説明

機器支持スタンド

【課題】高い機械的強度を有し、複数の可動部によってユーザの任意の位置及び角度で電子機器を支持することが可能な機器支持スタンドを提供すること。
【解決手段】本発明の機器支持スタンド1は、被取付け機器に固定する基台11と、基台から立設された第1支軸10と、第1支軸に第1可動部OP1を介して結合された第2支軸20、25と、第1支軸から離れた箇所に配置された第3支軸50と、第3支軸に第2可動部OP2を介して結合された第4支軸40、45と、第2、第4支軸と第3、第4可動部OP3、OP4を介して結合された第1、第2連結部材30、35と、第3支軸の一端に第2可動部と同一方向に回動する第5可動部OP5を介して結合された機器固定部材60と、第1〜第4可動部の回動を規制又は許可する第1調節・結合手段と、第5可動部の回動を規制又は許可する第2調節・結合手段と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機器支持スタンドに係り、特に小型テレビジョンやカーナビゲーション等の小型電子機器を、例えば自動車のダッシュボードやグローブボックス等に簡単に取付け固定するための機器支持スタンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビジョン、ラジオ及びステレオ等の電子機器は、これまでの据え置き型のものに加えて、小型、軽量化されて手軽に持ち運びができるポータブル型のものが開発・製品化されて家庭内から屋外へ持ち出され、いわゆるアウトドア、例えば自動車内に持ち込まれて使用され、車内でテレビ観戦や種々の情報収集等ができるようになってきている。
【0003】
ところが、車両内でこのような機器を取付けようとすると、車内には既に種々の機器が搭載されており、しかも車両内が狭いためその取付けスペースが制限され、一方で運転席の近くに取付ける場合は、ドライバーの運転の支障にならないように、さらに同乗者にも画面等が見えるようにしなければならない。近年、これらの状況及び条件を満たし、しかも取付けが簡単で機器の表示画面を左右及び上下方向への角度が自由に変更できる種々タイプの支持具が開発されている(例えば、下記特許文献1、2参照)。
【0004】
例えば、下記特許文献1に開示された支持具は、ベースプレートの上面に立設され外周面に凹凸が設けられた円柱状の支柱と、この支柱の凹凸部と噛み合う凹凸部を内周面に有し円周方向に回動可能な一対の挟持部材と、これらの挟持部材の間に挟持されて前後方向へ移動可能な支持部材とを備え、この支持部材に機器に装着される固定部材が取付けられた構成を有している。
【0005】
この支持具は、支持部材及び挟持部材が締結ボルトで結合されて、このボルトに装着された調節ツマミを弛緩することにより、所定角度に位置変更できるようになっている。
【0006】
また、同様の支持具が下記特許文献2にも開示されている。なお、図9は下記特許文献2に開示された車載用ディスプレイ装置取付け具の斜視図である。
この車載用ディスプレイ装置取付け具(以下、単に取付け具という)100は、短尺のシャフトが立設された基台101と、このシャフトに第1可動部を介して1本の軸の周りに回動可能に軸着された水平アームと、この水平アームの長手方向両端部に一対の第2可動部102、102を介して揺動可能に連結された一対の連結プレート103、103と、各連結プレート103、103の各先端部間に第3可動部104、104を介して揺動可能に架設されたディスプレイ装置吊持ち部材105とで構成されている。水平アームは、中心部にシャフト挿通孔及び長手方向の両端部に端部を上方に向けてL字状に曲折された一対の曲折部を有する短冊状の部材で形成されている。第1〜第3可動部は、何れもフリーストップ機構を有するもので、このフリーストップ機構は幅広ワッシャ、幅狭ワッシャ、ロック部材、皿型バネ等で構成されている。
この取付け具100によれば、ディスプレイ装置吊持ち部材105が第1〜第3可動部を介して基台101のシャフトに連結されているので、ディスプレイ装置Mの画面角度を調節する場合は、ディスプレイ装置Mを手で持って上下左右に動かすだけで全ての方向に向けた調節ができる。
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3091972号公報(図1、段落〔0020〕、〔0021〕)
【特許文献2】特開2005−199845号公報(図1、図2、段落〔0022〕〜〔0040〕)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に開示された支持具によれば、機器を任意の角度に調節して固定できる。しかしながら、この支持具は、一対の挟持部材が立設された支柱の外周囲に回動自在に装着されているので、これらの挟持部材の上方端に固定される支持部材が背高になる。このため、支持部材に取付けられる機器を下方へ押下げようとすると、支持部材が背高であるため下方への移動が制限される。したがって、この支持具を例えば車のダッシュボードやグローブボックスに取付けると、その取付け場所によっては、運転者の視野を妨げる恐れがある。また、角度調節の際に調節ツマミを緩めすぎると、挟持部材、支持部材及び支柱間の結合が解除されて部品がバラバラになってしまう恐れがあり、そうなると再度の組立て調節が面倒になる。
【0009】
また、上記特許文献2に開示された取付け具100は、ディスプレイ装置吊持ち部材105が第1〜第3可動部を介して基台101のシャフトに連結されているので、ディスプレイ装置Mを低い位置で任意の角度に調節して固定できる。しかしながら、この取付け具100は、基台101に立設されたシャフトに固定された短冊状の水平アームに全ての荷重が掛るので、シャフト及び水平アームには強い機械的強度が要求される。このため、ディスプレイ装置吊持ち部材105に取付けられるディスプレイ装置Mが重くなると、水平アームは左右いずれかの方向へ傾斜し或いは強い振動等を受けると変形してしまい、同様にいずれかの方向へ傾いてしまう恐れがある。したがって、度々大きな振動が発生しうる車両内にこの取付け具100を取付けると、車両の振動によって電子機器の位置が定まらない恐れがあり、ユーザにとって見づらいものとなってしまう。
