機械的に取付けられるサワー環境用の継手
サワー環境でパイプ16と連結する継手10は、連結本体12と、連結本体12の端部42の上に嵌合されるように位置するリング14と、連結本体12の内表面に形成される主要シール30と、主要シール30に隣接して位置する移行区画24、26と、連結本体12の内表面に形成される中央寄りのシール32と、連結本体12の内表面に形成される外側寄りのシール34とを含む。移行区画24、26は、連結本体12の内表面の刻み目として形成され、第1の直径を有する第1の部分および第2の直径を有する第2の部分を有し、第1の直径は第2の直径よりも大きい。リング14が力によって連結本体12の少なくとも一端の上に嵌合されると、リング14および連結本体12が、主要シール30、
外側寄りのシール34、および中央寄りのシール32に連結力を加えて、漏れがない形でパイプ16が連結本体12に接続される。継手10は低合金炭素鋼材料で作製される。主要シール30は、第1の歯50、第2の歯52、および第3の歯54を含む。
外側寄りのシール34、および中央寄りのシール32に連結力を加えて、漏れがない形でパイプ16が連結本体12に接続される。継手10は低合金炭素鋼材料で作製される。主要シール30は、第1の歯50、第2の歯52、および第3の歯54を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年1月4日出願の米国仮特許出願第61/292,122号に対する優先権を主張し、その開示の全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
この技術は流体継手に関する。詳細には、この技術は、サワー用途に使用される、パイプを機械的に取り付け封止する流体継手に関する。
【背景技術】
【0003】
水の存在下でのH2Sによって、腐食、割れ、またはふくれの状態で炭素鋼パイプラインに損傷が起こることがある。H2Sの鋼への影響は、硫化物応力割れ(SSC:sulphide stress cracking)などの外部応力を必要とするもの、水素誘起割れ(HIC:hydrogen induced cracking)などの外部応力を必要としないもの、ならびに腐食として分類することができる。サワー環境中の二酸化炭素の存在は、鋼の腐食速度を増加させる傾向がある。また、SSCおよびHIC両方に対する鋼の感受性も増加させることがあるとともに、HICに対する影響がより顕著になる。
SSCは、印加される外部応力または残留している外部応力を受けて発達する、初期の単一かつ直線的な粒内割れによって特徴付けられる。それは、腐食ピット(もしくは応力集中部として作用することがある他の特徴)で、または水素割れメカニズム(例えば、ふくれ)を通して始まり、次に印加応力の方向に対して垂直な脆性破壊へと伝搬することがある。高強度鋼におけるSSCは、相当な分岐(branching)を有する傾向があるが、低強度鋼の場合はほとんどそれを有さない。SSCは、溶接部で、または溶接部近辺の熱影響部で生じることがある。通常、SSCは、550メガパスカル(MPa)超過の引張り強さを備えた炭素鋼で生じる。しかし、SSCの破損は550MPa未満の引張り強さを備えた鋼でも生じていた。これは主として、溶接物を急速冷却して、局所的な高硬度領域が作り出されることによる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,467,752号
【特許文献2】米国特許第7,575,257号
【特許文献3】米国特許第6,692,040号
【特許文献4】米国特許第6,131,964号
【特許文献5】米国特許第5,709,418号
【特許文献6】米国特許第5,305,510号
【特許文献7】米国特許第5,110,163号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
HICは、通常、溶接部では生じず、むしろスラグ介在物を有するパイプ本体領域で生じる。スラグ介在物は、拡散する水素の回収場所としての役割を果たす。HICは、直線状の割れおよび段階的な割れという2つの基本的な形態を伴う。HICは、外部応力の存在とともに、またはその存在なしで、RC22を大きく下回る硬度値を備えた低強度鋼で生じることがある。鋼表面の腐食は原子状水素(atomic hydrogen)を生み出す。この原子状水素が、金属の自然発生的な不規則部分(非金属介在物および積層など)で捕捉されるまで、鋼に浸透し拡散する。この原子状水素は、水素分子に組み込まれ、鋼の降伏強さを超えてふくれを形成するのに十分な大きさまでガス圧を高める。隣接するふくれは、通常は鋼の圧延方向に平行な割れとして伝搬することがある。
【0006】
HICに関連した別の現象は、鋼管および溶接継手における水素脆化である。水素脆化は、一般に、水素浸透の結果としての金属の延性損失を意味する。水素脆化に対する感受性は、材料の化学的性質(chemistry)および微細構造に依存する。したがって、パイプおよび溶接物の異なる領域が、水素の存在によって異なったように脆化することがある。したがって、サワー用途では、溶接の使用を回避することが望ましい。それに加えて、場所、厳しい条件、ガスの存在などに起因するか否かにかかわらず、特定の環境では溶接が困難なことがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に記載される教示に従って、サワー環境におけるパイプ連結用の継手が記載される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】2つのパイプをともに連結するための対向する端部を有する、一例の継手を示す斜視図である。
【図2】図1に例示した継手を示す平面図である。
【図3】図1に例示した継手の断面図であり、連結されていない継手の端部にあるリングを示す図である。
【図4】図1に例示した継手の一端またはスリーブを示す断面図である。
【図5】図1に例示した継手の本体におけるシール面の一部を示す分解組立図である。
【図6】図1に例示した継手の一端またはスリーブを示す断面図であり、パイプが本体内部に位置した状態で本体の端部に部分的に装着されたリングを示す図である。
【図7】図6に類似した断面図であるが、本体の端部に完全に装着された位置にあるリングおよびそれに関連するスリーブおよびパイプの変形を示す図である。
【図8】図7に類似した断面図であるが、互いに重なり合う様々な部品の部分を示す図である。
【図9】パイプに連結する単一の端部と、その反対側の端部に画定されたフランジとを有する代替例の継手を示す斜視図である。
【図10】図9に例示した継手の平面図である。
【図11】図9に例示した継手の右端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一例の継手10は、溶接を、機械的に取付けられる継手(機械取付け継手)と置き換えるのに利用される。機械取付け継手は、腐食プロセス流体もしくはガス(硫化水素など)の存在下など、NACE(防蝕技術協会)環境または用途で使用するのに適する。従来の溶接継手に代えて機械取付け継手10を使用することによって、コストが低減されるとともに、継手の品質、安全性、および信頼性が改善される。例示の継手10を、1/4インチ(0.64cm)NPS〜4インチ(10.16cm)NPSのサイズ範囲などの薄肉パイプまたは厚肉パイプのいずれかを接続するのに利用してもよいが、他のパイプサイズもこの例示の継手10から利益を得てもよい。
【0010】
例示の継手10は、添付図面に示されるように、円筒状のコンタクト領域の長さに沿って、駆動リング14、本体12、およびパイプ16の間で予め定められた干渉比(ratio of interference)を含む。例示の継手10は、パイプ16に装着することができ、破裂および熱膨張(曲げ疲れ)に関するASME B31の適格要件を満たす。例示の継手10はまた、腐食媒体に暴露される継手/パイプの加工硬化(work hardening)に対する嵌合圧縮(fitting compression)の影響を最小限に抑える。これにより、例示の継手10を組み込む継手/パイプアセンブリがNACE TM0177腐食試験の要件を満たすことができる。
【0011】
図1〜8は、シール30、32、34の間の移行区画24、26とともに、パイプ16と、継手10の本体12の内表面3に画定されるシール30、32、34との間の直径方向および軸線方向の関係を示す。また、図1〜8は、本体12の外部22とリング14の内表面との間の直径方向および軸線方向の関係も示す。例示の継手10は、AISI−SAE 4130低合金等級の炭素鋼材料から作製される。継手の幾何学形状と材料の組み合わせによって、NACE用途における条件を満たす継手性能がもたらされる。
【0012】
図1〜8に示される例は、パイプ本体16を受け入れるようにそれぞれ構成された、2つの対向する端部42a、42bを有する継手10である。図9〜11に示される例は、パイプ本体16を受け入れる単一の端部42aを有し、他方の端部はフランジ18として役立つ。他のタイプの継手も本明細書の教示を利用してもよい。
【0013】
図1を参照すると、継手10は、連結本体12および少なくとも1つのスエージリング14を含む。図1〜8に示される例は2つのスエージリング14を有し、一方で図9〜11に示される例は1つのスエージリング14を有する。連結本体12およびリング14はともに、パイプ本体16を継手10に接合するのに利用される。構成要素は、中心軸を中心にしてほぼ対称である。
【0014】
連結本体12は、第1のスリーブ12a(図2の連結本体12の右側を形成する)および第2のスリーブ12b(図2の連結本体12の左側を形成する)を含む。第1のスリーブ12aは第1のパイプ本体16を受け入れるものであり、第2のスリーブ12bは第2のパイプ本体16を受け入れるものである。以下で詳述するように、スエージリング14がパイプ区画16を受け入れた個々のスリーブ12a、12bに軸線方向で押し付けられると、スリーブ12a、12bは管またはパイプ区画に機械的に接続され、それを封止する。本体内部は、パイプ16が本体12内部に入り込む軸線方向移動を止める停止部80を有する。
【0015】
