説明

機器

【課題】給紙ローラを利用して用紙通路内に受け入れた用紙を引き込み搬送する給紙装置を具備する機器において、給紙ローラを安定して取り付けられるようにしつつ、給紙ローラの着脱を簡易に行えるようにする。
【解決手段】給紙装置7に、用紙通路に臨ませて形成された開口部72と、前記用紙通路側に開放された状態でこの開口部72の両側に配設された軸支持用凹部74と、前記軸支持用凹部74に用紙通路側から両端部を嵌め込んで前記開口部72に架け渡される支軸75と、この支軸75に回転自在に支持されて前記開口部72に配される給紙ローラ71と、前記開口部72に開閉可能に設けられ閉止状態においてこの給紙ローラ71の一部を前記用紙通路に表出させるための窓76aを有するとともに前記支軸75が前記凹部74から外れるのを阻止する支軸押さえ部76bを備えてなる蓋体76とを具備させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナ、プリンタ或いはファクシミリ等の機器に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ、プリンタ或いはファクシミリ等の機器においては、重ねて投入された複数枚の用紙を捌きながら給紙ローラにより1枚ずつ内部に引き込んで処理を施すようにしたものが少なくない。
【0003】
従来、この種の機器は、用紙通路の前段部分に用紙を引き込むための給紙ローラを配するとともに、その給紙ローラに捌きパッドを対面配置している。そして、複数毎の用紙を前記捌きパッドと前記給紙ローラとの間に形成される側面視楔状をなす隙間に導入して給紙ローラに接する用紙を1枚ずつ引き込むようになっている。
【0004】
ところで、この種の給紙ローラは、経年変化等により、その外周面と用紙との摩擦力が低下し、用紙の引き込みに支障が生じることがある。そのため、この種の機器では、給紙ローラを機器本体に対して着脱可能に装着することができるようにしているものが一般的である。
【0005】
従来、給紙ローラを機器本体から取り外すことができるようにするための構成としては、給紙ローラの支軸を受ける軸受を、正規の軸受位置と、支軸を取り外すことができる退避位置との間で作動させ得るようにしたものや、給紙ローラの支軸を部材の弾性変形を利用して軸受に挿脱しうるようにしたもの等が知られている(例えば、特許文献1、2を参照)。
【0006】
ところが、前者のものは、軸受を進退動作させたり、所定位置にロックするための格別な機構が不可欠であり、構成が複雑になるとともに、給紙ローラの挿脱に手間が掛かるという問題がある。一方、後者のものは、支軸が外れるおそれがあり、それを防止するために弾性係合の強度を高く設定すると、給紙ローラの挿脱操作に大きな力を要するという問題がある。
【特許文献1】特開平6−144606号公報
【特許文献2】特開2000−128368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前者の有する課題、すなわち給紙ローラの支持部分の構造が複雑になるとともに操作が煩雑であるという課題と、後者の有する課題、すなわち挿脱操作の容易化を図ろうとすると給紙ローラの支持が不安定になるという課題とを同時に解消することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る機器は、以上のような課題を解決するために、壁体間に用紙を通過させるための用紙通路を形成してなる機器本体と、この機器本体に設けられ用紙通路内に受け入れた用紙を搬送する給紙装置とを具備してなる機器であって、前記給紙装置が、前記用紙通路に臨ませて前記壁体の一方に形成されたローラ収納用の開口部と、前記用紙通路側に開放された状態でこの開口部の両側に配設された軸支持用凹部と、これら両軸支持用凹部に用紙通路側から両端部を嵌め込んで前記開口部に架け渡される支軸と、この支軸に回転自在に支持されて前記開口部に配される給紙ローラと、前記開口部に開閉可能に設けられ閉止状態においてこの給紙ローラの一部を前記用紙通路に表出させるための窓を有するとともに前記支軸が前記凹部から外れるのを阻止する支軸押さえ部を備えてなる蓋体とを具備してなるものであることを特徴とする。
【0009】
