説明

樹脂組成物及びこれを用いた膜状光学部材、並びに樹脂組成物製造方法

【課題】透明、高屈折率でかつ膜状の光学部材を形成することが可能な樹脂組成物、およびこれを用いた光学部材を提供する。
【解決手段】A)含金属高屈折中間体と、(B)ポリマもしくはオリゴマおよび/または(C)反応性モノマと、を含有する樹脂組成物であって、前記(A)成分が、チタンアルコキシドとジエタノールアミンと水により、部分的に加水分解、縮合されたものである樹脂組成物である。または、前記(A)成分が、チタンアルコキシドとアミノアルコールと水により、部分的に加水分解、縮合されたものである樹脂組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂組成物に関し、特に含金属高屈折中間体と、ポリマ若しくはオリゴマ及び/又は反応性モノマとを含有する樹脂組成物、及びこれを用いた膜状光学部材、並びに樹脂組成物製造方法に関する。
【0002】
さらに、詳しくは、プラスチックレンズ、プリズム、光ファイバ、情報記録基板、フィルター、液晶ディスプレィー用部材、プラズマディスプレィー用部材、プリズムシート、ディフューザ、光散乱フィルム、視野角向上フィルム、輝度向上フィルム、偏光子、太陽電池用集光フィルム等に代表される膜状光学部材、およびその樹脂材料に関し、特に、高い屈折率を有する薄膜状光学部材、およびその樹脂材料、さらには樹脂組成物製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、軽量でかつ加工性に富み、各種の光学部材として好適な樹脂材料として、1.8〜2.2程度の高い屈折率を有する透明樹脂材料(以下、適宜、高屈折性樹脂材料という)が要求されている。
【0004】
従来技術における高屈折率樹脂材料は、ポリチオール化合物とポリイソシアネート化合物から得られるチオウレタン(例えば、下記特許文献1参照)、エポキシ樹脂またはエピスルフィド樹脂から得られる重合体(例えば、下記特許文献2参照)などが挙げられるが、これらイオウ系の高屈折樹脂材料は、屈折率の限界が1.72程度であるのに加え、硬化前の臭気が激しく、工程上の制約を受ける。また、ベンゼン環に臭素を導入したポリマが既に市販化されているが、その屈折率は1.6程度である。
【0005】
また、樹脂中に酸化チタンや酸化亜鉛などの高屈折率金属酸化物微粒子を分散させる技術が提案されているが(例えば、下記特許文献3参照)、光散乱を引き起こさないようにこれらの微粒子を分散させるのは極めて難しい。また、チタンアルコキシドのゾルゲル反応を樹脂マトリクス中で行う有機−無機ハイブリッド系も多々報告されているが(例えば、下記特許文献4や下記特許文献5参照)、光学用途としては、光散乱を引き起こしてしまうため実用化には至っていない。
【0006】
また、本発明と比較的近いものとして、例えば、下記特許文献6や下記特許文献7が挙げられるが、特許文献6の発明では、粘度が低すぎて1〜1000μm程度の厚膜を形成することはできない。また、特許文献7にある有機・無機ポリマー複合体およびその製造方法では、反応性の高い金属アルコキシドを用いる場合、その反応性制御と均一分散が困難である。例えば、チタンアルコキシドのゾルゲル反応は、非常に反応性が高いため、酸化チタン粒子が光を散乱させる程度以上の粒子サイズ(>100nm)になり易い。
【特許文献1】特公平4−58489号公報
【特許文献2】特開平3−81320号公報
【特許文献3】特開2002−277609号公報
【特許文献4】特開平6−107461号公報
【特許文献5】特開2001−89196号公報
【特許文献6】特公平7−14834号公報
【特許文献7】特開平6−322136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、透明、高屈折率でかつ膜状の光学部材を形成することが可能な樹脂組成物、及びこれを用いた膜状光学部材を提供することを目的とする。また、前記樹脂組成物を製造する樹脂組成物製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、樹脂組成物中の金属アルコキシドの反応性を抑制し、その粒子成長を抑えることで、透明、高屈折率かつ所望膜厚の膜状光学部材を得ることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下に記載の事項をその特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る樹脂組成物は、前記課題を解決するために、(A)含金属高屈折中間体と、(B)ポリマ若しくはオリゴマ及び/又は(C)反応性モノマとを含有する樹脂組成物であって、前記(A)含金属高屈折中間体の成分は、チタンアルコキシドとジエタノールアミンと水を混合して加熱することにより、加水分解による副生成物のアルコールを留去して得られる。
【0010】
また、前記(A)含金属高屈折中間体は、チタンアルコキシド、ジエタノールアミン、水の混合モル比を、n:m:lとした場合、l<n≦mとして得られるのが好ましい。また、本発明の樹脂組成物は、さらに(D)溶媒を含有することが好ましい。特に、前記(D)溶媒が窒素原子を有する溶媒であることが好ましい。
【0011】
また、本発明の膜状光学部材は、これらの樹脂組成物を有することが好ましい。さらに、本発明の膜状光学部材は、膜厚が1〜1000μmの範囲であることが好ましい。
【0012】
本発明に係る樹脂組成物製造方法は、前記課題を解決するために、(A)含金属高屈折中間体と、(B)ポリマ若しくはオリゴマ及び/又は(C)反応性モノマとを含有する樹脂組成物を製造する樹脂組成物製造方法であって、前記(A)含金属高屈折中間体の成分を、チタンアルコキシドとジエタノールアミンと水を混合し加熱することにより、加水分解による副生成物のアルコールを留去する第1の工程とを有して得る。