連結本体12およびスエージリング14は、AISI−SAE 4130低合金等級の炭素鋼など、高強度の低合金炭素鋼で形成される。他の炭素鋼としては、UNS413000およびUNS414000等級が挙げられる。炭素鋼の化学組成は、NACE用途に使用されるプロセス薬品と適合性があり、厳しい環境条件下でわずかな腐食、厳しい環境条件下での有効性を示し、顧客に容認される材料である。それに加えて、炭素鋼は、例示の継手10の機械的負荷要件のあらゆる局面をサポートすることができる性質を有する。当業者には知られているように、他の材料も所望に応じて利用してもよい。但し、溶接の必要性を回避するため、サワー用途においては炭素鋼を利用することが有利である。上述したように、パイプ16のサイズは変動してもよく、例示の継手10は特定のパイプサイズに限定されない。
【0016】
図9〜11を参照すると、継手10の正確な構成は変動することができ、必ずしも図1〜8に示される同軸構成の2つのスリーブ12a、12bを含まなくてもよい。例えば、継手10は、一体的に形成するか、または別の構成要素もしくは別のタイプの継手と接続するように構成してもよい。また、継手10は、1つまたは複数の対応するパイプ16に接続するように様々な位置で延在する任意の数のスリーブを有してもよい。特定の例としては、継手およびボール弁の組み合わせとすることができ、その場合、継手10は、参照により全体が本明細書に明示的に組み込まれる同一出願人による米国特許第6,467,752号に記載されるのと同様の形で、ボール弁と組み合わせ可能である。同一出願人による米国特許第7,575,257号、第6,692,040号、第6,131,964号、第5,709,418号、第5,305,510号、および第5,110,163号も、参照により全体が本明細書に明示的に組み込まれる。図9〜11に示される例は、一方の側のスリーブ12aと他方の側の垂直フランジ18とを有する。フランジ18を表面に連結するため、フランジ18は、シール面28とボルトを受け入れる孔38とを含む。継手の幾何学形状は、溶接管継手を必要とするすべてが単一体になった図9〜11に示されるフランジなどの構成、または標準的なASME継手の他の標準的な構成にすることができる。
【0017】
図3に示すように、継手10は軸線方向でそれ自体の鏡像である。したがって、スリーブ12aについてのいかなる考察もスリーブ12bに適用可能であり、繰り返さないこととする。
【0018】
スリーブ12aは、円周方向のフランジまたは隆起部20を含む。フランジまたは隆起部20は、本体12の外表面22から半径方向外側に延在する。隆起部20は、当業者には知られているように、継手10をパイプ本体16に接続するときに、スリーブ12aを隣接したスエージリング14に接合するのに使用される。リング14をフランジ20に対して駆動するのに工具(図示なし)が使用されてもよい。
【0019】
図3〜5を参照すると、スリーブ12aは、連結本体12とパイプ16の間を封止するとともに連結本体12をパイプ16に機械的に接続する、複数の離隔したシールを含む。これらのシールには、主要シール30、中央寄りの(inboard)シール32、および外側寄りの(outboard)シール34が含まれる。シール30、32、34は、連結本体12の内表面36から内側に延在する。本明細書で使用するとき、「中央寄りの」および「外側寄りの」という用語は、全体として、外部フランジ20または端部42などからの、相対的な軸線方向の間隔を示すのに使用される。したがって、外側寄りのシール34は、中央寄りのシール32よりも長い距離だけ、フランジ20に対して軸線方向で離隔される。外側寄りのシール34は、パイプラインの内圧に対するバックアップとして使用される安全シールである。外側寄りのシール34はまた、外部環境からの湿気または汚れなど、外部環境がシールに入り込むのを制限するように機能する。二重の外側寄りのシール34が設けられ、パイプの低い表面品質によって封止がより困難なことがある場合など、厳しい環境に有用である。適用例としては、北海またはアラスカなどの場所に位置する、陸上または沖合いの石油掘削装置が挙げられるであろう。二重シール34は追加の保護を提供するのに利用される。一方のシールが故障した場合、他方のシールがバックアップとして役立つ。外側寄りのシール34は、以下で詳述する台形の主要シールをより小さくしたものであり、外側寄りのシール34を構成する2つのシールはブレンド半径(blending radius)によって互いに融合される。
【0020】
図3〜8を参照すると、主要シール30は、主要な流体シールおよびパイプ16との機械的接続を提供するのに役立つ。主要シール30は、連結本体12のフランジ20および端部42から軸線方向に離隔した、第1の歯50、第2の歯52、および第3の歯54を含む。歯50、52、54は、溝44によって互いからわずかに分離される。移行区画または壁区画24、26は、主要シール30の前後に位置する。移行区画24、26は、歯50、52、54をパイプ16に押し込むのに、または駆動リング14の形状に適応させるのに使用される。移行区画24、26はまた、スリーブ12aがパイプ16上を減圧することを可能にする。移行区画24、26はまた、3つの主要シール歯50、52、54がともに噛合することを可能にし、結果としてパイプ16との接合がより良好になる。図5および8は、ある種の変形または食付き(biting)を必要とする、本体12とリング14との間の重なり合い領域84を示す。リングがこの領域84で本体を越えて移動するため、歯のいずれかがパイプ16に食い付かなければならないか、パイプ16が変形しなければならないか、あるいはリング14および/または本体12が変形しなければならない。
【0021】
主要シールの外側寄りに位置する移行区画26は、パイプ壁16から離れる方向で第1の直径へと、次に第2の直径へと直径が減少する傾斜を有する。外側寄りの移行区画26は、第1の直径を有する第1の部分と第2の直径を有する第2の部分とを有する。第2の部分の壁の第2の直径は、第2の直径に到達する地点から外側寄りのシール34に達するまで、ほぼ一定である。
【0022】
第2の中央寄りの移行区画は、主要シール30の中央寄りに位置する。中央寄りの移行区画は、外側寄りの移行区画と同様に、第1の直径を有する第1の部分と第2の直径を有する第2の部分とを有する。中央寄りのシール32がどれだけ近接しているかに応じて、第2の部分の長さは第1の移行区画の場合よりも短い。
【0023】
図5に示されるように、主要シール30の第2の歯52および第3の歯54は、台形の断面を有し、パイプ壁16に対して第1の直径D1で内側に離隔している。歯の面まで下向きに延びる側壁の角度はほぼ等しい。歯50、52、54の台形形状は、従来の設計の場合よりも堅牢であり、パイプ16を押し下げるより多くの質量を提供する。歯の質量は従来の設計に比べて2倍である。歯50、52、54はまた、より低品質であり得るパイプの外径面に連結本体12を装着することに関連する問題に対処するため、従来技術で知られているものよりも質量が大きい。
【0024】
それに加えて、主要シール30の歯50、52、54は、各歯50、52、54の根元の半径によって、スリーブ12aの内壁に融合される。これは、応力を減少させ、壁の破損を防止する助けとなる。各歯50、52、54の根元の半径は、応力集中の可能性を低減するように最適化されてもよい。
【0025】
第1の歯50も台形の断面を有し、パイプ壁16に対して第2の直径D2で内側に離隔している。第2の直径D2は、第2の歯52、第3の歯54の第1の直径D1の間隔よりも大きい。移行区画24、26は、リング14がスリーブ12aの外表面の上に押し付けられるにつれて、歯50、52、54をパイプ16に押し込むのを助けるのに使用される。
【0026】
中央寄りのシール32は、主要シール30とフランジ20との間に位置する。主要シール30と同じく、中央寄りのシール32はパイプ16との流体シールおよび機械的接続をもたらす。中央寄りのシール32は単一の歯であるが、1つまたは複数の適切な溝44によって互いに分離可能な複数の歯によって形成することができる。中央寄りの移行区画24は、中央寄りのシール32と主要シール30との間に位置する。
【0027】
図6および7を参照すると、本体12は、少なくとも1つの耐ねじれ隆起部(anti-torsion ridge)70をさらに含む。本明細書では、単純にするために耐ねじれ隆起部を「ねじれ隆起部」と呼ぶ。ねじれ隆起部70の位置を、外側寄りのシール34とスリーブ12aの端部42との間に示しているが、ねじれ隆起部70は主要シール30と外側寄りのシール34との間に位置してもよい。ねじれ隆起部70は主に、本体12とパイプ16との間のねじれ荷重を支えるために設けられる。耐ねじれ隆起部70は、主要シール30によるパイプ16の直径の減少がねじれ隆起部70とパイプ16との間の係合に干渉しないように十分な距離だけ、主要シール30から軸線方向外側に離隔される。ねじれ隆起部70は、好ましくは、ねじれ荷重により良好に抵抗するため、摩擦表面を有する。この摩擦表面は、ローレット切り、ブローチ削りなどによって形成することができる。
【0028】
図4を参照すると、本体12の外表面22は、ランド46と端部42との間の内部部分(interior portion)56を有する。内部部分56は、ランド46およびフランジ20よりも相対的に小さい直径を有する。本体12の内部部分56は、端部42に隣接した摩擦増加区画58を有する。摩擦増加区画58は、係止メカニズムまたは緩み防止溝(anti-backoff grooves)とも呼ばれる。摩擦区画58は、複数の隆起部60を含む。隆起部60は、スエージリング14が本体12に完全に装着されると、スエージリング14を連結本体12上でより良好に保定する。摩擦隆起部60は、スエージリング14が本体12から滑り落ちるかまたは外れるのを防ぐ助けとなる。端部42に隣接して設けられる別の特徴は、約20°以上のテーパ角を好ましくは有するテーパ62である。テーパ62は、スエージリング14を本体12上に最初に装着する助けとなる。スリーブ12aの外表面22は、部分56とランド46との間に位置する傾斜区画48を有する。それに加えて、別の傾斜66がフランジ20に隣接して位置する。
【0029】
