機器の操作装置
【課題】簡易な構成であるとともに、直感的な移動操作による容易かつ正確な回転体の回転操作を実現できる機器の操作装置を提供する。
【解決手段】本機器の操作装置1は、複数の操作パネル4を側面に有する略柱状の回転体2と、回転体の近傍に配されて、回転体を回転操作するための操作部材3,3’と、操作部材を回転体の回転方向に移動操作(回転操作)することにより作動し、回転体の回転を補助して自動回転させて所定の位置で停止させる回転アシスト機構6を備える。回転アシスト機構は、モータ61と、停止位置検出部62と、回転方向検出部63,64と、を備え、回転方向検出部により、移動操作による回転体の回転方向を検出し、この移動方向と同一方向に回転体が回転するようにモータを動作させるとともに、停止位置検出部により、所定の停止位置まで回転したことを検出したときに、モータの動作を停止させる制御を行うことを特徴とする。
【解決手段】本機器の操作装置1は、複数の操作パネル4を側面に有する略柱状の回転体2と、回転体の近傍に配されて、回転体を回転操作するための操作部材3,3’と、操作部材を回転体の回転方向に移動操作(回転操作)することにより作動し、回転体の回転を補助して自動回転させて所定の位置で停止させる回転アシスト機構6を備える。回転アシスト機構は、モータ61と、停止位置検出部62と、回転方向検出部63,64と、を備え、回転方向検出部により、移動操作による回転体の回転方向を検出し、この移動方向と同一方向に回転体が回転するようにモータを動作させるとともに、停止位置検出部により、所定の停止位置まで回転したことを検出したときに、モータの動作を停止させる制御を行うことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器の操作装置に関する。更に詳しくは、簡易な構成であるとともに、直感的な移動操作による容易かつ正確な回転体の回転操作を実現できる機器の操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、音響機器や空調機器などの操作スイッチ等を有する操作パネルを回転体の側面に複数配置するようにして、より多くのスイッチ類を設けた機器の操作装置が知られている。このような機器の操作装置では、所望のスイッチを操作するために、モータにより回転体を回転させて、各操作パネルに応じた所定の位置で回転体を停止させるようにしている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−240487号公報
【特許文献2】特開2001−216772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献2のような機器の操作装置の場合、各操作パネルに設けたタッチセンサを操作することによりモータの回転方向を規定している。具体的には、図11にあるように、タッチセンサ100,101を押すことにより、回転体を回転させている。特許文献2では、押すという上下動の操作と、回転体の回転という動作とは動く方向が一致しないため、操作者に直感的な操作感覚を与えることは困難であった。また、回転体の停止位置の検出が複数のスイッチのオン・オフの組合せにより設定されているため、構成が複雑になってしまう、といった問題があった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成であるとともに、直感的な移動操作による容易かつ正確な回転体の回転操作を実現できる機器の操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数の操作パネルを側面に有する略柱状の回転体と、前記回転体の近傍に配されて、前記回転体を回転操作するための操作部材と、を備えた機器の操作装置であって、前記操作部材を回転体の回転方向に移動操作することにより作動し、前記回転体の回転を補助して前記回転体を自動回転させて所定の位置で停止させる回転アシスト機構を備え、前記回転アシスト機構は、前記回転体を回転させるためのモータと、前記回転体の停止位置を検出する停止位置検出部と、前記回転体の回転方向を検出する回転方向検出部と、を備え、前記回転方向検出部により、前記移動操作による前記回転体の回転方向を検出し、この移動方向と同一方向に前記回転体が回転するように前記モータを動作させるとともに、前記停止位置検出部により、所定の停止位置まで回転したことを検出したときに、前記モータの動作を停止させる制御を行うことを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記操作部材は、略柱状をなすとともに、回転体の底面側に配されて、前記回転体と一体回転し、前記停止位置検出部は、前記操作部材の停止位置を検出することによって、前記回転体の停止位置を検出し、前記回転方向検出部は、前記操作部材の回転方向を検出することによって、前記回転体の回転方向を検出することを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記操作部材は、底面を有し、前記操作部材の底面は、前記回転体の回転軸と交差し、前記底面には、停止位置検出部及び回転方向検出部に検出される被検出部セットが回転軸を中心に複数形成されていることを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3において、一の被検出部セットは、前記回転軸からの距離がXで、前記停止位置検出部により検出するための第1被検出部と、前記回転軸からの距離をYに保って全体として円弧状であり、前記回転方向検出部により検出するための第2被検出部と、前記第2被検出部と重ならない位置に形成されるとともに、前記回転軸からの距離をZに保って全体として円弧状であり、前記回転方向検出部により検出するための第3被検出部と、を備え(但し、XとY、XとZは異なる)、前記第2被検出部と前記回転軸とを結ぶ仮想線群と、前記第3被検出部と前記回転軸とを結ぶ仮想線群と、の間に前記第1被検出部が位置し、前記回転体が停止位置にあるときには、前記停止位置検出部により前記第1被検出部が検出され、前記回転方向検出部により、前記第2被検出部のうちで前記第1被検出部から最も離れた部分が検出され、前記回転方向検出部により、前記第3被検出部のうちで前記第1被検出部から最も離れた部分が検出されるように、前記停止位置検出部、前記回転方向検出部、前記第1被検出部、前記第2被検出部、及び前記第3被検出部が配置されており、前記操作部材が回転操作されたときには、前記回転方向検出部が、前記第2被検出部又は前記第3被検出部のどちらを検出していないかを考慮して、前記回転体の回転方向を判断することを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の機器の操作装置によると、操作部材を回転体の回転方向に移動操作することにより作動する回転アシスト機構を備えており、この回転アシスト機構は、回転体を回転させるためのモータと、回転体の停止位置を検出する停止位置検出部と、回転体の回転方向を検出する回転方向検出部と、を備えている。そして、回転アシスト機構は、回転方向検出部により、移動操作による回転体の回転方向を検出し、この移動方向と同一方向に回転体が回転するようにモータを動作させる。このように、所望の回転方向に対応する方向に操作部材を移動操作することにより、回転体を所定の停止位置まで自動的に回転させることができるので、直感的な移動操作による容易かつ正確な回転体の回転操作を実現することができる。また、停止位置検出部により、回転体が所定の停止位置まで回転したことを検出したときに、モータの動作を停止させる制御を行うようにしているので、回転体の停止位置の検出が複数のスイッチのオン・オフの組合せにより設定されている場合等と比較して、簡易な構成の機器の操作装置とすることができる。
【0011】
また、前記操作部材は、略柱状をなすとともに、回転体の底面側に配されて、前記回転体と一体回転し、前記停止位置検出部は、前記操作部材の停止位置を検出することによって、前記回転体の停止位置を検出し、前記回転方向検出部は、前記操作部材の回転方向を検出することによって、前記回転体の回転方向を検出する場合は、回転体と同様の略柱状の操作部材を操作するので、より直感的な移動操作による回転体の回転操作を行うことができる。
【0012】
更に、前記操作部材は、底面を有し、前記操作部材の底面は、前記回転体の回転軸と交差し、前記底面には、停止位置検出部及び回転方向検出部に検出される被検出部セットが回転軸を中心に複数形成されている場合は、停止位置の数に応じて被検出部セットの数を設定することにより、所望の数の停止位置を設定できる。これにより、複数のスイッチのオン・オフを組合せて停止位置を設定する場合や、停止位置数に応じて複数のスイッチ等を設ける場合と比較して、簡易な構成の機器の操作装置とすることができる。
【0013】
