説明

機械−音響変換機及びマルチメディアフラットフィルムスピーカー

【課題】改善された機械−音響変換機を提供する。
【解決手段】機械−音響変換機(10)は薄く、可撓性のシート材料から形成された非圧電式の振動板(14)の1つの縁に接続した電子機械式のアクチュエーター(12)を備える。振動板(14)はアクチュエーター(12)の変移が振動板(14)の変移に変換されるよう、アクチュエーター(12)から、その動作方向に間隔を開けた位置で支持部材に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機械的エネルギーを音響エネルギーに変換する変換機(または、トランスデューサー)に関する。詳細に述べると、本発明は、1つの形式において、ピエゾアクチュエーターを備えたスピーカーに関し、もう1つの形式において、ディスプレイと互換性のあるフラットフィルムスピーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
全ての音響変換機は正及び負の圧力の大気(または、空気)を交互に供給する。最も単純な形式として、電磁式、静電式、または圧電式のリニアモータ(linear motor)が振動板(または、ダイアフラム)を駆動する。振動板はモータの一部として構成されてもよい。
【0003】
多くの(ラウド)スピーカー(以降、単にスピーカーと呼ぶ)は電磁変換機(または、電磁トランスデューサー)を利用している。ダイナミックスピーカーに関して述べると、それらは1920年代から実質的に変化していない。電磁式モータは(比較的)長い線形の動きを持つ。この特徴は比較的小さくて硬い振動板に、(この分野で使用される用語を使用すると「ピストン様」の様式で)音響の発生のために必要な(比較的)長い変移(または、たわみ)を起こさせるために使用される。しかしながら、この動作は、比較的距離が長いときに効率が悪いという欠点がある。
【0004】
静電式または圧電式のデバイスはダイナミックスピーカーに対して、優れた電気−機械結合の効率を持つ。これらのデバイスは理論上、高い効率を有するが、それらの比較的短い線形の変移のために制限を受けてしまい、長い間、限られた領域でのみ使用されてきた。静電式の場合、必要な音響上の変移を起こすために両側に数十センチメートル程度(または、1メートル以上)の非常に大きな振動板のための構造が必要とされる。あるいは、実用的な大きさで作製するために、それらの動作を、長い変移を必要としない高周波部の動作のみに限定しなければならない。圧電式のものは最も優れた効率を持つが、それらの比較的小さな寸法や限定された変移のために、高周波専用のものとみなされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、新しいクラスの機械−音響変換機を提供することである。本発明の変換機は上述の全てのアクチュエーターを利用することができるが、特に圧電モータ(または、ピエゾモータ)の高効率で、短い線形の変移を、振動板のピストン様(または、それに匹敵する)大きな変移に変換することに適している。本発明のもう1つの目的は、スピーカーを通してディスプレイを見ることが可能な、テレビやコンピューター用のモニターのための、フラットなフィルム型のスピーカーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従った機械−音響変換機は、薄くて、(比較的)硬い、且つ可撓性の(または、フレキシブルな)振動板に結合した、好ましくは圧電モータ(または、ピエゾモータ)である、少なくとも1つのアクチュエーター(または、作動装置)を備える。振動板は振動板とアクチュエーターとの(1つまたは複数の)結合点から離れた点(または、場所)で(支持部材に)固定される。振動板は、垂直方向からの断面で見たときに(すなわち、振動板の側面から見たときに)、(1つまたは複数の)アクチュエーターとの結合点と(1つまたは複数の)固定点との間で湾曲させられる。振動板は薄い、可撓性のシート材料から形成される。スクリーンスピーカー(すなわち、画面上に配置されたスピーカー)として利用する場合、振動板はさらに、透明な材料から形成される。
【0007】
1つの形式において、アクチュエーターは振動板を、(実質的に2つの変換機を与えるために)2つの区分に分割する縦方向の中心線上または、その付近に配置される。振動板(全体)を動きに対して固定するために、振動板の、アクチュエーターに対して遠位の、両側の縁が固定される。両側の縁は振動板及び圧電バイモルフ駆動装置(piezo bimorph drive)を支持するフレームに固定されてもよい。振動板の縁に取り付けられたガスケット(または、パッキン)は装置の圧力勾配を維持するために利用される。
【0008】
振動板の2つの区分の各々は、振動板の縦軸に垂直な平面から見たときに、わずかに放物線状に湾曲している。圧電バイモルフ(または、バイモルフ圧電素子)が中央の静止位置(または、中立位置)に位置しているとき、一方の区分は凸状に、もう一方の区分は凹状に湾曲し、全体として「S」型の形状を有する。圧電構造に存在するヒステリシスを最小にするためにDC電位を使用してもよい。ヒステリシスは、通常のスピーカーで一般的に使用されている線形磁気モータにも存在するが、このヒステリシスは、バイモルフの場合のように、積極的(または、能動的)に対処することができない。アクチュエーターを「S」型カーブの中央の点に配置することにより、振動板の正の変移と負の変移との非対称性が相殺され、駆動装置の実質的に線形の横方向の変移への応答で、振動板の実質的に線形の有効な(縦方向の)変移が生ずる。
