説明

機械式駐車装置及びその制御方法

【課題】走行台車側に設けた動力源から、車両の入出庫に係る駐車ますに対し駆動力を供給するコンベア連動機構の、信頼性を向上させる。
【解決手段】可動フレーム50を走行台車26上の中立位置から入出庫に係る駐車ます32の方向へと移動させ、圧力センサ56がONでかつ位置センサ58がOFFであるとき、駆動歯車52及び従動歯車48の歯先同士が衝突した状態と判断する。圧力センサ56がONでかつ位置センサ58もONであるとき、駆動歯車52及び従動歯車48が正しく噛み合った状態と判断する。圧力センサ56と位置センサ58との検知状態に基づき、コンベア連動機構42の駆動歯車52及び従動歯車48の係合状況を正確に把握し、駆動歯車52と従動歯車48との歯先52a、48a同士が衝突した状態で、両歯車52、48の噛み合わせを無理に行うことによる、両歯車52、48の破損の可能性を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行台車の走行路に沿って複数の駐車ますが配置され、前記走行台車及び前記複数の駐車ますの各々に、相互間の車両移載用のコンベアとコンベア連動機構とが設けられた機械式駐車装置と、その制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7、図8に示される機械式駐車装置10は、いわゆる平置きの駐車スペースを十分確保することが困難な比較的狭い敷地に対し、大規模駐車装置を設置するに適したものである。この機械式駐車装置10は、地上部分に、入庫バース14、出庫バース16及び入庫・出庫操作盤18が設けられ、地下部分に駐車スペース12が設けられた構成を有している。又、入庫バース14及び出庫バース16には、地上部分と駐車スペース12とを結ぶ入庫リフト20、出庫リフト22が配置されている。そして、駐車スペース12には、車両24を搬送するための走行台車26と、走行台車26が移動する走行路28と、走行路28に敷設された走行台車の走行レール29と、走行路の左右両側に沿って縦列配置された複数の駐車ます30、32とが、必要に応じて多段(図示の例では三段)に設けられている。なお、図示の例では、走行路28の片側の駐車ます30は、同時に二台の車両24を入庫することが可能な、複列駐車ますとすることで、一段あたりの入庫台数を増加させている。なお、複列駐車ます30のコンベア36は、二台の車両24を並列入庫させることが可能な車幅方向寸法を有しており、複列駐車ます30に入庫された二台の車両24の入出庫時には、このコンベア36を作動させることにより、二台同時に車幅方向へと移動するものである。
【0003】
又、走行台車26及び駐車ます30、32の各々には、相互間の車両移載用のコンベア34、36、38と、移載作業の際に各コンベア34、36、38を連動させるコンベア連動機構とが設けられている。このコンベア連動機構は、走行台車26側に設けられた動力源から、車両の入出庫に係る駐車ます30又は32に対し駆動力が供給されることにより、各コンベアが連動するものであり、本出願人により既にその詳細が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特許第2990422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のごとく、本出願人により公開された従来の機械式駐車装置は、走行台車26を中継して複数の駐車ます30、32に対し車両24を入庫・出庫する際の、走行台車26と各駐車ます30、32との車両24の受渡しの円滑性や、車両24の管理の確実性を高めるものであり、複数の駐車ますを備える大規模駐車装置において、迅速かつ正確な車両24の入庫・出庫作業が可能となっている。
本発明はかかる機械式駐車装置の機能を損なうことなく、走行台車側に設けた動力源から、車両の入出庫に係る駐車ますに対し駆動力を供給するコンベア連動機構の、信頼性を向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0007】
