説明

樹脂被覆金属酸化物粒子およびその製造方法、透明被膜形成用塗布液および透明被膜付基材

【課題】有機溶剤、特に疎水性の高い有機溶媒を用いた透明被膜形成用塗布液に凝集することなく安定に分散させることのできる樹脂被覆金属酸化物粒子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】表面が、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリスルホン酸、セルロース類から選ばれる1種以上の樹脂で被覆された金属酸化物粒子の単粒または2個以上の凝集粒であって、平均一次粒子径(D1)が5〜250nmの範囲にあり、平均一次粒子径(D1)と平均二次粒子径(D2)との比(D2)/(D1)が1〜3の範囲にある樹脂被覆金属酸化物粒子。下記の工程(a)および(b)からなることを特徴とする樹脂被覆金属酸化物粒子の製造方法。(a)固形分濃度が0.5〜45重量%の範
囲にある金属酸化物粒子分散液に、ポリスチレン換算分子量が500〜150,000の範囲にあるポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリスルホン酸、セルロース類から選ばれる1種以上の樹脂を添加する工程、(b)イオン交換樹脂にて陰イオン濃度が金属酸化物粒子単位重量当たり1〜10000ppmとなるようにイオン除去する工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂で被覆した金属酸化物粒子およびその製造方法、ならびに樹脂被覆金属酸化物粒子を含む透明被膜形成用塗布液および透明被膜付基材とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガラス、プラスチックシート、プラスチックレンズ等の基材表面の耐擦傷性を向上させるため、基材表面にハードコート膜を形成することが知られており、このようなハードコート膜として有機樹脂膜あるいは無機膜をガラスやプラスチック等の表面に形成することが行われている。さらに、有機樹脂膜あるいは無機膜中に樹脂粒子あるいはシリカ等の無機粒子を配合してさらに耐擦傷性を向上させることが行われている。
【0003】
また、ガラス、プラスチックシート、プラスチックレンズ等の基材表面の反射を防止するため、その表面に反射防止膜を形成することが知られており、たとえば、コート法、蒸着法、CVD法等によって、フッ素樹脂、フッ化マグネシウムのような低屈折率の物質とマトリックス成分とからなる被膜をガラスやプラスチックの基材表面に形成したり、シリカ微粒子等の低屈折率微粒子を含む塗布液を基材表面に塗布して、反射防止被膜を形成する方法が知られている(たとえば、特開平7-133105号公報など参照)。このとき
、反射防止性能を高めるために反射防止被膜の下層に高屈折率の微粒子等を含む高屈折率膜を形成することも知られている。
【0004】
しかしながら、このような透明被膜形成用塗布液に微粒子を分散させると、マトリックス成分または分散媒と粒子の親和性が低い場合は粒子が凝集したり、塗布液の安定性が低下し、得られる透明被膜の透明性、ヘーズ等の他、耐擦傷性、強度、スクラッチ強度等が不充分となることがあった。
【0005】
このため、粒子をシランカップリング剤で表面処理して、粒子の分散性を向上させ、凝集を防止したり、塗布液の安定性を向上させることが広く行われている。
また、粒子にメカノケミカル法、グラフト重合法等で樹脂を被覆してマトリックス成分または分散媒との親和性を高めることが行われている。特開2008−55911号公報(特許文献1)、特開2008−9347号公報(特許文献2)、特開2007−86455号公報(特許文献3)、特開2007−321049号公報(特許文献4))
【特許文献1】特開2008−55911号公報
【特許文献2】特開2008−9347号公報
【特許文献3】特開2007−86455号公報
【特許文献4】特開2007−321049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、シランカップリング剤で表面処理した粒子は、塗布液に用いる分散媒によってはシランカップリング剤が脱離することがあり、このため粒子が凝集したり、塗布液の安定性が不充分となることがあった。
【0007】
また、従来の樹脂を被覆した粒子は、個々の粒子に均一に樹脂を被覆することが困難で、数個以上の凝集した粒子に樹脂が被覆され、得られたとしても樹脂が塗布液の溶媒に溶解することがあり、これを用いて得られる透明被膜は、透明性の低下、ヘイズの上昇、耐擦傷性の低下等の問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、このような問題点に鑑み鋭意検討した結果、金属酸化物粒子分散液に添加し、ついで、イオン交換樹脂にて処理すると個々の粒子に均一に樹脂を被覆することができ、さらに、アルコール溶媒置換およびついで行うシランカップリング剤処理が容易で、得られる樹脂被覆金属酸化物粒子は疎水性の高い有機溶媒に容易に置換することができ、且つ安定性に優れた透明被膜形成用塗布液が得られることを見出して本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明の目的は、有機溶剤、特に疎水性の高い有機溶媒を用いた透明被膜形成用塗布液に凝集することなく安定に分散させることのできる樹脂被覆金属酸化物粒子およびその製造方法、樹脂被覆金属酸化物粒子を含む透明被膜形成用塗布液および透明被膜付基材を提供することを目的としている。
【0010】
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1]表面が、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリスル
ホン酸、セルロース類から選ばれる1種以上である樹脂で被覆された金属酸化物粒子の単粒または2個以上の凝集粒であって、平均一次粒子径(D1)が5〜250nmの範囲にあり、平均一次粒子径(D1)と平均二次粒子径(D2)との比(D2)/(D1)が1〜3の範囲にあることを特徴とする樹脂被覆金属酸化物粒子。
[2]前記樹脂被覆金属酸化物粒子が、下記式(1)で表される有機ケイ素化合物で表面処理されている[1]の樹脂被覆金属酸化物粒子。
【0011】
n-SiX4-n (1)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
[3]樹脂被覆金属酸化物粒子中に、樹脂が、固形分として0.5〜50重量%の範囲で含
まれている[1]または[2]の樹脂被覆金属酸化物粒子。
[4]前記樹脂が、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンからな
る群から選ばれる少なくとも1種である[1]〜[3]の樹脂被覆金属酸化物粒子。
[5]前記金属酸化物粒子が、TiO2、SiO2、ZrO2、Al23、Sb25、ZnO、
およびこれらの複合酸化物、酸化錫、SbまたはPがドープされた酸化錫、酸化インジウム、SnまたはFがドーピングされた酸化インジウム、酸化アンチモン、低次酸化チタンからなる群から選ばれる1種以上である[1]〜[4]の樹脂被覆金属酸化物粒子。
[6]下記の工程(a)および(b)からなることを特徴とする樹脂被覆金属酸化物粒子の
製造方法。
(a)固形分濃度が0.5〜45重量%の範囲にある金属酸化物粒子分散液に、ポリスチレン
換算分子量が500〜150,000の範囲にあるポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリスルホン酸、セルロース類から選ばれる1種以上の樹脂を添加する工程、
(b)イオン交換樹脂にて陰イオン濃度が金属酸化物粒子単位重量当たり1〜10000ppmとなるようにイオン除去する工程。
[7]得られる樹脂被覆金属酸化物粒子の平均一次粒子径(D)が5〜250nmの範囲
にあり、平均一次粒子径(D1)と平均二次粒子径(D2)との比(D2)/(D1)が1〜3の範囲にある[6]の樹脂被覆金属酸化物粒子の製造方法。
[8]前記工程(a)の樹脂添加後のpHが3〜11の範囲にあり、樹脂添加後のSO42-、NO3-、Cl-、Br-、I-、F-、PO42-、およびカルボン酸イオンからなる陰イオン
濃度が、金属酸化物粒子単位重量あたり500〜100,000ppmの範囲にあり、前記
工程(b)のイオン交換樹脂で処理した後のpHが2〜10の範囲にある[6]または[7]の
樹脂被覆金属酸化物粒子の製造方法。
[9]前記工程(a)において、樹脂被覆金属酸化物粒子中の含有量が、固形分として0.
