説明

機能性シート

【課題】シートに優れた各種機能と、優れた強度とを付与し、かつ生産性に優れた機能性シートの製造方法、及び機能性シートを提供すること。
【解決手段】以下の工程(A)〜(C)を有する機能性シートの製造方法である。工程(A):基材A及び/又は基材Bに絵柄層を形成する工程、工程(B):工程(A)で基材A及び/又は基材Bに設けられた絵柄層側、ならびに/もしくは絵柄層が設けられない基材A又は基材Bに、機能性材料と硬化性樹脂とを含む硬化性樹脂組成物を塗工して機能層を形成する工程、工程(C):前記絵柄層及び機能層が基材Aと基材Bとの間になるように、接着剤を介して基材Aと基材Bとを積層させる工程

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機能性シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の天井、壁材などの内外装用建材、家具や家電品向けの化粧材や付属品などの様々な分野において用いられるシートには、その用途に応じて、耐熱安定剤、酸化防止剤、防カビ剤、抗菌剤、帯電防止剤、発泡剤、遮音性充填剤、蛍光漂白剤、光選択性添加剤、電磁波遮蔽吸収剤、蓄光顔料及び消臭剤などの機能性材料が添加されることがある。例えば、特許文献1(特開2001−40113)には、酸化防止剤を添加したポリオレフィン系樹脂製フィルムが開示されている。また、特許文献2(特開2007−296751)には、基材上に帯電防止剤を添加した樹脂層を設けた樹脂積層体が開示されている。
【0003】
しかし、これらの機能性材料を添加する場合、その添加量が多くなると機能性材料がブリードする、機能性材料を含む樹脂層などの強度が著しく低下するといった場合があり、所望する機能を確保できないといった問題があった。さらに、所望する機能を確保しうる量の機能性材料を含有する塗工物を調整した場合、チキソ性が適当な範囲を逸脱し、塗工適性が著しく低下する、あるいは当該塗工物を塗工できず、シートを作製できないといった生産性の点で問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開2001−40113号公報
【特許文献2】特開2007−296751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような状況下で、シートに優れた各種機能と、優れた強度とを付与し、かつ生産性に優れた機能性シートの製造方法、及び機能性シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、機能性材料と電離放射線硬化性樹脂とを含む電離放射線硬化性樹脂組成物を用いて機能性材料を含有する層を形成することで、前記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)以下の工程(A)〜(C)を有する機能性シートの製造方法、
工程(A):基材A及び/又は基材Bに絵柄層を形成する工程
工程(B):工程(A)で基材A及び/又は基材Bに設けられた絵柄層側、ならびに/もしくは絵柄層が設けられない基材A又は基材Bに、機能性材料と硬化性樹脂とを含む硬化性樹脂組成物を塗工して機能層を形成する工程
工程(C):前記絵柄層及び機能層が基材Aと基材Bとの間になるように、接着剤を介して基材Aと基材Bとを積層させる工程
(2)さらに以下の工程(D)を有する上記(1)に記載の機能性シートの製造方法、
工程(D):防汚層用硬化性樹脂を、機能性シートの最表面に塗工して防汚層を形成する工程
(3)硬化性樹脂が、電離放射線硬化性樹脂である上記(1)又は(2)に記載の機能性シートの製造方法、
(4)電離放射線硬化性樹脂が、電子線硬化性樹脂である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の機能性シートの製造方法、
(5)機能性材料が、耐熱安定剤、酸化防止剤、防カビ剤、抗菌剤、帯電防止剤、発泡剤、遮音性充填剤、蛍光漂白剤、光選択性添加剤、電磁波遮蔽吸収剤、蓄光顔料及び消臭剤から選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の機能性シートの製造方法、
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法により製造された機能性シート、
(7)基材Aと基材Bとの間に、絵柄層と機能層とを有する機能性シートであって、該シートの少なくとも機能層に機能性材料を含有し、かつ該シート全体としての該機能性材料の含有量が1〜45g/m2である機能性シート、
(8)機能層が、2層からなるものである上記(7)に記載の機能性シート、
(9)2層の機能層の間に接着層を有する上記(8)に記載の機能性シート、及び
(10)さらに、最表面に防汚層を有する上記(7)〜(9)のいずれかに記載の機能性シート、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シートに優れた各種機能と、優れた強度とを付与し、かつ生産性に優れた機能性シートの製造方法、及び機能性シートを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の機能性シートの製造方法は、工程(A):基材A及び/又は基材Bに絵柄層を形成する工程、工程(B):工程(A)で基材A及び/又は基材Bに設けられた絵柄層側、ならびに/もしくは絵柄層が設けられない基材A又は基材Bに、機能性材料と硬化性樹脂とを含む硬化性樹脂組成物を塗工して機能層を形成する工程、及び工程(C):前記絵柄層及び機能層が基材Aと基材Bとの間になるように、接着剤を介して基材Aと基材Bとを積層させる工程を有するものである。さらに、本発明の機能性シートの製造方法は、工程(D):防汚層用硬化性樹脂を、機能性シートの最表面に塗工して防汚層を形成する工程を有するものである。
本発明の機能性シートの製造方法について、機能性シートを構成する各層から説明する。
【0010】
[機能性シート]
本発明の製造方法により製造される機能性シートの構造について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、本発明の製造方法により製造された機能性シートの層構成のうち好ましい一例の断面を示す模式図であり、図2は、本発明の機能性シート1のうち好ましい一例の断面を示した模式図である。図1に示される機能性シート1は、基材Aの表面上に絵柄層5、機能層31、接着層4、機能層32、基材B及び防汚層6が順に積層されたものである。また、図2に示される機能性シート1は、基材Aの表面上に絵柄層5、機能層3、基材B、及び防汚層6が順に積層されたものである。
【0011】
<基材>
