説明

樹脂組成物およびその成形品

【課題】 優れたガスバリア性と耐屈曲疲労性を有する溶融成形品が得られる樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 下記一般式(1)で表される構造単位を有するポリビニルアルコール系重合体(A)と、芳香族ビニル化合物の重合体ブロック、共役ジエン化合物の重合体ブロックおよび/またはその水素添加ブロックを有するブロック共重合体(B)を含有し、該ブロック共重合体(B)が、カルボキシル基を有さないブロック共重合体(B1)と、カルボキシル基を有するブロック共重合体(B2)からなる。
【化1】


〔式中、R 、R 及びR はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R、R 及びR はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂を主体とする樹脂組成物であって、さらに詳しくは、ガスバリア性に優れ、溶融成形品としたときの耐屈曲疲労性に優れる樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する。)系樹脂は、ガスバリア性、強靭性、透明性などに優れているため、各種物品の包装材料として好適である。
しかしながら、PVA系樹脂は通常、融点と分解温度が近接しているため、実質的に溶融成形は不可能であり、その成形法としては、水溶液とした後、これを流延・乾燥してフィルム化したり、各種基材表面に塗工・乾燥する方法を採用せざるをえず、この制約がPVA系樹脂を包装材用途に広範に展開する際の大きな障害となっていた。
【0003】
これに対し、近年、溶融成形が可能でガスバリア性に優れるPVA系樹脂として、側鎖に1,2−ジオール成分を有するPVA系樹脂が提案された。(例えば、特許文献1参照。)
PVA系樹脂が高融点であり、ガスバリア性に優れるのは、分子構造が単純であるため結晶性が高いことと、結晶部および非晶部において、分子鎖が水酸基同士の水素結合によって強く拘束されていることによるものである。かかる特許文献1に記載のPVA系樹脂は、側鎖の立体障害によって結晶性が低下し、低融点化されるにもかかわらず、非晶部における側鎖水酸基による強い水素結合によって結晶性低下によるガスバリア性の低下が抑制されているものと推測される。
【0004】
しかしながら、PVA系樹脂におけるこの分子鎖の結晶性の高さや拘束力の強さは、PVA系樹脂が他の熱可塑性樹脂に比べて柔軟性や耐衝撃性が劣る原因になるものである。かかる特許文献1に記載されたPVA系樹脂は、側鎖の導入によってこれらの問題点は若干改善されているものの、実用的にはまだまだ不充分であった。
【0005】
なお、PVA系樹脂の主鎖にエチレンを導入することで溶融成形性を付与したエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと略記する。)は、PVA系樹脂よりもガスバリア性は若干劣るものの、各種包装材料として広く用いられている。このEVOHにおいてもPVA系樹脂と同様、柔軟性付与や耐衝撃性改善は大きな課題である。
【0006】
かかる課題に対し、PVA系樹脂やEVOHに熱可塑性エラストマーを配合し、PVA系樹脂やEVOHが海成分、熱可塑性エラストマーが島成分である海島構造を形成させ、ガスバリア性等の特性を損なうことなく、柔軟性、耐衝撃性を改善する検討が広く行われている。
例えば、水溶性PVA系樹脂に対し、熱可塑性エラストマーとしてビニル芳香族化合物からなる重合体ブロックを2個以上、共役ジエン化合物からなる重合体ブロックを1個以上有するブロック共重合体を水素添加して得られた水添ブロック共重合体を配合することによって、柔軟性や耐衝撃性が改善された樹脂組成物が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−075866号公報
【特許文献2】特開2001−114977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、PVA系樹脂として柔軟性等が改善された特許文献1に記載された側鎖に1,2−ジオール成分を有するPVA系樹脂を用い、熱可塑性エラストマーとしてPVA系樹脂に対して柔軟性や耐衝撃性の改善効果を有する特許文献2に記載された水添ブロック共重合体を用い、これらを複合させれば、柔軟性が高度に改善された成形品が得られる樹脂組成物となるものと期待し、検証したところ、かなりの改善は認められたものの、まだまだ不充分であることが判明した。特に、かかる樹脂組成物から得られたフィルムを繰り返し屈曲されるような過酷な条件下におくと、ピンホールが生じ、それによってガスバリア性が一気に低下する場合があった。
【0009】
さらに、PVA系樹脂との相溶性や分散性の向上を狙い、カルボキシル基が導入された水添ブロック共重合体についても検討を行ったが、やはり実用的なレベルには到達しないことが判明した。
すなわち本発明はガスバリア性と耐屈曲疲労性に優れる成形物を得ることが可能な樹脂組成物の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記事情に鑑み、鋭意検討した結果、ポリビニルアルコール系重合体(A)と、芳香族ビニル化合物の重合体ブロック、共役ジエン化合物の重合体ブロックおよび/またはその水素添加ブロックを有するブロック共重合体(B)を含有する樹脂組成物であって、該ポリビニルアルコール系重合体(A)が、下記一般式(1)で表される構造単位を有するポリビニルアルコール系重合体(A)であり、該ブロック共重合体(B)が、カルボキシル基を有さないブロック共重合体(B1)と、カルボキシル基を有するブロック共重合体(B2)からなる樹脂組成物によって、本発明の目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
【化1】


〔式中、R 、R 及びR はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R、R 及びR はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。〕
【0011】
すなわち、本発明はPVA系樹脂として側鎖に1,2−ジオール成分を有する特定のPVA系樹脂(A)を用い、熱可塑性エラストマーとして芳香族ビニル化合物の重合体ブロックと共役ジエン化合物の重合体ブロックおよび/またはその水素添加ブロックを有するブロック共重合体(B)を用い、さらにかかるブロック共重合体(B)として、各々単独では十分な効果が得られないカルボキシル基を有さないもの(B1)と、有するもの(B2)とを併用することを最大の特徴とするものである。
【0012】
本発明の樹脂組成物を溶融成形して得られた成形品は、PVA系樹脂(A)を海成分とし、ブロック共重合体(B)を島成分とする海島構造を形成しており、PVA系樹脂(A)相が受けた変形による応力を、弾性体であるブロック共重合体(B)相が緩和することによってエネルギーを吸収するものである。
本発明では、海成分として特定構造のPVA系樹脂(A)を用い、島成分となるブロック共重合体(B)としてカルボキシル基を有するものと有さないものを併用することによって、両成分の親和性のバランスが改善され、あるいはカルボキシル基を有するものがPVA系樹脂(A)との相溶化剤として機能して、島成分が微細かつ均一に海成分中に分散し、その結果、効率よくエネルギーが吸収されるようになったものと推測される。