(1)入出庫に係る車両を搬送する走行台車と、該走行台車の走行路に沿って配置された複数の駐車ますと、前記走行台車及び前記複数の駐車ますの各々に設けられた相互間の車両移載用のコンベアと、前記走行台車及び前記駐車ますのコンベア連動機構と、該コンベア連動機構の制御手段とを含む機械式駐車装置であって、前記コンベア連動機構は、前記各駐車ます毎に設けられた、駐車ますのコンベアに連動する従動歯車と、前記走行台車に設けられた、前記走行路と直交する方向に移動する可動フレームと、該可動フレームの端部に軸支され、走行台車のコンベアに連動すると共に前記従動歯車に噛み合うことで走行台車に設けられた動力源から駐車ますのコンベアへと動力伝達を行う駆動歯車とを備え、前記コンベア連動機構の制御手段は、前記駆動歯車と前記従動歯車との当接を検知する圧力センサと、前記可動フレームが前記駆動歯車及び前記従動歯車の正しい噛み合い位置まで移動したことを検知する位置センサと、前記可動フレームを、前記走行台車上の中立位置から入出庫に係る駐車ますの方向へと移動させ、この際、前記圧力センサがONでかつ前記位置センサがOFFであるとき、前記駆動歯車及び前記従動歯車の歯先同士が衝突した状態と判断し、前記圧力センサがONでかつ前記位置センサもONであるとき、前記駆動歯車及び前記従動歯車が正しく噛み合った状態と判断する制御ロジックを含む処理装置とを備えることを特徴とする機械式駐車装置。(請求項1)。
【0008】
本項に記載の機械式駐車装置において、制御手段の処理装置は、車両の入出庫の際に、可動フレームを走行台車上の中立位置から入出庫に係る駐車ますの方向へと移動させ、この際、圧力センサがON(検知状態)でかつ位置センサがOFF(非検知状態)であるとき、駆動歯車と従動歯車との歯先同士が衝突した状態と判断する。一方、圧力センサがONでかつ前記位置センサもONであるとき、駆動歯車と前記従動歯車とが正しく噛み合った状態と判断する。このように、圧力センサと位置センサとの検知状態に基づき、コンベア連動機構の駆動歯車及び従動歯車の係合状況を正確に把握し、駆動歯車と従動歯車とが正しく噛み合っていない状態、特に、駆動歯車と従動歯車との歯先同士が衝突した状態で、両歯車の噛み合わせを無理に行うことによる、両歯車の破損の可能性を低減するものである。
【0009】
(2)上記(1)項において、前記処理装置には、前記駆動歯車と前記従動歯車との歯先同士が衝突した状態と判断される場合に、前記可動フレームを所定量だけ戻し、前記駆動歯車を一定量回転させた後、前記駆動歯車と前記従動歯車との噛み合わせを再実行する制御ロジックが含まれる機械式駐車装置(請求項2)。
本項に記載の機械式駐車装置において、処理装置は、車両の入出庫の際に、可動フレームを走行台車上の中立位置から入出庫に係る駐車ますの方向へと移動させ、この際、駆動歯車と従動歯車との歯先同士が衝突した状態と判断される場合に、可動フレームを所定量だけ戻し、駆動歯車を一定量回転させた後、駆動歯車と従動歯車との噛み合わせを再実行することで、駆動歯車と従動歯車との歯先同士が衝突した状態を、駆動歯車の回転位相を変更することにより解消する。そして、両歯車の噛み合わせを無理に行うことによる、両歯車の破損の可能性を低減するものである。
【0010】
(3)上記(2)項において、前記処理装置には、前記駆動歯車と前記従動歯車との噛み合わせを所定回数だけ再実行した時点で、前記圧力センサがONでかつ前記位置センサがOFFであるとき、前記駆動歯車を一定量回転させ、かつ、前記位置センサがONとなるまで前記可動フレームを入出庫に係る駐車ますの方向へと移動させる制御ロジックが含まれる機械式駐車装置(請求項3)。
本項に記載の機械式駐車装置において、処理装置は、車両の入出庫の際に、可動フレームを走行台車上の中立位置から入出庫に係る駐車ますの方向へと移動させ、この際、駆動歯車と従動歯車との噛み合わせを所定回数だけ再実行した時点で、前記圧力センサがONでかつ前記位置センサがOFFであるとき、前記駆動歯車を一定量回転させ、かつ、位置センサがONとなるまで可動フレームを入出庫に係る駐車ますの方向へと移動させる。そして、駆動歯車と従動歯車との噛み合わせを強制的に実行することで、駆動歯車と従動歯車との非接触の状態を強制的に解消し、両歯車の噛み合わせを行うものである。
【0011】
(4)上記(3)項において、前記走行台車には、前記コンベアの送り量センサが設けられ、前記処理装置には、前記駆動歯車を一定量回転させる場合に、前記駆動歯車の回転に連動するコンベアの送り量を前記送り量センサによって計測し、前記走行台車から前記駐車ますへの車両の入庫の際には、前記計測したコンベアの送り量を考慮して入庫に係る車両の送り量を決定する制御ロジックが含まれる機械式駐車装置(請求項4)。
本項に記載の機械式駐車装置において、処理装置は、駆動歯車と従動歯車との歯先同士が衝突した状態を解消すべく、駆動歯車の回転位相を変更することにより生じるコンベアの送り、すなわち、車両位置のズレを考慮して、入庫に係る車両の総送り量を、適切なものとするものである。
なお、駆動歯車を一定量回転させる作業を複数回行う場合には、駆動歯車の回転に連動するコンベアの送り量を積算することで、入庫に係る車両の最終的な送り量を適切なものにすることができる。