【0009】
本発明のスピーカーへの利用に便利なアクチュエーターは大きな力(強力)と短い変移(短変移)によって特徴付けられるアクチュエーターである。また、本発明のスピーカーの振動板はピストン様の、大きな変移(長変移)によって特徴付けられる。本発明の典型的な増幅装置、または機械的なてこの作用は変移を5から7倍にする。また、本発明の1つの実施例において、縦方向に配置された複数のアクチュエーターが、縦方向に配置された振動板の対応する部分を駆動してもよい。もう1つの形式において、アクチュエーターは振動板の横方向の縁の1つに固定される。
【0010】
本発明のもう1つの形式において、本発明はテレビやコンピューターのモニター等のディスプレイ上に取り付けられる(比較的)硬くて、透明な材料の薄いシート状の振動板を使用する。好ましい形式において、シートは、各々が上部、下部、及び側部の3つの自由端を持った2つの横方向の区分、または「羽」を形成するために、縦方向の中心線または、その付近に沿って(好ましくは、シートの上部または下部の縁で)、機械的に(ピン等で)留められるか、接着剤で固定される。リニアアクチュエーター(linear actuator)は好ましくは、アクチュエーターの自由端を、隣接する振動板の縁に接着剤等で接着することによって、動作可能な状態で振動板の両方の羽の横方向の端に概略垂直に結合する。
【0011】
各アクチュエーターの横方向の線形の動きは対応する羽の僅かな湾曲を増大または減少させる。湾曲は好ましくは、(例えば、留められた中心線等の垂直軸に対して垂直な平面で見たときに)放物線状の曲率を持つ。本発明の典型的な振動板は(放物線を円で近似した場合に)約1メートルの「半径」を有する。
【0012】
アクチュエーターは電磁式、圧電式、または静電式等の電気−機械式である。圧電アクチュエーターはディスプレイの画像に干渉を起こす磁場を発生しないので、圧電アクチュエーターの使用が特に好ましい。スピーカーへの利用の場合、アクチュエーターは通常、大きな力(強力)で、短い変移(短変移)のタイプが利用される。本発明のスピーカーはこのアクチュエーターの動きを、低圧力で、増大された大きな変移(長変移)を持つ振動板の動きに変換する。画面のギラツキを制御するために、シートには偏光材料(polarizing material)の層が結合されてもよいし、ギラツキを抑える光学的な効果を生み出すために、振動板の表面に他の周知の処理が適用または成形されてもよい。
【0013】
本発明のこれら及び他の特徴及び目的は付随する図面と共に以下の詳細な説明を参照することにより理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明で使用される強力で、短変移の圧電バイモルフアクチュエーターの縦方向の断面図である。
【図2】図1に示されている圧電バイモルフを使用した、S型振動板を駆動するために接続された、本発明に従った変換機の概略図であり、振動板が静止位置(実線)及び右に湾曲した状態(点線)を示している。
【図3】支持フレームに取り付けられた、図2に示されている変換機の斜視図である。
【図4】代替的な実施例の、図3に対応する、斜視図である。
【図5】図1に示されている圧電バイモルフアクチュエーターの静止位置及び、左右に湾曲した状態を示している斜視図である。
【図6】アクチュエーターの線形で横方向の変移の関数として、図2−4に示されている振動板の凹部及び凸部並びに、実質的に線形な、それらの組み合わせによる正味の音響上の変移を示しているグラフである。
【図7】ディスプレイ画面と組み合わせて使用することに適している、本発明に従ったフラット画面変換機のもう1つの実施例の、簡略化された概略図である。
【図8】図7に示されているフラット画面変換機の側面図である。
【図9】本発明で使用される単層圧電アクチュエーターの各層の分解斜視図である。
【図9A】図9に示されている圧電アクチュエーターの上面図である。
【図9B】図9及び9Aに示されている圧電アクチュエーターの側面図である。
【図10】周波数の関数として、図9に示されているタイプのアクチュエーターを使用し、自由空気(free air)の状態で動作している、本発明に従った変換機に対する、音響上の、軸上の圧力応答のグラフである。
【図11】音響出力へのシステムの共振を平滑化するために能動電子フィルター(active electronic filter)を使用して動作させた図10の変換機と同じ変換機の図10に対応するグラフである。
【図12】密閉された状態で、図10及び11と同じ変換機を動作させたときの、図10及び11に対応するグラフである。
【図13】本発明に従った振動板取り付け用器具を備えたフレームの斜視図である。
【図14】本発明に従ってフラット画面スピーカーを形成するために、図13に示されているフレームに振動板を取り付けた状態を示している、図13に対応する図である。
【図15】振動板の中央部の支持物を示している、図14の線15−15で切り取ったときの、縦方向の断面の詳細な図である。
【図16】図14及び15のフラット画面スピーカーの上面図である。
【図17】図16に示されているスピーカーの1つの角の詳細な図である。
