機能性ポリマーにより表面を平坦化するシステム、方法および装置
【課題】機能性ポリマーにより表面を平坦化するシステム、方法および装置を提供する。
【解決手段】ハードディスクドライブ用の磁気媒体ディスクの表面は、均一な自己限界厚さの単分子層厚さの膜を形成する表面グラフトポリマー鎖で平坦化される。厚さは、選択されるポリマーの分子量によって制御される。ポリマー膜を、溶媒蒸気によって膨潤させることにより、トポグラフィにおける可変幅のギャップを充填することができる。ポリマーを、放射線または熱処理により適所に架橋することができる。
【解決手段】ハードディスクドライブ用の磁気媒体ディスクの表面は、均一な自己限界厚さの単分子層厚さの膜を形成する表面グラフトポリマー鎖で平坦化される。厚さは、選択されるポリマーの分子量によって制御される。ポリマー膜を、溶媒蒸気によって膨潤させることにより、トポグラフィにおける可変幅のギャップを充填することができる。ポリマーを、放射線または熱処理により適所に架橋することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ハードディスクドライブに関し、特に、ハードディスクドライブ用の磁気媒体ディスクの平坦化された表面に対する改良されたシステム、方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブ(HDD)用の磁気媒体記憶ディスクでは、ヘッドスライダをディスクの表面上で浮上させることによって発生する空気軸受からの最適な上昇を達成するために、非常に平坦な表面が必要である。特に、超平坦なディスク面は、ディスクに対しスライダの読取素子および書込素子の一定の浮上高さを維持するのに役立つ。平面性により、ディスクとスライダの磁気素子との間の磁気間隔の変動が最小限になり、それにより、より一貫した性能がもたらされる。
【0003】
ディスクリートトラック媒体(DTM)およびビットパターン媒体(BPM)はともに、非平面のディスク表面トポグラフィを伴う、HDDに対する将来の磁気記録技術である。これら技術では、一定の浮上高さを達成するために表面平坦化技法を改良する必要がある。DTMでは、ディスク上に、個々のデータトラックが物理的にパターニングされる。BPMでは、個々のビットが物理的にパターニングされることにより、データトラックまたはデータビットの間にナノメートルスケールのギャップ、トレンチおよび溝がもたらされる。こうしたトポグラフィのギャップを充填するために、好適なディスク表面平坦化技法が必要である。平坦化の改良により、磁気間隔を損なうことなく浮上面が適切に支持される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のポリマーベースの平坦化方法は、通常、ディップコーティングまたはナノインプリントの平坦化技法を伴う。ディップコーティング技法は、媒体素子間のギャップを充填するために毛管現象に頼る。このプロセスは、一般に、平坦化仕様に適合しない可能性のある、有限曲率のメニスカス特徴の形成により制限される。ディップコーティングではまた、同じディスク上のさまざまな寸法のギャップを充填しようとする場合に問題に直面する。
【0005】
一方、ナノインプリント平坦化プロセスでは、膜均一性問題に直面する。ナノインプリントプロセスでは、厚さがディスクにわたって変化する残留層が残る。この残留層は、後続するステップでエッチングによって除去されるが、最初の残留層の厚さが均一である場合にのみ、最終的な平面をもたらすことができる。ナノインプリント平坦化ではまた、インプリント器具のコストが高くなるため、製造ラインで課される経済的制約にも直面する。したがって、磁気媒体ディスクの表面を平坦化する改良された解決法が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ハードディスクドライブ用の磁気媒体ディスクの平坦化された表面に対するシステム、方法および装置の実施形態を開示する。実施形態によっては、均一な自己限界厚さである単分子層厚さの膜を形成する表面グラフトポリマー鎖を使用することにより、ディスクの表面を平坦化する。
【0007】
たとえば、膜を、ポリマーを表面にグラフトするか、または表面からポリマーを成長させることによって形成することができる。膜を、ディスクの表面に結合する基(radical group)を有する機能性ポリマー鎖を用いて、ディスクにグラフトすることができる。この技法により、均一な自己限界厚さである単分子層膜が形成される。別の実施形態では、本技法は、ディスクからポリマーを成長させ、かつ厚さが均一な単分子層膜を形成する、表面開始重合を伴う。
【0008】
ポリマー単分子層の厚さを、ポリマーの分子量を選択することによって制御することができる。平坦化されるディスクのギャップまたはトレンチが、ポリマー単分子層の厚さのおよそ2倍である場合、コンフォーマルポリマー層がギャップを充填して表面を平坦化する。この平坦化プロセスは、毛管現象に頼るものではない(すなわち、それはメニスカス形状を有していない)。膜厚さは、単一分子層に対して自己限界であり、その結果、ディスクにわたって厚さが均一になる。しかしながら、ディスクのいくつかのトレンチおよびギャップは幅が可変であるかまたは不均一である。これらディスクの場合、ポリマー膜を、溶媒蒸気によって膨潤させることにより、可変幅のギャップを充填することができる。そして、ポリマーは、放射線または熱処理によって適所で架橋される。
【0009】
本発明の上述したおよび他の目的および利点は、添付の特許請求の範囲および添付図面とともに、本発明の以下の詳細な説明を考慮して、当業者には明らかとなろう。
【0010】
本発明の特徴および利点が得られる方法をより詳細に理解することができるように、上で簡単に要約した本発明について、添付図面に示すその実施形態を参照することによってより詳細に説明する。しかしながら、図面は、本発明のいくつかの実施形態のみを示すものであり、したがって、本発明は他の等しく有効な実施形態を含むことができるため、図面は、本発明の範囲を限定するものとしてみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ビットパターン媒体およびディスクリートトラック媒体を概略的に示す媒体ディスクの平面図および拡大平面図を示す。
【図2】図1の線2−2に沿って取り出された図1の媒体の略断面図である。
【図3A】本発明に従って媒体ディスクの表面を平坦化するプロセスの一実施形態の連続した略断面図である。
【図3B】本発明に従って媒体ディスクの表面を平坦化するプロセスの一実施形態の連続した略断面図である。
【図3C】本発明に従って媒体ディスクの表面を平坦化するプロセスの一実施形態の連続した略断面図である。
【図4A】本発明に従って媒体ディスクの平面を平坦化するプロセスの別の実施形態の連続した略断面図である。
【図4B】本発明に従って媒体ディスクの平面を平坦化するプロセスの別の実施形態の連続した略断面図である。