スエージリングまたは駆動リング14は、シール30、32、34がパイプ16に食い付いて、本体12とパイプ16を封止するとともに機械的に接続するため、スリーブ12aの上に環状に受け入れられ、フランジ20に向かってスリーブ12aに沿って軸線方向で押しやられるようにサイズ決めされる。スエージリング14は、中央寄りの部分14aおよび外側寄りの部分14bを含む。外側寄りの部分14bまたはリング14は、中央寄りの部分14aよりも全体的に厚い。リング14は端部14bの第1のランド68を含み、第1のランド68は、複数の隆起部60を含む。隆起部60は、本体の摩擦区画58と噛合する摩擦区画72を形成する。第1のランド68は、第1の上昇(ramped up)部分82に接続される。第1の上昇部分82は、リング14をスリーブ12a上で心出しするのを助け、また干渉部分をスリーブ12a上に送り込み導くのを助ける先行面として役立つ。一般に、リング14の表面は、リング14をスリーブの上に装着しやすくする助けとなる。
【0030】
スエージリング14は、内表面74をさらに含む。内表面74は全体的に円筒状で、端部14bで上昇区画76に連結される。表面66および56は圧縮面として役立つ。
【0031】
上昇部分76は、リングの内表面74よりも大きい直径を有する。図示されないが、当業者には知られているように、リング14はキックダウンテーパ(kickdown tapered)セグメントも含んでもよい。キックダウンセグメントは、リング14が完全に装着されたときに主要シール30の近傍に画定される隆起部とすることができる。上昇区画76の角度は傾斜48の角度にほぼ一致し、スエージリング14がランド46を越えて軸線方向で移動するのを容易にする。
【0032】
図6を参照すると、スエージリング14は、プレ装着位置にある連結本体12上に部分的に装着または事前組立てされて示される。この位置では、スエージリングの上昇区画76は、主要シールのランド区画74に隣接するが、それに対してわずかに離隔している。締まり嵌めによって、スエージリング14は維持され、連結本体12上にプレ装着位置で顧客に配送することができ、それによって最終エンドユーザによる使用および装着の容易さが促進される。
【0033】
図7を参照すると、パイプ16に対して継手10を機械的に接続し、パイプ16を封止する目的で、パイプ16が挿入された状態のスリーブ12aにスエージリング14を完全に装着するため、装着工具(図示なし)を使用して、工具係合フランジ20に向かってスエージリング14をスリーブ12a上にさらに押し込むことができる。パイプ16が挿入された状態の連結本体12上へとスエージリング14を軸線方向に移動させることによって、本体12の、特に本体12のシール30、32、34がパイプ16に向かって、またはパイプ16内へと半径方向に移動して、それらのシールおよび機械的接続が作り出される。それに加えて、パイプ16は変形し、連結本体12も変形する。
【0034】
本体12およびスエージリング14は、スエージリング14がプレ装着位置から最終装着位置へと移動するにつれて、装着シール30、32、34がすべて好ましい順序で一度に1つずつ連続してセットされ、回復負荷力が主要シール30に加えられるように構成される。先行するシールが完全にセットされるまで、まだセットされていないシールによるパイプ16との変形接触は存在しない。シールのセットとは、シールの1つまたは複数の歯がパイプ16と加締めされる、または変形接触するように押し込まれることを意味する。シールのセットは、シールの1つまたは複数の歯がパイプ16に完全に押し込まれたとき(例えば、スエージリング14の特定の区画によって内側に押し込まれた結果として、シール30もしくは32もしくは34の直ぐ反対側にある外表面22がそれ以上半径方向に移動しないとき)に、完了した(すなわち、完全にセットされた)とみなされる。
【0035】
あるいは、シールの完全なセットは、駆動リング14がシールの1つもしくは複数の歯をパイプ16の最も奥に押し込んでいるとき、または駆動リング14がシールを越えて移動するにつれて、駆動リング14の作動テーパ(actuating taper)が直径の一定した円筒状区画に対して平らになっているときとして定義することができる。パイプ16は、一般的に、シール30、32、34が表面に食い付き続け、パイプ16が可塑的に変形するか、または半径方向内側に移動し始めて、恒久的な変形をもたらすにつれて、その弾性限界を超えて応力を受けるようになる。図7に示されるように、主要シール30の歯50、52、54は、パイプ16に食い付き変形し、それら自体がある程度変形する。これは、パイプ16の外部に見られるあらゆる粗いまたは不規則な表面欠陥を埋めるように機能する。
【0036】
本体12が半径方向に移動し、パイプ16が変形するのと同時に、スエージリング14の半径方向外側への移動が生じる。スエージリング14のこの半径方向の移動は一般に弾性的であり、結果としてスエージリング14の直径がわずかだけ増加する。
【0037】
図7に示されるように、スエージリング14は、図示される最終装着位置へと軸線方向で本体のスリーブ12a上に押し付けられる。この位置では、スエージリング14は本体のフランジ20に当接するか、またはそれと係合する。あるいは、スエージリング14は、フランジ20と接触することなくそれと近接して位置することができる。最終装着位置では、シール30、32、34がすべてセットされるとともに、ねじれ隆起部70がパイプ16に食い付く。緩み防止溝とも呼ばれる、連結本体12の内部部分56の係止メカニズム58と、スエージリングの係止メカニズム72との間の協働は、スエージリング14自体が軸線方向でスリーブ12aから外れるのを防ぐか、または少なくともその可能性を低減する。
【0038】
歯、スエージリング14、およびパイプ16の変形に加えて、連結本体12も変形する。図7に示されるように、スリーブ12aの薄肉部分78はスエージリングの輪郭に沿う傾向がある。これは、リング14が様々なシールを連続して封止するにつれて、圧力閉込め(pressure containment)によって引き起こされる。このことは、半径方向外側に変形したスリーブ部分78が、駆動リング14を継手10上で保持する助けとなるという点で利益を有する。これは緩み防止溝58、72によってもたらされる助けに追加される。
[実施例]
【0039】
例示の継手10の試験を、炭素鋼4130タイプの材料を使用して行った。その際、A333/A106パイプに1.5インチ(3.81cm)および2インチ(5.08cm)の継手を用いた。アセンブリの内部暴露試験は、NACE TM0177溶液Aを使用して30日間の期間で行った。溶液Aは、0.5%の氷酢酸で酸性化した5%NaClである。試験は、室温(約76°F(24.44℃))のH2Sを1気圧にして行って、硫化物応力割れ(SSC)を評価した。溶液および試験標本を、最初にN2で脱気し、続いて一定期間にわたってH2Sを連続的にパージした。PHは最初は2.7であり、PHが3.8に達すると補充した。SCCまたは応力腐食の形跡は、いずれのサンプルでも観察されなかった。したがって、継手10は、NACE MR0175、NACE MR0103−2007、およびISO 15156に列挙されているH2S分圧温度制限内で、サワー運用用途に適していることがわかった。15psiaというH2Sの制限的な分圧で、任意の温度が可能である。好都合なことに、炭素鋼の一般に知られている材料および等級がサワー環境での継手として有効であることが見出され、それによって継手を互いに溶接する必要性が回避される。
【0040】
継手10をパイプ16上に装着するためには、パイプ16を連結本体12の開口部に滑り込ませる。次に、リング14を、フランジ20にほぼ接触するまでスリーブ12aの上に押し込む。
【0041】
継手10の様々な部品は、棒材、鍛造物、または管材から機械加工されてもよい。
【0042】
サワー環境でパイプ16と連結する例示の継手10は、連結本体12、リング14、主要シール30、移行区画24、26、中央寄りのシール32、および外側寄りのシール34を含む。連結本体12は、その少なくとも一端にパイプ16を受け入れるボアを画定する内表面を有する。リング14は、前記連結本体12をパイプ16に機械的に接続するため、連結本体12の少なくとも一端の上に嵌合するように位置する。主要シール30は、連結本体12の内表面上に形成される。移行区画24、26は、主要シール30に隣接して連結本体12の内表面に刻み目として形成される。移行区画24、26は、第1の直径を有する第1の部分および第2の直径を有する第2の部分を有し、第1の直径は第2の直径よりも大きい。中央寄りのシール32は、連結本体12の少なくとも一端、および主要シール30から内側に離隔して、連結本体12の内表面に形成される。外側寄りのシール34は、連結本体12の少なくとも一端から内側に、かつ主要シール30から外側に離隔して、連結本体12の内表面に形成される。リング14が力によって連結本体12の少なくとも一端の上に嵌合されると、リング14および連結本体12が、主要シール30、外側寄りのシール34、および中央寄りのシール32に連結力を加えて、漏れがない形でパイプ16が連結本体12に接続される。
【0043】
移行区画は、主要シールと中央寄りのシールとの間に位置してもよく、第1の直径は主要シールに直接隣接して位置してもよい。移行区画は、主要シールの内側に隣接して位置する中央寄りの移行区画、および主要シールの外側に隣接して位置する外側寄りの移行区画を含んでもよい。主要シールは、少なくとも第1の主要シールおよび第2の主要シールを含んでもよく、前記少なくとも第1および第2の主要シールに隣接した中央寄りおよび外側寄りの移行区画は、各シールの直径位置(diametral position)に対してほぼ同じ内径を有してもよい。
【0044】
継手は、連結本体の内表面に形成されるねじれ隆起部を含んでもよく、ねじれ隆起部は、外側寄りのシールの内側または外側のどちらかに位置する。継手は、本体の外表面に位置する円周方向のフランジを含んでもよい。フランジは、リングが押し付けられる停止部を提供する。主要シール、中央寄りのシール、および外側寄りのシールはそれぞれ、円周方向で連続してもよい。
【0045】
主要シールは、第1の主要シール、第2の主要シール、および第3の主要シールを含んでもよく、第1、第2、および第3の主要シールそれぞれの間に溝が位置する。第1の主要シールは第1の直径で連結本体の内表面に位置してもよく、第2の主要シールは第2の直径で連結本体の内表面に位置してもよく、第3の主要シールは第3の直径で連結本体の内表面に位置してもよい。第1の直径、第2の直径、および第3の直径の少なくとも1つは、他の直径とは異なる。前記主要シールはそれぞれ台形面を有してもよい。
【0046】