5〜50重量%の範囲となるように樹脂を添加する[6]〜[8]の樹脂被覆金属酸化物粒子の製造方法。
[10]前記工程(b)についで、下記工程(c)、ついで工程(d)を行うことを特徴とする[6]〜[9]の樹脂被覆金属酸化物粒子の製造方法。
(c)樹脂被覆金属酸化物粒子分散液をアルコールで溶媒置換する工程
(d)下記式(2)で表される有機ケイ素化合物で表面処理する工程。
【0012】
n-SiX4-n (2)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
[11]前記工程(d)についで、下記工程(e)を行う[6]〜[10]の樹脂被覆金属酸化物粒
子の製造方法。
(e)表面処理樹脂被覆金属酸化物粒子分散液を有機溶媒で置換する工程
[12]前記有機溶媒が、アルコール類、エステル類、グリコール類、エーテル類、ケトン類、芳香族炭化水素(トルエン)からなる群から選ばれる1種以上である[6]〜[11]の樹脂
被覆金属酸化物粒子の製造方法。
[13]前記有機溶媒がアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジプロピルケトン、メチルペンチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類から選ばれる1種以上である[6]〜[12]
の樹脂被覆金属酸化物粒子の製造方法。
[14]前記工程(d)で表面処理して得られた樹脂被覆金属酸化物粒子中の有機ケイ素化合物の含有量がRnSiO(4-n)/2で表して1〜60重量%の範囲にある[13]の樹脂被覆金属
酸化物粒子の製造方法。
[15]前記金属酸化物粒子が、TiO2、SiO2、ZrO2、Al23、Sb25、ZnO、およびこれらの複合酸化物、酸化錫、SbまたはPがドープされた酸化錫、酸化インジウム、SnまたはFがドーピングされた酸化インジウム、酸化アンチモン、低次酸化チタンから選ばれる1種以上である[6]〜[14]の樹脂被覆金属酸化物粒子の製造方法。
[16]マトリックス形成成分と[1]〜[5]の樹脂被覆金属酸化物粒子と有機溶媒とを含んでなることを特徴とする透明被膜形成用塗布液。
[17]基材と、基材上に形成された透明被膜とからなり、該透明被膜が[16]の透明被膜形成用塗布液を用いて形成されたことを特徴とする透明被膜付基材。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、有機溶媒、特に疎水性の高い有機溶媒を用いた透明被膜形成用塗布液に凝集することなく安定に分散させることができる樹脂被覆金属酸化物粒子およびその製造方法、樹脂被覆金属酸化物粒子を含む安定性に優れた透明被膜形成用塗布液および透明性、ヘーズ、耐擦傷性、強度、スクラッチ強度等に優れた透明被膜付基材を提供することができる。
【0014】
なお、疎水性の高い有機溶媒が用いられる理由としては、透明被膜形成のために使用するマトリックス成分との相溶性が高く、製膜性が高いためである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明について、詳細に説明する。
樹脂被覆金属酸化物粒子
本発明に係る樹脂被覆金属酸化物粒子は、表面が樹脂で被覆された金属酸化物粒子であって、平均一次粒子径(D1)が5〜200nmの範囲にあり、平均二次粒子径(D2)が
5〜500nmの範囲にあり、平均一次粒子径(D1)と平均二次粒子径(D2)との比(D2)/(D1)が1〜3の範囲にあることを特徴としている。
(金属酸化物粒子)
本発明に用いる金属酸化物粒子としては、従来、透明被膜に用いられる公知の金属酸化物粒子を用いることができる。
【0016】
具体的にはTiO2、SiO2、ZrO2、Al23、Sb25、ZnO、およびこれらの複合酸化物、酸化錫、SbまたはPがドープされた酸化錫、酸化インジウム、SnまたはFがドーピングされた酸化インジウム、酸化アンチモン、低次酸化チタンから選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
【0017】
金属酸化物粒子は用途によって適宜選択して用いることができ、例えば、反射防止膜に用いる金属酸化物微粒子としては通常屈折率が1.45以下、好ましくは1.40以下の金属酸化物微粒子が用いられ、具体的にはSiO2、内部に空洞を有するSiO2、あるいはこれらに導電性を有する金属酸化物を被覆した微粒子等が挙げられる。内部に空洞を有するSiO2粒子としては本願出願人の出願による特開2001−233611号公報に開示した内部に空洞を有するシリカ系微粒子は好適に採用することができる。
【0018】
ハードコート膜に用いる金属酸化物微粒子としては、ZrO2、TiO2、Sb25、ZnO
、Al23、SnO2、あるいは前記した屈折率が1.45以下のシリカ系微粒子等が挙げ
られる。
【0019】
高屈折率膜に用いる金属酸化物微粒子としては、通常屈折率が1.60以上、さらには1.80以上の微粒子が用いられ、具体的にはZrO2、TiO2、Sb25、ZnO2、Al23、SnO2、アンチモンドープ酸化錫、錫ドープ酸化インジウム、リンドープ酸化錫(P
TO)等が挙げられる。例えば、屈折率の高いPET基材の場合は透明被膜と基材との屈折率を近似させるために屈折率の高い酸化チタン粒子等は好適に用いることができる。
【0020】
導電性膜に用いる金属酸化物微粒子としては、通常Sb25、SnO2、アンチモンドー
プ酸化錫、錫ドープ酸化インジウム、リンドープ酸化錫(PTO)、あるいはこれら導電性材料で表面を被覆したシリカ系微粒子あるいは内部に空洞を有するシリカ系微粒子等が挙げられる。
【0021】
金属酸化物粒子の平均粒子径は概ね5〜200nm、さらには5〜150nmの範囲にあることが好ましい。金属酸化物粒子の平均粒子径が小さすぎると、粒子自体が凝集やすくなり、その結果、凝集した樹脂被覆金属酸化物粒子が得られ、透明被膜の透明性、強度、基材との密着性等が不充分となることがある。一方、平均粒子径が大きすぎると、透明被膜の透明性、強度、基材との密着性等が不充分となることがある。
(被覆樹脂)
本発明に用いる被覆樹脂としては、ポリアクリル酸樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリスルホン酸、セルロース類から選ばれる1種以上の樹脂が用いられる。これらの中でも、ポリアクリル酸樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンが好ましい。
【0022】
これらの樹脂は、微粒子への均一に被覆が可能であり、後述する透明被膜形成用塗布液に用いるマトリックス成分、有機溶媒との親和性も高く、樹脂被覆金属酸化物粒子の分散性に優れているので好適に用いることができる。
【0023】
また、被覆用樹脂は分子量(ポリスチレン換算分子量)が500〜150,000、さらには1,000〜100,000の範囲にあることが好ましい。分子量がこの範囲にあ
れば、粒子表面と結合したときいn立体障害的な反発力が高く、疎水性有機溶剤との親和性も高く、凝集しにくい。被覆用樹脂の分子量が小さすぎると、粒子表面と結合しても側鎖が短いために立体障害的な反発力が不充分となるためか、疎水性有機溶剤との親和性が低く凝集を伴うことがある。被覆用樹脂の分子量が高すぎると、金属酸化物粒子表面に積層させることが困難となる傾向にある。
【0024】
樹脂被覆金属酸化物粒子中の樹脂含有量は、固形分として0.5〜50重量%、さらには1〜30重量%の範囲にあることが好ましい。含有量がこの範囲にあれば、マトリックス成分、有機溶媒との親和性が高く、優れた分散性を有する樹脂被覆金属酸化物粒子が得られる。含有量が少なければ塗布液に用いる有機溶剤やマトリックス成分への分散性、安定性が乏しく、得られる透明被膜も透明性が低く、ヘーズが高くなる場合がある。また、樹脂の含有量が多すぎると、粒子への積層(付着、吸着)が困難となることから、得ることが困難であり、得られたとしても、さらに分散性、安定性、透明被膜の透明性、ヘーズが向上することもなく、用いる金属酸化物粒子の特性、例えば高屈折率、あるいは低屈折率等の特性が充分発揮できない場合がある。
【0025】
樹脂被覆金属酸化物粒子は、通常単粒であるか、複数個の凝集粒である。なお、凝集粒であっても、表面の樹脂によって凝集しているので、その接着力は弱く、容易にほぐれる。
【0026】
樹脂被覆金属酸化物粒子の平均一次粒子径(D1)が5〜250nm、さらには5〜2
20nmの範囲にあることが好ましい(ただし、被覆前の金属酸化物粒子の平均粒子径よりは大きい)。樹脂被覆層の厚さは、0.5〜5nm、好ましくは0.5〜3nmの範囲にあることが望ましい。
【0027】
樹脂被覆金属酸化物粒子の平均一次粒子径(D1)が被覆前の金属酸化物の平均粒子径
よりも小さくなることはなく、樹脂被覆金属酸化物粒子の平均一次粒子径(D1)が大き
すぎると、透明被膜の透明性やヘーズが不充分となる場合がある。
【0028】
樹脂被覆金属酸化物粒子の平均二次粒子径(D2)の下限は、一次粒子径(D1)と同程度であり、平均二次粒子径(D2)が大きくなりすぎると、凝集粒自体が大きくなってし
まうので、塗布液中での分散安定性が不充分となることがあり、さらに、透明被膜の透明性、ヘーズ、強度、基材との密着性等が不充分となることがある。
【0029】
また、前記平均一次粒子径(D1)と平均二次粒子径(D2)との比(D2)/(D1)は1〜3、さらには1〜2.5の範囲にあることが好ましい。(D2)/(D1)が1未満になることはない。
【0030】
(D2)/(D1)が3を越えると粒子の凝集が大きく、粒子径によっても異なるが透明被膜の透明性、ヘーズ、強度、基材との密着性等が不充分となることがある。
なお、(D2)/(D1)が1の場合、(D2)/(D1)も上記範囲にあれば、凝集も小さくさらに、粒子相互の凝集も弱いので、分散性に優れている。
【0031】
本発明では、平均一次粒子径(D1)は、透過型電子顕微鏡写真(TEM)を撮影し、
粒子の凝集状態を観察するとともに100個の粒子について粒子径を測定し、その平均値として求めることができる。
【0032】
また、平均二次粒子径(D2)は、光散乱法によって測定することができる。
前記樹脂被覆金属酸化物粒子は、下記式(1)で表される有機ケイ素化合物で表面処理さ
れていることが好ましい。
n-SiX4-n (1)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
前記式(1)で表される有機ケイ素化合物としては、具体的には、メチルトリメトキシシ
ラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル-3,3,3−トリフルオロプロピ
ルジメトキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリエキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ-(
