説明

機能性シート

【課題】被着体への貼着作業性に優れ、被着体との間に空気が入り込むのを抑制可能な機能性シートを提供する。
【解決手段】シート本体20の一方の面には被着体50に粘着可能な粘着層を有すると共に、その粘着層を剥離可能に覆うアプリケータシートを備え、アプリケータシートは、粘着層を剥離可能に覆う剥離シート部13と、この剥離シート部13から延びると共に再剥離粘着層を有してその再剥離粘着層によって被着体50に粘着可能な先行貼着シート部40と、再剥離粘着層を剥離可能に覆う補助剥離シート部41と、先行粘着シート部40と剥離シート部13との境界部分に設けられ補助剥離シート部41を除去して再剥離粘着層を被着体50に貼着した後に引っ張ることにより先行貼着シート部40を被着体50から剥がし取ると共に剥離シート部13をシート本体20の粘着層から剥がし取ることが可能な摘み部17とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着体の表面に貼着される機能性シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶画面等の被着体の表面に貼着される機能性シートとして、特許文献1に記載のものが知られている。この機能性シートは、基材フィルムの一方の面に光反射防止層等の機能層を設け、他方の面に粘着剤層を設け、この粘着剤層上に剥離可能な剥離紙を貼り付けたものであり、機能層の端部上面には、再剥離可能な粘着剤層を有する位置決めシールの一端が貼着されている。この位置決めシールの他端を、被着体の貼着面の周辺部に貼着し仮止めすることで、基材フィルムの粘着剤層を貼着面に貼着する前、つまり剥離層を粘着剤層から剥離する前に、機能性シートの位置決めを行うことができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−208855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、被着体の貼付面には、埃や塵等が付着している場合があり、この埃や塵等を除去せずに機能性シートを貼着してしまうと、貼付面と機能性シートの粘着剤層とが密着せずに空隙が生じて、機能性シートを貼着した後の被着体において美的外観が損なわれる可能性がある。このため、機能性シートを貼着する前にこれら貼付面上の埃や塵をクロスやエアダスターで除去する等の対策が講じられているが、作業性が悪く好ましくない。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、被着体への貼着作業性に優れ、被着体との間に空気が入り込むのを抑制可能な機能性シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被着体に貼着される機能性シートであって、シート本体の一方の面には前記被着体に粘着可能な粘着層を有すると共に、その粘着層を剥離可能に覆うアプリケータシートを備え、前記アプリケータシートは、前記粘着層を剥離可能に覆う剥離シート部と、この剥離シート部から延びると共に再剥離粘着層を有してその再剥離粘着層によって前記被着体に粘着可能な先行貼着シート部と、前記再剥離粘着層を剥離可能に覆う補助剥離シート部と、前記先行粘着シート部と前記剥離シート部との境界部分に設けられ前記補助剥離シート部を除去して前記再剥離粘着層を前記被着体に貼着した後に引っ張ることにより前記先行貼着シート部を前記被着体から剥がし取ると共に前記剥離シート部を前記シート本体の前記粘着層から剥がし取ることが可能な摘み部とを有することに特徴を有する。
【0007】
このような構成によれば、アプリケータシートの先行貼着シート部を貼着した後、剥がし取ることで被着体上の埃や塵等の付着物が除去され、先行貼着シート部を剥がし取ると共に先行貼着シート部が貼着されていた部分に、代わってシート本体が貼着されることとなる。よって、先行貼着シート部によりシート本体と被着体との間に空気が入り込む原因となる上記付着物が除去され、その除去された状態でシート本体が貼着されるから、被着体とシート本体との間に空気が入り込みにくくなり、空隙が生じるのを抑制できる。よって、シート本体を被着体に貼着しても、空隙が生じることによりその美的外観が損なわれることがない。
【0008】
また、先行貼着シート部と剥離シート部との境界部分に設けられた摘み部を引っ張るだけで、先行貼着シート部を被着体から剥がし取る作業と、シート本体から剥離シート部を剥がし取る作業と、シート本体を被着体に貼着する作業とを同時に行うことが可能であるから、被着体への貼着作業性に優れる。また、これらの作業を同時に行うことで、より被着体上に埃や塵等の付着物がない状態でのシート本体の貼着ができるから、被着体との間に空気が入り込むのを更に抑制することが可能となる。
【0009】
