説明

機器用モード情報表示装置及びフローチャートのラベル実現方法

【課題】 電気機器の動作モードの情報を回路図などのフローチャート図に示す。
【解決手段】 フローチャート図10には、電気機器の回路図が記載され、この回路図には指示器14、22、24、32〜38、42、44が設けられている。これら指示器は、電気機器の動作モードなどを光のオン、オフや、強度によって操作者に伝える。フローチャート図はパネルに設けられ、パネルには複数の透過指示領域が設けられ、これら領域を背面から照明して指示器とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、図形的な表示に関し、特に、機器の動作期間中にこの機器のモードを表示する表示に関する。
【背景技術】
【0002】
図形的な表示を用いて、地下鉄や駅構内のような交通システム又は工業プロセスのオペレーションに関する情報を伝達することが行われている。これら表示システムは、指示器(インディケータ)を用いており、この指示器は表示システムに直接的に結線されている。これら表示システムは、モニタされる実際のシステムから分離した別のシステムである。
【0003】
操作者が機器を用いて測定を行うとき、機器の現在の状況を知ることは多くの場合望ましい。例えば、自動試験動作期間中に、機器の変化状態を観察することも望ましい。
【0004】
「オン/オフ」の指示であるラベルを用いて、機器が「オン」又は「オフ」であるかを伝えることができる。この「オン/オフ」は、例えば、フロント・パネルに取り付けられた光指示器により指示することができる。これらの対応する指示器に沿った追加的なラベルを用いて、より特定の情報及び詳細な情報が必要なときに機器の状態を伝えることができる。
【0005】
【特許文献1】特開平10−78981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
機器の場合、可能なモードの数やモードの組み合わせの数により、必要とするラベルの数が増える。ラベルの数が増えると、操作者は、機器の動作モードを容易に決定することが困難になってくる。自動動作期間中、機器が用いているモードのシーケンスがどれであるかを操作者が理解することは、一層困難になってくる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
よって、本発明は、機器のモード情報を表示する装置であって;パネル(63)に示されたフローチャート図(10)と;このフローチャート図内に配置された複数の透過指示領域(60)と;機器(72)内に配置され、複数の透過指示領域に位置合わせされた複数の光源(61)とを具えている。なお、括弧内の参照符号は、実施例との関係を単に示すのみである。
また、本発明は、機器(72)のモード情報を表示する装置であって;機器の動作モードに対応する光信号を発生する手段(61)と;光信号により機器の動作モードを示す手段(60)と;光信号を発生する手段及び動作モードを示す手段の間で光信号を伝送する手段(62)とを具えている。
さらに、本発明は、アクティブ・フローチャート・ラベルを実現する方法であって;機器(72)の動作モードに関する情報を伝達するためのフローチャート・ラベルを準備し;選択可能な複数のフローチャート経路に対応するフローチャート・ラベルに指示器を配置し;機器内の回路基板(67)上で、フローチャート・ラベルの指示器に位置合わせして光源(61)を配置し;光源の周囲に回路構成要素を配置して、機器の回路を決めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、自動動作期間中、機器が用いているモードのシーケンスがどれであるかを操作者が容易に理解できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
よって、本発明の実施例では、機器のラベルがより直感的で図形的な表示であり、機器の動作モードを伝える。フローチャート図(回路図や、ブロック図も含む)をパネルに付けて、透過指示領域をフローチャート図内に設ける。機器内に設けられ透過指示領域に位置合わせされた光源は、透過指示領域を照明して、機器の動作モード又は状態に関する情報をユーザに伝える。
【0010】
本発明の種々の実施例の態様は、添付図を参照した以下の詳細な説明から明らかになろう。
【実施例】
【0011】