このような構成のものであれば、支軸を軸支持用凹部に嵌め込むことにより支軸を装着できるので、給紙ローラの挿脱操作の容易化を図ることができる。その上、蓋体を閉止状態とした際にこの蓋体の支軸押さえ部により支軸の外れ止めを行うことができるので、給紙ローラの支持部分の構造を簡単なものにしつつ、しかも給紙ローラを安定して支持させることができる。
【0010】
支軸に対して回転ローラを回転自在に設けているものにおいて、支軸の回転止めを簡単に行うには、前記支軸の端部に、前記凹部の内面に係り合って該支軸の回転を防止するための回転防止要素を設けておくのが望ましい。
【0011】
給紙ローラへの動力の伝達部分の構成をも簡略化するには、前記開口部に駆動歯車を配するとともに、前記給紙ローラの一端に該給紙ローラと一体に回転する従動歯車を設けておき、前記支軸の両端部を前記凹部に嵌め込んで給紙ローラを前記開口部に配した状態で前記従動歯車が前記駆動歯車に噛み合うように設定しておくのが望ましい。
【0012】
用紙の有無を検知する部分の構成をも簡略化するには、作動レバーの先端に用紙が触れているか否かによって前記用紙通路内の用紙の有無を検知するためのセンサを前記開口部内に配し、前記作動レバーの先端側を前記蓋体の窓を通して前記用紙通路に突出させておくのがよい。センサを配置するスペースや、レバーを用紙通路に突出させるための窓を別途設ける必要がなくなるからである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単な構成により、給紙ローラを安定して取り付けることができるようにしつつ、給紙ローラの着脱を簡易に行えるようにした機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る機器がスキャナである場合の一実施形態につき、図面を参照して説明する。
【0015】
このスキャナは、図1及び図2に示すように、給紙口2及び排紙口3を有した機器本体1と、この機器本体1に設けられ前記給紙口2に用紙Pを案内する給紙トレイ5と、前記機器本体1の底壁11側に設けられ排紙口3から排出される用紙Pを受ける排紙トレイ4とを備えてなる。
【0016】
機器本体1は、静止ハウジング1Aと、この静止ハウジング1Aの前面側に開閉可能に設けた開閉ハウジング1Bとを備えたもので、これら静止ハウジング1Aと前記開閉ハウジング1Bとの間に用紙通路Tが形成されている。そして、用紙ジャムが発生した場合に前記開閉ハウジング1Bを前方に開くことによって詰まった用紙Pを取り除くことができるようになっている。すなわち、前記開閉ハウジング1Bは、その下端部両側に設けた軸15を介して静止ハウジング1Aに前後方向に開閉動作し得るように支持されている。図3は説明の便宜上、開閉ハウジング1Bを取り外した状態の静止ハウジング1Aを前面側から示す斜視図である。図4は、取り外された開閉ハウジング1Bを背面側から観察した斜視図である。
【0017】
詳述すれば、前記図1及び図2に示すように、前記機器本体1は、上面後部に給紙口2を有するとともに前面下部に排紙口3を備え、内部に前記給紙口2と前記排紙口3とを連通させる用紙通路Tを形成してなる。この用紙通路Tは、前記機器本体1内に設けた前後対をなす壁体13、14間に形成されたもの、換言すれば、前記静止ハウジング1Aの前面を形成する壁体13と、前記開閉ハウジング1Bの背面を形成する壁体14との間に形成されたものである。この用紙通路Tの給紙口2側には、分離可能に束ねられた複数枚の用紙Pを受け入れ可能な受入領域T1が設けてある。そして、この受入領域T1に受け入れられた複数枚の用紙Pの先端部分を捌く捌き装置6と、この捌き装置6により捌かれる用紙Pを給紙ローラ71により一枚ずつ引き込む給紙装置7と、この給紙装置7により引き込まれた用紙Pを搬送ローラ81、82により排紙口3方向に搬送する搬送装置8と、この搬送装置8により搬送されている用紙Pの両面を撮像する撮像装置9とを前記用紙通路Tに沿って配している。撮像を終えた用紙Pは、前記搬送ローラ81、82により排紙口3方向に送られ、この排紙口3から排紙トレイ4上に排出されるようになっている。
【0018】
