説明

機能不全子宮出血の経口治療のための単相医薬製品の製造方法

本発明は、機能不全子宮出血の経口治療のための単相医薬製品の製造方法に関し、ここで低用量でのジエノゲスト及びエチニルエストラジオールの経口単相組合わせが1又は複数の医薬的に許容できる賦形剤/キャリヤーと共に使用され、これにより、ホルモンのない期間における完全な転換及び短く且つわずかな後退性出血を伴っての子宮内膜の適度な増殖が一定のレベルで存在するホルモンレベルを通して達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、21の毎日の用量単位のための、0.020mgに等しいか又は0.020mgのエチニルエストラジオール及び2mgに等しいか又は2mg以下の17α−シアノメチル−17−β−ヒドロキシエストラ−4,9−ジエン−3−オン(ジエノゲスト)、好ましくは0.015mgのエチニルエストラジオール及び1.5mgのDNG並びに1又は複数の医薬的に許容できる賦形剤/キャリヤーの組合わせを用いての、機能不全子宮出血の経口治療のための単相医薬製品の製造方法に関する。
【0002】
前記医薬製品は、7又はそれ以下の活性成分を含まないか、又は摂取のない毎日の用量単位、すなわち活性成分を含まない毎日の用量単位をさらに含むことができ、少なくとも21の連続日の期間に続くその投与が合計数28の毎日の用量単位又は月経周期を製造するために意図される。
前記医薬製品はまたさらに、90〜130、好ましくは98〜128の毎月の用量単位とエチニルエストラジオール及びジエノゲストとの組合わせを含むことができる。
【背景技術】
【0003】
従来技術:
機能不全子宮出血は婦人科学において共通する臨床学的問題であり、そして現在、医薬的に及び手術的に処理される(Bongers MY, Mol WJ B, Brolmann HAM. Current treatment of dysfunctional uterine bleed ing . Maturitas 2004; 47: 159-174)。それは、80ml以上か又は80mlに等しい多量の周期的又は非周期的出血、21日以下か又は21日に等しい出血間の間隔、又は8日に等しいか又は8日以上の延長された出血日により特徴づけられるが、しかし個々の場合、生体的原因、例えば筋腫、ポリプ又は癌を伴わない。それらの原因は、診断−機能不全子宮出血の前、排除されるべきである。
【0004】
機能不全子宮出血は、女性におけるホルモン変化の相、例えば思春期及び閉経期において高められた発生率を有する。機能不全子宮出血は、小胞生成の欠乏、及び卵巣エストロゲン合成に関する不十分な活性に関係する黄体形成の不在により引起される。
【0005】
機能不全子宮出血は時折、無排卵に関連している。そのような無排卵出血はエストロゲンレベルの変化から生じる。しかしながら、その出血はまた、子宮の膜増殖を誘発し、そして従って、子宮内膜症の高められた危険性に関連する、エストロゲン分泌の不均衡により引起される慢性無排卵の結果でもあり得る。エストロゲンレベルの不均衡、例えば過剰エストロゲン又はプロゲストロゲンレベルの均衡化された逆効果を伴わないエストロゲンが機能不全子宮出血の原因であり得ることは知られている。
【0006】
経口避妊薬の摂取はまた、時々、機能不全子宮出血、特に不正子宮出血(非常に重度で且つ延長された出血)を誘発する(Erny R, Erny N. Metrorrhagia caused by estrogen-progestin combinations. Contracept Fertil Sex 1994; 22(2): 93-97)。この場合、原因は、忘れた錠剤摂取、不規則な摂取、好ましくない薬物動力学又は最適でないエストロゲン/プロゲストゲン比率によるホルモン変動である。
【0007】
多くの治療が機能不全子宮出血の処理のために開発されており、そして単独投与としてのプロゲストゲンの投与、又は単相(特定の期間、同じ用量の連続した投与)、又は多相(二相又は三相)(エストロゲン/組合わせの非連続的投与、例えば7日のエストロゲン投与+14日のエストロゲン/プロゲストゲン投与(二相について))のいずれかでのエストロゲン/プロゲストゲン組合わせの投与を包含する。高ホルモン用量が、広範囲の種類のエストロゲン/プロゲストゲン組合わせを用いて、それらの種々の治療レジメに常に使用されて来た。
【0008】
Fraser IS, Aust NZ. J Obstet Gynaecol (1990) 30(4), 353-356は、1日当たり3度の5mgのノルエチステロン、単独の高用量プロゲストゲンとしての1日当たり10mgのメドロキシ−酢酸プロゲステロンの月経周期の12日目〜25日目の14日間の投与による機能不全子宮出血の処理を開示する。
【0009】
Kaufmann, Costa und Scharl (editors), Die Gynakologie, Springer Verlag Berlin Heidelberg 2003, 139は、例えば単相製品、例えばProsiston(商標)(0.03mgのエチニルエストラジオール/6mgの酢酸ノルエチステロン)による高用量エストロゲン−プロゲストゲン置換、又は二相排卵インヒビター、例えばOviol(商標)(0.05mgのエチニルエストラジオール−7の毎日の用量単位及び0.05mgのエチニルエストラジオール/0.125mgのデソゲストレル−15の毎日の用量単位)の20日間の投与による機能不全出血の処理を開示する。
