説明

機械スピンドル

【課題】機械工具用の交換可能なスピンドル・アセンブリを提供すること。
【解決手段】スピンドル・アセンブリは、前記機械工具に接続可能なアセンブリ取付け連結部と、所定のスピンドル直径を有する工具スピンドルと、機械工具の駆動機構に接続可能なスピンドル駆動連結部とを含む。駆動連結部は、工具スピンドルと連絡し、それにより、駆動連結部の回転が工具スピンドルの回転をもたらす。スピンドル・アセンブリは、さらに、スピンドル・アセンブリにある冷却材接続部を介して機械工具にある冷却材供給源と接続可能な少なくとも1つの冷却材分散マニホルドを含む。スピンドル・アセンブリは、機械工具にスピンドル・アセンブリを取り付けた際、アセンブリ取付け連結部と、スピンドル駆動連結部と、冷却材接続部とが全て併存して機械工具に接続可能であるように構成される。追加の接続が含まれてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年12月14日出願の米国仮特許出願第60/874857号の利益を主張するものであり、その仮特許出願の開示全体を、参照として本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、工具研削機械などの機械工具を対象とし、より詳細には、そのような機械用の交換可能スピンドルを対象とする。
【背景技術】
【0003】
ミリング・カッターや歯車ホブなど切削工具の鋭利化において、工具のサイズ及び幾何形状が、歯プロファイル研削に最も良く適した研削ホイールの直径に影響を及ぼす因子である。溝(フルート)の数が増加し、及び/又はホブ又はミリング・カッターの直径がより小さくなるにつれて、螺旋ねじリード又は非螺旋円周経路に沿った歯から歯までの割り出し空間がより小さくなり、それにより、歯プロファイルをその設計長さまで半径方向で切り出すように、且つ研削経路に沿った次の歯の先端と干渉しないように、より小さな研削ホイールが必要となる。
【0004】
また、歯プロファイル深さは、研削される加工物の軸線にスピンドルが平行であるときに、ホイールのツルーイングされた/ドレッシングされた(trued/dressed)最小二乗直径が研削スピンドルの外径よりも常に大きくなるように使用することができる最小直径ホイールを決定する。
【0005】
ほとんどの場合に、(歯同士の干渉をもたらすことなく金属除去速度を最大にするために)様々な外径を有する研削ホイールの必要性が生じるので、スピンドルの剛性を最大にするように適当なサイズの研削スピンドルを提供する必要性が生じる。しかし、従来の研削機械では、研削スピンドルの交換は、困難で時間のかかる作業である。このため、多くの工具製造設備は、様々なスピンドル及び研削ホイール・サイズをもつ複数の研削機械を採用する。他方で、複数の機械の経費を最小限にするために、いくつかのプロファイル研削プロセスは、ある研削ホイール直径に関して不適切にサイズ設定された研削スピンドルを利用することによって妥協されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、機械工具用の交換可能なスピンドル・アセンブリを対象とする。スピンドル・アセンブリは、機械工具に接続可能なアセンブリ取付け連結部と、所定のスピンドル直径を有する工具スピンドルと、機械工具の駆動機構に接続可能なスピンドル駆動連結部とを含む。駆動連結部は、工具スピンドルと連絡し、それにより、駆動連結部の回転が工具スピンドルの回転をもたらす。さらに、スピンドル・アセンブリは、スピンドル・アセンブリにある冷却材接続部を介して機械工具にある冷却材供給源と接続可能な少なくとも1つの冷却材分散マニホルドを含む。スピンドル・アセンブリは、機械工具にスピンドル・アセンブリを取り付けた際、アセンブリ取付け連結部と、スピンドル駆動連結部と、冷却材接続部とが全て併存して機械工具に接続可能であるように構成される。追加の接続が含まれてもよい。
【実施例】
【0007】
好ましい実施例の詳細を、本発明を表す添付図面を参照しながら、単に例として論じる。
【0008】