メタ)アクリロオキシメチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルト
リエキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメト
キシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエト
キシシラン、ブチルトリメトキシシラン、、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラオクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、3-ウレイドイソプロピルプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピ
ルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン等が挙げられる。
【0033】
表面処理された樹脂被覆金属酸化物粒子中の有機ケイ素化合物の含有量がRnSiO(4-n)/2で表して1〜60重量%、さらには2〜50重量%の範囲にあることが好ましい。
表面処理有機ケイ素化合物の含有量が少なければ、表面処理が不十分でありマトリックス成分、アルコール溶媒中での分散性、安定性が低く、塗布液の安定性が不充分となり、得られる透明被膜の透明性が不充分となる場合がある。有機ケイ素化合物の含有量が多すぎると、樹脂被覆金属酸化物粒子に強固に結合した有機ケイ素化合物以外に、容易に脱離しやすい有機ケイ素化合物あるいは有機ケイ素化合物の部分加水分解物が増加し、透明被膜を形成する際に基材との濡れ性が悪くハジキや塗布ムラ等の不具合が発生する場合がある。
【0034】
このような本発明に係る樹脂被覆金属酸化物粒子は以下の製造方法によって製造することができる。
樹脂被覆金属酸化物粒子の製造方法
本発明に係る製造方法は、以下の工程を含む。
(a)所定の固形分濃度の金属酸化物粒子分散液に、ポリスチレン換算分子量が500〜150,000の範囲にある樹脂を添加する工程
(b)イオン交換樹脂にて陰イオン濃度が金属酸化物粒子単位重量当たり1〜10000ppmとなるようにイオン除去する工程。
工程(a)
(a)金属酸化物粒子分散液に、ポリスチレン換算分子量が500〜150,000の範囲にある樹脂を添加する。
【0035】
本発明に用いる金属酸化物粒子としては、前記金属酸化物粒子が用いられる。
金属酸化物粒子分散液の分散媒としては、水、アルコール類、グリコール類やその混合溶剤が用いられる。
【0036】
また、被覆用樹脂も前記したものが使用される。
被覆用樹脂の使用量は、得られる樹脂被覆金属酸化物粒子中に固形分として0.5〜50重量%、さらには1〜30重量%の範囲となるように用いることが好ましい。
被覆用樹脂の使用量が、得られる樹脂被覆金属酸化物粒子中に固形分として0.5重量%未満の場合は、塗布液に用いる有機溶剤やマトリックス成分への分散性、安定性が乏しく、得られる透明被膜も透明性が低く、ヘーズが高くなる場合がある。
被覆用樹脂の使用量が50重量%を超えるものは、樹脂の積層が困難となることから、得ることが困難であり、得られたとしても、さらに分散性、安定性、透明被膜の透明性、ヘーズが向上することもなく、用いる金属酸化物粒子の特性、例えば高屈折率、あるいは低屈折率等の特性が充分発揮できない場合がある。
【0037】
金属酸化物粒子分散液の固形分濃度は、特に制限されないが、作業性や効率などの観点から、0.5〜45重量%、好ましくは1.0〜40重量%の範囲にあることが望ましい。
金属酸化物粒子分散液に被覆用樹脂を添加した後の分散液の濃度は、固形分として1〜50重量%、さらには1〜40重量%の範囲にあることが好ましい。
【0038】
なお、添加後の分散液濃度が低いと、工程(b)での生産効率、量産性が乏しく、経済的でなく、分散液濃度が高すぎると、過度に凝集した粒子となり、得られる透明被膜の透明性、ヘーズ、強度、基材との密着性等が不充分となることがある。
【0039】
金属酸化物粒子分散液中には、金属酸化物粒子単位重量当たり500〜100000ppm、さらには1000〜50000ppmに相当する陰イオンが存在することが好ましい。
通常、分散液には、陰イオンとして、SO42-、NO3-、Cl-、Br-、I-、F-、PO43-、およびシュウ酸、フタル酸、酒石酸、クエン酸、マレイン酸、酢酸、蟻酸等のカルボン酸イオンが挙げられる。これら陰イオンは金属酸化物粒子中に含まれるもの、あるいは必要に応じて添加する陰イオンである。
【0040】
前記陰イオン存在量が少ないと、樹脂の分子量によっても異なるが粒子表面のイオンが少なく、粒子表面への樹脂の吸着が不充分となる場合がある。
前記陰イオン存在量が多すぎると、金属酸化物粒子が凝集し、凝集粒子を樹脂被覆することになり、一次平均粒子径も大きくなりすぎる場合があり、本発明の樹脂被覆金属酸化物粒子としては不適である。
【0041】
つぎに、樹脂を添加した後の分散液のpHは、一般的には、用いる金属酸化物の等電点付近や溶解領域pHより離れたpHが好ましく、具体的には3〜11、さらには4〜10.5の範囲にあることが好ましい。pHが低ければ金属酸化物粒子が凝集する場合があり、高すぎると金属酸化物粒子が溶解する場合がある。
【0042】
この時の分散液は、必要に応じて前記範囲にpHおよび陰イオン濃度を調製することができ、pH調整法は、硝酸、塩酸、硫酸、等の無機酸や蟻酸、酢酸、クエン酸等の有機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等のアルカリを用いて調整して行えばよく、また、陰イオン濃度調整法は、前記した、陰イオンを含む塩や酸を添加すればよい

【0043】
この工程(a)によって、陰イオンを吸着した金属酸化物微粒子と樹脂が均一に、安定に
分散した分散液が得られる。
工程(a)でのこの時の分散液の温度は10〜60℃の範囲にあることが好ましい。温度
範囲を外れると、粒子成分の溶解が増大し、安定性が低下したり、樹脂被覆が不均一になったり、(D2)/(D1)が高くなるなどの問題が生じたり、樹脂被覆が不均一になる場合がある。
工程(b)
工程(a)で得られた分散液を、次にイオン交換樹脂にて陰イオン濃度が金属酸化物粒子
単位重量当たり1〜10,000ppm、さらに好ましくは5〜7,000ppmとなるようにイオン除去する。
【0044】
イオン交換樹脂としては、陰イオン交換樹脂、両イオン交換樹脂が用いられる。
イオン交換樹脂処理により、陰イオン濃度の低下とともに樹脂が被覆されるが、そのメカニズムは明らかでないものの、もとの金属酸化物粒子表面の陰イオンと樹脂が置換する形で、イオン交換樹脂が陰イオンをトラップするとともに樹脂が金属酸化物粒子表面に積層することが考えられる。
【0045】
イオン交換樹脂の使用量は、イオン交換樹脂のイオン交換容量によっても異なるが、金属酸化物粒子に対して1〜300重量%、さらには2〜100重量%の範囲が好ましい。
このとき、イオン交換樹脂で処理すると分散液のpHが低下し、イオン交換樹脂でした後のpHが2〜10、さらには2〜9.5の範囲となるように用いる。
【0046】
処理後のpHが低すぎると、イオン濃度が低くなり、樹脂で被覆できても金属酸化物粒子が溶解する場合があり、処理後のpHが高すぎると、後述する透明被膜形成用塗布液に用いた場合、マトリックス成分をケン化して、得られる透明被膜の基材との密着性、透明性、強度等が不充分となる場合がある。
【0047】
通常、工程(b)によって、pHは0.5〜7.5、好ましくは1〜6程度下がることが望ましい。
また陰イオン濃度は、5000〜90000ppm、好ましくは5000〜50000ppm低下していることが望ましい。
【0048】
本発明の樹脂被覆金属酸化物粒子の製造方法では、前記工程(b)についで、下記工程(c)、ついで工程(d)を行うことができる。
工程(c)
工程(b)で得られた樹脂被覆金属酸化物粒子分散液をアルコール溶媒置換する。
アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。
置換方法としては、限外濾過膜法、蒸留法等従来公知の方法を採用することができる。
なかでも、限外濾過膜法は、過熱することがないので粒子の高い安定性を即なうことが無く好適に用いることができる。樹脂被覆金属酸化物粒子アルコール分散液の濃度は固形分として概ね10〜50重量%の範囲にあることが好ましい。
工程(d)
下記式(2)で表される有機ケイ素化合物で表面処理する。
n-SiX4-n (2)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
前記式(2)で表される有機ケイ素化合物としては、前記した有機ケイ素化合物が挙げら
れる。
【0049】
有機ケイ素化合物の使用量は、表面処理して得られた樹脂被覆金属酸化物粒子中の有機ケイ素化合物の含有量がRnSiO(4-n)/2に換算して1〜60重量、さらには2〜50重量%の範囲となるように用いることが好ましい。このような量で処理すれば、前記したように塗布液の安定性が高く、透明性に優れた透明被膜を形成できる。
【0050】
有機ケイ素化合物は通常アルコール溶液として添加する。
有機ケイ素化合物を添加した樹脂被覆金属酸化物粒子アルコール分散液の濃度は固形分として5〜60重量%、さらには5〜30重量%の範囲にあることが望ましい。
【0051】
また、有機ケイ素化合物を樹脂被覆金属酸化物粒子アルコール分散液に添加したのち、水を添加してもよい。水の添加量は有機ケイ素化合物の加水分解性基が加水分解するに足る充分な量とするが、水のモル数(MH2O)と有機ケイ素化合物のモル数(MSC)とのモ
ル比(MH2O)/(MSC)が2〜50、さらには4〜30の範囲にあることが好ましい。
【0052】
水を添加することで、加水分解が促進され、同時に有機珪素化合物と樹脂被覆金属酸化物粒子との結合が促進され、分散性に優れた樹脂被覆金属酸化物粒子が得られる。
さらに、有機ケイ素化合物を添加する際に、必要に応じて有機ケイ素化合物の加水分解用触媒を添加してもよい。
【0053】
加水分解用触媒としてはアルカリ金属水酸化物、NH4OH、塩酸、硝酸、蟻酸等が用
いられるが、本発明ではNH4OHが好適に用いられる。
加水分解用触媒のモル数(MHC)はとくに制限されないが、有機ケイ素化合物のモル数(MSC)とのモル比(MHC)/(MSC)が、1〜100、さらには2〜50の範囲にあることが望ましい。
【0054】
有機ケイ素化合物を添加した樹脂被覆金属酸化物粒子アルコール分散液は、撹拌しながら有機ケイ素化合物を加水分解させて樹脂被覆金属酸化物粒子の表面処理を行う。この時、40〜100℃の加温下で熟成することが好ましい。熟成を行うと有機溶剤やマトリックス成分との混合安定性に優れた表面処理樹脂被覆金属酸化物粒子を得ることができる。