【図4C】本発明に従って媒体ディスクの平面を平坦化するプロセスの別の実施形態の連続した略断面図である。
【図4D】本発明に従って媒体ディスクの平面を平坦化するプロセスの別の実施形態の連続した略断面図である。
【図5A】本発明に従って媒体ディスクの表面を平坦化するプロセスのさらに別の実施形態の連続した略断面図である。
【図5B】本発明に従って媒体ディスクの表面を平坦化するプロセスのさらに別の実施形態の連続した略断面図である。
【図5C】本発明に従って媒体ディスクの表面を平坦化するプロセスのさらに別の実施形態の連続した略断面図である。
【図6A】本発明に従って媒体ディスクの表面を平坦化するプロセスのさらに別の実施形態の連続した略断面図である。
【図6B】本発明に従って媒体ディスクの表面を平坦化するプロセスのさらに別の実施形態の連続した略断面図である。
【図6C】本発明に従って媒体ディスクの表面を平坦化するプロセスのさらに別の実施形態の連続した略断面図である。
【図7】本発明に従って構成されたディスクドライブの概略図である。
【0012】
異なる図面における同じ参照符号の使用は、同様のまたは同一の項目を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1〜図6は、ハードディスクドライブ用の磁気媒体ディスク上の平坦化された表面に対する改良されたシステム、方法および装置の実施形態を示す。本発明の実施形態は、表面平坦化に機能性ポリマー鎖を使用することにより、追加の厚さを最小限にしてディスクの平面性を向上させる。
【0014】
図1および図2は、同心データトラック13を有する磁気媒体ディスク11を概略的に示す。図1はまた、ディスクリートトラック媒体(DTM)15およびビットパターン媒体(BPM)17の構造的な例も開示している。DTM15では、パターン化されたディスク11は、互いに溝19によって隔離されているデータトラック13aを有している。BPM17では、個々のビットは、ナノメートルスケールのピラー21の列13bを形成しており、それらは、幅「w」の径方向のトレンチまたはギャップ19bによって互いに(たとえば図1では水平に)分離されている。各列13bのピラー21は、互いに長手方向に(たとえば、図1では垂直に)も分離されている。この形状により、BPMのデータ媒体の表面積はDTMより小さい。両方のタイプの媒体のデータトラック13により溝またはトレンチ19(図2)を平坦化する実施形態について開示する。
【0015】
表面平坦化に対して、機能性ポリマー鎖の実施形態は、ディスクの表面にポリマーをグラフトする基を含む。たとえば、実施形態によっては、機能性ポリスチレン(たとえばヒドロキシル末端ポリスチレン鎖)、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリジメチルシロキサンまたはポリジヒドロキシベンジルアルコール等のポリマーを使用することができる。他の実施形態では、機能基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、チオールまたはメチルエステルを含むことができる。ポリマーはまた、デンドリマー構造と少なくとも1つの機能基またはペルフルオロポリエーテルを含むことも可能である。
【0016】
実施形態によっては(たとえば図3A参照)、機能性ポリマーを含む溶液31を用いて、ディスク11の表面に、たとえばスピンコーティングまたは浸漬鋳造(dip casting)によって膜を堆積させる。用途に応じて、膜に対して、機能基に対する熱アニールを行うことにより、表面に膜を結合させることができる。後続するステップ(たとえば図3B参照)において、好適な溶媒で洗浄することにより、表面に結合していない溶液の第1単分子層の上方の余分な材料をすべて除去する。たとえば、ポリスチレンを含むポリマーに対して、トルエンまたはPGMEAを用いることができる。
【0017】
洗浄後、表面に結合した第1単分子層33のみが残り、厚さが均一な膜が残る。たとえば、ポリマー鎖の長さを、第1単分子層の厚さが、平坦化されているトレンチ19におけるギャップ幅「w」の約半分であるように選択することができる。単分子層がトレンチ19の両側部に形成される時、図3Bに示すように膜はギャップを閉鎖して表面を平坦化する。図3Cにおいて、反応性イオンエッチング(RIE)等の材料除去プロセスを用いて、ディスクの元の最上面が露出するまでポリマー膜の上部を除去する。したがって、図3Cに示すように、データトラック13の側面に単分子層を取り付けるプロセスにより、膜35は、データトラック13の最上面と同じ高さになる。
【0018】
別の実施形態(たとえば図4参照)では、ポリマーをディスク面に直接成長させることにより、平坦化ポリマー層を形成することができる。たとえば、ポリマーを、原子移動ラジカル重合(ATRP)またはニトロキシド媒介ラジカル重合(NMRP)等のリビング表面重合によって、機能化表面から成長させることができる。
【0019】
図4Aに示すように、ディスク11の表面に、開始剤41を提供することができる。開始剤41は、ディスクの固有材料(たとえば機能基を有する潤滑剤)であってもよく、または開始剤41をディスクの表面に堆積させてもよい(たとえば、機能性自己組織化単分子層(SAM))。そして、ディスクを、選択された時間、モノマー前駆体43(図4B)に露出することにより、開始剤41と前駆体43との間の化学反応に基づいてディスク表面上で直接ポリマーを成長させる。前駆体の除去(図4C)により、ディスク表面にはポリマー膜45が残る。そして、結果として得られる単一ポリマー層45を、ディスク表面が同じ高さになるまでエッチングし47(図4D)、本明細書に記載されているように露出させることができる。開始剤および前駆体の例には、ATRPの場合の臭素化SAMおよびNMRPの場合の窒素機能化SAMがある。
【0020】
さらに他の実施形態(たとえば図5A参照)では、ディスク11の表面には、データトラック13が、最上面の第1材料51(誇張して示す)とトレンチ19の側壁の第2材料53とで形成されている。このバージョンでは、ポリマー溶液55(図5B)の機能基は、壁にのみグラフトされ上部にはグラフトされていない。ディスクは、表面に結合していない余分な材料を洗い流した後に平坦化される。何らかの技法により、重合開始剤を、トレンチ壁にのみ結合させる。したがって、重合は、トレンチ壁内でのみ発生し最上面では発生せず、それにより膜57(図5C)と実質的に同じ高さのディスク面が形成される。これら実施形態により、材料除去またはエッチングステップの使用が回避される。
【0021】
これら実施形態は、概して、BPMおよびDTMに対する2つのプロセスのうちの一方によって製造される。プロセスの第1タイプ(以下、「ポストエッチ媒体」と呼ぶ)では、磁気記録媒体を形成する層は、最初に平坦な基板の上に堆積し、その後圧延されるかまたはエッチングされることにより、DTMの場合のトラックかまたはBPMの場合のビットを画定する溝およびトレンチが形成される。この第1プロセスでは、オーバーコートまたは最上層を第1材料51として選択することができ、それに対し平坦化ポリマーの機能基は反応しない。