【0010】
また、基台101のシャフトとディスプレイ装置吊持ち部材105間の第1〜第3可動部は、合計5箇所のフリーストップ機構からなる可動部で構成され、これらのフリーストップ機構がそれぞれ幅広ワッシャ、幅狭ワッシャ、ロック部材、皿型バネ座金、ロックナット及び比較的長い連結部材(ボルト)等の部品で構成されているので、部品点数が多くなり、部品のコスト高を招き、組立て工数が多くなり作業効率を上げることが難しくなる。さらに、これらの5箇所の可動部は、いずれも独立した機構となっているため、その調節は個々の機構ごとに実施しなければならないので、各フリーストップ機構の調節が面倒になっている。また、上述したように、このようなフリーストップ機構は外力によって容易に変位してしまうので、安定した表示を行えない恐れがある。
【0011】
近年、この種の支持具は、車のダッシュボードやグローブボックスに取付けたときに、この支持具に固定される電子機器等によってドライバーの視野が遮られて運転に支障を来たさないように電子機器をユーザの好みの位置に配設できるものが求められている。また、車両内に装着される場合は、強い振動を受けるので高耐震性が要求されると共に、機器の位置調節が簡単でしかも装飾品としてのデザイン性も求められている。さらには、機器の取付け角度の調節に際してもより自由度の高い構成が求められている。
【0012】
そこで、本発明は、上記従来技術の課題及び要求に基づいてなされたものであって、本発明の目的は、高い機械的強度を有し、複数の可動部によってユーザの任意の位置及び角度で電子機器を支持することが可能な機器支持スタンドを提供することにある。
【0013】
また、本発明の他の目的は、高い支持強度を維持したまま電子機器の支持角度をより詳細に調節することが可能な機器支持スタンドを提供することにある。
【0014】
さらに、本発明の他の目的は、簡単に電子機器の位置及び支持角度を調節することが可能な機器支持スタンドを提供することにある。
【0015】
さらにまた、本発明の他の目的は、部品の共通化を図って部品数を少なくし、組立てが簡単にできる機器スタンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る機器支持スタンドの発明は、車両等の被取付け機器に固定する取付け部材と、
該取付け部材から立設された第1支軸と、
該第1支軸と直交する線上に延設され、前記第1支軸に第1可動部を介して結合された第2支軸と、
前記第1支軸から所定距離離れた箇所に配置された第3支軸と、
該第3支軸と直交する線上に延設され、前記第3支軸に第2可動部を介して結合された第4支軸と、
前記第2、第4支軸とそれぞれ第3、第4可動部を介して結合された一対の第1、第2連結部材と、
前記第3支軸の一端に前記第2可動部と同一方向に回動する第5可動部を介して結合された機器装着用の機器固定部材と、
前記第1〜第4可動部の回動を規制又は許可するように前記第1、第2連結部材の間隔を調節する第1調節・結合手段と、
前記第5可動部の回動を規制又は許可するように前記第3支軸と前記機器固定部材との間隔を調節する第2調節・結合手段と、
を備えていることを特徴とする。
【0017】
また、上記発明において、前記第2可動部は所定の角度α毎に回転角度が規制可能であり、前記第5可動部は所定の角度β毎に回転角度が規制可能であり、さらに前記角度αと前記角度βとが異なる角度であると好ましい。
【0018】
また、上記発明において、前記第3支軸は所定太さ及び長さを有する円柱軸からなり、前記機器固定部材は前記第3支軸の外周囲を覆うようにリング状に形成された所定高さの周壁部を備え、前記第5可動部は、前記第3支軸の一端の外周縁部に沿って前記角度β毎に形成された複数個の係合凹部と、前記周壁部の内部に設けられ前記複数個の係合凹部のそれぞれと係合可能な複数個の係合突起と、からなると好ましい。
【0019】
また、上記発明において、前記第2調節・結合手段は、前記第3支軸の軸心に沿って形成された挿通孔と、前記機器固定部材の前記周壁部内の実質的に中心部に形成され内部に雌ネジが刻設された第2螺合部材と、前記挿通孔に挿通されるとともに前記第2螺合部材に螺合される第2調節ネジと、から構成されており、前記第2調節ネジを締結させて前記係合凹部と前記係合突起とを係合することにより前記第5可動部の回動を規制し、前記第2調節ネジを弛緩させて前記係合凹部と前記係合突起との係合を解除することにより前記第5可動部の回動を許可すると好ましい。
【0020】
また、上記発明において、前記第1、第3支軸はそれぞれ所定太さ及び長さを有する円柱軸からなり、前記第2、第4支軸は一対の第1、第2連結軸からなり、各一対の連結軸は、いずれも前記第1、第3支軸の円柱軸の実質的に半円周面に当接される半筒状部と該半筒状部の外面から直角に突出した筒状部とからなり、前記第1支軸の外周面に前記第2支軸の第1、第2連結軸の一対の半筒状部が前記第1可動部を介して結合され、前記第3支軸の外周面に前記第4支軸の第1、第2連結軸の一対の半筒状部が前記第2可動部を介して結合され、各連結軸間の対向する筒状部の端部がそれぞれ前記第3、第4可動部を介して前記第1、第2連結部材に結合されていると好ましい。
【0021】
また、上記発明において、前記第1調節・結合手段は、前記第1、第2連結部材の間隔を調節して前記第1〜第4可動部の回転角度及び摩擦力を調節する第1調節手段と、前記第1調節手段の操作により前記第1、第2連結部材の少なくとも一方を移動可能にガイドするガイド手段と、前記第1調節手段が弛緩されたときに、前記第1、第2連結部材の組立体が解体されないように保持する抜け止め部材と、を備えていると好ましい。
【0022】
また、上記発明において、前記ガイド手段は、前記第1連結部材の内壁の中央部から立設し内部に貫通孔を有するガイド突起と、前記第2連結部材の内壁の中央部に形成され前記ガイド突起の周縁を支持するガイド突起支持部材と、から構成されており、
前記第1調節手段は、前記ガイド突起の先端部に形成され前記貫通孔に連通する内部に雌ネジが刻設された第1螺合部材と、前記第2連結部材に設けられた挿通孔と、前記挿通孔を介して前記第1螺合部材に螺合する第1調節ネジと、から構成されており、