【0010】
このホルモン治療は、この場合、置換又はシミュレーション治療又は卵巣障害の原因の治療を続いて意図される全体の治療の最初の相として見なされるべきである。
Steiner RA, Fink D. Menstruationsstorungen. Praxis 2002; 91 : 1967- 1974は同様に、機能不全子宮出血の処理が中でも、高用量プロゲストゲン、エストロゲン又はそれらの2種の組合わせにより行われるべきであることを示唆している。
【0011】
1つの投与レジメが、減少する投与量での8日間、すなわち6, 5, 4, 3, 3, 3, 3, 3個の錠剤/日で2mgの酢酸ノルエチステロンと共に0.01mgのエチニルエストラジオールの経口投与としてSteinerにより見なされている。
Davis A, Godwin A, Lippman J, Olson W1 Kafrissen M. Triphasic Norgestimate-Ethinyl Estradiol for Treating Dysfunctional Uterine Bleeding. Obstet gynecol. 2000; 96(6): 913-920は、3回の28日周期の間、エチニルエストラジオール(EE)/ノルゲスチメート(NGM)、ホルモンのないプラシーボの三段階投与による機能不全子宮出血の処理を示している。その処理レジメは、この場合、21日間の一定のEE用量(0.035mgのEE)、それらの21日間にわたっての上昇するNGM用量(0.180mgのNMGの7の毎日の用量単位、及び0.215mgのNMGの7の毎日の用量単位、及び0.250mgのNMGの7の毎日の用量単位)、続く7日間のホルモンのないプラシーボ投与に分けられる。
【0012】
アメリカ特許第6,797,282号は、経口避妊薬の長期投与(3ヶ月)が月経過多(機能不全子宮出血の形)を処理するために使用され得ることを、一般的な記載において説明している。
【発明の開示】
【0013】
一般的に、機能不全子宮出血を低め、急性機能不全子宮出血を止め、そして機能不全出血の再発を妨げ、そしてさらに、従来の組成物の記載される欠点及び効果を回避する適切な組成物を提供することが本発明の目的である。
この目的は、機能不全子宮出血の経口治療のための請求項1記載の単相医薬製品の生成方法により、本発明に従って達成される。
【0014】
本発明によれば、医薬製品は、0.020mgに等しいか又は0.020mgのエチニルエストラジオール及び2mgに等しいか又は2mg以下の17α−シアノメチル−17−β−ヒドロキシエストラ−4,9−ジエン−3−オン(ジエノゲスト)、好ましくは0.015mgのエチニルエストラジオール及び1.5mgのジエノゲストの21の毎日の用量単位の組合わせを含んで成る。
前記組合わせはまた、経口避妊のための医薬製品を生成するために同時に使用される。この目的はさらに、請求項5記載の医薬製品により達成される。
【0015】
請求項5記載の医薬製品はさらに、7又はそれ以下の活性成分のない毎日の用量単位を含んで成る。活性成分のない毎日の用量単位とは、活性成分を含まないが、しかし摂取を伴う毎日の用量単位を意味する。それらは、少なくとも21の連続日の期間に続く投与のために意図され、その結果、毎日の用量単位の合計数は28である。
エチニルエストラジオール及びジエノゲストの組合わせを有する毎日の用量単位の数が21, 22, 23, 24又は25であり、そして活性成分のない毎日の用量単位が7, 6, 5, 4又は3であることが可能である。
【0016】
0.020mgに等しいか又は0.020mgのエチニルエストラジオール及び2mgに等しいか又は2mg以下のジエノゲスト、好ましくは0.015mgのエチニルエストラジオール及び1.5mgのジエノゲストの組合わせを含んで成る毎日の用量単位の数が、90〜130、好ましくは98〜128の毎日の用量単位である。
【0017】
機能不全子宮出血の連続した治療についての女性の所望、及び適切な場合、比較的長期間にわたっての出血の開放の必要性と組合しての連続した避妊に依存して、0.020mgに等しいか又は0.020mgのエチニルエストラジオール及び2mgに等しいか又は2mg以下のジエノゲスト、好ましくは0.015mgのエチニルエストラジオール及び1.5mgのジエノゲストの組合わせを含んで成る毎日の用量単位の数は、365又は366の毎日の用量単位及び続いて摂取のない時間を包含する。
【0018】
機能不全子宮出血に関連する出血を最少にするために本発明に従って使用される単相組合わせ製品は、従来の製品に比較して、低用量の全体のステロイド負荷を有する。それは、中でもホルモン避妊において興味ある、ホルモン変化の相、例えば思春期及び閉経期における女性のために特に適切である。
ステロイドの毎日の用量単位の数に関係なく、均衡化されたホルモンレベルが個々の日に達成され、そして子宮内膜の適切な増殖を、適切な完全な転換を伴って可能にする。
【0019】
少なくとも21日間、使用されるステロイド活性成分の毎日の用量単位及び7日間の活性成分のないか又は摂取のない毎日の用量単位は、子宮内膜からの急速且つ完全な出血を促進する。月経周期は安定化され、そして従って、機能不全子宮出血が妨げられる。
