説明

機器管理装置ならびにこれを用いた遠隔監視システム

【課題】機器管理装置が機器管理プログラムの更新を行った場合、機器管理装置に異常が生じたと遠隔監視装置が誤って判断するおそれを抑制できる機器管理装置の提供。
【解決手段】機器管理装置2は、第1通信部21、処理実行部27b、記憶部26、操作部24、停止部27c、情報書き込み部27d、更新部27e及び状態設定部27gを備える。受付部24が機器プログラムの更新指示を受け付けた場合、停止部27cは、処理実行部27bが実行中である所定処理、及び第1通信部21による空調機器4との通信を停止させ、情報書き込み部27dは、処理情報及び機器情報を記憶部26に記憶させる。その後、更新部27eは、機器管理プログラムの更新を行い、状態設定部27gは、更新された機器管理プログラムの起動後、記憶部26から処理情報及び機器情報を読み出して、自装置を機器管理プログラムの更新前の状態に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器管理装置ならびにこれを用いた遠隔監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビルや住居などの建物には、空調機器や照明機器等のさまざまな設備機器が設置されている。近年では、このような各設備機器の状態を遠隔により監視するために、いわゆる遠隔監視システムが構築されている場合がある。遠隔監視システムには、複数の設備機器と、機器管理装置と、遠隔監視装置とを備える。ここで、機器管理装置は、複数の設備機器と接続されており、機器管理プログラムを用いて各設備機器の状態を管理する。遠隔監視装置は、機器管理装置とネットワークを介して接続されており、機器管理装置と通信を行うことで、機器管理装置の状態を監視する。
【0003】
ところで、機器管理装置は、各設備機器の管理をより適切に行うために、機器管理プログラムを更新する場合がある。このような機器管理装置としては、例えば特許文献1に示すものが挙げられる。特許文献1の機器管理装置は、機器管理プログラムを更新している間に受け付けた処理を記憶部内に貯めておき、機器管理プログラムの更新後には記憶部内に貯めておいた処理を順番に処理する。
【0004】
また、上記に関連する技術としては、特許文献2や特許文献3が挙げられる。特許文献2には、プログラム更新後も引き続き用いるデータが、プログラムの更新により誤って消去されないようにするための装置が開示されている。特許文献3には、接続されている複数の機器がプログラムを更新した場合、プログラム更新前と更新後との状態を比較することで、各機器が再起動したか否かを迅速に確認することができる装置が開示されている。
【特許文献1】特開2004−199247号公報
【特許文献2】特開2004−199490号公報
【特許文献3】特開2006−113754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、機器管理装置は、機器管理プログラムの更新を行った後に再起動を行うが、再起動後には、更新後の機器管理プログラムを用いてはじめから処理を行う。そのため、機器管理装置が、再起動を行ってから機器管理プログラムの更新直前の状態に戻るまでには、時間がかかってしまう。
【0006】
また、機器管理装置は、機器管理プログラムの更新後、現在の設備機器の状態を示す機器情報を設備機器から新たに取得する動作を行うが、この間に、遠隔監視装置からの応答要求を取得する場合がある。この場合、機器管理装置は、現在の機器情報を設備機器から取得中の状態にあるため、現在の設備機器についての機器情報を遠隔監視装置に送信することができない。すると、遠隔監視装置は、例えば電源が遮断して機能が一時的に停止したり不具合が生じたりした等の、何らかの異常が機器管理装置に発生したと誤って判断するおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、機器管理装置が機器管理プログラムの更新を行った場合であっても、機器管理装置に何らかの異常が生じたと遠隔監視装置が誤って判断するおそれを抑制する機器管理装置の提供を目的とする。また、本発明は、この機器管理装置を備える遠隔監視システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明1に係る機器管理装置は、第1通信部、処理実行部、記憶部、受付部、停止部、情報書き込み部、更新部、及び状態設定部を備える。第1通信部は、設備機器と通信を行う。処理実行部は、機器管理プログラムを用いて、所定処理を実行する。記憶部は、設備機器の状態に関する機器情報と、処理実行部が実行している所定処理の状態に関する処理情報とを記憶する。受付部は、機器管理プログラムの更新指示を受け付ける。停止部は、受付部が機器管理プログラムの更新指示を受け付けた場合、処理実行部による所定処理の実行及び第1通信部による通信を停止させる。情報書き込み部は、処理実行部による所定処理の実行及び第1通信部による通信が停止部により停止された場合、処理情報及び機器情報を記憶部に記憶させる。更新部は、処理情報及び機器情報が記憶部に書き込まれた後に、機器管理プログラムの更新を行う。状態設定部は、更新された機器管理プログラムの起動後、記憶部から処理情報及び機器情報を読み出して、自装置を機器管理プログラムの更新前の状態に設定する。
【0009】
この機器管理装置は、機器管理プログラムの更新時、先ずは現在実行している所定処理や設備機器との通信を停止し、自装置にイベントが生じない状態にする。そして、機器管理装置は、処理情報や機器情報を記憶部に記憶させ、機器管理プログラムの更新を行う。機器管理プログラムの更新後、機器管理装置は、機器管理プログラムの更新直前に記憶した処理情報及び機器情報を基に、自装置の状態をプログラム更新前の状態に設定する。
【0010】