また、一の被検出部セットは、前記回転軸からの距離がXで、前記停止位置検出部により検出するための第1被検出部と、前記回転軸からの距離をYに保って全体として円弧状であり、前記回転方向検出部により検出するための第2被検出部と、前記第2被検出部と重ならない位置に形成されるとともに、前記回転軸からの距離をZに保って全体として円弧状であり、前記回転方向検出部により検出するための第3被検出部と、を備え(但し、XとY、XとZは異なる)、前記第2被検出部と前記回転軸とを結ぶ仮想線群と、前記第3被検出部と前記回転軸とを結ぶ仮想線群と、の間に前記第1被検出部が位置し、前記回転体が停止位置にあるときには、前記停止位置検出部により前記第1被検出部が検出され、前記回転方向検出部により、前記第2被検出部のうちで前記第1被検出部から最も離れた部分が検出され、前記回転方向検出部により、前記第3被検出部のうちで前記第1被検出部から最も離れた部分が検出されるように、前記停止位置検出部、前記回転方向検出部、前記第1被検出部、前記第2被検出部、及び前記第3被検出部が配置されており、前記操作部材が回転操作されたときには、前記回転方向検出部が、前記第2被検出部又は前記第3被検出部のどちらを検出していないかを考慮して、前記回転体の回転方向を判断する場合は、簡易な構成の被検出部セットによる回転体の回転操作を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
【図1】機器の操作装置が車両のダッシュボードに設けられた例を示す斜視図である。
【図2】本実施例に係る機器の操作装置を示す斜視図である。
【図3】図2のI−I矢視図である。
【図4】本実施例に係る機器の操作装置の被検出部セットを説明するための説明図である。
【図5】本実施例に係る機器の操作装置の各検出部及び各被検出部の配置を説明するための説明図である。
【図6】本実施例に係る機器の操作装置の作用を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図7】本実施例に係る機器の操作装置の各検出部の検出状態を説明するための説明図である。
【図8】本実施例に係る機器の操作装置の各検出部の検出状態を説明するための説明図である。
【図9】他の実施形態に係る機器の操作装置を示す斜視図である。
【図10】他の実施形態に係る機器の操作装置を示す斜視図である。
【図11】従来の機器の操作装置を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0016】
本実施形態に係る機器の操作装置は、複数の操作パネル(4)を側面に有する略柱状の回転体(2)と、回転体の近傍に配されて、回転体を回転操作するための操作部材(3,3’)と、を備えた機器の操作装置(1)であって、操作部材を回転体の回転方向に移動操作することにより作動し、回転体の回転を補助して回転体を自動回転させて所定の位置で停止させる回転アシスト機構(6)を備え、回転アシスト機構は、回転体を回転させるためのモータ(61)と、回転体の停止位置を検出する停止位置検出部(62)と、回転体の回転方向を検出する回転方向検出部(63,64)と、を備え、回転方向検出部により、移動操作による回転体の回転方向を検出し、この移動方向と同一方向に回転体が回転するようにモータを動作させるとともに、停止位置検出部により、所定の停止位置まで回転したことを検出したときに、モータの動作を停止させる制御を行うことを特徴とする。(例えば、図2等参照)。
【0017】
上記「回転体」の構造、大きさ等は特に問わない。この回転体の形状としては、例えば、略円柱形状(例えば、図2等参照)、略多角柱(3角柱、4角柱、5角柱等)形状等が挙げられる。また、この回転体は、通常、略柱状をなす形状の中心軸を回転軸(A)として回転する。
上記回転体は、その側面に、複数の操作パネルを有している。各操作パネルには、例えば、機器を操作するための操作スイッチ(41)(例えば、図2等参照)や、機器の状態等を示す情報を表示するための表示部等が設けられていることができる。なお、上記「機器」の種類は特に限定されないが、例えば、空調機器、音響機器、映像機器等を挙げることができる。
上記「操作部材」の構造、大きさ、個数等は特に問わない。この操作部材は略柱状の形状をなすことができ、この略柱状の形状としては、例えば、略円柱形状(例えば、図2等参照)、略多角柱(3角柱、4角柱、5角柱等)形状等が挙げられる。また、上記操作部材の形状は上記回転体の形状に類似した形状であることが好ましい。回転体を回転させるという操作を、より直感的に行うことができるからである。
上記操作部材は、通常、上記回転体の近傍に配される。この「近傍」は、例えば、上記回転体の底面側であることができる(例えば、図2等参照)。
【0018】
上記「回転アシスト機構」の構成等は特に問わない。
上記「モータ」の種類としては、例えば、ステッピングモータ等の電気モータや、空圧モータ、油圧モータ等の圧力モータを挙げることができる。また、これらのモータのうち、ステッピングモータであることが好ましい。回転体を所定の停止位置まで正確に回転させることができるとともに、回転体の停止時にはその位置を保持することができるからである。
【0019】
上記「停止位置検出部」の構成、検出形態等は特に問わない。この停止位置検出部は、例えば、光量の変化を検知する光電センサ、磁気を検知する磁気センサ、凹凸等を物理的に検知する接点スイッチ等の検知結果に基づいて停止位置を検出する構成とすることができる。また、上記停止位置検出部の検出形態としては、例えば、(i)回転体と一体回転する操作部材の停止位置を検出することにより、回転体の停止位置を間接的に検出する形態(例えば、図2等参照)、(ii)回転体の停止位置を直接検出する形態(例えば、図9等参照)、(iii)回転体と一体回転する他部材(9)の停止位置を検出することにより、回転体の停止位置を間接的に検出する形態(例えば、図10等参照)等を挙げることができる。
【0020】
上記「回転方向検出部」の構成、個数、検出形態等は特に問わない。この回転方向検出部は、例えば、光量の変化を検知する光電センサ、磁気を検知する磁気センサ、凹凸等を物理的に検知する接点スイッチ等の検知結果に基づいて回転方向を検出する構成とすることができる。また、上記回転方向検出部の検出形態としては、例えば、(i)回転体と一体回転する操作部材の回転方向を検出することにより、回転体の回転方向を間接的に検出する形態(例えば、図2等参照)、(ii)回転体の回転方向を直接検出する形態(例えば、図9等参照)、(iii)回転体と一体回転する他部材(9)の回転方向を検出することにより、回転体の回転方向を間接的に検出する形態(例えば、図10等参照)等を挙げることができる。
【0021】
本実施形態の機器の操作装置は、例えば、上記停止位置検出部及び上記回転方向検出部に検出される複数の被検出部セット(8)が形成されていることができる。
上記「被検出部セット」の構成、個数、形成形態等は特に問わない。この被検出部セットは、通常、停止位置の数に応じた個数が形成される。上記被検出部セットの形成形態としては、例えば、有底孔、貫通孔等の凹状に形成されている形態、凸状に形成されている形態、印刷、貼付等により形成されている形態等を挙げることができる。また、上記被検出部セットが形成される部材としては、例えば、上記操作部材、上記回転体、上記他部材等を挙げることができる。更に、上記被検出部セットは、例えば、これらの部材の底面(例えば、図2、図9、図10等参照)や側面に形成されていることができる。また、上記被検出部セットは、例えば、上記回転軸を中心に複数形成されていることができる。
【0022】
上記被検出部セットは、例えば、上記停止位置検出部により検出するための被検出部(81)と、上記回転方向検出部により検出するための被検出部(82,83)と、を備えることができる(例えば、図3等参照)。
【0023】
本実施形態の機器の操作装置は、例えば、上記操作部材は、略柱状をなすとともに、上記回転体の底面側に配されて、上記回転体と一体回転し、上記停止位置検出部は、上記操作部材の停止位置を検出することによって、上記回転体の停止位置を検出し、上記回転方向検出部は、上記操作部材の回転方向を検出することによって、上記回転体の回転方向を検出する形態であることができる(例えば、図2等参照)。
【0024】
本実施形態の機器の操作装置は、例えば、上記操作部材は、底面を有し、上記操作部材の底面は、上記回転体の回転軸と交差し、上記操作部材の上記底面には、上記被検出部セットが回転軸を中心に複数形成されている形態であることができる(例えば、図2、図3等参照)。
【0025】