【0055】
得られた、表面処理した樹脂被覆金属酸化物粒子アルコール分散液はそのまま透明被膜形成用塗布液等に用いることができるが、限外濾過膜法等で洗浄とともに所望の有機溶媒に置換して用いることもできる。
【0056】
本発明では、有機溶媒としてメタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール(IPA)、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコールなどのアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプルピル、酢酸プルピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、酢酸ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸シクロヘキシル、エチレングリコールモノアセテート等のエステル類、エチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソプルピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プルピレングリコールものエチルエーテルなどのエーテル類を含む親水性溶媒、酢酸プルピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、酢酸ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸シクロヘキシル、エチレングリコールものアセタートなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルメチルケトン、シ
クロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジプロピルケトン、メチルペンチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類;トルエンから選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
【0057】
特に、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジプロピルケトン、メチルペンチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類から選ばれる1種以上の有機溶媒は好適に用いることができる。
【0058】
このようなケトン系の有機溶媒は、後述する透明被膜形成用塗布液の有機溶媒としても用いられ、樹脂との相溶性、安定性等に優れた塗布液が得られ、このような透明被膜形成用塗布液を用いて形成された透明被膜は、表面の均一性が高く、透明性、耐擦傷性等に優れている。
透明被膜形成用塗布液
本発明に係る透明被膜形成用塗布液は、前記樹脂被覆金属酸化物粒子とマトリックス形成成分と有機溶媒とを含む。
【0059】
透明被膜形成用塗布液中の樹脂被覆金属酸化物粒子の含有量は、固形分換算で、0.1〜50重量%、さらには0.2〜40重量%の範囲にあることが好ましい。
前記濃度が薄いと、粒子の量が少ないために粒子の特性(耐擦傷性、低屈折率、高屈折率等)による耐擦傷性、反射防止性能等が不充分となる場合があり、また、複数回塗布工程が必要となるなど効率でない。また前記濃度が高すぎると、基材との密着性、透明性、ヘーズ、耐擦傷性等が不充分となる場合がある。
【0060】
マトリックス形成成分としては、有機樹脂系マトリックス形成成分が好適に用いられる。
有機樹脂系マトリックス成分として、具体的には塗料用樹脂として公知の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等のいずれも採用することができる。たとえば、従来から用いられているポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーンゴムなどの熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、ブチラール樹脂、反応性シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂などの熱硬化性樹脂などが挙げられる。さらにはこれら樹脂の2種以上の共重合体や変性体であってもよい。
【0061】
これらの樹脂は、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂、親水性樹脂であってもよい。さらに、あるいは紫外線硬化樹脂や電子線硬化性樹脂を使用してもよい。なお、熱硬化性樹脂の場合、硬化触媒が含まれていてもよい。
【0062】
また、有機樹脂系マトリックス形成成分として、具体的には水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基等の官能基を有する多官能(メタ)アクリル酸エステル樹脂を使用することも可能である。具体的にはヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールジメタクリレート、ブトキシジエチレングリコールメタクリレートおよびこれらの混合物あるいはこれら樹脂の2種以上の共重合体や変性体であってもよい。さらにまた、ビニル基、ウレタン基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、CF2基等の官能基を有する多官能(メタ)アクリル酸エステル樹脂も好適に採用可能で
ある。具体的にはペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロール
プロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメテクリレート、イソデシルメテクリレート、n-ラウリルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、トリフロロエチルメテクリレート、ウレタンアクリレート等およびこれらの混合物が挙げられる。
【0063】
さらに、本発明では、マトリックス形成成分として、シリコーン系(ゾルゲル系)マトリックス形成成分である下記式(3)で表される有機珪素化合物またはこれらの加水分解物
、加水分解重縮合物を用いることもできる。
n-SiX4-n (3)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、シラノール基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数)
具体的には、シリコーン系(ゾルゲル系)マトリックス形成成分としてテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル-3,3,3−
トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリエキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリエキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリメトキシシラ
ン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン
、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラオクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、3-ウレイドイソプロピルプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン等およびこれらの部分加水分解物、加水分解重縮合物が挙げられる。
【0064】
透明被膜形成用塗布液中のマトリックス形成成分の濃度は、固形分として1〜60重量%、さらには2〜50重量%の範囲にあることが好ましい。なお、塗布液中のマトリックス形成成分と樹脂被覆金属酸化物粒子の合計が100重量%を超えることはない。
【0065】
マトリックス形成成分の濃度が少ないと一回の塗布では所定の膜厚が得られないことがあり、塗布、乾燥を繰り返す必要があったり、また場合によって、粒子が多くなりすぎる
ことも有り密着性等が不充分となったり、経済性において不利である。マトリックス形成成分の濃度が固形分として60重量%を越えると得られる透明被膜の厚さが不均一になる傾向がある。
【0066】
また、塗布液中のマトリックス形成成分と樹脂被覆金属酸化物粒子との重量比(M(マトリックス):P(粒子))は、95:5〜10:90、好ましくは90:10〜20:80の範囲にあるこ
とが望ましい。
【0067】
有機溶媒
本発明に用いる有機溶媒としては前記マトリックス形成成分、必要に応じて用いる重合開始剤を溶解あるいは分散できるとともに前記した樹脂被覆金属酸化物粒子または表面処理した樹脂被覆金属酸化物粒子を均一に分散することができれば特に制限はなく、従来公知の溶媒を用いることができる。
【0068】
具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール(IPA)、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプロピルグリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、酢酸ブチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、トルエン、シクロヘキサノン、イソホロン等が挙げられる。
【0069】
これらは単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用することもできる。
本発明では、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジプロピルケトン、メチルペンチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類が好適に用いられる。これらケトン系の有機溶媒を用いると透明被膜形成用塗布液はマトリックス成分との相溶性に優れ、これを用いて得られる透明被膜は、表面の均一性が高く、透明性、ヘーズ、耐擦傷性等に優れている。
【0070】
透明被膜形成用塗布液中のマトリックス形成成分と樹脂被覆金属酸化物粒子との合計濃度は、固形分として1〜60重量%、さらには2〜50重量%の範囲にあることが好ましい。
【0071】
前記合計濃度が低すぎると、一回の塗布では所定の膜厚が得られないことがあり、塗布、乾燥を繰り返すと密着性等が不充分となったり、効率が低いこともある。また、濃度が高すぎると、得られる透明被膜の厚さが不均一になる場合がある。
