量のチオール等の低沸点物等であるが、本発明の効果を発現するのであれば、特に種類は限定されない。
【0039】
さらには、これらの樹脂用組成物および/または混合前の各原料を0.05〜10μm程度の孔径を有するフィルターで不純物等を濾過し精製することは本発明の光学材料の品質をさらに高める上からも好ましい。
【0040】
このようにして得られた樹脂用組成物は、ガラスや金属製のモールドとガスケットの型に注入し、加熱や紫外線などの活性エネルギー線の照射によって重合硬化反応を進めた後、型から外し製造される。好ましくは、加熱によって重合硬化する。この場合、硬化時間は0.1〜200時間、通常1〜100時間であり、硬化温度は−10〜160℃、通常−10〜140℃である。重合は所定の重合温度で所定時間のホールド、0.1℃〜100℃/hの昇温、0.1℃〜100℃/hの降温およびこれらの組み合わせで行うことができる。また、重合終了後、硬化物を50〜150℃の温度で10分〜5時間程度アニール処理を行う事は、本発明の光学材料の歪を除くために好ましい処理である。さらに必要に応じて染色、ハードコート、耐衝撃性コート、反射防止、防曇性付与等表面処理を行うことができる。
【0041】
粘着材が塗布された粘着テープを対向する2枚のモールドの外周部に巻きつける際に使用するテープの粘着材としては、シリコン系、アクリル系、エポキシ系、ゴム系等があるが、粘着材の材質により、気泡の混入、液漏れ、粘着材の残り、光学樹脂の白濁が発生し、また、離型性が悪くなるという問題がある。これらのうち好ましくは、アクリル系およびシリコン系粘着材であり、さらに好ましくはシリコン系粘着材である。
【0042】
さらには、テープに用いる基材としては、一般に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラートなどの、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド等が挙げられるが、強度、価格などの点から、特にポリエステルが好ましい。
【実施例】
【0043】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、得られた硬化物の白濁の評価は以下の方法で行った。
【0044】
白濁は、暗室にて、硬化物に蛍光灯の光をあてて目視で透明度を評価した。白濁のないものを○、白濁があるものを×とした。
【0045】
(b)化合物のイソシアネートの消費量の算出にはFTIR−4100(JASCO製)を使用し、KBr結晶板を用いて、予備重合液のスペクトル(N=C=O伸縮振動による吸収:2250cm−1およびCH2伸縮振動による吸収:2918cm−1)を使用した。前述のスペクトルを元に予備重合開始時の(N=C=O伸縮振動の吸光度)/(CH2伸縮振動の吸光度)の強度比を基準とし、予備重合液の前述の強度比を測定して、イソシアネート基の残量を算出した。
【0046】
〈実施例1〉
(b)化合物としてm−テトラメチルキシリレンジイソシアネート9.5重量部、(c)化合物としてビス(2−メルカプトエチル)スルフィド10.5重量部、(d)化合物としてテトラブチルホスホニウムブロマイド0.001重量部を混合して15℃にて4時間予備重合し、(b)化合物のイソシアネート基の消費量が70%であることをFT−IRにて、確認した。この予備重合液に(a)化合物としてビス(β―エピチオプロピル)スルフィドを80重量部添加し、(d)化合物としてテトラブチルホスホニウムブロマイド0.1重量部を混合して均一な樹脂組成物とした。得られた樹脂組成物を脱気処理し、0.5μmのPTFE製のメンブランフィルターでろ過した。次いで、この組成物を対向する2枚の83mmφのガラスモールドを使用し、コバ厚10mmになるように外周部にシリコン系の粘着材が塗布された粘着テープ(SLIONTEC社製 ♯6263-50)で巻いた型(図1)に注入し、オーブンを用いて30℃で10時間、30℃から100℃まで10時間かけて昇温させ、最後に100℃で1時間重合硬化させた。硬化物は、室温まで放冷しモールドから離型した後、110℃で1時間アニールした。得られた硬化物は、優れた光学特性、物理物性を有するのみならず表面状態および色調は良好であり、耐熱性、光学歪、透明性も良好であった。白濁の結果を表1に示した。
【0047】
〈実施例2〉
(a)化合物としてビス(β―エピチオプロピル)スルフィド20重量部、(b)化合物としてm−テトラメチルキシリレンジイソシアネート9.5重量部、(c)化合物としてビス(2−メルカプトエチル)スルフィド10.5重量部、(d)化合物としてテトラブチルホスホニウムブロマイド0.005重量部を混合して15℃にて20時間予備重合し、(b)化合物のイソシアネート基の消費量が70%であることをFT−IRにて、確認した。この予備重合液に(a)化合物としてビス(β―エピチオプロピル)スルフィドを60重量部添加し、(d)化合物としてテトラブチルホスホニウムブロマイド0.1重量部を混合して均一な樹脂組成物とした。以下、樹脂組成物の脱気処理以降は、実施例1と同様に実施した。得られた硬化物は、優れた光学特性、物理物性を有するのみならず表面状態および色調は良好であり、耐熱性、光学歪、透明性も良好であった。白濁の結果を表1に示した。