本発明で用いられる基材A及び基材Bは、通常基材として用いられるものであれば特に限定されないが、好ましくはプラスチックフィルム、プラスチックシートなどを用途に応じて適宜選択することができる。
【0012】
プラスチックフィルム又はプラスチックシートとしては、各種の合成樹脂からなるものが挙げられる。合成樹脂としては、低密度ポリエチレン樹脂(線状低密度ポリエチレン樹脂を含む)、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、エチレンαオレフィン共重合体、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリブテン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマーあるいは、これらの混合物などのポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマーなどのポリエステル樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エチル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル樹脂などのアクリル樹脂;ナイロン6又はナイロン66などで代表されるポリアミド樹脂;三酢酸セルロース樹脂、セロファンなどのセルロース系樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアリレート樹脂;又はポリイミド樹脂などが挙げられる。
【0013】
基材としては、上記したプラスチックフィルム、プラスチックシートのなかから単独で、又は2種以上を選んで混合物として用いることができるが、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂が好ましく、なかでも後述する機能層との相性、製造後の化粧シートを焼却廃棄処分にする際に有毒な塩素系ガスが発生しないこと、及びコストなどの観点から、ポリオレフィン樹脂がより好ましく、ポリプロピレン樹脂が特に好ましい。また、基材A及び基材Bは、同じものでもよいし異なっていてもよく、上記したものから適宜選択すればよい。
【0014】
基材は、上述した合成樹脂からなる市販のプラスチックフィルム又はプラスチックシートを用いてもよいし、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押出し法など成膜方法により、フィルム又はシートとして用いてもよい。また、基材には、上記した合成樹脂とともに後述する機能性材料を含んでいてもよい。機能性材料の含有量は、合成樹脂100質量部に対して、通常0.1〜20質量部程度であり、0.1〜10質量部が好ましい。
基材の厚さについては特に制限はないが、成形性などを考慮すると、通常10〜300μm程度であり、好ましくは20〜200μm、より好ましくは30〜150μmの範囲である。
【0015】
これらの基材は、その上に設けられる層との密着性を向上させるために、所望により、片面又は両面に酸化法や凹凸化法などの物理的または化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
また、基材は、基材と各層との層間密着性の強化などを目的として、プライマー層を形成するなどの処理を施してもよい。
【0016】
<機能層3>
機能層3は、基材Aと基材Bとの間に設けられる、本発明のシートに各種機能を付与する層である。機能層3は、基材Aと基材Bとの間にあれば特に制限はなく、例えば、図1に示されるように、後述する接着剤層4を介した機能層31及び32のように複数層であってもよいし、1層であってもよい。機能層3は、機能性材料と電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などの硬化性樹脂とを含有する硬化性樹脂組成物を架橋硬化して得ることができる。なかでも硬化性樹脂としては電離放射線硬化性樹脂が好ましく、機能層3は、電離放射線硬化性樹脂及び機能性材料を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなるものであることが好ましい。
【0017】
[電離放射線硬化性樹脂組成物]
本発明に用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性樹脂及び機能性材料を含む組成物であり、その他の必要に応じて各種添加剤を含むものであってもよい組成物である。ここで、電離放射線硬化性樹脂とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線などを照射することにより、架橋、硬化する樹脂である。
【0018】
電離放射線硬化性樹脂組成物中の機能性材料の含有量は、電離放射線硬化性樹脂と機能性材料吸収剤との合計に対して、1〜50質量%程度であり、3〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。機能性材料の含有量が上記の範囲内にあれば、各種機能を十分に発現しつつ、密着性及び耐溶剤性などの機械的特性を十分に確保することができる。
【0019】
[機能性材料]
本発明に用いられる機能性材料は、機能性シートに各種機能を付与するものである。機能性材料としては、耐熱安定剤、酸化防止剤、防カビ剤、抗菌剤、帯電防止剤、及び消臭剤などが挙げられ、これらから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0020】
耐熱安定剤としては、ステアリン酸鉛や二塩基性ステアリン酸鉛などの金属石鹸類、三塩基性硫酸鉛、塩基性亜硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、ハロゲン化銅系などの無機酸塩類系安定剤;フェノール系、ラクトン系、ホスファイト系、ヒンダードアミン系及び有機チオエーテル系などのイオウ系の有機系耐熱安定剤などが好ましく挙げられる。
【0021】
酸化防止剤としては、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、シアノアクリレート系、イソシアヌレート系、シュウ酸アニリド系、ベンゾエート系、ヒンダートアミン系、ベンゾトリアゾール系、フェノール系酸化防止剤などが好ましく挙げられる。また、これらの酸化防止剤は、さらに耐候性を向上させるために光安定剤と併用することが好ましい。光安定剤としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート及び2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)などのヒンダードアミン系光安定剤;ならびに2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート系光安定剤などが好ましく挙げられる。