これにより、機器管理装置は、更新後の機器管理プログラムを初期状態から立ち上げて、機器情報を新たに各設備機器から取得せずとも、自装置を機器管理プログラムの更新直前の状態に早く設定することができる。そのため、例えば機器管理装置がネットワークを介して遠隔監視装置と接続されているとすると、この遠隔監視装置から見て機器管理装置が動作を停止している時間は、最小限に抑えられる。従って、機器管理装置に何らかの異常が生じた等と遠隔監視装置が誤って判断する場合が生じにくくなる。
【0011】
発明2に係る機器管理装置は、発明1に係る機器管理装置であって、第2通信部を更に備える。第2通信部は、設備機器とは別の所定装置と通信する。そして、第1通信部は、状態設定部が自装置を機器管理プログラムの更新前の状態に設定後、設備機器から現在の機器情報の取得を開始する。第2通信部は、更新された機器管理プログラムの起動後であって、かつ第1通信部が現在の機器情報の取得を完了していない間に、現在の機器情報の送信要求を所定装置から受信した場合、記憶部内に記憶されている機器情報を所定装置に送信する。
【0012】
ここで、“所定装置”としては、例えば自装置とネットワークを介して接続されている遠隔監視装置が挙げられる。この機器管理装置によると、遠隔監視装置は、機器管理装置から機器情報を受信するため、機器管理装置が機器管理プログラムの更新を行った旨を知らない状態となる。従って、機器管理装置に異常が生じた等と誤って遠隔監視装置が判断する場合を、より防ぐことができる。
【0013】
発明3に係る機器管理装置は、発明2に係る機器管理装置であって、第2通信部は、第1通信部が現在の機器情報の取得を完了した後に、現在の機器情報の送信要求を所定装置から受信した場合、第1通信部が設備機器から取得した現在の機器情報を所定装置に送信する。
【0014】
ここで、“所定装置”としては、発明2と同様、例えば遠隔監視装置が挙げられる。この場合、遠隔監視装置は、機器管理プログラムを更新した機器管理装置から、最新の機器情報を取得することができる。
【0015】
特に、機器管理装置は、発明2に示すように、機器管理プログラムの更新後であって未だ現在の機器情報の取得を完了していない間には、更新前の機器情報を遠隔監視装置に送信し、発明3に示すように、現在の機器情報の取得を完了した後には、最新の機器情報を遠隔監視装置に送信する。これにより、遠隔監視装置は、機器管理装置が機器管理プログラムを更新した旨を知らないままの状態となる。従って、遠隔監視装置が、機器管理装置に異常が生じたと誤って判断される場合を、より防ぐことができる。
【0016】
発明4に係る機器管理装置は、発明1〜3のいずれかに係る機器管理装置であって、処理実行部は、第1タスク及び第2タスクを含む。ここで、第1タスクは、所定の処理要求を第2タスクに出力してその結果応答を取得するクライアントタスクである。第2タスクは、第1タスクからの所定の処理要求に基づく結果応答を第1タスクに返すサーバタスクである。そして、停止部は、受付部が機器管理プログラムの更新指示を受け付けた場合、第2タスクよりも第1タスクを先に停止させる。
【0017】
これにより、機器管理プログラムの更新直前には、サーバタスクよりも先にクライアントタスクが停止するため、サーバタスクにはクライアントタスクからの所定の処理要求が出力されなくなる。従って、通常時には、サーバタスクは所定の処理要求を一時的にキューイングし、キューイングした処理を行うが、機器管理プログラム更新時には、サーバタスクによりキューイングされている処理がない状態で、機器管理プログラムの更新が行われる。
【0018】
発明5に係る遠隔監視システムは、発明2または3に記載の機器管理装置と、設備機器と、所定装置とを備える。設備機器は、機器管理装置に接続され、この機器管理装置により管理される。所定装置は、機器管理装置に接続され、この機器管理装置を遠隔監視する。
【0019】
これにより、発明2または3と同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0020】
発明1に係る機器管理装置によると、例えば機器管理装置がネットワークを介して遠隔監視装置と接続されているとした場合、この遠隔監視装置から見て機器管理装置が動作を停止している時間は、最小限に抑えられる。従って、機器管理装置に何らかの異常が生じた等と遠隔監視装置が誤って判断する場合が生じにくくなる。
【0021】
発明2に係る機器管理装置によると、例えば遠隔監視装置等の所定装置が、機器管理装置に異常が生じた等と誤って判断する場合を、より防ぐことができる。
【0022】
発明3に係る機器管理装置によると、例えば遠隔監視装置等の所定装置は、機器管理プログラムを更新した機器管理装置から、最新の処理情報を取得することができる。
【0023】
発明4に係る機器管理装置によると、機器管理プログラムの更新時には、サーバタスクによりキューイングされている処理がない状態で、機器管理プログラムの更新が行われる。
【0024】
発明5に係る遠隔監視システムによると、発明2または3と同様の効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(1)遠隔監視システムの構成
図1は、本実施形態に係る遠隔監視システムの構成図である。図1の遠隔監視システム1は、機器管理装置2、遠隔監視装置3(所定装置に相当)及び複数台の空調機器4a,4b,4c,4d,・・・(設備機器に相当)を備える。機器管理装置2は、複数の空調機器4a,4b,4c,4d,・・・と伝送線路6を介して接続されており、機器管理プログラムを用いて各空調機器4a,4b,4c,4d,・・・の管理及び制御を行う。遠隔監視装置3は、機器管理装置2を遠隔監視する。より具体的には、遠隔監視装置3は、ネットワーク5を介して機器管理装置2と接続されており、機器管理装置2と通信を行うことで、機器管理装置2が行っている処理の状態や各空調機器4a,4b,4c,4d,・・・の状態を監視する。空調機器4a,4b,4c,4d,・・・は、室外機及び室内機を含み、設置されている空間での空気調和を行う。
【0026】
尚、本実施形態では、機器管理装置2及び空調機器4a,4b,4c,4d,・・・は、同じ建物内に設置されており、遠隔監視装置3は、機器管理装置2及び空調機器4a,4b,4c,4d,・・・とは別の建物内に設置されているとする。また、空調機器4a,4b,4c,4d,・・・は、設置場所がそれぞれ異なるが、構造は同じであるとする。従って、以下より、説明を簡単にするため、空調機器4a,4b,4c,4d,・・・を、単に“空調機器4”という。