外側寄りのシールは二重シールであってもよい。リングが内側に駆動されるにつれて、主要シール、外側寄りのシール、および中央寄りのシールをパイプに対して連続して封止するように、リングは内側に移動可能である。外側寄りのシール、中央寄りのシール、および主要シールはそれぞれ、リングが個々のシールの上に押し込まれるにつれて、パイプに食い付くか、またはパイプを変形させる。リングは、外側寄りのシール、主要シール、および中央寄りのシールをパイプに対して連続して封止する、圧縮面を含むスエージリングである。スエージリングは、リングの端部に隣接して位置する第1のセグメントと、リングの端部から内側に位置する第2のセグメントとを有してもよい。スエージリングは、キックダウン区画をさらに含んでもよい。
【0047】
連結本体は、第1の端部および第2の端部を有してもよく、第1および第2の端部は互いの鏡像であり、リングが各端部に位置する。連結本体は、パイプを受け入れる第1の端部と、フランジとして役立つ第2の端部とを有してもよい。
【0048】
別の実施例では、溶接を伴わずにサワー環境でパイプと連結する継手は、連結本体と、スエージリングとを含む。連結本体は、パイプを受け入れるボアを画定する内部を有する。スエージリングは、本体をパイプに機械的に連結するために連結本体の端部の上に嵌合するように位置する。リングおよび連結本体は、サワー環境での腐食に耐性をもつ高強度の低合金炭素鋼で形成される。高強度の低合金炭素鋼は、UNS413000またはUNS414000等級であってもよい。
【0049】
別の実施例では、サワー環境でパイプと連結する継手は、その少なくとも一端にパイプを受け入れるボアを画定する内表面を有する連結本体と、前記連結本体をパイプに機械的に接続するために連結本体の少なくとも一端の上に嵌合するように位置するリングと、連結本体の内表面に形成される主要シールとを含む。主要シールは、第1のシール、第2のシール、および第3のシールを含む。第1のシールは連結本体の内表面に対して第1の直径で内側に位置し、第2のシールは連結本体の内表面に対して第2の直径で内側に位置し、第3のシールは連結本体の内表面に対して第3の直径で内側に位置する。第1の直径、第2の直径、および第3の直径の少なくとも1つは、他の直径とは異なる。上記したシールはそれぞれ、パイプの表面に食い付くかまたはそれを変形する歯を形成する。
【0050】
第1のシールは、第2および第3のシールの内側に位置してもよい。第1の直径は第2および第3の直径よりも大きくてもよい。移行区画は主要シールに隣接して位置してもよい。移行区画は、連結本体の内表面の刻み目であり、第1の直径を有する第1の移行部分および第2の直径を有する第2の移行部分を有する。第1の直径を有する第1の移行部分は、第1のシールに隣接して位置し、第2の移行部分の第2の直径よりも大きい直径を有する。
【0051】
「ほぼ」という用語は、本明細書で使用するとき、概算の用語である。
【0052】
権利請求した例の様々な特徴を上述しているが、それらの特徴は単独でまたは任意の組み合わせで使用されてもよいことを理解すべきである。したがって、権利請求した例は、本明細書で描写される特定例のみに限定されるものではない。
【0053】
さらに、権利請求した例が関連する技術の当業者には、変形および修正が想到されることを理解すべきである。本明細書に記載した実施例は例示である。本開示により、当業者が、請求項に列挙される要素に同じように相当する代替の要素を有する代替の設計を作成し使用することが可能になってもよい。したがって、意図される範囲は、請求項の文言と異ならない、または本質的に異ならない他の例を含んでもよい。本開示の範囲は添付の請求項に記述されるようにしかるべく定義される。
【符号の説明】
【0054】
10 継手
12 連結本体
14 リング(スエージリング)
16 パイプ
30 主要シール
24,26 移行区画
32 中央寄りのシール
34 外側寄りのシール
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年1月4日出願の米国仮特許出願第61/292,122号に対する優先権を主張し、その開示の全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
この技術は流体継手に関する。詳細には、この技術は、サワー用途に使用される、パイプを機械的に取り付け封止する流体継手に関する。
【背景技術】
【0003】
水の存在下でのH2Sによって、腐食、割れ、またはふくれの状態で炭素鋼パイプラインに損傷が起こることがある。H2Sの鋼への影響は、硫化物応力割れ(SSC:sulphide stress cracking)などの外部応力を必要とするもの、水素誘起割れ(HIC:hydrogen induced cracking)などの外部応力を必要としないもの、ならびに腐食として分類することができる。サワー環境中の二酸化炭素の存在は、鋼の腐食速度を増加させる傾向がある。また、SSCおよびHIC両方に対する鋼の感受性も増加させることがあるとともに、HICに対する影響がより顕著になる。
SSCは、印加される外部応力または残留している外部応力を受けて発達する、初期の単一かつ直線的な粒内割れによって特徴付けられる。それは、腐食ピット(もしくは応力集中部として作用することがある他の特徴)で、または水素割れメカニズム(例えば、ふくれ)を通して始まり、次に印加応力の方向に対して垂直な脆性破壊へと伝搬することがある。高強度鋼におけるSSCは、相当な分岐(branching)を有する傾向があるが、低強度鋼の場合はほとんどそれを有さない。SSCは、溶接部で、または溶接部近辺の熱影響部で生じることがある。通常、SSCは、550メガパスカル(MPa)超過の引張り強さを備えた炭素鋼で生じる。しかし、SSCの破損は550MPa未満の引張り強さを備えた鋼でも生じていた。これは主として、溶接物を急速冷却して、局所的な高硬度領域が作り出されることによる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,467,752号
【特許文献2】米国特許第7,575,257号
【特許文献3】米国特許第6,692,040号
【特許文献4】米国特許第6,131,964号
【特許文献5】米国特許第5,709,418号
【特許文献6】米国特許第5,305,510号
【特許文献7】米国特許第5,110,163号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
HICは、通常、溶接部では生じず、むしろスラグ介在物を有するパイプ本体領域で生じる。スラグ介在物は、拡散する水素の回収場所としての役割を果たす。HICは、直線状の割れおよび段階的な割れという2つの基本的な形態を伴う。HICは、外部応力の存在とともに、またはその存在なしで、RC22を大きく下回る硬度値を備えた低強度鋼で生じることがある。鋼表面の腐食は原子状水素(atomic hydrogen)を生み出す。この原子状水素が、金属の自然発生的な不規則部分(非金属介在物および積層など)で捕捉されるまで、鋼に浸透し拡散する。この原子状水素は、水素分子に組み込まれ、鋼の降伏強さを超えてふくれを形成するのに十分な大きさまでガス圧を高める。隣接するふくれは、通常は鋼の圧延方向に平行な割れとして伝搬することがある。
【0006】
HICに関連した別の現象は、鋼管および溶接継手における水素脆化である。水素脆化は、一般に、水素浸透の結果としての金属の延性損失を意味する。水素脆化に対する感受性は、材料の化学的性質(chemistry)および微細構造に依存する。したがって、パイプおよび溶接物の異なる領域が、水素の存在によって異なったように脆化することがある。したがって、サワー用途では、溶接の使用を回避することが望ましい。それに加えて、場所、厳しい条件、ガスの存在などに起因するか否かにかかわらず、特定の環境では溶接が困難なことがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に記載される教示に従って、サワー環境におけるパイプ連結用の継手が記載される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】2つのパイプをともに連結するための対向する端部を有する、一例の継手を示す斜視図である。
【図2】図1に例示した継手を示す平面図である。
【図3】図1に例示した継手の断面図であり、連結されていない継手の端部にあるリングを示す図である。
【図4】図1に例示した継手の一端またはスリーブを示す断面図である。
【図5】図1に例示した継手の本体におけるシール面の一部を示す分解組立図である。
【図6】図1に例示した継手の一端またはスリーブを示す断面図であり、パイプが本体内部に位置した状態で本体の端部に部分的に装着されたリングを示す図である。
【図7】図6に類似した断面図であるが、本体の端部に完全に装着された位置にあるリングおよびそれに関連するスリーブおよびパイプの変形を示す図である。
【図8】図7に類似した断面図であるが、互いに重なり合う様々な部品の部分を示す図である。
【図9】パイプに連結する単一の端部と、その反対側の端部に画定されたフランジとを有する代替例の継手を示す斜視図である。
【図10】図9に例示した継手の平面図である。
【図11】図9に例示した継手の右端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一例の継手10は、溶接を、機械的に取付けられる継手(機械取付け継手)と置き換えるのに利用される。機械取付け継手は、腐食プロセス流体もしくはガス(硫化水素など)の存在下など、NACE(防蝕技術協会)環境または用途で使用するのに適する。従来の溶接継手に代えて機械取付け継手10を使用することによって、コストが低減されるとともに、継手の品質、安全性、および信頼性が改善される。例示の継手10を、1/4インチ(0.64cm)NPS〜4インチ(10.16cm)NPSのサイズ範囲などの薄肉パイプまたは厚肉パイプのいずれかを接続するのに利用してもよいが、他のパイプサイズもこの例示の継手10から利益を得てもよい。
【0010】
例示の継手10は、添付図面に示されるように、円筒状のコンタクト領域の長さに沿って、駆動リング14、本体12、およびパイプ16の間で予め定められた干渉比(ratio of interference)を含む。例示の継手10は、パイプ16に装着することができ、破裂および熱膨張(曲げ疲れ)に関するASME B31の適格要件を満たす。例示の継手10はまた、腐食媒体に暴露される継手/パイプの加工硬化(work hardening)に対する嵌合圧縮(fitting compression)の影響を最小限に抑える。これにより、例示の継手10を組み込む継手/パイプアセンブリがNACE TM0177腐食試験の要件を満たすことができる。