【0022】
防カビ剤としては、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール、2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチルなどのイミダゾール系;2−〔4−知オシアノメチルチオ〕ベンツチアゾールなどのチアゾール系;2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンなどのイソチアゾリン系、ビス(ピリジン−2−チオール−1−オキシド)亜鉛酸などのピリジン系;2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルなどのニトリル系や、ソルビタン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウムなどが好ましく挙げられる。
【0023】
抗菌剤としては、無定形アルミノケイ酸塩、天然又は合成ゼオライト(A型、Y型)、リン酸ジルコニウム、アパタイト、シリカゲルなどの担体に銀、銅、亜鉛、錫、ビスマス、カドニウムなどの抗菌性を有する金属イオンを坦持した抗菌剤、アパタイトを二酸化チタンに被覆したアパタイト付着セラミックス複合抗菌剤、酸化チタンなどの酸化物光触媒系;リン酸カルシウム銀などのリン酸塩系;第4級アンモニウム塩、粘土鉱物、溶解性ガラスなどの無機系抗菌剤が好ましく挙げられる。有機系抗菌剤としては、上記の防カビ剤と同様のものを好ましく採用することができる。また、キチン・キトサンや植物系抽出物などの天然抗菌剤も好ましく挙げられる。
【0024】
帯電防止剤としては、カルボン酸系、スルホン酸系、リン酸系などのアニオン性界面活性剤;第4級アンモニウム系などのカチオン系界面活性剤;アルキルベタイン系、アルキルイミダゾリン系、アルキルアラニン系などの両性界面活性剤;アルキレンオキサイド重合体、アルキレンオキサイド共重合体、脂肪族アルコール−アルキレンオキサイド付加物などのノニオン系界面活性剤;カーボンや、金、白金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、モリブデンなどの各種金属粉末などの無機導電性物質;ポリアセチレン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリビニルカルバゾール、あるいはアミノカルボン酸、ジカルボン酸及びポリエチレングリコールからなるポリエーテルエステルアミド樹脂などの導電性高分子などが挙げられる。
【0025】
発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウムなどの無機発泡剤、N,N'−ジメチル−N,N'−ジニトロソテレフタルアミド、N,N'−ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどのニトロソ化合物、アゾジカルボンアミド、アゾビスホルムアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウム・アゾジカルボキシレートなどのアゾ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルフォニルヒドラジド、p,p'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3'−ジスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド化合物、カルシウムアジド、4,4'−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホニルアジドなどのアジド化合物などが挙げられる。
【0026】
遮音性充填剤は、遮音性を向上させるために使用され、例えば、粉状又は粒状の多孔質物質、中空物質などが挙げられる。上記多孔質物質としては、例えば、シラスバルーン、フライアッシュバルーン、パーライト粉などの無機物質;ウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、フェノールなどの有機発泡体の粉砕物、あるいは微粒子状のものなどが好ましく挙げられる。
上記中空物質としては、例えば、ガラスビーズ、中空セラミックス球体などの無機中空ビーズ;スチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレンなどの樹脂中空ビーズなどが好適に用いられる。
上記遮音性充填剤の粒子径は、通常3〜15μm程度であり、5〜10μmが好ましい。粒子径が上記範囲内であれば、十分な遮音効果が得られ、遮音性充填剤の十分な強度も得られる。
【0027】
消臭剤としては、ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロリネート、シトロネリルセネシオネート、テルペンアルデヒド類又はポリフェノールを主成分とする植物抽出物系;ベタイン化合物、二価鉄イオン又は安定化二酸化炭素を主成分とする反応型のものなどが挙げられる。
【0028】
本発明に用いられる機能性材料としては、上記のほか、例えば脱臭剤、防腐剤、滑剤、難燃剤、光コントロール性を付与する蛍光増白剤、光選択性添加剤、電磁波遮蔽吸収剤、多量の添加により高発光性を付与する蓄光顔料などを採用することもできる。
脱臭剤としては、活性炭、備長炭等の炭;ゼオライト、セピオライト、銀担持ゼオライトなどのアルミノケイ酸塩;酸化チタン、酸化亜鉛などの金属酸化物;シリカゲル、活性アルミナ、活性白土などの吸着剤が挙げられる。
防腐剤としては、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛などの無機系防腐剤;ヨウ素系;カルボキシアミド系;ヒドロキシルアミン系;ナフタリン系などの有機系防腐剤が好ましく挙げられる。
滑剤の例としては、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸ナトリウムなどが挙げられる。
難燃剤の例としては、メラミン系難燃剤などのノンハロゲン系難燃剤のほか、ヘキサブロモシクロドデカン、トリス−(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ペンブロモフェニルアリルエーテルなどが挙げられる。
【0029】