【0013】
本発明の樹脂組成物製造方法にあって、前記第1の工程は、チタンアルコキシド、ジエタノールアミン、水の混合モル比を、n:m:lとした場合、l<n≦mとして前記チタンアルコキシドと前記ジエタノールアミンと前記水を混合し加熱する。
【0014】
本発明の樹脂組成物製造方法は、(D)溶媒をさらに配合する第2の工程を有することが好ましい。また、前記第2の工程が配合する溶媒が窒素原子を有する溶媒であることが好ましい。
【0015】
本発明は、以上に説明した樹脂組成物製造方法によって製造されるので、樹脂組成物中の金属アルコキシドの反応性を抑制し、その粒子成長を抑えることで、透明、高屈折率かつ所望膜厚の膜状光学部材を得ることが可能である。
【0016】
本発明に係る樹脂組成物は、前記課題を解決するために、(A)含金属高屈折中間体と、(B)ポリマ若しくはオリゴマ及び/又は(C)反応性モノマとを含有する樹脂組成物であって、(A)含金属高屈折中間体の成分は、チタンアルコキシドとアミノアルコールと水を混合して加熱することにより、加水分解による副生成物のアルコールを留去して得られる。
【0017】
また、前記(A)含金属高屈折中間体は、チタンアルコキシド、アミノアルコール、水の混合モル比を、n:m:lとした場合、l<n≦mとして得られるのが好ましい。
【0018】
また、前記(A)含金属高屈折中間体において、使用されるアミノアルコールは、化学式
(R3−n−N−(ROH)
(Nは窒素原子、RはH又は炭素数1〜20のアルキル基、Rは炭素数1〜20のアルキル基、nは1〜3の整数)
によって表されることが好ましい。
【0019】
また、本発明の樹脂組成物は、(D)溶媒をさらに含有することが好ましい。特に、前記(D)溶媒が窒素原子を有する溶媒であることが好ましい。
【0020】
また、本発明の膜状光学部材は、これらの樹脂組成物を有することが好ましい。さらに、本発明の膜状光学部材は、膜厚が1〜1000μmの範囲であることが好ましい。
【0021】
本発明に係る樹脂組成物製造方法は、前記課題を解決するために、(A)含金属高屈折中間体と、(B)ポリマ若しくはオリゴマ及び/又は(C)反応性モノマとを含有する樹脂組成物を製造する樹脂組成物製造方法であって、前記(A)含金属高屈折中間体の成分を、チタンアルコキシドとアミノアルコールと水を混合し加熱することにより、加水分解による副生成物のアルコールを留去する第1の工程とを有して得る。
【0022】
本発明の樹脂組成物製造方法にあって、前記第1の工程は、チタンアルコキシド、アミノアルコール、水の混合モル比を、n:m:lとした場合、l<n≦mとして前記チタンアルコキシドと前記アミノアルコールと前記水を混合し加熱する。
【0023】
また、前記(A)含金属高屈折中間体において、使用されるアミノアルコールは、化学式
(R3−n−N−(ROH)
(Nは窒素原子、RはH又は炭素数1〜20のアルキル基、Rは炭素数1〜20のアルキル基、nは1〜3の整数)
によって表されることが好ましい。
【0024】
また、本発明の樹脂組成物製造方法は、(D)溶媒をさらに配合する第2の工程を有することが好ましい。また、前記第2の工程が配合する溶媒が窒素原子を有する溶媒であることが好ましい。
【0025】
また、本発明は、プラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記録基板、フィルター、液晶ディスプレィー用部材、プラズマディスプレィー用部材、プリズムシート、ディフューザ、光散乱フィルム、視野角向上フィルム、輝度向上フィルム、偏光子、太陽電池用集光フィルム等に代表される膜状光学部材、およびその樹脂材料に適用できる。特に、高い屈折率を有する薄膜状光学部材、および樹脂組成物に適用できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、従来よりも透明、高屈折率でかつ所望する膜厚の光学部材を形成することが可能な樹脂組成物、およびこれを用いた光学部材を提供することが可能である。また、前記樹脂組成物を製造するための樹脂組成物製造方法を適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明は、(A)含金属高屈折中間体と、(B)ポリマ若しくはオリゴマ及び/又は(C)反応性モノマとを含有する樹脂組成物である。また、この樹脂組成物を用いて形成される膜状光学部材である。
【0028】
先ず、第1の実施の形態の樹脂組成物について説明する。第1の実施の形態の樹脂組成物で特徴的なのは、前記(A)含金属高屈折中間体の成分が、チタンアルコキシドとジエタノールアミンと水を混合して加熱することにより、加水分解による副生成物のアルコールを留去して得られることである。
【0029】
つまり、第1の実施の形態の樹脂組成物を製造する第1の樹脂組成物製造方法にあって、第1の工程が前記(A)含金属高屈折中間体の成分を、チタンアルコキシドとジエタノールアミンと水を混合し加熱し、加水分解による副生成物のアルコールを留去することで、(A)含金属高屈折中間体の成分を得ている。
【0030】
前記ジエタノールアミンは、第1の樹脂組成物製造方法にあって、チタンアルコキシドに配位し、加水分解反応の進行を制御し、酸化チタン粒子の成長を抑制する役割を有する。
【0031】
このように第1の実施の形態の樹脂組成物は、前記第1の樹脂組成物製造方法によって製造されるので、加水分解による副生成物のアルコールを積極的に留去して前記(A)含金属高屈折中間体の成分が得られ、よって酸化チタン粒子の成長が抑制されるので、硬化物の光散乱を引き起こさないようにすることが可能となる。
【0032】
前記(A)含金属高屈折中間体のうちのチタンアルコキシドは、目的に応じて他の金属アルコキシドを部分的に用いることもできる。その金属としては、特に限定されないが、Zn、Zr、La、Th、Taなどが挙げられる。