前記シート本体には、粘着層を有して前記シート本体の一端部を前記被着体のうち前記シート本体を貼着する貼着面以外の部分に仮止めするための仮止めシートが設けられていることが望ましい。このような構成によれば、先行貼着シートを被着体に貼着して位置決めした後、シート本体を被着体に対して仮止めすれば、先行貼着シートを目安としてその貼着位置を見定めることができる。また、摘み部を引っ張る際に、仮止めシートによりシート本体が被着体に仮止めされていれば、シート本体を例えば手で押さえて被着体に固定せずとも、先行貼着シート部を被着体から剥がし取る作業と、シート本体から剥離シート部を剥がし取る作業と、シート本体を被着体に貼着する作業の三つの作業を同時に容易に行うことができるから、貼着作業性に優れたものとすることができる。
【0010】
前記アプリケータシートの前記剥離シート部は前記シート本体の前記粘着層を剥離可能に覆う前記シート本体と同形である独立の剥離シートから構成され、前記先行貼着シート部は前記貼着面の全域を覆うことが可能な独立の先行貼着シートから構成され、前記剥離シートと前記先行貼着シートとは連結用粘着シートによって連結されていてもよい。このような構成によれば、剥離シートにより粘着層が覆われたシート本体と、先行貼着シートとを別体で製造することが可能となり、その後シート本体と先行貼着シートとを連結用粘着シートで連結することで、本発明の機能性シートを得ることができるから、成形し易く、製造上都合がよい。
【0011】
前記シート本体は前記粘着層を有する面とは反対側の面を覆う保護シートを有し、前記仮止めシートの前記粘着層は前記保護シートに貼着されると共に前記保護シートから露出した前記粘着層には仮止側剥離シートが貼着されていてもよい。このような構成とすれば、シート本体は、被着体に貼着される前において、その両面が剥離シート部又は保護シートにより覆われた状態にあるから、使用前に傷付いたり、シート本体としての機能が失われるといった事態を抑制することができる。なお、仮止めする際には、先行貼着シートを貼着したのち、仮止側剥離シートを剥がして仮止めシートをその粘着層により被着体の貼着面以外の部分に貼着すればよい。シート本体を覆う保護シートを介して、シート本体を被着体に仮止めすることができる。また、仮止めシートが保護シート上に貼着されることで、シート本体を被着体に貼着した後、その役目を終えた仮止めシートを保護シートと共に、剥がし取ることができるから、シート本体に仮止めシートの粘着層が残る虞もなく、貼着作業性にも優れる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被着体への貼着作業性に優れ、被着体との間に空気が入り込むのを抑制可能な機能性シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態1に係る機能性シートの平面図
【図2】機能性シートの要部拡大断面図
【図3】アプリケーションシートから補助剥離シートの第1剥離部を剥がす直前の状態を示した機能性シートの断面図
【図4】貼着面にアプリケーションシートの位置決め部を貼着した状態を示した機能性シートの断面図
【図5】補助剥離シート部を剥がしてアプリケーションシートの全体を貼着面に貼着する途中の状態を示した機能性シートの断面図
【図6】仮止めシートの仮止側剥離シートを剥がす直前の状態を示した機能性シートの断面図
【図7】仮止めシートを被着体の貼着面以外の部分に貼着した状態を示した機能性シートの断面図
【図8】アプリケーションシートを剥がすと共にシート本体のセパレートフィルムを剥がす途中の状態を示した機能性シートの断面図
【図9】シート本体を貼着面に貼着した状態を示した機能性シートの断面図
【図10】シート本体から仮止めシート及び保護フィルムを剥がす途中の状態を示した機能性シートの断面図
【図11】貼着面への貼着作業が完了した状態を示した機能性シートの断面図
【図12】実施形態1の変形例1に係る機能性シートの要部拡大断面図
【図13】実施形態1の変形例2に係る機能性シートの要部拡大断面図
【図14】本発明の実施形態2に係る機能性シートの要部拡大断面図
【図15】実施形態2の変形例1に係る機能性シートの要部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図11によって説明する。なお、各図面は本実施形態の機能性シート10の構成を概略的に示すもので、正確な寸法関係を表したものではない。
本実施形態における機能性シート10は携帯ゲーム機や携帯電話機等の液晶画面を保護する液晶保護フィルムに適用した場合を例示している。以下、図1の各方向を基準とし、紙面手前側を上側、紙面奥側を下側として説明する。
【0015】
