説明

樹脂製品の接合部構造及び樹脂製品

【課題】可及的に小さい大きさを有し、しかもバリの外面側へのはみ出しが有利に防止され得るように改良した樹脂製品の接合部の構造を提供する。
【解決手段】第一の樹脂部品12と第二の樹脂部品14とを、また、第一の樹脂部品12と第三の樹脂部品16とを、それぞれ、互いの対向部位同士において振動溶着することにより形成される接合部44に対して、第一のバリ止め用リブ52,56を、第一の樹脂部品12と第二の樹脂部品14の互いの対向面のうちの少なくとも何れか一方に設けると共に、第二のバリ止め用リブ64,66の少なくとも一部を、第二の樹脂部品14に設けて、構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製品の接合部構造及び樹脂製品並びに樹脂部品の接合方法に係り、特に、3個以上の樹脂部品を振動溶着により相互に接合してなる樹脂部品において、それら3個以上の樹脂部品のうちの第一、第二、及び第三の樹脂部品を振動溶着により互いに接合して形成される接合部の新規な構造と、そのような接合部構造を有する樹脂製品と、かかる第一、第二、及び第三の樹脂部品を振動溶着により有利に接合する方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、合成樹脂材料からなる部品、所謂樹脂部品の複数のものを一体的に接合して形成された樹脂製品が、様々な分野で利用されてきている。そして、そのような複数の樹脂部品の接合手法の一種として、振動溶着法(摩擦溶着法)がある。この振動溶着法は、よく知られているように、複数の樹脂部品を、溶着すべき面同士において互いに重ね合わせた状態で、加圧しつつ、振動させることにより、重合せ面に発生する摩擦熱にて溶着するものである。
【0003】
ところで、このような振動溶着法を利用して、2個の樹脂部品を相互に接合する場合、一般には、それら2個の樹脂部品における互いに対向位置せしめられた対向面のうちの少なくとも何れか一方に、接合用のリブ状の突起が設けられ、この接合用突起の先端面が、それの対向面のうちの少なくとも何れか他方に重ね合わされて(突き合わされて)、振動溶着されるようになるのであるが、その際、接合用突起と対向面との溶着部分には、それら接合用突起と対向面との間から側方に流出乃至は伸長するように、バリが発生する。そして、このバリは、樹脂部品同士を接合して得られる樹脂製品の外面側に露出されると、かかる樹脂製品の見栄えを著しく低下させて、その商品性を大きく損失させる。
【0004】
このため、例えば、下記特許文献1等においては、溶着されるべき2個の樹脂部品における互いの対向面のうちの何れかの接合用突起を間に挟んだ両側に、接合用突起よりも低い高さを有して、それと同一方向に突出するリブ(障壁)を、一体形成し、接合用突起の溶着により生ずるバリが、2個の樹脂部品の対向面間から外側へはみ出すことを、かかるリブにて阻止するようにした技術が、提案されている。このような技術によれば、樹脂製品の外面側へのバリの露出による商品性の低下の問題が、効果的に解消され得る。
【0005】
そして、かかるバリ止め技術は、例えば、樹脂製品の一種である自動車用エアコネクタ等の接合部に採用されており、図9には、かかるエアコネクタの代表的な接合部の構造が、概略的に示されている。このエアコネクタの接合部は、第一の樹脂部品100に対して、第二の樹脂部品102と第三の樹脂部品104とが、互いに異なる方向(互いに直角となる方向)からそれぞれ重ね合わされて、振動溶着されることにより形成されている。即ち、第一の樹脂部品100と第二の樹脂部品102は、図9中の左右方向において互いに対向する平坦な対向面106,108をそれぞれ有しており、第一の樹脂部品100の対向面106に、第一の接合用突起110が、左右方向に突出して、形成されている。また、第一の樹脂部品100と第三の樹脂部品104も、図9中の左右方向とは直角な上下方向において互いに対向する平坦な対向面112,114をそれぞれ有しており、第三の樹脂部品104の対向面114に、第二の接合用突起116が、上下方向に突出して、形成されている。そして、第一の樹脂部品100の対向面106に設けられた第一の接合用突起110の先端面118が、第二の樹脂部品102の対向面108に重ね合わされて、振動溶着される一方、第三の樹脂部品104の対向面114に設けられた第二の接合用突起116の先端面120が、第一の樹脂部品100の対向面112に重ね合わされて、振動溶着されている。
【0006】
また、第一の樹脂部品100の対向面106と第二の樹脂部品102の対向面108には、第一の接合用突起110よりも低い高さをもって、それと同一方向に突出する第一のバリ止め用リブ122が、第一の接合用突起110を間に挟んだ両側に、第一の接合用突起110の側面と所定の隙間を隔てて、かかる側面に沿って延びるように、それぞれ一体形成されている。更に、第一の樹脂部品100の対向面112と第三の樹脂部品104の対向面114のそれぞれに対しても、第二の接合用突起116よりも低い高さを有して、それと同一方向に突出する第二のバリ止め用リブ124が、第二の接合用突起116を間に挟んだ両側に、第二の接合用突起116の側面と所定の隙間を隔てて、かかる側面に沿って延びるように一体形成されている。そうして、第一の接合用突起110と対向面108との溶着部分や、第二の接合用突起116と対向面112との溶着部分に発生したバリ126が、各樹脂部品100,102,104の互いの対向面106,108,112,114間から外側にはみ出すようなことが、第一のバリ止め用リブ122や第二のバリ止め用リブ124によって、それぞれ阻止され得るようになっているのである。
【0007】
ところが、かくの如きエアコネクタの接合部においては、第一の樹脂部品100の二つの対向面106,112にそれぞれ設けられた第一のバリ止め用リブ122と第二のバリ止め用リブ124とが、互いに異なる方向に突出するものであるところから、それらのリブ122,124を1個のリブにて兼用させることが出来なかった。そのため、そのような第一のバリ止め用リブ122と第二のバリ止め用リブ124の両方が別々に設けられた第一の樹脂部品100では、それら第一及び第二のバリ止め用リブ122,124が近傍に位置せしめられる場合、成形上の制約から、それら各リブ122,124の間に、所定の間隙128が、不可避的に形成されていた。そして、それ故に、かかる第一の樹脂部品100に対して、前記せる第二の樹脂部品102と第三の樹脂部品104とを振動溶着により接合して形成される従来のエアコネクタの接合部にあっては、第一のバリ止め用リブ122と第二のバリ止め用リブ124の間に設けられる間隙128の大きさに応じた分だけ、大型化してしまうことが避けられなかったのである。
【0008】
なお、そのような接合部の大型化の原因となる間隙128を無くすには、例えば、第一の樹脂部品100における第二の樹脂部品102との対向面106に設けられた第一のバリ止め用リブ122を省略すると共に、第二の樹脂部品102における第一の樹脂部品100との対向面108の、第一の接合用突起110を間に挟んだ両側縁部のみに、第一のバリ止め用リブ122を設け、そして、第一の樹脂部品100に第一のバリ止め用リブ122が設けられたときに、かかるリブ122と共に隙間128の内周面を形成する第一の樹脂部品100の側面部分130に対して、第二の樹脂部品102の対向面108の両側縁部に設けられた第一のバリ止め用リブ122の側面を接触位置せしめることが、考えられる。しかしながら、そうすると、例えば、第一の接合用突起110を第二の樹脂部品102の対向面108に振動溶着させる際に、かかる対向面108の両側縁部に設けられた第一のバリ止め用リブ122の側面も、それが接触する第一の樹脂部品100の側面部分130に対して振動溶着せしめられて、そこに、外面側に露出するバリが生ずる恐れがあった。