捌き装置6は、受入領域T1に連続する捌き領域T2に配され前記給紙ローラ71に接することにより搬送される先頭の用紙Pを他の用紙Pに優先させて通過させるための捌きパッド61aと、この捌きパッド61aの上流側に配され前記受入領域T1の用紙Pの先端部分を前記給紙ローラ71と前記捌きパッド61aとの間に案内するピックアップ板61cとを具備する。この捌き装置6は、前記機器本体1の開閉ハウジング1B側に設けられており、この捌き装置6に対向するようにして前記機器本体1の静止ハウジング1A側に給紙装置7が設けられている。
【0019】
給紙装置7は、図示しない駆動装置により回転駆動される給紙ローラ71を主体に構成されたもので、前記捌きパッド61aにより押し付けられる最先端の用紙Pを下方に引き込んで前記搬送装置8に引き渡すようになっている。
【0020】
詳述すると、この給紙装置7は、図3、図5、図6、及び図7に示すように、前記用紙通路Tに臨ませて前記壁体13に形成されたローラ収納用の開口部72と、前記用紙通路T側に開放された状態でこの開口部72の両側に配設された左、右の軸支持用凹部73、74と、これら両軸支持用凹部73、74に用紙通路T側から両端部を嵌め込んで前記開口部72に架け渡される支軸75と、この支軸75に回転自在に支持されて前記開口部72に配される前記給紙ローラ71と、前記開口部72に開閉可能に設けられ閉止状態においてこの給紙ローラ71の一部を前記用紙通路Tに表出させるための窓76aを有するとともに前記支軸75が前記凹部73、74から外れるのを阻止する支軸押さえ部76bを備えてなる蓋体76とを具備してなる。ここで、前記図5は、蓋体76を開放した状態のこの給紙装置7近傍を示す斜視図である。前記図6は、前記給紙ローラ71及び支軸75を取り外した状態のこの給紙装置7近傍を示す斜視図である。前記図7は、蓋体76を開放した状態のこの給紙装置7の正面図である。
【0021】
前記開口部72は、図3、図6、及び図7に示すように、矩形の開口端72aを有し、この開口端72aの上辺から下辺にかけて設けられ内方へ湾曲する背壁72bと、前記開口端72aの左辺から背壁72bの左側縁にかけて設けられ途中に前向きの段部72c1を有する左側壁72cと、前記開口端72aの右辺から背壁72bの右側縁にかけて設けられる右側壁72dと、この右側壁72dに隙間72fを介して設けられた右中間壁72eとを備えている。また、この右中間壁72eの内側には、図示しない駆動装置により回転駆動される駆動歯車77が臨ませてある。ここで、前記背壁72bは、この開口部72内に給紙ローラ71と同心に形成した部分を有する。そして、この開口部72の左側壁の段部に左の軸支持用凹部73を設けるとともに、右中間壁に右の軸支持用凹部74を設けている。
【0022】
左の軸支持用凹部73は、図6に示すように、前記段部72c1を横断面半円弧状に凹陥させたもので、用紙通路Tに向けて開口している。また、この軸支持用凹部73の外側方には、横断面半円弧状をなすトンネル部73aが形成されている。この軸支持用凹部73の内周面の曲率半径及び前記トンネル部73aの内周面の曲率半径は、前記支軸75の左端部の半径に対応させてある。
【0023】
右の軸支持用凹部74は、図6及び図7に示すように、前記右中間壁72eの前縁中間部分を凹陥させたもので、用紙通路Tに向けて開口している。また、この右の軸支持用凹部74は、図8及び図9に示すように、後述する支軸75の回り止め部75aに係り合う上下対をなす平面部74aと、これら平面部74aの後端部同士を連続させる部分円弧部74bとからなる。この右の軸支持用凹部74に、前記支軸75の右端部を嵌め合わせるようにしている。
【0024】
支軸75は、給紙ローラ71を回転自在に支持するもので、前記左の軸支持用凹部73と、前記右の軸支持用凹部74間に装着されるようになっている。この支軸75の左端部は円柱状をなし、左の軸支持用凹部73に前方から嵌め合わせることができるようになっている。そして、この支軸75を嵌め合わせた後、若干左にスライドさせることにより、その左端部の先端部分が前記トンネル部73a内に進入し得るようになっている。一方、この支軸75の右端部には、平面状をなす回転防止要素たる回り止め部75aを設けている。この回り止め部75aは、図8及び図9に側面を示すように、支軸75の外周面に平行な平面部を形成したものであり、図8に示すように前記支軸75を前記右の軸支持用凹部74に前方から挿入した場合に、前記回り止め部75aが、図9に示すように前記右の軸支持用凹部74の平面部74aに係り合って支軸75の回り止め機能が発揮されるようになっている。