【0027】
(2)機器管理装置の構成
次に、本実施形態に係る機器管理装置2の構成について、図2を用いて説明する。機器管理装置2は、第1通信部21、第2通信部22、表示部23、操作部24(受付部に相当)、電源スイッチ25、記憶部26及び制御部27を備える。
【0028】
〔第1通信部〕
第1通信部21は、各空調機器4と通信を行う。例えば、第1通信部21は、各空調機器4の状態に関する情報(以下、機器情報という)を各空調機器4から取得したり、各空調機器4を制御するための制御信号を各空調機器4に送信したりする。尚、第1通信部21が取得した各空調機器4の機器情報は、制御部27に出力される。
【0029】
ここで、各空調機器4の機器情報としては、例えば各空調機器4の電源がオンまたはオフされていることを示す電源状態や、各空調機器4が検知した周囲の温度及び湿度などが挙げられる。また、制御信号としては、各空調機器4の電源をオン及びオフするための信号や、各空調機器4の設定温度を指示するための信号等が挙げられる。
【0030】
〔第2通信部〕
第2通信部22は、ネットワーク5を介して遠隔監視装置3と通信を行う。例えば、第2通信部22は、各空調機器4の現在の機器情報の送信要求や、制御部27の処理実行部27b(後述)が行っている所定処理に関する情報(以下、処理情報という)の送信要求を、遠隔監視装置3から受信する。受信された送信要求は、制御部27に出力される。また、第2通信部22は、遠隔監視装置3から受信した各送信要求に対し応答を行う。
【0031】
ここで、処理情報としては、機器管理プログラムが現在どのような状態であるのかを示す情報等が挙げられる。例えば、空調機器4aに故障等の不具合が生じたことにより、機器管理装置2が空調機器4aから機器情報を取得できなかった場合、機器管理プログラムは、空調機器4aの機器情報がない状態で進行する。この時の処理情報としては、『空調機器4aの機器情報がない』、即ち『空調機器4aが通信不可能にある』の内容を示す情報となる。
【0032】
〔表示部〕
表示部23は、例えば液晶ディスプレイで構成されており、機器管理装置2が各空調機器4を管理及び制御する際の各種条件を設定するための情報や、機器管理装置2の稼働状況、機器管理プログラムを更新する際の更新動作の状況等を表示する。これにより、機器管理装置2を利用するユーザは、表示部23を通じて、機器管理装置2がどのような状況であるのかを知ることができる。
【0033】
〔操作部〕
操作部24は、設定キーやテンキー等を有している。設定キーは、例えば機器管理装置2が各空調機器4を管理及び制御する際の各種条件の設定や、ユーザが機器管理装置2に各種指示を行う場合等に用いられる。
【0034】
特に、機器管理プログラムの更新が行われる場合、ユーザは、操作部24を介して機器管理プログラムの更新を指示する。このように、本実施形態に係る操作部24は、機器管理プログラムの更新指示を受け付けることが可能である。
【0035】
尚、本実施形態では、機器管理プログラムの更新が行われる場合に必要とされる更新後の機器管理プログラムは、DVD−ROMやCD−ROM、フラッシュメモリ等の、機器管理装置2外部の記録媒体に格納されているとする。このような記録媒体は、機器管理プログラムの更新時にユーザにより機器管理装置2内に挿入され、機器管理プログラムの更新指示が操作部24を介してなされると、制御部27により認識される。そして、記録媒体が正常に認識されると、更新後の機器管理プログラムは、制御部27により記録媒体から読み出される。
【0036】
〔電源スイッチ〕
電源スイッチ25は、機器管理装置2の電源をオン及びオフさせるためのスイッチであって、ユーザが押下可能なように機器管理装置2の表面に設けられている。この電源スイッチ25は、機器管理装置2の電源がオフしている状態で1回押下されると、機器管理装置2の電源がオンする。逆に、機器管理装置2の電源がオンしている状態で、電源スイッチ25が1回押下されると、機器管理装置2の電源はオフする。
【0037】
〔記憶部〕
記憶部26は、HDDや不揮発性メモリであるEEPROM等からなり、制御部27により読み出され実行される各種プログラムを格納している。ここで、各種プログラムとしては、機器管理プログラムや、機器管理装置2内の各種ユニットを制御するための制御プログラム等が挙げられる。
【0038】
また、記憶部26は、各空調機器4の機器情報や、制御部27の処理実行部27b(後述)における処理情報等を記憶することができる。
【0039】
〔制御部〕
制御部27は、CPU及びRAMを含むマイクロコンピュータで構成されており、記憶部26内の制御プログラムを用いて機器管理装置2内の各ユニットの制御や、記憶部26内の機器管理プログラムを用いて各空調機器4の管理及び制御等を行う。
【0040】
特に、本実施形態に係る制御部27は、操作部24から機器管理プログラムの更新指示を取得した場合、機器管理プログラムの更新を行い、機器管理プログラムの更新後には、機器管理装置2の状態の制御を行う。また、本実施形態に係る制御部27は、機器管理プログラムの更新後に第2通信部22が遠隔監視装置3から機器情報の送信要求や処理情報の送信要求を受信した場合、その時々の機器管理装置2の状態に応じて遠隔監視装置3に各種情報を送信する。このよう動作を行うため、制御部27は、通信制御部27a、処理実行部27b、停止部27c、情報書き込み部27d、更新部27e、起動実行部27f及び状態設定部27gとして機能する。以下より、各機能について説明する。
【0041】
〔通信制御部〕
通信制御部27aは、第1通信部21及び第2通信部22の通信を制御する。
【0042】
特に、通信制御部27aは、機器管理プログラムが更新された後、第1通信部21が現在の機器情報を各空調機器4から取得するように、第1通信部21を制御する。また、通信制御部27aは、第2通信部22が機器情報の送信要求を遠隔監視装置3から受信した場合、この送信要求を受信した時点での自装置の状態に基づいた応答が行われるように、第2通信部を制御する。