この機能性シート10は、図1に示すように、平面視矩形状のシート本体20の上下両側に同形の複数のシートを積層させた本体部11を備え、その平面形状や大きさは被着体50の貼着面51(例えば携帯ゲーム機の液晶画面)と略同じとされている。本体部11の最上面には仮止めシート30の固定部31が貼着されており、この固定部31から延出し、本体部11から張り出した部分は仮止め部32とされている。仮止め部32は、その下面に粘着層を有して被着体50に粘着可能とされており、仮止め部32からさらに突出するタブ部34は、仮止め部32を被着体50に貼着した際に、当該仮止め部32を被着体50から剥がす持ち手としての機能を有する。なお、仮止め部32は、図2に示すように、その下面側の粘着層を覆う仮止側剥離シート34を有している。
【0016】
本体部11は、図2に示すように、最終的に貼着面51上に貼着状態で残るシート本体20と、シート本体20の上面を保護する保護フィルム12(保護シートに相当する)と、シート本体20の下面側に設けられた粘着層を覆うセパレートフィルム13(剥離シートに相当する)と、セパレートフィルム13の下面側に重畳して配されるアプリケーションシート40(先行貼着シートに相当する)と、アプリケーションシート40とセパレートフィルム13を連結する連結用粘着シート14とから構成される。アプリケーションシート40は、その下面側に再剥離粘着層を有し、この再剥離粘着層を覆うようにして補助剥離シート41が積層されている。なお、本発明のアプリケータシートとは、シート本体20に連なるセパレートフィルム13、連結用粘着シート14、アプリケーションシート40、補助剥離シート41に相当する。
【0017】
アプリケーションシート40のうち、仮止めシート30側の一端は、補助剥離シート41と共にその端部が当該アプリケーションシート40の上面に配されるように、二つ折りにされており、その上面に配された連結部42は、同じく二つ折りにされた連結用粘着シート14のアプリケーション側粘着面15Aに粘着されている。連結用粘着シート14は、アプリケーション側粘着面15Aを下面に有する第1連結部15と、折り返されて第1連結部15上に配された第2連結部16とから構成され、第2連結部16の上面は、セパレート側粘着面16Aとされている。このセパレート側粘着面16Aは、セパレートフィルム13の仮止めシート30に重畳する一端に粘着されている。
【0018】
なお、アプリケーションシート40及び連結用粘着シート14は、いずれも図1及び図2の右方に凸となるように、二つ折りにされ、その折り目が上下方向においてシート本体20の右端部と略一致するように配されている。補助剥離シート41は、この折り目において、分離用切れ目41Aが形成されており、補助剥離シート41のうちアプリケーションシート40の下面側に配された部分のみを剥離して、露出した再剥離粘着層により被着体50の貼着面51にアプリケーションシート40を貼着可能なものとされている。
【0019】
さて、連結用粘着シート14の第1連結部15とそれに粘着されたアプリケーションシート40の連結部42とからなる摘み部17は、セパレートフィルム13とアプリケーションシート40との間に配され、図2の左方に向かって延びる態様をなしている。詳しくは後述するが、この摘み部17を摘んで図2の左方に引っ張ることで、それに連結されているアプリケーションシート40を被着体50の貼着面51から剥がし取り、シート本体20からセパレートフィルム13が剥がし取られる。これにより、アプリケーションシート40を貼着面51から剥がし取ると同時に、シート本体20の露出した粘着層により当該シート本体20が貼着面51に貼着されることとなる。
【0020】
続いて、各部材について詳しく説明する。
まず、シート本体20は、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称する)製の透光性を有するものとされている。シート本体20の上面側は、例えばキズ防止や光反射を低減する特殊コーティングがなされており、同下面側には粘着層が設けられている。この粘着層の材質としては、シリコーン系、アクリル系、ゴム系等の粘着剤から適宜選択可能とされている。
【0021】
この粘着層を覆うセパレートフィルム13及びシート本体20の上面を覆う保護フィルム12は、同じくPET製とされる。セパレートフィルム13は粘着層を覆う公知の剥離紙様の機能を有し、また保護フィルム12はシート本体20の上面が使用前に傷付くのを防止する等の機能を有し、いずれも各機能が発揮されれば、PETに限定されるものではない。また、保護フィルム12の下面側には、シート本体20の上面を覆った状態に保持するための粘着層が設けられており、その材質としては、同様にシリコーン系、アクリル系、ゴム系等の粘着剤から適宜選択可能とされている。保護フィルム12をシート本体20から剥がした際に粘着層がシート本体20の上面に残らないような粘着力とすることが望ましい。
【0022】