図1〜図3は、ハウジング4と、工具6(図示される研削ホイール)と、工具スピンドル8(図2、図3)とを有する本発明のスピンドル・アセンブリ2を示す。スピンドル・アセンブリは、概ね参照番号10で示される第1の端部と、概ね参照番号12で示される第2の端部とを有する。スピンドル・アセンブリ2は、例えば、切削工具、特にホブやミリング・カッターなどの歯切り工具を研削するための研削機械などの機械工具(図5又は図6)にスピンドル・アセンブリを定位置で着脱可能に固定するための取付け連結部14(EROWAによって製造されているダイ・プレート連結部など)を含む。
【0009】
スピンドル・アセンブリ2は、さらに、機械工具にある工具駆動モータ18(図5)から工具6に駆動トルクを提供するために、機械工具にある適切に形成された対合駆動連結部(図示せず)と接続するための駆動連結部16(例えば、R.W.Couplingsによって製造されている)を備える。駆動連結部16は、任意の適切な手段を介して工具スピンドル8に接続することができ、好ましい態様(図4、カバーが取り外されている)は、駆動連結部16から第2の端部12に向かって延在するシャフト20と、歯車22と、スピンドル8の非工具端部に接続された歯付きベルト24とを介するものである。歯付きベルト24は、好ましくは、スピンドル・アセンブリ2の第2の端部12の近くに位置される。
【0010】
スピンドル・アセンブリは、さらに、1つ又は複数(好ましくは2つ)の冷却材分散マニホルド26を含み、各マニホルドが、そこに接続された1つ又は複数の冷却材ノズル28を有する。ノズル28は、特定の工具及び/又は加工物の適当な位置に冷却材を向けるように、任意の数及び形状であってよい。冷却材分散マニホルド26は、スピンドル・アセンブリの第1の端部10に位置された冷却材供給接続部30(例えば、Staeubliによって製造されている)と流体連絡する。機械内にスピンドル・アセンブリ2を配置した際、冷却材供給接続部30は、機械にある適当に構成された冷却材接続部と連絡し、それにより、機械加工中に冷却材をノズル28に供給することができる。
【0011】
取付け連結部14と、駆動連結部16と、冷却材供給接続部30とは全て、機械内にスピンドル・アセンブリ2を取り付けた際、連結部14、16、及び冷却材供給接続部30が全て併存して機械と接続するように位置決めされる。このようにすると、スピンドル・アセンブリの挿入又は取外しを、簡単且つ迅速に達成することができる。
【0012】
また、スピンドル・アセンブリ2は、好ましくは、スピンドル8にある軸受のために機械から送出する潤滑剤(例えば、空気、油、ミスト)を供給するための接続部32(例えば、Staeubliによって製造されている)も含む。上述した接続と同様に、潤滑剤接続部32は、好ましくは、機械内にスピンドル・アセンブリ2を取り付けた際、全ての接続が併存して機械と共に形成されるように位置決めされる。
【0013】
また、スピンドル・アセンブリ2は、好ましくは、スピンドル8の速度又は運動を検出するためのセンサ、好ましくは近接センサ36(図4)のための電気接続部34を備える。電気接続部34は、機械にある対合接続部と接続し、それにより、センサ36からの信号が、機械にあるコンピュータ制御機構に伝送される。ここでも、上述した接続と同様に、電気接続部34は、好ましくは、機械内にスピンドル・アセンブリ2を取り付けた際、全ての接続が併存して機械と共に形成されるように位置決めされる。別法として、スピンドル・アセンブリは、検出された信号及び/又は情報をワイヤレス伝送を介してセンサからコンピュータ制御機構に送信する送信機を含んでもよい。
【0014】
また、スピンドル・アセンブリ2には、機械コンピュータ制御機構に工具及び/又はプロセス情報を転送するための手段38が設けられてもよい。好ましくは、機械にスピンドル・アセンブリ2を取り付けた際、機械セットアップ・パラメータ、粗削りプロファイル情報、オフセット、及び減速比など、特定の加工物及び工具に特有の情報が、機械に自動的に転送される。そのような自動転送の好ましい態様は、適当な情報を転送チップに記憶することであり、情報は、機械にある読み取りヘッドの近傍に転送チップを導いた後、機械によって読み取られる。そのような情報転送システムは既知のものであり、一例は、Balluffチップ情報システムである。本発明では、情報転送手段38は、好ましくは、スピンドル・アセンブリ2の第1の端部10に位置され、それにより、機械にスピンドル・アセンブリを取り付けた際、情報は、上述した他のシステムの接続と併存して転送される。