【0009】
【特許文献1】特開平6−285994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、第一の樹脂部品に対して、第二の樹脂部品と第三の樹脂部品とが互いに異なる方向からそれぞれ重ね合わされて、振動溶着されることにより形成される樹脂製品の接合部において、その全体の大きさを可及的に小さく為しつつ、バリの外面側へのはみ出しを効果的に防止し得るように改良された樹脂製品の接合部構造と、そのような接合部構造を有する樹脂製品とを提供することにある。また、本発明は、第一の樹脂部品に対して、第二の樹脂部品と第三の樹脂部品とを互いに異なる方向からそれぞれ重ね合わせて、振動溶着することにより、それら第一、第二、及び第三の樹脂部品を有利に接合する方法を提供することをも、また、その解決課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そして、本発明にあっては、上記せる樹脂製品の接合部構造に係る課題の解決のために、その要旨とするところは、第一の樹脂部品と第二の樹脂部品とがそれぞれ有する、第一の方向において互いに対向する対向面のうちの少なくとも何れか一方に、該第一の方向に突出して、一体形成された第一の接合用突起の先端面を、それらの互いの対向面のうちの少なくとも何れか他方に重ね合わせて、振動溶着する一方、該第二の樹脂部品とは独立した別個の第三の樹脂部品と該第一の樹脂部品とがそれぞれ有する、該第一の方向とは異なる第二の方向において互いに対向する対向面のうちの少なくとも何れか一方に、該第二の方向に突出して、一体形成された第二の接合用突起の先端面を、それらの互いの対向面のうちの少なくとも何れか他方に重ね合わせて、振動溶着することにより、該第一の樹脂部品と該第二の樹脂部品と該第三の樹脂部品とを相互に接合して形成される接合部に対して、前記第一の接合用突起の振動溶着により発生したバリが、該第一の樹脂部品と該第二の樹脂部品との互いの対向面間からはみ出すことを防止する第一のバリ止め用リブと、前記第二の接合用突起の振動溶着により発生したバリが、該第一の樹脂部品と該第三の樹脂部品との互いの対向面間からはみ出すことを防止する第二のバリ止め用リブとを設けてなる樹脂製品の接合部構造であって、前記第一のバリ止め用リブを、前記第一の樹脂部品と前記第二の樹脂部品の互いの対向面のうちの少なくとも何れか一方に対して、前記第一の接合突起の側面と所定の隙間を隔てた状態で、前記第一の方向に突出し且つ該第一の接合突起の側面に沿って延びるように一体形成する一方、前記第二のバリ止め用リブの少なくとも一部を、該第二の樹脂部品に対して、前記第一の樹脂部品や前記第三の樹脂部品への前記第二の接合突起の振動溶着下で、該第二の接合突起の側面と所定の隙間を隔てた位置において、前記第二の方向に突出し且つ該第二の接合突起の側面に沿って延出して、配置されるように一体形成したことを特徴とする樹脂製品の接合部構造にある。
【0012】
なお、このような本発明に従う樹脂製品の接合部構造の望ましい態様の一つによれば、前記第一のバリ止め用リブが、前記第一の樹脂部品における前記第二の樹脂部品との対向面に一体形成されると共に、該第一の樹脂部品における前記第三の樹脂部品との対向面が、該第一のバリ止め用リブの側面を含んで構成される。
【0013】
また、かくの如き構成が採用される場合にあっては、有利には、前記第一のバリ止め用リブの先端面と、前記第一の樹脂部品に対する前記第二の樹脂部品の対向面との間に、前記第一の接合用突起と前記第二のバリ止め用リブとの間に位置せしめられた前記隙間に連通する一方、前記第二の係合用突起と該第一のバリ止め用リブとの間に位置せしめられた前記隙間とは非連通とされた凹所が設けられることとなる。
【0014】
そして、本発明にあっては、前記せる樹脂製品に係る課題の解決のために、互いに独立した別個の部材からなる第一の樹脂部品と第二の樹脂部品と第三の樹脂部品とを振動溶着により相互に接合して形成される接合部を備えた樹脂製品であって、前述せる如き特徴を備えた接合部構造を有することを特徴とする樹脂製品をも、その要旨とするものである。
【0015】
そしてまた、本発明にあっては、前記せる樹脂部品の接合方法に係る課題を解決するために、互いに独立した別個の部材からなる第一の樹脂部品と第二の樹脂部品と第三の樹脂部品とを振動溶着により相互に接合する方法であって、前記第一の樹脂部品と前記第二の樹脂部品とがそれぞれ有する、第一の方向において互いに対向する対向面のうちの少なくとも何れか一方の対向面に、該第一の方向に突出して、一体形成された第一の接合用突起の先端面を、それらのうちの少なくとも何れか他方の対向面に重ね合わせる一方、該第一の接合突起の側面と所定の隙間を隔てて該第一の方向に突出し且つ該第一の接合突起の側面に沿って延びるようにして、該少なくとも何れか一方の対向面に一体形成された第一のバリ止め用リブを、該少なくとも何れか他方の対向面に対向配置した状態で、該第一の接合用突起を、それが重ね合わされる前記対向面に振動溶着することによって、かかる振動溶着により発生したバリが、該第一の樹脂部品と該第二の樹脂部品との互いの対向面間からはみ出すことを防止しつつ、該第一の樹脂部品と該第二の樹脂部品とを相互に接合すると共に、それら第一の樹脂部品と第二の樹脂部品のうちの少なくとも第二の樹脂部品に一体形成された第二のバリ止め用リブを、前記第一の方向とは異なる第二の方向に突出位置せしめた後、前記第一の樹脂部品と前記第三の樹脂部品とがそれぞれ有する、前記第二の方向において互いに対向する対向面のうちの少なくとも何れか一方の対向面に、該第二の方向に突出して、一体形成された第二の接合用突起の先端面を、それらのうちの少なくとも何れか他方の対向面に重ね合わせる一方、該第二の方向に突出して、該第二の樹脂部品に少なくとも一部が一体形成された前記第二のバリ止め用リブを、該第二の接合突起の側面と所定の隙間を隔てて、該第二の接合突起の側面に沿って延びるよう位置せしめると共に、該第三の樹脂部品における該第一の樹脂部品との対向面に対向させた状態で、該第二の接合用突起を、それが重ね合わされる前記対向面に振動溶着することによって、かかる振動溶着により発生したバリが、該第一の樹脂部品と該第三の樹脂部品との互いの対向面間からはみ出すことを防止しつつ、該第一の樹脂部品と該第三の樹脂部品とを相互に接合することを特徴とする樹脂部品の接合方法をも、また、その要旨とするものである。
【発明の効果】
【0016】
すなわち、本発明に従う樹脂製品の接合部構造においては、第一のバリ止め用リブと第二のバリ止め用リブとが設けられて、第一の接合用突起や第二の接合用突起の振動溶着によって、それらの溶着部分にそれぞれ生ずるバリが、第一の樹脂部品と第二の樹脂部品との互いの対向面間や、第一の樹脂部品と第三の樹脂部品との互いの対向面間からはみ出すことが防止されている。これによって、それら第一、第二、及び第三の樹脂部品が相互に接合されてなる樹脂製品の外面側へのバリの露出が有利に阻止されて、かかる樹脂製品におけるバリの露出による商品性の低下が未然に防止され得る。
【0017】