【図18】本発明に従ったスピーカーの駆動回路の簡略化された回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1−6は、特にスピーカーへの応用に適している、本発明の機械−音響変換機10の第1の形式の実施例を示している。変換機10は大きな力(以降、強力と呼ぶ)で、短い線形の変移(以降、短変移と呼ぶ)の駆動機構を持ったアクチュエーター12の出力を、振動板14の増大された大きな変移(以降、長変移と呼ぶ)の、ピストン様の動きに変換する能力がある。ここで使用される用語「強力」は従来のスピーカーの駆動力に比べて、少なくとも一桁程度、強力であることを意味する。力の差は、典型的には、40:1比程度である。本発明によって与えられる典型的な運動増幅器(または、振動増幅器)は変移を5から7倍程度増大する。
【0016】
本発明に適当な駆動機構またはアクチュエーター12は圧電バイモルフ(または、バイモルフ圧電素子(piezo bimorph))である。図1−6のスピーカーに対して、目下のところ好ましい圧電バイモルフ駆動装置はPiezo Systems Inc(Cambridge Massachusetts)から部品番号#58-S4-ENHで販売されている圧電バイモルフ駆動装置である。図1に示されているように、駆動装置12は真鍮、ケブラー(kevlar)、または他の材料から成る中央の基板28の両側に結合した、両面に伝導性のコーティング20、22、24、26を備えた圧電性材料の「ウェハー(または、薄片)」16、18の層から成る、実質的に7層のデバイスである。基板はある程度の弾性力を備えている。基板はまた、緩衝装置として、及び、絶縁状態のときには、容量性の挿入材料としても利用することができ、それらの特性は駆動装置の周波数応答を調整するために使用することができる。
【0017】
圧電ウェハー16、18は図5に最もよく図示されているように、X軸方向(垂直軸30及びウェハーの平面方向に概略整列または概略平行な方向)に膨張または収縮する。コーティング20、22、24、26は任意の電圧に対して極性が反転した状態になるように、互いに位相がずれた状態で配線されている。結果として、ウェハー16、18のうち、一方は膨張し、もう一方は収縮する。したがって、最終的な湾曲の動作Dは圧電ウェハー単体の動作に比べてはるかに大きくなる。60ボルトにおいて、上述のバイモルフは0.3mmの変移を持ち、500Hzで1.09ワットに対応する。
【0018】
電気的な刺激(または、励起)を受けている圧電バイモルフ12はX軸方向に沿って正及び負の動きを生じ、振動板14の湾曲及び湾曲の戻りによる、Y軸に沿った正及び負のピストン様の変移を生ずる(図1及び5参照)。図2には、右方向の変移の、半サイクルの動作が示されている。アクチュエーター12は一方の端が固定されているので、このX軸に沿った動作は、それが駆動されたときに機械的なてこの作用を生ずる。
【0019】
振動板は放物線状の湾曲した区分の状態に形成された、薄くて、可撓性のシートである。振動板はカプトン(ポリアミド−イミド(poly amide-imide))、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリプロピレン、または、同様なポリマーのブレンド(すなわち、混合物や化合物)等のプラスチックを含むヤング率材料(Young's Modulus material);トリアセテート及び強化ガラス等の光学的な特性を持った材料;チタン、または他の可撓性の金属;樹脂を含有する繊維、または他の化合物や合成物のいずれであってもよい。
【0020】
以下に記載した関係は変換機の効率及び周波数応答に影響を与える。
・任意の入力に対する変移(効率)は振動板の湾曲の半径に比例する。
・正の変移と負の変移との非対称性は振動板の湾曲の半径に比例する。
・高周波の共振(音響出力の最大値)は振動板の湾曲の半径に逆比例する。
・高周波の共振は振動板の材料のヤング率に比例する。
・高周波の共振は振動板の重さ(または、大きさ)に逆比例する。
【0021】
正の変移と負の変移との非対称性は2つの振動板14a、14bをそれらの間に配置された単一の圧電バイモルフアクチュエーターによって駆動することにより相殺され、音響エネルギーの出力は倍になる。図3に示されているように、一方の振動板14aは凸方向の湾曲状態にあり、もう一方は凹状態にある。これは振動板の中央部にアクチュエーター12が取り付けられた「S」型の断面を持った1つの振動板と実質的に同じである。しかしながら、振動板14は、互いに隣接した各々の側部の縁が1つのアクチュエーター12に結合し、かつ、アクチュエーター12により駆動される、2つの別個の部分14a、14bとして形成されてもよい。
【0022】
スピーカーを駆動するために振動板の「高さ」方向(または、「縦」方向)に拡張している単一の(比較的)大きなバイモルフ12が利用されてもよいし、図4に示されているように、スピーカー10の三次元的な出力を形成するために、各々が異なった輪郭を持った周波数応答によって駆動される、複数のアクチュエーター12a、12b、12cが利用されてもよい。例えば、高周波信号が1つまたは複数のアクチュエーターに独占的に供給されてもよい。振動板のこれらのアクチュエーターに結合した領域は高周波数領域のために割り当てられた音響出力及び放射パターン(または、指向性)を制御する。
【0023】