なお、保護フィルム12及びセパレートフィルム13のいずれも透光性を有するものが望ましく、その理由としては、アプリケーションシート40を被着体50の貼着面51に貼着した際にその態様が保護フィルム12、シート本体20、セパレートフィルム13を介して上部から視認可能であることが望ましいからである。このような構成によれば、これらをアプリケーションシート40に積層させた状態で、貼着面51にアプリケーションシート40を貼着し、その位置決めを容易に行うことができる。
【0023】
保護フィルム12上に貼着される仮止めシート30は、紙製が例示され、その他、プラスチックや繊維、金属等から適宜選択可能とされている。仮止めシート30の固定部31、仮止め部32のいずれにおいてもその下面には粘着層が設けられており、公知の粘着剤のいずれも選択可能であり、特に限定されない。但し、仮止め部32の粘着層は、仮止めシート30を仮止め後に被着体50から剥離する必要があるため、この剥離した際に被着体50に粘着層が残らない程度の粘着力とすることが望ましい。仮止め部32の粘着層を覆う仮止側剥離シート34としては、例えば紙の表面をシリコーン系、フッ素系の離型剤でコーティングしたものが好適に用いられる。
【0024】
連結用粘着シート14は、仮止めシート30と同様に紙、プラスチック、繊維、金属等を基材として、二つ折りにされたその外周面にアプリケーション側粘着面15Aとセパレート側粘着面16Aを形成する粘着層が設けられている。この粘着層は、仮止めシート30の粘着層と異なり、剥離する必要がなく、また摘み部17としてセパレートフィルム13とアプリケーションシート40の連結部42を連結した状態で貼着した貼着面51あるいはシート本体20から剥がし去る必要があるため、仮止め部32の粘着層や後述するアプリケーションシート40の再剥離粘着層よりは高い粘着力とされている。
【0025】
アプリケーションシート40としては、所謂、再剥離タック紙が好適に用いられ、連結用粘着シート14、仮止めシート30と同様に紙、プラスチック、繊維、金属等を基材として、その下面に再剥離可能な再剥離粘着層が形成されたものであればよく、剥離した際に貼着面51に粘着層が残らない程度の粘着力とされていればよい。アプリケーションシート40の再剥離粘着層を覆う補助剥離シート41は、上記した仮止側剥離シート34と同程度の素材が用いられているものとする。この補助剥離シート41には、図3の左方において、剥離用切れ目41Bが形成されており、この切れ目41Bにより分離された補助剥離シート41の左端部は第1剥離部41Cとされ、残りの補助剥離シート41の部分は、第2剥離部41Dとされている。なお、第1剥離部41Cによって覆われたアプリケーションシート40の部分は位置決め部40Aとされている。この第1剥離部41Cのみをアプリケーションシート40から剥がし、位置決め部40Aの再剥離粘着層により被着体50の貼着面51に貼着することで、補助剥離シート41のすべてをアプリケーションシート40から剥がさずとも、貼着位置の位置決めが位置決め部40Aによって容易にできるように工夫されている。
【0026】
続いて、本実施形態における機能性シート10の作用について図3から図11を用いて説明する。
まず、アプリケーションシート40を被着体50の貼着面51に貼着する。図3に示すように、アプリケーションシート40の再剥離粘着層を覆う補助剥離シート41を、剥離用切れ目41Bから第1剥離部41Cのみを剥がし、貼着面51に対するアプリケーションシート40の位置決めをしたその位置に、位置決め部40Aを貼着し、固定する(図4参照)。続いて、図5に示すように残りの補助剥離シート41である第2剥離部41Dを剥がし、貼着面51にアプリケーションシート40全体を貼着する(図6参照)。なお、補助剥離シート41には、二つ折りにした連結部42側の折り目に分離用切れ目41Aが形成されており、第2剥離部41Dは、この連結部42を除く貼着面51への対向面側のみが剥がれるようになっている。第2剥離部41Dを剥がしてのアプリケーションシート40の貼着作業は、位置決め部40Aにより既にその端部が貼着面51に固定された状態にあるから、新たに位置決めする必要がなく、貼着作業性に優れる。
【0027】
アプリケーションシート40の機能は、まず、アプリケーションシート40を貼着面51に対して所望の位置に貼り付けることで、シート本体20の仮位置決めができることである。そして、アプリケーションシート40の再剥離粘着層を貼着面51全体に粘着させることで、貼着面51上の埃や塵といった付着物を除去することである。よって、アプリケーションシート40の再剥離粘着層が貼着面51に密着するように、貼着することで、当該付着物の除去を行うことができる。
【0028】