そして、かかる本発明に従う樹脂製品の接合部構造にあっては、特に、第一のバリ止め用リブが、第一の樹脂部品と第二の樹脂部品のうちの少なくとも何れか一方に、第一の係合突起の突出方向となる第一の方向に突出して設けられる一方、第二のバリ止め用リブの少なくとも一部が、第二の樹脂部品に対して、第一の方向とは異なる第二の方向に突出して設けられるところから、第一の樹脂部品に対して、第一のバリ止め用リブのみを設けて、第二のバリ止め用リブを第二の樹脂部品に設けることが可能となる。それ故、第一のバリ止め用リブと第二のバリ止め用リブとが近傍に位置せしめられる場合にあっても、それら第一及び第二のバリ止め用リブの両方が第一の樹脂部品に設けられる従来構造とは異なって、第一のバリ止め用リブと第二のバリ止め用リブとの間に、間隙が、成形上の制約から形成されるようなことが効果的に解消され、以て、かかる間隙が無くされた分だけ、接合部全体の大きさが、有利に小さく為され得る。
【0018】
従って、かくの如き本発明に従う樹脂製品の接合部構造によれば、第一の樹脂部品に対して、第二の樹脂部品と第三の樹脂部品とが互いに異なる方向からそれぞれ重ね合わされて、振動溶着されることにより形成される樹脂製品の接合部の全体の大きさを可及的に小さく為しつつ、バリの外面側へのはみ出しを効果的に防止することが可能となる。そして、その結果として、外面側へのバリの露出がなく、見栄えの良い、優れた商品性が、効果的に確保され得ることとなるのである。
【0019】
また、このような本発明に係る樹脂製品の接合部構造では、第一及び第二のバリ止めリブにより、第一の樹脂部品と第二の樹脂部品との互いの対向面間や、第一の樹脂部品と第三の樹脂部品との互いの対向面からのバリのはみ出しが阻止されるようになっているところから、第一の接合用突起の溶着部分に生ずるバリが、第一の樹脂部品と第三の樹脂部品との互いの対向面間に侵入して、第二の接合用突起の振動溶着を阻害したり、或いは第二の接合用突起の溶着部分に生ずるバリが、第一の樹脂部品と第二の樹脂部品との互いの対向面間に侵入して、第一の接合用突起の振動溶着を阻害したりすることも、有利に防止され得る。その結果、第一及び第二の接合用突起の溶着不良の発生、ひいては第一、第二、及び第三の樹脂部品の接合不良の発生も、効果的に阻止され得ることとなる。
【0020】
そして、本発明に従う樹脂製品にあっては、上述せる如き優れた特徴を発揮する接合部構造を有しているところから、前記せる樹脂製品の接合部構造と実質的に同様な作用・効果が、極めて有効に享受され得ることとなる。
【0021】
また、本発明に従う樹脂部品の接合方法においては、先ず、第一の接合用突起の振動溶着により、第一の樹脂部品と第二の樹脂部品とが接合された後、この第二の樹脂部品と接合された第一の樹脂部品と第三の樹脂部品とが、第二の接合用突起の振動溶着によって接合されるようになっている。そして、第一の樹脂部品と第二の樹脂部品との接合時において、第一の接合用突起の振動溶着により生ずるバリが第一の樹脂部品と第二の樹脂部品との対向面間からはみ出すことが、第一のバリ止め用リブにて有利に防止され得るようになっている。また、第一の樹脂部品と第三の樹脂部品との接合時には、第二の接合用突起の振動溶着により生ずるバリが第一の樹脂部品と第三の樹脂部品との対向面間からはみ出すことが、第二のバリ止め用リブにて有利に防止され得るようになっている。これによって、第一、第二、及び第三の樹脂部品の相互の接合部での外面側へのバリの露出が有利に阻止され、以て、それらの樹脂部品の相互の接合により形成される樹脂製品におけるバリの露出による商品性の低下が未然に防止され得る。
【0022】
しかも、かかる本発明手法では、第二のバリ止め用リブの少なくとも一部が第二の樹脂部品に設けられて、第二の樹脂部品の第一の樹脂部品との接合によって、第一のバリ止め用リブの突出方向とは異なる第二の方向に突出位置せしめられるようになっている。
【0023】
それ故、本発明手法によれば、互いに異なる方向に突出する第一のバリ止め用リブと第二のバリ止め用リブとが近傍に位置せしめられる場合にあっても、例えば、それら第一及び第二のバリ止め用リブの両方が第一の樹脂部品に設けられる場合とは異なって、第一の樹脂部品の成形上の制約から、第一のバリ止め用リブと第二のバリ止め用リブとの間に間隙を形成する必要が皆無ならしめられ得、以て、そのような間隙が無くされた分だけ、接合部全体の大きさが、有利に小さく為され得る。
【0024】
従って、かくの如き本発明に従う樹脂部品の接合方法にあっても、前記せる樹脂製品の接合部構造と実質的に同様な作用・効果が、極めて有効に享受され得ることとなるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0026】
先ず、図1には、本発明に従う接合部構造が採用された樹脂製品の一実施形態としての自動車用エアコネクタが、その縦断面形態において概略的に示されている。かかる図1から明らかなように、本実施形態のエアコネクタ10は、第一の樹脂部品たるコネクタ本体12と、このコネクタ本体12に対して、図1の上下方向において重ね合わされて、振動溶着された、第二の樹脂部品としてのジョイントパイプ14と、コネクタ本体12に対して、図1中の上下方向とは直角な左右方向において重ね合わされて、振動溶着された、第三の樹脂部品としてのカバープレート16とを有する一体的な接合品にて構成されている。なお、以下からは、便宜上、図1中の上下方向と左右方向にそれぞれ対応する方向を上下方向と左右方向と言うこととする。
【0027】
より具体的には、コネクタ本体12は、全体として、略矩形の筐体形状を呈しており、自動車用樹脂部品の形成材料として一般的に用いられる熱可塑性の樹脂材料(例えば、ABS樹脂等)を用いて形成されている。そして、側壁部の一つに、パイプ状接続部18が、コネクタ本体12の内部と外部とを連通して、側方(図1中の紙面に対して直角な方向)に延びるように一体形成されている。また、かかるコネクタ本体12は、上方に向かって開口する上側開口部20と、パイプ状接続部18の延出方向と直角な側方に向かって開口する側方開口部22とを有している。なお、図1に明示されてはいないものの、側方開口部22は、コネクタ本体12に二つ設けられて、パイプ状接続部18の延出方向に並んで配置されている。
【0028】
また、コネクタ本体12にあっては、四つの側壁部の上端部の外面に、側方に突出し且つ周方向に連続して延びる接合用フランジ部24が、上側開口部20を取り囲むようにして、一体形成されている。この接合用フランジ部24は、その上面が、所定幅をもって水平方向に広がる平坦な接合面26とされている。
【0029】
さらに、かかるコネクタ本体12においては、側方開口部22が設けられる側壁部23の外面に対して、第一の接合用突起28が、側方開口部22の外方への開口周縁部を取り囲むようにして、一体的に設けられている。この第一の接合用突起28は、所定の高さと比較的に広い幅とを有する断面矩形状の突条からなり、側方開口部22の周方向に連続して延出せしめられている。
【0030】
一方、ジョイントパイプ14も、コネクタ本体12と同じ熱可塑性の樹脂材料からなり、コネクタ本体12の側方開口部22と略同一の内径を有する二つのパイプ部30(図1には、一つのみを示す)と、それら各パイプ部30の軸方向一方側の端部外周面に対して一体的に周設された接合用フランジ部32とを有して、構成されている。そして、この接合用フランジ部32は、コネクタ本体12の側方開口部22が形成される側壁部23のうちの側方開口部22を除く枠状部分に対応した枠状の平板形態を呈し、厚さ方向一方側の端面が、パイプ部30の軸方向一方側の端面と面一とされた平坦な接合面34とされている。
【0031】