本実施形態の機器の操作装置は、例えば、一の上記被検出部セットは、上記回転軸からの距離がXで、上記停止位置検出部(62)により検出するための第1被検出部(81)と、上記回転軸からの距離をYに保って全体として円弧状であり、上記回転方向検出部(63)により検出するための第2被検出部(82)と、上記第2被検出部と重ならない位置に形成されるとともに、上記回転軸からの距離をZに保って全体として円弧状であり、上記回転方向検出部(64)により検出するための第3被検出部(83)と、を備え(但し、XとY、XとZは異なる)、上記第2被検出部と上記回転軸とを結ぶ仮想線群(L2)と、上記第3被検出部と上記回転軸とを結ぶ仮想線群(L3)と、の間に上記第1被検出部が位置し、上記回転体が停止位置にあるときには、上記停止位置検出部により上記第1被検出部が検出され、上記回転方向検出部により、上記第2被検出部のうちで上記第1被検出部から最も離れた部分が検出され、上記回転方向検出部により、上記第3被検出部のうちで上記第1被検出部から最も離れた部分が検出されるように、上記停止位置検出部、上記回転方向検出部、上記第1被検出部、上記第2被検出部、及び上記第3被検出部が配置されており、上記操作部材が回転操作されたときには、上記回転方向検出部が、上記第2被検出部又は上記第3被検出部のどちらを検出していないかを考慮して、上記回転体の回転方向を判断する形態であることができる(例えば、図4、図5等参照)。上記距離Yと上記距離Zは、等しくてもよいし、異なっていてもよい。
【実施例】
【0026】
以下、図面を用いて、実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、本実施例では、本発明に係る機器の操作装置として、図1に示すように、車両のダッシュボード10に設けられ、図示しない音響機器や空調機器等を操作するための機器の操作装置1を例示する。
【0027】
(1)機器の操作装置の構成
図2に示すように、機器の操作装置1は、略柱状の回転体2と、この回転体2の底面2A側に配置された操作部材3と、を備えている。本実施例において、回転体2及び操作部材3はそれぞれ略円柱状としている。回転体2はその側面に複数(図2中4個)の操作パネル4を有している。各操作パネル4には機器を操作するための操作スイッチ41がそれぞれ設けられている。回転体2と操作部材3とは軸部材5により連結されており、回転軸A周りを一体回転可能である。また、操作部材3の底面3Aは、回転軸Aと略直交するように交差している。なお、本実施例において、回転体2の底面2B側には、底面2A側と同様に、略円柱状の操作部材3’が配置されている。操作部材3’は、操作部材3と同様に、軸部材5を介して回転体2に連結されており、回転軸A周りを回転体2と一体回転する。即ち、機器の操作装置1は、2つの操作部材3又は3’のいずれを用いても操作できるようになっている。
【0028】
また、図2に示すように、機器の操作装置1は回転アシスト機構6を備えている。回転アシスト機構6は、操作部材3を回転体2の回転方向R1又はR2に移動操作(回転操作)することにより作動し、回転体2の回転を補助して回転体2を自動回転させ、所定の位置で停止させる。この回転アシスト機構6は、回転体2を回転させるためのモータ61を備えている。モータ61の駆動軸は軸継手7を介して軸部材5に連結されており、これにより回転体2を回転させる。本実施例において、モータ61はステッピングモータを採用しており、回転体2が停止位置にあるときにモータ61に通電して静止トルクを発生させることにより、回転体2の位置保持が可能となっている。
【0029】
また、回転アシスト機構6は、回転体2の停止位置を検出する停止位置検出部62と、回転体2の回転方向を検出する回転方向検出部63及び64を備えている。これら停止位置検出部62及び回転方向検出部63及び64は、それぞれ反射型の光電センサであり、後述する被検出部セットの各被検出部からの反射光を受光することにより、各被検出部を検出可能となっている。また、これら検出部62〜64は基板65に取り付けられている。基板65は、各検出部62〜64の検出結果に基づいてモータ61の駆動制御を実行するECU(電子制御ユニット)である。
【0030】
図2及び3に示すように、操作部材3の一方の底面3Aには、回転軸Aを中心に複数(図2及び3中4セット)の被検出部セット8が形成されている。各被検出部セット8は、停止位置検出部62により検出するための第1被検出部81と、回転方向検出部63により検出するための第2被検出部82と、回転方向検出部64により検出するための第3被検出部83と、をそれぞれ備えている。本実施例において、これら被検出部81〜83は、操作部材3の一方の底面3Aにそれぞれ形成された有底孔である。図4に示すように、第1被検出部81は、回転軸Aからの距離がXであるとともに、第2被検出部82と回転軸Aとを結ぶ仮想線群L2と、第3被検出部83と回転軸Aとを結ぶ仮想線群L3と、の間に位置するように形成されている。第2被検出部82は、回転軸Aからの距離をYに保って全体として円弧状に形成されている。第3被検出部83は、第2被検出部82と重ならない位置に形成されるとともに、回転軸Aからの距離をZに保って全体として円弧状に形成されている。なお、本実施例においては、図4に示すように、距離Yと距離Zとは略等しく設定されている。
【0031】
本実施例において、停止位置検出部62、回転方向検出部63、回転方向検出部64、第1被検出部81、第2被検出部82、及び第3被検出部83は、それぞれ以下のように配置されている。即ち、図5に示すように、回転体2が停止位置にある状態において、停止位置検出部62により第1被検出部81が検出され、回転方向検出部63により、第2被検出部82のうちで第1被検出部81から最も離れた部分が検出され、回転方向検出部64により、第3被検出部83のうちで第1被検出部81から最も離れた部分が検出されるように、それぞれ配置されている。そして、機器の操作装置1は、回転方向検出部63又は64が、第2被検出部82又は第3被検出部83のどちらを検出していないかを考慮して、回転体2の回転方向を判断する。なお、図5において、停止位置検出部62、回転方向検出部63及び回転方向検出部64の各検出範囲はそれぞれ62A、63A及び64Aの符号で示している。
【0032】
(2)機器の操作装置の作用
次に、上記構成の機器の操作装置の作用について、図6に示すフローチャートに従って説明する。
最初に、ステップS100では、停止位置検出部62が第1被検出部81を検出していることを確認することにより、回転体2が所定の停止位置にあるか否かを判断する。停止位置検出部62第1被検出部81を検出していることが確認されない場合には、回転体2が所定の停止位置にないと判断して、ステップS110にてモータ61をR1方向に動作させる。これにより、回転体2を所定の停止位置まで回転させる。ステップS100にて停止位置検出部62が第1被検出部81を検出していることを確認した場合には、回転体2が所定の停止位置にあると判断して、ステップS120に移行する。
【0033】
ステップS120では、モータ61を停止させるとともに、モータ61に対して、回転体2の位置保持のための通電を行う。そして、この状態で、操作者により操作部材3又は3’が移動操作(回転操作)されるまで待機する(ステップS130)。操作者により操作部材3又は3’が移動操作(回転操作)されたことは、停止位置検出部62が第1被検出部81を検出していない状態となることにより判断する。なお、モータ61へ位置保持のための通電が行われていても、この通電による静止トルクよりも大きな回転力で操作者が操作部材3又は3’を移動操作(回転操作)することにより回転体2を回転させることができる。
ステップS130において、停止位置検出部62が第1被検出部81を検出していないことが確認されれば、操作部材3又は3’の移動操作(回転操作)が行われたと判断してステップS140に移行する。
【0034】
ステップS140では、操作者による回転操作の方向が回転方向R1又はR2のいずれの方向であるかを判断する。この判断は、停止位置検出部62が第1被検出部81を検出していない状態となったときに回転方向検出部63又は64のどちらが検出していないかを考慮することによりなされる。即ち、移動操作(回転操作)の方向がR1又はR2のいずれであるかは、第1被検出部81が停止位置検出部62の検出範囲62Aから外れたときに、第2被検出部82が回転方向検出部63の検出範囲63Aから外れていること、又は第3被検出部83が回転方向検出部64の検出範囲64Aから外れていることを検知することにより判断する。
【0035】
図7に示すように、第2被検出部82が回転方向検出部63の検出範囲63Aから外れており、ステップS140において回転方向検出部63の検出がないことが確認された場合には、回転方向R1へ回転操作されたと判断して、ステップS150に移行する。ステップS150では、モータ61をR1方向に動作させる。ステップS150にてモータ61を回転方向R1に回転させると、ステップS170にて停止位置検出部62の検出があるかを確認する。停止位置検出部62の検出がある場合には、回転体2が所定の停止位置まで回転したと判断して、ステップS120に戻り、モータ61の動作を停止させるとともに、位置保持のための通電を行う。
【0036】