蛍光増白剤としては、家庭用洗剤や繊維の増白処理で使用されている一般的なもので良く、ジアミノスチルベン系、イミダゾール系、チアゾール系、オキサゾール系、トリアゾール系、オキサジアゾール系、クマリン系、ナフタルイミド系、又はピラゾリン系のものが挙げられる。市販の蛍光増白剤としては、例えばTINOPALシリーズ(チバスペシャリティーケミカルズ製)、Uviterxシリーズ(Ciba製)、Whitexシリーズ(住友化学製)、Kayaphorシリーズ(日本化薬製)、Mikephorシリーズ(BASF製)、イルミナールシリーズ(昭和化工製)、UVITEXシリーズ(チバスペシャリティーケミカルズ製)、Kayalightシリーズ(日本化薬製)、又はKayapolシリーズ(日本化薬製)などが挙げられる。
光選択性添加剤は、紫外線を吸収し赤色領域に光変換して放射する性能を有する添加剤であり、例えばSMARTLIGHT RL1000(チバスペシャリティーケミカルズ製)などが挙げられる。
【0030】
電磁波遮断吸収剤としては、電磁波を遮断あるいは吸収するものであり、機能層内に含有しうるものであれば特に制限はないが、導電性金属粉末などが好ましく挙げられる。導電性金属粉末としては、ニッケル、銅、銀、コバルト、アンチモン、アルミニウム、鉄コバルト合金、鉄コバルトバナジウム合金、鉄珪素アルミニウム合金などの導電性の単一金属;センダスト合金、HIGH−fluxe、ニッケル−亜鉛フェライト、マンガン−亜鉛フェライト、モリパーマロイ粉末などが挙げられる。導電性金属によりコーティング処理された粉末、銀がコーティングされたニッケル粉末、銀がコーティングされたアルミニウム粉末、アルミニウムがコーティングされたニッケル粉末など挙げられる。
多量の添加により高発光性を付与する蓄光顔料としては、蓄光性(光の照射を受けると蓄光し、暗所で十分な時間にわたり発光性を有する)を有する公知の蓄光顔料で機能層内に含有しうるものであれば特に制限なく用いることができる。例えば「N夜光(商品名)」、「ルミノーバG−300(商品名)」:いずれも根本特殊化学株式会社製などが挙げられる。
以上、本発明に用いられる機能性材料として好ましい例を記載したが、機能性材料は、硬化性樹脂組成物が架橋硬化してなる機能層内に含有しうるものであれば、これに限られるものではない。
【0031】
本発明の機能性シートにおける機能性材料の含有量は、1〜45g/m2であり、好ましくは5〜30g/m2である。機能性材料の含有量が上記範囲内にあれば、十分な各種機能を発現しつつ、密着性及び耐溶剤性などの機械的特性を十分に確保することができる。
【0032】
[電離放射線硬化性樹脂]
本発明に用いられる電離放射線硬化性樹脂は、従来電離放射線硬化性の樹脂として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができるが、良好な硬化特性を得る観点から、ブリードアウトしにくく、固形分基準として95〜100%程度としても塗工性を有し、かつ硬化する際に硬化収縮を生じにくいものが好ましい。そのような電離放射線硬化性樹脂の代表例を以下に記載する。また、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
【0033】
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート単量体が好適であり、なかでも多官能性(メタ)アクリレートが好ましく、官能基数としては、2〜8が好ましく、2〜6がより好ましく、3〜4がさらに好ましい。
【0034】
多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
本発明においては、前記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を調整するなどの目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系のオリゴマーなどが挙げられ、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系のオリゴマーが好ましい。これらのオリゴマーのうち、多官能性の重合性オリゴマーが好ましく、官能基数としては、2〜16が好ましく、2〜8がより好ましく、2〜6がさらに好ましい。
【0037】
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
【0038】
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテルなどの分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマーなどがある。これらの重合性オリゴマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
電離放射線硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合用開始剤を紫外線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されない。
【0040】
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂として電子線硬化性樹脂を用いることが好ましい。電離放射線硬化性樹脂組成物の安定した硬化特性が効率的に得られるからである。
【0041】
[各種添加剤]
本発明で用いられる硬化性樹脂組成物には、得られる機能層の所望物性に応じて、各種添加剤が配合される。添加剤としては、例えば重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チキソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤などが挙げられる。
【0042】
[絵柄層5]
絵柄層5は、本発明の機能性シートに装飾性を与えるために設けられる層である。絵柄層5に採用される模様は、用途に応じて適宜選択されるが、例えば、和紙、布目や布状の模様を模した和紙・布地模様、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)などの岩石の表面を模した石目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様など、これらを複合した寄木、パッチワークなどの模様が挙げられる。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う多色印刷などによっても形成される。
本発明の機能性シートを照明器具に適用する場合、絵柄層5に適用する模様は、全光線透過率などの照明器具として所望される性能を確保していれば特に制限はないが、白、乳白色などの淡色系の色彩であり、かつ紙・布地模様が好ましい。
【0043】
絵柄層5の形成に用いられるインキ組成物としては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などの中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。なかでも、ポリウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等の1種単独で又は2種以上を混合して用いるのが好ましい。