【0043】
具体的には、機器管理プログラムの更新後であって、かつ第1通信部21が空調機器4からの現在の機器情報の取得を未だ完了していない間に、第2通信部22が機器情報の送信要求を受信した場合には、通信制御部27aは、記憶部26内に記憶されている機器情報が遠隔監視装置3に送信されるように、第2通信部22を制御する。
【0044】
また、機器管理プログラムの更新後であって、かつ第1通信部21が空調機器4からの現在の機器情報の取得を完了した後に、第2通信部22が機器情報の送信要求を受信した場合には、通信制御部27aは、第1通信部21が取得完了した現在の空調機器4の機器情報が遠隔監視装置3に送信されるように、第2通信部22を制御する。
【0045】
〔処理実行部〕
処理実行部27bは、記憶部26内に格納されている機器管理プログラムを用いて、所定処理を行う。尚、本実施形態では、所定処理が、各空調機器4の機器情報に基づいて行われる各空調機器4の管理及び制御処理である場合を例に取る。即ち、処理実行部27bは、機器管理プログラムに機器情報を変数として当てはめ、機器管理プログラムを実行することで、各空調機器4の管理及び制御を行う。
【0046】
特に、処理実行部27bは、図3に示すように、クライアントタスク271,272及びサーバタスク273を含む。即ち、本実施形態に係る処理実行部27bは、CPUを時分割で割り当てることにより、効率的に処理を行うことができるいわゆるマルチタスクであると言うことができる。クライアントタスク271,272は、例えば機器情報の取得要求等である処理要求をサーバタスク273に出力し、その結果応答を取得する。そして、クライアントタスク271,272は、結果応答に基づいた処理を行う。サーバタスク273は、クライアントタスク271,272から例えば機器情報の取得要求等である処理要求を取得すると、この処理要求を一時的にRAM(図示せず)等にキューイングする。そして、サーバタスク273は、キューイングした処理要求に基づく結果応答を、該当するクライアントタスク271,272に返す。
【0047】
ここで、サーバタスク273及びクライアントタスク271,272の具体例を、簡単に説明する。サーバタスク273は、図4に示すような機器情報データベース273aに基づいて、クライアントタスク271,272から要求された機器情報をクライアントタスク271,272に出力するタスクであるとする。そして、クライアントタスク271,272は、それぞれ各空調機器4の温度管理及び制御を行うタスク、及び各空調機器4の電源のオン及びオフを管理及び制御するタスクであるとする。尚、図4の機器情報データベース273aは、第1通信部21が各空調機器4から機器情報を取得した際に、この機器情報を用いて例えばサーバタスク273が生成するものであって、図示しないRAMに一時的に記憶される。
【0048】
具体的には、クライアントタスク271がサーバタスク273に各空調機器4の周囲温度を示す機器情報の取得要求を出力すると、サーバタスク273は、この取得要求に基づいて、各空調機器4の周囲温度を機器情報データベース273a内から取り出し、クライアントタスク271に返す。クライアントタスク271は、取得した各空調機器4の周囲温度が所定温度以下か否かを判断し、所定温度以下であると判断した空調機器4には、周囲温度が所定温度以上となるような温度管理及び制御を行う。また、クライアントタスク272がサーバタスク273に各空調機器4の電源状態を示す機器情報の取得要求を出力すると、サーバタスク273は、この取得要求に基づいて、各空調機器4の電源状態を機器情報データベース273a内から取り出し、クライアントタスク272に返す。クライアントタスク272は、取得した機器情報から各空調機器4の電源がオンかオフかを判断し、その判断結果に応じて各空調機器4の電源状態の管理及び制御を行う。
【0049】
尚、処理実行部27b内の各タスクは、機器管理プログラムの流れにそって状態遷移しながら実行される。例えば、サーバタスク273が機器情報の取得要求をクライアントタスク271から受信すると、サーバタスク273の状態は、図4の機器情報データベース273a内から各空調機器4の周囲温度を取り出す処理を行う“状態A”に遷移される。次いで、サーバタスク273の状態は、クライアントタスク271にこの周囲温度を出力する“状態B”に遷移される。
【0050】
〔停止部〕
停止部27cは、操作部24を介して機器管理プログラムの更新指示がなされた場合、処理実行部27bによる所定処理の実行と、第1通信部21及び第2通信部22の通信動作とを停止させる。特に、停止部27cは、処理実行部27bによる所定処理の実行を停止させる場合には、クライアントタスク271,272を、サーバタスク273よりも先に停止させる。
【0051】
以下に、停止部27cが、サーバタスク273よりも先にクライアントタスク271,272を停止する理由について簡単に説明する。サーバタスク273は、既に説明したように、図4の機器情報データベース273aの生成処理を除くと、クライアントタスク271,272からの処理要求の取得をトリガとして処理を行う。言い換えると、サーバタスク273は、クライアントタスク271,272からの処理要求を取得しない限り、処理を行わない。そのため、クライアントタスク271,272をサーバタスク273よりも先に停止させると、クライアントタスク271,272はサーバタスク273に処理要求を出力しなくなる。
【0052】
仮に、クライアントタスク271,272が処理要求を出力し、サーバタスク273がこの処理要求に基づいて処理を行おうとする時に、機器管理プログラムの更新指示がなされた場合、停止部27cは、サーバタスク273が現在行おうとしている処理を行ってその結果をクライアントタスク271,272に返してから、サーバタスク273を停止させる。
【0053】