【0012】
(5)上記(4)項において、前記処理装置には、入庫に係る車両を、前記走行台車から前記駐車ますへと移載する場合に、当該車両の総送り量を常時一定とする制御ロジックが含まれる機械式駐車装置。
本項に記載の機械式駐車装置は、車両位置の補正に係る車両を、走行台車から駐車ますへと移載する場合において、車両の総送り量を常時一定とすることにより、制御ロジックの構成が単純化されるものである。
【0013】
(6)入出庫に係る車両を搬送する走行台車と、該走行台車の走行路に沿って配置された複数の駐車ますと、前記走行台車及び前記複数の駐車ますの各々に設けられた相互間の車両移載用のコンベアと、前記走行台車及び前記駐車ますのコンベア連動機構と、該コンベア連動機構の制御手段とを含み、前記コンベア連動機構は、前記各駐車ます毎に設けられた、駐車ますのコンベアに連動する従動歯車と、前記走行台車に設けられた、前記走行路と直交する方向に移動する可動フレームと、該可動フレームの端部に軸支され、走行台車のコンベアに連動すると共に前記従動歯車に噛み合うことで走行台車に設けられた動力源から駐車ますのコンベアへと動力伝達を行う駆動歯車と、前記駆動歯車と前記従動歯車との当接を検知する圧力センサと、前記可動フレームが前記駆動歯車及び前記従動歯車の正しい噛み合い位置まで移動したことを検知する位置センサと、前記コンベアの送り量センサとを備える機械式駐車装置において、前記走行台車と前記駐車ますとの相互間の車両移載時に、前記可動フレームを、前記走行台車の中立位置から入出庫に係る駐車ますの方向へと移動させ、この際、前記圧力センサがONでかつ前記位置センサがOFFであるとき、前記駆動歯車及び前記従動歯車の歯先同士が衝突した状態と判断し、前記圧力センサがONでかつ前記位置センサもONであるとき、前記駆動歯車及び前記従動歯車が正しく噛み合った状態と判断し、走行台車及び前記駐車ますのコンベアを連動させて、相互間の車両の移載作業を行う機械式駐車装置の制御方法。
【0014】
本項に記載の機械式駐車装置の制御方法は、車両の入出庫の際に、可動フレームを走行台車上の中立位置から入出庫に係る駐車ますの方向へと移動させ、この際、圧力センサがON(検知状態)でかつ位置センサがOFFであるとき、駆動歯車と従動歯車との歯先同士が衝突した状態と判断する。一方、圧力センサがONでかつ前記位置センサもONであるとき、駆動歯車と従動歯車とが正しく噛み合った状態と判断する。
このように、圧力センサと位置センサとの検知状態に基づき、コンベア連動機構の駆動歯車及び従動歯車の係合状況を正確に把握する。そして、駆動歯車及び従動歯車が正しく噛み合った状態と判断した場合には、走行台車及び前記駐車ますのコンベアを連動させて、相互間の車両の移載作業を行うことで、車両の入出庫を完了する。一方、駆動歯車と従動歯車とが正しく噛み合っていない状態、特に、駆動歯車と従動歯車との歯先同士が衝突した状態で、両歯車の噛み合わせを無理に行うことによる、両歯車の破損の可能性を低減するものである。
【0015】
(7)上記(6)項において、前記駆動歯車と前記従動歯車との歯先同士が衝突した状態と判断される場合に、前記可動フレームを所定量だけ戻し、前記駆動歯車を一定量回転させた後、前記駆動歯車と前記従動歯車との噛み合わせを再実行する機械式駐車装置の制御方法(請求項5)。
本項に記載の機械式駐車装置の制御方法は、駆動歯車と前記従動歯車との歯先同士が衝突した状態と判断される場合に、可動フレームを所定量だけ戻し、駆動歯車を一定量回転させた後、駆動歯車と従動歯車との噛み合わせを再実行することで、駆動歯車と従動歯車との歯先同士が衝突した状態を、駆動歯車の回転位相を変更することにより解消する。そして、両歯車の噛み合わせを無理に行うことによる、両歯車の破損の可能性を低減するものである。
【0016】
(8)上記(6)、(7)項において、前記駆動歯車と前記従動歯車との噛み合わせを所定回数だけ再実行した時点で、前記圧力センサがONでかつ前記位置センサがOFFであるとき、前記駆動歯車を一定量回転させ、かつ、前記位置センサがONとなるまで、前記可動フレームを入出庫に係る駐車ますの方向へと移動させ、前記駆動歯車と前記従動歯車との噛み合わせを強制的に実行する機械式駐車装置の制御方法(請求項6)。
本項に記載の機械式駐車装置の制御方法は、車両の入出庫の際に、可動フレームを走行台車上の中立位置から入出庫に係る駐車ますの方向へと移動させ、この際、駆動歯車と前記従動歯車との噛み合わせを所定回数だけ再実行した時点で、前記圧力センサがONでかつ前記位置センサがOFFであるとき、前記駆動歯車を一定量回転させ、かつ、位置センサがONとなるまで可動フレームを入出庫に係る駐車ますの方向へと移動させる。そして、駆動歯車と従動歯車との噛み合わせを強制的に実行することで、駆動歯車と従動歯車との非接触の状態を強制的に解消し、両歯車の噛み合わせを行うものである。