【0048】
〈実施例3〉
(a)化合物としてビス(β―エピチオプロピル)スルフィド20重量部、(b)化合物としてm−テトラメチルキシリレンジイソシアネート9.5重量部、(c)化合物としてビス(2−メルカプトエチル)スルフィド10.5重量部、(d)化合物としてテトラブチルホスホニウムブロマイド0.005重量部を混合して15℃にて20時間予備重合し、(b)化合物のイソシアネート基の消費量が70%であることをFT−IRにて、確認した。この予備反応液に(a)化合物としてビス(β―エピチオプロピル)スルフィドを60重量部添加し、(d)化合物としてテトラブチルホスホニウムブロマイド0.1重量部、ジブチルスズジクロライド0.001重量部を混合して均一な樹脂組成物とした。以下、樹脂組成物の脱気処理以降は、実施例1と同様に実施した。得られた硬化物は、優れた光学特性、物理物性を有するのみならず表面状態および色調は良好であり、耐熱性、光学歪、透明性も良好であった。白濁の結果を表1に示した。
【0049】
〈実施例4〉
(a)化合物としてビス(β―エピチオプロピル)スルフィド40重量部、(b)化合物としてm−テトラメチルキシリレンジイソシアネート9.5重量部、(c)化合物としてビス(2−メルカプトエチル)スルフィド10.5重量部、(d)化合物としてテトラブチルホスホニウムブロマイド0.005重量部を混合して40℃にて24時間予備重合し、(b)化合物のイソシアネート基の消費量が80%であることをFT−IRにて、確認した。この予備重合液に(a)化合物としてビス(β―エピチオプロピル)スルフィドを40重量部添加し、(d)化合物としてテトラブチルホスホニウムブロマイド0.1重量部を混合して均一な樹脂組成物とした。以下、樹脂組成物の脱気処理以降は、実施例1と同様に実施した。得られた硬化物は、優れた光学特性、物理物性を有するのみならず表面状態および色調は良好であり、耐熱性、光学歪、透明性も良好であった。白濁の結果を表1に示した。
【0050】
〈実施例5〉
(a)化合物としてビス(β―エピチオプロピル)スルフィド20重量部、(b)化合物としてm−テトラメチルキシリレンジイソシアネート9.0重量部、(c)化合物としてビス(2−メルカプトエチル)スルフィド13.0重量部、(d)化合物としてテトラブチルホスホニウムブロマイド0.005重量部を混合して30℃にて24時間予備重合し、(b)化合物のイソシアネート基の消費量が90%であることをFT−IRにて確認した。この予備重合液に(a)化合物としてビス(β―エピチオプロピル)スルフィドを58重量部添加し、(d)化合物としてテトラブチルホスホニウムブロマイド0.1重量部を混合して均一な樹脂組成物とした。均一溶液とした。以下、樹脂組成物の脱気処理以降は、実施例1と同様に実施した。得られた硬化物は、優れた光学特性、物理物性を有するのみならず表面状態および色調は良好であり、耐熱性、光学歪、透明性も良好であった。白濁の結果を表1に示した。
【0051】
〈実施例6〉
(a)化合物としてビス(β―エピチオプロピル)スルフィド20重量部、(b)化合物としてm−テトラメチルキシリレンジイソシアネート10.5重量部、(c)化合物として2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン16.5重量部、(d)化合物としてテトラブチルホスホニウムブロマイド0.005重量部を混合して30℃にて8時間予備重合し、(b)化合物のイソシアネート基の消費量が80%であることをFT−IRにて、確認した。この予備重合液に(a)化合物としてビス(β―エピチオプロピル)スルフィドを53重量部添加し、(d)化合物としてテトラブチルホスホニウムブロマイド0.1重量部を混合して均一な樹脂組成物とした。以下、樹脂組成物の脱気処理以降は、実施例1と同様に実施した。得られた硬化物は、優れた光学特性、物理物性を有するのみならず表面状態および色調は良好であり、耐熱性、光学歪、透明性も良好であった。白濁の結果を表1に示した。
【0052】
〈比較例1〉
(a)化合物としてビス(β―エピチオプロピル)スルフィド80重量部、(b)化合物としてm−テトラメチルキシリレンジイソシアネート9.5重量部、(c)化合物としてビス(2−メルカプトエチル)スルフィド10.5重量部、(d)化合物としてテトラブチルホスホニウムブロマイド0.1重量部を混合して、均一な樹脂組成物とした。得られた樹脂組成物を脱気処理し、0.5μmのPTFE製のメンブランフィルターでろ過した。次いで、この組成物を対向する2枚のモールドの外周部を粘着テープ(SLIONTEC社製 ♯6263-50)で巻いた型に注入し、オーブンを用いて30℃で10時間、30℃から100℃まで10時間かけて昇温させ、最後に100℃で1時間重合硬化させた。硬化物は、室温まで放冷しモールドから離型した後、110℃で1時間アニールした。得られた硬化物は予備重合をしていないため白濁が見られた。結果を表2に示した。
