説明

機器管理装置、システム及びプログラム

【課題】本発明は、クライアント端末のローカルに接続された印刷機器をネットワーク経由で管理することができる新規な機器管理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ローカルに印刷機器が接続されたクライアント端末をネットワーク上で検出し、当該クライアント端末に印刷管理プログラムを配信する。印刷管理プログラムがインストールされたクライアント端末には、機器管理装置と通信するための通信部と、機器管理装置からの問い合わせに応答してローカル印刷機器の印刷枚数を取得するための印刷枚数取得部と、機器管理装置から命令された印刷制限を実行する印刷制限実行部とが追加される。その結果、機器管理装置は、クライアント端末にローカル印刷機器の印刷枚数を問い合わせ、クライアント端末に対してローカル印刷機器に係る印刷を制限するように制御することができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク機器を管理する機器管理装置、システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワーク機器管理技術を利用して、印刷機器の印刷枚数をネットワーク経由で監視・制御することが広く行われている。図9は、印刷機器の印刷枚数をネットワーク経由で管理する従来の印刷機器管理システム800を示す。印刷機器管理システム800は、複数のクライアント端末(PC)810と、ネットワーク850に直接接続される複数のネットワーク対応プリンタ820と、機器管理装置840とを含んで構成されており、各装置がネットワーク850を介して通信可能に接続されている。
【0003】
ネットワーク対応プリンタ820は、複数のクライアント端末810から発行された印刷命令を直接受領して実行する共有プリンタとして機能しており、図示しないプリントエンジン等の他に、印刷枚数取得部822、印刷制限実行部824および通信部826を含んで構成されている。
【0004】
一方、機器管理装置840は、印刷制御部842と、印刷枚数管理部844と、通信部846とを含んで構成されている。印刷枚数管理部844は、ネットワーク850上に存在する全てのネットワーク対応プリンタ820の印刷枚数をユーザ毎に管理するデータベースとして参照される。印刷制御部842は、ネットワーク対応プリンタ820に対して定期的にユーザ毎の印刷枚数を問い合わせ、ネットワーク対応プリンタ820の印刷枚数取得部822は、当該問い合わせに応答して印刷ログからユーザ毎の印刷枚数を読み出して機器管理装置840に返す。機器管理装置840の印刷制御部842は、各ネットワーク対応プリンタ820から受領した印刷枚数に基づいて印刷枚数管理部844の印刷枚数管理テーブルを更新する。
【0005】
一方、機器管理装置840の印刷制御部842は、印刷枚数管理部844の印刷枚数管理テーブルの値を監視し、ユーザの印刷枚数が所定の閾値に達した場合、予め定義された印刷制限方法(一部機能の使用禁止、印刷の全面禁止など)をネットワーク対応プリンタ820に通知する。ネットワーク対応プリンタ820の印刷制限実行部824は、当該通知を受けて、該当するユーザに係る印刷スプールデータを廃棄し、また、当該ユーザに係る新規の印刷要求を拒否するようにネットワーク対応プリンタ820を制御する。なお、機器管理装置840とネットワーク対応プリンタ820の間の上述したデータ通信は、通信部846および通信部826を介して、SNMPまたはSOAPなどの適切なプロトコルに基づいて実行される。
【0006】
上述したように、印刷機器管理システム800は、ネットワーク850に直接接続されているネットワーク対応プリンタ820の印刷枚数を管理することはできる。しかしながら、機器管理装置840は、クライアント端末810(PC-A)にUSB接続されているローカルプリンタ830と通信する術を持たないため、ローカルプリンタ830の印刷枚数を管理することができず、その結果、ローカルプリンタ830は、実質的に管理者が定義する印刷制限ポリシーの適用外となってしまうという問題があった。
【0007】
この点につき、特開2009−238203号公報(特許文献1)は、クライアント端末OSのリモート操作機能を利用することによって、クライアント端末にローカル接続された印刷機器の機器情報をネットワーク経由で取得することを特徴とした機器管理装置を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1が開示する機器管理装置は、ローカル印刷機器の機器情報を取得するに留まり、依然として、ローカル印刷機器の印刷をネットワーク経由で制御できるものではなかった。
【0009】