【0017】
(9)上記(6)から(8)項において、前記駆動歯車を一定量回転させる場合に、前記駆動歯車の回転に連動するコンベアの送り量を前記コンベアの送り量センサで計測し、前記走行台車から前記駐車ますへの車両の入庫の際に前記該計測したコンベアの送り量を考慮して、入庫に係る車両の送り量を決定する機械式駐車装置の制御方法(請求項7)。
本項に記載の機械式駐車装置の制御方法は、駆動歯車と従動歯車との歯先同士が衝突した状態を解消すべく、駆動歯車の回転位相を変更することにより生じるコンベアの送り、すなわち、車両位置のズレを考慮して、入庫に係る車両の総送り量を、適切なものとするものである。
なお、駆動歯車を一定量回転させる作業を複数回行う場合には、駆動歯車の回転に連動するコンベアの送り量を積算することで、入庫に係る車両の最終的な送り量を適切なものにすることができる。
【0018】
(10)上記(9)項において、入庫に係る車両を、前記走行台車から前記駐車ますへと移載する場合に、当該車両の総送り量を常時一定とする機械式駐車装置の制御方法。
本項に記載の機械式駐車装置の制御方法は、車両位置の補正に係る車両を、走行台車から駐車ますへと移載する場合において、車両の総送り量を常時一定とすることにより、制御ロジックの構成が単純化されるものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明はこのように構成したので、走行台車側に設けた動力源から、車両の入出庫に係る駐車ますに対し駆動力を供給するコンベア連動機構の信頼性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。ここで、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については同一符号で示し、詳しい説明を省略する。
本発明の実施の形態に係る機械式駐車装置40は、その特徴部分として、図1(a)及び図2に示されるコンベア連動機構42と、コンベア連動機構42の制御手段44とを具備している。又、走行台車26の車幅方向端部にのみ、車両検知センサ46が設けられている。なお、本発明の実施の形態では、車両検知センサ46は、例えば光電管等を用いた遮光型センサが用いられ、その設置位置は、走行台車26の走行に支障を生じない範囲内で、可能な限り走行台車26の車幅方向端寄りに設けられていることが望ましい。又、車両検知センサ46は、走行台車26にのみ設けられていれば良く、各駐車ます32への設置は不用である。
【0021】
又、機械式駐車装置40は、走行台車26にのみ、コンベア34の送り量センサ64が設けられている。コンベアの送り量センサ64は、コンベア34を駆動するモータ66の回転数を検出するロータリエンコーダにより構成されているが、他形式の送り量センサを用いることも可能である。なお、説明の便宜上、コンベア連動機構42の制御手段44は、図1(a)及び図2にのみ示されている。又、機械式駐車装置40の基本的構成については、図7、図8に示された従来の機械式駐車装置10と同様であることから、詳しい説明を省略する。
【0022】
コンベア連動機構42は、各駐車ます32毎に設けられた、駐車ます32のコンベア32に連動する従動歯車48(図1)と、走行台車26に設けられた、走行路28と直交する方向に移動する可動フレーム50(図2)と、可動フレーム50の端部に軸支された駆動歯車52とを備えている。ここで、駆動歯車52は、走行台車26のコンベア34に連動すると共に従動歯車48に噛み合うことで、走行台車26に設けられた動力源(電動モータ)54(図2)から駐車ます32のコンベア38へと動力伝達を行うものである。
【0023】
又、コンベア連動機構42の制御手段44は、駆動歯車52及び従動歯車48の当接を検知する圧力センサ56と、可動フレーム50の位置センサ58と、処理装置60とを備えるものである。
可動フレーム50は、図示の例では油圧シリンダによって駆動されるものであり、圧力センサ56は、油圧シリンダの油圧を検知する油圧センサ用いられている。又、位置センサ58は、可動フレーム50が、駆動歯車52及び従動歯車48の正しい噛み合い位置まで移動したことを検知するものである。
【0024】