圧電結晶(piezo crystal)に対して適当な電圧でスピーカー10を駆動するために、昇圧変圧器を駆動する可聴周波増幅器が利用されてもよいし、または、システム専用の増幅器が設計されてもよい。圧電モータは、選択された圧電材料や配線方法にも依存するが、30から120ボルトの範囲の最大駆動電圧を必要とする。図18は可聴周波増幅器72に動作可能に接続した、通常のノッチフィルター73を利用しているスピーカー駆動回路70を示している。可聴周波増幅器72の出力は抵抗76を介して、スピーカー10を駆動する昇圧変圧器74に直列接続されている。
【0024】
抵抗76は変圧器74の「前」に接続されてもよいし、「後」に接続されてもよい。抵抗は可聴周波応答のロールオフ(roll off)を制御する。抵抗を増大させることにより、ロールオフが発生する周波数が低下する。能動フィルターは通常の、一次帯域除去「ノッチ」フィルターである。以下に説明される試験変換機に対して使用する場合、フィルターは2.8から3.0のQ値及び13のダウンdBを持つ。図18に示されているように、抵抗76は変換機の前に配置されている。代替的な、変換機の後の配置は点線で示されている。
【0025】
変換機10、10'、10''はコンデンサーCと共に示されている。すなわち、Cは圧電アクチュエーターが実際に容量を持ち、駆動回路に対して負荷となる容量性のインピーダンスを呈することを示している。後で詳細に説明するが、変換機はまた、実質上、音響上の「キャパシタンス」を呈し、囲いと共に(または、容器内で)使用される場合音響上の「インダクタンス」を呈する。音響システムのための昇圧変圧器は周知であり、比較的安価である。しかしながら、独立したトランスを使用せずに、負荷に対して調整された出力を持つ専用の増幅器をスピーカーの入力に接続することにより、特性をより改善することもできる。
【0026】
システムの圧力勾配の保全性を保つために、振動板の側部の周囲に沿って、低密度発砲独立気泡フォームラバー(low density expanded closed cell foam rubber)や同様な材料のガスケット(または、パッキン)35、35が挿入される(図3参照)。図17に示されているような、代替的な実施例において、この縁の封止は、外側に接着層を備えた、非常に薄く、非常に可撓性のある、独立気泡フォームのテープ(または、片)であってもよい。テープ(または、片)は振動板の僅かに湾曲した縁に沿って拡張してもよいし、振動板の全ての4辺に貼られてもよい。
【0027】
低信号レベルにおけるヒステリシスを減少させるために、圧電バイモルフにDCバイアスが供給されてもよい。磁気式のスピーカーにバイアスを供給することはかなり困難である。また、全ての静電式スピーカーはこの様式で設計されている。
【0028】
図1−6と共に説明された方法で作製されたアクチュエーター12、例えば、(制限ではないが)例として、高さ5cm、(「縦」軸30に沿った)長さ13cm、及び0.5cmの高さの湾曲の振動板を備えたアクチュエーター(図5)は1m、450Hz、1ワットで105dBの出力を持つ。これは非常に効果的である。平均的なコイル移動式のスピーカーは1W/1mで85から95dBの範囲の効率を持つ。
【0029】
図7−8は本発明の代替的な形式を示している。スピーカー10'は特定の目的のための、両端に単体の駆動装置を備え、単一の湾曲振動板を備えたスピーカーとして示されている。(図7−8の実施例において、図1−6の構成要素と同様な要素は'付きの同じ参照番号で示されている。)変換機10'はテレビやコンピューターのモニター等の、ディスプレイ画面上に取り付けることができるように構成されている。
【0030】
図7−8の実施例において、スピーカーの振動板14'は僅かに湾曲した光学的に透明なプラスチックのシートから構成されている。プラスチックシート14'はディスプレイ画面(図示せず)の前面に配置された薄いフレーム上に支持されている。フレームは画面上に取り外しが可能な状態で取り付けられてもよいし、既存のディスプレイ(例えば、コンピューターのモニター等)に半永久的に後付けされてもよいし、半永久的にディスプレイに組み込まれてもよい。恒久的な設置の場合、従来のモニターは画面から前方に突き出した、変換機10'を取り付けるための、一体成型された周辺のフランジ(または、縁)を備えてもよい。
【0031】
画面上の視覚的な表示はスピーカーを通して見ることができる。さらに、後で詳細に説明される2つの区分を持った振動板の構成の場合、音声は「スピーカー−画面」の左右から互いに独立して出力されてもよい。したがって、それらは実質的に1つのフレームに2つの変換機及び2つのスピーカーを備え、ステレオ式の、または多チャンネル式の音声を伝えることができる。音声は視覚上の音源から直接発せられているように感じられる。
【0032】
本発明の変換機10'は実質的に、人間の声及び、それ以上の領域(100−20KHz)の周波数範囲で動作する。重低域は、一般的な音声システムで実施されているように、独立したサブウーファー(または、低域専用のスピーカー)によって加えられてもよい。変換機10'は線形または平面性の音源として音声を発する。これはユーザーに音声を制御された様式で直接伝え、机上や付近の壁からの反射を抑えると共に、実質的にスピーカーが画面であるので、画面からの反射を排除する。反射された音響上のエネルギーはスピーカーシステムの特性を劣化させ、人間の聴覚を当惑及び混乱させる。本発明はコンピューターシステムの机上のスピーカー(ボックス)を排除し、机上の物を減らし、有効な机上の空間を増やす。また、変換機10'は実質的に、不可視のスピーカーである。