また、同時にPVA系樹脂(A)とブロック共重合体(B)の界面の密着性が向上し、海成分から島成分へのエネルギー伝達が効率よく行われるようになったものと推測される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の樹脂組成物を溶融成形して得られた成形品は、優れたガスバリア性と耐屈曲疲労性を併せ持っていることから、食品や医薬品など、酸化による劣化を避けたい物品を包装するためのフィルム、シート、容器、高度なガスバリア性と柔軟性が求められる水素ガス用の容器、チューブ、ホースなどに好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。
【0015】
本発明の樹脂組成物は、PVA系重合体(A)と、芳香族ビニル化合物の重合体ブロック、共役ジエン化合物の重合体ブロックおよび/またはその水素添加ブロックを有するブロック共重合体(B)を含有する樹脂組成物であって、該ポリビニルアルコール系重合体(A)が、一般式(1)で表される構造単位を有するPVA系重合体(A)であり、該ブロック共重合体(B)が、カルボキシル基を有さないブロック共重合体(B1)と、カルボキシル基を有するブロック共重合体(B2)からなるものであることを特徴とする樹脂組成物である。
以下、各順に説明する。
【0016】
〔PVA系樹脂(A)〕
まず、本発明で用いられるPVA系樹脂(A)について説明する。
本発明の樹脂組成物に用いられるPVA系樹脂は、下記一般式(1)で示される構造単位を有するもので、一般式(1)におけるR、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子または有機基を示すものである。
【0017】
【化2】

【0018】
特に、一般式(1)で表わされる1,2−ジオール構造単位中のR〜R、及びR〜Rがすべて水素原子であり、Xが単結合であるものが最も好ましく、下記一般式(1’)で表わされる構造単位を有するPVA系樹脂が好適に用いられる。
【化3】

【0019】
なお、かかる一般式(1)で表わされる構造単位中のR〜R、及びR〜Rは、樹脂特性を大幅に損なわない程度の量であれば有機基であってもよく、その有機基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、かかる有機基は、必要に応じて、ハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の官能基を有していてもよい。
【0020】
また、一般式(1)で表わされる1,2−ジオール構造単位中のXは熱安定性の点や高温下や酸性条件下での安定性の点で単結合であるものが最も好ましいが、本発明の効果を阻害しない範囲であれば結合鎖であってもよく、かかる結合鎖としては、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素(これらの炭化水素はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていても良い)の他、−O−、−(CHO)−、−(OCH−、−(CHO)CH−、−CO−、−COCO−、−CO(CHCO−、−CO(C)CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SO−、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−、−HPO−、−Si(OR)−、−OSi(OR)−、−OSi(OR)O−、−Ti(OR)−、−OTi(OR)−、−OTi(OR)O−、−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−、等(Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、アルキル基が好ましく、またmは自然数である)が挙げられる。中でも製造時あるいは使用時の安定性の点で炭素数6以下のアルキレン基、特にメチレン基、あるいは−CHOCH−が好ましい。
【0021】
本発明で用いられるPVA系樹脂の製造法としては、特に限定されないが、(i)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(2)で示される化合物との共重合体をケン化する方法や、(ii)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(3)で示される化合物との共重合体をケン化及び脱炭酸する方法や、(iii)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(4)で示される化合物との共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法が好ましく用いられる。
【0022】
【化4】

【0023】
【化5】

【0024】
【化6】

【0025】
上記一般式(2)、(3)、(4)中のR、R、R、X、R、R、Rは、いずれも一般式(1)の場合と同様である。また、R及びRはそれぞれ独立して水素原子またはR−CO−(式中、Rはアルキル基である)である。R10及びR11はそれぞれ独立して水素原子または有機基である。
【0026】
(i)、(ii)、及び(iii)の方法については、例えば、特開2006−95825に説明されている方法を用いることができる。
なかでも、共重合反応性および工業的な取り扱い性に優れるという点から、(i)の方法において、一般式(2)で表わされる化合物として3,4−ジアシロキシ−1−ブテンを用いることが好ましく、特に3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが好ましく用いられる。
なお、ビニルエステル系モノマーとして酢酸ビニルを用い、これと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを共重合させた際の各モノマーの反応性比は、r(酢酸ビニル)=0.710、r(3,4−ジアセトキシ−1−ブテン)=0.701、であり、これは(ii)の方法で用いられる一般式(3)で表される化合物であるビニルエチレンカーボネートの場合の、r(酢酸ビニル)=0.85、r(ビニルエチレンカーボネート)=5.4、と比較して、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが酢酸ビニルとの共重合反応性に優れることを示すものである。
【0027】
また、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの連鎖移動定数は、Cx(3,4−ジアセトキシ−1−ブテン)=0.003(65℃)であり、これはビニルエチレンカーボネートのCx(ビニルエチレンカーボネート)=0.005(65℃)や、(iii)の方法で用いられる一般式(4)で表される化合物である2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソランのCx(2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン)=0.023(65℃)と比較して、重合度が上がりにくくなったり、重合速度低下の原因となることがないことを示すものである。