【0025】
給紙ローラ71は、外周面に摩擦係数の大きな材料を用いてなる円筒状のもので、前記支軸75の中間部分で回転可能に支持されている。給紙ローラ71の右端には、図5、図6、及び図7に示すように、従動歯車71aが設けてある。この従動歯車71aは、前記支軸75の両端部を左、右の軸支持用凹部に嵌め込んでこの給紙ローラ71を開口部72に配した状態で、前記駆動歯車77に噛み合うようにしている。そして、この給紙ローラ71の前方に、蓋体76を配している。
【0026】
蓋体76は、図3、図5、図6、及び図7に示すように、下端部を前記開口部72の下側に前後方向に開閉しうるように取り付けたもので、前記開口部72を閉塞するとともに前記給紙ローラ71を前記給紙通路Tに表出させるための前記窓76aを有する蓋体本体76cと、この蓋体本体76cの左側縁から後方に突出させた左側壁76dと、前記蓋体本体76cの右側縁から後方に突出させた右側壁76eとを備えている。前記左右の側壁76d、76eの上部には、弾性爪76d1、76e1が一体に形成されており、蓋体76を閉じることにより、前記弾性爪76d1、76e1が機器本体1に設けた係合孔13aに着脱可能に係り合うようになっている。また、右側壁76eには、前記支軸75が前記凹部73、74から外れるのを阻止する前記支軸押さえ部76bが設けられている。すなわち、前記蓋体76を閉じた状態では、前記右側壁76eが前記開口部72の隙間72fに挿入され、前記図9に示すように、その右側壁76eに設けた支軸押さえ部76bが右の軸支持用凹部74に収まっている支軸75の前端に当たるようになっている。ここで、図9では、この蓋体76を想像線により示している。なお、蓋体76を閉じた状態では、前記窓76aを通して作動レバー78の先端側が用紙通路Tに突出するようになっている。すなわち、前記開口部72内には、用紙の有無を判別するための図示しないセンサが配設してあり、前記作動レバー78は、このセンサを作動させるためのものである。具体的には、この作動レバー78の先端に用紙Pが触れているか否かによって前記センサが切り替わるようになっている。
【0027】
以上のようにしてなる給紙装置7により、内部に引き込まれた用紙Pは、搬送装置8により用紙通路Tに沿って排紙口3方向に搬送される。
【0028】
搬送装置8は、図示しない駆動装置により回転駆動される複数の搬送ローラ81、82と、これら各搬送ローラ81、82に用紙Pを圧接させる従動ローラ83、84とを備えてなる。なお、85は搬送中の用紙Pの有無を検知するためのセンサであり、86はこのセンサを作動させるための作動レバーである。この実施形態では、2つの搬送ローラ81、82を前記静止ハウジング1A側に設けるとともに、2つの従動ローラ83、84を前記開閉ハウジング1B側に設けており、上流側のローラ81、83と下流側のローラ82、84との間に前記撮像装置9を配している。
【0029】
撮像装置9は、用紙Pの一面側をスキャンする第1のスキャンユニット91と、用紙Pの他面側をスキャンする第2のスキャンユニット92とを備えてなる。前記両スキャンユニット91、92は、それぞれ、表面を用紙通路Tに臨ませた透明板91a、92aと、この透明板91a、92aの裏面側に配したセンサ91b、92b及び光源91c、92cとをユニットハウジング91d、92dに組み付けたものである。第1のスキャンユニット91と第2のスキャンユニット92とは、用紙搬送方向に位置を異ならせて配置してある。各スキャンユニット91、92には、用紙Pを前記透明板91a、92aの表面に密着させるための押圧ローラ91e、92eが対面させてある。
【0030】
このような構成のものであれば、給紙ローラ71の取り替えを容易に行うことができる。すなわち、一定以上の力で蓋体76の上縁部を手前に牽引することにより、弾性爪を係合穴から外して蓋体76を開くことができ、これにより、支軸押さえ部76bによる支軸75の拘束を解くことができる。そのため、給紙ローラ71と支軸75とを若干右にスライドさせて、支軸75の左端部をトンネル部73aから抜き取ることによって、この給紙ローラ71と支軸75とを手前に取り外すことができる。そして、以上の動作を逆に行うことによって、この給紙ローラ71を正規の位置に取り付けることができる。