前記抜け止め部材は、前記第1調節ネジの先端部に着脱自在に取付けられる規制キャップと、前記貫通孔の後端部に形成された前記規制キャップを収容するキャップ収容室と、から構成されていると好ましい。
【0023】
また、上記発明において、前記第2支軸と第4支軸は同一の構成からなる支軸で形成されていると好ましい。
【0024】
また、上記発明において、前記第1〜第4可動部は、互いにギヤ歯が噛合されてなるギヤ部材で形成されていると好ましい。
【0025】
また、上記発明において、前記第3、第4可動部間には、圧縮弾性部材が介在されていると好ましい。
【0026】
また、上記発明において、前記取付け部材と前記第1支軸とは一体に形成されていると好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、上記構成を備えることにより以下に示すような優れた効果を奏する。すなわち、上記発明によれば第1、第2連結部材を介して第1、第3可動部と第2、第4可動部とが設けられているので、基台に対して高い自由度で機器の設置位置を調節することが可能となる。また、この際第1調節・結合手段を操作するのみで第1〜第4可動部の全てを回動動作させることが可能となるので、操作性の高い調節が可能となる。更に、第2可動部と回動方向が同一の第5可動部を形成し、この第5可動部を第2調節・結合手段を介して操作するようにしているので、機器の設置角度の調節を更に細かく調節することが可能となる。
【0028】
また、本発明の好ましい態様によれば、第2可動部の規制角度間隔をαとし、第5可動部の規制角度間隔をβとしたとき、これら角度αと角度βとを異なる角度に設定したことで単に角度αごと、あるいは角度βごとの設置角度調節ではなく、これらの角度α及びβを組み合わせてなる設置角度に機器を設置することができるようになる。したがって、より細かな設置角度の調節が可能となる。
【0029】
また、本発明の好ましい態様によれば、第3支軸の端部に係合凹部を設け、機器固定部材の背面に係合突起を形成し、これらを係合させることで角度規制を行うので、簡単な構成で角度規制を行うことができるとともに、第5可動部の回動規制又は許可の操作も単に第3支軸と機器固定部材との距離を変更するだけで可能となるので、操作性が高い調節を行うことが可能となる。
【0030】
また、本発明の好ましい態様によれば、第2調節・結合手段を第2調節ネジと第2螺合部材とで形成し、この第2調節ネジと第2螺合部材との螺合状態を調節することで第5可動部の回動規制又は許可を行うことが可能となるので、簡単に第5可動部の制御を行うことが可能となる。
【0031】
また、本発明の好ましい態様によれば、第2、第4支軸を半筒状部と筒状部とからなる部材で形成し、半筒状部を第1、第3支軸に当接させることで第1、第2可動部を形成し、筒状部を第1、第2連結部材に当接させることで第3、第4可動部を形成したので、比較的簡単な構成で第1〜第4可動部を形成することが可能となる。
【0032】
また、本発明の好ましい態様によれば、第1調節・結合手段を第1調節手段とガイド手段と抜け止め部材とで構成したので、第1調節手段の操作により第1、第2連結部材が解体されることがなくなるので、ユーザは第1調節手段を操作する際にその調節具合を気にせず操作できるようになる。
【0033】
また、本発明の好ましい態様によれば、ガイド突起とガイド突起支持部材からなるガイド手段と、第1螺合部材と挿通孔と第1調節ネジとからなる第1調節手段と、規制キャップと収容室からなる抜け止め部材とを一箇所にまとめて形成することができるので、第1調節・結合手段を形成するために要するスペースを小さくすることができ、機器支持スタンド全体を小型化することが可能となる。
【0034】
また、本発明の好ましい態様によれば、第2、第4支軸を同一の構成からなる部材で形成することが可能となるので、部品を統一でき、安価に製造することが可能となる。
【0035】
また、本発明の好ましい態様によれば、第1〜第4可動部をギヤ部材で形成することにより、第1〜第4可動部の回動が規制された状態のときはギヤ歯同士が噛合した状態となるので、設置位置が外力により不用意に変更され難くなり、高い強度で機器を支持することが可能となる。
【0036】
また、本発明の好ましい態様によれば、第3、第4可動部間に圧縮弾性部材を形成することで第2、第4支軸が常に第1、第3支軸に当接する方向に押圧されることになるので、安定した回動が可能となる。
【0037】
また、本発明の好ましい態様によれば、取付け部材と第1支軸とを一体成型で形成することにより、機器支持スタンドの部品点数を削減することができるので、安価に製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための機器支持スタンドを例示するものであって、本発明をこの機器支持スタンドに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【実施例1】
【0039】
図1Aは本発明の一実施例に係る機器支持スタンドの平面図、図1Bは本発明の一実施例に係る機器支持スタンドの裏面図、図2Aは図1に示す機器支持スタンドの右側面図、図2Bは図1に示す機器支持スタンドの左側面図、図3は図2AのA−A線で切断した断面図、図4は図1AのB−B線で切断した断面図、図5は図1AのC−C線で切断した断面図、図6Aは図1AのD−D線で切断した切断面を示す断面図、図6Bは機器固定部材の周壁部を拡大して示した要部拡大正面図、図7は図3のE−E線で切断した断面図、図8は第3支軸の連結部を拡大して示した要部拡大斜視図である。
【0040】
本実施例に係る機器支持スタンド1は、図1及び図2に示すように、取付け部材としての基台11を有する第1支軸10と、この第1支軸10に連結された第2支軸20、25と、この第2支軸20、25に一端が連結された第1、第2連結部材30、35と、この第1、第2連結部材30、35の他端に連結された第4支軸40、45と、この第4支軸40、45に連結された第3支軸50と、第3支軸50の一端に固定された機器固定部材60と、で構成されている。以下、これらの第1〜第4支軸10、20、25、40、45、50、第1、第2連結部材30、35及び機器固定部材60の構成を図1〜図5を用いて順次説明する。