図示の例では、位置センサ58には近接センサが用いられ、図3に示されるように中立位置(59C)、左定位置(59L)、右定位置(59R)、左行き過ぎ検知(59Lov)、右行き過ぎ検知(59Rov)を行うための、複数のドグ59が、適切な位置に設けられている。
又、処理装置60は電子計算機からなり、必要に応じて、機械式駐車装置40の中央制御装置により構成されても良く、又、走行台車26の制御装置により構成されても良い。更に、処理装置60は制御ロジック62を具備している。この制御ロジック62は、図4、図5の通りであり、以下に順を追って説明する。
【0025】
(100)処理装置60は、可動フレーム50を走行台車26上の中立位置から入出庫に係る駐車ます32の方向へと移動させることで、駆動歯車52と従動歯車48との噛み合い動作を開始する。
(110)処理装置60は、圧力センサ56がONとなるまで、可動フレーム50の移動を継続する。
(120)処理装置60は、圧力センサ56がONのとき、位置センサ58もONか否かを把握する。
(130)ステップ120において、位置センサ58もONであるとき、処理装置60は、駆動歯車52及び従動歯車48が正しく噛み合った状態(図6(d)参照)と判断し、走行台車26及び駐車ます32のコンベア34、38を連動させて、相互間の車両24の移載作業を行う。
(140)一定の送り量で、車両24を走行台車26から駐車ます32へと送り込み、移載を完了する。
【0026】
(150)ステップ120において、位置センサ58はOFFであるとき、処理装置60は、図6(b)に示されるように、駆動歯車52及び従動歯車48の歯先52a、48a同士が衝突した状態と判断し、可動フレーム50を所定量だけ戻す。本実施の形態では、可動フレーム50を走行台車26上の中立位置へと戻すことにより、図6(c)に示されるように、駆動歯車52を従動歯車48から一旦引き離す。
(160)処理装置60は、駆動歯車52を一定量回転させることで、従動歯車48に対する駆動歯車52の回転位相の補正を実施する。なお、この駆動歯車52の回転に連動して、走行台車26のコンベア34が作動し、走行台車26上の車両24が駐車ます32側へと送られることから、このときの送り量a(図1(b)参照)を、コンベア34の送り量センサ64により計測する。
なお、このコンベア34の送り量の計測は、走行台車26から駐車ます32への、車両24の入庫の際にのみ行う。その理由は、駐車ます32から走行台車26への、車両24の出庫の際には、走行台車26に設けられた車両検知センサ46及びコンベアの送り量センサ64の検出結果から、出庫に係る車両24の車幅を正確に把握することが可能であり、出庫の際に要求されるコンベア34、38の送り量を正確に割出すことが可能であることによるものである。
【0027】
(200)ステップ160の駆動歯車52の補正を実行した後、処理装置60は、可動フレーム50を再び走行台車26上の中立位置から入出庫に係る駐車ます32の方向へと移動させ、駆動歯車52と従動歯車48との噛み合わせを再実行する。
(210)処理装置60は、圧力センサ56がONとなるまで、可動フレーム50の移動を継続する。
(220)処理装置60は、圧力センサ56がONのとき、位置センサ58もONか否かを把握する。
(230)ステップ220において、位置センサ58もONであるとき、処理装置60は、駆動歯車52及び従動歯車48が正しく噛み合った状態(図6(d)参照)と判断し、走行台車26及び駐車ます32のコンベア34、38を連動させて、相互間の車両24の移載作業を行う。
(240)処理装置60は、ステップ160にて計測された走行台車26のコンベア34の送り量を考慮して、入庫に係る車両の送り量を決定する。具体的には、ステップ160で実施された、駆動歯車52と従動歯車48との歯先同士が衝突した状態を解消すべく、駆動歯車52の回転位相を変更することにより生じるコンベア34の送り、すなわち、車両24の位置のズレa(図1(b)参照)を考慮して、入庫に係る車両24の総送り量Lから、ズレaを差し引いた量(図1(c)参照)「L−a」を、入庫に係る車両24の送り量とする。
(250)ステップ240で決定された送り量で、車両24を走行台車26から駐車ます32へと送り込み、移載を完了する。
【0028】
(260)ステップ220において、位置センサ58はOFFであるとき、処理装置60は、既に実施された、従動歯車48に対する駆動歯車52の回転位相の補正回数をチェックする。補正回数が閾値未満である場合には、ステップ150以降のステップを繰り返す。そして、例えば、2回目の補正の後の再実行により、圧力センサ56及び位置センサ58の何れもONとなったような場合には、駆動歯車の回転に連動するコンベアの送り量aを2回分積算し、ステップ240では「L−(a+a)」を入庫に係る車両24の送り量とすることで、入庫に係る車両の最終的な送り量を適切なものにする。