【0033】
変換機10'の動作及び構造に関して詳述すると、振動板14'は、ポリカーボネートやトリアセテート、またはプラスチック製の偏光フィルム(polarizing film)に接着された強化ガラスのシート等の、薄くて、硬性のある可撓性の、光学的特性を持ったプラスチックのシートであり、スピーカーとコンピューターのギラツキ防止用画面フィルターを組み合わせたものを構成してもよい。(制限ではないが)例として説明すると、振動板は300mm×400mm程度であってもよいし、対応するディスプレイ画面と同等のサイズであってもよい。振動板は(円として近似したときに)約1メートルの「半径」の放物線に対して垂直方向に整列するような(または、放物線に対して平行になるような)、僅かに湾曲した形状で形成されてもよい。
【0034】
プラスチックシート製の振動板14'はスピーカーフレームの「縦方向」の中心線上の、振動板の上部及び下部に沿って(ピン等で)機械的に留められてもよいし、接着剤等で接着されてもよい。(ここで使用される用語「縦方向の中心線」は必ずしも正確に中心を意味するものではなく、中心またはその付近を意味し、特定の用途においては、振動板の左右の区分を互いに異なるサイズにするために、中心からずれた線を中心線とする場合もある。)この中心部分の固定は独立して動くことが可能な、振動板14'の2つの独立した「羽」を形成し、スピーカーの左右の区分14a'を形成する。これらの振動板の区分14a'の側部の縦方向に拡張する自由端は、スピーカーフレームの左右の縦方向に拡張する部材上で、縦方向に配置された(または、縦方向に拡張した)1つまたは複数の電気機械式アクチュエーター12'に取り付けられる。
【0035】
アクチュエーター12'は横方向に動作し(または、変移し)、且つ、振動板の区分14a'に接続しているので、それらは振動板の湾曲を増大及び減少させ、振動板の区分14a'の(縦方向の)変移を増大及び減少させる。左側のスピーカーパネル上のアクチュエーター12'の右方向の小さな動きは振動板の前方へのふくらみを生じ、スピーカーからの正の圧力を生じ;アクチュエーターの左方向の動きは負の圧力を生じさせる。アクチュエーターは、例えば、電磁式、圧電式、静電式等を含む、どのようなタイプの電気−機械式のものであってもよい。しかしながら、この用途においては、ディスプレイ画面を歪める磁場を発生しないという理由により、圧電式が好ましい。振動板とアクチュエーターとの接合は、好ましくは、接着材により、アクチュエーターの端の面に隣接する振動板の縁を、実質的に(アクチュエーターに対して)垂直に接着する方法である。
【0036】
図9−9B及び13−17は本発明の他の好ましい実施例を示している。スクリーンスピーカー(または、画面スピーカー)10'または10''はFACE International Corp.から「Thunder」アクチュエーターの名称で販売されているタイプの圧電モータ12''を使用している。(図1−8の構成要素と同様な要素は''付きの同じ参照番号で示されている。)図9に示されているように、このモータは2つの薄い金属片28a''、28b''によって挟まれた圧電材料の単一の層16''を使用し、「ベンダー(または、曲げ装置)」として作用する。大きめの層28b''は好ましくは、ステンレススチールの薄いシートであり、小さめの層28a''はアルミニウムのシートである。
【0037】
図9Bの側面図から判るように、ステンレススチール28b''、すなわち、アクチュエーターは僅かに凹状になっている。この構造物は2つの接着剤層27により、僅かに湾曲した、プレストレス(pre-stress)状態で接着されている(図9B参照)。「Thunder」アクチュエーターは図1−5と共に説明されたバイモルフアクチュエーターと同程度の変移の能力を有する。
【0038】
このアクチュエーターはまた、バイモルフにはない、この用途に適して特性を持っている。第1に、圧電ウェハー16''は両面が金属(層28a''、28b'')によって囲まれているので、全体的な構造が非常に頑丈であり、使用中に割れたり、微細な亀裂を生じたりする可能性が少ない。また、アクチュエーター自体の基本共振周波数が非常に高く、通常、3,000Hz以上である。通常の圧電デバイスが共振周波数の付近で動作するのに対し、本発明の好ましい形式は、主に、この共振周波数よりも低い周波数で動作する。これは以下に説明されるように、優れた長所をもたらす。
【0039】
モータ構造12''において、約3,000Hzから直流(0Hz)の間には共振や調和振動が存在しない。この範囲において、デバイスは共振モードが存在しないため、「模範的」な単調な変換機(monotonic transducer)のように、完全にそれのコンプライアンス(compliance)によって制御され、動作する。機械的にみると、それは飛び込み板に類似している。コンプライアンスは「低い」、すなわち、駆動される振動板の重量に接続されたとき、それが約3,000Hzの共振を発生する程度に低い。
【0040】