続いて、図6に示すように、仮止めシート30の仮止め部32から仮止側剥離シート34を剥がし、被着体50の貼着面51脇に仮止め部32を貼着する(図7参照)。なお、図7において仮止め部32と固定部31との位置が大きく異なるように誇張して描かれているが、実際の本体部11の厚さはこれよりも薄く、固定部31と仮止め部32との間は、その位置ずれがないように弛みなく、伸張状態にあるものとする。この仮止め部32を被着体50に固定することにより、アプリケーションシート40を貼着面51から剥がした後であっても、機能性シート10の特にシート本体20の位置を貼着面51に対して維持することが可能となる。これにより、アプリケーションシート40の貼着によりなされた貼着面51に対する位置決めを、そのまま、シート本体20の位置決めに反映することができるから、シート本体20を所望の貼着面51に対して正確に、且つ容易に貼着することが可能となる。
【0029】
次に、シート本体20とアプリケーションシート40の間に突出する摘み部17を仮止め部32から遠ざかる方向に引っ張る(図8参照)。すると、被着体50に固定された仮止め部32を軸にして、アプリケーションシート40が貼着面51から剥がし取られると共に、シート本体20からセパレートフィルム13が剥がし取られる。すると、シート本体20の粘着層がセパレートフィルム13が剥がされた仮止め部32側から露出するから、その露出部分を順に上方から貼着面51に押さえつけていくことで、シート本体20を貼着面51に貼着させることができる(図9参照)。このような構成により、アプリケーションシート40を剥がした直後の貼着面51に同じくセパレートフィルム13を剥がした直後のシート本体20を貼着させることができる。よって、貼着面51上に埃や塵等の付着物がアプリケーションシート40の粘着層により除去された直後にシート本体20を貼着することができ、付着物の存在により生じる貼着面51とシート本体20との間の空隙を抑制することができる。また、セパレートフィルム13を剥がした直後のシート本体20を貼着することで、その粘着層の粘着力が損なわれることもない。
【0030】
最後に、図10に示すように、仮止めシート30のタブ部33を掴んで仮止めシート30と共に、保護フィルム12を剥がし取る。すると、図11に示すように、シート本体20のみが貼着面51に貼着した状態となり、これにて機能性シート10の貼着作業が完了する。
【0031】
以上説明したように、本実施形態によれば、アプリケーションシート40を貼着面51に貼着した後、剥がし取ることで、貼着面51上の埃や塵等の付着物が除去され、アプリケーションシート40を剥がし取ると共に、アプリケーションシート40が貼着されていた部分に、シート本体20が貼着されることとなる。よって、アプリケーションシート40によりシート本体20と貼着面51との間に空気が入り込む原因となる上記付着物が除去され、その除去された直後にシート本体20が貼着されるから、貼着面51とシート本体20との間に空気が入り込みにくくなり、空隙が生じるのを抑制することができる。よって、シート本体20を貼着面51に貼着しても、空隙が生じることなく、被着体50の美的外観を維持することが可能となる。
【0032】
また、アプリケーションシート40とセパレートフィルム13との境界部分に設けられた摘み部17を引っ張るだけで、アプリケーションシート40を貼着面51から剥がし取る作業と、シート本体20からセパレートフィルム13を剥がし取る作業と、シート本体20を貼着面51に貼着する作業とを同時に行うことができるから、貼着面51への貼着作業性に優れる。また、これらの作業を同時に行うことで、より貼着面51上に埃や塵等の付着物がない状態でのシート本体20の貼着ができるから、貼着面51との間に空気が入り込むのを更に抑制することができる。
【0033】
また、アプリケーションシート40を貼着面51に貼着して位置決めした後、シート本体20を仮止めシート30により仮止めすることで、アプリケーションシート40を目安としてその貼着位置を見定めることができる。また、摘み部17を引っ張る際に、仮止めシート30の仮止め部32が被着体50に固定されていれば、シート本体20を例えば手で押さえて被着体50に固定せずとも、アプリケーションシート40を被着体50から剥がし取る作業と、シート本体20からセパレートフィルム13を剥がし取る作業と、シート本体20を被着体50に貼着する作業の三つの作業を同時に容易に行うことができるから、貼着作業性に優れたものとすることができる。
【0034】
また、保護フィルム12及びセパレートフィルム13に覆われたシート本体20と、補助剥離シート41に覆われたアプリケーションシート40とは別体の連結用粘着シート14により連結されているから、例えばセパレートフィルム13とアプリケーションシート40、もしくはセパレートフィルム13と補助剥離シート41とが一体である場合と比較して、製造上都合がよい。即ち、セパレートフィルム13等に覆われたシート本体20と、補助剥離シート41に覆われたアプリケーションシート40とを別々に製造することが可能であり、その後、連結用粘着シート14で上記2部材を連結すれば、成形し易く、製造上都合がよい。