一方、既に実施された、従動歯車48に対する駆動歯車52の回転位相の補正回数が、閾値以上である場合には、駆動歯車52と従動歯車48との噛み合わせを強制的に実行するステップ(ステップ300〜)へと移行する。
なお、閾値については、補正を繰り返すことによるタイムロスを考慮して決定されるものであり、本実施の形態では、補正回数3回を閾値としている。
【0029】
(300)ステップ260において、既に実施された、従動歯車48に対する駆動歯車52の回転位相の補正回数が、閾値以上であると把握された場合には、処理装置60は、駆動歯車52を一定量回転させる。又、このときのコンベア34の送り量を、コンベア34の送り量センサ64により計測する。
(310)処理装置60は、可動フレーム50を戻すことなく、圧力センサ56がONとなるまで、入出庫に係る駐車ます32の方向へと可動フレーム50の移動を継続する。そして、駆動歯車52と従動歯車48との噛み合わせを強制的に実行する(図6(d)参照)。
(320)処理装置60は、走行台車26及び駐車ます32のコンベア34、38を連動させて、相互間の車両24の移載作業を行う。
(330)処理装置60は、ステップ160及びステップ300にて計測された走行台車26のコンベア34の送り量aを考慮して、入庫に係る車両の送り量を決定する。具体的には、2回目の補正の後に、駆動歯車52と従動歯車48との噛み合わせを強制的に実行する場合には、「L−{(a+a)+a}」を入庫に係る車両24の送り量とすることで、入庫に係る車両の最終的な送り量を適切なものにする。
(340)ステップ330で決定された、送り量で、車両24を走行台車26から駐車ます32へと送り込み、移載を完了する。
【0030】
上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、処理装置60は、可動フレーム50を走行台車26上の中立位置から入出庫に係る駐車ます32の方向へと移動させ(ステップ100、200)、この際、圧力センサ56がONでかつ位置センサ58がOFFであるとき、駆動歯車52及び従動歯車48の歯先同士が衝突した状態(図6(b))と判断し(ステップ150)、圧力センサ56がONでかつ位置センサ58もONであるとき(ステップ120、220)、駆動歯車52及び従動歯車48が正しく噛み合った状態(図6(d))と判断するものである。
このように、圧力センサ56と位置センサ58との検知状態に基づき、コンベア連動機構42の駆動歯車52及び従動歯車48の係合状況を正確に把握し、駆動歯車52と従動歯車48とが正しく噛み合っていない状態、特に、駆動歯車52と従動歯車48との歯先52a、48a同士が衝突した状態(図6(b))で、両歯車52、48の噛み合わせを無理に行うことによる、両歯車52、48の破損の可能性を低減することができる。
【0031】
又、処理装置60は、車両24の入出庫の際に、可動フレーム50を走行台車26上の中立位置から入出庫に係る駐車ます32の方向へと移動させ、この際、駆動歯車52と従動歯車48との歯先52a、48a同士が衝突した状態と判断される場合に(ステップ120、220)、可動フレーム50を所定量だけ戻し(ステップ150)、駆動歯車52を一定量回転させ(ステップ160)、その後、駆動歯車52と従動歯車48との噛み合わせを再実行することで(ステップ200)、駆動歯車52と従動歯車48との歯先52a、48a同士が衝突した状態を、駆動歯車52の回転位相を変更することにより解消するものである。よって、両歯車52、48の噛み合わせを無理に行うことによる、両歯車52、48の破損の可能性を低減することが可能となる。
【0032】
又、処理装置60は、車両24の入出庫の際に、可動フレーム50を走行台車26上の中立位置から入出庫に係る駐車ます32の方向へと移動させ、この際、駆動歯車52と従動歯車48との噛み合わせを所定回数だけ再実行した時点で(ステップ220)、圧力センサ56がONでかつ位置センサ58がOFFであるとき、駆動歯車を一定量回転させ(ステップ300)、かつ、位置センサ58がONとなるまで可動フレーム50を入出庫に係る駐車ます32の方向へと移動させる(ステップ310)。このように、駆動歯車52と従動歯車50との噛み合わせを強制的に実行することで、駆動歯車52と従動歯車48との非接触の状態を強制的に解消し、両歯車52、48の噛み合わせを、確実に行うものである。
【0033】