一方、図8に示すように、第3被検出部83が回転方向検出部64の検出範囲64Aから外れており、ステップS140において回転方向検出部64の検出がないことが確認された場合には、回転方向R2へ回転操作されたと判断して、ステップS160に移行する。ステップS160では、モータ61をR2方向に動作させる。ステップS160にてモータ61を回転方向R2に回転させると、ステップS180にて停止位置検出部62の検出があるかを確認する。停止位置検出部62の検出がある場合には、回転体2が所定の停止位置まで回転したと判断して、ステップS120に戻り、モータ61の動作を停止させるとともに、位置保持のための通電を行う。
【0037】
(3)実施例の効果
以上より、本実施例の機器の操作装置1によると、操作部材3又は3’を回転体2の回転方向に移動操作(回転操作)することにより作動する回転アシスト機構6を備えており、この回転アシスト機構6は、回転体2を回転させるためのモータ61と、回転体2の停止位置を検出する停止位置検出部62と、回転体2の回転方向を検出する回転方向検出部63及び64と、を備えている。そして、回転アシスト機構6は、回転方向検出部63及び64により、移動操作(回転操作)したときの回転体2の回転方向を検出し、この移動方向(回転方向)と同一方向に回転体2が回転するようにモータ61を動作させる。また、停止位置検出部62により、回転体2が所定の停止位置まで回転したことを検出したときに、モータ61の動作を停止させる制御を行う。このように、所望の回転方向に対応する方向に操作部材3又は3’を移動操作(回転操作)することにより、回転体2を所定の停止位置まで自動的に回転させることができるので、直感的な移動操作による容易かつ正確な回転体2の回転操作を実現することができる。また、停止位置検出部62により、回転体2が所定の停止位置まで回転したことを検出したときに、モータ61の動作を停止させる制御を行うようにしているので、複雑な機構を用いることなく、簡易な構成の機器の操作装置とすることができる。
【0038】
また、本実施例では、操作部材3及び3’は、それぞれ略柱状をなすとともに、回転体2の底面2A及び2B側に配されて、回転体2と一体回転し、停止位置検出部62は、操作部材3の停止位置を検出することによって、回転体2の停止位置を検出し、回転方向検出部63及び64は、操作部材3の回転方向を検出することによって、回転体2の回転方向を検出するので、回転体2と同様の略柱状の操作部材を操作するという、より直感的な移動操作による回転体2の回転操作を行うことができる。
【0039】
更に、本実施例では、操作部材3は、底面3Aを有し、操作部材3の底面3Aは、回転体2の回転軸Aと交差し、底面2Aには、停止位置検出部62、回転方向検出部63及び回転方向検出部64に検出される被検出部セット8が回転軸Aを中心に複数形成されているので、停止位置の数に応じて被検出部セット8の数を設定することにより、所望の数の停止位置を設定できる。これにより、複数のスイッチのオン・オフを組合せて停止位置を設定する場合や、停止位置数に応じて複数のスイッチ等を設ける場合と比較して、簡易な構成の機器の操作装置とすることができる。
【0040】
また、本実施例では、一の被検出部セット8は、回転軸Aからの距離がXで、停止位置検出部62により検出するための第1被検出部81と、回転軸Aからの距離をYに保って全体として円弧状であり、回転方向検出部63により検出するための第2被検出部82と、第2被検出部82と重ならない位置に形成されるとともに、回転軸Aからの距離をZに保って全体として円弧状であり、回転方向検出部64により検出するための第3被検出部83と、を備え(但し、XとY、XとZは異なる)、第2被検出部82と回転軸Aとを結ぶ仮想線群と、第3被検出部83と回転軸Aとを結ぶ仮想線群と、の間に第1被検出部81が位置し、回転体2が停止位置にあるときには、停止位置検出部62により第1被検出部81が検出され、回転方向検出部63により、第2被検出部82のうちで第1被検出部81から最も離れた部分が検出され、回転方向検出部64により、第3被検出部83のうちで第1被検出部81から最も離れた部分が検出されるように、停止位置検出部62、回転方向検出部63,64、第1被検出部81、第2被検出部82、及び第3被検出部83が配置されており、操作部材3又は3’が回転操作されたときには、回転方向検出部63,64が、第2被検出部82又は第3被検出部83のどちらを検出していないかを考慮して、回転体2の回転方向を判断するようにしたので、簡易な構成の被検出部セット8による回転体2の回転操作を実現できる。
【0041】
更に、本実施例では、回転体2を回転させるためのモータ61としてステッピングモータを採用したので、回転体2を所定の停止位置まで正確に回転させることができる。また、回転体2が所定の停止位置にあるときにモータ61に通電を行うことにより静止トルクを発生させることができるので、回転体2の停止位置を保持することができる。
【0042】
なお、本発明においては、上記の具体的な実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では、被検出部セット8を操作部材3の底面3Aに形成するようにしたが、これに限定されず、例えば、図9に示すように、回転体2の一方の底面2Aに形成するようにしてもよいし、回転体2の他方の底面2Bや操作部材3の他方の底面3Bに形成するようにしてもよい。
【0043】
また、上記実施例では、被検出部セット8を操作部材3に形成するようにしたが、これに限定されず、例えば、図10に示すように、被検出部セット8を形成するための他部材9を別途設けるようにし、その底面9Aや9Bに被検出部セット8を形成するようにしてもよい。
【0044】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0045】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、機器の操作装置として広く利用することができる。特に、車両の空調機器、音響機器、映像機器等の操作装置として好適に利用される。
【符号の説明】
【0047】
1;機器の操作装置、2;回転体、2A,2B;回転体の底面、3,3’;操作部材、3A,3B,3’A,3’B;操作部材の底面、4;操作パネル、41;操作スイッチ、5;軸部材、6;回転アシスト機構、61;モータ、62;停止位置検出部、62A;停止位置検出部の検出範囲、63,64;回転方向検出部、63A,64A;回転方向検出部の検出範囲、65;基板、7;軸継手、8;被検出部セット、81;第1被検出部、82;第2被検出部、83;第3被検出部、9;他部材、9A,9B;他部材の底面、10;ダッシュボード、A;回転軸、R1,R2;回転方向、100,101;タッチセンサ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器の操作装置に関する。更に詳しくは、簡易な構成であるとともに、直感的な移動操作による容易かつ正確な回転体の回転操作を実現できる機器の操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、音響機器や空調機器などの操作スイッチ等を有する操作パネルを回転体の側面に複数配置するようにして、より多くのスイッチ類を設けた機器の操作装置が知られている。このような機器の操作装置では、所望のスイッチを操作するために、モータにより回転体を回転させて、各操作パネルに応じた所定の位置で回転体を停止させるようにしている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−240487号公報
【特許文献2】特開2001−216772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献2のような機器の操作装置の場合、各操作パネルに設けたタッチセンサを操作することによりモータの回転方向を規定している。具体的には、図11にあるように、タッチセンサ100,101を押すことにより、回転体を回転させている。特許文献2では、押すという上下動の操作と、回転体の回転という動作とは動く方向が一致しないため、操作者に直感的な操作感覚を与えることは困難であった。