【0033】
前記(A)含金属高屈折中間体に使用されるチタンアルコキシドの加水分解性アルコキシ基としては、特に限定されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などが挙げられる。炭素数が少な過ぎると、ゾルゲル反応の制御が困難になり、炭素数が多過ぎるとゾルゲル反応が進みにくくなることから、好ましくはプロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基であり、特に好ましくはイソプロポキシ基である。金属上のこれらアルコキシ基の種類はすべて同一であっても、違っていても構わない。
【0034】
前記(A)含金属高屈折中間体に使われるチタンアルコキシドとしては、例えば、チタニウムテトラメトキシ、チタニウムテトラエトキシ、チタニウムテトラ−n−プロポキシ、チタニウムテトラ−iso−プロポキシ、チタニウムテトラ−n−ブトキシ、チタニウムテトラ−sec−ブトキシ、チタニウムテトラ−tert−ブトキシ、チタニウムテトラフェノキシ等のテトラアルコキシ、チタニウムトリメトキシ、チタニウムトリエトキシ、チタニウムトリプロポキシ、チタニウムフルオロトリメトキシ、チタニウムフルオロトリエトキシ、チタニウムメチルトリメトキシ、チタニウムメチルトリエトキシ、チタニウムメチルトリ−n−プロポキシ、チタニウムメチルトリ−iso−プロポキシ、チタニウムメチルトリ−n−ブトキシ、チタニウムメチルトリ−iso−ブトキシ、チタニウムメチルトリ−tert−ブトキシ、チタニウムメチルトリフェノキシ、チタニウムエチルトリメトキシ、チタニウムエチルトリエトキシ、チタニウムエチルトリ−n−プロポキシ、チタニウムエチルトリ−iso−プロポキシ、チタニウムエチルトリ−n−ブトキシ、チタニウムエチルトリ−iso−ブトキシ、チタニウムエチルトリ−tert−ブトキシ、チタニウムエチルトリフェノキシ、チタニウムn−プロピルトリメトキシ、チタニウムn−プロピルトリエトキシ、チタニウムn−プロピルトリ−n−プロポキシ、チタニウムn−プロピルトリ−iso−プロポキシ、チタニウムn−プロピルトリ−n−ブトキシ、チタニウムn−プロピルトリ−iso−ブトキシ、チタニウムn−プロピルトリ−tert−ブトキシ、チタニウムn−プロピルトリフェノキシ、チタニウムiso−プロピルトリメトキシ、チタニウムiso−プロピルトリエトキシ、チタニウムiso−プロピルトリ−n−プロポキシ、チタニウムiso−プロピルトリ−iso−プロポキシ、チタニウムiso−プロピルトリ−n−ブトキシ、チタニウムiso−プロピルトリ−iso−ブトキシ、チタニウムiso−プロピルトリ−tert−ブトキシ、チタニウムiso−プロピルトリフェノキシ、チタニウムn−ブチルトリメトキシ、チタニウムn−ブチルトリエトキシ、チタニウムn−ブチルトリ−n−プロポキシ、チタニウムn−ブチルトリ−iso−プロポキシ、チタニウムn−ブチルトリ−n−ブトキシ、チタニウムn−ブチルトリ−iso−ブトキシ、チタニウムn−ブチルトリ−tert−ブトキシ、チタニウムn−ブチルトリフェノキシ、チタニウムsec−ブチルトリメトキシ、チタニウムsec−ブチルトリエトキシ、チタニウムsec−ブチルトリ−n−プロポキシ、チタニウムsec−ブチルトリ−iso−プロポキシ、チタニウムsec−ブチルトリ−n−ブトキシ、チタニウムsec−ブチルトリ−iso−ブトキシ、チタニウムsec−ブチルトリ−tert−ブトキシ、チタニウムsec−ブチルトリフェノキシ、チタニウムt−ブチルトリメトキシ、チタニウムt−ブチルトリエトキシ、チタニウムt−ブチルトリ−n−プロポキシ、チタニウムt−ブチルトリ−iso−プロポキシ、チタニウムt−ブチルトリ−n−ブトキシ、チタニウムt−ブチルトリ−iso−ブトキシ、チタニウムt−ブチルトリ−tert−ブトキシ、チタニウムt−ブチルトリフェノキシ、チタニウムフェニルトリメトキシ、チタニウムフェニルトリエトキシ、チタニウムフェニルトリ−n−プロポキシ、チタニウムフェニルトリ−iso−プロポキシ、チタニウムフェニルトリ−n−ブトキシ、チタニウムフェニルトリ−iso−ブトキシ、チタニウムフェニルトリ−tert−ブトキシ、チタニウムフェニルトリフェノキシ、チタニウムトリフルオロメチルトリメトキシ、チタニウムペンタフルオロエチルトリメトキシ、チタニウム3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシ、チタニウム3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシ等のトリアルコキシ、チタニウムジメチルジメトキシ、チタニウムジメチルジエトキシ、チタニウムジメチルジ−n−プロポキシ、チタニウムジメチルジ−iso−プロポキシ、チタニウムジメチルジ−n−ブトキシ、チタニウムジメチルジ−sec−ブトキシ、チタニウムジメチルジ−tert−ブトキシ、チタニウムジメチルジフェノキシ、チタニウムジエチルジメトキシ、チタニウムジエチルジエトキシ、チタニウムジエチルジ−n−プロポキシ、チタニウムジエチルジ−iso−プロポキシ、チタニウムジエチルジ−n−ブトキシ、チタニウムジエチルジ−sec−ブトキシ、チタニウムジエチルジ−tert−ブトキシ、チタニウムジエチルジフェノキシ、チタニウムジ−n−プロピルジメトキシ、チタニウムジ−n−プロピルジエトキシ、チタニウムジ−n−プロピルジ−n−プロポキシ、チタニウムジ−n−プロピルジ−iso−プロポキシ、チタニウムジ−n−プロピルジ−n−ブトキシ、チタニウムジ−n−プロピルジ−sec−ブトキシ、チタニウムジ−n−プロピルジ−tert−ブトキシ、チタニウムジ−n−プロピルジフェノキシ、チタニウムジ−iso−プロピルジメトキシ、チタニウムジ−iso−プロピルジエトキシ、チタニウムジ−iso−プロピルジ−n−プロポキシ、チタニウムジ−iso−プロピルジ−iso−プロポキシ、チタニウムジ−iso−プロピルジ−n−ブトキシ、チタニウムジ−iso−プロピルジ−sec−ブトキシ、チタニウムジ−iso−プロピルジ−tert−ブトキシ、チタニウムジ−iso−プロピルジフェノキシ、チタニウムジ−n−ブチルジメトキシ、チタニウムジ−n−ブチルジエトキシ、チタニウムジ−n−ブチルジ−n−プロポキシ、チタニウムジ−n−ブチルジ−iso−プロポキシ、チタニウムジ−n−ブチルジ−n−ブトキシ、チタニウムジ−n−ブチルジ−sec−ブトキシ、チタニウムジ−n−ブチルジ−tert−ブトキシ、チタニウムジ−n−ブチルジフェノキシ、チタニウムジ−sec−ブチルジメトキシ、チタニウムジ−sec−ブチルジエトキシ、チタニウムジ−sec−ブチルジ−n−プロポキシ、チタニウムジ−sec−ブチルジ−iso−プロポキシ、チタニウムジ−sec−ブチルジ−n−ブトキシ、チタニウムジ−sec−ブチルジ−sec−ブトキシ、チタニウムジ−sec−ブチルジ−tert−ブトキシ、チタニウムジ−sec−ブチルジフェノキシ、チタニウムジ−tert−ブチルジメトキシ、チタニウムジ−tert−ブチルジエトキシ、チタニウムジ−tert−ブチルジ−n−プロポキシ、チタニウムジ−tert−ブチルジ−iso−プロポキシ、チタニウムジ−tert−ブチルジ−n−ブトキシ、チタニウムジ−tert−ブチルジ−sec−ブトキシ、チタニウムジ−tert−ブチルジ−tert−ブトキシ、チタニウムジ−tert−ブチルジフェノキシ、チタニウムジフェニルジメトキシ、チタニウムジフェニルジエトキシ、チタニウムジフェニルジ−n−プロポキシ、チタニウムジフェニルジ−iso−プロポキシ、チタニウムジフェニルジ−n−ブトキシ、チタニウムジフェニルジ−sec−ブトキシ、チタニウムジフェニルジ−tert−ブトキシ、チタニウムジフェニルジフェノキシ、チタニウムビス(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシ、チタニウムメチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシ等のジオルガノジアルコキシ等が挙げられる。
【0035】
また、前記(A)含金属高屈折中間体は、チタンアルコキシド、ジエタノールアミン、水の混合モル比を、n:m:lとした場合、l<n≦mとして得られる。
【0036】
前記(B)ポリマ若しくはオリゴマとしては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリイミン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリビニル、ポリアクリル、ポリエーテル、ポリスルフィド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリケトンなどが挙げられる。前記(B)ポリマ若しくはオリゴマの成分の配合量は、(A)含金属高屈折中間体成分100重量部に対して、0〜100重量部であることが好ましい。
【0037】
前記(C)反応性モノマは、熱や光により重合、硬化する樹脂組成物において成分となる。(C)反応性モノマ成分の重合形態には、例えば、イオン重合やラジカル重合が良く知られているが、本発明は、それら重合形態を限定するものではない。前記(C)反応性モノマ成分の配合量は、(A)含金属高屈折中間体成分100重量部に対して、0〜100重量部であることが好ましい。
【0038】
第1の樹脂組成物製造方法にあっては、さらに(D)溶媒を配合する第2の工程を有することが好ましい。よって、第1の実施の形態の樹脂組成物の製造過程にあっては溶媒が含有される。前記(D)溶媒としては、炭化水素系溶剤、エーテル・ケトン類溶剤、エステル系溶剤、ハロゲン化炭化水素類、鉱物油や合成油、動植物油、アルコール系溶剤等が挙げられ、これらは1種類もしくは2種類以上を組み合わせて使用することができる。前記溶媒(D)成分の配合量は、(A)含金属高屈折中間体成分100重量部に対して、0〜1000重量部であることが好ましい。前記溶媒(D)成分は、特に塗膜形成のための希釈剤として使用され、例えば、刷毛塗り、スピン塗布法、スプレー法、スリットコーター、グラビア印刷、スクリーン印刷などの方法により塗布された後、ホットプレート、電気炉などで揮発され、均一な塗布膜を得るのに有効な成分である。
【0039】
また、第1の実施の形態の樹脂組成物は、(E)添加剤を含有させることができる。前記(E)添加剤としては、光ラジカル重合開始剤や熱ラジカル重合開始剤等の重合開始剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤等の安定化剤、カップリング剤、難燃剤などを挙げることができる。
【0040】
これらラジカル重合開始剤の配合量は、(B)ポリマ若しくはオリゴマ成分と(C)反応性モノマ成分の総量100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲であることが好ましく、0.1〜5重量部の範囲であることがより好ましい。前記紫外線吸収剤や光安定化剤は、通常、(B)ポリマ若しくはオリゴマ成分と(C)反応性モノマ成分の総量100重量部に対し0.05〜20重量部の範囲で添加されうる。前記酸化防止剤は、充填材との相性や目的とする成形作業性及び樹脂保存安定性などの条件により種類、量を変えて添加する。通常、(B)ポリマ若しくはオリゴマ成分と(C)反応性モノマ成分の総量100重量部に対し10〜10,000ppmである。カップリング剤は、通常、(B)ポリマ若しくはオリゴマ成分と(C)反応性モノマ成分の総量100重量部に対し、0.001〜5重量部添加する。
【0041】