【0028】
また、かかる3,4−ジアセトキシ−1−ブテンは、その共重合体をケン化する際に発生する副生物が、ビニルエステル系モノマーとして多用される酢酸ビニルに由来する構造単位からケン化時に副生する化合物と同一であり、その後処理や溶剤回収系に敢えて特別な装置や工程を設ける必要がなく、従来からの設備を利用出来るという点も、工業的に大きな利点である。
【0029】
なお、上記の3,4−ジアセトキシ−1−ブテンは、例えば、WO00/24702、USP5,623,086、USP6,072,079などに記載されたエポキシブテン誘導体を経由する合成方法や、1,4−ブタンジオール製造工程の中間生成物である1,4−ジアセトキシ−1−ブテンを塩化パラジウムなどの金属触媒を用いて異性化する反応によって製造することができる。
また、試薬レベルではアクロス社の製品を市場から入手することができる。
【0030】
なお、(ii)や(iii)の方法によって得られたPVA系樹脂は、脱炭酸あるいは脱アセタール化が不充分であると、側鎖にカーボネート環あるいはアセタール環が残存し、そのようなPVA系樹脂を溶融成形すると、かかる環状基によってPVA系樹脂が架橋し、ゲル状物などが発生する場合がある。
よって、かかる点からも、(i)の方法によって得られたPVA系樹脂が本発明においては好適に用いられる。
【0031】
上記ビニルエステル系モノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、経済的に酢酸ビニルが好ましく用いられる。
また上述のモノマー(ビニルエステル系モノマー、一般式(2)、(3)、(4)で示される化合物)の他に、樹脂物性に大幅な影響を及ぼさない範囲であれば、共重合成分として、エチレンやプロピレン等のαーオレフィン;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1,2−ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類、およびそのアシル化物などの誘導体;イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル;アクリロニトリル等のニトリル類、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、AMPS等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩などの化合物、などが共重合されていてもよい。
【0032】
本発明で用いられるPVA系樹脂(A)のケン化度(JIS K6726に準拠して測定)は、通常、80〜100モル%であり、特に85〜99.9モル%、さらに88〜99モル%のものが好ましく用いられる。かかるケン化度が低すぎると、溶融成形時に溶融粘度が不安定になり、安定した成形が困難になったり、成形中に酢酸臭が発生し、それが成形品中に残存したり、得られた成形物のガスバリア性が不充分になる場合がある。
【0033】
また、PVA系樹脂(A)の平均重合度(JIS K6726に準拠して測定)は、通常、200〜1800であり、特に300〜1500、さらに300〜1000のものが好ましく用いられる。
また、PVA系樹脂(A)の210℃、荷重2160gでのメルトフローレート(MFR)は、通常、0.5〜50g/10分であり、特に3〜20g/10分、さらに5〜10g/10分のものが好ましく用いられる。かかるMFRは、東洋精機社製の「メルトインデクサーF−801」を用いて測定したものである。
また、PVA系樹脂(A)の220℃、せん断速度122sec−1での溶融粘度は、通常、100〜3000Pa・sであり、特に300〜2000Pa・s、さらに800〜1500Pa・sのものが好ましく用いられる。かかる溶融粘度は、東洋精機社製の「キャピログラフ1B」を用いて測定したものである。
かかる平均重合度が小さすぎたり、MFRが大きすぎたり、溶融粘度が小さすぎると得られた成形物の機械的強度が不足する場合があり、逆に平均重合度が大きすぎたり、MFRが小さすぎたり、溶融粘度が大きすぎると、流動性が不足して成形性が低下する場合があり、成形時せん断発熱が異常発生して樹脂が熱分解しやすくなる傾向がある。
【0034】
PVA系樹脂(A)に含まれる1,2−ジオール構造単位の含有量は、通常、1〜15モル%であり、特に2〜10モル%、さらに3〜9モル%のものが好ましく用いられる。かかる含有量が低すぎると、融点が高くなり、熱分解温度に近くなるため、溶融成形時の熱分解による焦げやゲル、フィッシュアイができやすくなり、逆に高すぎると、金属密着性が向上し、溶融成形時、流れ性が悪くなり、滞留等による熱劣化が生じやすくなる。
【0035】
なお、PVA系樹脂(A)中の1,2−ジオール構造単位の含有率は、PVA系樹脂を完全にケン化したもののH−NMRスペクトル(溶媒:DMSO−d6、内部標準:テトラメチルシラン)から求めることができ、具体的には1,2−ジオール単位中の水酸基プロトン、メチンプロトン、およびメチレンプロトン、主鎖のメチレンプロトン、主鎖に連結する水酸基のプロトンなどに由来するピーク面積から算出すればよい。
【0036】
また、本発明で用いられるPVA系樹脂(A)は、一種類であっても、二種類以上の混合物であってもよく、その場合は、上述のPVA系樹脂(A)以外の未変性PVA、あるいは各種変性PVA系樹脂との混合物でもよいが、混合物を用いる場合には、重合度、ケン化度、1,2−ジオール構造単位の含有量の平均値が上述の範囲内であることが好ましい。
【0037】
〔ブロック共重合体(B)〕
次に、本発明において用いられるブロック共重合体(B)について説明する。
本発明の樹脂組成物に含有されるブロック共重合体(B)は、芳香族ビニル化合物の重合体ブロックと、共役ジエン化合物の重合体ブロックおよび/またはその水素添加ブロックを有するものである。さらに、本発明では、かかるブロック共重合体(B)として、カルボキシル基を有さないブロック共重合体(B1)と、これを有するブロック共重合体(B2)を併用することを特徴とするものである。
【0038】
<カルボキシル基を有さないブロック共重合体(B1)>
まず、カルボキシル基を有さないブロック共重合体(B1)について説明する。
かかるブロック共重合体(B1)は、芳香族ビニル化合物の重合体ブロックをハードセグメントとし、共役ジエン化合物の重合体ブロックおよび/またはその水素添加ブロックをソフトセグメントとする熱可塑性エラストマーである。かかるブロック共重合体(B1)中の各ブロックの構成は、芳香族ビニル化合物の重合体ブロックをXで示し、共役ジエン化合物の重合体ブロックおよび/またはその水素添加ブロックをYで示した場合に、X−Yで表されるジブロック共重合体、X−Y−XまたはY−X−Yで表されるトリブロック共重合体、さらにXとYが交互に接続したポリブロック共重合体などを挙げることができ、その構造も直鎖状、分岐状、星型などを挙げることができる。中でも、力学特性の点でX−Y−Xで表される直鎖状のトリブロック共重合体が好適である。
【0039】