また、回転体の停止位置の検出が複数のスイッチのオン・オフの組合せにより設定されているため、構成が複雑になってしまう、といった問題があった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成であるとともに、直感的な移動操作による容易かつ正確な回転体の回転操作を実現できる機器の操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数の操作パネルを側面に有する略柱状の回転体と、前記回転体の近傍に配されて、前記回転体を回転操作するための操作部材と、を備えた機器の操作装置であって、前記操作部材を回転体の回転方向に移動操作することにより作動し、前記回転体の回転を補助して前記回転体を自動回転させて所定の位置で停止させる回転アシスト機構を備え、前記回転アシスト機構は、前記回転体を回転させるためのモータと、前記回転体の停止位置を検出する停止位置検出部と、前記回転体の回転方向を検出する回転方向検出部と、を備え、前記回転方向検出部により、前記移動操作による前記回転体の回転方向を検出し、この移動方向と同一方向に前記回転体が回転するように前記モータを動作させるとともに、前記停止位置検出部により、所定の停止位置まで回転したことを検出したときに、前記モータの動作を停止させる制御を行うことを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記操作部材は、略柱状をなすとともに、回転体の底面側に配されて、前記回転体と一体回転し、前記停止位置検出部は、前記操作部材の停止位置を検出することによって、前記回転体の停止位置を検出し、前記回転方向検出部は、前記操作部材の回転方向を検出することによって、前記回転体の回転方向を検出することを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記操作部材は、底面を有し、前記操作部材の底面は、前記回転体の回転軸と交差し、前記底面には、停止位置検出部及び回転方向検出部に検出される被検出部セットが回転軸を中心に複数形成されていることを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3において、一の被検出部セットは、前記回転軸からの距離がXで、前記停止位置検出部により検出するための第1被検出部と、前記回転軸からの距離をYに保って全体として円弧状であり、前記回転方向検出部により検出するための第2被検出部と、前記第2被検出部と重ならない位置に形成されるとともに、前記回転軸からの距離をZに保って全体として円弧状であり、前記回転方向検出部により検出するための第3被検出部と、を備え(但し、XとY、XとZは異なる)、前記第2被検出部と前記回転軸とを結ぶ仮想線群と、前記第3被検出部と前記回転軸とを結ぶ仮想線群と、の間に前記第1被検出部が位置し、前記回転体が停止位置にあるときには、前記停止位置検出部により前記第1被検出部が検出され、前記回転方向検出部により、前記第2被検出部のうちで前記第1被検出部から最も離れた部分が検出され、前記回転方向検出部により、前記第3被検出部のうちで前記第1被検出部から最も離れた部分が検出されるように、前記停止位置検出部、前記回転方向検出部、前記第1被検出部、前記第2被検出部、及び前記第3被検出部が配置されており、前記操作部材が回転操作されたときには、前記回転方向検出部が、前記第2被検出部又は前記第3被検出部のどちらを検出していないかを考慮して、前記回転体の回転方向を判断することを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の機器の操作装置によると、操作部材を回転体の回転方向に移動操作することにより作動する回転アシスト機構を備えており、この回転アシスト機構は、回転体を回転させるためのモータと、回転体の停止位置を検出する停止位置検出部と、回転体の回転方向を検出する回転方向検出部と、を備えている。そして、回転アシスト機構は、回転方向検出部により、移動操作による回転体の回転方向を検出し、この移動方向と同一方向に回転体が回転するようにモータを動作させる。このように、所望の回転方向に対応する方向に操作部材を移動操作することにより、回転体を所定の停止位置まで自動的に回転させることができるので、直感的な移動操作による容易かつ正確な回転体の回転操作を実現することができる。また、停止位置検出部により、回転体が所定の停止位置まで回転したことを検出したときに、モータの動作を停止させる制御を行うようにしているので、回転体の停止位置の検出が複数のスイッチのオン・オフの組合せにより設定されている場合等と比較して、簡易な構成の機器の操作装置とすることができる。
【0011】
また、前記操作部材は、略柱状をなすとともに、回転体の底面側に配されて、前記回転体と一体回転し、前記停止位置検出部は、前記操作部材の停止位置を検出することによって、前記回転体の停止位置を検出し、前記回転方向検出部は、前記操作部材の回転方向を検出することによって、前記回転体の回転方向を検出する場合は、回転体と同様の略柱状の操作部材を操作するので、より直感的な移動操作による回転体の回転操作を行うことができる。
【0012】
更に、前記操作部材は、底面を有し、前記操作部材の底面は、前記回転体の回転軸と交差し、前記底面には、停止位置検出部及び回転方向検出部に検出される被検出部セットが回転軸を中心に複数形成されている場合は、停止位置の数に応じて被検出部セットの数を設定することにより、所望の数の停止位置を設定できる。これにより、複数のスイッチのオン・オフを組合せて停止位置を設定する場合や、停止位置数に応じて複数のスイッチ等を設ける場合と比較して、簡易な構成の機器の操作装置とすることができる。
【0013】
また、一の被検出部セットは、前記回転軸からの距離がXで、前記停止位置検出部により検出するための第1被検出部と、前記回転軸からの距離をYに保って全体として円弧状であり、前記回転方向検出部により検出するための第2被検出部と、前記第2被検出部と重ならない位置に形成されるとともに、前記回転軸からの距離をZに保って全体として円弧状であり、前記回転方向検出部により検出するための第3被検出部と、を備え(但し、XとY、XとZは異なる)、前記第2被検出部と前記回転軸とを結ぶ仮想線群と、前記第3被検出部と前記回転軸とを結ぶ仮想線群と、の間に前記第1被検出部が位置し、前記回転体が停止位置にあるときには、前記停止位置検出部により前記第1被検出部が検出され、前記回転方向検出部により、前記第2被検出部のうちで前記第1被検出部から最も離れた部分が検出され、前記回転方向検出部により、前記第3被検出部のうちで前記第1被検出部から最も離れた部分が検出されるように、前記停止位置検出部、前記回転方向検出部、前記第1被検出部、前記第2被検出部、及び前記第3被検出部が配置されており、前記操作部材が回転操作されたときには、前記回転方向検出部が、前記第2被検出部又は前記第3被検出部のどちらを検出していないかを考慮して、前記回転体の回転方向を判断する場合は、簡易な構成の被検出部セットによる回転体の回転操作を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
【図1】機器の操作装置が車両のダッシュボードに設けられた例を示す斜視図である。
【図2】本実施例に係る機器の操作装置を示す斜視図である。
【図3】図2のI−I矢視図である。
【図4】本実施例に係る機器の操作装置の被検出部セットを説明するための説明図である。
【図5】本実施例に係る機器の操作装置の各検出部及び各被検出部の配置を説明するための説明図である。
【図6】本実施例に係る機器の操作装置の作用を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図7】本実施例に係る機器の操作装置の各検出部の検出状態を説明するための説明図である。
【図8】本実施例に係る機器の操作装置の各検出部の検出状態を説明するための説明図である。
【図9】他の実施形態に係る機器の操作装置を示す斜視図である。
【図10】他の実施形態に係る機器の操作装置を示す斜視図である。
【図11】従来の機器の操作装置を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0016】
本実施形態に係る機器の操作装置は、複数の操作パネル(4)を側面に有する略柱状の回転体(2)と、回転体の近傍に配されて、回転体を回転操作するための操作部材(3,3’)と、を備えた機器の操作装置(1)であって、操作部材を回転体の回転方向に移動操作することにより作動し、回転体の回転を補助して回転体を自動回転させて所定の位置で停止させる回転アシスト機構(6)を備え、回転アシスト機構は、回転体を回転させるためのモータ(61)と、回転体の停止位置を検出する停止位置検出部(62)と、回転体の回転方向を検出する回転方向検出部(63,64)と、を備え、回転方向検出部により、移動操作による回転体の回転方向を検出し、この移動方向と同一方向に回転体が回転するようにモータを動作させるとともに、停止位置検出部により、所定の停止位置まで回転したことを検出したときに、モータの動作を停止させる制御を行うことを特徴とする。(例えば、図2等参照)。
【0017】
上記「回転体」の構造、大きさ等は特に問わない。この回転体の形状としては、例えば、略円柱形状(例えば、図2等参照)、略多角柱(3角柱、4角柱、5角柱等)形状等が挙げられる。また、この回転体は、通常、略柱状をなす形状の中心軸を回転軸(A)として回転する。
上記回転体は、その側面に、複数の操作パネルを有している。各操作パネルには、例えば、機器を操作するための操作スイッチ(41)(例えば、図2等参照)や、機器の状態等を示す情報を表示するための表示部等が設けられていることができる。なお、上記「機器」の種類は特に限定されないが、例えば、空調機器、音響機器、映像機器等を挙げることができる。