【0015】
本発明のスピンドル・アセンブリ2は、機械とスピンドル・アセンブリとの間で上述した全てのスピンドル・アセンブリ・サービス機能の全ての接続を確立するように機械に効果的に「プラグ・イン」されるので、機械に簡単且つ迅速に取り付けられる。本発明のアセンブリは、複数の同一のスピンドル・アセンブリ(すなわち同一に構成された連結部及び接続部)と共に単一の機械を利用する機会を提供し、アセンブリは、機械に関して簡単且つ迅速に交換することができる。そのような交換は、多くの理由により行われてもよく、それらの理由の1つは、特定の研削ホイール直径、加工物サイズ、又は加工物幾何形状に適するように様々な直径(例えば、15mm、30mm、45mm)のスピンドルを提供することである。
【0016】
特定の作業によって要求されるときには、様々な形態で構成された冷却材ノズルを有するスピンドル・アセンブリが交換されてもよく、又は冷却材ノズルは、機械が別のスピンドル・アセンブリと共に動作している間に、機械から外して再構成することができる。同一のスピンドル・アセンブリが利用されてもよく、研削機械などの機械で1つのスピンドル・アセンブリが動作している間に、別の同一のアセンブリが、研削ホイールをドレッシングするためのドレッシング機械に配置されてもよい。研削機械での研削ホイール摩耗の適当な時点で、同一のスピンドル・アセンブリを短期間で交換することができ、次いで、再び研削を開始することができる。同時に、ここで取り外されたスピンドル・アセンブリをドレッシング機械に配置して、その研削ホイールを動作幾何形状に復元することができる。
【0017】
スピンドル・アセンブリ2は、機械工具内に手動で装着することができ、又は、好ましくは自動装着及び離脱が利用されてもよい。カルーセル・ローダー及びリニア・スライド・アセンブリ、又はロボットが、スピンドル・アセンブリを機械の内外に移動させてもよい。スピンドル・アセンブリは、枢動可能な持上げ機械、自動化転送ライン、又はロボットによって、2つ以上の機械の間(例えば、研削機械とドレッシング機械との間)で移動されてもよい。スピンドル・アセンブリ2は、装着及び離脱機器がスピンドル・アセンブリを把持するのを容易にするために、装着/離脱アダプタ40を含んでもよい。
【0018】
本発明のスピンドル・アセンブリ2が機械工具に動作可能に係合するように、前記機械工具は、スピンドル・アセンブリの連結部及び接続部に位置合わせして接続するサービス機能接続部を有して構成されなければならないことを当業者は理解されよう。そのような機械サービス機能接続部は、新規の機械の一部として設計されてもよい。既存の機械は、サービス機能の適切な位置合わせ及び接続を提供するために修正を必要とするかもしれない。特定の用途にスピンドル・アセンブリの全ての接続部が必要とされるわけではない場合、当該の機械は、それでも、機械へのスピンドル・アセンブリの適切な取付けを可能にするのに適した態様で、そのような不必要な接続部に対応すべきである。例えば、当該のサービス供給ラインがそのような接続部と連絡しないとしても、機械接続部が提供されてもよい。別法として、機械表面に形成されるキャビティが、スピンドル・アセンブリにある未使用の接続部に対応する役割を果たしてもよい。
【0019】
本発明を、研削方法及び工具(例えば研削ホイール)に関して論じてきたが、本発明のスピンドル・アセンブリは、研削用途に限定されず、切断機械及び工具にも適用可能である。
【0020】
本発明を好ましい実施例に関して説明してきたが、本発明が、好ましい実施例の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、特許請求の範囲及び精神から逸脱することなく、本主題が関係する技術分野の当業者に明らかであろう修正を含むように意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のスピンドル・アセンブリの正面図である。
【図2】本発明のスピンドル・アセンブリの前面図である。
【図3】スピンドル・アセンブリの代替の前面図である。
【図4】カバーが取り外された状態での本発明のスピンドル・アセンブリの背面図である。
【図5】機械内での動作位置でのスピンドル・アセンブリの拡大図である。