芳香族ビニル化合物の重合体ブロックの形成に用いられるモノマーとしては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン等のアルキルスチレン;モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン等のハロゲン化スチレン;ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデン、アセトナフチレンなどのベンゼン環以外の芳香環を有するビニル化合物、およびその誘導体等を挙げることができる。かかる芳香族ビニル化合物の重合体ブロックは、上述のモノマーの単独重合ブロックでも、複数のモノマーによる共重合ブロックでもよいが、スチレンの単独重合ブロックが好適に用いられる。
【0040】
なお、かかる芳香族ビニル化合物の重合体ブロックは、本発明の効果を阻害しない範囲で、芳香族ビニル化合物以外のモノマー、ただし、カルボキシル基、またはカルボキシル基となりうる官能基を有さないモノマーが少量共重合されたものでもよく、かかるモノマーとしては、ブテン、ペンテン、ヘキセンなどのオレフィン類、ブタジエン、イソプレンなどのジエン化合物、メチルビニルエーテルなどのビニルエーテル化合物やアリルエーテル化合物等を挙げることができ、その共重合比率は、通常、重合体ブロック全体の10モル%以下である。
【0041】
また、ブロック共重合体(B1)中の芳香族ビニル化合物の重合体ブロックの重量平均分子量は、通常、10,000〜300,000であり、特に20,000〜200,000、さらに50,000〜100,000のものが好ましく用いられる。
【0042】
次に、共役ジエン化合物の重合体ブロックおよび/またはその水素添加ブロックの形成に用いられるモノマーとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどを挙げることができ、これらを単独で用いても、複数を組合わせて用いてもよい。中でもイソプレン、およびブタジエンのそれぞれ単独重合体や共重合体が好ましく、特にブタジエンの単独重合体が好適に用いられる。
【0043】
なお、かかる共役ジエン化合物は重合によって複数の結合形式をとる場合があり、例えば、ブタジエンでは、1,2−結合によるブタジエン単位(−CH−CH(CH=CH)−)と1,4−結合によるブタジエン単位(−CH−CH=CH−CH−)が生成する。これらの生成比率は、共役ジエン化合物の種類により異なるので、一概にはいえないが、ブタジエンの場合、1,2−結合が生成する比率は、通常、20〜80モル%の範囲である。
【0044】
かかる重合体ブロック中の共役ジエン化合物に由来する構造単位は、残存する二重結合の一部または全部を水素添加することによって、得られるブロック共重合体、さらにはこれを配合してなる樹脂組成物やその成形体の耐熱性や耐候性を向上させることが可能である。その際の水素添加率は、50モル%以上であることが好ましく、特に70モル%以上のものが好ましく用いられる。
【0045】
なお、かかる水素添加により、ブタジエンの1,2−結合によるブタジエン単位は、ブチレン単位(−CH−CH(CH−CH)−)となり、1,4−結合によって生成するブタジエン単位は二つの連続したエチレン単位(−CH−CH−CH−CH−)となるが、通常は前者が優先して生成する。
【0046】
なお、かかる共役ジエン化合物の重合体ブロックおよび/またはその水素添加ブロックは、本発明の効果を阻害しない範囲で、共役ジエン化合物以外のモノマー、ただしカルボン酸、またはカルボン酸となりうる官能基を有さないモノマーが少量共重合されたものでもよく、かかるモノマーとしては、スチレンなどの芳香族ビニル化合物、ブテン、ペンテン、ヘキセンなどのオレフィン類、メチルビニルエーテルなどのビニルエーテル化合物やアリルエーテル化合物等を挙げることができ、その共重合比率は、通常、重合体ブロック全体の10モル%以下である。
【0047】
また、ブロック共重合体(B1)中の共役ジエン化合物の重合体ブロックおよび/またはその水素添加ブロックの重量平均分子量は、通常、10,000〜300,000であり、特に20,000〜200,000、さらに50,000〜100,000のものが好ましく用いられる。
【0048】
本発明で用いられるブロック共重合体(B1)中の芳香族ビニル化合物の重合体ブロックと、共役ジエン化合物の重合体ブロックおよび/またはその水素添加ブロックの含有比率は、重量比で、通常、10/90〜70/30であり、特に、20/80〜50/50の範囲のものが好適である。ブロック共重合体(B1)中の芳香族ビニル化合物の重合体ブロックの含有比率が多すぎたり、少なすぎたりすると、ブロック共重合体(B1)の柔軟性と熱可塑性のバランスが崩れる場合があり、その結果、本発明の樹脂組成物、およびその成形体としたときに、本発明の効果が得られなくなる場合がある。
【0049】
本発明で用いられるブロック共重合体(B1)の重量平均分子量は、通常、50,000〜500,000であり、特に120,000〜450,000、さらに150,000〜400,000のものが好ましく用いられる。
また、ブロック共重合体(B1)の220℃、せん断速度122sec−1での溶融粘度は、通常100〜3000Pa・sであり、特に300〜2000Pa・s、さらに800〜1500Pa・sのものが好ましく用いられる。
かかる重量平均分子量が大きすぎたり、溶融粘度が高すぎると、PVA系樹脂(A)と溶融混練する際の作業性やPVA系樹脂(A)中での分散性が低下する場合があり、逆に重量平均分子量が小さすぎたり、溶融粘度が低すぎると、ブロック共重合体(B1)自体の機械強度が低下し、本発明の樹脂組成物、およびその成形体の特性に悪影響を及ぼす場合がある。
なお、かかるブロック共重合体(B1)の重量平均分子量は、GPCを用い、ポリスチレンを標準として求めた値である。
【0050】
かかるブロック共重合体(B1)は、芳香族ビニル化合物の重合体ブロックと、共役ジエン化合物の重合体ブロックを有するブロック共重合体を得て、さらに必要に応じて共役ジエン化合物の重合体ブロック中の二重結合を水素添加することによって得ることができる。
まず、芳香族ビニル化合物の重合体ブロックと、共役ジエン化合物の重合体ブロックを有するブロック共重合体の製造法としては、公知の方法を用いることができるが、例えば、アルキルリチウム化合物などを開始剤とし、不活性有機溶媒中で芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物を逐次重合させる方法などを挙げることができる。
次に、この芳香族ビニル化合物の重合体ブロックと共役ジエン化合物の重合体ブロックを有するブロック共重合体を水素添加する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、水素化ホウ素化合物などの還元剤を用いる方法や、白金、パラジウム、ラネーニッケルなどの金属触媒を用いた水素還元などを挙げることができる。
【0051】
かかるブロック共重合体(B1)の具体例としては、スチレンとブタジエンを原料とするスチレン/ブタジエンブロック共重合体(SBS)、SBSのブタジエン構造単位における側鎖二重結合が水素添加されたスチレン/ブタジエン/ブチレンブロック共重合体(SBBS)、さらに主鎖二重結合が水素添加されたスチレン/エチレン/ブチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンとイソプレンを原料とするスチレン/イソプレンブロック共重合体(SIS)などを挙げることができ、中でも熱安定性、耐候性に優れるSEBSが好ましく用いられる。
【0052】
かかるブロック共重合体(B1)の市販品としては、例えばSBSである旭化成社製の「タフプレン」「アサプレンT」「アサフレックス」、SBBSである旭化成社製「タフテックPシリーズ」、SEBSである旭化成社製「タフテックHシリーズ」などを挙げることができる。
その他の市販品として、シェルジャパン社製の「クレイトンG」「クレイトンD」「カリフレックスTR」、クラレ社製の「セプトン」、「ハイプラー」、JSR社製の「ダイナロン」、「JSR−TR」、「JSR−SIS」、日本ゼオン社製の「クインタック」、電気化学社製の「電化STR」などを挙げることができる。
【0053】
<カルボキシル基を有するブロック共重合体(B2)>
次に、本発明で用いられるカルボキシル基を有するブロック共重合体(B2)について説明する。
かかるブロック共重合体(B2)は、ブロック共重合体(B1)と同様、芳香族ビニル化合物の重合体ブロックをハードセグメントとし、共役ジエン化合物の重合体ブロックおよび/またはその水素添加ブロックをソフトセグメントとする熱可塑性エラストマーであり、さらに側鎖にカルボキシル基を有するものである。
かかるブロック共重合体(B2)中の芳香族ビニル化合物の重合体ブロック、および共役ジエン化合物の重合体ブロックおよび/またはその水素添加ブロックを構成する構造単位、およびこれらのブロック構成は、いずれもブロック共重合体(B1)と同様のものから選ばれ、これらはブロック共重合体(B1)と同じものであっても、異なるものであってもよい。
【0054】
また、ブロック共重合体(B2)中の芳香族ビニル化合物の重合体ブロックの重量平均分子量は、通常、10,000〜300,000であり、特に20,000〜200,000、さらに50,000〜100,000のものが好ましく用いられる。 また、ブロック共重合体(B2)中の共役ジエン化合物の重合体ブロックおよび/またはその水素添加ブロックの重量平均分子量は、通常、10,000〜300,000であり、特に20,000〜200,000、さらに50,000〜100,000のものが好ましく用いられる。
【0055】
本発明で用いられるブロック共重合体(B2)の重量平均分子量は、通常、50,000〜500,000であり、特に120,000〜450,000、さらに150,000〜400,000のものが好ましく用いられる。
また、ブロック共重合体(B2)の220℃、せん断速度122sec−1での溶融粘度は、通常100〜3000Pa・sであり、特に300〜2000Pa・s、さらに800〜1500Pa・sのものが好ましく用いられる。
ブロック共重合体(B1)の場合と同様、かかる重量平均分子量が大きすぎたり、溶融粘度が高すぎると、PVA系樹脂(A)と溶融混練する際の作業性やPVA系樹脂(A)中での分散性が低下する場合があり、逆に重量平均分子量が小さすぎたり、溶融粘度が低すぎると、ブロック共重合体(B2)自体の機械強度が低下し、本発明の樹脂組成物、およびその成形体の特性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0056】
ブロック共重合体(B2)中の芳香族ビニル化合物の重合体ブロックと、共役ジエン化合物の重合体ブロックおよび/またはその水素添加ブロックの含有比率は、重量比で、通常、10/90〜70/30であり、特に、20/80〜50/50の範囲のものが好適である。ブロック共重合体(B2)中の芳香族ビニル化合物の重合体ブロックの含有比率が多すぎたり、少なすぎたりすると、ブロック共重合体(B2)の柔軟性と熱可塑性のバランスが崩れる場合があり、その結果、本発明の樹脂組成物、およびその成形体としたときに、本発明の効果が得られなくなる場合がある。
【0057】
本発明で用いられるブロック共重合体(B2)はカルボキシル基を有するものであり、かかるカルボキシル基をブロック共重合体に導入する方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることが可能であるが、例えば、芳香族ビニル化合物の重合体ブロックと、共役ジエン化合物の重合体ブロックおよび/またはその水素添加ブロックを有するブロック共重合体に、α、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体を付加させる方法が好ましく用いられる。かかる付加方法としては、公知の方法を用いることができるが、例えば、ラジカル開始剤の存在下、あるいは非存在下、溶液中でのラジカル反応による方法や、押出機中で溶融混練する方法などを挙げることができる。
【0058】
かかるカルボキシル基導入に用いられるα、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート等のα,β−不飽和モノカルボン酸エステル;無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸無水物などを挙げることができる。
【0059】
ブロック共重合体(B2)におけるカルボキシル基の含有量は、滴定法で測定した酸価が、通常、0.5〜20mgCHONa/gであり、特に1〜10mgCHONa/g、さらに2〜5mgCHONa/gのものが好ましく用いられる。
かかる酸価が高すぎても低すぎてもPVA系樹脂(A)中のブロック共重合体(B)の分散性が低下する傾向がある。
【0060】
また、かかるブロック共重合体(B2)の具体例としては、ブロック共重合体(B1)と同様、スチレン/ブタジエンブロック共重合体(SBS)、スチレン/ブタジエン/ブチレンブロック共重合体(SBBS)、スチレン/エチレン/ブチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン/イソプレンブロック共重合体(SIS)などにカルボキシル基を導入したものを挙げることができ、基本骨格はブロック共重合体(B1)と同じでも異なっていてもよいが、両者の相溶性の点から同じ構造をもつものが好ましく用いられる。
【0061】
かかるブロック共重合体(B2)の市販品としては、例えばSBSのカルボキシル基変性品である旭化成社製の「タフテックMシリーズ」や、JSR社製「f−ダイナロン」、シェルジャパン社製「クレイトンFG」などを挙げることができる。
【0062】
〔樹脂組成物〕
本発明の樹脂組成物は、上述のPVA系重合体(A)と、上述の芳香族ビニル化合物の重合体ブロック、共役ジエン化合物の重合体ブロックおよび/またはその水素添加ブロックを有するブロック共重合体(B)を含有し、かかるブロック共重合体(B)が、カルボキシル基を有さないブロック共重合体(B1)と、カルボキシル基を有するブロック共重合体(B2)からなるものである。
【0063】
本発明の樹脂組成物におけるPVA系重合体(A)とブロック共重合体(B)の含有比率(A/B)(重量比)は、通常、98/2〜60/40であり、特に95/5〜65/35、さらに85/15〜75/25の範囲が好ましく用いられる。かかる含有比率が大きすぎると成形品としたときの充分な耐屈曲疲労性が得られなくなる場合があり、逆に小さすぎるとガスバリア性が不充分となる傾向がある。
【0064】
また、本発明の樹脂組成物におけるPVA系重合体(A)とブロック共重合体(B)の