本発明は、上記従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、本発明は、クライアント端末のローカルに接続された印刷機器をネットワーク経由で管理することができる新規な機器管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、クライアント端末のローカルに接続された印刷機器をネットワーク経由で管理することができる新規な機器管理装置につき鋭意検討した結果、ネットワーク機器を管理する機器管理装置であって、ネットワークに接続されたネットワーク機器に対してユーザ毎の出力値を問い合わせ、ユーザの出力値が所定の閾値に達した前記ネットワーク機器に対して該ユーザに係る出力を制限するように制御する出力制御部と、ローカルに接続されたローカル機器を有するクライアント端末をネットワーク上で検出するための機器検出部と、前記機器検出部が検出した前記クライアント端末に対して出力管理プログラムを配信するように外部に依頼するプログラム配信依頼部とを含み、前記出力制御部は、前記出力管理プログラムがインストールされた前記クライアント端末に対してローカルに接続されたローカル機器の出力値を問い合わせ、該ローカル機器に係るユーザの出力値が所定の閾値に達したことに基づき、該クライアント端末に対して該ローカル機器に係る出力を制限するように制御する機器管理装置の構成に想到し、本発明に至ったのである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の印刷機器管理システムを示す図。
【図2】本実施形態の印刷機器管理システムを構成する各装置の機能ブロック図。
【図3】本実施形態における印刷枚数管理テーブルを示す図。
【図4】本実施形態における印刷制限方法定義ファイルを示す図。
【図5】本実施形態における機器管理装置の機器検出部が実行する処理のフローチャート。
【図6】本実施形態の印刷機器管理システムを示す図。
【図7】本実施形態における印刷枚数管理テーブルを示す図。
【図8】本実施形態における印刷制限方法定義ファイルを示す図。
【図9】従来の印刷機器管理システムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を、実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜、その説明を省略するものとする。
【0013】
図1は、本発明の実施形態である機器管理装置100を含む印刷機器管理システム1000を示す。印刷機器管理システム1000は、複数のクライアント端末200と、ネットワーク印刷機器として参照される複数のネットワーク対応プリンタ300と、ローカル印刷機器として参照されるローカルプリンタ600と、機器管理装置100と、プログラム配信サーバ400とを含み、ローカルプリンタ600を除く各装置がLAN、VPN、インターネットなどとして参照されるネットワーク500を介して相互に通信可能とされている。
【0014】
ネットワーク500に直接接続される複数のネットワーク対応プリンタ300は、MFP(Multifunction Peripheral)やLP(Laser Printer)として参照することができ、ネットワーク500上の複数のクライアント端末200から発行される印刷命令を直接受領して印刷処理を実行する共有プリンタとして機能している。一方、ローカルプリンタ600は、ネットワーク500に直接接続されるのではなく、クライアント端末200にUSB接続などによってローカル接続される印刷機器であり、図1においては、クライアント端末200(PC−A)にUSBケーブルを介してローカルプリンタ600が接続されている。
【0015】
機器管理装置100は、パーソナル・コンピュータまたはワークステーションなどとして参照することができる情報処理装置であり、ネットワーク対応プリンタ300ならびにローカルプリンタ600におけるユーザ毎の印刷枚数を集中管理し、予め定められたポリシーに従ってユーザの出力を制限する。
【0016】
プログラム配信サーバ400は、同じく、パーソナル・コンピュータまたはワークステーションなどとして参照することができる情報処理装置であり、機器管理装置100からの依頼を受けて、ローカルプリンタ600をローカル接続するクライアント端末200に対して所定のプログラムを配信する。以上、本実施形態の印刷機器管理システム1000の基本構成について概説してきたが、次に、各装置が備える具体的な構成について図2に基づいて説明する。
【0017】
図2は、本実施形態の印刷機器管理システム1000を構成する各装置の機能ブロック図を示す。
【0018】