また、カバープレート16も、コネクタ本体12やジョイントパイプ14と同じ熱可塑性の樹脂材料を用いて、形成されている。そして、コネクタ本体12の上側開口部20の全体を覆い得る大きさを備えた矩形平板状の天板部36と、この天板部36の下面の外周部から下方に向かって一体的に突出する略厚肉矩形枠状の脚部38とを有して、構成されている。また、このカバープレート16にあっては、脚部38の下面が平坦な対向面40とされて、後述する如く、カバープレート16がコネクタ本体12の上側開口部20を覆蓋するように配置されたときに、かかる対向面40が、コネクタ本体12の接合用フランジ部24における平坦な接合面26と同一の幅をもって対向位置せしめられるようになっている。そして、このような脚部38の対向面40の幅方向の中央部に、第二の接合用突起42が、周方向に連続して延びるように一体形成されている。なお、この第二の接合用突起42も、前記第一の接合用突起28と同様に、所定の高さと比較的に広い幅とを有する断面矩形状の突条にて、構成されている。
【0032】
そして、ここでは、コネクタ本体12の接合用フランジ部24の接合面26に対して、カバープレート16の脚部38の対向面40が、上下方向において対向位置せしめられると共に、かかる対向面40に一体形成された第二の接合用突起42が、その先端面において重ね合わされて、振動溶着されている。また、ジョイントパイプ14の接合用フランジ部32の接合面34に対して、コネクタ本体12の側方開口部22を有する側壁部23の外面が、左右方向において対向位置せしめられると共に、かかる外面に一体形成された第一の接合用突起28が、その先端面において重ね合わされて、振動溶着されている。
【0033】
これらのことから明らかなように、本実施形態では、第一の樹脂部品たるコネクタ本体12の接合用フランジ部24の接合面26と、第三の樹脂部品たるカバープレート16の脚部38の対向面40とにて、それらの樹脂部品がそれぞれ有する、第一の方向(ここでは上下方向)において互いに対向する対向面が構成されている。また、第一の樹脂部品たるコネクタ本体12の側方開口部22を有する側壁部23の外面と、第二の樹脂部品たるジョイントパイプ14の接合用フランジ部32の接合面34とにて、それらの樹脂部品がそれぞれ有する、第二の方向(ここでは左右方向)において互いに対向する対向面が構成されている。
【0034】
かくして、カバープレート16が、天板部36にて、コネクタ本体12の上側開口部20を気密に覆蓋した状態で、コネクタ本体12に対して一体的に接合されていると共に、ジョイントパイプ14が、各パイプ部30の内孔を、コネクタ本体12の側方開口部22に連通させた状態で、コネクタ本体12に対して一体的に接合されており、以て、エアコネクタ10が、それらコネクタ本体12とカバープレート16とジョイントパイプ14との一体接合品として構成されている。そして、このようなエアコネクタ10にあっては、自動車のエアクリーナから延び出す上流側吸気管(図示せず)が、コネクタ本体12のパイプ状接続部18に接続される一方、エンジン側に向かって延びる二つの下流側吸気管(図示せず)が、ジョイントパイプ14の二つのパイプ部30にそれぞれ接続されることによって、上流側吸気管を通じてエアクリーナから供給されたエアを、二つの下流側吸気管内に、それぞれ分流して流通させ得るようになっているのである。
【0035】
而して、かくの如き一体接合品からなる本実施形態のエアコネクタ10においては、特に、コネクタ本体12の側方開口部22を有する側壁部23の上端部に対して、カバープレート16とジョイントパイプ14とがそれぞれ接合されて形成される接合部44の構造が、従来品では見られない特別な構造とされているのである。
【0036】
すなわち、図2に示されるように、ここでは、コネクタ本体12の側方開口部22を有する側壁部23の上端部に設けられた接合用フランジ部24が、側壁部23の上端部から外側に向かって水平に延び出す外側フランジ部分46と、側壁部23の上端部から内側に向かって水平に延び出す内側フランジ部分48とを有している。また、これら外側フランジ部分46と内側フランジ部分48は、何れも、比較的に薄肉の矩形平板形態を呈している。これにより、かかる接合用フランジ部24の接合面26が、外側及び内側フランジ部分46,48のそれぞれの上面と側壁部23の上端面とからなる、水平に広がる平坦面にて構成されている。
【0037】
そして、この接合用フランジ部24の外側フランジ部分46は、その下面が、コネクタ本体12の側壁部23の上端側部分に側方に向かって突設された第一の接合用突起28の突出方向に対する側面のうちの上側側面50と所定距離を隔てて対向するように、位置せしめられている。そして、この外側フランジ部分46が、第一のバリ止め用上側リブ52とされている。
【0038】
つまり、ここでは、第一のバリ止め用上側リブ52が、コネクタ本体12の側壁部23の上端部に、第一の接合用突起28の上側側面50との間に隙間54を隔てた状態で、第一の接合用突起28の突出方向と同一方向(右方向)に突出し且つ第一の接合用突起28の上側側面50に沿って平行に延びるように、一体形成されている。なお、この第一のバリ止め用上側リブ52は、その高さが、後述する如き振動溶着操作が実施される前の第一の接合用突起28の高さよりも、所定寸法低い高さとされている(図3参照)。
【0039】
また、そのような第一のバリ止め用上側リブ52が一体形成されたコネクタ本体12の側壁部23には、第一の接合用突起28の形成部分よりも下側に、第一のバリ止め用下側リブ56が、第一の接合用突起28の下側側面58に対して、それとの間に隙間60を隔てて対向した状態で、第一の接合用突起28の突出方向と同一方向(右方向)に突出し且つ第一の接合用突起28の下側側面58に沿って平行に延びるように、一体形成されている。なお、この第一のバリ止め用下側リブ56は、第一のバリ止め用上側リブ52よりも僅かに低い高さと、それと同様な比較的に薄肉の矩形平板形態とを有している。
【0040】
そして、ここでは、第一の接合用突起28が、ジョイントパイプ14の接合用フランジ32の接合面34に振動溶着された状態下において、第一のバリ止め用上側リブ52と第一のバリ止め用下側リブ56とが、それぞれの先端面において、ジョイントパイプ14の接合用フランジ32の接合面34に接触位置せしめられている。また、これによって、第一の接合用突起28の上側側面50と第一のバリ止め用上側リブ52との間に形成される隙間54や、第一の接合用突起28の下側側面58と第一のバリ止め用下側リブ56との間に形成される隙間60が、何れも、外部と非連通とされた密閉空間とされている。
【0041】
かくして、コネクタ本体12の側壁部23の上端部に対して、カバープレート16とジョイントパイプ14とがそれぞれ接合されて形成される接合部44では、ジョイントパイプ14の接合用フランジ32の接合面34に対する第一の接合用突起28の振動溶着によって生ずるバリ62が、第一のバリ止め用上側リブ52や第一のバリ止め用下側リブ56と第一の接合用突起28との間に形成される隙間54,60から外部にはみ出すこと、換言すれば、互いに対向するコネクタ本体12の側壁部23の外面とジョイントパイプ14の接合用フランジ32の接合面34との間からはみ出すことが、阻止されて、外面側から隠蔽されるようになっている。
【0042】
一方、コネクタ本体12の側壁部23の上端部に設けられた接合用フランジ部24の内側フランジ部分48の先端部の上面、つまり接合用フランジ部24の接合面26における幅方向の内側端部には、第二のバリ止め用内側リブ64が、一体的に立設されている。この第二のバリ止め用内側リブ64は、比較的に薄い肉厚と、カバープレート16の脚部38に突設された第二の接合用突起42の突出高さの半分よりも所定寸法低い高さとをもって鉛直上方に突出し、且つ接合面26の長さ方向(図2における紙面に直角な方向)の全長に連続して延びる断面矩形状の突条形態を有している。