前記難燃剤の添加量は(B)ポリマ若しくはオリゴマ成分と(C)反応性モノマ成分の総量100重量部に対し10〜300重量部の範囲で用いることが好ましい。本発明の樹脂組成物は、前記した(A)含金属高屈折中間体成分と、(B)ポリマ若しくはオリゴマ成分および/または(C)反応性モノマ成分とを成分とし、その他必要に応じて添加される成分を、通常の樹脂組成物と同様に攪拌、混合することにより得ることができる。
【0042】
本発明の膜状光学部材は、例えば、第1の実施の形態の樹脂組成物を基材上に塗布、乾燥し、必要に応じて硬化させることにより得ることができる。樹脂組成物を基材上に塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、刷毛塗り、スピン塗布法、スプレー法、スリットコーター、グラビア印刷、スクリーン印刷などを挙げることができる。また、前記基材としては、ガラス板、プラスチック板、プラスチックフィルム、太陽電池セルなどを挙げることができる。
【0043】
また、樹脂組成物の塗布後に行う乾燥は、膜中の溶剤が十分に揮発すればよく、その方法や条件は特に限定されないが、例えば、ホットプレート、電気炉等を用い、好ましくは50〜150℃、より好ましくは60〜120℃の範囲で行うことができる。乾燥温度50℃未満では、(D)成分などの乾燥が不十分になる恐れがあり、150℃を超えると(C)成分などが揮発してしまう恐れがあり、良好な硬化膜をえることが困難になる傾向がある。
【0044】
また、乾燥後の硬化は、熱硬化性配合の場合には、その成分や配合量により硬化温度と時間を適宜決定すればよいが、好ましくは100〜200℃の温度で2〜60分間、より好ましくは130〜200℃の温度で2〜30分間加熱して行うことができる。この加熱が100℃未満であると、十分な硬化が行えない恐れがある。また、樹脂組成物が光硬化性配合の場合にも特に制限されないが、高圧水銀灯などを用い、100〜2000mJ/cm2で露光し、最終硬化させることが好ましい。
【0045】
本発明に係る膜状光学部材の膜厚は、第1の実施の形態の樹脂組成物の粘度を調整したり、膜形成手段やその条件を適宜選択することにより、容易に所望厚さに形成することが可能である。例えば、前記(D)溶媒成分である溶剤の配合量を少なくすると、樹脂組成物の粘度が上昇し、比較的厚膜の光学部材を形成しやすくなり、前記(D)溶媒成分の配合量を多くすると、樹脂組成物の粘度が低下し、比較的薄膜の光学部材を形成しやすくなる。また、樹脂組成物の塗布手段として、スピン塗布法を適用する場合には、その回転数を下げたり、塗布回数を増やしたりすることで、比較的厚膜の光学部材を形成することができ、その回転数を上げたり、塗布回数を減らしたりすることで、比較的薄膜の光学部材を形成することが可能である。具体的に好ましい厚さは、用途にもよるが1〜1000μmの範囲である。
【0046】
次に、第2の実施の形態の樹脂組成物について説明する。第2の実施の形態の樹脂組成物で特徴的なのは、前記(A)含金属高屈折中間体の成分が、チタンアルコキシドとアミノアルコールと水を混合して加熱し、加水分解による副生成物のアルコールを積極的に留去して得られることである。
【0047】
つまり、第2の実施の形態の樹脂組成物を製造する第2の樹脂組成物製造方法にあって、第1の工程が前記(A)含金属高屈折中間体の成分を、チタンアルコキシドとアミノアルコールと水を混合し加熱し、加水分解による副生成物のアルコールを留去することで、(A)含金属高屈折中間体の成分を得ている。
【0048】
前記アミノアルコールは、第2の樹脂組成物製造方法にあって、チタンアルコキシドに配位し、加水分解反応の進行を制御し、酸化チタン粒子の成長を抑制する役割を有する。前記のように、酸化チタン粒子の成長を抑制し、硬化物の光散乱を引き起こさないようにすることが可能となる。
【0049】
前記(A)含金属高屈折中間体に使用されるチタンアルコキシドの加水分解性アルコキシ基としては前述したのでここでは説明を省略する。また、前記(A)含金属高屈折中間体に使われるチタンアルコキシドについても詳細については前述したのでここでは説明を省略する。
【0050】
前記(A)含金属高屈折中間体に使用されるアミノアルコールは、化学式
(R3−n−N−(ROH)
で表される。ここで、Nは窒素原子、RはH又は炭素数1〜20のアルキル基、Rは炭素数1〜20のアルキル基、nは1〜3の整数である。
【0051】
本発明に使用されるアミノアルコールの例としては、N−アセチルエタノールアミン、2−エチルアミノエタノール、ジイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、1,1’、1’’−ニトリロトリ−2−プロパノール、N−n−ブチル−,2,2’−イミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−(メチルアミノ)エタノール、2−アミノエタノールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
前記(B)ポリマ若しくはオリゴマとしては、第1の実施の形態の説明で既に述べたものと同様に特に限定されない。詳細については説明を省略する。
【0053】
前記(C)反応性モノマについても、第1の実施の形態の説明で既に述べたものと同様に、重合形態を限定するものではない。詳細については説明を省略する。
【0054】
第2の樹脂組成物製造方法にあっても、第1の樹脂組成物製造方法と同様にさらに(D)溶媒を配合する第2の工程を有することが好ましい。よって、第2の実施の形態の樹脂組成物の製造過程にあっては溶媒が含有される。前記(D)溶媒としては、第1の実施の形態にて説明したのと同様のものを用いることができる。また、前記溶媒(D)成分の配合量についても同様に第1の実施の形態にて説明した配合量とする。ここでは説明を省略する。