【0011】
図1〜8は、シール30、32、34の間の移行区画24、26とともに、パイプ16と、継手10の本体12の内表面3に画定されるシール30、32、34との間の直径方向および軸線方向の関係を示す。また、図1〜8は、本体12の外部22とリング14の内表面との間の直径方向および軸線方向の関係も示す。例示の継手10は、AISI−SAE 4130低合金等級の炭素鋼材料から作製される。継手の幾何学形状と材料の組み合わせによって、NACE用途における条件を満たす継手性能がもたらされる。
【0012】
図1〜8に示される例は、パイプ本体16を受け入れるようにそれぞれ構成された、2つの対向する端部42a、42bを有する継手10である。図9〜11に示される例は、パイプ本体16を受け入れる単一の端部42aを有し、他方の端部はフランジ18として役立つ。他のタイプの継手も本明細書の教示を利用してもよい。
【0013】
図1を参照すると、継手10は、連結本体12および少なくとも1つのスエージリング14を含む。図1〜8に示される例は2つのスエージリング14を有し、一方で図9〜11に示される例は1つのスエージリング14を有する。連結本体12およびリング14はともに、パイプ本体16を継手10に接合するのに利用される。構成要素は、中心軸を中心にしてほぼ対称である。
【0014】
連結本体12は、第1のスリーブ12a(図2の連結本体12の右側を形成する)および第2のスリーブ12b(図2の連結本体12の左側を形成する)を含む。第1のスリーブ12aは第1のパイプ本体16を受け入れるものであり、第2のスリーブ12bは第2のパイプ本体16を受け入れるものである。以下で詳述するように、スエージリング14がパイプ区画16を受け入れた個々のスリーブ12a、12bに軸線方向で押し付けられると、スリーブ12a、12bは管またはパイプ区画に機械的に接続され、それを封止する。本体内部は、パイプ16が本体12内部に入り込む軸線方向移動を止める停止部80を有する。
【0015】
連結本体12およびスエージリング14は、AISI−SAE 4130低合金等級の炭素鋼など、高強度の低合金炭素鋼で形成される。他の炭素鋼としては、UNS413000およびUNS414000等級が挙げられる。炭素鋼の化学組成は、NACE用途に使用されるプロセス薬品と適合性があり、厳しい環境条件下でわずかな腐食、厳しい環境条件下での有効性を示し、顧客に容認される材料である。それに加えて、炭素鋼は、例示の継手10の機械的負荷要件のあらゆる局面をサポートすることができる性質を有する。当業者には知られているように、他の材料も所望に応じて利用してもよい。但し、溶接の必要性を回避するため、サワー用途においては炭素鋼を利用することが有利である。上述したように、パイプ16のサイズは変動してもよく、例示の継手10は特定のパイプサイズに限定されない。
【0016】
図9〜11を参照すると、継手10の正確な構成は変動することができ、必ずしも図1〜8に示される同軸構成の2つのスリーブ12a、12bを含まなくてもよい。例えば、継手10は、一体的に形成するか、または別の構成要素もしくは別のタイプの継手と接続するように構成してもよい。また、継手10は、1つまたは複数の対応するパイプ16に接続するように様々な位置で延在する任意の数のスリーブを有してもよい。特定の例としては、継手およびボール弁の組み合わせとすることができ、その場合、継手10は、参照により全体が本明細書に明示的に組み込まれる同一出願人による米国特許第6,467,752号に記載されるのと同様の形で、ボール弁と組み合わせ可能である。同一出願人による米国特許第7,575,257号、第6,692,040号、第6,131,964号、第5,709,418号、第5,305,510号、および第5,110,163号も、参照により全体が本明細書に明示的に組み込まれる。図9〜11に示される例は、一方の側のスリーブ12aと他方の側の垂直フランジ18とを有する。フランジ18を表面に連結するため、フランジ18は、シール面28とボルトを受け入れる孔38とを含む。継手の幾何学形状は、溶接管継手を必要とするすべてが単一体になった図9〜11に示されるフランジなどの構成、または標準的なASME継手の他の標準的な構成にすることができる。
【0017】
図3に示すように、継手10は軸線方向でそれ自体の鏡像である。したがって、スリーブ12aについてのいかなる考察もスリーブ12bに適用可能であり、繰り返さないこととする。
【0018】
スリーブ12aは、円周方向のフランジまたは隆起部20を含む。フランジまたは隆起部20は、本体12の外表面22から半径方向外側に延在する。隆起部20は、当業者には知られているように、継手10をパイプ本体16に接続するときに、スリーブ12aを隣接したスエージリング14に接合するのに使用される。リング14をフランジ20に対して駆動するのに工具(図示なし)が使用されてもよい。
【0019】
図3〜5を参照すると、スリーブ12aは、連結本体12とパイプ16の間を封止するとともに連結本体12をパイプ16に機械的に接続する、複数の離隔したシールを含む。これらのシールには、主要シール30、中央寄りの(inboard)シール32、および外側寄りの(outboard)シール34が含まれる。シール30、32、34は、連結本体12の内表面36から内側に延在する。本明細書で使用するとき、「中央寄りの」および「外側寄りの」という用語は、全体として、外部フランジ20または端部42などからの、相対的な軸線方向の間隔を示すのに使用される。したがって、外側寄りのシール34は、中央寄りのシール32よりも長い距離だけ、フランジ20に対して軸線方向で離隔される。外側寄りのシール34は、パイプラインの内圧に対するバックアップとして使用される安全シールである。外側寄りのシール34はまた、外部環境からの湿気または汚れなど、外部環境がシールに入り込むのを制限するように機能する。二重の外側寄りのシール34が設けられ、パイプの低い表面品質によって封止がより困難なことがある場合など、厳しい環境に有用である。適用例としては、北海またはアラスカなどの場所に位置する、陸上または沖合いの石油掘削装置が挙げられるであろう。二重シール34は追加の保護を提供するのに利用される。一方のシールが故障した場合、他方のシールがバックアップとして役立つ。外側寄りのシール34は、以下で詳述する台形の主要シールをより小さくしたものであり、外側寄りのシール34を構成する2つのシールはブレンド半径(blending radius)によって互いに融合される。
【0020】
図3〜8を参照すると、主要シール30は、主要な流体シールおよびパイプ16との機械的接続を提供するのに役立つ。主要シール30は、連結本体12のフランジ20および端部42から軸線方向に離隔した、第1の歯50、第2の歯52、および第3の歯54を含む。歯50、52、54は、溝44によって互いからわずかに分離される。移行区画または壁区画24、26は、主要シール30の前後に位置する。移行区画24、26は、歯50、52、54をパイプ16に押し込むのに、または駆動リング14の形状に適応させるのに使用される。移行区画24、26はまた、スリーブ12aがパイプ16上を減圧することを可能にする。移行区画24、26はまた、3つの主要シール歯50、52、54がともに噛合することを可能にし、結果としてパイプ16との接合がより良好になる。図5および8は、ある種の変形または食付き(biting)を必要とする、本体12とリング14との間の重なり合い領域84を示す。リングがこの領域84で本体を越えて移動するため、歯のいずれかがパイプ16に食い付かなければならないか、パイプ16が変形しなければならないか、あるいはリング14および/または本体12が変形しなければならない。
【0021】
主要シールの外側寄りに位置する移行区画26は、パイプ壁16から離れる方向で第1の直径へと、次に第2の直径へと直径が減少する傾斜を有する。外側寄りの移行区画26は、第1の直径を有する第1の部分と第2の直径を有する第2の部分とを有する。第2の部分の壁の第2の直径は、第2の直径に到達する地点から外側寄りのシール34に達するまで、ほぼ一定である。
【0022】
第2の中央寄りの移行区画は、主要シール30の中央寄りに位置する。中央寄りの移行区画は、外側寄りの移行区画と同様に、第1の直径を有する第1の部分と第2の直径を有する第2の部分とを有する。中央寄りのシール32がどれだけ近接しているかに応じて、第2の部分の長さは第1の移行区画の場合よりも短い。
【0023】
図5に示されるように、主要シール30の第2の歯52および第3の歯54は、台形の断面を有し、パイプ壁16に対して第1の直径D1で内側に離隔している。歯の面まで下向きに延びる側壁の角度はほぼ等しい。歯50、52、54の台形形状は、従来の設計の場合よりも堅牢であり、パイプ16を押し下げるより多くの質量を提供する。歯の質量は従来の設計に比べて2倍である。歯50、52、54はまた、より低品質であり得るパイプの外径面に連結本体12を装着することに関連する問題に対処するため、従来技術で知られているものよりも質量が大きい。
【0024】
それに加えて、主要シール30の歯50、52、54は、各歯50、52、54の根元の半径によって、スリーブ12aの内壁に融合される。これは、応力を減少させ、壁の破損を防止する助けとなる。各歯50、52、54の根元の半径は、応力集中の可能性を低減するように最適化されてもよい。
【0025】
第1の歯50も台形の断面を有し、パイプ壁16に対して第2の直径D2で内側に離隔している。第2の直径D2は、第2の歯52、第3の歯54の第1の直径D1の間隔よりも大きい。移行区画24、26は、リング14がスリーブ12aの外表面の上に押し付けられるにつれて、歯50、52、54をパイプ16に押し込むのを助けるのに使用される。
【0026】
中央寄りのシール32は、主要シール30とフランジ20との間に位置する。主要シール30と同じく、中央寄りのシール32はパイプ16との流体シールおよび機械的接続をもたらす。中央寄りのシール32は単一の歯であるが、1つまたは複数の適切な溝44によって互いに分離可能な複数の歯によって形成することができる。中央寄りの移行区画24は、中央寄りのシール32と主要シール30との間に位置する。