上記「操作部材」の構造、大きさ、個数等は特に問わない。この操作部材は略柱状の形状をなすことができ、この略柱状の形状としては、例えば、略円柱形状(例えば、図2等参照)、略多角柱(3角柱、4角柱、5角柱等)形状等が挙げられる。また、上記操作部材の形状は上記回転体の形状に類似した形状であることが好ましい。回転体を回転させるという操作を、より直感的に行うことができるからである。
上記操作部材は、通常、上記回転体の近傍に配される。この「近傍」は、例えば、上記回転体の底面側であることができる(例えば、図2等参照)。
【0018】
上記「回転アシスト機構」の構成等は特に問わない。
上記「モータ」の種類としては、例えば、ステッピングモータ等の電気モータや、空圧モータ、油圧モータ等の圧力モータを挙げることができる。また、これらのモータのうち、ステッピングモータであることが好ましい。回転体を所定の停止位置まで正確に回転させることができるとともに、回転体の停止時にはその位置を保持することができるからである。
【0019】
上記「停止位置検出部」の構成、検出形態等は特に問わない。この停止位置検出部は、例えば、光量の変化を検知する光電センサ、磁気を検知する磁気センサ、凹凸等を物理的に検知する接点スイッチ等の検知結果に基づいて停止位置を検出する構成とすることができる。また、上記停止位置検出部の検出形態としては、例えば、(i)回転体と一体回転する操作部材の停止位置を検出することにより、回転体の停止位置を間接的に検出する形態(例えば、図2等参照)、(ii)回転体の停止位置を直接検出する形態(例えば、図9等参照)、(iii)回転体と一体回転する他部材(9)の停止位置を検出することにより、回転体の停止位置を間接的に検出する形態(例えば、図10等参照)等を挙げることができる。
【0020】
上記「回転方向検出部」の構成、個数、検出形態等は特に問わない。この回転方向検出部は、例えば、光量の変化を検知する光電センサ、磁気を検知する磁気センサ、凹凸等を物理的に検知する接点スイッチ等の検知結果に基づいて回転方向を検出する構成とすることができる。また、上記回転方向検出部の検出形態としては、例えば、(i)回転体と一体回転する操作部材の回転方向を検出することにより、回転体の回転方向を間接的に検出する形態(例えば、図2等参照)、(ii)回転体の回転方向を直接検出する形態(例えば、図9等参照)、(iii)回転体と一体回転する他部材(9)の回転方向を検出することにより、回転体の回転方向を間接的に検出する形態(例えば、図10等参照)等を挙げることができる。
【0021】
本実施形態の機器の操作装置は、例えば、上記停止位置検出部及び上記回転方向検出部に検出される複数の被検出部セット(8)が形成されていることができる。
上記「被検出部セット」の構成、個数、形成形態等は特に問わない。この被検出部セットは、通常、停止位置の数に応じた個数が形成される。上記被検出部セットの形成形態としては、例えば、有底孔、貫通孔等の凹状に形成されている形態、凸状に形成されている形態、印刷、貼付等により形成されている形態等を挙げることができる。また、上記被検出部セットが形成される部材としては、例えば、上記操作部材、上記回転体、上記他部材等を挙げることができる。更に、上記被検出部セットは、例えば、これらの部材の底面(例えば、図2、図9、図10等参照)や側面に形成されていることができる。また、上記被検出部セットは、例えば、上記回転軸を中心に複数形成されていることができる。
【0022】
上記被検出部セットは、例えば、上記停止位置検出部により検出するための被検出部(81)と、上記回転方向検出部により検出するための被検出部(82,83)と、を備えることができる(例えば、図3等参照)。
【0023】
本実施形態の機器の操作装置は、例えば、上記操作部材は、略柱状をなすとともに、上記回転体の底面側に配されて、上記回転体と一体回転し、上記停止位置検出部は、上記操作部材の停止位置を検出することによって、上記回転体の停止位置を検出し、上記回転方向検出部は、上記操作部材の回転方向を検出することによって、上記回転体の回転方向を検出する形態であることができる(例えば、図2等参照)。
【0024】
本実施形態の機器の操作装置は、例えば、上記操作部材は、底面を有し、上記操作部材の底面は、上記回転体の回転軸と交差し、上記操作部材の上記底面には、上記被検出部セットが回転軸を中心に複数形成されている形態であることができる(例えば、図2、図3等参照)。
【0025】
本実施形態の機器の操作装置は、例えば、一の上記被検出部セットは、上記回転軸からの距離がXで、上記停止位置検出部(62)により検出するための第1被検出部(81)と、上記回転軸からの距離をYに保って全体として円弧状であり、上記回転方向検出部(63)により検出するための第2被検出部(82)と、上記第2被検出部と重ならない位置に形成されるとともに、上記回転軸からの距離をZに保って全体として円弧状であり、上記回転方向検出部(64)により検出するための第3被検出部(83)と、を備え(但し、XとY、XとZは異なる)、上記第2被検出部と上記回転軸とを結ぶ仮想線群(L2)と、上記第3被検出部と上記回転軸とを結ぶ仮想線群(L3)と、の間に上記第1被検出部が位置し、上記回転体が停止位置にあるときには、上記停止位置検出部により上記第1被検出部が検出され、上記回転方向検出部により、上記第2被検出部のうちで上記第1被検出部から最も離れた部分が検出され、上記回転方向検出部により、上記第3被検出部のうちで上記第1被検出部から最も離れた部分が検出されるように、上記停止位置検出部、上記回転方向検出部、上記第1被検出部、上記第2被検出部、及び上記第3被検出部が配置されており、上記操作部材が回転操作されたときには、上記回転方向検出部が、上記第2被検出部又は上記第3被検出部のどちらを検出していないかを考慮して、上記回転体の回転方向を判断する形態であることができる(例えば、図4、図5等参照)。上記距離Yと上記距離Zは、等しくてもよいし、異なっていてもよい。
【実施例】
【0026】
以下、図面を用いて、実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、本実施例では、本発明に係る機器の操作装置として、図1に示すように、車両のダッシュボード10に設けられ、図示しない音響機器や空調機器等を操作するための機器の操作装置1を例示する。
【0027】
(1)機器の操作装置の構成
図2に示すように、機器の操作装置1は、略柱状の回転体2と、この回転体2の底面2A側に配置された操作部材3と、を備えている。本実施例において、回転体2及び操作部材3はそれぞれ略円柱状としている。回転体2はその側面に複数(図2中4個)の操作パネル4を有している。各操作パネル4には機器を操作するための操作スイッチ41がそれぞれ設けられている。回転体2と操作部材3とは軸部材5により連結されており、回転軸A周りを一体回転可能である。また、操作部材3の底面3Aは、回転軸Aと略直交するように交差している。なお、本実施例において、回転体2の底面2B側には、底面2A側と同様に、略円柱状の操作部材3’が配置されている。操作部材3’は、操作部材3と同様に、軸部材5を介して回転体2に連結されており、回転軸A周りを回転体2と一体回転する。即ち、機器の操作装置1は、2つの操作部材3又は3’のいずれを用いても操作できるようになっている。
【0028】
また、図2に示すように、機器の操作装置1は回転アシスト機構6を備えている。回転アシスト機構6は、操作部材3を回転体2の回転方向R1又はR2に移動操作(回転操作)することにより作動し、回転体2の回転を補助して回転体2を自動回転させ、所定の位置で停止させる。この回転アシスト機構6は、回転体2を回転させるためのモータ61を備えている。モータ61の駆動軸は軸継手7を介して軸部材5に連結されており、これにより回転体2を回転させる。本実施例において、モータ61はステッピングモータを採用しており、回転体2が停止位置にあるときにモータ61に通電して静止トルクを発生させることにより、回転体2の位置保持が可能となっている。
【0029】
また、回転アシスト機構6は、回転体2の停止位置を検出する停止位置検出部62と、回転体2の回転方向を検出する回転方向検出部63及び64を備えている。これら停止位置検出部62及び回転方向検出部63及び64は、それぞれ反射型の光電センサであり、後述する被検出部セットの各被検出部からの反射光を受光することにより、各被検出部を検出可能となっている。また、これら検出部62〜64は基板65に取り付けられている。基板65は、各検出部62〜64の検出結果に基づいてモータ61の駆動制御を実行するECU(電子制御ユニット)である。
【0030】