本実施形態の機器管理装置100は、ユーザ毎の印刷枚数を管理対象となる全ての印刷機器毎に集中管理するデータベースとして参照される印刷枚数管理部110と、管理対象となる全ての印刷機器におけるユーザ毎の印刷枚数を監視するとともに、当該印刷枚数に応じた所定の印刷制限を実行するように各印刷機器に指示するための印刷制御部102と、ローカルに印刷機器が接続されたクライアント端末200(図2に示す例においては「PC−A」)を検出するための機器検出部104と、プログラム配信サーバ400に対して、ネットワーク500上のクライアント端末200を指定して所定の印刷管理プログラムの配信を依頼するプログラム配信依頼部106と、ネットワーク500上の他の装置との間で適切なプロトコルに基づいた通信を実行するための通信部108を含んで構成されている。
【0019】
本実施形態におけるプログラム配信サーバ400は、機器管理装置100のプログラム配信依頼部106からの依頼を受けて、指定されたクライアント端末200に対して印刷管理プログラム404を配信するためのプログラム配信部402と、他の装置との間で適切なプロトコルに基づいた通信を実行するための通信部406を含んで構成されている。
【0020】
一方、ネットワーク対応プリンタ300は、機器管理装置100からの問い合わせに応答してユーザ毎の印刷枚数を取得する印刷枚数取得部302と、機器管理装置100から通知された印刷制限方法に基づいて通知に係るユーザの印刷を制限する印刷制限実行部304と、ネットワーク500上の他の装置との間で適切なプロトコルに基づいた通信を実行するための通信部306を含んで構成されている。
【0021】
なお、図2においては、機器管理装置100とプログラム配信サーバ400を別装置としてネットワーク500上の配置する構成を例示したが、本実施形態は、このような形態に限定されるものではなく、機器管理装置100の筐体内にプログラム配信サーバ400の機能を一体化することもできる。この場合、機器管理装置100のプログラム配信依頼部106の代わりにプログラム配信サーバ400のプログラム配信部402に相当する機能部が設けられる。さらに、本実施形態の印刷機器管理システム1000は、図2に示した機器管理装置100の各機能部およびプログラム配信サーバ400の各機能部が適切な単位でネットワーク上に分散配置されたネットワークシステムとして構成することもできる。その他、想定されるどのようなシステム構成も本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれる。
【0022】
機器管理装置100の印刷制御部102は、所定の通信プロトコル(例えば、SNMPまたはSOAPなどの適切な通信プロトコル)に則ってネットワーク500上のネットワーク機器に対してユーザ毎の印刷枚数を問い合わせる。当該通信プロトコルに対応した通信部306を備えるネットワーク対応プリンタ300は、ネットワーク対応プリンタ300の印刷枚数取得部302は、当該問い合わせに応答して、印刷ログから読み出したユーザ毎の印刷枚数を機器管理装置100に返す。機器管理装置100の印刷制御部102は、ネットワーク対応プリンタ300から受領した応答(印刷枚数)に基づいて印刷枚数管理部110の印刷枚数管理テーブルを更新する。
【0023】
図3は、印刷枚数管理部110が管理する印刷枚数管理テーブル2000を例示する。印刷制御部102は、ネットワーク対応プリンタ300の印刷枚数取得部302からレスポンスがある度に、印刷枚数管理テーブル2000の該当するセルの値(印刷枚数)を最新の値に更新する。
【0024】
一方、印刷制御部102は、印刷枚数管理テーブル2000の内容(印刷機器毎のユーザの印刷枚数)を監視し、ユーザの印刷枚数が所定の閾値に達した場合、予め定義された印刷制限方法を記述した印刷制御命令を該当するネットワーク対応プリンタ300に発行する。
【0025】
この点につき、印刷制御部102は、図4に例示する印刷制限方法定義ファイル2100を保持する。印刷制限方法定義ファイル2100においては、管理対象となる印刷機器毎に、所定の印刷制限方法が印刷枚数の閾値に対応付けて定義されている。
【0026】
印刷制御部102は、例えば、印刷枚数管理テーブル2000の内容に基づいて印刷機器「MFP-001」における「USER-001」の印刷枚数が閾値1(100枚)に達したことを検知すると、印刷制限方法定義ファイル2100を参照し、「MFP-001」における「閾値1」に対応する印刷制限方法(「カラー印刷禁止」)およびユーザID「USER-001」を記述した印刷制御命令をネットワーク対応プリンタ300「MFP-001」に発行する。ネットワーク対応プリンタ300の印刷制限実行部304は、当該命令を受けて、ユーザID「USER-001」に係るカラー印刷のスプールデータを廃棄し、また、ユーザID「USER-001」に係る新規のカラー印刷要求を拒否するようにネットワーク対応プリンタ300「MFP-001」を制御する。なお、上述した機器管理装置100とネットワーク対応プリンタ300の間のデータ通信は、通信部108および通信部306を介して、SNMPまたはSOAPなどの適切なプロトコルに基づいて実行される。以上、説明した手順によって、機器管理装置100は、ネットワーク500に直接接続されているネットワーク対応プリンタ300におけるユーザの印刷枚数を管理・制御する。