【0044】
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルーなどの無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルーなどの有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮などの鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛などの鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料などが用いられる。
【0045】
また、絵柄層5の形成に用いられるインキ組成物は、上記した機能性材料を含んでいてもよい。インキ組成物中の機能性材料の含有量は、0.1〜5質量%程度である。
【0046】
絵柄層5の厚さは、1〜20μm程度が好ましい。絵柄層5の厚みが上記範囲内にあれば、照明器具として所望される性能を確保しつつ、十分な意匠性が得られる。
【0047】
[接着層4]
接着層4は、基材Aと基材Bとを積層するために、機能層31と32との間に必要に応じて設けられる層である。接着層4は、機能性シートの層構成や製造工程により設ける箇所は変わるが、例えば、図1に示されるような機能層3が2層の場合は、機能層31と32との間に、機能層3が1層の場合は、機能層3と絵柄層5との間、機能層3と基材Aとの間などに設けられる。
接着層4に用いられる接着剤としては、例えば、ポリエステル系接着剤;エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)接着剤、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂接着剤、酢酸ビニル−アクリル系共重合体接着剤などの酢酸ビニル系接着剤;ブロックイソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ウレタン系樹脂、水性ウレタン系接着剤、水性ビニルウレタン系接着剤、変性ウレタン系接着剤、ウレタン変性ビニル系接着剤などのウレタン系接着剤;スチレン−ブタジエンラテックス系接着剤、水性高分子イソシアネート系接着剤、及びアクリル系樹脂接着剤などの接着剤が挙げられる。なかでも、ポリエステル系接着剤が好ましい。また、接着剤は、上記した機能性材料を含んでいてもよい。接着剤中の機能性材料の含有量は、0.1〜30質量%程度である。
【0048】
[防汚層6]
本発明の機能性シートは、使用に伴う汚れの付着を防止する、いわゆる防汚性を付与する目的で、その最表面の少なくとも一方の側に防汚層6を好ましく有することができる。
防汚層6は、電離放射線硬化性樹脂を含む防汚層用硬化性樹脂組成物を架橋硬化させて得られるものである。防汚層用硬化性樹脂組成物に含まれる電離放射線硬化性樹脂としては、上記した機能層に用いられるものが好ましく挙げられる。防汚層用硬化性樹脂組成物は、上記した機能性材料を含んでいてもよい。該組成物中の機能性材料の含有量は、0.1〜5質量%程度である。また、防汚層用硬化性樹脂組成物は、必要に応じて各種添加剤を含有することができ、該各種添加剤としては、上記した機能層3に用いられるものが好ましく挙げられる。
【0049】
防汚層6を形成する防汚層用硬化性樹脂組成物は、防汚性をさらに向上させる目的で、単官能あるいは多官能のシリコーン(メタ)アクリレートを含有することができる。シリコーン(メタ)アクリレートの含有量は、透明性を維持する観点より、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して1〜5質量部、より好ましくは1〜2質量部である。
【0050】
防汚層6の厚みは、1〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。厚みが上記範囲内にあれば、防汚性の効果が十分に得られ、機能性シートの成形性も確保できる。
【0051】
[機能性シートの製造方法]
本発明の機能性シートの製造方法は、工程(A):基材A及び/又は基材Bに絵柄層を形成する工程、工程(B):工程(A)で基材A及び/又は基材Bに設けられた絵柄層側、ならびに/もしくは絵柄層が設けられない基材A又は基材Bに、機能性材料と硬化性樹脂とを含む硬化性樹脂組成物を塗工して機能層を形成する工程、及び工程(C):前記絵柄層及び機能層が基材Aと基材Bとの間になるように、接着剤を介して基材Aと基材Bとを積層させる工程を含むものである。すなわち、本発明の製造方法により製造される機能性シートは、基材A、絵柄層、機能層、接着剤層、及び基材Bを有し、これらを順に積層してなるものである。
【0052】
[工程(A)]
工程(A)は、基材A及び/又は基材Bに絵柄層5を形成する工程であり、絵柄層5は、種々の模様を、インキ組成物と印刷機とを使用して印刷することにより形成される。一般的にはグラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷など、周知の印刷方法によりインキにて形成することができる。
【0053】
[工程(B)]
工程(B)は、工程(A)で基材A及び/又は基材Bに設けられた絵柄層側、ならびに/もしくは絵柄層が設けられていない基材A又は基材Bに、硬化性樹脂組成物を塗工して機能層3を形成する工程である。
機能層の形成において、まず、好ましい硬化性樹脂として上記した硬化成分である重合性モノマーや重合性オリゴマーなどの電離放射線硬化性樹脂と機能性材料及び各種添加剤とを、それぞれ所定の割合で均質に混合して、電離放射線硬化性樹脂組成物を調製する。この電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、後述する塗工方式により、基材の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよく、特に制限はない。
【0054】
このようにして調製された電離放射線硬化性樹脂組成物を、基材A及び/又は基材Bに設けられた絵柄層5の上に、ならびに/もしくは絵柄層が設けられていない基材A又は基材Bに、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷などの公知の方式、好ましくはグラビア印刷により塗工し、未硬化樹脂層が形成される。硬化後の厚さは、機能層に含有させる機能性材料の量などに応じて適宜設定すればよいが、通常3〜80μm、好ましくは5〜60μm、より好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは10〜40μmである。機能層の厚さが上記範囲内にあれば、機能性シートに優れた各種機能を付与することができる。