図1は、本発明によるアクティブなフローチャート・ラベルの実施例の平面図である。アクティブ・フローチャート図10は、指示器14と一緒に「Power ON」(電源オン)と記載された文字ラベル12を有する。なお、フローチャート図には、回路図やブロック図も含み、アクティブとは、変化する動作モードなどを伝えることができることを意味する。この例において、文字ラベルは、文字ボックス16内に設けられており、機器に適用できる一般的な情報を示している。なお、文字ボックス16内には、文字ラベル「Fault」(誤り)もある。多数の指示器と共に回路図ラベル20も設けられている。いくつかの指示器は、回路図ラベル20が示す回路の経路内に配置されているので、これら指示器は、どの回路経路が動作しているかを識別できる。例えば、図示する指示器22は、「LF Path」(低周波数経路)が接続されていることを示す。指示器24は、この指示器が照明されているときに、「WB Path」(広帯域経路)が接続されていることを示す。同様に、指示器32及び34を用いて、入力に「H」(水平)又は「V」(垂直)が使用されていることを識別できる。図示のように、指示器34が照明されると、「V」が入力として使用されていることを示す。指示器36及び38の他のセットを用いて、「LF Path」又は「WB Path」が選択されたことを示す。図示の如く、指示器36が照明されると、「LF Path」がアクティブ(有効)であることを示す。指示器42及び44により、動作モードの他の情報も提供できる。図示の如く、指示器44が照明されると、オプションの回路が接続されていることを示す。「Term on」と印された文字ラベル26を対応する指示器28と共に回路図ラベル20の領域内に設けて、動作モードに関する追加の情報を提供する。
【0012】
アクティブ・フローチャート・ラベルは、機器の現在の動作モードを操作者に伝える直感的で理解が容易な手段を提供する。自動試験期間中、指示器の変化パターンにより、操作者は、試験シーケンスを追跡し、この試験が実行されていることを確認できる。
【0013】
図2は、2個の関連した指示器を用いる実施例を示す。この実施例を用いて、信号の強さを示すことができる。第1回路経路50が第1信号に対応し、第2回路経路52が第2信号に対応する。第1指示器54を第1回路経路50内に配置し、第2指示器56を第2回路経路52内に配置する。図示の如く、指示器54及び56の各々から放射される光線の長さは、各信号による輝度に対応する。各指示器の輝度は、各信号の信号強度に対応する。例えば、ほの暗い指示器は、指示器56が示すように小さい信号に対応し、明るい指示器は、指示器54が示すように大きい信号に対応する。多数の指示器の間の相対的な輝度は、多数の信号の相対的な信号強度を伝える。例えば、図2に示すように、2個の指示器の相対的な輝度により2つの信号の相対的な状態を示す。
【0014】
図3は、信号強度を伝える他の実施例を示す。第1回路経路50及び第2回路経路52が示されている。第1組の指示器57を第1回路経路50内に配置し、第2組の指示器59を第2回路経路52内に配置する。第1組の指示器57及び第2組の指示器59の両方は、多数の指示器58により構成する。1個又はそれ以上の適切な指示器58を照明することにより、信号強度を伝えることができる。各組の指示器内で照明された指示器の数が信号の相対的な強度に対応する。別の実施例においては、指示器の数が相対的な利得又は減衰レベルに対応してもよい。
【0015】
本発明によるアクティブなフローチャート・ラベルのいくつかの実施例においては、指示器が照明されて、特定の項目がオンであるか、又は、対応する回路が接続されているかを示す。アクティブでない(照明されていない)指示器は、その項目がオフのままである。別の実施例において、異なる色を用いて異なる状態を示すことができる。例えば、緑がオンを示し、赤がオフを示す。多数の色を用いて、状態が単にオン又はオフでない多くの追加的なモードを示すことができる。例えば、赤がオンを示し、黄色がオンで補助的な信号であることを示し、緑がオンで異なる補助的な信号が存在することを示す。異なる色を用いて、ディフォルトの設定と別の設定とを識別できる。例えば、緑がディフォルトの設定を示し、アンバー(琥珀色)が別の設定を示す。他の実施例において、異なる色を用い、赤が弱い信号を示し、黄色が充分な信号を示し、緑が強い信号を示す。この実施例において、指示器をオフにして、無信号状態を示すことができる。電源オンの指示器に色を用いて、緑が電源コンセットを示し、黄色がバッテリを示し、赤がバッテリの低下を示す。
【0016】