【0027】
次に、クライアント端末200のローカルに接続される印刷機器(ローカルプリンタ600)における印刷枚数の管理・制御について説明する。ローカルプリンタ600における印刷枚数を管理・制御するにあたり、本実施形態においては、機器管理装置100の機器検出部104およびプログラム配信依頼部106とプログラム配信サーバ400とが協働して、ローカルプリンタ600が接続されたクライアント端末200(図2に示す例においては「PC−A」)に対して所定の印刷管理プログラムを配信する。この点につき、以下、具体的に説明する。
【0028】
機器管理装置100の機器検出部104は、ローカルに印刷機器が接続されたクライアント端末200(図2に示す例においては「PC−A」)を検出するために、図5のフローチャートが示す処理を実行する。
【0029】
機器検出部104は、まず、ステップ101において、所定のIPアドレスの範囲(管理対象となるエリア[フロア、部署、事業所]で使用しているIPアドレスの範囲)を検出範囲として、"ping"コマンドを実行し、応答のあったIPアドレスを特定する(PING処理)。
【0030】
次に、ステップ102において特定したIPアドレスを持つネットワーク機器が印刷機器であるか否かを確認する。具体的には、まず、ステップ101において特定したIPアドレスを持つネットワーク機器に対してSNMP通信によってMIB値[prtGeneralConfigChanges]を問い合わせる。[prtGeneralConfigChanges]とは、プリンタの設定を変更した回数を表す値であり、印刷機器のみが持つMIBである。したがって、問い合わせに対してレスポンス(値)が返ってきた場合には、当該ネットワーク機器を印刷機器と判定し(ステップ103,Yes)、処理を終了する。一方、問い合わせに対してエラーが返ってきた場合には、当該ネットワーク機器を印刷機器でないと判定し(ステップ103,No)、ステップ104に進む。
【0031】
ステップ104においては、ステップ102において特定したIPアドレスを持つネットワーク機器のローカルに印刷機器が接続されているか否かを判定する。具体的には、まず、RRP(リモートレジストリプロトコル)に基づいて、当該ネットワーク機器のレジスト領域に保存されたプラグアンドプレイ対応機器に関する情報を確認する。当該情報には、ネットワーク機器にプラグアンドプレイ接続された機器(USBプリンタなど)の機器タイプ、モデル名、ベンダー名、シリアルナンバー、接続しているハードの状態等に関する事項が記述されており、機器タイプが“Printer”であるか否かによって、ローカルに印刷機器が接続されているか否かを判定する。
【0032】
その結果、当該ネットワーク機器のローカルに印刷機器が接続されていないと判定された場合には(ステップ105,No)、処理を終了する。一方、当該ネットワーク機器のローカルに印刷機器が接続されていると判定した場合には(ステップ105,Yes)、ステップ106に進み、プログラム配信依頼部106に当該ネットワーク機器のIPアドレスを通知し、処理を終了する。機器検出部104は、上述した一連の処理を適切な時間間隔で繰り返し実行することによって、ローカルに印刷機器が接続されたクライアント端末200をネットワーク上で随時検出する。
【0033】
なお、ローカルに印刷機器が接続されたクライアント端末200をネットワーク上で検出するための処理は、上述した手法に限定されるものではなく、以下に示す別法によって実行してもよい。
【0034】
(別法1)
管理対象となるエリアで使用される全てのIPアドレスに対して、SNMPの1対1通信またはブロードキャスト通信を実行して[prtGeneralConfigChanges]の値を問い合わせる。この方法によれば、先に説明したステップ101のPING処理を省略することができる。
【0035】
(別法2)
管理対象となるエリアで使用される全てのIPアドレスに対して、RRP(リモートレジストリプロトコル)に基づいて、対象機器のレジスト領域に保存されたプラグアンドプレイ対応機器に関する情報を確認し、レジスト領域に保存され情報における機器タイプが“Printer”である機器をローカルに印刷機器が接続されたクライアント端末200と判定する。この方法によれば、先に説明したステップ101〜104を省略することができる。