【0035】
また、シート本体20の上面は保護フィルム12により覆われているから、使用前に傷付いたり、シート本体20としての機能、例えばキズ防止や光反射低減といった機能が失われるといった事態を抑制することができる。また、仮止めシート30の固定部31は保護フィルム12上に貼着されているから、シート本体20を貼着面51に貼着した後、その役目を終えた保護フィルム12と共に、仮止めシート30をも剥がし取ることができるから、取扱い性に優れるほか、仮止めシート30の固定部31の粘着層がシート本体20の上面に残る虞がなく、更なる美的外観の維持が可能となる。
【0036】
以上本発明の実施形態1を示したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば以下のような変形例を含むこともできる。なお、以下の変形例において、上記実施形態と同様の部材には、上記実施形態と同符号を付して説明を省略するものもある。
【0037】
[実施形態1の変形例1]
実施形態1の変形例1について図12を用いて説明する。本変形例は、実施形態1とは、大きくシート本体20類とアプリケーションシート40類との2部品に分かれているところが相違し、使用者が使用時にこの2部品を連結用粘着シート61により連結して組み立て、機能性シート60を完成させるところが相違する。
【0038】
シート本体20類は、シート本体20の上面を覆う保護フィルム12、シート本体20下面の粘着層を覆うセパレートフィルム13、仮止めシート30とから構成されている。アプリケーションシート40類は、アプリケーションシート40とアプリケーションシート40下面の再剥離粘着層を覆う補助剥離シート41と、連結用粘着シート61とから構成されている。連結用粘着シート61はアプリケーション側粘着面62を下面に有する第1連結部62Aと、折り返されて第1連結部62A上に配された第2連結部63とから構成され、第2連結部63の上面は、セパレート側粘着面63Aとされている。そして、セパレート側粘着面63Aは、連結用剥離シート64により覆われている。連結用剥離シート64は、仮止側剥離シート34や補助剥離シート41と同様に、例えば紙の表面をシリコーン系、フッ素系の離型剤でコーティングしたものが好適に用いられる。
【0039】
使用者は、この機能性シート60を使用する際に、まず、連結用粘着シート61から連結用剥離シート64を剥がし、セパレートフィルム13のうち、仮止めシート30の固定部31に重畳する一端に、セパレート側粘着面63Aを貼着する。具体的には、アプリケーションシート40に当該アプリケーションシート40とシート本体20との面方向の位置が一致するように貼着し、シート本体20類とアプリケーションシート40類とを連結用粘着シート61により連結する。この作業により、実施形態1と同じ完成品としての機能性シートが得られる。その後、実施形態1と同様の手順で、シート本体20を被着体の貼着面に貼着することができる。
【0040】
このように、使用者の手によって組み立てることにより機能性シート60を完成させる形態とすれば、製造時に連結用粘着シート61によりシート本体20類とアプリケーションシート40類と面方向にズレなく連結する作業を省略でき、コスト低減が可能となる。
【0041】
[実施形態1の変形例2]
実施形態1の変形例2について図13を用いて説明する。本変形例は、実施形態1の変形例1とは連結用粘着シート71がシート本体20類、あるいはアプリケーションシート80類とは完全に分離された形態であるところが相違する。
【0042】
連結用粘着シート71は、アプリケーションシート40上面に貼着可能なアプリケーション側粘着面72Aを下面に有する第1連結部72と、セパレートフィルム13下面に貼着可能なセパレート側粘着面73Aを上面に有する第2連結部73と、第1連結部72と第2連結部73の間部に形成される摘み部76とから構成されている。摘み部76は、第1連結部72及び第2連結部73をそれぞれ折り返した対向面を貼り合わせることで、形成されており、その機能や態様は実施形態1、実施形態1の変形例1と同様である。そして、アプリケーション側粘着面72Aは、アプリケーション側剥離シート74により覆われており、セパレート側粘着面73Aは、セパレート側剥離シート75により覆われている。
【0043】
使用者は、この機能性シート70を使用する際に、連結用粘着シート71からアプリケーション側剥離シート74及びセパレート側剥離シート75を剥がし、それぞれ、アプリケーションシート40の一端部と、セパレートフィルム13の一端部に貼着して連結する。その後、実施形態1、実施形態1の変形例1と同様の手順で、シート本体20を被着体の貼着面に貼着することができる。