【0072】
上記した透明被膜形成用塗布液をディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、バーコート法、グラビア印刷法、マイクログラビア印刷法等の周知の方法で基材に塗布し、乾燥し、紫外線照射、加熱処理等常法によって硬化させることによって透明被膜を形成することができる。
透明被膜付基材
本発明に係る透明被膜付基材は、基材上に透明被膜が形成された透明被膜付基材であって、該透明被膜がマトリックス成分と前記した樹脂被覆金属酸化物粒子とを含んでなることを特徴としている。
【0073】
本発明に用いる基材としては、従来公知のものを特に制限なく使用することが可能であり、ガラス、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロポリオレフィン、ノルボルネン等のプラスチックシート、プラスチックフィルム等、プラスチックパネル等があげられる。中でも樹脂系基材を好適に用いることができる。また、このような基材上に、他の被膜が形成された被膜付基材を用いこともできる。他の被膜としては従来公知のプライマー膜、ハードコート膜、高屈折率膜、導電性膜等が挙げられる。
【0074】
樹脂被覆金属酸化物粒子としては前記したと同様のものが用いられる。
透明被膜中の樹脂被覆金属酸化物微粒子の含有量は固形分として0.2〜90重量%、さらには0.5〜80重量%の範囲にあることが好ましい。樹脂被覆金属酸化物微粒子の含有量が少なければ、粒子の量が少ないために粒子の特性(耐擦傷性、低屈折率、高屈折率等)による耐擦傷性、反射防止性能等が不充分となる場合があり、多すぎても、却ってマトリックス成分が少なく、基材との密着性、透明性、ヘーズ、耐擦傷性等が不充分となる場合がある。
【0075】
マトリックス成分としては、前記した有機樹脂系マトリックス形成成分またはシリコーン系(ゾルゲル系)マトリックス形成成分に由来するものである。なお、熱硬化性樹脂マトリックス形成成分や加水分解性のシリコーン系マトリックス形成成分では、マトリックス成分は、硬化物、重合物、加水分解・重縮合物などの反応物となっている。また、熱可塑性樹脂マトリックスのように、反応や変化しないものは、マトリックス形成成分がマトリックス成分となっている。
【0076】
透明被膜中のマトリックス成分量は固形分として10〜99.8重量%、さらには20〜99.5重量%の範囲にあることが好ましい(ただし、樹脂被覆金属酸化物微粒子の合計量が100重量%を越えることはない)。
【0077】
マトリックス成分の含有量が少ないと、基材との密着性、透明性、ヘーズ、耐擦傷性等が不充分となる場合がある。マトリックス成分の含有量が多すぎると、粒子の量が少ないために粒子の特性(耐擦傷性、低屈折率、高屈折率等)による耐擦傷性、反射防止性能等が不充分となる場合がある。
【0078】
本発明に係る透明被膜の膜厚は、用途によっても異なるが概ね30nm〜50μm、さらには、70nm〜40μmの範囲にあることが好ましい。
透明被膜の膜厚が薄いと、反射防止性能が不充分となることがある。また、透明被膜の膜厚が厚いと、透明被膜にクラックを生じたり、プラスチック等の基材ではカーリング(湾曲あるいは反り)を生じる場合がある。
【0079】
本発明に係る透明被膜付基材は、前記した透明被膜形成用塗布液を基材上に塗布し、乾燥し、硬化させることによって製造することができる。
具体的には、透明被膜形成用塗料をディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、バーコート法、スリットコーター印刷法、グラビア印刷法、マイクログラビア印刷法等の周知の方法で基材に塗布し、乾燥し、紫外線照射、加熱処理等常法によって硬化させることによって透明被膜を形成することができる。防弦性を有する透明被膜付基材を製造する場合はロールコート法、スリットコーター印刷法、グラビア印刷法、マイクログラビア印刷法が推奨される。
【0080】
さらに、本発明の透明被膜付基材には、基材と前記透明被膜との間に前記透明被膜と異なる他の被膜を設けることができる。他の被膜としては、従来公知のプライマー膜、ハー
ドコート膜、高屈折率膜、導電性膜、低屈折率膜、アンチグレア膜、赤外線遮蔽膜、紫外線遮蔽膜等が挙げられる。
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
樹脂被覆金属酸化物粒子(B-1)の調製
硫酸チタンを純水に溶解し、TiO2として、0.4重量%を含む水溶液を得た。この水溶液
を撹拌しながら、この水溶液に15重量%アンモニア水を徐々に添加し、pH8.5の白色スラ
リー液を得た。このスラリーを濾過した後洗浄し、固形分濃度が9重量%である含水チタン酸ゲルのケーキを得た。
【0081】
このケーキ5.55Kgに、33重量%過酸化水素6.06Kgと純水13.4Kgとを加えた後、80℃で5時間加熱し、TiO2として2.0重量%の溶液25Kgを得た。このチタン酸水溶液は、黄褐色透
明で、pHは8.1であった。
【0082】
次に、粒子径が7mμであり濃度が15重量%であるシリカゾル130gと、上記チタン酸水溶液9Kgと、純水10.8Kgとを混合した後、95℃で624時間加熱した。溶液は最初黄褐色液で
あつたが、624時間後には乳白色透明なコロイド液となった。
【0083】
このようにして得られたコロイド液を真空蒸発法で濃縮したところ、表1に示す物性の酸化チタン粒子が得られた。固形分濃度がTiO2として20重量%、SO42-イオンがTiO2固形分にして3000ppm含まれ、pHが8.5の酸化チタン粒子(A-1)が得られた。その
粒子のTEMを撮影し、100個の粒子について粒子径を測定し、これを平均した一次粒子径(D1)は20nmであり、光散乱法(大塚電子株製PER-III)による測定した2
次粒子径(D2)を求め、(D2)/(D1)を粒子の凝集程度を表す使用として用いる。
【0084】
その後、得られた酸化チタン粒子(A-1)100gにポリビニルピロリドン(関東化学
製 K-30 平均分子量10000)を2g添加し両性イオン交換樹脂(三菱化学製 SMNUPB)10g添加し50℃で3時間攪拌し樹脂分離を行った。その際のpHは4.5であった。その後
限外ろ過膜を用いてメタノールに置換して樹脂被覆メタノール分散酸化チタン粒子(B-1
)を得た。得られた粒子の物性は表-1に示す。
【0085】
透明被膜形成用塗布液(C-1)の調製
上記で得られた樹脂被覆メタノール分散酸化チタン粒子30g、マトリックスとしてヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)20gと2
−ヒドロキ−3アクリロイロキシプロピルメタクレート(共栄社化学(株)製:ライトエステルG−201P)4gに、光開始剤(チバスプシャリティ(株)製イルガキュア184、
IPAで溶解、固形分濃度10重量%)0.35gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル31.65g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(C-1)を調製した。
【0086】
透明被膜付基材(D-1)の調製
透明被膜形成用塗布液(C-1)をPETフィルム(厚さ100μm、屈折率1.65、基
材透過率88.0%、Haze 1.0%、反射率5.1%)にバーコーターで塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)を1分間照射して硬化させて透明被膜付基材(D-1)を調製した。このときの透明被膜の膜厚は5μmであった。
【0087】
得られた透明被膜付基材(D-1)の表面抵抗値、全光線透過率、ヘーズ、波長550nm
の光線の反射率を測定し、結果を表1に示す。
全光線透過率およびヘーズはヘーズメーター(日本電色(株)製:NDH2000)により、反射率は分光光度計(日本分光社製:Ubest−55)により夫々測定した。
【0088】
また、密着性、鉛筆硬度を以下の方法および評価基準で評価し、結果を表1に示した。
密着性
ハードコート機能付き反射防止膜付基材(1)の表面にナイフで縦横1mmの間隔で1
1本の平行な傷を付け100個の升目を作り、これにセロハンテ−プを接着し、ついで、セロハンテ−プを剥離したときに被膜が剥離せず残存している升目の数を、以下の4段階に分類することにより密着性を評価した。結果を表に示す。
【0089】
残存升目の数100個 :◎
残存升目の数90〜99個 :○
残存升目の数85〜89個 :△
残存升目の数84個以下 :×
鉛筆硬度
JIS−K−5400に準じて鉛筆硬度試験器により測定した。
[実施例2]
樹脂被覆金属酸化物粒子(B-2)の調製
実施例1の樹脂被覆メタノール分散酸化チタン粒子(B-1)20gに、γ-アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン1.48g(信越化学(株)製:KBM−5103、SiO2
成分81.2重量%)を混合し超純水を10g添加し50℃で5時間攪拌して表面処理をしロータリーエバポレーターで濃縮し表面処理酸化チタン粒子(B−2)固形分20.0重量%を得た。
【0090】
透明被膜形成用塗布液(C-2)の調製
上記で得られた樹脂被覆メタノール分散酸化チタン粒子30g、マトリックスとしてヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)20gと2
−ヒドロキ−3アクリロイロキシプロピルメタクレート(共栄社化学(株)製:ライトエステルG−201P)4gに、光開始剤(チバスプシャリティ(株)製イルガキュア184、
IPAで溶解、固形分濃度10重量%)0.35gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル31.65g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(C-2)を調製した。
【0091】
透明被膜付基材(D-2)の調製
透明被膜形成用塗布液(C-2)を用いた以外は実施例1と同様の方法で透明被膜付基材(D-2)を調製した。このときの透明被膜の膜厚は5μmであった。
得られた透明被膜付基材(D-2)の膜特性の結果を表1に示す。
[実施例3]
樹脂被覆金属酸化物粒子(B-3)の調製
実施例1の樹脂被覆メタノール分散酸化チタン粒子(B-1)20gに、γ-アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン0.25g(信越化学(株)製:KBM−5103、SiO2
成分重量81.2重量%)を混合し超純水を10g添加し50℃で5時間攪拌して表面処理をしロータリーエバポレーターで濃縮し表面処理酸化チタン粒子(B−3)固形分20.0
重量%を得た。
【0092】
透明被膜形成用塗布液(C-3)の調製