これにより、停止部27cは、サーバタスク273がキューイングしている処理要求がない状態で、かつサーバタスク273及びクライアントタスク271,272の処理がきりの良い状態で、サーバタスク273及びクライアントタスク271,272の処理を停止させることができる。
【0054】
〔情報書き込み部〕
情報書き込み部27dは、処理実行部27bによる所定処理と第1及び第2通信部21,22による通信とが停止部27cにより停止されると、これらが停止した直前における処理情報及び機器情報を、記憶部26に記憶させる。
【0055】
より具体的には、情報書き込み部27dは、処理実行部27b内のサーバタスク273及びクライアントタスク271,272が処理を停止した時の処理の状態(即ち、“状態A”等の、機器管理プログラムの状態)や、停止直前の処理で用いられていた各空調機器4の機器情報(即ち、機器管理プログラム内で用いられていた変数)を、記憶部26に書き込む。
【0056】
〔更新部〕
更新部27eは、情報書き込み部27dにより処理情報及び機器情報が記憶部26内に書き込まれた後に、機器管理プログラムの更新を行う。具体的には、更新部27eは、機器管理装置2内に挿入された記録媒体から更新後の機器管理プログラムを読み出し、記憶部26内に格納されている更新前の機器管理プログラムに上書きする。
【0057】
そして、更新部27eは、機器管理プログラムの更新を完了すると、再起動の指示を起動実行部27fに出力する。
【0058】
〔起動実行部〕
起動実行部27fは、ユーザにより電源スイッチ25が押下された場合には、機器管理プログラム2の電源をオンさせると共に、記憶部26内に格納されている機器管理プログラムを起動させる。また、起動実行部27fは、更新部27eから再起動の指示を取得した場合、機器管理装置2の電源を一旦オフさせた後、直ぐに電源をオンさせると共に、更新後の機器管理プログラム、即ち記憶部26内に上書きされた機器管理プログラムを起動させる。言い換えると、起動実行部27fは、再起動の指示を取得した場合には、更新後の機器管理プログラムで機器管理装置2を再起動させる。
【0059】
そして、起動実行部27fは、機器管理プログラムの起動時、更新部27eからの再起動の指示に基づく再起動であるのか、それとも電源スイッチ25の押下に基づく起動であるのかを示すための起動判別信号を、状態設定部27gに出力する。本実施形態では、起動判別信号を、更新部27eからの再起動の指示に基づく再起動である場合を“1”、電源スイッチ25の押下に基づく起動である場合を“0”として表す。
【0060】
〔状態設定部〕
状態設定部27gは、起動実行部27fから出力された起動判別信号を取得すると、この起動判別信号に基づいて、機器管理装置2の状態を設定する。
【0061】
具体的には、起動判別信号が“1”である場合、状態設定部27gは、記憶部26から処理情報及び機器情報を読み出す。そして、状態設定部27gは、これらの情報を更新後の機器管理プログラムに当てはめ、機器管理装置2を機器管理プログラムの更新直前の状態に設定する。これにより、機器管理プログラムの再起動後、処理実行部27bは、更新後の機器管理プログラムを立ち上げて初期状態から所定処理を行わずとも、機器管理プログラムの更新直前時の状態から所定処理を行うことができる。従って、機器管理装置2は、更新後の機器管理プログラムを立ち上げて初期状態から所定処理を行うよりも、早く現在の空調機器4の管理及び制御を正常に実行し始めることができる。
【0062】
また、起動判別信号が“0”である場合、状態設定部27gは、上記のような動作を行わない。即ち、この場合の処理実行部27bは、起動した機器管理プログラムを用いてはじめから所定処理を行う。これは、機器管理装置2が前回オフした時から今回電源スイッチ25が押下され機器管理装置2がオンするまでの時間が、その時々に応じて異なるからである。場合によっては、この時間が数ヶ月の可能性もある。このような場合、記憶部26内の機器情報及び処理情報は数ヶ月前のデータであるおそれがある。すると、状態設定部27gが、記憶部26内の機器情報及び処理情報を機器管理プログラムに当てはめ、処理実行部27bが前回の状態の続きで所定処理を行うと、現在の各空調機器4の状態とは全く異なった状態から所定処理が開始されることになり、現在の各空調機器4の管理及び制御が適切に行われるようになるまでには、かえって時間がかかってしまう場合がある。従って、本実施形態では、起動判別信号が“0”である場合には、記憶部26内の処理情報及び機器情報に基づく機器管理装置2の状態の設定は行われない。
【0063】
(3)遠隔監視システムの動作
次いで、本実施形態に係る遠隔監視システム1の全体的な動作の流れについて、図5を用いて簡単に説明する。はじめに、機器管理装置2及び遠隔監視装置3は電源がオンしている状態にあるとする。
【0064】
機器管理装置2は、各空調機器4から受信した周囲温度や電源のオン及びオフの状態などを含む機器情報を機器管理プログラム内に変数として当てはめ、各空調機器4の管理及び制御の処理を行っているとする(#1,2)。この時、遠隔監視装置3は、機器管理装置2に定期的にポーリングを行い、機器管理装置2はこのポーリングに対して応答する。即ち、遠隔監視装置3は、機器管理装置2が行っている処理に関する処理情報や機器情報の送信要求(以下、簡単のため、“各種情報の送信要求”という)を、機器管理装置2に送信する(#3)。機器管理装置2は、この各種情報の送信要求を受信すると、現在の処理情報及び機器情報を遠隔監視装置3に送信し、遠隔監視装置3はこれを受信する(#4)。
【0065】
ここで、機器管理装置2が、操作部24を介して機器管理プログラムの更新指示を受け付けたとする(#5)。すると、機器管理装置2は、現在の処理情報及び機器情報を記憶部26内に書き込み、機器管理プログラムの更新動作を行う(#6)。この時、機器管理装置2は、自装置が行っている処理の他に、遠隔監視装置3及び空調機器4との通信を停止している。そのため、遠隔監視装置3は、機器管理装置2が機器管理プログラムの更新動作を行っている期間に、各種情報の送信要求を機器管理装置2に送信しても(#7)、その応答を受け取ることができない(#8)。尚、本実施形態に係る遠隔監視装置3は、機器管理装置2からの応答がなくとも、定期的にポーリングを行うとする。