図4は、機器パネル63に取り付けられたアクティブ・フローチャート図10を具えた機器の実施例の断面図を示す。本明細書では、用語「機器」は、多数の動作モードを有し、別の電子機器に接続できるインタフェース・モジュールを含む任意の電気/電子装置を広く意味する。図示の実施例において、指示器は、機器パネル63内の穴65と一致するフローチャート図10(ラベル)内の透過指示領域60を具えている。この透過指示領域60により光が通過して、どの指示器がアクティブであるかをユーザが識別できる。透過指示領域60は、透明又は半透明でもよい。半透明領域は、光を散乱させて、透明領域よりも広い視野角を与える。この半透明領域は、より高い知覚輝度をユーザに与えることができる。光源61を回路基板67に設け、透過指示領域60の位置に整列(位置合わせ)させて、光源61からの光が対応透過指示領域60に通過して、機器がどのモードにあるかを示す。図4に示す実施例に示すように、光チャネル(光通路)62を光源61及び透過指示領域60の間に設ける。
【0017】
本発明による機器の実施例において、光チャネル62は、中空の管を具えており、光源61からの光がその対応する透過指示領域60に通過する一方、この対応透過指示領域60に当たる隣接光源61からの光の量を低減するか除去する。ある実施例において、光チャネル62は、できれば金属又は他の不透明材料から形成された中空管である。本明細書で用いる「管」は、一般的に、細長い中空物を意味し、筒、矩形管や、他の断面の管を含む。
【0018】
本発明の別の実施例において、光チャネル62は、光パイプを具えている。この光パイプは、その端部から入射した光を透過指示領域60に伝送できる透明材料を用いて形成されている。この光パイプは、ガラス、プラスチック、アクリル樹脂の如き任意の適切な透明材料から形成してもよい。一実施例において、例えば、光パイプは、柱状のアクリル樹脂のロッドである。光パイプにより、光源61からの多くの光を対応透過指示領域60に向ける一方、隣接光源からの光の量を低減できる。
【0019】
別の実施例において、光チャネル62は、不透明管内の透明材料でもよい。これは、金属管をアクリル樹脂、光エポキシ樹脂、又は他の適切な透明材料で充填して形成してもよい。
【0020】
光源21は、機器内に取り付けることができる任意の光源である。例えば、光源61は、LED(発光ダイオード)、小さな電球、又はレーザ・ダイオードでもよい。一実施例において、光源61は、表面実装LEDである。この光源61は、赤LEDの如く単一の色を発生するか、又は多色LEDの如く多数の色を発生する。
【0021】
図5は、本発明による機器の他の実施例を示し、光チャネル62を使用しない。光源61からの光が隣接の透過指示領域60に当たるのを防ぐために、光源をコリメーティングするか、又は、焦点を結ぶようにする。一実施例においては、レンズ76を用いる。このレンズ76は、コリメーティング・レンズであり、各光源61からの光を対応透過指示領域60に向ける。他の実施例においては、レンズは、集束レンズである。このレンズを用いて、光源61からの光を対応透過指示領域60に焦点を結ばせて、光が隣接する透過指示領域に当たるのを防ぐ。図示ではレンズ76を点線で示すが、これは、いくつかの実施例においてレンズを除去できるためである。完全な発散レンズを用いないレーザ・ダイオード又はLEDの如く本質的にコリメーションを行う光源を用いることにより、レンズを用いることなく、コリメーションを行える。
【0022】
図6は、本発明による機器の実施例を示す。ここでは、アクティブ・フローチャート・ラベル組立体70を機器72から外している。図からわかるように、アクティブ・フローチャート・ラベル組立体70と機器72の間には接続がない。アクティブ・フローチャート・ラベル組立体70及び機器72の間には電気的接続の必要性がない。総ての電気コンポーネントは、機器72に残り、必要な際には、組み立てや、回路基板へアクセスが容易である。光源61は、回路基板74に接続されている。この回路基板74は、入力及び出力用の電気的接続と共に、機器の動作に関連する他の回路も含んでいる。
【0023】
アクティブ・フローチャート・ラベル組立体の好適実施例は、例えばシート・メタルから作られた機器パネル63に穴を設け、これらの穴に図示しないネジ離隔絶縁体(スタンドオフ)を挿入することにより形成される。ネジ離隔絶縁体は、例えば、PEM(商標)SOS−832−6モデル・スタンドオフでもよい。LEXAN(商標)ポリカーボネートのように透き通った窓領域を有し、裏側が接着転写(adhesive transfer)であるポリカーボネート・フィルムを用いてアクティブ・フローチャート図10を形成する。接着転写を用いて、アクティブ・フローチャート図10を機器パネル63に貼り付ける。柱状アクリル・ロッドをネジ離隔絶縁体にねじ込んで、光パイプを設けて、光チャネル62とする。別の実施例において、光パイプを用いることなく、ネジのある又はネジのない離隔絶縁体を光チャネル62として用いる。