【0055】
また、第2の実施の形態の樹脂組成物も、第1の実施の形態と同様に、(E)添加剤を含有させることができる。前記(E)添加剤としても、第1の実施の形態と同様であり、ラジカル重合開始剤の配合量も同様である。
【0056】
また、前記難燃剤の添加量も前記第1の実施の形態と同様に(B)ポリマ若しくはオリゴマ成分と(C)反応性モノマ成分の総量100重量部に対し10〜300重量部の範囲で用いることが好ましい。
【0057】
本発明の膜状光学部材は、第1の実施の形態と同様に、例えば、第2の実施の形態の樹脂組成物を基材上に塗布、乾燥し、必要に応じて硬化させることにより得ることができる。樹脂組成物を基材上に塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、刷毛塗り、スピン塗布法、スプレー法、スリットコーター、グラビア印刷、スクリーン印刷などを挙げることができる。また、前記基材としては、ガラス板、プラスチック板、プラスチックフィルム、太陽電池セルなどを挙げることができる。
【0058】
また、樹脂組成物の塗布後に行う乾燥についても、第1の実施の形態にて説明したように、膜中の溶剤が十分に揮発すればよく、その方法や条件は特に限定されない。第1の実施の形態と同様に、例えば、ホットプレート、電気炉等を用い、好ましくは50〜150℃、より好ましくは60〜120℃の範囲で行うことができる。第1の実施の形態と同様に乾燥温度50℃未満では、(D)成分などの乾燥が不十分になる恐れがあり、150℃を超えると(C)成分などが揮発してしまう恐れがあり、良好な硬化膜をえることが困難になる傾向がある。
【0059】
また、乾燥後の硬化についても第1の実施の形態と同様に、熱硬化性配合の場合には、その成分や配合量により硬化温度と時間を適宜決定すればよいが、好ましくは100〜200℃の温度で2〜60分間、より好ましくは130〜200℃の温度で2〜30分間加熱して行うことができる。この加熱が100℃未満であると、十分な硬化が行えない恐れがある。また、樹脂組成物が光硬化性配合の場合にも特に制限されないが、高圧水銀灯などを用い、100〜2000mJ/cm2で露光し、最終硬化させることが好ましい。
【0060】
本発明に係る膜状光学部材の膜厚は、第2の実施の形態の樹脂組成物の粘度を調整したり、膜形成手段やその条件を適宜選択することにより、容易に所望厚さに形成することが可能である。例えば、前記(D)溶媒成分である溶剤の配合量を少なくすると、樹脂組成物の粘度が上昇し、比較的厚膜の光学部材を形成しやすくなり、前記(D)溶媒成分の配合量を多くすると、樹脂組成物の粘度が低下し、比較的薄膜の光学部材を形成しやすくなる。また、樹脂組成物の塗布手段として、スピン塗布法を適用する場合には、その回転数を下げたり、塗布回数を増やしたりすることで、比較的厚膜の光学部材を形成することができ、その回転数を上げたり、塗布回数を減らしたりすることで、比較的薄膜の光学部材を形成することが可能である。具体的に好ましい厚さは、用途にもよるが1〜1000μmの範囲である。
【実施例】
【0061】
(実施例1)
4つ口のセパラブルフラスコの1つに攪拌羽、1つに窒素供給、1つに揮発成分を留去できるように連結管、リービッヒ冷却器を接続しておいた。ジエタノールアミン11.04g、水0.54g、n−メチルピロリドン33.44gを、100mlセパラブルフラスコに入れ、窒素流下、攪拌した。数分後、攪拌が十分に行われたのを確認し、チタニウムテトライソプロポキシド21.32gをなるべく空気に触れないように注意しながら、加えた。チタニウムテトライソプロポキシドを加えると、フラスコの温度は上昇するが、室温(25℃)程度にまで冷えた後、80℃オイルバスを用いて、揮発成分の留去を行う。この際の留去物は、チタニウムテトライソプロポキシドの加水分解反応による副生成物のイソプロピルアルコールである。
【0062】
別なサンプル管を用い、水0.54g、ジエタノールアミン3.15gをよく混ぜておき、前記留去を6時間行った後に、フラスコを室温(25℃)まで冷却し、この混合物を添加する。この液体をA液((A)含金属高屈折中間体)という。
【0063】
セパラブルフラスコに、n−メチルピロリドン1494gに、クラレ社製クラレポリオールP1010、4965gを加え十分に攪拌した。これに住化バイエルウレタン社製ディスモジュール−W1009gを約2時間かけて滴下し、B1液((B)ポリマもしくはオリゴマ)を得た。
【0064】
A液100重量部に対し、B1液10重量部を加え十分に攪拌した樹脂組成液を、半導体用シリコンウエハとスライドガラスにスピンコートし、100℃のホットプレートで5分間加熱、溶剤を除去し、薄膜を得た。この薄膜の波長450nmの光に対する単位膜厚あたりの吸光度(O.D./μm)と、波長632.8nmの光に対する屈折率を表1にまとめる。屈折率は1.64であり、吸光度は0.000730であった。
【0065】
(実施例2)
実施例1で得たA液100重量部に対し、B2液として日立化成工業社製ヒタロイド7981、10重量部を加え十分に攪拌した樹脂組成液を、半導体用シリコンウエハとスライドガラスにスピンコートし、100℃のホットプレートで5分間加熱、溶剤を除去し、薄膜を得、紫外線を照射して硬化させた。この薄膜の波長450nmの光に対する単位膜厚あたりの吸光度(O.D./μm)と、波長632.8nmの光に対する屈折率を表1にまとめる。屈折率は1.67であり、吸光度は0.000944であった。
【0066】
(実施例3)
実施例1で得たA液100重量部に対し、B3液として大日本インキ社製EXA−4850−1000、10重量部を加え十分に攪拌した樹脂組成液を、半導体用シリコンウエハとスライドガラスにスピンコートし、80℃のホットプレートで5分間加熱、溶剤を除去し、さらに150℃のホットプレートで15分間加熱硬化し、薄膜を得た。この薄膜の波長450nmの光に対する単位膜厚あたりの吸光度(O.D./μm)と、波長632.8nmの光に対する屈折率を表1にまとめる。屈折率は1.68であり、吸光度は0.000264であった。