【0022】
プロセスの第2タイプ(以下、「プレパターン基板」と呼ぶ)では、基板は、まずDTM構造またはBPM構造を形成するランドおよび溝で凹凸加工され、その後、磁気記録媒体を形成する材料が堆積する。「プレパターン」基板では、ランドおよび溝がともに、同じ材料で覆われる。そして、異なる最上層51が、堆積種が基板に対して浅い角度で到達するグレージング角堆積(たとえば、蒸着、電子ビーム蒸着、イオンビーム堆積、スパッタリング等)によって堆積する。この技法では、材料は、「ランド」の上部にのみ堆積し、「溝」の中には堆積しない。
【0023】
応用によっては、ディスク表面には、幅がすべて同一ではないギャップがある。他の応用(たとえば図6参照)では、トレンチ19の幅は、ポリマーの単分子層の厚さよりはるかに大きい場合もある(たとえば2倍)。実施形態によっては、ポリマーを、洗浄するステップ(たとえば図3B、図4C参照)まで、本明細書に記載するようにディスクにグラフトすることができ、洗浄するステップで、図6Aに示すように、余分な材料が洗い流されることにより単分子層厚さの膜61が残る。
【0024】
ポリマー膜は、その後、試料が好適な溶媒蒸気を含む制御された雰囲気に露出される、溶媒アニールまたは同様の方法によって膨潤し(図6B)、膨潤ポリマー鎖63を形成する(誇張して示す)。膨潤ポリマー63は、ギャップ19が閉鎖され少なくとも平坦化されるまで広がる。ポリマーを膨潤構造で固定するために、膜は、放射線または熱架橋によって架橋される65。架橋の後、ディスクは、制御された雰囲気から取り出される。続いて反応性イオンエッチング(RIE)等の材料除去プロセス(図6C)が行われることにより、ディスクの元の最上面が露出し、残っている膜67がそれと同じ高さになるまで、ポリマー膜の最上部がエッチングされる。これと同じ技法を、本明細書で説明した成長法(たとえば図4参照)を用いて形成されたポリマー層にも使用することができる。
【0025】
これら実施形態による溶媒膨潤またはアニールでは、溶媒は、使用されるポリマーと膨潤の所望の程度とに従って選択される。たとえば、ポリスチレンポリマーの場合、溶媒は、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)または他のタイプの溶媒を含むことができる。
【0026】
本発明がポリマー単分子層を形成するために利用する分子は、従来の平坦化材料で用いられるものより寸法がはるかに大きい。ポリマー分子の一部がディスク材料と反応して、永久結合を形成する。ディスクと反応しディスクに接着したままであるのは、ポリマーの機能性部分のみである。
【0027】
ここで図7を参照して、本発明に従って構成されたハードディスクドライブアセンブリ100の概略図を示す。ハードディスクドライブアセンブリ100は、概して、本明細書に記載するような1つまたは複数のディスクを備えており、ディスクは、動作中にスピンドルモータ(図示せず)によって高速に回転する磁気記録媒体11を備えている。ディスク面のいずれかまたは両方に形成された同心データトラック13が、磁気情報を受け取り格納する。
【0028】
読取り/書込みヘッド110を、アクチュエータアセンブリ106によってディスク面にわたって移動させることができ、これにより、ヘッド110は、特定のトラック13から磁気データを読み出すかまたはそこに磁気データを書き込むことができる。アクチュエータアセンブリ106は、ピボット114上で枢動することができる。アクチュエータアセンブリ106は、サーボ制御として知られる閉ループフィードバックシステムの一部を形成することができる。この閉ループフィードバックシステムは、磁気記録媒体11の熱膨張とともに振動および他の外乱を補償するように、読取り/書込みヘッド110を動的に位置決めする。サーボ制御システムには、複雑な計算アルゴリズムも含まれており、それは、関連するコンピュータからデータアドレス情報を受け取り、それを磁気記録媒体11上の位置に変換し、それに従って読取り/書込みヘッド110を移動させる、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサまたはアナログ信号プロセッサ116によって実行される。
【0029】
特に、読取り/書込みヘッド110は、ディスクに記録されたサーボパターンを周期的に参照することにより、正確なヘッド110の位置決めを確実にする。サーボパターンを用いて、読取り/書込みヘッド110が特定のトラックを正確に追従することを確実にし、かつ1つのトラック13から別のトラック104までのヘッド110の移行を制御し監視することができる。サーボパターンを参照する時、読取り/書込みヘッド110はヘッド位置情報を取得する。この位置情報により、制御回路116は、後に、いかなる検出エラーも訂正するようにヘッド110を再度位置合せすることができる。
【0030】
サーボパターンを、複数のデータトラック13内に埋め込まれた、設計されたサーボセクタ112に含めることにより、最適なディスクドライブ性能を得るようにサーボパターンを頻繁にサンプリングすることができる。典型的な磁気記録媒体11では、埋め込まれたサーボセクタ112は、車輪の中心からのスポークのように、磁気記録媒体11の中心から実質的に放射状に延在する。しかしながら、スポークと異なり、サーボセクタ112は、読取り/書込みヘッド110の動きの範囲に実質的に一致するように較正された、微細な弧状の経路を形成する。
【0031】
したがって、実施形態によっては、軸と磁気素子の同心データトラックとを有する平坦化した磁気媒体ディスクを有するハードディスクドライブを含むことができる。同心データトラックは、ギャップによって互いに分離されている。磁気素子は最上面を有し、ギャップは、磁気素子の最上面から軸方向に間隔が空けられたギャップ面を有している。ギャップが実質的に最上面と同じ高さであり、かつ最上面が露出するように、機能性ポリマーによって、ギャップが充填され、平坦化が達成される。アクチュエータが、磁気媒体ディスクからデータを読み取る磁気トランスデューサを有し、アクチュエータは、磁気媒体ディスクに対して移動可能である。
【0032】
他の実施形態では、ギャップの各々は幅が1nm〜100nmの範囲である。機能性ポリマーは、ギャップの幅の10%〜200%の範囲の単一分子厚さである単分子層を形成することができる。機能性ポリマーは、機能性ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリジメチルシロキサン、またはポリジヒドロキシベンジルアルコールであってもよく、機能基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、チオールまたはメチルエステルであってもよい。機能性ポリマーは、デンドリマー構造と少なくとも1つの機能基を有することができる。機能性ポリマーの少なくとも一部はペルフルオロポリエーテルを含むことができる。磁気素子はDTMを含むことができ、ギャップは、互いからDTMを隔離する溝を有している。磁気素子はまた、個々のビットが、ギャップによって互いに分離されているナノメートルスケールのピラーの列で形成される、BPMであってもよく、各列のピラーはまた、横方向に互いに分離されている。