周波数が高周波側に進むと、約3のQ因子で、約3,000Hzで共振を起こし、約15dBの狭くて、高いピークを呈する。この共振は十分に可聴であるので、システムが満足できるような動作をする程度に、等価(equalize)される(または、補正される)必要がある。等価(または、補正)は能動的な駆動回路によって達成されてもよいし、受動素子によって達成されてもよい。この共振周波数の他に、約3,000Hzの基本共振の、分数的または整数的な(または、分数倍または整数倍の)、スプリアス共振(または、擬似共振)が存在する可能性がある。これらの共振もまた、周波数の狭い帯域のみに影響する高いQ値の共振として特長付けられ、この分野で周知の方法で、機械的に減衰させられてもよい。
【0041】
ここで説明されている、好ましい形式の場合、これは多様な粘性のある、またはゴム状の部材をモータ構造またはモータによって駆動される振動板の縁に、正確に(または、注意深く)適用することによって達成される。ここで、共振に対する説明が主に、モータ構造に対して行われていることは注意しなければならない。全てのスピーカーは、本発明と同様に、空気を動かす振動板に関係する共振及び応答の変動を持っている。以下の説明は空気を移動させる振動板に向けられており、それらは本発明にも影響する。詳細に述べると、囲われた状態の振動板の動作を自由空気(free air)での動作、及び典型的なスピーカーの動作と比較する。
【0042】
従来のスピーカーの大多数は何らかの囲いに覆われた状態で動作する。そうでない場合、後方への音響の放射は(位相がずれた状態で)前方への放射に加えられ、音響上の出力を相殺する。囲い内の音響上の放射は密封され、振動板の前方からのエネルギーだけが放射される。(低周波が囲い内の圧力により増大される、多様な低域反射システム(bass reflex system)等は例外である。)囲い内の空気は音響上のコンプライアンス(compliance)、スプリング(spring)、として作用し、スピーカーの駆動装置と直列状態の電気的キャパシター(または、コンデンサー)に類似している。
【0043】
本発明とは対照的に、通常のスピーカーは、質量として制御される、それらの共振周波数より高域で主に動作する。この質量は電気回路のインダクターに類似している。システムの移動する質量によって表される音響上のインダクタンスと、囲い内の空気に対応するキャパシタンスと組み合わされた、スピーカーの音響上の、「容量性」コンプライアンスとの組み合わせは2次高域通過電子フィルターの、音響上の等価物を生成する。実際には、囲いが小さいほど、低域が弱く;囲いが小さいほど2次高域通過フィルターの「Q」値が高く、システムの応答は低周波数のロールオフの前にピークを発生する。
【0044】
本発明において、音響上の負荷及び電気的な負荷は両方とも容量性である。本発明は動作を制御するために、モータの低いコンプライアンスを利用する。このコンプライアンスは電気回路におけるコンデンサーの機械的な等価物である。囲い内の空気のキャパシタンスと直列状態の容量性の負荷の駆動は、電気的アナログ回路の単純な分圧器の音響的な等価である。全ての周波数の全体的な出力レベルが減少させられる。実際問題における、最終的な結果は、スピーカー10'が囲んでいる箱の寸法に実質的に影響されないことを意味する。この単純な事実は空間、利用率、小型化、既存の製品へのスクリーンスピーカーの適合、並びに、周波数応答、及び音響システムの駆動安定性の面からみて、商業上重要である。後者の2つの点については、以下に詳細に説明される。
【0045】
容量性の負荷を駆動するためには注意が必要である。しかし、その一方で、本発明の変換機/スピーカーを(負荷に駆動装置を整合させ、最適な特性を得るための、通常のスピーカーに対する一般的な特徴付けの方法であり、スピーカーの入力インピーダンスの一般的な値である)8オームまたは4オーム等の入力インピーダンスにより類別することは不可能である。
【0046】
試験的な変換機(以降、試験変換機と呼ぶ)は、120cmの半径の湾曲、及び0.25ミリメートル(または、10ミル)の厚さを持った、14cm×17cmのポリカーボネート製のシートで形成された振動板14''及び、それに動作可能に接続された単体のFACE圧電アクチュエーター12''を使用して作製された。試験アクチュエーター12は9×10-9ファラドの電気的キャパシタンスを持つ。駆動回路70(図18)は6ワットの出力を持った、1:19.5の電圧比の昇圧変圧器74を使用した。このアクチュエーター(単独での)下端のインピーダンスは、すなわち、300Hzで駆動したときのインピーダンスは約156オームであった。
【0047】
この試験変換機は図10に示されている自由空気での動作を示した。変換機による軸上(on-axis)の音響出力が駆動信号の周波数(Hz)の関数としてプロットされている。図11はアクチュエーターの入力駆動信号を2.8から3.0のQ値及び13のダウンdB(down dB)を持った、通常の一次帯域除去「ノッチ」フィルター73を使用して、能動的に濾波した状態での、図10と同じ変換機の周波数応答を示している。図12は同じフィルターを使用し、さらに、約33cm(長さ)×25cm(幅)×2.5cm(高さ)、または、2100cm3の寸法を持った、塗装された小さな「MDF」(中密度ファイバーボードウッド(medium density fiberboard wood))の囲い内に取り付けられた状態での、図10及び11と同じ変換機の周波数応答を示している。
【0048】
スピーカーの周波数スペクトルの上端、例えば、20KHzでは、試験アクチュエーター単独でのインピーダンスは約2.5オームに低下し、多くの増幅器を不安定にしたり損傷させたりする可能性がある程度に低くなっている。本発明において、変換機の共振以下で動作させることにより、この問題は特に問題とならない。周波数応答、変更(alteration)、及び駆動安定化は一緒に達成される。