上記で得られた樹脂被覆メタノール分散酸化チタン粒子30g、マトリックスとしてヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)20gと2−
ヒドロキ−3アクリロイロキシプロピルメタクレート(共栄社化学(株)製:ライトエステルG−201P)4gに、光開始剤(チバスプシャリティ(株)製イルガキュア184、I
PAで溶解、固形分濃度10重量%)0.35gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル31.65g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(C-3)を調製した。
【0093】
透明被膜付基材(D-3)の調製
透明被膜形成用塗布液(C-3)を用いた以外は実施例1と同様の方法で透明被膜付基材(D-3)を調製した。このときの透明被膜の膜厚は5μmであった。
得られた透明被膜付基材(D-3)の膜特性の結果を表1に示す。
[実施例4]
樹脂被覆金属酸化物粒子(B-4)の調製
実施例1の樹脂被覆メタノール分散酸化チタン粒子(B-1)20gに、γ-アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン2.47g(信越化学(株)製:KBM−5103、SiO2
成分81.2重量%)を混合し超純水を10g添加し50℃で5時間攪拌して表面処理をしロータリーエバポレーターで濃縮し表面処理酸化チタン粒子(B−4)固形分20.0重量%を得た。
【0094】
透明被膜形成用塗布液(C-4)の調製
上記で得られた樹脂被覆メタノール分散酸化チタン粒子30g、マトリックスとしてヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)20gと2−
ヒドロキ−3アクリロイロキシプロピルメタクレート(共栄社化学(株)製:ライトエステルG−201P)4gに、光開始剤(チバスプシャリティ(株)製イルガキュア184、I
PAで溶解、固形分濃度10重量%)0.35gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル31.65g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(C-3)を調製した。
【0095】
透明被膜付基材(D-4)の調製
透明被膜形成用塗布液(C-4)を用いた以外は実施例1と同様の方法で透明被膜付基材(D-4)を調製した。このときの透明被膜の膜厚は5μmであった。
得られた透明被膜付基材(D-4)の膜特性の結果を表1に示す。
[実施例5]
樹脂被覆金属酸化物粒子(B-5)の調製
アンチモンドープ酸化錫(ATO)微粒子(触媒化成工業製 TL-98FDAR, 固形分20.0重量%
pH9.6, 一次粒子径8nm, 二次粒子径40nm,硝酸イオン20000ppm・固形分比)100gにポリ
アクリル酸(Aldrich製 平均分子量5000、固形分63重量%)を1.59g添加し両性イオン交
換樹脂(三菱化学製 SMNUPB)10g添加し30℃で3時間攪拌した後、樹脂分離を行った
。その際のpHは4.0であった。その後、γ-アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン1.48g(信越化学(株)製:KBM−5103、SiO2成分81.2重量%)を混合し
超純水を10g添加し50℃で5時間攪拌して表面処理をしロータリーエバポレーターで濃縮し表面処理ATO粒子(B−5)固形分20.0重量%を得た。得られた粒子の物性は表-1に示す。
【0096】
透明被膜形成用塗布液(C-5)の調製
上記で得られた樹脂被覆IPA分散酸化ATO粒子(B-5)30g、マトリックスとしてヘキ
サエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)20gと2−
ヒドロキ−3アクリロイロキシプロピルメタクレート(共栄社化学(株)製:ライトエステルG−201P)4gに、光開始剤(チバスプシャリティ(株)製イルガキュア184、I
PAで溶解、固形分濃度10重量%)0.35gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル31.65g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(C-5)を調製した。
【0097】
透明被膜付基材(D-5)の調製
透明被膜形成用塗布液(C-5)を用いた以外は実施例1と同様の方法で透明被膜付基材(D-5)を調製した。このときの透明被膜の膜厚は5μmであった。
得られた透明被膜付基材(D-5)の膜特性の結果を表1に示す。あわせて、表面抵抗を表面抵抗計(三菱油化(株)製:LORESTA)で測定し示した。
[実施例6]
樹脂被覆金属酸化物粒子(B-6)の調製
アンチモンドープ酸化錫(ATO)微粒子(触媒化成工業(株)製 TL-98FDAR、固形分20.0重量%、pH9.6、一次粒子径8nm、二次粒子径40nm、硝酸イオン20000ppm:固形分比)100gにポリアクリル酸(Aldrich製、平均分子量5000、固形分63重量%)を6.35g添加し両性イオン交換樹脂(三菱化学製 SMNUPB)10g添加し、30℃で3時間攪拌した後、樹脂分離を行った。その際のpHは3.8であった。その後、γ-アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン1.48g(信越化学(株)製:KBM−5103、SiO2成分81.2重量%)
を混合し超純水を10g添加し50℃で5時間攪拌して表面処理をしロータリーエバポレーターで濃縮し表面処理ATO粒子(B−6)固形分20.0重量%を得た。得られた粒子の物性は表1に示す。
【0098】
透明被膜形成用塗布液(C-6)の調製
上記で得られた樹脂被覆IPA分散酸化ATO粒子(B-6)30g、マトリックスとしてヘキ
サエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)20gと2−
ヒドロキ−3アクリロイロキシプロピルメタクレート(共栄社化学(株)製:ライトエステルG−201P)4gに、光開始剤(チバスプシャリティ(株)製:イルガキュア184、
IPAで溶解、固形分濃度10重量%)0.35gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル31.65g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(C-6)を調製した。
【0099】
透明被膜付基材(D-6)の調製
透明被膜形成用塗布液(C-6)を用いた以外は実施例1と同様の方法で透明被膜付基材(D-6)を調製した。このときの透明被膜の膜厚は5μmであった。得られた透明被膜付基材(D-6)の膜特性の結果を表1に示す。あわせて、表面抵抗を表面抵抗計(三菱油化(株)製:LORESTA)で測定し示した。
[実施例7]
樹脂被覆金属酸化物粒子(B-7)の調製
アンチモンドープ酸化錫(ATO)微粒子(触媒化成工業(株)製:TL-98FDAR、固形分20.0重量%、pH9.6 一次粒子径 8nm 二次粒子径40nm硝酸イオン20000ppm・固形分比)100gにポリアクリル酸(Aldrich製、平均分子量5000、固形分63重量%)を15.90g添加し両性イ
オン交換樹脂(三菱化学製 SMNUPB)10g添加し30℃で3時間攪拌した後、樹脂分離を行った。その際のpHは3.6であった。その後、γ-アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン1.48g(信越化学(株)製:KBM−5103、SiO2成分81.2重量%)を
混合し超純水を10g添加し50℃で5時間攪拌して表面処理をしロータリーエバポレーターで濃縮し表面処理ATO粒子(B−7)固形分20.0重量%を得た。得られた粒子の物性は表1に示す。
【0100】
透明被膜形成用塗布液(C-7)の調製
上記で得られた樹脂被覆IPA分散酸化ATO粒子(B-7)30g、マトリックスとしてヘキ
サエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)20gと2−
ヒドロキ−3アクリロイロキシプロピルメタクレート(共栄社化学(株)製:ライトエステルG−201P)4gに、光開始剤(チバスプシャリティ(株)製イルガキュア184、I
PAで溶解、固形分濃度10重量%)0.35gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル31.65g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル
6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(C-7)を調製した。
【0101】
透明被膜付基材(D-7)の調製
透明被膜形成用塗布液(C-7)を用いた以外は実施例1と同様の方法で透明被膜付基材(D-7)を調製した。このときの透明被膜の膜厚は5μmであった。
得られた透明被膜付基材(D-7)の膜特性の結果を表1に示す。表面抵抗を表面抵抗計(三菱油化(株)製:LORESTA)で測定し示した。
[実施例8]
実施例1で得た酸化チタン粒子(A-1)100gにポリビニルピロリドン(関東化学製 K-60
平均分子量100000)を2g添加し両性イオン交換樹脂(三菱化学製 SMNUPB)10g添加し50℃で3時間攪拌した後、樹脂分離を行った。その際のpHは4.2であった。この樹脂
被覆メタノール分散酸化チタン粒子20gに、γ-アクリロオキシプロピルトリメトキシ
シラン1.48g(信越化学(株)製:KBM−5103、SiO2成分81.2重量%)を
混合し超純水を10g添加し50℃で5時間攪拌して表面処理をしロータリーエバポレーターで濃縮し表面処理酸化チタン粒子(B−8)固形分20.0重量%を得た。
【0102】
透明被膜形成用塗布液(C-8)の調製
上記で得られた樹脂被覆メタノール分散酸化チタン粒子(B-8)30g、マトリックスと
してヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)20
gと2−ヒドロキ−3アクリロイロキシプロピルメタクレート(共栄社化学(株)製:ライトエステルG−201P)4gに、光開始剤(チバスプシャリティ(株)製イルガキュア1
84、IPAで溶解、固形分濃度10重量%)0.35gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル31.65g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(C-8)を調製した。
【0103】
透明被膜付基材(D-8)の調製