【0036】
続いて、ステップ106において、機器検出部104からIPアドレスに通知を受けたプログラム配信依頼部106は、通知されたIPアドレス(図2に示す例においては、クライアント端末200「PC−A」のIPアドレス)を配信先として指定したプログラム配信要求を生成し、当該プログラム配信要求をプログラム配信サーバ400に送信する。
【0037】
プログラム配信サーバ400のプログラム配信部402は、プログラム配信依頼部106からプログラム配信要求を受領すると、プログラム保持部404に保持された「印刷管理プログラム」のEXEファイルを、プログラム配信要求に指定されたクライアント端末200「PC−A」のIPアドレスを宛先として送信する。プログラム配信サーバ400から送信された印刷管理プログラムのEXEファイルは、好ましくは、クライアント端末200「PC−A」上で自動的に展開され、印刷管理プログラムがクライアント端末200「PC−A」に強制的にインストールされる。その結果、図6に示すように、クライアント端末200「PC−A」に対して、新たに、印刷枚数取得部212、印刷制限実行部214および通信部216という3つの機能手段が追加される。
【0038】
クライアント端末200「PC−A」に追加された印刷枚数取得部212、印刷制限実行部214および通信部216は、それぞれが、ネットワーク対応プリンタ300の印刷枚数取得部302、印刷制限実行部304および通信部306に相当する機能を果たし、これらの機能部が機器管理装置100の印刷制御部102と協働することによって、クライアント端末200「PC−A」のローカルに接続されるローカルプリンタ600の印刷枚数が管理・制御される。以下、この点について具体的に説明する。
【0039】
機器管理装置100の印刷制御部102は、ネットワーク500上のネットワーク機器に対してユーザ毎の印刷枚数を問い合わせる。このとき、印刷管理プログラムがインストールされたことにより、クライアント端末200「PC−A」は、他のネットワーク対応プリンタ300の通信部306と同じ通信プロトコルに対応した通信部216を備えるようになるので、通信部216を介して、印刷制御部102からの問い合わせを受け取ることができるようになる。クライアント端末200「PC−A」の印刷枚数取得部212は、当該問い合わせに応答して、プリンタドライバ202の印刷ログから印刷枚数を読み出し、クライアント端末200「PC−A」にログインしているユーザIDとともに機器管理装置100に返す。
【0040】
機器管理装置100の印刷制御部102は、クライアント端末200「PC−A」から受領した印刷枚数およびユーザIDに基づいて印刷枚数管理部110の印刷枚数管理テーブルを更新する。図7は、先に例示した印刷枚数管理テーブル2000を再び示す。図7に示すように、印刷枚数管理テーブル2000には、ローカルプリンタ(カラー機器)の印刷枚数を管理するためのフィールド2001とローカルプリンタ(モノクロ機器)の印刷枚数を管理するためのフィールド2002が設けられている。
【0041】
機器管理装置100の印刷制御部102は、印刷枚数の問い合わせに対して印刷機器ではないネットワーク機器(クライアント端末200「PC−A」)からレスポンスがあった場合、当該ネットワーク機器(クライアント端末200「PC−A」)のローカルに接続されるローカルプリンタ600の機器タイプ(カラー/モノクロ)を確認する。その結果、機器タイプがカラーである場合には、レスポンスの値(印刷枚数)をフィールド2001のユーザIDに対応するセルに格納し、機器タイプがモノクロである場合には、レスポンスの値(印刷枚数)をフィールド2002のユーザIDに対応するセルに格納する。なお、ローカルプリンタ600の機器タイプ(カラー/モノクロ)は、先に説明したRRP(リモートレジストリプロトコル)に基づいてクライアント端末200「PC−A」のレジスト領域に保存された機器情報を確認することによって判定することができる。
【0042】
上述した手順で、ネットワーク500上に直接接続されないローカルプリンタ600におけるユーザ毎の印刷枚数が印刷枚数管理部110の印刷枚数管理テーブルに記録・更新される。一方、印刷制御部102は、フィールド2001およびフィールド2002におけるユーザ毎の印刷枚数を監視し、ローカルプリンタ600におけるユーザの印刷枚数が所定の閾値に達した場合、予め定義された印刷制限方法を記述した印刷制御命令を当該ローカルプリンタ600が接続されたクライアント端末200「PC−A」に発行する。
【0043】