【0044】
このような構成とすれば、シート本体20類とアプリケーションシート40類、及び連結用粘着シート71と、別体の3部品をセットにした組立キットとして使用者に提供することができる。また、このように3部品にして提供することで、シート本体20類とアプリケーションシート40類とを面方向にズレなく重ね合わせた状態に貼り合わせるといった手間のかかる作業を省略することができ、ひいてはコスト低減に寄与できる。
【0045】
また、使用直前にアプリケーション側粘着面72Aを覆うアプリケーション側剥離シート74と、セパレート側粘着面73Aを覆うセパレート側剥離シート75とを剥がして、アプリケーションシート40又はセパレートフィルム13に貼着させることで、予め連結用粘着シートにより連結した実施形態1の機能性シートと比較して、連結力を強固なものとすることができる。即ち、本変形例によれば、アプリケーション側粘着面72A又はセパレート側粘着面73Aをアプリケーション側剥離シート74又はセパレート側剥離シート75で覆われ、その粘着力が使用時まで維持された状態にある。よって、予め連結用粘着シートによりシート本体20類とアプリケーションシート40類とを連結している場合に、アプリケーション側粘着面72A又はセパレート側粘着面73Aの粘着力が低下して、摘み部76を引っ張った際に、連結用粘着シート71からアプリケーションシート40あるいはセパレートフィルム13が外れて、本発明の機能を発揮できなくなるといった事態を回避することが可能となる。
【0046】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図14によって説明する。
本実施形態は、実施形態1とは、セパレートフィルム13とアプリケーションシート80を連結して摘み部62を構成する部材に連結用粘着シートを用いず、アプリケーションシート80を用いるところが相違する。他の構成については、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0047】
アプリケーションシート80のうち、図示しない貼着面への貼着部分となる下面は、補補助剥離シート81により覆われている。アプリケーションシート80の仮止めシート30側の一端は、その下面の再剥離粘着層が補助剥離シート81で覆われていない状態において、上面側に折り返したのち、再度折り返してその先端をセパレートフィルム13に貼着する分だけ残した状態で、再剥離粘着層同士を粘着させることで、摘み部82が形成されている。摘み部82の先端に残した部分は、セパレートフィルム13に貼着される連結部83とされている。
【0048】
このような構成によれば、実施形態1と同様の効果が得られる他、アプリケーションシート40とセパレートフィルム13を連結する連結部83及び摘み部17をアプリケーションシート40によって形成することができるから、実施形態1における連結用粘着シート14を用いる必要がなく、材料費低減を図ることができる。
【0049】
以上本発明の実施形態2を示したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば以下のような変形例を含むこともできる。なお、以下の変形例において、上記実施形態と同様の部材には、上記実施形態と同符号を付して説明を省略するものもある。
【0050】
[実施形態2の変形例1]
実施形態2の変形例1について図15を用いて説明する。本変形例は、アプリケーションシート90の連結部83がセパレートフィルム13に貼着されておらず、連結用剥離シート94により覆われているところが相違する。
【0051】
連結用剥離シート94は、実施形態1の仮止側剥離シート34や補助剥離シート41と同様に、例えば紙の表面をシリコーン系、フッ素系の離型剤でコーティングしたものが好適に用いられる。連結部83上の補助粘着層がこの連結用剥離シート94により覆われていることで、アプリケーションシート90類と、シート本体20類とは別体の2部品として使用者に提供することとなる。
【0052】
使用者は、まず、連結部93から連結用剥離シート94を剥がし、アプリケーションシート90類とシート本体20類とが面方向に一致するようにセパレートフィルム13に連結部93をその上面に設けられた補助粘着層により粘着させて固定する。これにより、実施形態2と同じ完成品の機能性シートが得られる。その後、実施形態2と同様の手順で、シート本体20を被着体の貼着面に貼着することができる。
【0053】
このように、実施形態2に例示した機能性シートであっても、実施形態1の変形例1と同様に、機能性シートを2部品に分けて使用者に提供し、使用者自らが使用前に組み立てることにより、製造コストの低減を図ることができる。また、連結部93の粘着力を連結用剥離シート94により覆うことで、使用時直前までその粘着力を維持することが可能となる。これにより、連結部93の粘着力の低下によって、摘み部92を引っ張った際に、連結部93がセパレートフィルム13から外れるといった事態を未然に防止し、不良品の発生を抑制することができる。