220℃、せん断速度122sec−1での溶融粘度比(η/η)は、通常、1/5〜5/1であり、特に1/3〜3/1、さらに1/2〜2/1の範囲が好ましく用いられる。
かかる溶融粘度比が大きすぎても、小さすぎても溶融混練時に均一に混合できない場合がある。すなわち、PVA系重合体(A)とブロック共重合体(B)の溶融粘度は近いほうが好ましい傾向がある。
【0065】
また、本発明の樹脂組成物中のブロック共重合体(B)におけるブロック共重合体(B1)とブロック共重合体(B2)の含有比率(B1/B2)(重量比)は、通常、10/90〜90/10であり、特に30/70〜70/30、さらに40/60〜60/40の範囲が好ましく用いられる。かかる含有比率が大きすぎるても小さすぎてもPVA系樹脂(A)中のブロック共重合体(B)の分散性が低下する傾向があり、成形品としたときの耐屈曲疲労性が不充分となったり、ガスバリア性が低下する場合がある。
【0066】
なお、ブロック共重合体(B1)とブロック共重合体(B2)の220℃ せん断速度122sec−1での溶融粘度比(ηB1/ηB2)は、通常、1/10〜10/1であり、かかる溶融粘度比が大きすぎても小さすぎても、PVA系樹脂(A)中のブロック共重合体(B)の分散性が低下する傾向がある。
【0067】
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で他の重合体を含有していてもよい。含有しうる重合体としては、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの各種熱可塑性樹脂を挙げることができる。
【0068】
また、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、補強剤、充填剤、可塑剤、顔料、染料、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、帯電防止剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤、他の熱可塑性樹脂などが含有されてもよい。
【0069】
本発明の樹脂組成物は、通常の高分子物質の混合に用いられる方法、装置によって調製することができ、特に溶融混練による方法が好ましく用いられる。かかる溶融混練装置としては、混練機、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどが挙げられ、特に連続的に処理することが可能で、混合効率に優れる押出機を用いる方法が好適である。
かかる押出機を用いて溶融混練し、本発明の樹脂組成物を得る条件としては、PVA系樹脂(A)の融点などに応じて適宜調節する必要があるが、通常、160〜220℃の範囲が採用される。
かかる混合によって得られた本発明の樹脂組成物は、成形材料として使用するために、通常はペレットや粉末などの形状とされる。中でも成形機への投入や、取扱い、微粉発生の問題が小さい点から、ペレット形状とすることが好ましい。
なお、かかるペレット形状への成形は公知の方法を用いることができるが、上述の押出機からストランド状に押出し、冷却後所定の長さに切断し、円柱状のペレットとする方法が効率的である。
【0070】
〔成形品〕
本発明の樹脂組成物は、成形性、特に溶融成形性に優れていることから、成形材料として有用である。溶融成形方法としては、押出成形、インフレーション成形、射出成形、ブロー成形、真空成形、圧空成形、圧縮成形、カレンダー成形、など公知の成形法を用いることができる。
また、本発明の樹脂組成物から得られる成形品としては、フィルム、シート、パイプ、円板、リング、袋状物、ボトル状物、繊維状物など、多種多用の形状のものを挙げることができる。
【0071】
さらに、本発明の樹脂組成物からなる層と他の材料による層との積層構造体とすることも可能である。
特に、本発明の樹脂組成物はPVA系樹脂を主体とするものであり、低湿度条件下では優れたガスバリア性が得られるものの、吸湿によってその特性は大きく変化する場合があるため、水蒸気バリア性が高い素材を表面に配した積層構造体としての使用が望ましい。
【0072】
かかる水蒸気バリア性が高い素材としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの塩化ビニル系樹脂、ナイロンなどのポリアミド系樹脂に代表される熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、金属、各種金属の蒸着フィルムなどを挙げることができ、その用途、所望される特性に応じて選択すればよい。
【0073】
かかる積層構造体においては、本発明の樹脂組成物からなる層と他の素材からなる層との間に、接着剤層を介在させてもよく、かかる接着剤層に用いられる接着剤としては、例えば、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン−酢酸ビニル共重合体などのカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体等を挙げることができる。
【0074】
なお、かかる積層構造体を形成する方法としては、熱可塑性樹脂と積層する場合には、共押出、共射出などが可能であり、その他の方法としては押出しコーティング、あるいは各層を予め形成しておき、それらを積層する方法など、所望の形状や厚さなどに応じて、各種方法を採用することができる。
【0075】
本発明の樹脂組成物からなる成形品は、各種期待に対する優れたバリア性を有し、さらに優れた柔軟性、耐屈曲疲労性を有しているので、これらの特性を要求される物品に使用することができる。かかる用途例としては、飲食品用包装材、容器、バッグインボックス用内袋、容器用パッキング、医療用輸液バッグ、有機液体用容器、有機液体輸送用パイプ、各種ガスの容器、チューブ、ホースなどが挙げられる。
また、各種電気部品、自動車部品、工業用部品、レジャー用品、スポーツ用品、日用品、玩具、医療器具などに用いることも可能である。
【実施例】
【0076】
以下に、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、実施例の記載に限定されるものではない。
尚、例中、「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
【0077】
製造例1
〔PVA系樹脂(A1)の製造〕
還流冷却器、滴下漏斗、攪拌機を備えた反応容器に、酢酸ビニル68.0部、メタノール23.8部、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン8.2部を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.3モル%(対仕込み酢酸ビニル)投入し、攪拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。酢酸ビニルの重合率が90%となった時点で、m−ジニトロベンゼンを添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液とした。
【0078】