図8は、先に例示した印刷制限方法定義ファイル2100を再び示す。図8に示すように、印刷制限方法定義ファイル2100においては、当初より管理対象とされるネットワーク対応プリンタの他に、ローカルプリンタ(カラー機器)およびローカルプリンタ(モノクロ機器)について、所定の印刷制限方法が印刷枚数の閾値に対応付けて定義されている。
【0044】
印刷制御部102は、印刷枚数管理テーブル2000を参照した結果、例えば、該当するユーザのローカルプリンタ(カラー機器)における印刷枚数が閾値3(30枚)に達したことを検知すると、印刷制限方法定義ファイル2100を参照し、「ローカルプリンタ(カラー)」における「閾値3」に対応する印刷制限方法(「全ての印刷禁止」)を記述した印刷制御命令をクライアント端末200「PC−A」に発行する。クライアント端末200「PC−A」の印刷制限実行部214は、当該命令を受けて、該当するユーザのローカルプリンタ600に係るスプールデータを廃棄し、また、該当するユーザのローカルプリンタ600に係る新規の印刷要求を拒否するようにプリンタドライバ202を制御する。
【0045】
本実施形態においては、仮に、図6におけるクライアント端末200「PC−A」に接続されたローカルプリンタ600(カラー)を使用してN枚の印刷を実行したユーザが、他のクライアント端末200「PC−B」に接続された別のローカルプリンタX(カラー)を使用してM枚の印刷した場合、印刷枚数管理テーブル2000のフィールド2001の値は、累計枚数「N+M」として更新される。つまり、本実施形態においては、複数のローカルプリンタにわたる印刷枚数が機器タイプ枚に一括して集計される。なお、上述した実施形態においては、ローカル印刷機器の印刷枚数を2つの機器タイプ(カラー/モノクロ)毎に集計する構成を例示したが、機器タイプ(カラー/モノクロ)にかかわらず全てのローカルプリンタの印刷枚数を一括して累計するようにしてもよい。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、ネットワーク対応プリンタ300における印刷枚数に加え、クライアント端末200にローカル接続されるローカルプリンタ600におけるユーザの印刷枚数についても管理・制御することが可能になる。すなわち、本実施形態によれば、管理者の知らないところでユーザが勝手に使用するローカル印刷機器に対しても所望の印刷制限ポリシーを適用することが可能になる。
【0047】
上述した実施形態の各機能は、C、C++、C#、Java(登録商標)などのオブジェクト指向プログラミング言語などで記述された装置実行可能なプログラムにより実現でき、本実施形態のプログラムは、ハードディスク装置、CD−ROM、MO、DVD、フレキシブルディスク、EEPROM、EPROMなどの装置可読な記録媒体に格納して頒布することができ、また他装置が可能な形式でネットワークを介して伝送することができる。
【0048】
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。上述した説明においては、印刷機器の印刷枚数を管理する実施形態をもって機器管理装置を説明してきたが、本発明の機器管理装置は、電子機器一般におけるユーザ毎の出力を管理するものとして構成することができることはいうまでもない。この場合、上述した実施形態における、印刷制御部、印刷枚数管理部、印刷枚数取得部、印刷制限実行部、および印刷管理プログラムは、それぞれ、出力制御部、出力値管理部、出力値取得部、出力制限実行部、および出力管理プログラムとして参照される。その他、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0049】
100…機器管理装置
102…印刷制御部
104…機器検出部
106…プログラム配信依頼部
108…通信部
110…印刷枚数管理部
200…クライアント端末
202…プリンタドライバ
212…印刷枚数取得部
214…印刷制限実行部
216…通信部
300…ネットワーク対応プリンタ
302…印刷枚数取得部
304…印刷制限実行部
306…通信部
400…プログラム配信サーバ
402…プログラム配信部
404…プログラム保持部
404…印刷管理プログラム
406…通信部
500…ネットワーク
600…ローカルプリンタ
800…印刷機器管理システム
810…クライアント端末
820…ネットワーク対応プリンタ
822…印刷枚数取得部
824…印刷制限実行部
826…通信部
830…ローカルプリンタ
840…機器管理装置
842…印刷制御部
844…印刷枚数管理部
846…通信部
850…ネットワーク
1000…印刷機器管理システム
2000…印刷枚数管理テーブル
2001…フィールド
2002…フィールド