【0024】
本発明による機器の実施例は、機器ケースの基本的な寸法を決めることにより作製される。アクティブ・フローチャート・ラベルは、動作モード又は他の情報をユーザに伝えるために設計される。機器の動作モードや任意の他の情報をアクティブに伝えるように指示器を配置する。ラベル上の指示器の位置を決めると、各光源と対応指示器の適切な位置合わせとなるように回路基板上での光源の対応位置が決まる。残りの回路も回路基板上に配置して、光源の配置と干渉しないで回路が必要に応じて動作するようにする。アクティブ・フローチャート・ラベル及び回路基板を含む機器の最終設計には、設計を反復する必要があるかもしれない。これには、最終的なアクセス・フローチャート・ラベルが達成されるまで上述の基本設計手順を繰り返す必要があるかもしれない。
【0025】
本発明の好適実施例について説明したが、本発明の要旨を逸脱することなく種々の変形変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明によるアクティブなフローチャート・ラベルの実施例の平面図である。
【図2】アクティブなフローチャート・ラベルの一部を示す図である。
【図3】アクティブなフローチャート・ラベルの一部を示す図である。
【図4】図1のアクティブなフローチャート・ラベルを含む機器の断面図である。
【図5】図1のアクティブなフローチャート・ラベルを含む機器の断面図である。
【図6】図1の機器の部分的に分解した断面図である。
【符号の説明】
【0027】
10 フローチャート図
12 文字ラベル
14、22、24、32〜38、42、44 指示器
16 文字ボックス
20 回路図ラベル
60 透過指示領域
61 光源
62 光チャネル
63 機器パネル
65 穴
67 回路基板
70 アクティブ・フローチャート・ラベル組立体
72 機器
76 レンズ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器のモード情報を表示する装置であって、
パネルに示されたフローチャート図と、
該フローチャート図内に配置された複数の透過指示領域と、
上記機器内に配置され、上記複数の透過指示領域に位置合わせされた複数の光源と
を具えた機器用モード情報表示装置。
【請求項2】
上記複数の透過指示領域が半透明であることを特徴とする請求項1のモード情報表示装置。
【請求項3】
上記複数の光源が電球、LED又はレーザ・ダイオードであることを特徴とする請求項1のモード情報表示装置。
【請求項4】
機器を構成する回路基板上に上記複数の光源を配置することを特徴とする請求項3のモード情報表示装置。
【請求項5】
上記複数の光源及び上記透過指示領域の間に配置された複数の光チャネルを更に具えたことを特徴とする請求項4のモード情報表示装置。
【請求項6】
上記光チャネルが透明光パイプを用いて形成されたことを特徴とする請求項5のモード情報表示装置。
【請求項7】
上記複数の光源及び上記複数の透過指示領域の間に配置された複数のレンズを更に具えることを特徴とする請求項1のモード情報表示装置。
【請求項8】
機器のモード情報を表示する装置であって、
上記機器の動作モードに対応する光信号を発生する手段と、
上記光信号により上記機器の動作モードを示す手段と、
上記光信号を発生する手段及び上記動作モードを示す手段の間で上記光信号を伝送する手段と
を具えた機器用モード情報表示装置。
【請求項9】
アクティブ・フローチャート・ラベルを実現する方法であって、
機器の動作モードに関する情報を伝達するためのフローチャート・ラベルを準備し、
選択可能な複数のフローチャート経路に対応する上記フローチャート・ラベルに指示器を配置し、
上記機器内の回路基板上で、上記フローチャート・ラベルの上記指示器に位置合わせして光源を配置し、
上記光源の周囲に上記回路構成要素を配置して、上記機器の回路を決める
ことを特徴とするアクティブなフローチャートのラベル実現方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−310804(P2006−310804A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79161(P2006−79161)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(391002340)テクトロニクス・インコーポレイテッド (234)
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
【Fターム(参考)】