【0054】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0055】
(1)上記した各実施形態では、機能性シートとして携帯ゲーム機や携帯電話機の液晶画面を保護する液晶保護フィルムに適用した場合を例示したが、これに限られず、例えば窓ガラス用の各種機能フィルムに適用するものであってもよい。
【0056】
(2)上記した各実施形態では、保護フィルム12と仮止めシート30とは別部材で構成されていたが、これに限られず、例えば一部材から構成されていてもよい。
【0057】
(3)上記した各実施形態では、摘み部を互いに対向するシート面を貼り合わせることにより形成していたが、これに限られず、例えば実施形態1の変形例2や実施形態2のように、摘み部が連結用粘着シート71又はアプリケーションシート90といった一部材から形成されている場合には、特段、その対向面が貼り合わされている必要はなく、アプリケーション粘着面及びセパレート側粘着面にさえ粘着層を設けられていれば、摘み部の対向部分には粘着層を設けないような、所謂部分タックにより構成されているものも本発明に含まれる。
【0058】
(4)上記した各実施形態では、仮止めシート30にタブ部33が一体に設けられていたが、これに限られず、タブ部33が固定部31に別部材で固定されていてもよく、また、タブ部33の代わりに固定部31に切り込みが形成されている等の固定部31を剥がし易い加工がなされているものであってもよい。
【符号の説明】
【0059】
10…機能性シート
11…本体部
12…保護フィルム(保護シート)
13…セパレートフィルム(剥離シート)
14…連結用粘着シート
17…摘み部
20…シート本体
30…仮止めシート
34…仮止側剥離シート
40…アプリケーションシート(先行貼着シート)
41…補助剥離シート
50…被着体
51…貼着面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体に貼着される機能性シートであって、
シート本体の一方の面には前記被着体に粘着可能な粘着層を有すると共に、その粘着層を剥離可能に覆うアプリケータシートを備え、
前記アプリケータシートは、前記粘着層を剥離可能に覆う剥離シート部と、この剥離シート部から延びると共に再剥離粘着層を有してその再剥離粘着層によって前記被着体に粘着可能な先行貼着シート部と、前記再剥離粘着層を剥離可能に覆う補助剥離シート部と、前記先行粘着シート部と前記剥離シート部との境界部分に設けられ前記補助剥離シート部を除去して前記再剥離粘着層を前記被着体に貼着した後に引っ張ることにより前記先行貼着シート部を前記被着体から剥がし取ると共に前記剥離シート部を前記シート本体の前記粘着層から剥がし取ることが可能な摘み部とを有することを特徴とする機能性シート。
【請求項2】
前記シート本体には、粘着層を有して前記シート本体の一端部を前記被着体のうち前記シート本体を貼着する貼着面以外の部分に仮止めするための仮止めシートが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の機能性シート。
【請求項3】
前記アプリケータシートの前記剥離シート部は前記シート本体の前記粘着層を剥離可能に覆う前記シート本体と同形である独立の剥離シートから構成され、前記先行貼着シート部は前記貼着面の全域を覆うことが可能な独立の先行貼着シートから構成され、前記剥離シートと前記先行貼着シートとは連結用粘着シートによって連結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の機能性シート。
【請求項4】
前記剥離シートと前記先行貼着シートとは、連結用粘着シートにより、使用する直前に連結されることを特徴とする請求項3に記載の機能性シート。
【請求項5】
前記シート本体は前記粘着層を有する面とは反対側の面を覆う保護シートを有し、前記仮止めシートの前記粘着層は前記保護シートに貼着されると共に前記保護シートから露出した前記粘着層には仮止側剥離シートが貼着されていることを特徴とする請求項2に記載の機能性シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−215627(P2012−215627A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79252(P2011−79252)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(501244200)株式会社KALBAS (48)
【Fターム(参考)】