【0053】
〈比較例2〉
(a)化合物としてビス(β―エピチオプロピル)スルフィド78重量部、(b)化合物としてm−テトラメチルキシリレンジイソシアネート9.0重量部、(c)化合物としてビス(2−メルカプトエチル)スルフィド13.0重量部、(d)化合物としてテトラブチルホスホニウムブロマイド0.1重量部を使用した以外は、比較例1と同様に実施した。得られた硬化物は予備重合をしていないため白濁が見られた。結果を表2に示した。
【0054】
〈比較例3〉
(a)化合物としてビス(β―エピチオプロピル)スルフィド73重量部、(b)化合物としてm−テトラメチルキシリレンジイソシアネート10.5重量部、(c)化合物として2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン16.5重量部、(d)化合物としてテトラブチルホスホニウムブロマイド0.1重量部を使用した以外は、比較例1と同様に実施した。得られた硬化物は予備重合をしていないため白濁が見られた。結果を表2に示した。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
a-1:ビス(β-エピチオプロピル)スルフィド
b-1:m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート
c-1:ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド
c-2:2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン
d-1:テトラブチルホスホニウムブロマイド
d’:ジブチルスズジクロライド
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】成型用の型を組み立てた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1・・・ガラスモールド
2・・・粘着材が塗布された粘着テープ
3・・・樹脂組成物が入る空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)式で表される(a)化合物と、
【化1】

下記(2)式で表される(b)化合物と、
【化2】

チオール基を1分子中に2個以上有する(c)化合物からなる光学材料用組成物を重合する際、あらかじめ(a)化合物の存在下あるいは非存在下において、(b)化合物と(c)化合物を予備重合させてから、残りの(a)化合物を添加し、重合を行うことを特徴とする光学材料の製造方法。
【請求項2】
(a)化合物60〜85重量部に対し、(b)化合物と(c)化合物の総計が40〜15重量部である請求項1記載の光学材料の製造方法。
【請求項3】
(a)化合物がビス(β―エピチオプロピル)スルフィドおよび/またはビス(β―エピチオプロピル)ジスルフィドである請求項1又は2記載の光学材料の製造方法。
【請求項4】
(b)化合物がm−テトラメチルキシリレンジイソシアネートである請求項1〜3何れか1項に記載の光学材料の製造法。
【請求項5】
(c)化合物がビス(2−メルカプトエチル)スルフィドおよび/または2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアンである請求項1〜4何れか1項に記載の光学材料の製造方法。
【請求項6】
(a)〜(c)化合物の合計100重量部に、重合触媒を0.0005〜5重量部添加して重合して光学材料を得る請求項1〜5何れかに記載の光学材料の製造方法。
【請求項7】
予備重合に際し、(b)化合物のイソシアネート基を50%以上消費させることを特徴とする請求項1〜6何れか1項に記載の光学材料の製造方法。
【請求項8】
粘着材が塗布された粘着テープを対向する2枚のモールドの外周部に巻きつけた型に、請求項1〜7何れかに記載の組成物を充填し、重合硬化して得られることを特徴とする光学材料の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8記載の製造方法にて得られる硬化物。
【請求項10】
請求項9記載の硬化物からなる光学材料。
【請求項11】
請求項10記載の光学材料からなる光学レンズ。

【図1】
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【公開番号】特開2007−197615(P2007−197615A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−19806(P2006−19806)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】