【0043】
また、ここでは、特に、ジョイントパイプ14の接合用フランジ32の上端面65に、第二のバリ止め用外側リブ66が、一体的に突設されている。この第二のバリ止め用外側リブ66は、第二のバリ止め用内側リブ64と略同一の肉厚と、第二の接合用突起42の突出高さの半分よりも所定寸法低い高さとをもって、ジョイントパイプ14の接合用フランジ32の上端面65から鉛直上方に突出し、且つかかる上端面65の長さ方向(図2における紙面に直角な方向)の全長に連続して延びる断面矩形状の突条形態を有している。
【0044】
そして、かかる第二のバリ止め用外側リブ66にあっては、コネクタ本体12の側壁部23に設けられた第一の接合用突起28がジョイントパイプ14の接合用フランジ32の接合面34に振動溶着された状態下において、コネクタ本体12の接合用フランジ部24における外側フランジ部分46の先端部の側方(右方)に、鉛直上方に突出して、前記第二のバリ止め用内側リブ64と対向するように配置されている。
【0045】
かくして、コネクタ本体12とカバープレート16とジョイントパイプ14とが相互に接合されて形成される接合部44にあっては、第二のバリ止め用内側リブ64と第二のバリ止め用外側リブ66とが、コネクタ本体12の接合用フランジ部24の接合面26における幅方向の内側と外側の両端部において、上方に向かって一体的に突出し、且つかかる接合面26の全長に亘って互いに対向して平行に延びるように固設されているのである。
【0046】
また、ここでは、ジョイントパイプ14の接合用フランジ32の上端部に、外方に向かって上傾する傾斜面からなる段付面68が形成されて、かかる接合用フランジ32の上端部が、薄肉化されている。そして、ジョイントパイプ14の接合用フランジ32の接合面34に対するコネクタ本体12の第一の接合用突起28の振動溶着状態下で、コネクタ本体12における前記第一のバリ止め用上側リブ52の先端下側角部が、かかる段付面68に突き合わされている。これによって、それら第一のバリ止め用上側リブ52の先端面と、段付面68にて薄肉化されたジョイントパイプ14の接合用フランジ32の上端部の接合面34部分との間に、第一のバリ止め用上側リブ52と第一の接合用突起28との間の隙間54には非連通とされて、上方に向かって開口する凹所70が、形成されている。
【0047】
一方、第二の接合用突起42が形成されるカバープレート16の脚部38の前記対向面40にも、第二のバリ止め用内側リブ72と第二のバリ止め用外側リブ74とが、それぞれ、一体的に突設されている。それら各リブ72,74は、コネクタ本体12の接合用フランジ部24の内側フランジ部分48に設けられた第二のバリ止め用内側リブ64やジョイントパイプ14の接合用フランジ32の上端面65に設けられた第二のバリ止め用外側リブ66と略同一の高さ及び肉厚を有する断面矩形状の突条形態を有している。
【0048】
そして、このような第二のバリ止め用内側リブ72と第二のバリ止め用外側リブ74が、カバープレート16の脚部38の対向面40に、第二の接合用突起42を間に挟んだ内側と外側とにおいて、第二の接合用突起42の内側側面76と外側側面78とに対して、それぞれ所定距離を隔てて対向位置せしめられた状態で、下方に向かって突出するように、一体形成されているのである。
【0049】
なお、このカバープレート16の脚部38の対向面40に設けられた第二のバリ止め用内側リブ72と第二のバリ止め用外側リブ74は、第二の接合用突起42を介して、互いに対向位置せしめられており、それらの互いの対向面間距離が、コネクタ本体12の接合用フランジ部24の接合面26における幅方向の内側と外側の両端部に位置するように固設された第二のバリ止め用内側リブ64と第二のバリ止め用外側リブ66との対向面間距離と同一の大きさとされている。
【0050】
そして、ここでは、第二の接合用突起42が、コネクタ本体12の接合用フランジ24の接合面26に振動溶着された状態下において、コネクタ本体12とジョイントパイプ14にそれぞれ設けられた第二のバリ止め用内側リブ64と第二のバリ止め用外側リブ66が、カバープレート16に設けられた第二のバリ止め用内側リブ72と第二のバリ止め用外側リブ74に対して、各々先端面同士において突き合わされて、位置せしめられている。また、これによって、互いに突き合わされた二つの第二のバリ止め用内側リブ64,72が、第二の接合用突起42の内側側面76との間に隙間80を隔てて位置せしめられると共に、かかる隙間80が、外部と非連通とされた密閉空間として形成されている。更に、互いに突き合わされた二つの第二のバリ止め用外側リブ66,74も、第二の接合用突起42の外側側面78との間に隙間82を隔てて位置せしめられると共に、かかる隙間82が、外部と非連通とされた密閉空間として形成されている。
【0051】
かくして、コネクタ本体12の側壁部23の上端部に対して、カバープレート16とジョイントパイプ14とがそれぞれ接合されて形成される接合部44では、コネクタ本体12の接合用フランジ24の接合面26に対する第二の接合用突起42の振動溶着によって生ずるバリ62が、第二のバリ止め用内側リブ64,72や第二のバリ止め用外側リブ66,74と第二の接合用突起42との間に形成される隙間80,82から外部にはみ出すこと、換言すれば、互いに対向するコネクタ本体12の接合用フランジ24の接合面26とカバープレート16の脚部38の対向面40との間からはみ出すことが、阻止されて、外面側から隠蔽されるようになっている。
【0052】
また、かかる接合部44においては、第一のバリ止め用上側リブ52の先端面と、ジョイントパイプ14の接合用フランジ32の上端部の接合面34部分との間に形成された凹所70が、上方に向かって開口していることで、二つの第二のバリ止め用外側リブ66,74と第二の接合用突起42との間に形成される隙間82に連通せしめられている。このため、かかる隙間82の容積が、実質的に凹所70の容積分だけ増大せしめられ、それによって、たとえ、コネクタ本体12の接合用フランジ24の接合面26に対する第二の接合用突起42の振動溶着時に、バリ62が多量に発生しても、それが隙間82内と凹所70内とに収容され得るようになる。そして、その結果、外側側面にてエアコネクタ10の外面の一部を形成する二つの第二のバリ止め用外側リブ66,74の間からバリ62がはみ出すようなことが、有利に防止され得るようになっている。
【0053】
さらに、そのような凹所70が、第一のバリ止め用上側リブ52と第一の接合用突起28との間に形成される隙間54に対して非連通とされているところから、かかる隙間54が、二つの第二のバリ止め用外側リブ66,74と第二の接合用突起42との間に形成される隙間82に対して完全に遮断されている。これによって、ジョイントパイプ14の接合用フランジ部32の接合面34に対する第一の接合用突起28の振動溶着時に生ずるバリ62が、二つの第二のバリ止め用外側リブ66,74と第二の接合用突起42との間に形成される隙間82内に侵入したり、或いはコネクタ本体12の接合用フランジ24の接合面26に対する第二の接合用突起42の振動溶着時に生ずるバリ62が、第一のバリ止め用上側リブ52と第一の接合用突起28との間に形成される隙間54内に侵入したりすることが、何れも有利に防止され得るようになっている。