【0033】
他の実施形態では、磁気媒体ディスクの表面を平坦化する方法は、軸と磁気素子の同心データトラックとを有するパターン基板を提供するステップであって、同心データトラックが互いにギャップによって分離され、磁気素子が最上面を有し、ギャップが、磁気素子の最上面から軸方向に間隔が空けて配置されたギャップ面を有する、ステップと、機能性ポリマーを含む溶液をパターン基板の上に堆積させることにより、パターン基板上に膜を形成するステップと、パターン基板に結合しない、単一分子層を含む溶液の第1単分子層を越える任意の溶液を、パターン基板から除去するステップであって、それにより膜が均一の厚さになる、ステップと、次いで、膜の最上部を除去(たとえばエッチング)することにより、ギャップが機能性ポリマーによって充填され、ギャップが最上面と実質的に同じ高さになり、最上面が露出してパターン媒体の表面が平坦化するステップと、を含む。
【0034】
さらに他の実施形態では、堆積するステップは、スピンコーティングまたは浸漬鋳造を含み、除去するステップは、溶媒によって洗浄することを含む。ポリマー鎖の長さを、第1単分子層の厚さがギャップの幅のおよそ半分であるように選択することができる。第1単分子層は、磁気素子の側壁に形成されることにより、磁気素子のうち隣接するものの間のギャップを閉鎖し、それによりパターン媒体の表面を平坦化することができる。本方法は、堆積するステップの後に、膜に熱アニールを行うことにより、パターン基板に機能基を結合させるステップをさらに含むことができる。エッチングは、反応性イオンエッチングを含んでもよく、機能性ポリマーを、パターン基板上で直接成長させることにより平坦化したポリマー層を形成してもよい。
【0035】
実施形態によっては、ギャップは必ずしも幅が同一でなく、除去するステップの後に、本方法は、膜を、ギャップ内に広がりかつギャップを閉鎖するように膨潤させるステップと、ポリマーを膨潤構造で固定するように膜を架橋するステップとをさらに含むことができる。ギャップの幅は、ポリマーの単分子層の厚さの約2倍の大きさであり、膜を、パターン基板を溶媒アニールし溶媒蒸気を含む制御された雰囲気に露出することにより膨潤させることによって、膨潤したポリマー鎖を形成し、架橋は、放射線または熱架橋によることが可能である。本方法は、制御された雰囲気からパターン基板を取り出すステップと、除去するステップを行うステップもさらに含むことができる。膨潤させるステップおよび架橋するステップは、パターン媒体の表面を平坦化することができ、それにより追加の除去ステップは不要である。
【0036】
さらなる実施形態では、機能性ポリマーを、原子移動ラジカル重合またはニトロキシド媒介ラジカル重合によって機能性表面から成長させる。本方法は、パターン媒体の表面に開始剤を提供するステップと、パターン媒体を前駆体に選択された時間露出することにより、開始剤と前駆体との間の化学反応に基づいて表面で直接機能性ポリマーを成長させるステップと、前駆体を除去することにより基板上に膜を形成するステップと、表面が平坦化するまで膜の一部を除去するステップとをさらに含むことができる。
【0037】
開始剤はパターン媒体の固有材料であってもよく、または開始剤を表面上に堆積させてもよい。磁気素子の最上面を、第1材料から形成し、磁気素子の側壁およびギャップを、第2材料から形成することができ、それにより、ポリマーの機能基は、側壁およびギャップにのみグラフトされ最上面にはグラフトされず、それによって除去ステップなしに平坦化された表面が形成される。実施形態によっては、パターン媒体の平坦化した表面は、最大変動が5nm以下である。
【0038】
これらの実施形態の応用には、電気素子および光学素子の有機界面または無機界面から、ナノ製造、MEMS、液晶、バイオ構造とバイオインスパイアード(bio−inspired)ポリマーの鋳型、自己組織化等に及ぶさまざまな分野の間で表面改質層の使用があり得る。これらおよび他の新たな分野すべてにおいて、ナノメートルスケールでのより複雑な構造が必要であるため、表面改質層と組み合わせた平坦化方式を、ハードディスクドライブの範囲を超えてこれらのタイプの技術に応用することができる。
【0039】
ここに書かれた説明は、例を用いて、最良の形態を含む本発明を開示し、また当業者が本発明を作成し使用することができるようにする。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義されており、当業者に思いつく他の例を含み得る。こうした他の例は、特許請求の範囲の文字通りの言葉とは異ならない構造的要素を有する場合、または特許請求の範囲の文字通りの言葉との相違が実質的でない等価な構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内にあるように意図されている。本発明を、その形態のいくつかにおいてのみ示しまたは説明したが、当業者には、それがそのように限定されず、本発明から逸脱することなくさまざまな変更が可能であることが明白なはずである。
【符号の説明】
【0040】
11 磁気媒体ディスク
13 データトラック
13a データトラック
13b 列
15 ディスクリートトラック媒体
17 ビットパターン媒体
19 溝
21 ピラー
31 溶液
33 第1単分子層
35 膜
41 開始剤
43 前駆体
45 ポリマー膜
47 エッチング
51 第1材料
53 第2材料
55 ポリマー溶液
57 膜
61 膜
63 膨潤ポリマー鎖
65 架橋
67 膜
100 ハードディスクドライブアセンブリ
104 トラック
106 アクチュエータアセンブリ
110 読取り/書込みヘッド
112 サーボセクタ
114 ピボット
116 制御回路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ハードディスクドライブに関し、特に、ハードディスクドライブ用の磁気媒体ディスクの平坦化された表面に対する改良されたシステム、方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブ(HDD)用の磁気媒体記憶ディスクでは、ヘッドスライダをディスクの表面上で浮上させることによって発生する空気軸受からの最適な上昇を達成するために、非常に平坦な表面が必要である。特に、超平坦なディスク面は、ディスクに対しスライダの読取素子および書込素子の一定の浮上高さを維持するのに役立つ。平面性により、ディスクとスライダの磁気素子との間の磁気間隔の変動が最小限になり、それにより、より一貫した性能がもたらされる。
【0003】