【0027】
図6および7を参照すると、本体12は、少なくとも1つの耐ねじれ隆起部(anti-torsion ridge)70をさらに含む。本明細書では、単純にするために耐ねじれ隆起部を「ねじれ隆起部」と呼ぶ。ねじれ隆起部70の位置を、外側寄りのシール34とスリーブ12aの端部42との間に示しているが、ねじれ隆起部70は主要シール30と外側寄りのシール34との間に位置してもよい。ねじれ隆起部70は主に、本体12とパイプ16との間のねじれ荷重を支えるために設けられる。耐ねじれ隆起部70は、主要シール30によるパイプ16の直径の減少がねじれ隆起部70とパイプ16との間の係合に干渉しないように十分な距離だけ、主要シール30から軸線方向外側に離隔される。ねじれ隆起部70は、好ましくは、ねじれ荷重により良好に抵抗するため、摩擦表面を有する。この摩擦表面は、ローレット切り、ブローチ削りなどによって形成することができる。
【0028】
図4を参照すると、本体12の外表面22は、ランド46と端部42との間の内部部分(interior portion)56を有する。内部部分56は、ランド46およびフランジ20よりも相対的に小さい直径を有する。本体12の内部部分56は、端部42に隣接した摩擦増加区画58を有する。摩擦増加区画58は、係止メカニズムまたは緩み防止溝(anti-backoff grooves)とも呼ばれる。摩擦区画58は、複数の隆起部60を含む。隆起部60は、スエージリング14が本体12に完全に装着されると、スエージリング14を連結本体12上でより良好に保定する。摩擦隆起部60は、スエージリング14が本体12から滑り落ちるかまたは外れるのを防ぐ助けとなる。端部42に隣接して設けられる別の特徴は、約20°以上のテーパ角を好ましくは有するテーパ62である。テーパ62は、スエージリング14を本体12上に最初に装着する助けとなる。スリーブ12aの外表面22は、部分56とランド46との間に位置する傾斜区画48を有する。それに加えて、別の傾斜66がフランジ20に隣接して位置する。
【0029】
スエージリングまたは駆動リング14は、シール30、32、34がパイプ16に食い付いて、本体12とパイプ16を封止するとともに機械的に接続するため、スリーブ12aの上に環状に受け入れられ、フランジ20に向かってスリーブ12aに沿って軸線方向で押しやられるようにサイズ決めされる。スエージリング14は、中央寄りの部分14aおよび外側寄りの部分14bを含む。外側寄りの部分14bまたはリング14は、中央寄りの部分14aよりも全体的に厚い。リング14は端部14bの第1のランド68を含み、第1のランド68は、複数の隆起部60を含む。隆起部60は、本体の摩擦区画58と噛合する摩擦区画72を形成する。第1のランド68は、第1の上昇(ramped up)部分82に接続される。第1の上昇部分82は、リング14をスリーブ12a上で心出しするのを助け、また干渉部分をスリーブ12a上に送り込み導くのを助ける先行面として役立つ。一般に、リング14の表面は、リング14をスリーブの上に装着しやすくする助けとなる。
【0030】
スエージリング14は、内表面74をさらに含む。内表面74は全体的に円筒状で、端部14bで上昇区画76に連結される。表面66および56は圧縮面として役立つ。
【0031】
上昇部分76は、リングの内表面74よりも大きい直径を有する。図示されないが、当業者には知られているように、リング14はキックダウンテーパ(kickdown tapered)セグメントも含んでもよい。キックダウンセグメントは、リング14が完全に装着されたときに主要シール30の近傍に画定される隆起部とすることができる。上昇区画76の角度は傾斜48の角度にほぼ一致し、スエージリング14がランド46を越えて軸線方向で移動するのを容易にする。
【0032】
図6を参照すると、スエージリング14は、プレ装着位置にある連結本体12上に部分的に装着または事前組立てされて示される。この位置では、スエージリングの上昇区画76は、主要シールのランド区画74に隣接するが、それに対してわずかに離隔している。締まり嵌めによって、スエージリング14は維持され、連結本体12上にプレ装着位置で顧客に配送することができ、それによって最終エンドユーザによる使用および装着の容易さが促進される。
【0033】
図7を参照すると、パイプ16に対して継手10を機械的に接続し、パイプ16を封止する目的で、パイプ16が挿入された状態のスリーブ12aにスエージリング14を完全に装着するため、装着工具(図示なし)を使用して、工具係合フランジ20に向かってスエージリング14をスリーブ12a上にさらに押し込むことができる。パイプ16が挿入された状態の連結本体12上へとスエージリング14を軸線方向に移動させることによって、本体12の、特に本体12のシール30、32、34がパイプ16に向かって、またはパイプ16内へと半径方向に移動して、それらのシールおよび機械的接続が作り出される。それに加えて、パイプ16は変形し、連結本体12も変形する。
【0034】
本体12およびスエージリング14は、スエージリング14がプレ装着位置から最終装着位置へと移動するにつれて、装着シール30、32、34がすべて好ましい順序で一度に1つずつ連続してセットされ、回復負荷力が主要シール30に加えられるように構成される。先行するシールが完全にセットされるまで、まだセットされていないシールによるパイプ16との変形接触は存在しない。シールのセットとは、シールの1つまたは複数の歯がパイプ16と加締めされる、または変形接触するように押し込まれることを意味する。シールのセットは、シールの1つまたは複数の歯がパイプ16に完全に押し込まれたとき(例えば、スエージリング14の特定の区画によって内側に押し込まれた結果として、シール30もしくは32もしくは34の直ぐ反対側にある外表面22がそれ以上半径方向に移動しないとき)に、完了した(すなわち、完全にセットされた)とみなされる。
【0035】
あるいは、シールの完全なセットは、駆動リング14がシールの1つもしくは複数の歯をパイプ16の最も奥に押し込んでいるとき、または駆動リング14がシールを越えて移動するにつれて、駆動リング14の作動テーパ(actuating taper)が直径の一定した円筒状区画に対して平らになっているときとして定義することができる。パイプ16は、一般的に、シール30、32、34が表面に食い付き続け、パイプ16が可塑的に変形するか、または半径方向内側に移動し始めて、恒久的な変形をもたらすにつれて、その弾性限界を超えて応力を受けるようになる。図7に示されるように、主要シール30の歯50、52、54は、パイプ16に食い付き変形し、それら自体がある程度変形する。これは、パイプ16の外部に見られるあらゆる粗いまたは不規則な表面欠陥を埋めるように機能する。
【0036】
本体12が半径方向に移動し、パイプ16が変形するのと同時に、スエージリング14の半径方向外側への移動が生じる。スエージリング14のこの半径方向の移動は一般に弾性的であり、結果としてスエージリング14の直径がわずかだけ増加する。
【0037】
図7に示されるように、スエージリング14は、図示される最終装着位置へと軸線方向で本体のスリーブ12a上に押し付けられる。この位置では、スエージリング14は本体のフランジ20に当接するか、またはそれと係合する。あるいは、スエージリング14は、フランジ20と接触することなくそれと近接して位置することができる。最終装着位置では、シール30、32、34がすべてセットされるとともに、ねじれ隆起部70がパイプ16に食い付く。緩み防止溝とも呼ばれる、連結本体12の内部部分56の係止メカニズム58と、スエージリングの係止メカニズム72との間の協働は、スエージリング14自体が軸線方向でスリーブ12aから外れるのを防ぐか、または少なくともその可能性を低減する。
【0038】
歯、スエージリング14、およびパイプ16の変形に加えて、連結本体12も変形する。図7に示されるように、スリーブ12aの薄肉部分78はスエージリングの輪郭に沿う傾向がある。これは、リング14が様々なシールを連続して封止するにつれて、圧力閉込め(pressure containment)によって引き起こされる。このことは、半径方向外側に変形したスリーブ部分78が、駆動リング14を継手10上で保持する助けとなるという点で利益を有する。これは緩み防止溝58、72によってもたらされる助けに追加される。
[実施例]
【0039】
例示の継手10の試験を、炭素鋼4130タイプの材料を使用して行った。その際、A333/A106パイプに1.5インチ(3.81cm)および2インチ(5.08cm)の継手を用いた。アセンブリの内部暴露試験は、NACE TM0177溶液Aを使用して30日間の期間で行った。溶液Aは、0.5%の氷酢酸で酸性化した5%NaClである。試験は、室温(約76°F(24.44℃))のH2Sを1気圧にして行って、硫化物応力割れ(SSC)を評価した。溶液および試験標本を、最初にN2で脱気し、続いて一定期間にわたってH2Sを連続的にパージした。PHは最初は2.7であり、PHが3.8に達すると補充した。SCCまたは応力腐食の形跡は、いずれのサンプルでも観察されなかった。したがって、継手10は、NACE MR0175、NACE MR0103−2007、およびISO 15156に列挙されているH2S分圧温度制限内で、サワー運用用途に適していることがわかった。15psiaというH2Sの制限的な分圧で、任意の温度が可能である。好都合なことに、炭素鋼の一般に知られている材料および等級がサワー環境での継手として有効であることが見出され、それによって継手を互いに溶接する必要性が回避される。
【0040】
継手10をパイプ16上に装着するためには、パイプ16を連結本体12の開口部に滑り込ませる。次に、リング14を、フランジ20にほぼ接触するまでスリーブ12aの上に押し込む。
【0041】
継手10の様々な部品は、棒材、鍛造物、または管材から機械加工されてもよい。
【0042】