【0041】
先ず、第1支軸10は、図3〜図5に示すように、剛性部材で構成された円柱軸からなり、この円柱軸の側壁には円周方向に沿って複数のギヤ歯が形成されている。また、この第1支軸10の一端には、その底部に車両のダッシュボードやグローブボックス等に固定するための粘着材12が設けられた錐状の基台11が一体成型されている。さらに、この第1支軸10は軸心に沿ってネジ挿通孔13が形成されており、後述する第2支軸20、25に連結された状態でその連結状態を維持するための第1ネジB1がこのネジ挿通孔13に挿通される。この第1ネジB1は第1支軸10の直径より大径な頭部を有し、この頭部の径とほぼ同じか僅かに大きな径を有するワッシャWが取付けられた状態でネジ挿通孔13に挿通され、基台11底部に設けられた空間に先端部が突出し、この先端部にワッシャW及び第1ナットN1が締結されることで第1支軸10と第2支軸20、25とを固定する。なお、この第1支軸10は後述する第1、第2連結部材30、35によりその上部をも覆われるが、第1、第2連結部材30、35に形成された窓部14により、第1ネジB1の締結作業は容易に可能となっている。
【0042】
また、第2支軸20、25は、同一の構成からなる一対の連結軸(第1、第2連結軸)で形成されている。詳しくは、この第2支軸20、25の第1支軸10に連結される部分は、円柱軸からなる第1支軸10の半円部分を覆うように半筒状に形成された半筒状部21、26と、この半筒状部21、26の外面から立設するように延在する筒状部22、27とで構成されている。半筒状部21、26の内面には第1支軸10の側壁に形成されたギヤ歯に噛合するギヤ歯が複数設けられており、また、筒状部22、27の先端部の壁面にも、円周方向に沿って複数のギヤ歯が設けられている。そして、この第2支軸20、25は、第1支軸10を介して互いの半筒状部21、26が対向するように配置され、第1支軸10に連結される。ちなみに、この第1支軸10と第2支軸20、25の半筒状部21、26とが連結された部分、及び後述するスプリング(圧縮弾性部材)S1、S1が第1可動部OP1を構成している。
【0043】
また、第3支軸50は円柱軸からなり、この円柱軸の側壁には円周方向に沿って複数のギヤ歯が形成されている。また、この第3支軸50は軸心に沿ってネジ挿通孔51が形成されており、後述する第4支軸40、45に連結された状態でその連結状態を維持するとともに、後述する第5可動部OP5の回動の規制又は許可を制御するための第3ネジB3(第2調節ネジ)がこのネジ挿通孔51に挿通される。この第3ネジB3は第3支軸50の直径より大径な頭部を有し、この頭部の径とほぼ同じか僅かに大きな径を有するワッシャWが取付けられた状態でネジ挿通孔51に挿通され、後述する機器固定部材60の第3ナットN3(第2螺合部材)と締結することにより、第3支軸50と第4支軸40、45とを固定する。なお、第5可動部OP5の構成については後に詳述する第2調節・結合手段の構成部分に示すものとし、ここでは説明を省略する。
【0044】
また、第4支軸40、45は、第2支軸20、25と同様に、同一の構成からなる一対の連結軸(第1、第2連結軸)で形成されている。詳しくは、この第4支軸40、45の第3支軸50に連結される部分は、円柱軸からなる第3支軸50の半円部分を覆うように半筒状に形成された半筒状部41、46と、この半筒状部41、46の外面から立設するように延在する筒状部42、47とで構成されている。半筒状部41、46の内面には第3支軸50の側壁に形成されたギヤ歯に噛合するギヤ歯が複数設けられており、また、筒状部42、47の先端部の壁面にも、円周方向に沿って複数のギヤ歯が設けられている。そして、この第4支軸40、45は、第3支軸50を介して互いの半筒状部41、46が対向するように配置され、第3支軸50に連結される。ちなみに、この第3支軸50と第4支軸40、45の半筒状部41、46とが連結された部分、及び後述するスプリング(圧縮弾性部材)S2、S2が第2可動部OP2を構成している。
【0045】
なお、これらの第1〜第4支軸10、20、25、40、45及び50のうち、第1支軸10及び第3支軸50の径及びギヤ歯の歯数を同一とすることにより、第2支軸20、25及び第4支軸40、45は単一の部材を用いて形成することが可能となる。これにより、第2支軸20、25及び第4支軸40、45を製造するための製造金型を統一することができるので、これらの部材を安価に製造することができるようになる。
【0046】
また、第1、第2連結部材30、35は、細長な部材で形成されており、その長手方向の一端部付近の内面に第2支軸20、25に連結される第2支軸連結部32a、37aが形成されている。この第2支軸連結部32a、37aは、第1、第2連結部材30、35の内面から立設して第2支軸20、25の筒状部22、27の外周面を覆う側壁で形成されている。また、この第2支軸連結部32a、37aの中央部には第2支軸20、25の筒状部22、27の軸心部分に形成された空洞内に挿入されてこの第2支軸20、25を回動自在に支持する第2支軸規制突起31a、36aが形成されている。そして、この第2支軸連結部32a、37aと第2支軸規制突起31a、36aとの間に形成されたリング状の空間の底部には、第2支軸20、25の筒状部22、27の先端部に形成されたギヤ歯に噛合するギヤ歯が円周方向に沿って形成されている。さらに、第2支軸規制突起31a、36aの外周面と第2支軸20、25の筒状部22、27の内周面との間には、スプリングS1、S1が配設されており、このスプリングS1、S1には第2支軸20、25と第1、第2連結部材30、35とを離間する方向に付勢力が付与されている。この第1、第2連結部材30、35の第2支軸連結部32a、37a付近に形成されたギヤ歯と第2支軸20、25の筒状部22、27の先端部に形成されたギヤ歯とが連結された部分、及びスプリングS1、S1が第3可動部OP3を構成している。
【0047】