透明被膜形成用塗布液(C-8)を用いた以外は実施例1と同様の方法で透明被膜付基材(D-8)を調製した。このときの透明被膜の膜厚は5μmであった。
【0104】
得られた透明被膜付基材(D-8)の膜特性の結果を表1に示す。
[実施例9]
実施例1で得た酸化チタン粒子(A-1)100gにポリビニルピロリドン(関東化学製 K-10
平均分子量1000)を2g添加し両性イオン交換樹脂(三菱化学製 SMNUPB)10g添加し50℃で3時間攪拌し樹脂分離を行った。その際のpHは4.2であった。この樹脂被覆メタ
ノール分散酸化チタン粒子20gに、γ-アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン1
.48g(信越化学(株)製:KBM−5103、SiO2成分81.2重量%)を混合し超
純水を10g添加し50℃で5時間攪拌して表面処理をしロータリーエバポレーターで濃縮し表面処理酸化チタン粒子(B−9)固形分20.0重量%を得た。
【0105】
透明被膜形成用塗布液(C-9)の調製
上記で得られた樹脂被覆メタノール分散酸化チタン粒子(B-9)30g、マトリックス
としてヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)20gと2−ヒドロキ−3アクリロイロキシプロピルメタクレート(共栄社化学(株)製:ラ
イトエステルG−201P)4gに、光開始剤(チバスプシャリティ(株)製イルガキュア
184、IPAで溶解、固形分濃度10重量%)0.35gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル31.65g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(C-9)を調製した。
【0106】
透明被膜付基材(D-9)の調製
透明被膜形成用塗布液(C-9)を用いた以外は実施例1と同様の方法で透明被膜付基材(D-
9)を調製した。このときの透明被膜の膜厚は5μmであった。
得られた透明被膜付基材(D-9)の膜特性の結果を表1に示す。
[実施例10]
実施例1で得た酸化チタン粒子(A-1)100gにポリビニルアルコール(関東化学製 平均分子量10000)を2g添加し両性イオン交換樹脂(三菱化学製 SMNUPB)10g添加し50℃で3時間攪拌した後、樹脂分離を行った。その際のpHは4.2であった。この樹脂被覆メ
タノール分散酸化チタン粒子20gに、γ-アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン
1.48g(信越化学(株)製:KBM−5103、SiO2成分81.2重量%)を混合し
超純水を10g添加し50℃で5時間攪拌して表面処理をしロータリーエバポレーターで濃縮し酸化チタン粒子(B−10)固形分20.0重量%を得た。
【0107】
透明被膜形成用塗布液(C-10)の調製
上記で得られた樹脂被覆メタノール分散酸化チタン粒子(B-9)30g、マトリックス
としてヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)20gと2−ヒドロキ−3アクリロイロキシプロピルメタクレート(共栄社化学(株)製:ラ
イトエステルG−201P)4gに、光開始剤(チバスプシャリティ(株)製イルガキュア
184、IPAで溶解、固形分濃度10重量%)0.35gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル31.65g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(C-9)を調製した。
【0108】
透明被膜付基材(D-10)の調製
透明被膜形成用塗布液(C-10)を用いた以外は実施例1と同様の方法で透明被膜付基材(D-10)を調製した。このときの透明被膜の膜厚は5μmであった。
得られた透明被膜付基材(D-10)の膜特性の結果を表1に示す。
[比較例1]
透明被膜形成用塗布液(RC-1)の調製
実施例1で得られた酸化チタン粒子(A-1)30g、マトリックスとしてヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)20gと2−ヒドロキ−
3アクリロイロキシプロピルメタクレート(共栄社化学(株)製:ライトエステルG−201P)4gに、光開始剤(チバスプシャリティ(株)製イルガキュア184、IPAで溶解
、固形分濃度10重量%)0.35gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル31.65g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(RC-1)を調製した。
【0109】
透明被膜付基材(RD-1)の調製
透明被膜形成用塗布液(RC-1)を用いた以外は実施例1と同様の方法で透明被膜付基材(D-10)を調製した。このときの透明被膜の膜厚は5μmであった。
得られた透明被膜付基材(D-10)の膜特性の結果を表1に示す。
[比較例2]
樹脂被覆金属酸化物粒子(RB-2)の調製
実施例1の酸化チタン粒子(A-1)20gに、γ-アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン1.48g(信越化学(株)製:KBM−5103、SiO2成分81.2重量%)を
混合し超純水を10g添加し50℃で5時間攪拌して表面処理をしロータリーエバポレーターで濃縮し表面処理酸化チタン粒子(RB−2)固形分20.0重量%を得た。
【0110】
透明被膜形成用塗布液(RC-2)の調製
上記で得られた樹脂被覆メタノール分散酸化チタン粒子30g、マトリックスとしてヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)20gと2
−ヒドロキ−3アクリロイロキシプロピルメタクレート(共栄社化学(株)製:ライトエステルG−201P)4gに、光開始剤(チバスプシャリティ(株)製イルガキュア184、
IPAで溶解、固形分濃度10重量%)0.35gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル31.65g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(RC-2)を調製した。
【0111】
透明被膜付基材(RD-2)の調製
透明被膜形成用塗布液(RC-2)を用いた以外は実施例1と同様の方法で透明被膜付基材(RD-2)を調製した。このときの透明被膜の膜厚は5μmであった。
得られた透明被膜付基材(RD-2)の膜特性の結果を表1に示す。
[比較例3]
樹脂被覆金属酸化物粒子(RB-3)の調製
実施例1で得た酸化チタン粒子(A-1)100gにビニルピロリドン(平均分子量300)を2
g添加し両性イオン交換樹脂(三菱化学製 SMNUPB)10g添加し50℃で3時間攪拌し樹脂分離を行った。その際のpHは4.2であった。その後限外ろ過膜を用いてメタノールに
置換して樹脂被覆メタノール分散酸化チタン粒子(RB-3)を得た。得られた粒子の物性は表1に示す。
【0112】
透明被膜形成用塗布液(RC-3)の調製
上記で得られた樹脂被覆メタノール分散酸化チタン粒子(RB-3)30g、マトリックスとしてヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)20gと2−ヒドロキ−3アクリロイロキシプロピルメタクレート(共栄社化学(株)製:ラ
イトエステルG−201P)4gに、光開始剤(チバスプシャリティ(株)製イルガキュア
184、IPAで溶解、固形分濃度10重量%)0.35gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル31.65g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(EC-3)を調製した。
【0113】
透明被膜付基材(RD-3)の調製
透明被膜形成用塗布液(RC-3)を用いた以外は実施例1と同様の方法で透明被膜付基材(RD-3)を調製した。このときの透明被膜の膜厚は5μmであった。
得られた透明被膜付基材(RD-3)の膜特性の結果を表1に示す。
[比較例4]
樹脂被覆金属酸化物粒子(RB-4)の調製
実施例1で得た酸化チタン粒子(A-1)100gにビニルピロリドン(平均分子量300000)
を2g添加し両性イオン交換樹脂(三菱化学製、SMNUPB)10g添加し50℃で3時間攪拌
し樹脂分離を行った。その際のpHは4.2であった。その後限外ろ過膜を用いてメタノー
ルに置換して樹脂被覆メタノール分散酸化チタン粒子(RB-4)を得た。得られた粒子の物性は表1に示す。
【0114】
透明被膜形成用塗布液(RC-4)の調製
上記で得られた樹脂被覆メタノール分散酸化チタン粒子(RB-4)30g、マトリックスとしてヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)20gと2−ヒドロキ−3アクリロイロキシプロピルメタクレート(共栄社化学(株)製:ラ
イトエステルG−201P)4gに、光開始剤(チバスプシャリティ(株)製イルガキュア
184、IPAで溶解、固形分濃度10重量%)0.35gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル31.65g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(RC-4)を調製した。
【0115】
透明被膜付基材(RD-4)の調製
透明被膜形成用塗布液(RC-4)を用いた以外は実施例1と同様の方法で透明被膜付基材(RD-3)を調製した。このときの透明被膜の膜厚は5μmであった。
得られた透明被膜付基材(RD-4)の膜特性の結果を表1に示す。
[比較例5]
表面処理樹脂被覆金属酸化物粒子(RB-5)の調製
実施例1で得た酸化チタン粒子(A-1)100gにポリビニルピロリドン(関東化学製 K-30
平均分子量10000)を2g添加し両性イオン交換樹脂(三菱化学製 SMNUPB)50g添加し
50℃で3時間攪拌し樹脂分離を行った。その際のpHは1.5であった。その後限外ろ過
膜を用いてメタノールに置換して樹脂被覆メタノール分散酸化チタン粒子(RB-5)を得た。得られた粒子の物性は表-1に示す。
【0116】
透明被膜形成用塗布液(RC-5)の調製
上記で得られた樹脂被覆メタノール分散酸化チタン粒子(RB-5)30g、マトリックスとしてヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)20gと2−ヒドロキ−3アクリロイロキシプロピルメタクレート(共栄社化学(株)製:ラ
イトエステルG−201P)4gに、光開始剤(チバスプシャリティ(株)製イルガキュア