【0066】
機器管理装置2は、機器管理プログラムの更新が終了すると、更新後の機器管理プログラムで再起動を行う。そして、再起動後、機器管理装置2は、更新直前に記憶部26内に記憶した処理情報及び機器情報を更新後の機器管理プログラムに当てはめ、自装置を更新直前の状態に設定する(#9)。この状態設定後、機器管理装置2は、遠隔監視装置3及び空調機器4と通信可能な状態となり、空調機器4から最新の機器情報の取得を開始する(#10)。尚、本実施形態では、機器管理装置2が空調機器4から最新の機器情報を取得する処理は、開始してから完了するまでに数分ほどかかるものとする。
【0067】
一方、遠隔監視装置3は、機器管理装置2が空調機器4から現在の機器情報の取得を行っている間に、各種情報の送信要求を機器管理装置2に送信したとする(#11)。この場合、機器管理装置2は、この各種情報の送信要求を受信すると、プログラム更新直前に記憶部26内に記憶した機器情報、即ち、自装置をプログラム更新直前の状態に設定する際に用いた機器情報を、遠隔監視装置3に送信する(#12)。また、処理情報の送信要求に対しては、機器管理装置2は、例えば各空調機器4と問題なく通信が出来ている旨の処理情報や、自装置を更新直前の状態に設定する際に用いた処理情報を、遠隔装置3に出力する。遠隔監視装置3は、このようにして機器管理装置2から送られてきた機器情報及び処理情報を受信する(#13)。
【0068】
機器管理装置2は、現在の機器情報を空調機器4から取得する動作を完了すると(#14)、更新後のプログラムに取得したばかりの現在の機器情報を変数としてあてはめ、各空調機器4の管理及び制御を行う(#14)。この時、遠隔監視装置3が、各種情報の送信要求を機器管理装置2に送信した場合には(#15)、機器管理装置2は、現在用いている機器情報及び現在行っている処理に関する処理情報を遠隔監視装置3に送信する(#16)。これにより、遠隔監視装置3は、最新の各種情報を受信することができる(#17)。
【0069】
(4)機器管理装置の動作
次いで、本実施形態に係る機器管理装置2の動作の流について説明する。図6は、機器管理装置2の動作の流れを示すフローチャートである。
【0070】
ステップS1〜2:ユーザにより電源スイッチ25が押下されると(S1)、機器管理装置2の電源がオンし、起動実行部27fは、記憶部26内に格納されている機器管理プログラムを起動させる(S2)。そして、第1通信部21は、各空調機器4から機器情報を取得する。
【0071】
ステップS3:処理実行部27bのクライアントタスク271,272及びサーバタスク273は、各空調機器4の管理及び制御処理を開始する。即ち、サーバタスク273は、第1通信部21が各空調機器4から取得した機器情報を用いて機器情報データベース273aを生成する。そして、クライアントタスク271,272は、各空調機器4の機器情報の取得要求をサーバタスク273に出力し、サーバタスク273は、機器情報データベース273a内から該当する機器情報をクライアントタスク271,272に出力する。クライアントタスク271,272は、取得した機器情報に基づいて処理を行う。
【0072】
ステップS4〜5:処理実行部27bが各空調機器4の管理及び制御処理を行っている間に、操作部24を介して機器管理プログラムの更新指示がなされた場合(S4)、機器管理装置2は、機器管理プログラムの更新処理を行う(S5)。この動作については、後述する。
【0073】
ステップS6〜7:処理実行部27bが各空調機器4の管理及び制御処理を行っている間に、第2通信部22が、遠隔監視装置3から各種情報の送信要求を取得した場合(S6)、第2通信部22は、処理実行部27bが現在行っている処理で用いている機器情報と、その処理に関する処理情報とを、遠隔監視装置3に送信する。(S7)。
【0074】
ステップS8〜9:機器管理装置2は、電源スイッチ25が再度押下されるまで(S8)、ステップS4以降の動作を繰り返す。尚、電源スイッチ25が再度押下された場合、機器管理装置2の電源がオフし(S9)、機器管理装置2は一連の動作を終了する。
【0075】
(4−1)機器管理プログラム更新サブルーチン
図7は、機器管理装置2行う機器管理プログラム更新サブルーチンである。
【0076】
ステップS21:制御部27の停止部27cは、第1及び第2通信部21,22の各通信動作を停止させると共に、処理実行部27b内のクライアントタスク271,272を停止させる。
【0077】
ステップS22〜24:処理実行部27b内のサーバタスク273が処理を行っている場合(S22)、停止部27cは、サーバタスク273が現在行っている処理を終了してから、サーバタスク273を停止させる(S23)。尚、ステップS22において、サーバタスク273が処理を行っていない場合には、サーバタスク273を直ぐに停止させる(S24)。
【0078】
ステップS25:情報書き込み部27dは、処理情報、即ち各タスク271,272,273がどのような状態で停止しているかを示す情報や、各タスク271,272,273が停止直前に用いていた機器情報を、記憶部26に書き込む。
【0079】
ステップS26:更新部27eは、機器管理プログラムを更新し、再起動の指示を起動実行部27fに出力する。
【0080】
ステップS27:起動実行部27fは、再起動の指示を取得すると、更新後の機器管理プログラムで再起動を行う。そして、起動実行部27fは、起動判別信号“1”を、状態設定部27gに出力する。
【0081】
ステップS28:状態設定部27gは、起動判別信号“1”に基づいて、記憶部26内に記憶されている処理情報及び機器情報を用いて、自装置を機器管理プログラムの更新直前の状態に設定する処理を行う。この時、第1通信部21及び第2通信部22は、空調機器4及び遠隔監視装置3とそれぞれ通信が可能な状態となる。
【0082】
ステップS29:第1通信部21は、現在の機器情報を各空調機器4から取得し始める。
【0083】