【0049】
ピストン領域の上において、通常または「模範的」なスピーカーは6dB/オクターブに達する軸上音響圧力応答(on-axis audio pressure response)を呈する。(ピストン領域とは空気上に生成された音声の波長が、円形の振動板の直径として測定したときの、振動板の寸法程度である領域である。)本発明の例としての試験変換機の場合、2,000Hz以上の応答が6dB/オクターブに達した。振動板及びそれの曲率は主な共振が可聴領域の外側にくるように選択された。6オームの抵抗76と直列状態でスピーカーを駆動することにより、周波数応答が補正され、安全な動作インピーダンス及び、図11及び12に示されている軸上音響圧力応答特性(on-axis audio pressure response characteristic)が得られた。図10に存在する約2,000Hzでの応答のピークが図11及び12には存在しないことは注意しなければならない。
【0050】
全体的に見ると、本発明のデバイスはトランス(または、変換機)として動作し、強力で、短変移で、概略線形のアクチュエーターの動作を長変移で、低圧力の振動板の動きに変換する。これは音響変換機の新しいクラスまたはタイプを意味する。振動板の長変移において、正の圧力の変移は負の変移より小さくなるだろう。すなわち、システムは厳密な意味では、本質的に非線形である。伝達関数(または、変換関数)は湾曲の半径から計算することができる。非線形性に対する制御を犠牲にすることにより、駆動電子回路に鏡像的な伝達関数を適用することができる。
【0051】
図13−17は振動板14''を取り付けるためのフレーム50を示している。フレームはスピーカーの囲いとして使用される木材や「MDF」(中密度ファイバーボードウッド(medium density fiberboard wood))等の、適当な材料から形成することができる。フレームはスピーカーの囲いを形成する背板50aを備えてもよいし、代替的に(図15の50aの点線で示されているように)、例えば、コンピューターのモニターやテレビの画面等の、CRT画面を背板として用い、CRT画面上に取り付けられてもよい。囲いは振動板の後方への音響上の放射を分離し、振動板の前方からの反射のみがユーザーに放射されるように作用する。
【0052】
フレームがCRT画面上で使用される場合、画面−振動板間の間隔は通常、19から32mm程度の範囲にされる。振動板は概略的にみて平面であるが、それが完全に「平ら」でないことに注意しなければならない。しかしながら、ブラウン管を使用したテレビやコンピューターのモニターに対して使う「フラット」または「壁掛け」テレビのディスプレイやラップトップコンピューターのディスプレイに対して使う用語として用いれば、変換機の全体的な形状は「フラット」または「平面」である。
【0053】
フレームは側部の縁の各々に、図7及び8と共に説明したアクチュエーター12''と同様な動作をする、2つのアクチュエーター12''を支持する。示されているように、振動板は僅かに湾曲しており、アクチュエーターの間の、横方向に対して中央の点で、支持部材52によって支持されている。支持52は締め付け、接着剤、または他の方法によってフレーム50に取り付けられている。そして、振動板14''が支持52上の固い(または、剛性の)振動減衰層54に、締め付けまたは接着剤により取り付けられている。
【0054】
振動板14''は好ましくは、アクチュエーターの上部の自由端に接着される。この取り付けは、好ましくは、振動板の縁に切り込まれたノッチ(または、刻み目)90で、振動板の縁がアクチュエーターの自由端のステンレススチール片28b''の面に隣接するようになされる。音響関連の用途で一般的に使用されている、シアノアクリレート接着剤(cyanoacrylic glue)等の接着剤を使用することができるだろう。取り付けられた振動板14''は図7及び8と共に説明されてきた様式で動作する。
【0055】
図17は非常に薄く、非常に可撓性のある、独立気泡フォーム材料から形成された粘着性のあるテープまたは片の形式のガスケット35''を示している。テープは振動板の縁に配置され、振動板の後方から前方へ音響エネルギーが放出されるのを防ぐために、振動板とフレームに接着される。半円形状のフォームの片等の他の封止部材が振動板の縁に固定、または接着されてもよい。理論的(または、理想的)に言えば、ガスケット35''は、それがどのような形状であるかにかかわらず、約6KHz以上からのスプリアス共振(spurious resonance)を減衰させる。
【0056】
本発明は好ましい実施例と共に説明されてきたが、多様な変更や改良が当業者には明白であるだろう。例えば、図4の実施例に示されているように、振動板が物理的に互いに分離した縦方向の複数の区分に分離され、異なった出力帯域幅専用の、または、各区分に対応する帯域専用の、異なったアクチュエーターにより駆動されてもよい。上述したように、ここで説明してきたいくつかの長所を犠牲にする可能性があるが、非圧電性のアクチュエーターを使用することもできるだろう。
【0057】