【0054】
ところで、このような接合部44は、例えば、以下のようにして、コネクタ本体12とジョイントパイプ14とカバープレート16とが相互に接合されることによって、形成される。
【0055】
すなわち、先ず、図3に示されるように、ジョイントパイプ14が、各パイプ部30の内孔を、コネクタ本体12の側壁部23に設けられた各側方開口部22に連通させるように位置せしめた状態で、接合用フランジ部32の平坦な接合面34において、コネクタ本体12の第一接合用突起28の平坦な先端面に重ね合わされる(突き合わされる)。このとき、第一の接合用突起28を間に挟んで上方と下方に位置せしめられた第一のバリ止め用上側リブ52と第一のバリ止め用下側リブ56のそれぞれにおけるコネクタ本体12の側壁部23からの突出高さが、第一の接合用突起28の側壁部23からの突出高さよりも小さくされているために、それら第一のバリ止め用上側リブ52と第一のバリ止め用下側リブ56のそれぞれの先端面が、ジョイントパイプ14の接合用フランジ部32の接合面34と所定距離を隔てて対向位置せしめられる。
【0056】
次に、公知の手法に従って、ジョイントパイプ14が位置固定に保持された状態で、コネクタ本体12が、ジョイントパイプ14の接合用フランジ部32の接合面34側に押圧されつつ、例えば図3の紙面に直角な方向に振動せしめられる。
【0057】
かくして、図4に示されるように、互いに重ね合わされたコネクタ本体12の第一の接合用突起28の先端面とジョイントパイプ14の接合用フランジ部32の接合面34との間に生ずる摩擦熱にて、第一の接合用突起28の先端部が溶融せしめられ、以て、かかる第一の接合用突起28が接合用フランジ部32の接合面34に振動溶着される。また、このような振動溶着にてコネクタ本体12とジョイントパイプ14とが一体的接合されることによって、ジョイントパイプ14の接合用フランジ部32の上端部に一体形成された第二のバリ止め用外側リブ66が、コネクタ本体12の接合用フランジ部26の幅方向外側の端部側に、その幅方向内側の端部に設けられた第二のバリ止め用内側リブ64と対向位置する状態で、固設される。
【0058】
さらに、この振動溶着操作は、第一のバリ止め用上側リブ52の先端下側角部が、ジョイントパイプ14の接合用フランジ部32の接合面34の上端部に設けられた段付面68と当接せしめられると共に、第一のバリ止め用下側リブ56の先端面が、ジョイントパイプ14の接合用フランジ部32の接合面34に当接せしめられて、第一のバリ止め用上側リブ52と第一の接合用突起28との間に形成される隙間54や、第一のバリ止め用下側リブ56と第一の接合用突起28との間に形成される隙間60が、外部に非連通となって、密閉状態となるまで継続される。これによって、第一の接合用突起28と接合用フランジ部32の接合面34との溶着部分に生ずるバリ62が、各隙間54,60から外部にはみ出すようなことが阻止される。
【0059】
その後、図5に示されるように、カバープレート16が、天板部36にて、コネクタ本体12の上側開口部20を覆蓋すると共に、脚部38の対向面40に設けられた第二のバリ止め用内側リブ72と第二のバリ止め用外側リブ74とを、コネクタ本体12の接合用フランジ部24の幅方向の内側と外側の両側端部に位置するように固設された第二のバリ止め用内側リブ64と第二のバリ止め用外側リブ66とにそれぞれ対応位置させた状態で、第二の接合用突起42の平坦な先端面において、ジョイントパイプ14が一体接合されたコネクタ本体12の接合用フランジ部24の平坦な接合面26に重ね合わされる(突き合わされる)。
【0060】
このとき、脚部38の対向面40に設けられた第二のバリ止め用内側リブ72と第二のバリ止め用外側リブ74のそれぞれの突出高さや、コネクタ本体12の接合用フランジ部26の幅方向の内側と外側の両側端部に固設された第二のバリ止め用内側リブ64と第二のバリ止め用外側リブ66のそれぞれの突出高さが、第二の接合用突起42の突出高さの半分よりも小さくされているために、互いに対応する第二のバリ止め用内側リブ72,64同士、及び第二のバリ止め用外側リブ74,66同士が、相互に所定距離を隔てて対向位置せしめられる。
【0061】
次いで、公知の手法に従って、コネクタ本体12が位置固定に保持された状態で、カバープレート16が、コネクタ本体12の接合用フランジ部24の接合面26側に押圧されつつ、例えば図5の紙面に直角な方向に振動せしめられる。
【0062】
かくして、図2に示されるように、互いに重ね合わされたカバープレート16の第二の接合用突起42の先端面とコネクタ本体12の接合用フランジ部24の接合面26との間に生ずる摩擦熱にて、第二の接合用突起42の先端部が溶融せしめられ、以て、かかる第二の接合用突起42が接合用フランジ部24の接合面26に振動溶着される。
【0063】
なお、この振動溶着操作は、第二のバリ止め用内側リブ72,64同士や第二のバリ止め用外側リブ74,66同士が、先端面同士において互いに当接せしめられて、第二のバリ止め用内側リブ72,64と第二の接合用突起42との間に形成される隙間80や、第二のバリ止め用外側リブ74,66と第二の接合用突起42との間に形成される隙間82が、外部に非連通となって、密閉状態となるまで継続される。これによって、第二の接合用突起42と接合用フランジ部24の接合面26との溶着部分に生ずるバリ62が、各隙間80,82から外部にはみ出すようなことが阻止される。
【0064】
そうして、コネクタ本体12に対して、ジョイントパイプ14とカバープレート16とが、左右方向と上下方向とにおいてそれぞれ重ね合わされて、一体的に接合されて、接合部44が形成されると共に、それらコネクタ本体12とジョイントパイプ14とカバープレート16との一体接合品からなるエアコネクタ10が形成されることとなる。なお、図1に示されるように、かくして形成されるエアコネクタ10にあっては、接合部44を除く幾つかの接合部が、コネクタ本体12とカバープレート16とを振動溶着して形成されるか、或いはコネクタ本体12とジョイントパイプ14とを振動溶着して形成されることとなるが、それらの接合部においても、第一のバリ止め用リブ84や第二のバリ止め用リブ86が、コネクタ本体12とジョイントパイプ14とカバープレート16の何れかに設けられている。そして、それにより、振動溶着により生ずるバリ62が、第一のバリ止め用リブ84や第二のバリ止め用リブ86にて、エアコネクタ10の外面側にはみ出さないようになっている。
【0065】
このように、本実施形態のエアコネクタ10においては、コネクタ本体12に対して、ジョイントパイプ14とカバープレート16とが左右方向と上下方向とにおいてそれぞれ重ね合わされて、振動溶着されることにより形成された接合部44に、バリ止め防止用リブ52,56,64,66,72,74が設けられて、外面側へのバリ62のはみ出し、更にはコネクタ本体12とジョイントパイプ14との溶着部やコネクタ本体12とカバープレート16との溶着部へのバリ62のはみ出しが防止されるようになっているところから、見栄えの良く、しかも接合不良のない、優れた商品性が、有利に確保され得るのである。
【0066】