又、処理装置60は、駆動歯車52と従動歯車48との歯先52a、48a同士が衝突した状態(図6(b))を解消すべく、駆動歯車52の回転位相を変更することにより生じるコンベア34の送り、すなわち、車両位置のズレaを考慮して、入庫に係る車両の総送り量を、適切なものとすることができる(ステップ240、330)。しかも、駆動歯車52を一定量回転させる作業を複数回行う場合であっても、駆動歯車52の回転に連動するコンベアの送り量を積算することで、入庫に係る車両の最終的な送り量を適切なものにすることができる。
【0034】
以上のごとく、本発明の実施の形態では、走行台車26から駐車ます32への車両24の入庫を行う場合を例示して説明したが、駐車ます32から走行台車26への車両24の出庫を行う場合にも、同様に適用することが可能である。なお、駐車ます32から走行台車26への、車両24の出庫の際には、走行台車26に設けられた車両検知センサ46及びコンベアの送り量センサ64の検出結果から、出庫に係る車両24の車幅を正確に把握することが可能であり、出庫の際に要求されるコンベア34、38の送り量を正確に割出すことが可能である。よって、駆動歯車52の回転位相を変更することにより生じるコンベア34の送りを考慮して、入庫に係る車両の総送り量を適切なものに補正する作業(ステップ240、330)を省略することができる。
又、本発明の実施の形態を、同時に二台の車両24を入庫することが可能な複列駐車ます30に対して車両24の入出庫を行う場合にも、同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態に係る機械式駐車装置の要部を概略的に示すと共に、その制御方法を示す模式図であり、(a)は、走行台車から駐車ますへの車両の入庫を開始した状態を、(b)は、駆動歯車と従動歯車との歯先同士が衝突した状態を解消すべく、駆動歯車の回転位相を補正している状態を、(c)は、駆動歯車及び従動歯車が正しく噛み合い、走行台車及び駐車ますのコンベアを連動させて、車両の入庫を完了した状態を示すものである。
【図2】図1に示される機械式駐車装置の、走行台車の要部平面図である。
【図3】図2の矢視A−A図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る機械式駐車装置の制御方法の、フローチャートである。
【図5】図4に続く、本発明の実施の形態に係る機械式駐車装置の制御方法の、フローチャートである。
【図6】駆動歯車及び従動歯車の噛み合い状態を示す図であり、(a)は駆動歯車と従動歯車との非噛み合い状態を、(b)は駆動歯車と従動歯車との歯先同士が衝突した状態を、(c)は駆動歯車と従動歯車との歯先同士が衝突した状態を解消すべく、駆動歯車の回転位相を補正している状態を、(d)は駆動歯車及び従動歯車が正しく噛み合った状態を示すものである。
【図7】従来の機械式駐車装置の全体的構成を示す斜視図である。
【図8】図7に示される機械式駐車装置の、駐車スペース設けられた走行台車と、走行台車の走行路と、走行路の左右両側に沿って縦列配置された複数の複列駐車ますとを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
24:車両、26:走行台車、32:駐車ます、 34、38:コンベア、 40:機械式駐車装置、42:コンベア連動機構、44:制御手段、48:従動歯車、50:可動フレーム、52:駆動歯車、56:位置センサ、58:圧力センサ、60:処理装置、62:制御ロジック、64:コンベアの送り量センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入出庫に係る車両を搬送する走行台車と、該走行台車の走行路に沿って配置された複数の駐車ますと、前記走行台車及び前記複数の駐車ますの各々に設けられた相互間の車両移載用のコンベアと、前記走行台車及び前記駐車ますのコンベア連動機構と、該コンベア連動機構の制御手段とを含む機械式駐車装置であって、
前記コンベア連動機構は、前記各駐車ます毎に設けられた、駐車ますのコンベアに連動する従動歯車と、前記走行台車に設けられた、前記走行路と直交する方向に移動する可動フレームと、該可動フレームの端部に軸支され、走行台車のコンベアに連動すると共に前記従動歯車に噛み合うことで走行台車に設けられた動力源から駐車ますのコンベアへと動力伝達を行う駆動歯車とを備え、
前記コンベア連動機構の制御手段は、前記駆動歯車と前記従動歯車との当接を検知する圧力センサと、前記可動フレームが前記駆動歯車及び前記従動歯車の正しい噛み合い位置まで移動したことを検知する位置センサと、