【0067】
(実施例4)
4つ口のセパラブルフラスコの1つに攪拌羽、1つに窒素供給、1つに揮発成分を留去できるように連結管、リービッヒ冷却器を接続しておいた。トリエタノールアミン11.92g、水0.54g、n−メチルピロリドン20.10gを、100mlセパラブルフラスコに入れ、窒素流下、攪拌した。数分後、攪拌が十分に行われたのを確認し、チタニウムテトライソプロポキシド21.32gをなるべく空気に触れないように注意しながら、加えた。チタニウムテトライソプロポキシドを加えると、フラスコの温度は上昇するが、室温程度にまで冷えた後、80℃オイルバスを用いて、揮発成分の留去を行う。この際の留去物は、チタニウムテトライソプロポキシドの加水分解反応による副生成物のイソプロピルアルコールである。
【0068】
別なサンプル管を用い、水0.27g、トリエタノールアミン2.193gをよく混ぜておき、前記留去を6時間行った後に、フラスコを室温まで冷却し、この混合物を添加する。この液体をA2液という。
【0069】
A2液100重量部に対し、B3液として大日本インキ社製EXA−4850−1000、10重量部を加え十分に攪拌した樹脂組成液を、半導体用シリコンウエハとスライドガラスにスピンコートし、100℃のホットプレートで5分間加熱、溶剤を除去し、薄膜を得た。この薄膜の波長450nmの光に対する単位膜厚あたりの吸光度(O.D./μm)と、波長632.8nmの光に対する屈折率を表1にまとめる。屈折率は1.62であり、吸光度は0.000386であった。
【0070】
(実施例5)
4つ口のセパラブルフラスコの1つに攪拌羽、1つに窒素供給、1つに揮発成分を留去できるように連結管、リービッヒ冷却器を接続しておいた。ジエタノールアミン7.097g、2−ジメチルアミノエタノール6.686g、水0.54g、n−メチルピロリドン32.41gを、100mlセパラブルフラスコに入れ、窒素流下、攪拌した。数分後、攪拌が十分に行われたのを確認し、チタニウムテトライソプロポキシド21.32gをなるべく空気に触れないように注意しながら、加えた。チタニウムテトライソプロポキシドを加えると、フラスコの温度は上昇するが、室温程度にまで冷えた後、80℃オイルバスを用いて、揮発成分の留去を行う。この際の留去物は、チタニウムテトライソプロポキシドの加水分解反応による副生成物のイソプロピルアルコールである。別なサンプル管を用い、水0.54g、2−ジメチルアミノエタノール1.832gをよく混ぜておき、前記留去を6時間行った後に、フラスコを室温まで冷却し、この混合物を添加する。この液体をA3液という。
【0071】
A3液100重量部に対し、B3液として大日本インキ社製EXA−4850−1000、10重量部を加え十分に攪拌した樹脂組成液を、半導体用シリコンウエハとスライドガラスにスピンコートし、100℃のホットプレートで5分間加熱、溶剤を除去し、薄膜を得た。この薄膜の波長450nmの光に対する単位膜厚あたりの吸光度(O.D./μm)と、波長632.8nmの光に対する屈折率を表1にまとめる。屈折率は1.75であり、吸光度は0.000579であった。
【0072】
(比較例1)
水0.54g、n−メチルピロリドン33.44gを、100mlセパラブルフラスコに入れ、窒素流下、攪拌した。数分後、攪拌が十分に行われたのを確認し、チタニウムテトライソプロポキシド21.32gを加えた。チタニウムテトライソプロポキシドを加えると、液は瞬時に白濁した塊となり、光学的な評価は不可能であった。
【0073】
(比較例2)
実施例1で得たB1液100重量部に、チタニウムテトライソプロポキシド100重量部を加え攪拌し、透明の液体を得たが、スピンコート、ホットプレートによる溶剤乾燥により、膜は白濁して、光学的な評価は不可能であった。
【0074】
(比較例3)
チタニウムテトライソプロポキシド200重量部、ジエタノールアミン80重量部、水4重量部、大日本インキ社製EXA−4850−100、100重量部、トルエン140重量部を加えて攪拌した。透明の液体を得ることができ、スピンコート、ホットプレートによる溶剤乾燥により、透明な膜を得たが、膜厚均一性が悪く、正当な評価ができなかった。
【0075】
(比較例4)
4つ口のセパラブルフラスコの1つに攪拌羽、1つに窒素供給、1つに揮発成分を留去できるように連結管、リービッヒ冷却器を接続しておいた。トリエチルアミン11.92g、水0.54g、n−メチルピロリドン19.88gを、100mlセパラブルフラスコに入れ、窒素流下、攪拌した。数分後、攪拌が十分に行われたのを確認し、チタニウムテトライソプロポキシド21.32gをなるべく空気に触れないように注意しながら、加えた。チタニウムテトライソプロポキシドを加えると、フラスコの温度は上昇するが、室温程度にまで冷えた後、80℃オイルバスを用いて、揮発成分の留去を行う。この際の留去物は、チタニウムテトライソプロポキシドの加水分解反応による副生成物のイソプロピルアルコールである。別なサンプル管を用い、水0.27g、トリエチルアミン2.193gをよく混ぜておき、前記留去を6時間行った後に、フラスコを室温まで冷却し、この混合物を添加する。この液体をAX1液という。
【0076】
このAX1液100重量部に対し、B3液として大日本インキ社製EXA−4850−1000、10重量部を加え十分に攪拌した樹脂組成液を、半導体用シリコンウエハとスライドガラスにスピンコートし、80℃のホットプレートで5分間加熱、溶剤を除去し、さらに150℃のホットプレートで15分間加熱硬化し、薄膜を得ようとしたが、薄膜は粉々に砕け散って製膜ができなかった。
【表1】

【0077】