そして、本実施形態では、コネクタ本体12の接合用フランジ部24に対するカバープレート16の第二の接合用突起42の振動溶着時に、接合部44において生ずるバリ62の外面側へのはみ出しを防止するために、コネクタ本体12の接合用フランジ部24に設けられるべき第二のバリ止め用外側リブ66が、コネクタ本体12に接合されるジョイントパイプ14に形成されている。それ故、第一のバリ止め用上側及び下側リブ52,56と第二のバリ止め用外側及び内側リブ66,64が、コネクタ本体12に設けられる場合とは異なって、それらのうち、特に、第一のバリ止め用上側リブ52と第二のバリ止め用外側リブ66とが近傍に配設されているにも拘わらず、コネクタ本体12の成形上の制約から、それら両リブ52,66の間に間隙を形成する必要が皆無ならしめられ得、それによって、そのような間隙が無くされた分だけ、接合部44全体の大きさが、有利に小さく為され得る。そして、その結果として、そのような接合部44を設置するためのスペースが有利に省スペース化され得、以て、エアコネクタ10が設置されるべきスペースの有効活用が、効果的に図られ得るのである。
【0067】
また、ジョイントパイプ14と対向するコネクタ本体12の側壁部23の外面に一体形成された第一のバリ止め用上側リブ52が、コネクタ本体12の接続用フランジ部24の一部にて構成されて、かかる接合用フランジ部24の接合面26が、第一のバリ止め用上側リブ52の上側側面を含んで構成されている。これによって、例えば、コネクタ本体12に対して、接合用フランジ部24と第一のバリ止め用上側リブ52とが、互いに独立して別個に設けられる場合に比して、接合部44の全体の大きさを有利に小さく為すことが出来る。
【0068】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0069】
例えば、前記実施形態では、第一の接合用突起28が、第二の樹脂部品たるジョイントパイプ14の接合用フランジ部32の接合面34と対向する、第一の樹脂部品たるコネクタ本体12の側壁部23の外面に設けられていたが、それに代えて、図6に示されるように、第一の接合用突起28を、コネクタ本体12の側壁部23の外面と対向する、ジョイントパイプ14の接合用フランジ部32の接合面34に設けることも出来る。また、図示されてはいないものの、第一の接合用突起28を、互いに対向するコネクタ本体12の側壁部23の外面とジョイントパイプ14の接合用フランジ部32の接合面34の両方に設けても良い。なお、図6と、後述する図7及び図8においては、前記実施形態と同様な構造とされた部材並びに部位について、図1乃至図2と同一の符号を付すことにより、その詳細な説明は省略した。
【0070】
さらに、前記実施形態では、第二の接合用突起42が、第一の樹脂部品たるコネクタ本体12の接合用フランジ部24の接合面26と対向する、第三の樹脂部品たるカバープレート16の対向面40に設けられていたが、それに代えて、かかる第二の接合用突起42を、カバープレート16の対向面40に対向する、コネクタ本体12の接合用フランジ部24の接合面26に設けても良い。また、第二の接合用突起42を、互いに対向するコネクタ本体12の接合用フランジ部24の接合面26とカバープレート16の対向面40の両方に設けても、何等差し支えない。
【0071】
更にまた、第一のバリ止め用上側リブ52にあっても、第一のバリ止め用下側リブ56にあっても、互いに対向するコネクタ本体12の側壁部23の外面とジョイントパイプ14の接合用フランジ部32の接合面34のうちの少なくとも何れか一方に対して、第一の接合突起28の上側側面50や下側側面58と隙間54,60を隔てた状態で、例えば左右方向に突出し且つ第一の接合突起28の上側及び下側の各側面50,58に沿って延びるように一体形成されておれば良い。
【0072】
また、コネクタ本体12の接合用フランジ部24の接合面26に設けられた第二のバリ止め用内側リブ64と、カバープレート16の対向面40に設けられた第二のバリ止め用内側リブ72のうちの何れか一方を省略することも出来る。
【0073】
さらに、カバープレート16の対向面40に設けられた第一のバリ止め用外側リブ74を省略することも可能である。
【0074】
更にまた、第一の接合用突起や第二の接合用突起の形状は、樹脂部品や樹脂製品の形状等に応じて、適宜に変更され得るものである。
【0075】
また、第一の樹脂部品と第二の樹脂部品と第三の樹脂部品の互いの振動溶着により形成される接合部における第一の樹脂部品と第二の樹脂部品との互いの対向方向と第一の樹脂部品と第三の樹脂部品との互いの対向方向は、相互に異なる方向とされておれば、それらの対向方向が、特に限定されるものではない。
【0076】
さらに、第一のバリ止め用リブや第二のバリ止め用リブの形状や配設形態等も、樹脂部品や樹脂製品の形状、或いは第一の接合用突起や第二の接合用突起の形状等に応じて、適宜に変更され得るところである。
【0077】
また、前記実施形態では、3個の樹脂部品(コネクタ本体12、ジョイントパイプ14、カバープレート16)を一体的に接合してなる樹脂製品(エアコネクタ10)の接合部のうち、それら3個の樹脂部品を振動溶着により一体接合して形成される接合部44の構造に対して、本発明が適用されていたが、例えば、図7及び図8に示されるように、4個の樹脂部品を一体的に接合してなる樹脂製品や5個の樹脂部品を一体的に接合してなる樹脂製品の接合部に対しても、本発明は、有利に適用され得る。
【0078】
すなわち、図7に示される実施形態では、中央樹脂部品88と右側樹脂部品89と左側樹脂部品90と上側樹脂部品91を一体的に接合してなる樹脂製品の接合部のうち、中央樹脂部品88と右側樹脂部品89と上側樹脂部品91とが振動溶着により相互に接合されて形成される接合部92aが、前記実施形態における接合部44と同様な構造をもって構成されている。つまり、ここでは、中央樹脂部品88が第一の樹脂部品として、右側樹脂部品89が第二の樹脂部品として、上側樹脂部品91が第三の樹脂部品として、それぞれ構成されている。また、かかる樹脂製品の接合部のうち、中央樹脂部品88と左側樹脂部品90と上側樹脂部品91とが振動溶着により相互に接合されて形成される接合部92bも、前記実施形態における接合部44と同様な構造をもって構成されている。つまり、ここでは、中央樹脂部品88が第一の樹脂部品として、左側樹脂部品90が第二の樹脂部品として、上側樹脂部品91が第三の樹脂部品として、それぞれ構成されている。
【0079】
一方、図8に示される実施形態では、中央樹脂部品93と右側樹脂部品94と左側樹脂部品95と右上側樹脂部品96と左上側樹脂部品97とを一体的に接合してなる樹脂製品の接合部のうち、中央樹脂部品93と右側樹脂部品94と右上側樹脂部品96とが振動溶着により相互に接合されて形成される接合部98aが、前記実施形態における接合部44と同様な構造をもって構成されている。つまり、ここでは、中央樹脂部品93が第一の樹脂部品として、右側樹脂部品94が第二の樹脂部品として、右上側樹脂部品96が第三の樹脂部品として、それぞれ構成されている。また、かかる樹脂製品の接合部のうち、中央樹脂部品93と左側樹脂部品95と左上側樹脂部品97とが振動溶着により相互に接合されて形成される接合部98bも、前記実施形態における接合部44と同様な構造をもって構成されている。つまり、ここでは、中央樹脂部品93が第一の樹脂部品として、左側樹脂部品95が第二の樹脂部品として、左上側樹脂部品97が第三の樹脂部品として、それぞれ構成されている。
【0080】
そして、それらと同様に、本発明は、6個以上の樹脂部品を一体的に接合してなる樹脂製品の接合部のうち、3個の樹脂部品が振動溶着により相互に接合されて形成される接合部の構造の何れに対しても、有利に適用され得るのである。
【0081】