【0055】
本発明においては、このようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線及び紫外線などの電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させて、次いで電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれる溶媒などを蒸発させる目的で乾燥させて、機能層を得る。
【0056】
この未硬化樹脂層の形成において、電離放射線硬化性樹脂組成物の塗工は、所望の機能層の厚みに応じて、一回で行ってもよいし、複数回で行ってもよい。電離放射線硬化性樹脂組成物の塗工を複数回で行う場合は、未硬化樹脂層を硬化させずに電離放射線硬化性樹脂組成物を塗工してもよいし、未硬化樹脂層を硬化してから新たに電離放射線硬化性樹脂組成物を塗工してもよい。
また、機能層は、上記のように基材A及び/又は基材Bの絵柄層側に形成した機能層の上に、さらに設けてもよいし、基材A及び/又は基材Bの表面上に形成した機能層の上にさらに設けてもよい。
【0057】
上記未硬化樹脂層を硬化させる際に、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと未硬化樹脂層の厚みとが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
【0058】
照射線量は、機能層における電離放射線硬化性樹脂の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。
【0059】
また、電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれる溶媒などを蒸発させる目的で乾燥を行うこともできる。乾燥の温度条件は、室温〜55℃の範囲が好ましく、室温〜50℃であることがより好ましく、乾燥時間は10〜120秒間が好ましく、30〜90秒間がより好ましい。なお、室温は通常20℃程度である。
【0060】
[工程(C)]
工程(C)は、絵柄層及び機能層が基材Aと基材Bとの間になるように、接着剤を介して基材Aと基材Bとを積層させる工程である。接着剤は、工程(A)及び工程(B)で基材A及び基材Bにどの層が形成されるかにより異なり、基材A及び基材B、絵柄層、ならびに機能層に塗工することが想定されるが、いずれであっても特に問題はない。
【0061】
接着剤は、グラビア印刷、ダイコート、バーコート、スプレーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式より塗工して形成することができ、塗工方法としては、生産性の面から、グラビア印刷、コンマコートが好ましく採用される。接着剤の塗工量は、0.1〜20g/m2(固形分基準)が好ましく、1〜10g/m2(固形分基準)がより好ましい。
【0062】
貼着には、コールドプレス、ホットプレス、ロールプレス、ラミネーター、ラッピング、縁貼り機、真空プレスなどの貼着装置を用いることができる。なかでも、ラミネーターによるドライラミネーションが好ましく採用される。
【0063】
[防汚層の形成]
防汚層の形成は、例えば基材Aに絵柄層を設けた後に、基材Aの絵柄層を設けた面とは反対の面に防汚層用硬化性樹脂組成物を塗工し、架橋硬化して行えばよい。防汚層用硬化性樹脂組成物の塗工、及び架橋硬化の方法は、機能層の形成と同様である。また、防汚層用硬化性樹脂組成物の架橋硬化による防汚層の形成は、基材Aと基材Bとを積層する前であれば特に制限なく行うことができるが、製造工程の簡略化を考慮すると、基材Aに機能層を設ける場合は、該機能層の架橋硬化による形成と同時に行うことが好ましい。なお、基材Bに防汚層を設ける場合も、防汚層は基材Aに設ける場合と同様に設けることができる。
【0064】
[機能性シート]
このようにして得られる本発明の機能性シートは、優れた各種機能と、優れた強度とを有するものである。用いられる機能性材料によりその用途は様々であるが、本発明の機能性シートは、建築物の天井、壁材などの内外装用建材、家具や家電品向けの化粧材や付属品などに好適に用いられる。例えば、機能性材料として耐熱安定剤、酸化防止剤、防カビ剤、抗菌剤、帯電防止剤、発泡剤、中空セラミック球体、蛍光漂白剤、光選択性添加剤、電磁波遮蔽吸収剤、蓄光顔料及び消臭剤を用いた場合には、建築物の天井、壁材などの内外装用建材、家具や家電品向けの化粧材などに、また機能性材料として帯電防止剤を用いた場合には、その帯電防止性能と優れた強度をいかして液晶ディスプレイのフィルタなどに、好適に用いられる。
【0065】
さらに、本発明の機能性シートは、コンビニエンスストア、スーパーなどの商業施設の窓ガラスなどに貼り付けるなどして、使用することも可能である。本発明の機能性シートは、剥離層と剥離シートを機能性シートの少なくとも1面に設けたタックシートとすることで、様々な用途に対応することもできる。この際、剥離層や剥離シートとしては、通常タックシートに用いられるものを制限なく適用することが可能である。
【実施例】
【0066】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
各実施例及び比較例で得られた機能性シートについて、下記の方法で評価した。
(1)各種機能の評価
機能性シートの各種機能について、下記の基準で評価した。
(1−1)耐熱安定性
機能性材料として耐熱安定剤を用いた機能性シートを、125℃の条件下で30分間静置した後の、機能性シートの色を、下記の基準で評価した。
○ :色差が全く生じなかった
△ :多少の色差は発生したが、実用上問題ない
× :色差が著しかった
(1−2)耐候性
機能性材料として酸化防止剤を用いた機能シートを、175℃の条件下で5分間静置した後の、機能性シートの色を、下記の基準で評価した。
○ :色差が全く生じなかった
△ :多少の色差は発生したが、実用上問題ない
× :色差が著しかった
(1−3)防カビ性
機能性材料として防カビ剤を用いた機能性シートの評価は、JIS Z 2911に準拠して行った。具体的には、胞子懸濁液を調製し、硬化物試験体上に該胞子懸濁液スプレーして29℃で培養した後、かびの生育を観察し、下記(評価基準)に従って評価した。ここで、使用した菌種は、ペニシリン、シトリナム、クラドスポリウム、ヘルバレム、及びアスペルギルスSPである。
○ :肉眼及び顕微鏡下でかびの発育は認められない。
△ :菌糸の発育が多少みられ、発育部分の面積は試験体の全面積の1/3未満である。
× :菌糸の発育は激しく、発育部分の面積は試験体の全面積の1/3以上である。
(1−4)抗菌性