ディスクリートトラック媒体(DTM)およびビットパターン媒体(BPM)はともに、非平面のディスク表面トポグラフィを伴う、HDDに対する将来の磁気記録技術である。これら技術では、一定の浮上高さを達成するために表面平坦化技法を改良する必要がある。DTMでは、ディスク上に、個々のデータトラックが物理的にパターニングされる。BPMでは、個々のビットが物理的にパターニングされることにより、データトラックまたはデータビットの間にナノメートルスケールのギャップ、トレンチおよび溝がもたらされる。こうしたトポグラフィのギャップを充填するために、好適なディスク表面平坦化技法が必要である。平坦化の改良により、磁気間隔を損なうことなく浮上面が適切に支持される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のポリマーベースの平坦化方法は、通常、ディップコーティングまたはナノインプリントの平坦化技法を伴う。ディップコーティング技法は、媒体素子間のギャップを充填するために毛管現象に頼る。このプロセスは、一般に、平坦化仕様に適合しない可能性のある、有限曲率のメニスカス特徴の形成により制限される。ディップコーティングではまた、同じディスク上のさまざまな寸法のギャップを充填しようとする場合に問題に直面する。
【0005】
一方、ナノインプリント平坦化プロセスでは、膜均一性問題に直面する。ナノインプリントプロセスでは、厚さがディスクにわたって変化する残留層が残る。この残留層は、後続するステップでエッチングによって除去されるが、最初の残留層の厚さが均一である場合にのみ、最終的な平面をもたらすことができる。ナノインプリント平坦化ではまた、インプリント器具のコストが高くなるため、製造ラインで課される経済的制約にも直面する。したがって、磁気媒体ディスクの表面を平坦化する改良された解決法が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ハードディスクドライブ用の磁気媒体ディスクの平坦化された表面に対するシステム、方法および装置の実施形態を開示する。実施形態によっては、均一な自己限界厚さである単分子層厚さの膜を形成する表面グラフトポリマー鎖を使用することにより、ディスクの表面を平坦化する。
【0007】
たとえば、膜を、ポリマーを表面にグラフトするか、または表面からポリマーを成長させることによって形成することができる。膜を、ディスクの表面に結合する基(radical group)を有する機能性ポリマー鎖を用いて、ディスクにグラフトすることができる。この技法により、均一な自己限界厚さである単分子層膜が形成される。別の実施形態では、本技法は、ディスクからポリマーを成長させ、かつ厚さが均一な単分子層膜を形成する、表面開始重合を伴う。
【0008】
ポリマー単分子層の厚さを、ポリマーの分子量を選択することによって制御することができる。平坦化されるディスクのギャップまたはトレンチが、ポリマー単分子層の厚さのおよそ2倍である場合、コンフォーマルポリマー層がギャップを充填して表面を平坦化する。この平坦化プロセスは、毛管現象に頼るものではない(すなわち、それはメニスカス形状を有していない)。膜厚さは、単一分子層に対して自己限界であり、その結果、ディスクにわたって厚さが均一になる。しかしながら、ディスクのいくつかのトレンチおよびギャップは幅が可変であるかまたは不均一である。これらディスクの場合、ポリマー膜を、溶媒蒸気によって膨潤させることにより、可変幅のギャップを充填することができる。そして、ポリマーは、放射線または熱処理によって適所で架橋される。
【0009】
本発明の上述したおよび他の目的および利点は、添付の特許請求の範囲および添付図面とともに、本発明の以下の詳細な説明を考慮して、当業者には明らかとなろう。
【0010】
本発明の特徴および利点が得られる方法をより詳細に理解することができるように、上で簡単に要約した本発明について、添付図面に示すその実施形態を参照することによってより詳細に説明する。しかしながら、図面は、本発明のいくつかの実施形態のみを示すものであり、したがって、本発明は他の等しく有効な実施形態を含むことができるため、図面は、本発明の範囲を限定するものとしてみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ビットパターン媒体およびディスクリートトラック媒体を概略的に示す媒体ディスクの平面図および拡大平面図を示す。
【図2】図1の線2−2に沿って取り出された図1の媒体の略断面図である。
【図3A】本発明に従って媒体ディスクの表面を平坦化するプロセスの一実施形態の連続した略断面図である。
【図3B】本発明に従って媒体ディスクの表面を平坦化するプロセスの一実施形態の連続した略断面図である。
【図3C】本発明に従って媒体ディスクの表面を平坦化するプロセスの一実施形態の連続した略断面図である。
【図4A】本発明に従って媒体ディスクの平面を平坦化するプロセスの別の実施形態の連続した略断面図である。
【図4B】本発明に従って媒体ディスクの平面を平坦化するプロセスの別の実施形態の連続した略断面図である。
【図4C】本発明に従って媒体ディスクの平面を平坦化するプロセスの別の実施形態の連続した略断面図である。
【図4D】本発明に従って媒体ディスクの平面を平坦化するプロセスの別の実施形態の連続した略断面図である。
【図5A】本発明に従って媒体ディスクの表面を平坦化するプロセスのさらに別の実施形態の連続した略断面図である。
【図5B】本発明に従って媒体ディスクの表面を平坦化するプロセスのさらに別の実施形態の連続した略断面図である。
【図5C】本発明に従って媒体ディスクの表面を平坦化するプロセスのさらに別の実施形態の連続した略断面図である。
【図6A】本発明に従って媒体ディスクの表面を平坦化するプロセスのさらに別の実施形態の連続した略断面図である。
【図6B】本発明に従って媒体ディスクの表面を平坦化するプロセスのさらに別の実施形態の連続した略断面図である。
【図6C】本発明に従って媒体ディスクの表面を平坦化するプロセスのさらに別の実施形態の連続した略断面図である。
【図7】本発明に従って構成されたディスクドライブの概略図である。
【0012】
異なる図面における同じ参照符号の使用は、同様のまたは同一の項目を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1〜図6は、ハードディスクドライブ用の磁気媒体ディスク上の平坦化された表面に対する改良されたシステム、方法および装置の実施形態を示す。本発明の実施形態は、表面平坦化に機能性ポリマー鎖を使用することにより、追加の厚さを最小限にしてディスクの平面性を向上させる。
【0014】