【図6】機械工具内部に動作可能に位置決めされたスピンドル・アセンブリを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械工具用の交換可能スピンドル・アセンブリであって、
第1の端部及び第2の端部と、
前記機械工具に接続可能なアセンブリ取付け連結部と、
所定のスピンドル直径を有する工具スピンドルと、
前記機械工具の駆動機構に接続可能なスピンドル駆動連結部であって、前記工具スピンドルと連絡し、それにより前記駆動連結部の回転が前記工具スピンドルの回転をもたらすスピンドル駆動連結部と、
少なくとも1つの冷却材分散マニホルドであって、前記アセンブリにある冷却材接続部を介して前記機械工具にある冷却材供給源と接続可能であるマニホルドと
を備え、
前記機械工具に前記スピンドル・アセンブリを取り付けた際、前記アセンブリ取付け連結部と、前記スピンドル駆動連結部と、冷却材接続部とが併存して前記機械工具に接続可能である
スピンドル・アセンブリ。
【請求項2】
前記アセンブリ取付け連結部と、前記スピンドル駆動連結部と、前記冷却材接続部とが、前記アセンブリの第1の端部に位置される、請求項1に記載のスピンドル・アセンブリ。
【請求項3】
前記スピンドルを潤滑するための手段をさらに含み、前記潤滑手段が、前記アセンブリにある潤滑剤接続部を介して前記機械工具にある潤滑供給源と接続可能であり、前記機械工具に前記スピンドル・アセンブリを取り付けた際、前記潤滑剤接続部が、前記アセンブリ取付け連結部、前記スピンドル駆動連結部、及び前記冷却材接続部と共に併存して前記機械工具に接続可能である、請求項1に記載のスピンドル・アセンブリ。
【請求項4】
前記潤滑剤接続部が、前記アセンブリの第1の端部に位置される、請求項3に記載のスピンドル・アセンブリ。
【請求項5】
前記工具スピンドルの運動及び回転速度の少なくとも一方を検出するための手段をさらに含み、前記検出手段が、前記アセンブリにある電気接続部を介して前記機械工具に電気的に接続可能であり、前記機械工具に前記スピンドル・アセンブリを取り付けた際、前記電気接続部が、前記アセンブリ取付け連結部、前記スピンドル駆動連結部、及び前記冷却材接続部と共に併存して前記機械工具に接続可能である、請求項1に記載のスピンドル・アセンブリ。
【請求項6】
前記電気接続部が前記アセンブリの第1の端部に位置される、請求項5に記載のスピンドル・アセンブリ。
【請求項7】
工具及びプロセス情報記憶手段をさらに含み、前記記憶手段内の情報が、前記機械工具にある情報受信部の近くに前記記憶手段を位置決めした後に、前記機械工具に転送可能である、請求項1に記載のスピンドル・アセンブリ。
【請求項8】
前記情報記憶手段が前記アセンブリの第1の端部に位置される、請求項7に記載のスピンドル・アセンブリ。
【請求項9】
前記情報記憶手段が転送チップを備える、請求項7に記載のスピンドル・アセンブリ。
【請求項10】
研削ホイールが前記工具スピンドルに位置決めされる、請求項1に記載のスピンドル・アセンブリ。
【請求項11】
切削工具が前記工具スピンドルに位置決めされる、請求項1に記載のスピンドル・アセンブリ。
【請求項12】
機械工具に係合することが可能であり、前記アセンブリ取付け連結部と、前記スピンドル駆動連結部と、前記冷却材接続部とが、前記機械工具にある対合接続部に位置合わせして併存して接続する、請求項1に記載のスピンドル・アセンブリ。
【請求項13】
前記スピンドル駆動連結部が、シャフトと、歯車と、歯付きベルトとを介して前記工具スピンドルに接続される、請求項1に記載のスピンドル・アセンブリ。
【請求項14】
前記歯付きベルトが前記スピンドル・アセンブリの第2の端部に位置される、請求項13に記載のスピンドル・アセンブリ。
【請求項15】
装着/離脱装置に位置された把持手段との係合のための装着/離脱アダプタをさらに含む、請求項1に記載のスピンドル・アセンブリ。
【請求項16】
前記工具スピンドルの運動及び回転速度の少なくとも一方を検出して、その代表的信号を提供するための手段をさらに含み、前記代表的信号がワイヤレス接続を介して前記機械工具に搬送される、請求項1に記載のスピンドル・アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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