機能性材料として抗菌剤を用いた機能性シートの評価は、JIS Z 2801に準拠して行った。具体的には、培養した試験菌を1/500NBの液体培地によって懸濁して2.5〜10×105個/mLの濃度に調整した菌液0.4mLを、滅菌シャーレに入れたテストピース上にのせ、4cm×4cmの強化ポリエチレンフィルム(ストマッカーフィルム400型、オルガノ製)を密着させ、温度35±1℃、湿度90%以上の条件で24時間培養して生菌数を測定し、除菌活性値を求めた。なお、使用した試験菌は大腸菌、黄色ブドウ球菌であり、テストピースは、抗菌・消臭組成物2.0mLを塗布した5cm×5cmのタイルを使用した。
○ :除菌活性値が2以上
△ :除菌活性値が1以上2未満
× :除菌活性値が1未満
(1−5)帯電防止性
機能性材料として帯電防止剤を用いた機能性シートについて、高抵抗率計(「ハイレスタUP(型番)」:三菱化学(株)製)を用いて、印加電圧500V、10秒の条件で表面抵抗値(Ω)を測定し、下記の基準で評価した。表面抵抗値が小さいほど、機能性シートの表面は帯電しても静電荷が蓄積しにくく、帯電防止性能が優れていることを示す。表面抵抗値が1.0×1013(Ω)以下であれば、機能性シートは塵や埃などの付着防止に必要とされる性能を満足したものとなる。
○ :1.0×1013(Ω)以下であった
× :1.0×1013(Ω)より大きかった
(1−6)消臭性
機能性材料として消臭剤を用いた機能性シートについて、アルデヒドの消臭性能試験を行った。具体的には、機能性シートを、5Lのテドラーバックに入れたものを準備し、これを真空にした後、濃度50ppmのアセトアルデヒド含有気体の600mlを該バック中に注入し、各バックごとのアセトアルデヒド濃度の経時変化を、北川式ガス検知管を用いて測定した。1時間後のアセトアルデヒド濃度について、以下の基準で評価した。
○ :濃度が15ppm未満
△ :濃度が15ppm以上25ppm未満
× :濃度が25ppm以上
(1−7)難燃性
機能性材料として難燃剤を用いた機能性シートについて、アンダーライターズ・ラボラトリーズのUL94規格の垂直燃焼試験を、長さ130mm×幅13mm×厚み1.5mmの試験片で行いその等級を、以下の基準で評価した。
○ :UL945VB以上の等級を有する
△ :UL94−V−1の等級を有する
× :UL94−V−2以下の等級を有する
(1−8)色コントロール性
機能性材料として蛍光増白剤を用いた機能性シートについて、白色度を測定し、以下の基準で評価した。ここで、白色度は、JISのZ8722やZ8730に記載されているように、Richard S.Hunterの色差式を基に設計された日本電色工業株式会社製の分光式色彩計SE−2000を用いて、反射法にて試料の色の3刺激値を示すXYZ値を測定し、白色度=4×0.847×Z−3×Y(%)の式で算出される値である。
○ :白色度80以上
△ :白色度70以上80未満
× :白色度70未満
(1−9)光選択性
機能性材料として光選択添加剤を用いた機能性シートについて、標準光源D65を基準とする600〜700nmの赤色光の光量子束透過量(R)、標準光源D65を基準とする700〜800nmの遠赤色光の光量子束透過量(FR)の比(R/FR値)を、日立製作所製分光光度計(U−3500)を用いて測定した透過量の分光透過率より計算し、該R/FR値について以下の基準で評価した。
○ :R/FR比が0.9以上1.1未満
△ :R/FR比が0.8以上0.9未満又は1.1以上1.2未満
× :R/FR比が0.8未満又は1.2以上
(1−10)遮熱性
機能性材料として発泡剤を用いた機能性シートについて、熱抵抗値を測定し、以下の基準で評価した。
○ :熱抵抗値が0.5以下
△ :熱抵抗値が0.5以上1未満
× :熱抵抗値が1以上
(1−11)遮音性
機能性材料として中空セラミック球体を用いた機能性シートについて、JIS A 1419−1に規定される遮音等級曲線に準拠して、以下の基準で評価した。
○ :遮音等級D−50以上
△ :遮音等級D−30以上D−50未満
× :遮音等級D−30未満
(1−12)電磁波遮蔽性
機能性材料として電磁波遮断吸収剤を用いた機能性シートについて、電磁波遮蔽性(電磁波シールド効率)の測定をASTM D4935に準拠した方法により行った。周波数0〜1000MHzにおいて測定した電磁波シールド効率を、以下の基準で評価した。
○ :dB20(シールド率90%以上)、dB40(シールド率99%以上)
△ :dB20(シールド率70%以上)、dB40(シールド率80%以上)
× :dB20(シールド率70%未満)、dB40(シールド率80%未満)
(1−13)蓄光性
機能性材料として蓄光顔料を用いた機能性シートについて、りん光輝度の測定をASTM E1444に準拠した方法により行った。測定したりん光輝度を、以下の基準で評価した。
○ :りん光輝度(mcd/m2)が、5分後110以上、10分後50以上、20分後24以上、60分後7以上
× :上記○の基準を満足しなかった
(2)密着性
機能性シートの表面の一部を、消しゴムで10回擦り、その部分に室温下、セロファンテープ(ニチバン(株)製のセロファン粘着テープ、「セロテープ(登録商標)」25mm幅)を強く貼着させ、機能性シートの表面と90度の方向に、該セロファンテープを強制的に剥離した。これを3回繰り返した時のシートの状態を観察し、以下の基準で評価した。
○ 問題ない
△ 若干の剥離があるものの、実用上問題がない
× 剥離が著しい
(3)耐溶剤性
機能性シートの表面を、メチルエチルケトンを5往復ラビングした(500g荷重)。ラビング後、肉眼観察により、以下の基準で評価した。
○:外観に変化がなかった
△:外観に多少の変化は見られたが、実用上問題なかった
×:外観の白化が著しかった
(4)生産性
機能層を形成する硬化性樹脂組成物の塗工性について、以下の基準で評価した。
○ :塗工が容易であった
△ :若干塗工しにくいが、問題ない
× :塗工できなかった、あるいは均一な塗膜が形成できなかった
【0067】
実施例1:機能性シートの作製
基材として、ポリプロピレン系樹脂からなる厚さ140μmのポリオレフィン系樹脂シート(「PPフィルム」(商品名):三菱樹脂株式会社製)を2枚用意した。そのうち1枚の基材上にウレタン系樹脂を主体とし、着色顔料として白チタンを含有するウレタン・アクリル系インキをグラビア印刷することにより乾燥後の塗工量が2g/m2となるように絵柄層を形成し、さらに絵柄層を設けた面とは反対の面に、電子線硬化性アクリレート樹脂を主体とする電子線硬化性樹脂を塗工した後、電子線を175keV、50kGy(5Mrad)の条件で照射して塗膜を架橋硬化させて、一方の面に絵柄層を有し、他方の面に防汚層を有する基材Aを得た。この基材Aの絵柄層の上に、下記の組成を有する硬化性樹脂組成物を、紫外線吸収剤の量が3〜20g/m2となるように塗工し、電子線を175keV、50kGy(5Mrad)の条件で照射して塗膜を架橋硬化させて、機能層を形成した。