サワー環境でパイプ16と連結する例示の継手10は、連結本体12、リング14、主要シール30、移行区画24、26、中央寄りのシール32、および外側寄りのシール34を含む。連結本体12は、その少なくとも一端にパイプ16を受け入れるボアを画定する内表面を有する。リング14は、前記連結本体12をパイプ16に機械的に接続するため、連結本体12の少なくとも一端の上に嵌合するように位置する。主要シール30は、連結本体12の内表面上に形成される。移行区画24、26は、主要シール30に隣接して連結本体12の内表面に刻み目として形成される。移行区画24、26は、第1の直径を有する第1の部分および第2の直径を有する第2の部分を有し、第1の直径は第2の直径よりも大きい。中央寄りのシール32は、連結本体12の少なくとも一端、および主要シール30から内側に離隔して、連結本体12の内表面に形成される。外側寄りのシール34は、連結本体12の少なくとも一端から内側に、かつ主要シール30から外側に離隔して、連結本体12の内表面に形成される。リング14が力によって連結本体12の少なくとも一端の上に嵌合されると、リング14および連結本体12が、主要シール30、外側寄りのシール34、および中央寄りのシール32に連結力を加えて、漏れがない形でパイプ16が連結本体12に接続される。
【0043】
移行区画は、主要シールと中央寄りのシールとの間に位置してもよく、第1の直径は主要シールに直接隣接して位置してもよい。移行区画は、主要シールの内側に隣接して位置する中央寄りの移行区画、および主要シールの外側に隣接して位置する外側寄りの移行区画を含んでもよい。主要シールは、少なくとも第1の主要シールおよび第2の主要シールを含んでもよく、前記少なくとも第1および第2の主要シールに隣接した中央寄りおよび外側寄りの移行区画は、各シールの直径位置(diametral position)に対してほぼ同じ内径を有してもよい。
【0044】
継手は、連結本体の内表面に形成されるねじれ隆起部を含んでもよく、ねじれ隆起部は、外側寄りのシールの内側または外側のどちらかに位置する。継手は、本体の外表面に位置する円周方向のフランジを含んでもよい。フランジは、リングが押し付けられる停止部を提供する。主要シール、中央寄りのシール、および外側寄りのシールはそれぞれ、円周方向で連続してもよい。
【0045】
主要シールは、第1の主要シール、第2の主要シール、および第3の主要シールを含んでもよく、第1、第2、および第3の主要シールそれぞれの間に溝が位置する。第1の主要シールは第1の直径で連結本体の内表面に位置してもよく、第2の主要シールは第2の直径で連結本体の内表面に位置してもよく、第3の主要シールは第3の直径で連結本体の内表面に位置してもよい。第1の直径、第2の直径、および第3の直径の少なくとも1つは、他の直径とは異なる。前記主要シールはそれぞれ台形面を有してもよい。
【0046】
外側寄りのシールは二重シールであってもよい。リングが内側に駆動されるにつれて、主要シール、外側寄りのシール、および中央寄りのシールをパイプに対して連続して封止するように、リングは内側に移動可能である。外側寄りのシール、中央寄りのシール、および主要シールはそれぞれ、リングが個々のシールの上に押し込まれるにつれて、パイプに食い付くか、またはパイプを変形させる。リングは、外側寄りのシール、主要シール、および中央寄りのシールをパイプに対して連続して封止する、圧縮面を含むスエージリングである。スエージリングは、リングの端部に隣接して位置する第1のセグメントと、リングの端部から内側に位置する第2のセグメントとを有してもよい。スエージリングは、キックダウン区画をさらに含んでもよい。
【0047】
連結本体は、第1の端部および第2の端部を有してもよく、第1および第2の端部は互いの鏡像であり、リングが各端部に位置する。連結本体は、パイプを受け入れる第1の端部と、フランジとして役立つ第2の端部とを有してもよい。
【0048】
別の実施例では、溶接を伴わずにサワー環境でパイプと連結する継手は、連結本体と、スエージリングとを含む。連結本体は、パイプを受け入れるボアを画定する内部を有する。スエージリングは、本体をパイプに機械的に連結するために連結本体の端部の上に嵌合するように位置する。リングおよび連結本体は、サワー環境での腐食に耐性をもつ高強度の低合金炭素鋼で形成される。高強度の低合金炭素鋼は、UNS413000またはUNS414000等級であってもよい。
【0049】
別の実施例では、サワー環境でパイプと連結する継手は、その少なくとも一端にパイプを受け入れるボアを画定する内表面を有する連結本体と、前記連結本体をパイプに機械的に接続するために連結本体の少なくとも一端の上に嵌合するように位置するリングと、連結本体の内表面に形成される主要シールとを含む。主要シールは、第1のシール、第2のシール、および第3のシールを含む。第1のシールは連結本体の内表面に対して第1の直径で内側に位置し、第2のシールは連結本体の内表面に対して第2の直径で内側に位置し、第3のシールは連結本体の内表面に対して第3の直径で内側に位置する。第1の直径、第2の直径、および第3の直径の少なくとも1つは、他の直径とは異なる。上記したシールはそれぞれ、パイプの表面に食い付くかまたはそれを変形する歯を形成する。
【0050】
第1のシールは、第2および第3のシールの内側に位置してもよい。第1の直径は第2および第3の直径よりも大きくてもよい。移行区画は主要シールに隣接して位置してもよい。移行区画は、連結本体の内表面の刻み目であり、第1の直径を有する第1の移行部分および第2の直径を有する第2の移行部分を有する。第1の直径を有する第1の移行部分は、第1のシールに隣接して位置し、第2の移行部分の第2の直径よりも大きい直径を有する。
【0051】
「ほぼ」という用語は、本明細書で使用するとき、概算の用語である。
【0052】
権利請求した例の様々な特徴を上述しているが、それらの特徴は単独でまたは任意の組み合わせで使用されてもよいことを理解すべきである。したがって、権利請求した例は、本明細書で描写される特定例のみに限定されるものではない。
【0053】
さらに、権利請求した例が関連する技術の当業者には、変形および修正が想到されることを理解すべきである。本明細書に記載した実施例は例示である。本開示により、当業者が、請求項に列挙される要素に同じように相当する代替の要素を有する代替の設計を作成し使用することが可能になってもよい。したがって、意図される範囲は、請求項の文言と異ならない、または本質的に異ならない他の例を含んでもよい。本開示の範囲は添付の請求項に記述されるようにしかるべく定義される。
【符号の説明】
【0054】
10 継手
12 連結本体
14 リング(スエージリング)
16 パイプ
30 主要シール
24,26 移行区画
32 中央寄りのシール
34 外側寄りのシール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一端にパイプを受け入れるボアを画定する内表面を有する連結本体と、
前記連結本体をパイプに機械的に接続するため、前記連結本体の前記少なくとも一端の上に嵌合するように位置するリングと、
前記連結本体の内表面に形成される主要シールと、
前記主要シールに隣接して前記連結本体の前記内表面に刻み目として形成される移行区画であって、第1の直径を有する第1の部分および第2の直径を有する第2の部分を有し、前記第1の直径が前記第2の直径よりも大きい、移行区画と、
前記主要シールおよび前記連結本体の前記少なくとも一端から内側に離隔して、前記連結本体の前記内表面に形成される中央寄りのシールと、
前記連結本体の前記少なくとも一端から内側に、かつ前記主要シールから外側に離隔して、前記連結本体の前記内表面に形成される外側寄りのシールとを備え、
前記リングが力によって前記連結本体の前記少なくとも一端の上に嵌合されると、前記リングおよび前記連結本体が、前記主要シール、前記外側寄りのシール、および前記中央寄りのシールに連結力を加えて、漏れがない形で前記パイプを前記連結本体に接続する、サワー環境でパイプと連結する継手。
【請求項2】
前記移行区画が前記主要シールと前記中央寄りのシールとの間に位置し、
前記第1の直径が前記主要シールに直接隣接して位置する、請求項1に記載の継手。
【請求項3】
前記移行区画が中央寄りの移行区画および外側寄りの移行区画を含み、
前記中央寄りの区画が前記主要シールの内側に隣接して位置し、
前記外側寄りの区画が前記主要シールの外側に隣接して位置する、請求項1に記載の継手。
【請求項4】
前記主要シールが少なくとも第1の主要シールおよび第2の主要シールを含み、
少なくとも前記第1の主要シールおよび前記第2の主要シールに隣接した前記中央寄りの移行区画および前記外側寄りの移行区画が、各シールの直径上の位置に対してほぼ同じ内径を有する、請求項1に記載の継手。
【請求項5】
前記連結本体の前記内表面に形成されるねじれ隆起部であって、前記外側寄りのシールの内側または外側のどちらかに位置するねじれ隆起部と、
前記連結本体の外表面に位置する円周方向のフランジであって、前記リングが押し付けられる停止部を提供するフランジとをさらに備え、
前記主要シール、前記中央寄りのシール、および前記外側寄りのシールがそれぞれ円周方向で連続する、請求項1に記載の継手。
【請求項6】
前記主要シールが、第1の主要シール、第2の主要シール、および第3の主要シールを含み、
前記第1の主要シール、前記第2の主要シール、および前記第3の主要シールそれぞれの間に溝が位置する、請求項1に記載の継手。
【請求項7】
前記第1の主要シールが第1の直径で前記連結本体の前記内表面に位置し、
前記第2の主要シールが第2の直径で前記連結本体の前記内表面に位置し、
前記第3の主要シールが第3の直径で前記連結本体の前記内表面に位置し、
前記第1の直径、前記第2の直径、および前記第3の直径の少なくとも1つが他の直径とは異なる、請求項6に記載の継手。
【請求項8】
前記主要シールがそれぞれ台形面を有する、請求項6に記載の継手。
【請求項9】
前記外側寄りのシールが二重シールである、請求項1に記載の継手。
【請求項10】
前記リングが内側に移動可能であり、
前記リングが内側に駆動されるにつれて、前記主要シール、前記外側寄りのシール、および前記中央寄りのシールをパイプに対して連続して封止する、請求項1に記載の継手。
【請求項11】
前記外側寄りのシール、前記中央寄りのシール、および前記主要シールがそれぞれ、前記リングが個々のシールの上に押し込まれるにつれて、パイプに食い付くか、またはパイプを変形させる、請求項10に記載の継手。
【請求項12】
前記リングが、前記外側寄りのシール、前記主要シール、および前記中央寄りのシールをパイプに対して連続して封止する、圧縮面を含むスエージリングである、請求項1に記載の継手。
【請求項13】
前記スエージリングが、前記リングの前記端部に隣接して位置する第1のセグメントと、前記リングの前記端部から内側に位置する第2のセグメントとを有する、請求項12に記載の継手。