図2及び3に示すように、操作部材3の一方の底面3Aには、回転軸Aを中心に複数(図2及び3中4セット)の被検出部セット8が形成されている。各被検出部セット8は、停止位置検出部62により検出するための第1被検出部81と、回転方向検出部63により検出するための第2被検出部82と、回転方向検出部64により検出するための第3被検出部83と、をそれぞれ備えている。本実施例において、これら被検出部81〜83は、操作部材3の一方の底面3Aにそれぞれ形成された有底孔である。図4に示すように、第1被検出部81は、回転軸Aからの距離がXであるとともに、第2被検出部82と回転軸Aとを結ぶ仮想線群L2と、第3被検出部83と回転軸Aとを結ぶ仮想線群L3と、の間に位置するように形成されている。第2被検出部82は、回転軸Aからの距離をYに保って全体として円弧状に形成されている。第3被検出部83は、第2被検出部82と重ならない位置に形成されるとともに、回転軸Aからの距離をZに保って全体として円弧状に形成されている。なお、本実施例においては、図4に示すように、距離Yと距離Zとは略等しく設定されている。
【0031】
本実施例において、停止位置検出部62、回転方向検出部63、回転方向検出部64、第1被検出部81、第2被検出部82、及び第3被検出部83は、それぞれ以下のように配置されている。即ち、図5に示すように、回転体2が停止位置にある状態において、停止位置検出部62により第1被検出部81が検出され、回転方向検出部63により、第2被検出部82のうちで第1被検出部81から最も離れた部分が検出され、回転方向検出部64により、第3被検出部83のうちで第1被検出部81から最も離れた部分が検出されるように、それぞれ配置されている。そして、機器の操作装置1は、回転方向検出部63又は64が、第2被検出部82又は第3被検出部83のどちらを検出していないかを考慮して、回転体2の回転方向を判断する。なお、図5において、停止位置検出部62、回転方向検出部63及び回転方向検出部64の各検出範囲はそれぞれ62A、63A及び64Aの符号で示している。
【0032】
(2)機器の操作装置の作用
次に、上記構成の機器の操作装置の作用について、図6に示すフローチャートに従って説明する。
最初に、ステップS100では、停止位置検出部62が第1被検出部81を検出していることを確認することにより、回転体2が所定の停止位置にあるか否かを判断する。停止位置検出部62第1被検出部81を検出していることが確認されない場合には、回転体2が所定の停止位置にないと判断して、ステップS110にてモータ61をR1方向に動作させる。これにより、回転体2を所定の停止位置まで回転させる。ステップS100にて停止位置検出部62が第1被検出部81を検出していることを確認した場合には、回転体2が所定の停止位置にあると判断して、ステップS120に移行する。
【0033】
ステップS120では、モータ61を停止させるとともに、モータ61に対して、回転体2の位置保持のための通電を行う。そして、この状態で、操作者により操作部材3又は3’が移動操作(回転操作)されるまで待機する(ステップS130)。操作者により操作部材3又は3’が移動操作(回転操作)されたことは、停止位置検出部62が第1被検出部81を検出していない状態となることにより判断する。なお、モータ61へ位置保持のための通電が行われていても、この通電による静止トルクよりも大きな回転力で操作者が操作部材3又は3’を移動操作(回転操作)することにより回転体2を回転させることができる。
ステップS130において、停止位置検出部62が第1被検出部81を検出していないことが確認されれば、操作部材3又は3’の移動操作(回転操作)が行われたと判断してステップS140に移行する。
【0034】
ステップS140では、操作者による回転操作の方向が回転方向R1又はR2のいずれの方向であるかを判断する。この判断は、停止位置検出部62が第1被検出部81を検出していない状態となったときに回転方向検出部63又は64のどちらが検出していないかを考慮することによりなされる。即ち、移動操作(回転操作)の方向がR1又はR2のいずれであるかは、第1被検出部81が停止位置検出部62の検出範囲62Aから外れたときに、第2被検出部82が回転方向検出部63の検出範囲63Aから外れていること、又は第3被検出部83が回転方向検出部64の検出範囲64Aから外れていることを検知することにより判断する。
【0035】
図7に示すように、第2被検出部82が回転方向検出部63の検出範囲63Aから外れており、ステップS140において回転方向検出部63の検出がないことが確認された場合には、回転方向R1へ回転操作されたと判断して、ステップS150に移行する。ステップS150では、モータ61をR1方向に動作させる。ステップS150にてモータ61を回転方向R1に回転させると、ステップS170にて停止位置検出部62の検出があるかを確認する。停止位置検出部62の検出がある場合には、回転体2が所定の停止位置まで回転したと判断して、ステップS120に戻り、モータ61の動作を停止させるとともに、位置保持のための通電を行う。
【0036】
一方、図8に示すように、第3被検出部83が回転方向検出部64の検出範囲64Aから外れており、ステップS140において回転方向検出部64の検出がないことが確認された場合には、回転方向R2へ回転操作されたと判断して、ステップS160に移行する。ステップS160では、モータ61をR2方向に動作させる。ステップS160にてモータ61を回転方向R2に回転させると、ステップS180にて停止位置検出部62の検出があるかを確認する。停止位置検出部62の検出がある場合には、回転体2が所定の停止位置まで回転したと判断して、ステップS120に戻り、モータ61の動作を停止させるとともに、位置保持のための通電を行う。
【0037】
(3)実施例の効果
以上より、本実施例の機器の操作装置1によると、操作部材3又は3’を回転体2の回転方向に移動操作(回転操作)することにより作動する回転アシスト機構6を備えており、この回転アシスト機構6は、回転体2を回転させるためのモータ61と、回転体2の停止位置を検出する停止位置検出部62と、回転体2の回転方向を検出する回転方向検出部63及び64と、を備えている。そして、回転アシスト機構6は、回転方向検出部63及び64により、移動操作(回転操作)したときの回転体2の回転方向を検出し、この移動方向(回転方向)と同一方向に回転体2が回転するようにモータ61を動作させる。また、停止位置検出部62により、回転体2が所定の停止位置まで回転したことを検出したときに、モータ61の動作を停止させる制御を行う。このように、所望の回転方向に対応する方向に操作部材3又は3’を移動操作(回転操作)することにより、回転体2を所定の停止位置まで自動的に回転させることができるので、直感的な移動操作による容易かつ正確な回転体2の回転操作を実現することができる。また、停止位置検出部62により、回転体2が所定の停止位置まで回転したことを検出したときに、モータ61の動作を停止させる制御を行うようにしているので、複雑な機構を用いることなく、簡易な構成の機器の操作装置とすることができる。
【0038】
また、本実施例では、操作部材3及び3’は、それぞれ略柱状をなすとともに、回転体2の底面2A及び2B側に配されて、回転体2と一体回転し、停止位置検出部62は、操作部材3の停止位置を検出することによって、回転体2の停止位置を検出し、回転方向検出部63及び64は、操作部材3の回転方向を検出することによって、回転体2の回転方向を検出するので、回転体2と同様の略柱状の操作部材を操作するという、より直感的な移動操作による回転体2の回転操作を行うことができる。
【0039】
更に、本実施例では、操作部材3は、底面3Aを有し、操作部材3の底面3Aは、回転体2の回転軸Aと交差し、底面2Aには、停止位置検出部62、回転方向検出部63及び回転方向検出部64に検出される被検出部セット8が回転軸Aを中心に複数形成されているので、停止位置の数に応じて被検出部セット8の数を設定することにより、所望の数の停止位置を設定できる。これにより、複数のスイッチのオン・オフを組合せて停止位置を設定する場合や、停止位置数に応じて複数のスイッチ等を設ける場合と比較して、簡易な構成の機器の操作装置とすることができる。
【0040】
また、本実施例では、一の被検出部セット8は、回転軸Aからの距離がXで、停止位置検出部62により検出するための第1被検出部81と、回転軸Aからの距離をYに保って全体として円弧状であり、回転方向検出部63により検出するための第2被検出部82と、第2被検出部82と重ならない位置に形成されるとともに、回転軸Aからの距離をZに保って全体として円弧状であり、回転方向検出部64により検出するための第3被検出部83と、を備え(但し、XとY、XとZは異なる)、第2被検出部82と回転軸Aとを結ぶ仮想線群と、第3被検出部83と回転軸Aとを結ぶ仮想線群と、の間に第1被検出部81が位置し、回転体2が停止位置にあるときには、停止位置検出部62により第1被検出部81が検出され、回転方向検出部63により、第2被検出部82のうちで第1被検出部81から最も離れた部分が検出され、回転方向検出部64により、第3被検出部83のうちで第1被検出部81から最も離れた部分が検出されるように、停止位置検出部62、回転方向検出部63,64、第1被検出部81、第2被検出部82、及び第3被検出部83が配置されており、操作部材3又は3’が回転操作されたときには、回転方向検出部63,64が、第2被検出部82又は第3被検出部83のどちらを検出していないかを考慮して、回転体2の回転方向を判断するようにしたので、簡易な構成の被検出部セット8による回転体2の回転操作を実現できる。