加えて、第1、第2連結部材30、35の長手方向の他端部付近の内面には、第4支軸40、45に連結される第4支軸連結部32b、37bが形成されている。この第4支軸連結部32b、37bは、第1、第2連結部材30、35の内面から立設して第4支軸40、45の筒状部42、47の外周面を覆う側壁で形成されている。また、この第4支軸連結部32b、37bの中央部には第4支軸40、45の筒状部42、47の軸心部分に形成された空洞内に挿入されてこの第4支軸40、45を回動自在に支持する第4支軸規制突起31b、36bが形成されている。そして、この第4支軸連結部32b、37bと第4支軸規制突起31b、36bとの間に形成されたリング状の空間の底部には、第4支軸40、45の筒状部42、47の先端部に形成されたギヤ歯に噛合するギヤ歯が円周方向に沿って形成されている。さらに、第4支軸規制突起31b、36bの外周面と第4支軸40、45の筒状部42、47の内周面との間には、スプリングS2、S2が配設されており、このスプリングS2、S2には第4支軸40、45と第1、第2連結部材30、35とを離間する方向に付勢力が付与されている。この第1、第2連結部材30、35の第4支軸連結部32b、37b付近に形成されたギヤ歯と第4支軸40、45の筒状部42、47の先端部に形成されたギヤ歯とが連結された部分、及びスプリングS2、S2が第4可動部OP4を構成している。
【0048】
さらに、この第1、第2連結部材30、35の長手方向の中心部分には、上述した第1〜第4可動部の回動の規制及び許可を制御するための第1調節・結合手段が形成されている。この第1調節・結合手段は、第1連結部材30の長手方向中心部の内壁から所定長さ立設された円筒状のガイド突起33と、第2連結部材35の長手方向中心部の内壁からガイド突起33の先端部付近の周壁を支持するようにリング状に立設されたガイド突起支持部材38と、ガイド突起33の中心部に形成された貫通孔34の一方の開口部付近に設けられた第2ナットN2(第1螺合部材)と、第2連結部材35の貫通孔34に連通する位置に形成された連通孔39を介して貫通孔34内に挿通され、第2ナットN2に締結される第2ネジB2(第1調節ネジ)と、第2ネジB2の先端部に固定される規制キャップCPと、からなる。
【0049】
このうち、ガイド突起33は、その先端部、すなわち第1連結部材30から離間した端部が両連結部材30、35を連結した状態で第2連結部材35の内壁に近接する位置に配設されるようにその長さが設定されており、また、この際ガイド突起支持部材38に先端部が固定されるように、ガイド突起33の先端部付近の外径が後端部付近の外径より縮径されている。また、このガイド突起33に設けられた貫通孔34は、ガイド突起33の先端部側の開口部分に第2ナットN2が固定されるためにその内径が若干拡径されおり、さらに、ガイド突起33の後端部、すなわち第1連結部材30に近接した端部側の開口部分は規制キャップCPが収納可能なようにその内径が拡径されて収容室34aを形成している。
【0050】
第2ネジB2は、その頭部の径が連通孔39の径より大きく形成されているとともに、ユーザの操作性を向上させるための調節ツマミKが連結されて構成されている。また、この第2ネジB2には、その頭部に近接する部分にのみ雄ネジが刻設されており、中央部及び先端部は周壁が平坦な円柱状となっている。この第2ネジB2は、連通孔39を介して貫通孔34に挿通されたときに、その先端部が所定長さ収容室34a内に位置するようにその長さが調節されており、この挿通を行って第2ナットN2に締結されることで第1、第2連結部材30、35を当接させて固定するようになっている。このように第2ネジB2と第2ナットN2とを締結することにより、第1〜第4可動部OP1〜OP4の回動が規制されることになる。
【0051】
さらに、貫通孔34の他端部付近に形成された収容室34aは、その内径が規制キャップCPの外径より僅かに大きな円筒状の空間であり、その深さは、第2ネジB2と第2ナットN2との締結が解除された際に第1、第2連結部材30、35が解体しない程度に設定されている。また、第2ネジB2の収容室34a内に位置する先端部には、所定径を有する蓋状の規制キャップCPが圧着固定されており、この規制キャップCPを取付けることで、第2ネジB2と第2ナットN2が弛緩された際に第2ネジB2が貫通孔34から抜け、第1、第2連結部材30、35が解体されることが抑制される。すなわち、第2ネジB2と第2ナットN2とを弛緩させた際、規制キャップCPの底面と収容室34aの底面が当接することで第1、第2連結部材30、35を所定距離離間させた状態に維持するので、第1、第2連結部材30、35が解体されることなく、第1〜第2可動部OP1〜OP4の回動が許可されることになる。
【0052】
機器固定部材60は、図1及び図2に示すように、側面視で略L字状に屈曲した所定面積を有する板体で形成されている。この板体のうち、第4支軸40、45に対して垂直な方向に延在する部分が本実施例の機器支持スタンド1に取付けられる被取付け機器としての電子機器の背板となり、第3支軸50に対して平行に延在する部分が電子機器が載置される機器載置台61となっている。また、この機器支持スタンド60の背板部分には電子機器を取付けた状態で固定する機器固定部62が設けられており、この機器固定部62が図示しない電子機器の背面に取付けられることで機器の固定を行う。また、この機器固定部62は機器載置台61の裏面に設けられた操作ボタン63を操作することにより機器との固定状態を解除することができるようになっている。なお、この機器固定部材60の背板部分の背面は第3支軸50に連結して第5可動部OP5を構成するようになっているが、第5可動部OP5の構成については後に詳述する第2調節・結合手段の構成部分に示すものとし、ここでは説明を省略する。
【0053】
次に、主に図6及び図8を参照して、第2調節・結合手段の構成について説明する。