図1および図2は、同心データトラック13を有する磁気媒体ディスク11を概略的に示す。図1はまた、ディスクリートトラック媒体(DTM)15およびビットパターン媒体(BPM)17の構造的な例も開示している。DTM15では、パターン化されたディスク11は、互いに溝19によって隔離されているデータトラック13aを有している。BPM17では、個々のビットは、ナノメートルスケールのピラー21の列13bを形成しており、それらは、幅「w」の径方向のトレンチまたはギャップ19bによって互いに(たとえば図1では水平に)分離されている。各列13bのピラー21は、互いに長手方向に(たとえば、図1では垂直に)も分離されている。この形状により、BPMのデータ媒体の表面積はDTMより小さい。両方のタイプの媒体のデータトラック13により溝またはトレンチ19(図2)を平坦化する実施形態について開示する。
【0015】
表面平坦化に対して、機能性ポリマー鎖の実施形態は、ディスクの表面にポリマーをグラフトする基を含む。たとえば、実施形態によっては、機能性ポリスチレン(たとえばヒドロキシル末端ポリスチレン鎖)、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリジメチルシロキサンまたはポリジヒドロキシベンジルアルコール等のポリマーを使用することができる。他の実施形態では、機能基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、チオールまたはメチルエステルを含むことができる。ポリマーはまた、デンドリマー構造と少なくとも1つの機能基またはペルフルオロポリエーテルを含むことも可能である。
【0016】
実施形態によっては(たとえば図3A参照)、機能性ポリマーを含む溶液31を用いて、ディスク11の表面に、たとえばスピンコーティングまたは浸漬鋳造(dip casting)によって膜を堆積させる。用途に応じて、膜に対して、機能基に対する熱アニールを行うことにより、表面に膜を結合させることができる。後続するステップ(たとえば図3B参照)において、好適な溶媒で洗浄することにより、表面に結合していない溶液の第1単分子層の上方の余分な材料をすべて除去する。たとえば、ポリスチレンを含むポリマーに対して、トルエンまたはPGMEAを用いることができる。
【0017】
洗浄後、表面に結合した第1単分子層33のみが残り、厚さが均一な膜が残る。たとえば、ポリマー鎖の長さを、第1単分子層の厚さが、平坦化されているトレンチ19におけるギャップ幅「w」の約半分であるように選択することができる。単分子層がトレンチ19の両側部に形成される時、図3Bに示すように膜はギャップを閉鎖して表面を平坦化する。図3Cにおいて、反応性イオンエッチング(RIE)等の材料除去プロセスを用いて、ディスクの元の最上面が露出するまでポリマー膜の上部を除去する。したがって、図3Cに示すように、データトラック13の側面に単分子層を取り付けるプロセスにより、膜35は、データトラック13の最上面と同じ高さになる。
【0018】
別の実施形態(たとえば図4参照)では、ポリマーをディスク面に直接成長させることにより、平坦化ポリマー層を形成することができる。たとえば、ポリマーを、原子移動ラジカル重合(ATRP)またはニトロキシド媒介ラジカル重合(NMRP)等のリビング表面重合によって、機能化表面から成長させることができる。
【0019】
図4Aに示すように、ディスク11の表面に、開始剤41を提供することができる。開始剤41は、ディスクの固有材料(たとえば機能基を有する潤滑剤)であってもよく、または開始剤41をディスクの表面に堆積させてもよい(たとえば、機能性自己組織化単分子層(SAM))。そして、ディスクを、選択された時間、モノマー前駆体43(図4B)に露出することにより、開始剤41と前駆体43との間の化学反応に基づいてディスク表面上で直接ポリマーを成長させる。前駆体の除去(図4C)により、ディスク表面にはポリマー膜45が残る。そして、結果として得られる単一ポリマー層45を、ディスク表面が同じ高さになるまでエッチングし47(図4D)、本明細書に記載されているように露出させることができる。開始剤および前駆体の例には、ATRPの場合の臭素化SAMおよびNMRPの場合の窒素機能化SAMがある。
【0020】
さらに他の実施形態(たとえば図5A参照)では、ディスク11の表面には、データトラック13が、最上面の第1材料51(誇張して示す)とトレンチ19の側壁の第2材料53とで形成されている。このバージョンでは、ポリマー溶液55(図5B)の機能基は、壁にのみグラフトされ上部にはグラフトされていない。ディスクは、表面に結合していない余分な材料を洗い流した後に平坦化される。何らかの技法により、重合開始剤を、トレンチ壁にのみ結合させる。したがって、重合は、トレンチ壁内でのみ発生し最上面では発生せず、それにより膜57(図5C)と実質的に同じ高さのディスク面が形成される。これら実施形態により、材料除去またはエッチングステップの使用が回避される。
【0021】
これら実施形態は、概して、BPMおよびDTMに対する2つのプロセスのうちの一方によって製造される。プロセスの第1タイプ(以下、「ポストエッチ媒体」と呼ぶ)では、磁気記録媒体を形成する層は、最初に平坦な基板の上に堆積し、その後圧延されるかまたはエッチングされることにより、DTMの場合のトラックかまたはBPMの場合のビットを画定する溝およびトレンチが形成される。この第1プロセスでは、オーバーコートまたは最上層を第1材料51として選択することができ、それに対し平坦化ポリマーの機能基は反応しない。
【0022】
プロセスの第2タイプ(以下、「プレパターン基板」と呼ぶ)では、基板は、まずDTM構造またはBPM構造を形成するランドおよび溝で凹凸加工され、その後、磁気記録媒体を形成する材料が堆積する。「プレパターン」基板では、ランドおよび溝がともに、同じ材料で覆われる。そして、異なる最上層51が、堆積種が基板に対して浅い角度で到達するグレージング角堆積(たとえば、蒸着、電子ビーム蒸着、イオンビーム堆積、スパッタリング等)によって堆積する。この技法では、材料は、「ランド」の上部にのみ堆積し、「溝」の中には堆積しない。
【0023】
応用によっては、ディスク表面には、幅がすべて同一ではないギャップがある。他の応用(たとえば図6参照)では、トレンチ19の幅は、ポリマーの単分子層の厚さよりはるかに大きい場合もある(たとえば2倍)。実施形態によっては、ポリマーを、洗浄するステップ(たとえば図3B、図4C参照)まで、本明細書に記載するようにディスクにグラフトすることができ、洗浄するステップで、図6Aに示すように、余分な材料が洗い流されることにより単分子層厚さの膜61が残る。
【0024】
ポリマー膜は、その後、試料が好適な溶媒蒸気を含む制御された雰囲気に露出される、溶媒アニールまたは同様の方法によって膨潤し(図6B)、膨潤ポリマー鎖63を形成する(誇張して示す)。膨潤ポリマー63は、ギャップ19が閉鎖され少なくとも平坦化されるまで広がる。ポリマーを膨潤構造で固定するために、膜は、放射線または熱架橋によって架橋される65。架橋の後、ディスクは、制御された雰囲気から取り出される。続いて反応性イオンエッチング(RIE)等の材料除去プロセス(図6C)が行われることにより、ディスクの元の最上面が露出し、残っている膜67がそれと同じ高さになるまで、ポリマー膜の最上部がエッチングされる。これと同じ技法を、本明細書で説明した成長法(たとえば図4参照)を用いて形成されたポリマー層にも使用することができる。