184、IPAで溶解、固形分濃度10重量%)0.35gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル31.65g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(RC-5)を調製した。
【0117】
透明被膜付基材(RD-5)の調製
透明被膜形成用塗布液(RC-5)を用いた以外は実施例1と同様の方法で透明被膜付基材(RD-5)を調製した。このときの透明被膜の膜厚は5μmであった。得られた透明被膜付基材(RD-5)の膜特性の結果を表1に示す。
[比較例6]
表面処理樹脂被覆金属酸化物粒子(RB-6)の調製
実施例1で得た酸化チタン粒子(A-1)100gにポリビニルピロリドン(関東化学製 K-30、平均分子量10000)を2g添加し両性イオン交換樹脂(三菱化学製、SMNUPB)10g添加し50℃で3時間攪拌し樹脂分離を行った。その後、1重量%NaOHでpHを12に調整した。
その後限外ろ過膜を用いてメタノールに置換して樹脂被覆メタノール分散酸化チタン粒子(RB-6)を得た。得られた粒子の物性は表1に示す。
【0118】
透明被膜形成用塗布液(RC-6)の調製
上記で得られた樹脂被覆メタノール分散酸化チタン粒子(RB-6)30g、マトリックスとしてヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)20gと2−ヒドロキ−3アクリロイロキシプロピルメタクレート(共栄社化学(株)製:ラ
イトエステルG−201P)4gに、光開始剤(チバスプシャリティ(株)製イルガキュア
184、IPAで溶解、固形分濃度10重量%)0.35gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル31.65g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(RC-6)を調製した。
【0119】
透明被膜付基材(RD-6)の調製
透明被膜形成用塗布液(RC-6)を用いた以外は実施例1と同様の方法で透明被膜付基材(RD-6)を調製した。このときの透明被膜の膜厚は5μmであった。
得られた透明被膜付基材(RD-6)の膜特性の結果を表1に示す。
[比較例7]
表面処理樹脂被覆金属酸化物粒子(RB-7)の調製
実施例1で得た酸化チタン粒子(A-1)100gにポリビニルピロリドン(関東化学製 K-30
平均分子量10000)を2g添加し50℃で3時間攪拌した。このときのpHは7.8であった。その後限外ろ過膜を用いてメタノールに置換して樹脂被覆メタノール分散酸化チタン粒子(RB-7)を得た。得られた粒子の物性は表1に示す。
【0120】
透明被膜形成用塗布液(RC-7)の調製
上記で得られた樹脂被覆メタノール分散酸化チタン粒子(RB-7)30g、マトリックスとしてヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)20
gと2−ヒドロキ−3アクリロイロキシプロピルメタクレート(共栄社化学(株)製:ライトエステルG−201P)4gに、光開始剤(チバスプシャリティ(株)製イルガキュア1
84、IPAで溶解、固形分濃度10重量%)0.35gおよび溶剤としてイソプロパノ−ル31.65g、メチルイソブチルケトン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.0gとを充分に混合して透明被膜形成用塗布液(RC-7)を調製した。
【0121】
透明被膜付基材(RD-7)の調製
透明被膜形成用塗布液(RC-7)を用いた以外は実施例1と同様の方法で透明被膜付基材(RD-7)を調製した。このときの透明被膜の膜厚は5μmであった。
得られた透明被膜付基材(RD-7)の膜特性の結果を表1に示す。
【0122】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリスルホン酸、セルロース類から選ばれる1種以上の樹脂で被覆された金属酸化物粒子の単粒または2個以上の凝集粒であって、平均一次粒子径(D1)が5〜250nmの範囲にあり、平均一次粒子径(D1)と平均二次粒子径(D2)との比(D2)/(D1)が1〜3の範囲にあることを特徴とする樹脂被覆金属酸化物粒子。
【請求項2】
前記樹脂被覆金属酸化物粒子が、下記式(1)で表される有機ケイ素化合物で表面処理さ
れていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂被覆金属酸化物粒子。
n-SiX4-n (1)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
【請求項3】
樹脂被覆金属酸化物粒子中に、樹脂が、固形分として0.5〜50重量%の範囲で含まれていることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂被覆金属酸化物粒子。
【請求項4】
前記樹脂が、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂被覆金属酸化物粒子。
【請求項5】
前記金属酸化物粒子が、TiO2、SiO2、ZrO2、Al23、Sb25、ZnO、およびこれらの複合酸化物、酸化錫、SbまたはPがドープされた酸化錫、酸化インジウム、SnまたはFがドーピングされた酸化インジウム、酸化アンチモン、低次酸化チタンからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂被覆金属酸化物粒子。
【請求項6】
下記の工程(a)および(b)からなることを特徴とする樹脂被覆金属酸化物粒子の製造方法。
(a)固形分濃度が0.5〜45重量%の範囲にある金属酸化物粒子分散液に、ポリスチレン
換算分子量が500〜150,000の範囲にあるポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリスルホン酸、セルロース類から選ばれる1種以上の樹脂を添加する工程、
(b)イオン交換樹脂にて陰イオン濃度が金属酸化物粒子単位重量当たり1〜10000ppmとなるようにイオン除去する工程。
【請求項7】
得られる樹脂被覆金属酸化物粒子の平均一次粒子径(D)が5〜250nmの範囲にあり、平均一次粒子径(D1)と平均二次粒子径(D2)との比(D2)/(D1)が1〜3の範囲にあることを特徴とする請求項6に記載の樹脂被覆金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項8】
前記工程(a)の樹脂添加後のpHが3〜11の範囲にあり、樹脂添加後のSO42-
NO3-、Cl-、Br-、I-、F-、PO42-、およびカルボン酸イオンからなる陰イオン
濃度が、金属酸化物粒子単位重量あたり500〜100,000ppmの範囲にあり、前記
工程(b)のイオン交換樹脂で処理した後のpHが2〜10の範囲にあることを特徴とする請求項6または7に記載の樹脂被覆金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項9】
前記工程(a)において、樹脂被覆金属酸化物粒子中の含有量が、固形分として0.5〜50重量%の範囲となるように樹脂を添加することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の樹脂被覆金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項10】
前記工程(b)についで、下記工程(c)、ついで工程(d)を行うことを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の樹脂被覆金属酸化物粒子の製造方法。
(c)樹脂被覆金属酸化物粒子分散液をアルコールで溶媒置換する工程
(d)下記式(2)で表される有機ケイ素化合物で表面処理する工程。
n-SiX4-n (2)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
【請求項11】
前記工程(d)についで、下記工程(e)を行うことを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載の樹脂被覆金属酸化物粒子の製造方法。
(e)表面処理樹脂被覆金属酸化物粒子分散液を有機溶媒で置換する工程
【請求項12】
前記有機溶媒が、アルコール類、エステル類、グリコール類、エーテル類、ケトン類、芳香族炭化水素(トルエン)からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項6〜11のいずれかに記載の樹脂被覆金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項13】
前記有機溶媒がアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジプロピルケトン、メチルペンチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項6〜12のいずれかに記載の樹脂被覆金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項14】
前記工程(d)で表面処理して得られた樹脂被覆金属酸化物粒子中の有機ケイ素化合物の含有量がRnSiO(4-n)/2で表して1〜60重量%の範囲にあることを特徴とする請求
項13に記載の樹脂被覆金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項15】
前記金属酸化物粒子が、TiO2、SiO2、ZrO2、Al23、Sb25、ZnO、およびこれらの複合酸化物、酸化錫、SbまたはPがドープされた酸化錫、酸化インジウム、SnまたはFがドーピングされた酸化インジウム、酸化アンチモン、低次酸化チタンから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項6〜14のいずれかに記載の樹脂被覆金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項16】
マトリックス形成成分と請求項1〜5に記載の樹脂被覆金属酸化物粒子と有機溶媒とを含んでなることを特徴とする透明被膜形成用塗布液。
【請求項17】
基材と、基材上に形成された透明被膜とからなり、該透明被膜が請求項16に記載の透明被膜形成用塗布液を用いて形成されたことを特徴とする透明被膜付基材。

【公開番号】特開2009−275135(P2009−275135A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128471(P2008−128471)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】