一方、別の1枚の基材上に、下記の組成を有する硬化性樹脂組成物を、紫外線吸収剤の量が3〜20g/m2となるように塗工し、電子線を175keV、50kGy(5Mrad)の条件で照射して塗膜を架橋硬化させて、一方の面に機能層を有する基材Bを得た。なお、基材A及び基材Bへの電離放射線硬化性樹脂組成物の塗工において、電離放射線硬化性樹脂と紫外線吸収剤との合計塗工量は、20〜80g/m2となるようにした。
基材Bに設けた機能層に、2液硬化型のポリエステルポリオールタイプの接着剤を75℃に加温した状態で、ロールコート法により5〜20g/m2で塗工し、基材Aに設けた機能層を貼着して、本発明の機能性シートを得た。得られた機能性シートの評価結果を第1表〜第3表に示す。
硬化性樹脂組成物 組成
耐熱安定剤*1:10質量部
3官能アクリレートモノマー:70質量部
*1,「IRGAFOS168(商品名)」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製
【0068】
実施例2〜26及び比較例1〜26
実施例1において、機能性材料と硬化性樹脂組成物の塗工量を第1表〜第5表に記載されるものとした以外は、実施例と同様にしてシートを作製した。得られたシートの評価結果を第1表〜第5表に示す。
【0069】
【表1】

*1,機能性材料
A:耐熱安定剤(「IRGAFOS168(商品名)」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
B:酸化防止剤(「IRGANOX1010(商品名)」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
C:防カビ剤(「IRGAGUARD F 3000(商品名)」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
【0070】
【表2】

*1,機能性材料
D:抗菌剤(「IRGAGUARD F 3000(商品名)」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
E:帯電防止剤(「IRGASURF HL560(商品名)」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ
F:消臭剤(「PEX CLT−71AL(商品名)」:東京インキ株式会社製)
【0071】
【表3】

*1,機能性材料
G:難燃剤(「MELAPUR200/70(商品名)」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
H:蛍光増白剤(「TINOPAL OB(商品名)」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
I:光選択添加剤(「SMARTLIGHT RL1000(商品名)」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
【0072】
【表4】

*1,機能性材料
J:発泡剤(「セルマイク266(商品名)」:三協化成株式会社製,遮熱性の付与に用いられる。)
K:中空セラミック球体(「グラスバブルス(商品名)」:住友スリーエム株式会社製)
L:電磁波遮断吸収剤(導電性金属粉末:銅粉)
【0073】
【表5】

*1,機能性材料
M:蓄光顔料(「ルミノーバG−300(商品名)」:根本特殊化学株式会社製)
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明によれば、シートに優れた各種機能と、優れた強度とを付与し、かつ生産性に優れた機能性シートの製造方法、及び機能性シートを得ることができる。本発明の機能性シートは、建築物の天井、壁材などの内外装用建材、家具や家電品向けの化粧材や付属品などに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の製造方法により製造された機能性シートの断面を示す模式図である。
【図2】本発明の機能性シートの断面を示す模式図である。
【符号の説明】
【0076】
1.機能性シート
A.基材A
B.基材B
31.機能層
32.機能層
4.接着層
5.絵柄層
6.防汚層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程(A)〜(C)を有する機能性シートの製造方法。
工程(A):基材A及び/又は基材Bに絵柄層を形成する工程
工程(B):工程(A)で基材A及び/又は基材Bに設けられた絵柄層側、ならびに/もしくは絵柄層が設けられない基材A又は基材Bに、機能性材料と硬化性樹脂とを含む硬化性樹脂組成物を塗工して機能層を形成する工程
工程(C):前記絵柄層及び機能層が基材Aと基材Bとの間になるように、接着剤を介して基材Aと基材Bとを積層させる工程
【請求項2】
さらに以下の工程(D)を有する請求項1に記載の機能性シートの製造方法。
工程(D):防汚層用硬化性樹脂を、機能性シートの最表面に塗工して防汚層を形成する工程
【請求項3】
硬化性樹脂が、電離放射線硬化性樹脂である請求項1又は2に記載の機能性シートの製造方法。
【請求項4】
電離放射線硬化性樹脂が、電子線硬化性樹脂である請求項3に記載の機能性シートの製造方法。
【請求項5】
機能性材料が、耐熱安定剤、酸化防止剤、防カビ剤、抗菌剤、帯電防止剤、発泡剤、遮音性充填剤、蛍光漂白剤、光選択性添加剤、電磁波遮蔽吸収剤、蓄光顔料及び消臭剤から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の機能性シートの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により製造された機能性シート。
【請求項7】
基材Aと基材Bとの間に、絵柄層と機能層とを有する機能性シートであって、該シートの少なくとも機能層に機能性材料を含有し、かつ該シート全体としての該機能性材料の含有量が1〜45g/m2である機能性シート。
【請求項8】
機能層が、2層からなるものである請求項7に記載の機能性シート。
【請求項9】
2層の機能層の間に接着層を有する請求項8に記載の機能性シート。
【請求項10】
さらに、最表面に防汚層を有する請求項7〜9のいずれかに記載の機能性シート。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−82819(P2010−82819A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251273(P2008−251273)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】