【0025】
これら実施形態による溶媒膨潤またはアニールでは、溶媒は、使用されるポリマーと膨潤の所望の程度とに従って選択される。たとえば、ポリスチレンポリマーの場合、溶媒は、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)または他のタイプの溶媒を含むことができる。
【0026】
本発明がポリマー単分子層を形成するために利用する分子は、従来の平坦化材料で用いられるものより寸法がはるかに大きい。ポリマー分子の一部がディスク材料と反応して、永久結合を形成する。ディスクと反応しディスクに接着したままであるのは、ポリマーの機能性部分のみである。
【0027】
ここで図7を参照して、本発明に従って構成されたハードディスクドライブアセンブリ100の概略図を示す。ハードディスクドライブアセンブリ100は、概して、本明細書に記載するような1つまたは複数のディスクを備えており、ディスクは、動作中にスピンドルモータ(図示せず)によって高速に回転する磁気記録媒体11を備えている。ディスク面のいずれかまたは両方に形成された同心データトラック13が、磁気情報を受け取り格納する。
【0028】
読取り/書込みヘッド110を、アクチュエータアセンブリ106によってディスク面にわたって移動させることができ、これにより、ヘッド110は、特定のトラック13から磁気データを読み出すかまたはそこに磁気データを書き込むことができる。アクチュエータアセンブリ106は、ピボット114上で枢動することができる。アクチュエータアセンブリ106は、サーボ制御として知られる閉ループフィードバックシステムの一部を形成することができる。この閉ループフィードバックシステムは、磁気記録媒体11の熱膨張とともに振動および他の外乱を補償するように、読取り/書込みヘッド110を動的に位置決めする。サーボ制御システムには、複雑な計算アルゴリズムも含まれており、それは、関連するコンピュータからデータアドレス情報を受け取り、それを磁気記録媒体11上の位置に変換し、それに従って読取り/書込みヘッド110を移動させる、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサまたはアナログ信号プロセッサ116によって実行される。
【0029】
特に、読取り/書込みヘッド110は、ディスクに記録されたサーボパターンを周期的に参照することにより、正確なヘッド110の位置決めを確実にする。サーボパターンを用いて、読取り/書込みヘッド110が特定のトラックを正確に追従することを確実にし、かつ1つのトラック13から別のトラック104までのヘッド110の移行を制御し監視することができる。サーボパターンを参照する時、読取り/書込みヘッド110はヘッド位置情報を取得する。この位置情報により、制御回路116は、後に、いかなる検出エラーも訂正するようにヘッド110を再度位置合せすることができる。
【0030】
サーボパターンを、複数のデータトラック13内に埋め込まれた、設計されたサーボセクタ112に含めることにより、最適なディスクドライブ性能を得るようにサーボパターンを頻繁にサンプリングすることができる。典型的な磁気記録媒体11では、埋め込まれたサーボセクタ112は、車輪の中心からのスポークのように、磁気記録媒体11の中心から実質的に放射状に延在する。しかしながら、スポークと異なり、サーボセクタ112は、読取り/書込みヘッド110の動きの範囲に実質的に一致するように較正された、微細な弧状の経路を形成する。
【0031】
したがって、実施形態によっては、軸と磁気素子の同心データトラックとを有する平坦化した磁気媒体ディスクを有するハードディスクドライブを含むことができる。同心データトラックは、ギャップによって互いに分離されている。磁気素子は最上面を有し、ギャップは、磁気素子の最上面から軸方向に間隔が空けられたギャップ面を有している。ギャップが実質的に最上面と同じ高さであり、かつ最上面が露出するように、機能性ポリマーによって、ギャップが充填され、平坦化が達成される。アクチュエータが、磁気媒体ディスクからデータを読み取る磁気トランスデューサを有し、アクチュエータは、磁気媒体ディスクに対して移動可能である。
【0032】
他の実施形態では、ギャップの各々は幅が1nm〜100nmの範囲である。機能性ポリマーは、ギャップの幅の10%〜200%の範囲の単一分子厚さである単分子層を形成することができる。機能性ポリマーは、機能性ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリジメチルシロキサン、またはポリジヒドロキシベンジルアルコールであってもよく、機能基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、チオールまたはメチルエステルであってもよい。機能性ポリマーは、デンドリマー構造と少なくとも1つの機能基を有することができる。機能性ポリマーの少なくとも一部はペルフルオロポリエーテルを含むことができる。磁気素子はDTMを含むことができ、ギャップは、互いからDTMを隔離する溝を有している。磁気素子はまた、個々のビットが、ギャップによって互いに分離されているナノメートルスケールのピラーの列で形成される、BPMであってもよく、各列のピラーはまた、横方向に互いに分離されている。
【0033】
他の実施形態では、磁気媒体ディスクの表面を平坦化する方法は、軸と磁気素子の同心データトラックとを有するパターン基板を提供するステップであって、同心データトラックが互いにギャップによって分離され、磁気素子が最上面を有し、ギャップが、磁気素子の最上面から軸方向に間隔が空けて配置されたギャップ面を有する、ステップと、機能性ポリマーを含む溶液をパターン基板の上に堆積させることにより、パターン基板上に膜を形成するステップと、パターン基板に結合しない、単一分子層を含む溶液の第1単分子層を越える任意の溶液を、パターン基板から除去するステップであって、それにより膜が均一の厚さになる、ステップと、次いで、膜の最上部を除去(たとえばエッチング)することにより、ギャップが機能性ポリマーによって充填され、ギャップが最上面と実質的に同じ高さになり、最上面が露出してパターン媒体の表面が平坦化するステップと、を含む。
【0034】
さらに他の実施形態では、堆積するステップは、スピンコーティングまたは浸漬鋳造を含み、除去するステップは、溶媒によって洗浄することを含む。ポリマー鎖の長さを、第1単分子層の厚さがギャップの幅のおよそ半分であるように選択することができる。第1単分子層は、磁気素子の側壁に形成されることにより、磁気素子のうち隣接するものの間のギャップを閉鎖し、それによりパターン媒体の表面を平坦化することができる。本方法は、堆積するステップの後に、膜に熱アニールを行うことにより、パターン基板に機能基を結合させるステップをさらに含むことができる。エッチングは、反応性イオンエッチングを含んでもよく、機能性ポリマーを、パターン基板上で直接成長させることにより平坦化したポリマー層を形成してもよい。