2100…印刷制限方法定義ファイル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特開2009−238203号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク機器を管理する機器管理装置であって、
ネットワークに接続されたネットワーク機器に対してユーザ毎の出力値を問い合わせ、ユーザの出力値が所定の閾値に達した前記ネットワーク機器に対して該ユーザに係る出力を制限するように制御する出力制御部と、
ローカルに接続されたローカル機器を有するクライアント端末をネットワーク上で検出するための機器検出部と、
前記機器検出部が検出した前記クライアント端末に対して出力管理プログラムを配信するように外部に依頼するプログラム配信依頼部とを含み、
前記出力制御部は、
前記出力管理プログラムがインストールされた前記クライアント端末に対してローカルに接続されたローカル機器の出力値を問い合わせ、該ローカル機器に係るユーザの出力値が所定の閾値に達したことに基づき、該クライアント端末に対して該ローカル機器に係る出力を制限するように制御する、
機器管理装置。
【請求項2】
前記出力管理プログラムは、
コンピュータを、
前記機器管理装置からの問い合わせに応答して前記ローカル機器の出力値を取得するための出力値取得部と、
前記機器管理装置から命令された出力制限を実行する出力制限実行部と
を有する前記クライアント端末として構成させるコンピュータ実行可能なプログラムである、
請求項1に記載の機器管理装置。
【請求項3】
前記機器検出部は、
前記ネットワーク機器のみが有するMIB値の問い合わせに対してエラーを返したネットワーク機器が有している機器情報に記述された機器種別に基づき、前記ローカルに接続されたローカル機器を有するクライアント端末として検出する、請求項1または2に記載の機器管理装置。
【請求項4】
ネットワーク機器を管理する機器管理システムであって、
ネットワークに接続されたネットワーク機器に対してユーザ毎の出力値を問い合わせ、ユーザの出力値が所定の閾値に達した前記ネットワーク機器に対して該ユーザに係る出力を制限するように制御する出力制御部と、
ローカルに接続されたローカル機器を有するクライアント端末をネットワーク上で検出するための機器検出部と、
前記機器検出部が検出した前記クライアント端末に対して出力管理プログラムを配信するプログラム配信部とを含み、
前記出力制御部は、
前記出力管理プログラムがインストールされた前記クライアント端末に対してローカルに接続されたローカル機器の出力値を問い合わせ、該ローカル機器に係るユーザの出力値が所定の閾値に達したことに基づき、該クライアント端末に対して該ローカル機器に係る出力を制限するように制御する、
機器管理システム。
【請求項5】
前記出力管理プログラムは、
コンピュータを、
前記出力制御部からの問い合わせに応答して前記ローカル機器の出力値を取得するための出力値取得部と、
前記出力制御部から命令された出力制限を実行する出力制限実行部と
を有する前記クライアント端末として構成させるコンピュータ実行可能なプログラムである、請求項4に記載の機器管理システム。
【請求項6】
前記機器検出部は、
前記ネットワーク機器のみが有するMIB値の問い合わせに対してエラーを返したネットワーク機器が有している機器情報に記述された機器種別に基づき、前記ローカルに接続されたローカル機器を有するクライアント端末として検出する、請求項4または5に記載の機器管理システム。
【請求項7】
ネットワークに接続されたクライアント端末とローカルに接続されたローカル機器を管理するためのコンピュータに、
前記ローカル機器が接続されたクライアント端末を検出する手順と、
前記クライアント端末が当該コンピュータと通信するための通信部、当該コンピュータからの問い合わせに応答して前記ローカル機器の出力値を取得するための出力値取得部、及び当該コンピュータから命令された出力制限を実行する出力制限実行部とを実現するコンピュータ実行可能な出力管理プログラムを前記クライアント端末に対して配信する手順と、
前記出力管理プログラムがインストールされた前記クライアント端末に対してローカルに接続されたローカル機器の出力値を問い合わせ、該ローカル機器に係るユーザの出力値が所定の閾値に達したことに基づき、該クライアント端末に対して該ローカル機器に係る出力を制限するよう制御する制御手順とを、
を実行させる管理プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−61784(P2013−61784A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199643(P2011−199643)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】