ついで、上記メタノール溶液をさらにメタノールで希釈し、濃度45%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して10.5ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行するとともにケン化物が析出し、粒子状となった時点で濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、目的とするPVA系樹脂(A)を作製した。
【0079】
得られたPVA系樹脂(A1)のケン化度は、残存酢酸ビニルおよび3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの加水分解に要するアルカリ消費量にて分析したところ、98.9モル%であった。また、平均重合度は、JIS K 6726に準じて分析を行ったところ、450であった。また、一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位の含有量は、H−NMR(300MHzプロトンNMR、d6−DMSO溶液、内部標準物質;テトラメチルシラン、50℃)にて測定した積分値より算出したところ、6モル%であった。また、MFR(210℃、荷重2160g)は5.5g/10分、溶融粘度(220℃、せん断速度122sec−1)は1040Pa・sであった。
【0080】
製造例2
〔PVA系樹脂(A2)の製造〕
還流冷却器、滴下漏斗、攪拌機を備えた反応容器に、酢酸ビニル68.5部、メタノール20.5部、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン11.0部を酢酸ビニルの初期仕込率10%とし、酢酸ビニル、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを9時間等速滴下の条件で仕込、アゾイソブチロニトリルを0.3モル%(対仕込み酢酸ビニル)投入し、攪拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。酢酸ビニルの重合率が90%となった時点で、m−ジニトロベンゼンを添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液とした。
【0081】
ついで、上記メタノール溶液をさらにメタノールで希釈し、濃度45%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して10.5ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行するとともにケン化物が析出し、粒子状となった時点で濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、目的とするPVA系樹脂(A2)を作製した。
【0082】
得られたPVA系樹脂(A2)のケン化度は98.9モル%。、平均重合度は300。1,2−ジオール構造単位の含有量は8モル%であった。また、MFR(210℃、荷重2160g)は28g/10分、溶融粘度(220℃、せん断速度122sec−1)は274Pa・sであった。
【0083】
製造例3
〔PVA系樹脂(A3)の製造〕
還流冷却器、滴下漏斗、攪拌機を備えた反応容器に、酢酸ビニル72.1部、メタノール21.6部、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン6.3部を酢酸ビニルの初期仕込み率40%とし、酢酸ビニル、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを8時間等速滴下の条件で仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.16モル%(対仕込み酢酸ビニル)投入し、攪拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。酢酸ビニルの重合率が90%となった時点で、m−ジニトロベンゼンを所定量添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液とした。
【0084】
ついで、上記メタノール溶液をメタノールで希釈し、濃度55%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して12.5ミリモルとなる割合で加えて4時間ケン化を行った。ケン化が進行するとともにケン化物が析出し、粒子状となった時点で、固液分離により分離し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、目的とするPVA系樹脂(A3)を作製した。
【0085】
得られたPVA系樹脂(A3)のケン化度は98.9モル%。、平均重合度は450。1,2−ジオール構造単位の含有量は4.5モル%であった。また、MFR(210℃、荷重2160g)は3.5g/10分、溶融粘度(220℃、せん断速度122sec−1)は1150Pa・sであった。
【0086】
実施例1
〔樹脂組成物の作製〕
PVA系樹脂(A1)80重量部と、ブロック共重合体(B1)としてカルボキシル基を有さないスチレン/エチレン/ブチレンブロック共重合体(SEBS)(旭化成社製「タフテックH1041」、溶融粘度1160Pa・s(220℃ せん断速度122sec−1))10重量部、ブロック共重合体(B2)としてカルボキシル基を有するスチレン/エチレン/ブチレンブロック共重合体(SEBS)、(旭化成社製「タフテックM1911」、酸価2mgCHONa/g、溶融粘度1317Pa・s(220℃ せん断速度122sec−1))10重量部をドライブレンドした後、これを二軸押出機にて下記条件で溶融混練し、ストランド状に押出してペレタイザーでカットし、円柱形ペレットの樹脂組成物を得た。
この時のブロック共重合体(B)の220℃、せん断速度122sec−1での溶融粘度は1121Pa・sであり、PVA系樹脂(A1)とブロック共重合体(B)の溶融粘度比(A/B)は1/1.1であった。

直径(D)15mm、
L/D=60
スクリュ回転数 :200rpm
設定温度:C1/C2/C3/C4/C5/C6/D=90/205/210/210
/210/215/220/220/220℃
吐出量:1.5kg/hr
【0087】
〔成形品の作製〕
得られたペレットを、押出機にて下記条件で製膜し、厚さ約30μmの単層フィルムを作製し、下記の評価を行った。結果を表1に示す。
直径(D)15mm、
L/D=60
スクリュ回転数 :200rpm
設定温度:C1/C2/C3/C4/C5/C6/D=90/205/210/210
/210/215/220/220/220℃
吐出量:1.5kg/hr
ダイ:幅300mm、コートハンガータイプ
引取速度:2.6m/min
ロール温度:50℃
エアーギャップ:1cm
【0088】
(酸素透過度)
酸素透過度試験機(MOCON社製「Oxtran2/20」)を用い、23℃、65%RH条件下の酸素透過度を測定した。
【0089】
(耐屈曲疲労性)
ゲルボフレックステスター(理学工業社製)を用い、23℃、50%RHの条件下で捻じり試験を行った。
25インチ水平に進んだ後に、3.5インチで440°の捻じりを100回(40サイクル/分)加えた後、該単層フィルムの中央部28cm×17cmあたりのピンホール発生数を数えた。かかるテストを5回試行し、その平均値を求めた。