さらに、365/366の毎日の用量単位又は90〜130の毎日の用量単位、好ましくは98〜128の毎日の用量単位による連続したホルモン投与及び続く摂取のない時間が、排卵の同時阻害を伴って、相応じて長い出血のない時間を可能にする。
【0020】
医薬製品の投与の期間は、21, 22, 23, 24又は25日間の請求項1〜3のいずれか1項記載のステロイド組合わせ又は活性成分のない7, 6, 5, 4又は3の毎日の用量単位を包含する、28日の少なくとも3回の摂取周期を包含する。
医薬製品の投与の期間は、21, 22, 23, 24又は25日間の請求項1〜3のいずれか1項記載のステロイド組合わせ又は摂取のない7, 6, 5, 4又は3の毎日の用量単位を包含する、28日の少なくとも3回の周期であることもまた可能である。
【実施例】
【0021】
請求される配合物の効能の調査:
ランダム化された、二重盲検のプラシーボ調節された臨床学的研究において、DUB症状を有する15〜50歳の120人の女性を、この研究への参加の同意の宣言の後、及び前記症状の生体原因の排除の後、適切な診断方法(経膣超音波、血液におけるホルモンの決定)により処理する。
【0022】
80人の女性は、本発明の組合わせに対応するジエノゲスト及びエチニルエストラジオールを受け、そして40人の女性はプラシーボを受ける。
この研究は、90日の実験相を包含し、ここで、出血障害の重症度を記録し、40人の女性は28日の7回の処理周期を受け、40人の女性は98日の2回の処理周期を受け、そして40人の女性はプラシーボ処理を受ける。すべての120人の女性を、後−処理周期(追従相)において観察する。
【0023】
出血の重さを、アルカリヘマチン方法により定量的に測定する。このためには、女性は試験センターに集まり、生理用製品がこの研究を通して使用される。出血の期間、及び出血のない期間を、電子日記における毎日の調査により記録する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
21の毎日の用量単位のための、0.020mgに等しいか又は0.020mgのエチニルエストラジオール及び2mgに等しいか又は2mg以下の17α−シアノメチル−17−β−ヒドロキシエストラ−4,9−ジエン−3−オン(ジエノゲスト)、並びに1又は複数の医薬的に許容できる賦形剤/キャリヤーの組合わせが使用されることを特徴とする、機能不全子宮出血の経口治療のための単相医薬製品の製造方法。
【請求項2】
前記組合わせが、0.015mgのエチニルエストラジオールを含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記組合わせが、1.5mgのジエノゲストを含んで成る請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記組合わせが、経口避妊のための医薬製品の製造のために同時に使用される請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
0.020mgに等しいか又は0.020mgのエチニルエストラジオール及び2mgに等しいか又は2mg以下のジエノゲスト、好ましくは0.015mgのエチニルエストラジオール及び1.5mgのジエノゲストの組合わせを含んで成る、パックユニット中に少なくとも21の連続した日の期間、導入される、別々に充填され、そして個々の摂取できる毎日の用量単位を含んで成る医薬製品。
【請求項6】
エチニルエストラジオール及びジエノゲストの組合わせを有する毎日の用量単位の数が21, 22, 23, 24又は25であり、そして摂取のない毎日の用量単位の数が7, 6, 5, 4又は3であり、その結果、月経周期の日の合計数が28である請求項5記載の医薬製品。
【請求項7】
エチニルエストラジオール及びジエノゲストの前記組合わせが、90〜130、好ましくは98〜128の毎月の用量単位に含まれる請求項5又は6記載の医薬製品。
【請求項8】
エチニルエストラジオール及びジエノゲストの前記組合わせが、365又は366の毎月の用量単位に含まれる請求項5〜7のいずれか1項記載の医薬製品。
【請求項9】
少なくとも21の連続した日の期間に続いて、投与のために意図される、7又はそれ以下の活性成分を含まない毎日の用量単位をさらに含んで成り、その結果、合計数が28の毎日の用量単位である請求項5記載の医薬製品。
【請求項10】
エチニルエストラジオール及びジエノゲストの組合わせを有する毎日の用量単位の数が21, 22, 23, 24又は25であり、そして活性成分のない毎日の用量単位の数が7, 6, 5, 4又は3であり、その結果、合計数が28の毎日の用量単位である請求項5又は9記載の医薬製品。

【公表番号】特表2009−511512(P2009−511512A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534885(P2008−534885)
【出願日】平成18年9月2日(2006.9.2)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008587
【国際公開番号】WO2007/042110
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(300049958)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】