振動板をアクチュエーター及び支持部材に固定するために、機械的な締め付け、クリップ(または、留め具)、及びスナップ留め保持装置等を含む、多様な機械的な取り付け機構を採用することができるだろう。さらに、本発明は固定式の留め具を備えたフレームと共に説明されてきたが、アクチュエーターの動きから間隔が開いており、アクチュエーターに「対する」点で、振動板の一部を静的に保持することができれば、支持部材はどのような構成または形状であってもよい。
【0058】
例えば、支持部材、または留め具の点(または、場所)はCRTディスプレイまたは液晶ディスプレイの筐体の一部であってもよい。振動板14、14'、14''は長方形の形状で説明されてきたが、それらは他の形状であってもよい。しかしながら、それらは上述した機能的な特徴を備えていなければならず、それらがアクチュエーターから、それの動きの方向に間隔が開いた点で留められたときに、上述したように、アクチュエーターの動作によって駆動され、振動板自体がたわみ、音声波形を生成するように取り付けることができなければならない。ほとんどの用途において、振動板はほんの僅かだけ湾曲していればよいだろう。しかしながら、それらがより大きく湾曲していても、振動板は動作することができるだろう。上述及び他の変更及び改良は当業者に明らかであり、それらも付随する請求の範囲に含まれるだろう。
【符号の説明】
【0059】
10 音響変換機
12 圧電バイモルフ(バイモルフ圧電素子)
14 振動板
16,18 圧電ウェハー
20−26 伝導性のコーティング
27 接着層
28 基板
28a 金属片(アルミニウム)
28b 金属片(ステンレススチール)
35 ガスケット
50 フレーム
50a 背板
52 支持部材
54 振動減衰層
70 スピーカー用駆動回路
72 可聴周波増幅器
73 ノッチフィルター
74 昇圧変圧器
76 抵抗
C コンデンサー(圧電アクチュエーターが呈する容量)
D 圧電バイモルフの動作+

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械的な動きを音響エネルギーに変換する音響変換機であって、
非圧電式の湾曲された振動板と、
該振動板に作動上結合した電気機械式の少なくとも1つのアクチュエーターにして、該アクチュエーターの動作方向を全体に横断する方向において前記振動板を動作させるよう該振動板を駆動するアクチュエーターと、
を含む音響変換器。
【請求項2】
前記振動板の動作が前記アクチュエーターの動作に関して増幅される請求項1に記載の音響変換機。
【請求項3】
前記振動板が薄く且つ可撓性を有する請求項1に記載の音響変換機。
【請求項4】
前記振動板が凸状の区分及び凹状の区分を備える請求項1に記載の音響変換機。
【請求項5】
複数のアクチュエーターを含む請求項1に記載の音響変換機。
【請求項6】
前記振動板が第1及び第2の各縁部を少なくとも含み、各アクチュエーターが自由端を有し、アクチュエーターの最初の1つがその自由端位置で前記振動板の第1縁部に第1の角度において作動上結合され、アクチュエーターの次の1つがその自由端位置で前記振動板の第2縁部に第2の角度において作動上結合される請求項5に記載の音響変換機。
【請求項7】
前記第1の角度及び第2の角度が直角である請求項1に記載の音響変換機。
【請求項8】
前記振動板の湾曲が全体に放物線状である請求項1に記載の音響変換機。
【請求項9】
前記アクチュエーターが圧電アクチュエーターである請求項1に記載の音響変換機。
【請求項10】
前記アクチュエーターが単層の圧電バイモルフアクチュエーターである請求項1に記載の音響変換機。
【請求項11】
前記アクチュエーターが単層の圧電アクチュエーターである請求項1に記載の音響変換機。
【請求項12】
前記アクチュエーターが圧電ベンダーである請求項1に記載の音響変換機。
【請求項13】
前記アクチュエーターに作動上接続した電子駆動回路を更に備える請求項1に記載の音響変換機。
【請求項14】
前記電子駆動回路が能動フィルター及び増幅器を備える請求項13に記載の音響変換機。
【請求項15】
前記電子駆動回路が、高周波数応答を制御するための、昇圧変圧器及び該昇圧変圧器に直列に接続した抵抗を更に備える請求項14に記載の音響変換機。
【請求項16】
前記振動板がプラスチックシートである請求項1に記載の音響変換機。
【請求項17】
前記振動板が単一方向においてのみ湾曲する請求項1に記載の音響変換機。
【請求項18】
前記振動板が光学的に透明なフィルムである請求項1に記載の音響変換機。
【請求項19】
前記振動板が映像用スクリーンディスプレイ上に配置され、前記振動板が前記映像用スクリーンディスプレイから間隔を開けて配置される請求項18に記載の音響変換機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−134998(P2012−134998A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−15316(P2012−15316)
【出願日】平成24年1月27日(2012.1.27)
【分割の表示】特願2007−66645(P2007−66645)の分割
【原出願日】平成13年1月5日(2001.1.5)
【出願人】(505470959)イーエムオー・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】Emo Labs, Inc.
【住所又は居所原語表記】186 Third Avenue,Waltham MA 02451,U.S.A.
【Fターム(参考)】