第2調節・結合手段は、第3支軸50と機器固定部材60との連結部分に形成されるものである。第3支軸50の一端は、ギヤ歯が形成された部分の径より大径となるように拡径された連結部52を備えており、この連結部52の端部には、図8に示すように、複数個(本実施例では5個)の係合凹部53が形成されている。また、機器固定部材60の背板部分の背面のほぼ中央部には、第3支軸50の連結部52を覆うように背板部分から垂直に所定長さ立設されてなる周壁部65が形成されている。この周壁部65はほぼリング状の突起であって、周壁部65に囲まれた部分の底面の中心部には、第3ネジB3の先端部が挿入される孔が形成されているとともに、この孔部分には第3ナットN3が配設されている。そして、この周壁部65に囲まれた領域の底面の周囲には、第3支軸50の連結部52に形成された複数個の係合凹部53とそれぞれ係合する複数個の係合突起66が設けられている。なお、第3ナットN3は、第3ネジB3の先端部から所定距離頭部側に位置する部分に刻設された雄ネジと締結し得るものである。
【0054】
そして、第3支軸50の一端の連結部52を機器固定部材60の周壁部65内に収容して連結部52の係合凹部53と機器固定部材60の係合突起66とを係合させた状態で、ネジ挿通孔51に第3支軸50の他端側からワッシャWが取付けられた第3ネジB3を挿通し、第3ネジB3と第3ナットN3とを締結することにより、第3支軸50と機器固定部材60とを固定する。このように組立てられた第2調節・結合手段は、上述のように組立てた状態では第5可動部OP5は回動が規制された状態であるが、第3ネジB3の弛緩に伴って係合凹部53と係合突起66との係合が解除されるので、第3ネジB3を弛緩することで第5可動部OP5の回動が許可されることになる。
【0055】
また、第3支軸50の連結部52の側壁面には1つの係合補助突起54が形成されている。そして、機器固定部材60の周壁部65の内壁面にはこの係合補助突起54が係合される係合補助凹部67が係合突起66と同数設けられている。この係合補助突起54は、第3支軸50と機器固定部材60とを連結した状態で、外部に露出するように設けられているので、この係合補助突起54の位置を確認することにより、第5可動部OP5の係合状態を知ることが可能となる。
【0056】
ここで、第2可動部OP2と第5可動部OP5との関係について、図6及び図7を参照して説明する。初めに、これら第2可動部OP2と第5可動部OP5の回動方向は全く同一である。そして、第2可動部OP2は第3支軸50のギヤ歯と第4支軸40、45の半筒状部41、46のギヤ歯とを噛合させることにより回転角度が規制されるので、その規制角度はこれら第3支軸50のギヤ歯及び第4支軸40、45の半筒状部41、46のギヤ歯の円ピッチに依存する。また、第5可動部OP5は第3支軸50の連結部52に形成された複数個の係合凹部53と機器固定部材60の複数個の係合突起66とをどのように係合させるかによって回転角度が規制されるので、その規制角度はこれらの係合凹部53あるいは係合突起66の設置角度間隔に依存する。
【0057】
すなわち、仮に第5支軸OP5を全く動作させない状態で、第3支軸50のギヤ歯が、例えば図7に示すように所定角度α(本実施例では15°)間隔で形成されている場合、機器固定部材60に取付けられる電子機器の設置角度は所定角度αずつしか調節することができない。しかしながら、本実施例の機器支持スタンド1によれば、第2可動部OP2での回動規制に加えて、第5可動部OP5でも回動規制を行うことが可能となるので、複数個の係合凹部53又は係合突起66が設置角度β(本実施例では72°)間隔で形成されていることにより、より小さな角度間隔で電子機器の設置角度を調整することが可能となる。詳しくは、本実施例のように角度αを15°とし、角度βを72°とした場合、電子機器の設置角度は3°間隔で調整することが可能となる。なお、この角度αと角度βとはそれぞれ異なる角度となるように設定されるものである。そして、より好ましくは、角度βが角度αの倍数にならないように設定される。
【0058】
次に、図1〜図7を参照して、機器支持スタンド1の組立て及びその使用法を説明する。
先ず、基台11の底面に粘着材12を装着しておき、この基台11を有する第1支軸10のネジ挿通孔13にワッシャWが取付けられた第1ネジB1を挿通してこの第1ネジB1の先端部を基台11の底面に形成された空間に突出させ、この空間に収容されたワッシャW及び第1ナットN1を第1ネジB1に取付け、締結させる。この第1ネジB1の固定により、第1支軸10の基台11が設けられていない側の端部に第1支軸10の直径より大径なワッシャWが固定されるので、第2支軸20、25のそれぞれの半筒状部21、26を第1支軸10の外周面に当接させた状態としたときに、ギヤ歯に沿って第1支軸10が抜け出ることがなくなる。
【0059】
次いで、第3支軸50と機器固定部材60とを連結して第5可動部OP5を形成する。この連結方法は既に上述したが、第3支軸50のギヤ歯が形成された部分の径より大径なワッシャWが取付けられた第3ネジB3が第3支軸50の連結部52が形成されていない側の端部から挿通・固定されるので、このワッシャWにより、第4支軸40、45のそれぞれの半筒状部41、46を第3支軸50の外周面に当接させた状態としたときに、ギヤ歯に沿って第3支軸50が抜け出ることがなくなる。
【0060】
第1、第2連結部材30、35は、第2支軸連結部32a、37a及び第4支軸連結部32b、37b内の第2支軸規制突起31a、36a及び第4支軸規制突起31b、36bにそれぞれスプリングS1、S1及びS2、S2を装着して、これらの第2支軸連結部32a、37a及び第4支軸連結部32b、37b内に第2支軸20、25の筒状部22、27及び第4支軸40、45の筒状部42、47を挿入する。この挿入により、各スプリングS1、S1及びS2、S2は筒状部22、27及び42、47内の空洞部に挿入される。
【0061】
次いで、第2支軸20、25及び第4支軸40、45の各筒状部22、27及び42、47を第1、第2連結部材30、35の第2支軸連結部32a、37a及び第4支軸連結部32b、37bに挿入した状態で、第2支軸20、25及び第4支軸40、45の各半筒状部21、26及び41、46を第1支軸10及び第3支軸50の外周面に当接するとともにガイド突起33の先端部をガイド突起支持部材38内に収容し、この状態で第2ネジB2を第2連結部材35の連通孔39からガイド突起33の貫通孔34に向けて挿入して第2ナットN2に締結される。また、第2ナットN2に締結された第2ネジB2の収容室34a内に位置する先端部に規制キャップCPを圧着固定する。このとき、規制キャップCPの底面と収容室34aの底面との隙間は、数mm程度に設定されている。