【0031】
しかも、このようなものであれば、蓋体76により給紙ローラ71及び支軸75の抜け止めを行っているので、支軸75の外れ止めを行うための格別な機構が不要であり、簡単な構成により支軸75の保持を確実に行うことができ、給紙ローラ71を安定して作動させることが可能である。
【0032】
また、支軸75を固定された左右の軸支持用凹部73,74により支持するようにしているので、支軸を支持するための軸受を作動させるものと比べて、複雑な機構を必要とせず、構成の複雑化と操作の煩雑さを解消することができる。
【0033】
加えて、支軸75に対して回転ローラ71を回転自在に設けた上で、前記支軸75の右端部に、前記右の軸支持用凹部74の内面の平面部74aに係り合って該支軸75の回転を防止するための回り止め部75aを設けているので、支軸75の回転止めのための格別な機構を設けることなく、簡単な構成により支軸75の回り止めを行うことができる。
【0034】
さらに、前記開口部72に駆動歯車77を配するとともに、前記給紙ローラ71の一端に該給紙ローラ71と一体に回転する従動歯車71aを設け、前記支軸75の両端部を前記軸支持用凹部73、74に嵌め込んで給紙ローラ71を前記開口部72に配した状態で前記従動歯車71aが前記駆動歯車77に噛み合うようにしているので、給紙ローラ71への動力の伝達部分の構成をも簡略化できる。
【0035】
加えて、作動レバー78の先端に用紙Pが触れているか否かによって前記用紙通路T内の用紙Pの有無を検知するための前記センサを前記開口部72内に配し、前記作動レバー78の先端側を前記蓋体76の窓76aを通して前記用紙通路Tに突出させているので、センサを配置するスペースや、レバーを用紙通路に突出させるための窓を別途設けることなく、簡単な構成により用紙の有無を検知する部分を形成できる。
【0036】
また、本実施形態では、蓋体76を綴じた状態で、支軸75の一端部、具体的には右端部に蓋体76の支軸押さえ部76bを当てるようにしているとともに、支軸75の他端部、すなわち左端部を左の軸支持用凹部73の外側方に設けたトンネル部73aに収納可能にしているので、支軸及び給紙ローラ71の抜け止めを確実に行うことができる。
【0037】
そして、蓋体76の下端部を前記開口部72の下側に前後方向に開閉しうるように取り付け、蓋体76を閉じることにより、左右の側壁76d、76eの上部に設けた弾性爪76d1、76e1が機器本体1に設けた係合孔13aに着脱可能に係り合うようにしているので、蓋体76を閉止位置に保持させるために開閉動作以外の格別な操作を必要とせず、この点からも簡単な構成で給紙ローラ71の着脱操作の手間を軽減できる。
【0038】
加えて、開口部72の一方の側壁に隙間を介して中間壁を設けている、具体的には右側壁72dとの間に隙間72fを介して右中間壁72eを設けているとともに、前記蓋体76の前記中間壁72eを設けた側の側壁すなわち右側壁72eに支軸押さえ部76bを設け、蓋体76を閉じた状態で、支軸押さえ部76bを有する右側壁76eを前記隙間72fに挿入するようにしているので、この隙間72fにより右側壁76eを案内し、支軸押さえ部76bを確実に支軸75に当てて支軸75の抜け止めを図ることができる。
【0039】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0040】
例えば、上述した実施形態では、支軸押さえ部を一端側にのみ設けているが、支軸の両端を支軸押さえ部により拘束するようにしても良い。
【0041】
また、上述した実施形態では、支軸の一端部にのみ回り止め部を設けているが、両端部に回り止め部を設けても良い。さらに、支軸の外周面に平行な平面部を形成するのでなく、支軸の一部にのみ平面部を形成したり、支軸の端部を横断面視多角形状に形成する等してもよい。さらに、支軸の側端面に例えば多角形状をなす回り止め孔を形成するとともに、機器本体側に設けた回り止め突起をこの回り止め孔に係り合わせる等、別の手段により支軸の回り止めを図るようにしてもよい。
【0042】
さらに、上述した実施形態において、トンネル部や中間壁の配置を左右反対にしてもよい。