前記可動フレームを前記走行台車上の中立位置から入出庫に係る駐車ますの方向へと移動させ、この際、前記圧力センサがONでかつ前記位置センサがOFFであるとき、前記駆動歯車及び前記従動歯車の歯先同士が衝突した状態と判断し、前記圧力センサがONでかつ前記位置センサもONであるとき、前記駆動歯車及び前記従動歯車が正しく噛み合った状態と判断する制御ロジックを含む処理装置とを備えることを特徴とする機械式駐車装置。
【請求項2】
前記処理装置には、前記駆動歯車と前記従動歯車との歯先同士が衝突した状態と判断される場合に、前記可動フレームを所定量だけ戻し、前記駆動歯車を一定量回転させた後、前記駆動歯車と前記従動歯車との噛み合わせを再実行する制御ロジックが含まれることを特徴とする請求項1記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記処理装置には、前記駆動歯車と前記従動歯車との噛み合わせを所定回数だけ再実行した時点で、前記圧力センサがONでかつ前記位置センサがOFFであるとき、前記駆動歯車を一定量回転させ、かつ、前記位置センサがONとなるまで前記可動フレームを入出庫に係る駐車ますの方向へと移動させる制御ロジックが含まれることを特徴とする請求項1又は2記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
前記走行台車には、前記コンベアの送り量センサが設けられ、前記処理装置には、前記駆動歯車を一定量回転させる場合に、前記駆動歯車の回転に連動するコンベアの送り量を前記送り量センサによって計測し、
前記走行台車から前記駐車ますへの車両の入庫の際には、前記計測したコンベアの送り量を考慮して入庫に係る車両の送り量を決定する制御ロジックが含まれることを特徴とする請求項3記載の機械式駐車装置。
【請求項5】
入出庫に係る車両を搬送する走行台車と、該走行台車の走行路に沿って配置された複数の駐車ますと、前記走行台車及び前記複数の駐車ますの各々に設けられた相互間の車両移載用のコンベアと、前記走行台車及び前記駐車ますのコンベア連動機構と、該コンベア連動機構の制御手段とを含み、前記コンベア連動機構は、前記各駐車ます毎に設けられた、駐車ますのコンベアに連動する従動歯車と、前記走行台車に設けられた、前記走行路と直交する方向に移動する可動フレームと、該可動フレームの端部に軸支され、走行台車のコンベアに連動すると共に前記従動歯車に噛み合うことで走行台車に設けられた動力源から駐車ますのコンベアへと動力伝達を行う駆動歯車と、前記駆動歯車と前記従動歯車との当接を検知する圧力センサと、前記可動フレームが前記駆動歯車及び前記従動歯車の正しい噛み合い位置まで移動したことを検知する位置センサと、前記コンベアの送り量センサとを備える機械式駐車装置において、
前記走行台車と前記駐車ますとの相互間の車両移載時に、前記可動フレームを前記走行台車の中立位置から入出庫に係る駐車ますの方向へと移動させ、この際、
前記圧力センサがONでかつ前記位置センサがOFFであるとき、前記駆動歯車及び前記従動歯車の歯先同士が衝突した状態と判断し、前記可動フレームを所定量だけ戻し、前記駆動歯車を一定量回転させた後、前記駆動歯車と前記従動歯車との噛み合わせを再実行し、
前記圧力センサがONでかつ前記位置センサもONであるとき、前記駆動歯車及び前記従動歯車が正しく噛み合った状態と判断し、走行台車及び前記駐車ますのコンベアを連動させて、相互間の車両の移載作業を行うことを特徴とする機械式駐車装置の制御方法。
【請求項6】
前記駆動歯車と前記従動歯車との噛み合わせを所定回数だけ再実行した時点で、前記圧力センサがONでかつ前記位置センサがOFFであるとき、前記駆動歯車を一定量回転させ、かつ、前記位置センサがONとなるまで、前記可動フレームを入出庫に係る駐車ますの方向へと移動させることを特徴とする請求項5記載の機械式駐車装置の制御方法。
【請求項7】
前記駆動歯車を一定量回転させる場合に、前記駆動歯車の回転に連動するコンベアの送り量を前記コンベアの送り量センサで計測し、前記走行台車から前記駐車ますへの車両の入庫の際に前記該計測したコンベアの送り量を考慮して、入庫に係る車両の送り量を決定することを特徴とする請求項5又は6記載の機械式駐車装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−263924(P2009−263924A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112670(P2008−112670)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000003377)東急車輛製造株式会社 (332)