【0062】
第2ネジB2と第2ナットN2との締結により、第1支軸10及び第3支軸50の外周面に第2支軸20、25の半筒状部21、26及び第4支軸40、45の半筒状部41、46が当接されるとともに、スプリングS1、S1及びS2、S2により第2支軸20、25及び第4支軸40、45が第1支軸10側及び第3支軸50側に付勢され、それぞれの部材に形成されたギヤ歯が噛合して第1可動部OP1及び第2可動部OP2が形成される。同様に、第2支軸20、25及び第4支軸40、45の筒状部22、27及び42、47の先端に形成されたギヤ歯と、第2支軸連結部32a、37a及び第4支軸連結部32b、37bと第2支軸規制突起31a、36a及び第4支軸規制突起31b、36bとの間に形成されたギヤ歯とが噛合して第3可動部OP3及び第4可動部OP4が形成される。
【0063】
上述した一連の工程により、第1〜第5可動部OP1〜OP5を有する機器支持スタンド1が組立てられる。このように組立てられた機器支持スタンド1においては、第1可動部OP1は、第2支軸20、25の第1支軸10に対する第1支軸10の円周方向への回動を規制又は許可するものであり、第2可動部OP2は、第3支軸50の第4支軸40、45に対する第3支軸50の円周方向への回動を規制又は許可するものであり、第3可動部OP3は、第1、第2連結部材30、35の第2支軸20、25に対する第2支軸20、25の筒状部22、27の円周方向への回動を規制又は許可するものであり、第4可動部OP4は、第4支軸40、45の第1、第2連結部材30、35に対する第4支軸40、45の筒状部42、47の円周方向への回動を規制又は許可するものであり、第5可動部OP5は、機器固定部材60の第3支軸50に対する第3支軸50の円周方向への回動を規制又は許可するものである。
【0064】
また、この機器支持スタンド1の第2ネジB2を第2ナットN2に締結している状態においては、第1、第2連結部材30、35間に隙間が形成されないので第1〜第4可動部OP1〜OP4を形成する各ギヤ歯同士は強固に噛合しており、機器支持スタンド1は何れの方向にも回転しないで固定される。そして、第2ネジB2と第2ナットN2とを弛緩すれば、第1、第2連結部材30、35間に所定の隙間が形成されるので、第1〜第4可動部OP1〜OP4を形成する各ギヤ歯同士の噛合が解除され、第1〜第4可動部OP1〜OP4ごとに異なる軸を基準にして回動させることができる。したがって、基台11に対する機器固定部材60の向きや角度等を自由に変更することができる。
【0065】
さらに、上記構成からなる機器支持スタンド1においては、同軸上を回動する可動部として2つの可動部、すなわち第2可動部OP2及び第5可動部OP5を有しているので、特に機器固定部材60の設置角度をより詳細に変更することができる。しかも第5可動部OP5を除く全ての可動部をギヤ部材で形成することが可能となるので、第2ネジB2を締結して第1〜第4可動部OP1〜OP4の回動を規制した際の機械的な強度が向上するので、外力による固定位置のずれが発生し難く、また耐震性も高くすることが可能となる。
【0066】
また、上記構成によると、第1、第2連結部材30、35が長尺な部材から形成されているので、基台11を車両のダッシュボートやグローブボックス等に対して背低にすることもでき、機器固定部材60に取付けるカーナビゲーション等の電子機器を運転者の視界の妨げにならない低い位置へ移動させて固定することが可能になる。
【0067】
さらにまた、第2ネジB2を過度に弛緩して第2ナットN2との螺合が解除されたとしても、第2ネジB2の先端部に規制キャップCPを圧着固定しているので、第1、第2連結部材30、35は分解されることなく保持される。したがってユーザは安心して第2ネジB2の操作ができ、第1〜第4可動部OP1〜OP4での回動操作も安定して行えるようになる。
【0068】
さらに加えて、本発明の機器支持スタンド1においては、第1支軸10に基台11を一体成型したものを説明したが、この基台11に代えて、他の取付け部材、例えば、クリップ等の挟持部材や吸盤を使用することもできるので、取付け場所や取付ける対象を選ばず、さまざまな用途での使用に耐え得る。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】図1Aは本発明の一実施例に係る機器支持スタンドの平面図、図1Bは本発明の一実施例に係る機器支持スタンドの裏面図である。
【図2】図2Aは図1に示す機器支持スタンドの右側面図、図2Bは図1に示す機器支持スタンドの左側面図である。
【図3】図3は図2AのA−A線で切断した断面図である。
【図4】図4は図1AのB−B線で切断した断面図である。
【図5】図5は図1AのC−C線で切断した断面図である。
【図6】図6Aは図1AのD−D線で切断した切断面を示す断面図、図6Bは機器固定部材の周壁部を拡大して示した要部拡大正面図である。
【図7】図7は図3のE−E線で切断した断面図である。
【図8】図8は第3支軸の連結部を拡大して示した要部拡大斜視図である。
【図9】図9は先行技術の車載用ディスプレイ装置取付け具の斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
1:機器支持スタンド 10:第1支軸 11:基台 13:ネジ挿通孔 20、25:第2支軸 21、26、41、46:半筒状部 22、27、42、47:筒状部 30、35:第1、第2連結部材 31a、36a:第2支軸規制突起 31b、36b:第4支軸規制突起 32a、37a:第2支軸連結部 32b、37b:第4支軸連結部 33:ガイド突起 34:貫通孔 34a:収容室 38:ガイド突起支持部材 39:連通孔 40、45:第4支軸 50:第3支軸 51:ネジ挿通孔 52:連結部 53:係合凹部 54:係合補助突起 60:機器固定部材 61:機器載置台 62:機器固定部 63:操作ボタン 65:周壁部 66:係合突起 67:係合補助凹部 OP1〜OP5:第1〜第5可動部 B1〜B3:第1〜第3ネジ N1〜N3:第1〜第3ナット CP:規制キャップ K:調節ツマミ S1、S2:スプリング W:ワッシャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両等の被取付け機器に固定する取付け部材と、