【0043】
加えて、開口部内に配した駆動歯車と給紙ローラと一体に回転する従動歯車との歯車対でなく、ベルトや歯車列等の他の駆動力伝達機構を介して駆動機構の駆動軸と給紙ローラとを接続し、このような駆動力伝達機構を介して駆動機構からの駆動力を給紙ローラに伝達するようにしてもよい。
【0044】
そして、給紙ローラの一部を用紙通路から表出させるための窓とは別に、用紙の有無を検知するためのセンサに接続した作動レバーの一部を用紙通路から表出させるための窓を蓋体に設けるようにしてもよい。また、前記開口部内に光学センサの光源ないし受光部のうち一方を設け、蓋体の窓を挟んで反対側に他方を設けるようにし、この光学センサにより用紙通路内の用紙の有無を検知する等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0045】
加えて、本発明は、スキャナに限らず、プリンタやファクシミリ等の機器にも同様に適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施形態に係るスキャナの中央縦断面図。
【図2】同実施形態に係るスキャナの斜視図。
【図3】同実施形態に係るスキャナの静止ハウジングを前面側から示す斜視図。
【図4】同実施形態に係るスキャナの開閉ハウジングを背面側から観察した斜視図。
【図5】同実施形態に係る給紙装置の蓋体を開いた状態を示す図。
【図6】同実施形態に係る給紙ローラの着脱態様を示す分解斜視図。
【図7】同実施形態に係る給紙装置の正面図。
【図8】同実施形態に係る支軸の着脱態様を示す概略図。
【図9】同実施形態に係る支軸の取付態様を示す概略側面図。
【符号の説明】
【0047】
1…機器本体
13、14…壁体
7…給紙装置
71…給紙ローラ
71a…従動歯車
72…開口部
73、74…左、右の軸支持用凹部
75…支軸
75a…回り止め部(回転防止要素)
76…蓋体
76a…窓
76b…支軸押さえ部
77…駆動歯車
78…作動レバー
P…用紙
T…用紙通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁体間に用紙を通過させるための用紙通路を形成してなる機器本体と、この機器本体に設けられ用紙通路内に受け入れた用紙を搬送する給紙装置とを具備してなる機器であって、前記給紙装置が、前記用紙通路に臨ませて前記壁体の一方に形成されたローラ収納用の開口部と、前記用紙通路側に開放された状態でこの開口部の両側に配設された軸支持用凹部と、これら両軸支持用凹部に用紙通路側から両端部を嵌め込んで前記開口部に架け渡される支軸と、この支軸に回転自在に支持されて前記開口部に配される給紙ローラと、前記開口部に開閉可能に設けられ閉止状態においてこの給紙ローラの一部を前記用紙通路に表出させるための窓を有するとともに前記支軸が前記凹部から外れるのを阻止する支軸押さえ部を備えてなる蓋体とを具備してなるものであることを特徴とする機器。
【請求項2】
前記支軸の端部に、前記凹部の内面に係り合って該支軸の回転を防止するための回転防止要素が設けられている請求項1記載の機器。
【請求項3】
前記開口部に駆動歯車が配してあるとともに、前記給紙ローラの一端に該給紙ローラと一体に回転する従動歯車が設けてあり、前記支軸の両端部を前記凹部に嵌め込んで給紙ローラを前記開口部に配した状態で前記従動歯車が前記駆動歯車に噛み合うように設定してある請求項1又は2記載の機器。
【請求項4】
作動レバーの先端に用紙が触れているか否かによって前記用紙通路内の用紙の有無を検知するためのセンサを前記開口部内に配し、前記作動レバーの先端側を前記蓋体の窓を通して前記用紙通路に突出させている請求項1、2又は3記載の機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−132433(P2010−132433A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311377(P2008−311377)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【出願人】(000132518)株式会社セコニック (22)
【Fターム(参考)】