【請求項14】
前記スエージリングがキックダウン区画をさらに備える、請求項12に記載の継手。
【請求項15】
前記連結本体が第1の端部および第2の端部を有し、
前記第1の端部および前記第2の端部が互いの鏡像であり、リングが各端部に位置する、請求項1に記載の継手。
【請求項16】
前記連結本体が、パイプを受け入れる第1の端部と、フランジとして役立つ第2の端部とを有する、請求項1に記載の継手。
【請求項17】
パイプを受け入れるボアを画定する内部を有する連結本体と、
前記連結本体をパイプに機械的に連結するために前記連結本体の端部の上に嵌合するように位置するスエージリングとを備え、
前記スエージリングおよび前記連結本体が、サワー環境での腐食に耐性をもつ高強度の低合金炭素鋼で形成される、溶接を伴わずにサワー環境でパイプと連結する継手。
【請求項18】
前記高強度の低合金炭素鋼が、UNS413000またはUNS414000等級である、請求項17に記載の継手。
【請求項19】
少なくとも一端にパイプを受け入れるボアを画定する内表面を有する連結本体と、
前記連結本体をパイプに機械的に接続するために前記連結本体の少なくとも一端の上に嵌合するように位置するリングと、
前記連結本体の前記内表面に形成される主要シールと、備え、
前記主要シールは、第1のシール、第2のシール、および第3のシールを含み、
前記第1のシールが前記連結本体の前記内表面に対して第1の直径で内側に位置し、
前記第2のシールが前記連結本体の前記内表面に対して第2の直径で内側に位置し、
前記第3のシールが前記連結本体の前記内表面に対して第3の直径で内側に位置し、
前記第1の直径、前記第2の直径、および前記第3の直径の少なくとも1つが他の直径とは異なり、
前記シールがそれぞれ、パイプの表面に食い付くかまたはそれを変形する歯を形成する、サワー環境でパイプと連結する継手。
【請求項20】
前記第1のシールが、前記第2のシールおよび前記第3のシールの内側に位置し、
前記第1の直径が前記第2の直径および前記第3の直径よりも大きい、請求項19に記載の継手。
【請求項21】
前記主要シールに隣接して位置する移行区画をさらに備え、
前記移行区画が、前記連結本体の前記内表面の刻み目であり、第1の直径を有する第1の移行部分および第2の直径を有する第2の移行部分を有し、
前記第1の直径を有する前記第1の移行部分が、前記第1のシールに隣接して位置し、前記第2の移行部分の前記第2の直径よりも大きい直径を有する、請求項20に記載の継手。
【請求項1】
少なくとも一端にパイプを受け入れるボアを画定する内表面を有する連結本体と、
前記連結本体をパイプに機械的に接続するため、前記連結本体の前記少なくとも一端の上に嵌合するように位置するリングと、
前記連結本体の内表面に形成される主要シールと、
前記主要シールに隣接して前記連結本体の前記内表面に刻み目として形成される移行区画であって、第1の直径を有する第1の部分および第2の直径を有する第2の部分を有し、前記第1の直径が前記第2の直径よりも大きい、移行区画と、
前記主要シールおよび前記連結本体の前記少なくとも一端から内側に離隔して、前記連結本体の前記内表面に形成される中央寄りのシールと、
前記連結本体の前記少なくとも一端から内側に、かつ前記主要シールから外側に離隔して、前記連結本体の前記内表面に形成される外側寄りのシールとを備え、
前記リングが力によって前記連結本体の前記少なくとも一端の上に嵌合されると、前記リングおよび前記連結本体が、前記主要シール、前記外側寄りのシール、および前記中央寄りのシールに連結力を加えて、漏れがない形で前記パイプを前記連結本体に接続する、サワー環境でパイプと連結する継手。
【請求項2】
前記移行区画が前記主要シールと前記中央寄りのシールとの間に位置し、
前記第1の直径が前記主要シールに直接隣接して位置する、請求項1に記載の継手。
【請求項3】
前記移行区画が中央寄りの移行区画および外側寄りの移行区画を含み、
前記中央寄りの区画が前記主要シールの内側に隣接して位置し、
前記外側寄りの区画が前記主要シールの外側に隣接して位置する、請求項1に記載の継手。
【請求項4】
前記主要シールが少なくとも第1の主要シールおよび第2の主要シールを含み、
少なくとも前記第1の主要シールおよび前記第2の主要シールに隣接した前記中央寄りの移行区画および前記外側寄りの移行区画が、各シールの直径上の位置に対してほぼ同じ内径を有する、請求項1に記載の継手。
【請求項5】
前記連結本体の前記内表面に形成されるねじれ隆起部であって、前記外側寄りのシールの内側または外側のどちらかに位置するねじれ隆起部と、
前記連結本体の外表面に位置する円周方向のフランジであって、前記リングが押し付けられる停止部を提供するフランジとをさらに備え、
前記主要シール、前記中央寄りのシール、および前記外側寄りのシールがそれぞれ円周方向で連続する、請求項1に記載の継手。
【請求項6】
前記主要シールが、第1の主要シール、第2の主要シール、および第3の主要シールを含み、
前記第1の主要シール、前記第2の主要シール、および前記第3の主要シールそれぞれの間に溝が位置する、請求項1に記載の継手。
【請求項7】
前記第1の主要シールが第1の直径で前記連結本体の前記内表面に位置し、
前記第2の主要シールが第2の直径で前記連結本体の前記内表面に位置し、
前記第3の主要シールが第3の直径で前記連結本体の前記内表面に位置し、
前記第1の直径、前記第2の直径、および前記第3の直径の少なくとも1つが他の直径とは異なる、請求項6に記載の継手。
【請求項8】
前記主要シールがそれぞれ台形面を有する、請求項6に記載の継手。
【請求項9】
前記外側寄りのシールが二重シールである、請求項1に記載の継手。
【請求項10】
前記リングが内側に移動可能であり、
前記リングが内側に駆動されるにつれて、前記主要シール、前記外側寄りのシール、および前記中央寄りのシールをパイプに対して連続して封止する、請求項1に記載の継手。
【請求項11】
前記外側寄りのシール、前記中央寄りのシール、および前記主要シールがそれぞれ、前記リングが個々のシールの上に押し込まれるにつれて、パイプに食い付くか、またはパイプを変形させる、請求項10に記載の継手。
【請求項12】
前記リングが、前記外側寄りのシール、前記主要シール、および前記中央寄りのシールをパイプに対して連続して封止する、圧縮面を含むスエージリングである、請求項1に記載の継手。
【請求項13】
前記スエージリングが、前記リングの前記端部に隣接して位置する第1のセグメントと、前記リングの前記端部から内側に位置する第2のセグメントとを有する、請求項12に記載の継手。
【請求項14】
前記スエージリングがキックダウン区画をさらに備える、請求項12に記載の継手。
【請求項15】
前記連結本体が第1の端部および第2の端部を有し、
前記第1の端部および前記第2の端部が互いの鏡像であり、リングが各端部に位置する、請求項1に記載の継手。
【請求項16】
前記連結本体が、パイプを受け入れる第1の端部と、フランジとして役立つ第2の端部とを有する、請求項1に記載の継手。
【請求項17】
パイプを受け入れるボアを画定する内部を有する連結本体と、
前記連結本体をパイプに機械的に連結するために前記連結本体の端部の上に嵌合するように位置するスエージリングとを備え、
前記スエージリングおよび前記連結本体が、サワー環境での腐食に耐性をもつ高強度の低合金炭素鋼で形成される、溶接を伴わずにサワー環境でパイプと連結する継手。
【請求項18】
前記高強度の低合金炭素鋼が、UNS413000またはUNS414000等級である、請求項17に記載の継手。
【請求項19】
少なくとも一端にパイプを受け入れるボアを画定する内表面を有する連結本体と、
前記連結本体をパイプに機械的に接続するために前記連結本体の少なくとも一端の上に嵌合するように位置するリングと、
前記連結本体の前記内表面に形成される主要シールと、備え、
前記主要シールは、第1のシール、第2のシール、および第3のシールを含み、
前記第1のシールが前記連結本体の前記内表面に対して第1の直径で内側に位置し、
前記第2のシールが前記連結本体の前記内表面に対して第2の直径で内側に位置し、
前記第3のシールが前記連結本体の前記内表面に対して第3の直径で内側に位置し、
前記第1の直径、前記第2の直径、および前記第3の直径の少なくとも1つが他の直径とは異なり、
前記シールがそれぞれ、パイプの表面に食い付くかまたはそれを変形する歯を形成する、サワー環境でパイプと連結する継手。
【請求項20】
前記第1のシールが、前記第2のシールおよび前記第3のシールの内側に位置し、
前記第1の直径が前記第2の直径および前記第3の直径よりも大きい、請求項19に記載の継手。
【請求項21】
前記主要シールに隣接して位置する移行区画をさらに備え、
前記移行区画が、前記連結本体の前記内表面の刻み目であり、第1の直径を有する第1の移行部分および第2の直径を有する第2の移行部分を有し、
前記第1の直径を有する前記第1の移行部分が、前記第1のシールに隣接して位置し、前記第2の移行部分の前記第2の直径よりも大きい直径を有する、請求項20に記載の継手。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2013−516587(P2013−516587A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548072(P2012−548072)
【出願日】平成23年1月4日(2011.1.4)
【国際出願番号】PCT/US2011/020115
【国際公開番号】WO2011/082417
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(512176565)ロクリング テクノロジー,エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月4日(2011.1.4)
【国際出願番号】PCT/US2011/020115
【国際公開番号】WO2011/082417
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(512176565)ロクリング テクノロジー,エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
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