該取付け部材から立設された第1支軸と、
該第1支軸と直交する線上に延設され、前記第1支軸に第1可動部を介して結合された第2支軸と、
前記第1支軸から所定距離離れた箇所に配置された第3支軸と、
該第3支軸と直交する線上に延設され、前記第3支軸に第2可動部を介して結合された第4支軸と、
前記第2、第4支軸とそれぞれ第3、第4可動部を介して結合された一対の第1、第2連結部材と、
前記第3支軸の一端に前記第2可動部と同一方向に回動する第5可動部を介して結合された機器装着用の機器固定部材と、
前記第1〜第4可動部の回動を規制又は許可するように前記第1、第2連結部材の間隔を調節する第1調節・結合手段と、
前記第5可動部の回動を規制又は許可するように前記第3支軸と前記機器固定部材との間隔を調節する第2調節・結合手段と、
を備えていることを特徴とする機器支持スタンド。
【請求項2】
前記第2可動部は所定の角度α毎に回転角度が規制可能であり、前記第5可動部は所定の角度β毎に回転角度が規制可能であり、さらに前記角度αと前記角度βとが異なる角度であることを特徴とする請求項1に記載の機器支持スタンド。
【請求項3】
前記第3支軸は所定太さ及び長さを有する円柱軸からなり、前記機器固定部材は前記第3支軸の外周囲を覆うようにリング状に形成された所定高さの周壁部を備え、前記第5可動部は、前記第3支軸の一端の外周縁部に沿って前記角度β毎に形成された複数個の係合凹部と、前記周壁部の内部に設けられ前記複数個の係合凹部のそれぞれと係合可能な複数個の係合突起と、からなることを特徴とする請求項2に記載の機器支持スタンド。
【請求項4】
前記第2調節・結合手段は、前記第3支軸の軸心に沿って形成された挿通孔と、前記機器固定部材の前記周壁部内の実質的に中心部に形成され内部に雌ネジが刻設された第2螺合部材と、前記挿通孔に挿通されるとともに前記第2螺合部材に螺合される第2調節ネジと、から構成されており、前記第2調節ネジを締結させて前記係合凹部と前記係合突起とを係合することにより前記第5可動部の回動を規制し、前記第2調節ネジを弛緩させて前記係合凹部と前記係合突起との係合を解除することにより前記第5可動部の回動を許可することを特徴とする請求項3に記載の機器支持スタンド。
【請求項5】
前記第1、第3支軸はそれぞれ所定太さ及び長さを有する円柱軸からなり、前記第2、第4支軸は一対の第1、第2連結軸からなり、各一対の連結軸は、いずれも前記第1、第3支軸の円柱軸の実質的に半円周面に当接される半筒状部と該半筒状部の外面から直角に突出した筒状部とからなり、前記第1支軸の外周面に前記第2支軸の第1、第2連結軸の一対の半筒状部が前記第1可動部を介して結合され、前記第3支軸の外周面に前記第4支軸の第1、第2連結軸の一対の半筒状部が前記第2可動部を介して結合され、各連結軸間の対向する筒状部の端部がそれぞれ前記第3、第4可動部を介して前記第1、第2連結部材に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の機器支持スタンド。
【請求項6】
前記第1調節・結合手段は、前記第1、第2連結部材の間隔を調節して前記第1〜第4可動部の回転角度及び摩擦力を調節する第1調節手段と、前記第1調節手段の操作により前記第1、第2連結部材の少なくとも一方を移動可能にガイドするガイド手段と、前記第1調節手段が弛緩されたときに、前記第1、第2連結部材の組立体が解体されないように保持する抜け止め部材と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の機器支持スタンド。
【請求項7】
前記ガイド手段は、前記第1連結部材の内壁の中央部から立設し内部に貫通孔を有するガイド突起と、前記第2連結部材の内壁の中央部に形成され前記ガイド突起の周縁を支持するガイド突起支持部材と、から構成されており、
前記第1調節手段は、前記ガイド突起の先端部に形成され前記貫通孔に連通する内部に雌ネジが刻設された第1螺合部材と、前記第2連結部材に設けられた挿通孔と、前記挿通孔を介して前記第1螺合部材に螺合する第1調節ネジと、から構成されており、
前記抜け止め部材は、前記第1調節ネジの先端部に着脱自在に取付けられる規制キャップと、前記貫通孔の後端部に形成された前記規制キャップを収容するキャップ収容室と、から構成されていることを特徴とする請求項6に記載の機器支持スタンド。
【請求項8】
前記第2支軸と第4支軸は同一の構成からなる支軸で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の機器支持スタンド。
【請求項9】
前記第1〜第4可動部は、互いにギヤ歯が噛合されてなるギヤ部材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の機器支持スタンド。
【請求項10】
前記第3、第4可動部間には、圧縮弾性部材が介在されていることを特徴とする請求項1に記載の機器支持スタンド。
【請求項11】
前記取付け部材と前記第1支軸とは一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の機器支持スタンド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−96217(P2009−96217A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−266501(P2007−266501)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【出願人】(300019445)株式会社カサタニ (19)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【Fターム(参考)】