【0041】
更に、本実施例では、回転体2を回転させるためのモータ61としてステッピングモータを採用したので、回転体2を所定の停止位置まで正確に回転させることができる。また、回転体2が所定の停止位置にあるときにモータ61に通電を行うことにより静止トルクを発生させることができるので、回転体2の停止位置を保持することができる。
【0042】
なお、本発明においては、上記の具体的な実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では、被検出部セット8を操作部材3の底面3Aに形成するようにしたが、これに限定されず、例えば、図9に示すように、回転体2の一方の底面2Aに形成するようにしてもよいし、回転体2の他方の底面2Bや操作部材3の他方の底面3Bに形成するようにしてもよい。
【0043】
また、上記実施例では、被検出部セット8を操作部材3に形成するようにしたが、これに限定されず、例えば、図10に示すように、被検出部セット8を形成するための他部材9を別途設けるようにし、その底面9Aや9Bに被検出部セット8を形成するようにしてもよい。
【0044】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0045】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、機器の操作装置として広く利用することができる。特に、車両の空調機器、音響機器、映像機器等の操作装置として好適に利用される。
【符号の説明】
【0047】
1;機器の操作装置、2;回転体、2A,2B;回転体の底面、3,3’;操作部材、3A,3B,3’A,3’B;操作部材の底面、4;操作パネル、41;操作スイッチ、5;軸部材、6;回転アシスト機構、61;モータ、62;停止位置検出部、62A;停止位置検出部の検出範囲、63,64;回転方向検出部、63A,64A;回転方向検出部の検出範囲、65;基板、7;軸継手、8;被検出部セット、81;第1被検出部、82;第2被検出部、83;第3被検出部、9;他部材、9A,9B;他部材の底面、10;ダッシュボード、A;回転軸、R1,R2;回転方向、100,101;タッチセンサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の操作パネルを側面に有する略柱状の回転体と、
前記回転体の近傍に配されて、前記回転体を回転操作するための操作部材と、を備えた機器の操作装置であって、
前記操作部材を回転体の回転方向に移動操作することにより作動し、前記回転体の回転を補助して前記回転体を自動回転させて所定の位置で停止させる回転アシスト機構を備え、
前記回転アシスト機構は、
前記回転体を回転させるためのモータと、
前記回転体の停止位置を検出する停止位置検出部と、
前記回転体の回転方向を検出する回転方向検出部と、を備え、
前記回転方向検出部により、前記移動操作による前記回転体の回転方向を検出し、この移動方向と同一方向に前記回転体が回転するように前記モータを動作させるとともに、
前記停止位置検出部により、所定の停止位置まで回転したことを検出したときに、前記モータの動作を停止させる制御を行うことを特徴とする機器の操作装置。
【請求項2】
前記操作部材は、略柱状をなすとともに、回転体の底面側に配されて、前記回転体と一体回転し、
前記停止位置検出部は、前記操作部材の停止位置を検出することによって、前記回転体の停止位置を検出し、
前記回転方向検出部は、前記操作部材の回転方向を検出することによって、前記回転体の回転方向を検出する請求項1に記載の機器の操作装置。
【請求項3】
前記操作部材は、底面を有し、
前記操作部材の底面は、前記回転体の回転軸と交差し、
前記底面には、前記停止位置検出部及び前記回転方向検出部に検出される被検出部セットが回転軸を中心に複数形成されている請求項2に記載の機器の操作装置。
【請求項4】
一の被検出部セットは、
前記回転軸からの距離がXで、前記停止位置検出部により検出するための第1被検出部と、
前記回転軸からの距離をYに保って全体として円弧状であり、前記回転方向検出部により検出するための第2被検出部と、
前記第2被検出部と重ならない位置に形成されるとともに、前記回転軸からの距離をZに保って全体として円弧状であり、前記回転方向検出部により検出するための第3被検出部と、を備え(但し、XとY、XとZは異なる)、
前記第2被検出部と前記回転軸とを結ぶ仮想線群と、
前記第3被検出部と前記回転軸とを結ぶ仮想線群と、の間に前記第1被検出部が位置し、
前記回転体が停止位置にあるときには、
前記停止位置検出部により前記第1被検出部が検出され、
前記回転方向検出部により、前記第2被検出部のうちで前記第1被検出部から最も離れた部分が検出され、
前記回転方向検出部により、前記第3被検出部のうちで前記第1被検出部から最も離れた部分が検出されるように、
前記停止位置検出部、前記回転方向検出部、前記第1被検出部、前記第2被検出部、及び前記第3被検出部が配置されており、
前記操作部材が回転操作されたときには、
前記回転方向検出部が、前記第2被検出部又は前記第3被検出部のどちらを検出していないかを考慮して、前記回転体の回転方向を判断する請求項3に記載の機器の操作装置。
【請求項1】
複数の操作パネルを側面に有する略柱状の回転体と、
前記回転体の近傍に配されて、前記回転体を回転操作するための操作部材と、を備えた機器の操作装置であって、
前記操作部材を回転体の回転方向に移動操作することにより作動し、前記回転体の回転を補助して前記回転体を自動回転させて所定の位置で停止させる回転アシスト機構を備え、
前記回転アシスト機構は、
前記回転体を回転させるためのモータと、
前記回転体の停止位置を検出する停止位置検出部と、
前記回転体の回転方向を検出する回転方向検出部と、を備え、
前記回転方向検出部により、前記移動操作による前記回転体の回転方向を検出し、この移動方向と同一方向に前記回転体が回転するように前記モータを動作させるとともに、
前記停止位置検出部により、所定の停止位置まで回転したことを検出したときに、前記モータの動作を停止させる制御を行うことを特徴とする機器の操作装置。
【請求項2】
前記操作部材は、略柱状をなすとともに、回転体の底面側に配されて、前記回転体と一体回転し、
前記停止位置検出部は、前記操作部材の停止位置を検出することによって、前記回転体の停止位置を検出し、
前記回転方向検出部は、前記操作部材の回転方向を検出することによって、前記回転体の回転方向を検出する請求項1に記載の機器の操作装置。
【請求項3】
前記操作部材は、底面を有し、
前記操作部材の底面は、前記回転体の回転軸と交差し、
前記底面には、前記停止位置検出部及び前記回転方向検出部に検出される被検出部セットが回転軸を中心に複数形成されている請求項2に記載の機器の操作装置。
【請求項4】
一の被検出部セットは、
前記回転軸からの距離がXで、前記停止位置検出部により検出するための第1被検出部と、
前記回転軸からの距離をYに保って全体として円弧状であり、前記回転方向検出部により検出するための第2被検出部と、
前記第2被検出部と重ならない位置に形成されるとともに、前記回転軸からの距離をZに保って全体として円弧状であり、前記回転方向検出部により検出するための第3被検出部と、を備え(但し、XとY、XとZは異なる)、
前記第2被検出部と前記回転軸とを結ぶ仮想線群と、
前記第3被検出部と前記回転軸とを結ぶ仮想線群と、の間に前記第1被検出部が位置し、
前記回転体が停止位置にあるときには、
前記停止位置検出部により前記第1被検出部が検出され、
前記回転方向検出部により、前記第2被検出部のうちで前記第1被検出部から最も離れた部分が検出され、
前記回転方向検出部により、前記第3被検出部のうちで前記第1被検出部から最も離れた部分が検出されるように、
前記停止位置検出部、前記回転方向検出部、前記第1被検出部、前記第2被検出部、及び前記第3被検出部が配置されており、
前記操作部材が回転操作されたときには、
前記回転方向検出部が、前記第2被検出部又は前記第3被検出部のどちらを検出していないかを考慮して、前記回転体の回転方向を判断する請求項3に記載の機器の操作装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−174293(P2012−174293A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32536(P2011−32536)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
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