ステップS30〜32:ここで、第2通信部22は、遠隔監視装置3から各種情報の送信要求を取得したとする(S30)。この時、第1通信部21が、現在の機器情報の取得を完了していない場合には(S31)、第2通信部22は、ステップS28において自装置をプログラム更新前の状態に設定した時に用いた機器情報や処理情報を、遠隔監視装置3に送信する(S32)。
【0084】
ステップS33:ステップS31において、第1通信部21が、現在の機器情報の取得を既に完了している場合には、第2通信部22は、第1通信部21が取得したばかりの現在の機器情報と、この機器情報を用いて処理実行部27bが現在行っている管理及び制御処理に関する処理情報を、遠隔監視装置3に送信する。
【0085】
ステップS34:機器管理装置2は、第1通信部21が現在の機器情報の取得を完了するまで、ステップS30以降の動作を繰り返す。
【0086】
(5)効果
本実施形態に係る機器管理装置2は、機器管理プログラムの更新時、先ずは処理実行部27bが現在行っている所定処理や第1及び第2通信部21,22による通信を停止し、自装置にイベントが生じない状態にする。そして、機器管理装置2は、処理実行部27bによる所定処理が停止した時点での処理情報及び機器情報を記憶部26に記憶させ、機器管理プログラムの更新及び再起動を行う。機器管理プログラムの更新後、機器管理装置2は、機器管理プログラムの更新直前に記憶部26に記憶した処理情報及び機器情報を基に、自装置の状態をプログラム更新直前の状態に設定する。これにより、機器管理装置2は、更新後の機器管理プログラムを初期状態から立ち上げて、各空調機器4から機器情報を新たに取得せずとも、自装置をプログラムの更新直前の状態に早く設定することができる。そのため、機器管理装置2とネットワーク5を介して接続されている遠隔監視装置3から見て機器管理装置2が動作を停止している時間は、最小限に抑えられる。従って、機器管理装置2に何らかの異常が生じた等と遠隔監視装置3が誤って判断する場合が生じにくくなる。
【0087】
また、本実施形態に係る機器管理装置2は、機器管理プログラムの更新後でかつ第1通信部21が現在の機器情報の取得を完了していない間に、各種情報の送信要求を遠隔監視装置3から取得した場合には、自装置をプログラム更新前の状態に設定した時に用いた各種情報、即ち機器管理プログラムの更新直前に記憶部26内に記憶した処理情報及び機器情報を、遠隔管理装置3に送信する。これにより、遠隔監視装置3は、機器管理装置2から機器情報及び処理情報を受信するため、機器管理装置が機器管理プログラムの更新を行った旨を知らない状態となる。従って、遠隔監視装置3が、機器管理装置2に異常が生じた等と誤って判断する場合を、より防ぐことができる。
【0088】
また、本実施形態に係る機器管理装置2は、機器管理プログラムの更新後でかつ第1通信部21が現在の機器情報の取得を完了した後に、各種情報の送信要求を遠隔監視装置3から取得した場合には、第1通信部21が各空調機器4から取得したばかりの現在の機器情報と、この機器情報を用いて処理実行部27bが現在行っている所定処理に関する処理情報とを、遠隔管理装置3に送信する。これにより、遠隔監視装置3は、機器管理プログラムを更新した機器管理装置2から、最新の処理情報を取得することができる。
【0089】
特に、本実施形態に係る機器管理装置2は、機器管理プログラムの更新後であって未だ現在の機器情報の取得を完了していない間には、更新前の処理情報及び機器情報を遠隔監視装置3に送信し、現在の機器情報の取得を完了した後には、取得したばかりの現在の機器情報と、この機器情報を用いて処理実行部27bが現在行っている所定処理に関する処理情報とを、遠隔監視装置3に送信する。これにより、遠隔監視装置3は、機器管理装置2が機器管理プログラムを更新した旨を知らないままの状態となる。従って、遠隔監視装置3が、機器管理装置2に異常が生じたと誤って判断される場合を、より防ぐことができる。
【0090】
また、本実施形態に係る機器管理装置2では、制御部27内の処理実行部27bは、サーバタスク273とクライアントタスク271,272とを含んでいる。そして、停止部27cは、機器管理プログラムの更新を行う場合には、サーバタスク273よりも先にクライアントタスク271,272を停止させる。これにより、サーバタスク273にはクライアントタスク271,272からの処理要求が出力されなくなる。従って、通常時には、サーバタスク273は処理要求を一時的にキューイングし、キューイングした処理を行うが、機器管理プログラム更新時には、サーバタスク273によりキューイングされている処理がない状態で、機器管理プログラムの更新が行われる。
【0091】
更に、本実施形態に係る遠隔監視システム1では、上述した効果を有する機器管理装置2、遠隔監視装置3及び空調機器4を備えるため、機器管理装置2が機器管理プログラムの更新を行った場合であっても、機器管理装置2に何らかの異常が生じたと遠隔監視装置3が誤って判断するおそれを抑制することができる。
【0092】
<その他の実施形態>
(a)上記実施形態では、機器管理プログラムの更新後で、現在の機器情報の取得動作が完了していない間に、機器管理装置2が各種情報の送信要求を遠隔監視装置3から受信した場合には、第2通信部22は、記憶部26内に記憶している機器情報及び処理情報を送信すると説明した。しかし、機器管理プログラムの更新後に現在の機器情報の取得動作が行われている場合には、自装置の状態設定が完了しており、処理実行部27bは、既に更新後の機器管理プログラムに記憶部26内の機器情報及び処理情報があてはめられた状態となっている。また、現在の機器情報の取得動作が完了後には、処理実行部27bは、更新後の機器管理プログラム内に最新の機器情報をあてはめて処理を行う。そのため、第2通信部22が、遠隔監視装置3からの各種情報の送信要求を受信した場合、通信制御部27aがその時々の自装置の状態に基づいて第2通信部22を制御せずとも、第2通信部22が、処理実行部27bが有している機器情報及び処理情報を常に送ってもよい。
【0093】