【0090】
(モルフォロジー)
単層フィルムを60℃のキシレン中に浸漬し、1時間超音波処理を行って、エッチングしものを走査電子顕微鏡(SEM)にて、ブロック共重合体(B)の分散状態を目視観察し、以下のとおり評価した。
○・・・ドメイン径が4μm未満
△・・・ドメイン径が4〜10μm
×・・・ドメイン径が10μmを超える
【0091】
実施例2
実施例1において、ブロック共重合体(B2)としてカルボキシル基を有するスチレン/エチレン/ブチレンブロック共重合体(SEBS)、(旭化成社製「タフテックM1913」、酸化10mgCHONa/g、溶融粘度1060Pa・s(220℃ せん断速度122sec−1))を用いた以外は実施例1と同様に樹脂組成物、成形体を作製し、同様に評価した。
この時のブロック共重合体(B)の220℃、せん断速度122sec−1での溶融粘度は1100Pa・sであり、PVA系樹脂(A1)とブロック共重合体(B)の溶融粘度比(A/B)は1/1.1であった。結果を表1に示す。
【0092】
実施例3
実施例1において、ブロック共重合体(B1)としてカルボキシル基を有さないスチレン/エチレン/ブチレンブロック共重合体(SEBS)(旭化成社製「タフテックH1141」、溶融粘度138Pa・s(220℃ せん断速度122sec−1))を用い、ブロック共重合体(B2)としてカルボキシル基を有するスチレン/エチレン/ブチレンブロック共重合体(SEBS)、(旭化成社製「タフテックM1913」、酸化10mgCHONa/g、溶融粘度1060Pa・s(220℃ せん断速度122sec−1))を用いた以外は実施例1と同様に樹脂組成物、成形体を作製し、同様に評価した。
この時のブロック共重合体(B)の220℃、せん断速度122sec−1での溶融粘度は370Pa・sであり、PVA系樹脂(A1)とブロック共重合体(B)の溶融粘度比(A/B)は2.8/1であった。結果を表1に示す。
【0093】
実施例4
実施例1において、PVA系樹脂(A1)に代えてPVA系樹脂(A2)を用い、PVA系樹脂(A2)の配合量を70重量部とし、ブロック共重合体(B1)、およびブロック共重合体(B2)の配合量をそれぞれ15重量部とした以外は実施例1と同様に樹脂組成物、成形体を作製し、同様に評価した。
この時のブロック共重合体(B)の220℃、せん断速度122sec−1での溶融粘度は1121Pa・sであり、PVA系樹脂(A2)とブロック共重合体(B)の溶融粘度比(A/B)は1/4.1であった。結果を表1に示す。
【0094】
実施例5
実施例1において、PVA系樹脂(A1)に代えてPVA系樹脂(A3)を用い、PVA系樹脂(A3)の配合量を90重量部とし、ブロック共重合体(B1)、およびブロック共重合体(B2)の配合量をそれぞれ5重量部とした以外は実施例1と同様に樹脂組成物、成形体を作製し、同様に評価した。
この時のブロック共重合体(B)の220℃、せん断速度122sec−1での溶融粘度は1121Pa・sであり、PVA系樹脂(A2)とブロック共重合体(B)の溶融粘度比(A/B)は1/1.1であった。結果を表1に示す。
【0095】
比較例1
実施例1において、ブロック共重合体(B1)の配合量を20重量部とし、ブロック共重合体(B2)を用いなかった以外は実施例1と同様に樹脂組成物、成形体を作製し、同様に評価した。
この時のPVA系樹脂(A)とブロック共重合体(B1)の溶融粘度比(A/B1)は1/1.1であった。結果を表1に示す。
【0096】
比較例2
実施例1において、ブロック共重合体(B1)を用いず、ブロック共重合体(B2)の配合量を20重量部とした以外は実施例1と同様に樹脂組成物、成形体を作製し、同様に評価した。
この時のPVA系樹脂(A)とブロック共重合体(B2)の溶融粘度比(A/B2)は1/1.5であった。結果を表1に示す。
【0097】
【表1】

【0098】
かかる結果から明らかなように、ブロック共重合体(B)として、カルボキシル基を有さないブロック共重合体(B1)と、カルボキシル基を有するブロック共重合体(B2)を併用した実施例では、かかるブロック共重合体がPVA系樹脂(A)中に微分散し、耐屈曲疲労性、および酸素バリア性に優れる成形体が得られるのに対し、カルボキシル基を有さないブロック共重合体(B1)のみのもの(比較例1)、さらにカルボキシル基を有するブロック共重合体(B2)を用いたとしてもブロック共重合体(B1)と併用しなかったもの(比較例2)も、ブロック共重合体(B)の分散状態が悪く、その特性は劣るものであった。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の樹脂組成物を溶融成形して得られた成形品は、優れたガスバリア性と耐屈曲疲労性を併せ持っていることから、食品や医薬品など、酸化による劣化を避けたい物品を包装するためのフィルム、シート、容器、高度なガスバリア性と柔軟性が求められる水素ガス用の容器、チューブ、ホースなどに好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアルコール系重合体(A)と、芳香族ビニル化合物の重合体ブロック、共役ジエン化合物の重合体ブロックおよび/またはその水素添加ブロックを有するブロック共重合体(B)を含有する樹脂組成物であって、該ポリビニルアルコール系重合体(A)が、下記一般式(1)で表される構造単位を有するポリビニルアルコール系重合体(A)であり、該ブロック共重合体(B)が、カルボキシル基を有さないブロック共重合体(B1)と、カルボキシル基を有するブロック共重合体(B2)からなるものであることを特徴とする樹脂組成物。
【化1】


〔式中、R 、R 及びR はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R、R 及びR はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。〕
【請求項2】
ポリビニルアルコール系樹脂(A)とブロック共重合体(B)の含有比率(A)/(B)が、98/2〜60/40(重量比)であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
ポリビニルアルコール系共重合体(A)の溶融粘度ηと、ブロック共重合体(B)の溶融粘度ηB+Cの比η/ηB+Cが1/5〜5/1である請求項1または2記載の樹脂組成物。
【請求項4】
ブロック共重合体(B1)とブロック共重合体(B2)の含有比率(B1)/(B2)が、10/90〜90/10(重量比)であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の樹脂組成物。
【請求項5】
ブロック共重合体(B2)の酸価が0.5〜20mgCHONa/gであることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載の樹脂組成物を溶融成形してなる成形品。

【公開番号】特開2011−74364(P2011−74364A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191878(P2010−191878)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000004101)日本合成化学工業株式会社 (572)
【Fターム(参考)】