本発明により、従来よりも透明、高屈折率でかつ所望する膜厚の光学部材を形成することが可能な樹脂組成物、およびこれを用いた光学部材を提供することができた。また、樹脂組成物を製造する樹脂組成物生成方法を提供することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)含金属高屈折中間体と、(B)ポリマ若しくはオリゴマ及び/又は(C)反応性モノマとを含有する樹脂組成物であって、
前記(A)含金属高屈折中間体の成分は、チタンアルコキシドとジエタノールアミンと水を混合して加熱することにより、加水分解による副生成物のアルコールを留去して得られる
ことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記(A)含金属高屈折中間体は、チタンアルコキシド、ジエタノールアミン、水の混合モル比を、n:m:lとした場合、l<n≦mとして得られることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
(D)溶媒をさらに含有することを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記(D)溶媒が窒素原子を有する溶媒であることを特徴とする請求項3記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いて形成される膜状光学部材。
【請求項6】
膜厚が1〜1000μmの範囲である請求項5記載の膜状光学部材。
【請求項7】
(A)含金属高屈折中間体と、(B)ポリマ若しくはオリゴマ及び/又は(C)反応性モノマとを含有する樹脂組成物を製造する樹脂組成物製造方法であって、
前記(A)含金属高屈折中間体の成分を、チタンアルコキシドとジエタノールアミンと水を混合し加熱することにより、加水分解による副生成物のアルコールを留去する第1の工程とを有して得る
ことを特徴とする樹脂組成物製造方法。
【請求項8】
前記第1の工程は、チタンアルコキシド、ジエタノールアミン、水の混合モル比を、n:m:lとした場合、l<n≦mとして前記チタンアルコキシドと前記ジエタノールアミンと前記水を混合し加熱することを特徴とする請求項7記載の樹脂組成物製造方法。
【請求項9】
(D)溶媒をさらに配合する第2の工程を有することを特徴とする請求項7又は8記載の樹脂組成物製造方法。
【請求項10】
前記第2の工程が配合する溶媒が窒素原子を有する溶媒であることを特徴とする請求項9記載の樹脂組成物製造方法。
【請求項11】
(A)含金属高屈折中間体と、(B)ポリマ若しくはオリゴマ及び/又は(C)反応性モノマとを含有する樹脂組成物であって、
前記(A)含金属高屈折中間体の成分は、チタンアルコキシドとアミノアルコールと水を混合して加熱することにより、加水分解による副生成物のアルコールを留去して得られる
ことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項12】
前記(A)含金属高屈折中間体は、チタンアルコキシド、アミノアルコール、水の混合モル比を、n:m:lとした場合、l<n≦mとして得られることを特徴とする請求項11記載の樹脂組成物。
【請求項13】
前記(A)含金属高屈折中間体において、使用されるアミノアルコールは、化学式
(R3−n−N−(ROH)
(Nは窒素原子、RはH又は炭素数1〜20のアルキル基、Rは炭素数1〜20のアルキル基、nは1〜3の整数)
によって表されることを特徴とする請求項11又は12記載の樹脂組成物。
【請求項14】
(D)溶媒をさらに含有することを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項15】
前記(D)溶媒が窒素原子を有する溶媒であることを特徴とする請求項14記載の樹脂組成物。
【請求項16】
前記請求項11〜請求項15のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いて形成される膜状光学部材。
【請求項17】
膜厚が1〜1000μmの範囲である請求項16記載の膜状光学部材。
【請求項18】
(A)含金属高屈折中間体と、(B)ポリマ若しくはオリゴマ及び/又は(C)反応性モノマとを含有する樹脂組成物を製造する樹脂組成物製造方法であって、
前記(A)含金属高屈折中間体の成分を、チタンアルコキシドとアミノアルコールと水を混合し加熱することにより、加水分解による副生成物のアルコールを留去する第1の工程とを有して得る
ことを特徴とする樹脂組成物製造方法。
【請求項19】
前記第1の工程は、チタンアルコキシド、アミノアルコール、水の混合モル比を、n:m:lとした場合、l<n≦mとして前記チタンアルコキシドと前記アミノアルコールと前記水を混合し加熱することを特徴とする請求項18記載の樹脂組成物製造方法。
【請求項20】
前記(A)含金属高屈折中間体において、使用されるアミノアルコールは、化学式
(R3−n−N−(ROH)
(Nは窒素原子、RはH又は炭素数1〜20のアルキル基、Rは炭素数1〜20のアルキル基、nは1〜3の整数)
によって表されることを特徴とする請求項18又は19記載の樹脂組成物製造方法。
【請求項21】
(D)溶媒をさらに配合する第2の工程を有することを特徴とする請求項18〜20のいずれか1項に記載の樹脂組成物製造方法。
【請求項22】
前記第2の工程が配合する溶媒が窒素原子を有する溶媒であることを特徴とする請求項21記載の樹脂組成物製造方法。

【公開番号】特開2008−297537(P2008−297537A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262308(P2007−262308)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】