(b)上記実施形態では、機器管理装置2は、機器管理プログラムの更新指示を操作部24を介して受け付けた場合について説明したが、これに限定されない。機器管理装置2は、例えば遠隔監視装置3とは別に、機器管理装置2を遠隔操作するPC等の端末と接続されている場合には、この端末から機器管理プログラムの更新指示を取得してもよい。この場合の機器管理装置は、操作部は設けずともよいが、第1通信部21及び第2通信部22とは別に、この端末と通信を行うための他の通信部(受付部に相当)を備える必要がある。
【0094】
(c)上記実施形態では、機器管理装置2は、遠隔監視装置3に処理情報及び機器情報を送信するとしたが、これに限定されない。機器管理装置2は、各空調機器4の機器情報の送信要求のみを遠隔監視装置3から取得した場合には、機器情報を遠隔監視装置3に送信する。
【0095】
(d)上記実施形態では、機器管理装置2が、複数台の空調機器4の管理及び制御を行う場合について説明したが、機器管理装置2に管理及び制御される設備機器は、空調機器以外であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明に係る機器管理装置及び遠隔監視システムは、機器管理装置が機器管理プログラムの更新を行った場合であっても、機器管理装置に異常が生じたと遠隔監視装置が誤って判断するおそれを抑制できる特徴を有する。従って、本発明に係る機器管理装置は、機器管理プログラム等の各種プログラムを更新する場合がある装置に適用できる。また、本発明に係る遠隔監視システムは、この機器管理装置と、この機器管理装置を遠隔監視する遠隔監視装置を備えたシステムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本実施形態に係る遠隔監視システムの構成図。
【図2】本実施形態に係る機器管理装置の構成を模式的に示すブロック図。
【図3】本実施形態に係る処理実行部内のサーバタスク及びクライアントタスクの概念説明図。
【図4】本実施形態に係る機器情報データベースの概念図。
【図5】本実施形態に係る遠隔監視システムの動作の流れを示す図。
【図6】本実施形態に係る機器管理装置の全体の動作を示すフローチャート。
【図7】本実施形態に係る機器管理装置プログラム更新サブルーチン。
【符号の説明】
【0098】
1 遠隔監視システム
2 機器管理装置
3 遠隔監視装置
4a,4b,4c,4d 空調機器
21 第1通信部
22 第2通信部
23 表示部
24 操作部
25 電源スイッチ
26 記憶部
27 制御部
27a 通信制御部
27b 処理実行部
27c 停止部
27d 情報書き込み部
27e 更新部
27f 起動実行部
27g 状態設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備機器(4)と通信可能な第1通信部(21)と、
機器管理プログラムを用いて、所定処理を実行可能な処理実行部(27b)と、
前記処理実行部(27b)が実行している所定処理の状態に関する処理情報及び前記設備機器(4)の状態に関する機器情報を記憶可能な記憶部(26)と、
前記機器管理プログラムの更新指示を受け付け可能な受付部(24)と、
前記受付部(24)が前記機器管理プログラムの更新指示を受け付けた場合、前記処理実行部(27b)による所定処理の実行及び第1通信部(21)による通信を停止させる停止部(27c)と、
前記処理実行部(27b)による所定処理の実行及び前記第1通信部(21)による通信が前記停止部(27c)により停止された場合、前記処理情報及び前記機器情報を前記記憶部(26)に記憶させる情報書き込み部(27d)と、
前記処理情報及び機器情報が前記記憶部(26)に書き込まれた後に、前記機器管理プログラムの更新を行う更新部(27e)と、
更新された前記機器管理プログラムの起動後、前記記憶部(26)から前記処理情報及び前記機器情報を読み出して、自装置を前記機器管理プログラムの更新前の状態に設定する状態設定部(27g)と、
を備える機器管理装置(2)。
【請求項2】
前記設備機器(4)とは別の所定装置(3)と通信可能な第2通信部(22)を更に備え、
前記第1通信部(21)は、前記状態設定部(27g)が自装置を前記機器管理プログラムの更新前の状態に設定後、前記設備機器(4)から現在の前記機器情報を取得開始し、
前記第2通信部(22)は、更新された前記機器管理プログラムの起動後であって、かつ前記第1通信部(21)が現在の前記機器情報の取得を完了していない間に、現在の前記機器情報の送信要求を前記所定装置(3)から受信した場合、前記記憶部(26)内に記憶されている前記機器情報を前記所定装置(3)に送信する、請求項1に記載の機器管理装置(2)。
【請求項3】
前記第2通信部(22)は、前記第1通信部(21)が現在の前記機器情報の取得を完了した後に、現在の前記機器情報の送信要求を前記所定装置(3)から受信した場合、前記第1通信部(21)が前記設備機器(4)から取得した現在の前記機器情報を前記所定装置(3)に送信する、請求項2に記載の機器管理装置(2)。
【請求項4】
前記処理実行部(27b)は、第1タスク及び第2タスクを含み、
前記第1タスクは、所定の処理要求を前記第2タスクに出力してその結果応答を取得するクライアントタスクであって、
前記第2タスクは、前記第1タスクからの前記所定の処理要求に基づく前記結果応答を前記第1タスクに返すサーバタスクであって、
前記停止部(27c)は、前記受付部(24)が前記機器管理プログラムの更新指示を受け付けた場合、前記第2タスクよりも前記第1タスクを先に停止させる、請求項1〜3のいずれかに記載の機器管理装置(2)。
【請求項5】
請求項2または3に記載の機器管理装置(2)と、
前記機器管理装置(2)に接続され、前記機器管理装置(2)により管理される前記設備機器(4)と、
前記機器管理装置(2)に接続され、前記機器管理装置(2)を遠隔監視する前記所定装置(3)と、
を備える遠隔監視システム(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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