加えて、前記実施形態では、本発明を、自動車用エアコネクタとその接合構造、及びかかるエアコネクタの樹脂部品の接合方法に適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、3個以上の樹脂部品が振動溶着により一体接合されてなる樹脂部品とその接合構造、及び3個の樹脂部品の接合方法の何れに対しても、有利に適用されるものであることは、勿論である。
【0082】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に従う接合部構造を有する樹脂製品の一実施形態としてのエアコネクタを示す縦断面説明図である。
【図2】図1に示されたエアコネクタのII部拡大説明図である。
【図3】図1に示されたエアコネクタを構成する3個の樹脂部品を接合する工程の一例を示す説明図であって、エアコネクタ本体とジョイントパイプとを互いに重ね合わせた状態を示している。
【図4】図3に引き続いて実施される工程を示す説明図であって、エアコネクタ本体とジョイントパイプとを振動溶着により接合した状態を示している。
【図5】図4に引き続いて実施される工程を示す説明図であって、ジョイントパイプが接合されたエアコネクタ本体に対してカバーパネルを重ね合わせた状態を示している。
【図6】本発明に従う接合部構造を有する樹脂製品の別の実施形態を示す図2に対応する図である。
【図7】本発明に従う接合部構造を有する樹脂製品の更に別の実施形態を示す図2に対応する図である。
【図8】本発明に従う接合部構造を有する樹脂製品の他の実施形態を示す図2に対応する図である。
【図9】従来の接合部構造を有する樹脂製品を示す図2に対応する図である。
【符号の説明】
【0084】
10 エアコネクタ 12 コネクタ本体
14 ジョイントパイプ 16 カバープレート
24,32 接合用フランジ部 26,34 接合面
28 第一の接合用突起 40 対向面
42 第二の接合用突起 44 接合部
52 第一のバリ止め用上側リブ 54,60,80,82 隙間
56 第一のバリ止め用下側リブ 62 バリ
64,72 第二のバリ止め用内側リブ 66,74 第二のバリ止め用外側リブ
70 凹所


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の樹脂部品と第二の樹脂部品とがそれぞれ有する、第一の方向において互いに対向する対向面のうちの少なくとも何れか一方に、該第一の方向に突出して、一体形成された第一の接合用突起の先端面を、それらの互いの対向面のうちの少なくとも何れか他方に重ね合わせて、振動溶着する一方、該第二の樹脂部品とは独立した別個の第三の樹脂部品と該第一の樹脂部品とがそれぞれ有する、該第一の方向とは異なる第二の方向において互いに対向する対向面のうちの少なくとも何れか一方に、該第二の方向に突出して、一体形成された第二の接合用突起の先端面を、それらの互いの対向面のうちの少なくとも何れか他方に重ね合わせて、振動溶着することにより、該第一の樹脂部品と該第二の樹脂部品と該第三の樹脂部品とを相互に接合して形成される接合部に対して、前記第一の接合用突起の振動溶着により発生したバリが、該第一の樹脂部品と該第二の樹脂部品との互いの対向面間からはみ出すことを防止する第一のバリ止め用リブと、前記第二の接合用突起の振動溶着により発生したバリが、該第一の樹脂部品と該第三の樹脂部品との互いの対向面間からはみ出すことを防止する第二のバリ止め用リブとを設けてなる樹脂製品の接合部構造であって、
前記第一のバリ止め用リブを、前記第一の樹脂部品と前記第二の樹脂部品の互いの対向面のうちの少なくとも何れか一方に対して、前記第一の接合突起の側面と所定の隙間を隔てた状態で、前記第一の方向に突出し且つ該第一の接合突起の側面に沿って延びるように一体形成する一方、前記第二のバリ止め用リブの少なくとも一部を、該第二の樹脂部品に対して、前記第二の接合突起の側面と所定の隙間を隔てた状態で、前記第二の方向に突出し且つ該第二の接合突起の側面に沿って延びるように一体形成したことを特徴とする樹脂製品の接合部構造。
【請求項2】
前記第一のバリ止め用リブが、前記第一の樹脂部品における前記第二の樹脂部品との対向面に一体形成されると共に、該第一の樹脂部品における前記第三の樹脂部品との対向面が、該第一のバリ止め用リブの側面を含んで構成されている請求項1に記載の樹脂製品の接合部構造。
【請求項3】
前記第一のバリ止め用リブの先端面と、前記第一の樹脂部品に対する前記第二の樹脂部品の対向面との間に、前記第一の接合用突起と前記第二のバリ止め用リブとの間に位置せしめられた前記隙間に連通する一方、前記第二の係合用突起と該第一のバリ止め用リブとの間に位置せしめられた前記隙間とは非連通とされた凹所が設けられている請求項2に記載の樹脂製品の接合部構造。
【請求項4】
互いに独立した別個の部材からなる第一の樹脂部品と第二の樹脂部品と第三の樹脂部品とを振動溶着により相互に接合して形成される接合部を備えた樹脂製品であって、
前記請求項1乃至請求項3のうちの何れか1項に記載の接合部構造を有することを特徴とする樹脂製品。
【請求項5】
互いに独立した別個の部材からなる第一の樹脂部品と第二の樹脂部品と第三の樹脂部品とを振動溶着により相互に接合する方法であって、
前記第一の樹脂部品と前記第二の樹脂部品とがそれぞれ有する、第一の方向において互いに対向する対向面のうちの少なくとも何れか一方の対向面に、該第一の方向に突出して、一体形成された第一の接合用突起の先端面を、それらのうちの少なくとも何れか他方の対向面に重ね合わせる一方、該第一の接合突起の側面と所定の隙間を隔てて該第一の方向に突出し且つ該第一の接合突起の側面に沿って延びるようにして、該少なくとも何れか一方の対向面に一体形成された第一のバリ止め用リブを、該少なくとも何れか他方の対向面に対向配置した状態で、該第一の接合用突起を、それが重ね合わされる前記対向面に振動溶着することによって、かかる振動溶着により発生したバリが、該第一の樹脂部品と該第二の樹脂部品との互いの対向面間からはみ出すことを防止しつつ、該第一の樹脂部品と該第二の樹脂部品とを相互に接合すると共に、それら第一の樹脂部品と第二の樹脂部品のうちの少なくとも第二の樹脂部品に一体形成された第二のバリ止め用リブを、前記第一の方向とは異なる第二の方向に突出位置せしめた後、
前記第一の樹脂部品と前記第三の樹脂部品とがそれぞれ有する、前記第二の方向において互いに対向する対向面のうちの少なくとも何れか一方の対向面に、該第二の方向に突出して、一体形成された第二の接合用突起の先端面を、それらのうちの少なくとも何れか他方の対向面に重ね合わせる一方、該第二の方向に突出して、該第二の樹脂部品に少なくとも一部が一体形成された前記第二のバリ止め用リブを、該第二の接合突起の側面と所定の隙間を隔てて、該第二の接合突起の側面に沿って延びるよう位置せしめると共に、該第三の樹脂部品における該第一の樹脂部品との対向面に対向させた状態で、該第二の接合用突起を、それが重ね合わされる前記対向面に振動溶着することによって、かかる振動溶着により発生したバリが、該第一の樹脂部品と該第三の樹脂部品との互いの対向面間からはみ出すことを防止しつつ、該第一の樹脂部品と該第三の樹脂部品とを相互に接合することを特徴とする樹脂部品の接合方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−855(P2009−855A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−162473(P2007−162473)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(000185617)小島プレス工業株式会社 (515)
【Fターム(参考)】