【0035】
実施形態によっては、ギャップは必ずしも幅が同一でなく、除去するステップの後に、本方法は、膜を、ギャップ内に広がりかつギャップを閉鎖するように膨潤させるステップと、ポリマーを膨潤構造で固定するように膜を架橋するステップとをさらに含むことができる。ギャップの幅は、ポリマーの単分子層の厚さの約2倍の大きさであり、膜を、パターン基板を溶媒アニールし溶媒蒸気を含む制御された雰囲気に露出することにより膨潤させることによって、膨潤したポリマー鎖を形成し、架橋は、放射線または熱架橋によることが可能である。本方法は、制御された雰囲気からパターン基板を取り出すステップと、除去するステップを行うステップもさらに含むことができる。膨潤させるステップおよび架橋するステップは、パターン媒体の表面を平坦化することができ、それにより追加の除去ステップは不要である。
【0036】
さらなる実施形態では、機能性ポリマーを、原子移動ラジカル重合またはニトロキシド媒介ラジカル重合によって機能性表面から成長させる。本方法は、パターン媒体の表面に開始剤を提供するステップと、パターン媒体を前駆体に選択された時間露出することにより、開始剤と前駆体との間の化学反応に基づいて表面で直接機能性ポリマーを成長させるステップと、前駆体を除去することにより基板上に膜を形成するステップと、表面が平坦化するまで膜の一部を除去するステップとをさらに含むことができる。
【0037】
開始剤はパターン媒体の固有材料であってもよく、または開始剤を表面上に堆積させてもよい。磁気素子の最上面を、第1材料から形成し、磁気素子の側壁およびギャップを、第2材料から形成することができ、それにより、ポリマーの機能基は、側壁およびギャップにのみグラフトされ最上面にはグラフトされず、それによって除去ステップなしに平坦化された表面が形成される。実施形態によっては、パターン媒体の平坦化した表面は、最大変動が5nm以下である。
【0038】
これらの実施形態の応用には、電気素子および光学素子の有機界面または無機界面から、ナノ製造、MEMS、液晶、バイオ構造とバイオインスパイアード(bio−inspired)ポリマーの鋳型、自己組織化等に及ぶさまざまな分野の間で表面改質層の使用があり得る。これらおよび他の新たな分野すべてにおいて、ナノメートルスケールでのより複雑な構造が必要であるため、表面改質層と組み合わせた平坦化方式を、ハードディスクドライブの範囲を超えてこれらのタイプの技術に応用することができる。
【0039】
ここに書かれた説明は、例を用いて、最良の形態を含む本発明を開示し、また当業者が本発明を作成し使用することができるようにする。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義されており、当業者に思いつく他の例を含み得る。こうした他の例は、特許請求の範囲の文字通りの言葉とは異ならない構造的要素を有する場合、または特許請求の範囲の文字通りの言葉との相違が実質的でない等価な構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内にあるように意図されている。本発明を、その形態のいくつかにおいてのみ示しまたは説明したが、当業者には、それがそのように限定されず、本発明から逸脱することなくさまざまな変更が可能であることが明白なはずである。
【符号の説明】
【0040】
11 磁気媒体ディスク
13 データトラック
13a データトラック
13b 列
15 ディスクリートトラック媒体
17 ビットパターン媒体
19 溝
21 ピラー
31 溶液
33 第1単分子層
35 膜
41 開始剤
43 前駆体
45 ポリマー膜
47 エッチング
51 第1材料
53 第2材料
55 ポリマー溶液
57 膜
61 膜
63 膨潤ポリマー鎖
65 架橋
67 膜
100 ハードディスクドライブアセンブリ
104 トラック
106 アクチュエータアセンブリ
110 読取り/書込みヘッド
112 サーボセクタ
114 ピボット
116 制御回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸と磁気素子の同心データトラックとを有し、前記同心データトラックが互いにギャップによって分離されており、前記磁気素子が最上面を有し、前記ギャップが、前記磁気素子の前記最上面から軸方向に間隔を空けて配置されたギャップ面を有し、前記ギャップが、前記ギャップが前記最上面と実質的に同じ高さであり、かつ前記最上面が露出するように機能性ポリマーにより充填された磁気媒体ディスクと、
前記磁気媒体ディスクからデータを読み取る磁気トランスデューサを有し、前記磁気媒体ディスクに対して移動可能であるアクチュエータとを備えたハードディスクドライブ。
【請求項2】
前記ギャップの各々が、幅が1nm〜100nmの範囲である請求項1に記載のハードディスクドライブ。
【請求項3】
前記機能性ポリマーが、前記ギャップの前記幅の10%〜200%の範囲の単一分子厚さである単分子層を形成する請求項2に記載のハードディスクドライブ。
【請求項4】
前記機能性ポリマーが、デンドリマー構造および少なくとも1つの機能基を有する請求項1に記載のハードディスクドライブ。
【請求項5】
前記機能性ポリマーが、機能性ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリジメチルシロキサン、ポリジヒドロキシベンジルアルコールのうちの1つであり、
前記機能基が、ヒドロキシル基、カルボキシル基、チオールおよびメチルエステルのうちの1つである請求項4に記載のハードディスクドライブ。
【請求項6】
前記機能性ポリマーの少なくとも一部が、ペルフルオロポリエーテルを含む請求項1に記載のハードディスクドライブ。
【請求項7】
前記磁気素子がディスクリートトラック媒体であり、
前記ギャップが、互いから前記ディスクリートトラック媒体を隔離する溝を含む請求項1に記載のハードディスクドライブ。
【請求項8】
前記磁気媒体ディスクは、前記磁気素子の各々のビットが、前記ギャップによって互いに分離されているナノメートルスケールのピラーの列で形成されたビットパターン媒体であり、
各列の前記ピラーがまた横方向にも互いに分離される請求項1に記載のハードディスクドライブ。
【請求項9】
磁気媒体ディスクの表面を平坦化する方法であって、
(a)軸と磁気素子の同心データトラックとを有するパターン基板を提供するステップであって、前記同心データトラックが互いにギャップによって分離され、前記磁気素子が最上面を有し、前記ギャップが、前記磁気素子の前記最上面から軸方向に間隔を空けて配置されたギャップ面を有するステップと、
(b)機能性ポリマーを含む溶液を前記パターン基板の上に堆積させることにより、前記パターン基板上に膜を形成するステップと、
(c)前記パターン基板に結合しない、単一分子層を含む前記溶液の第1単分子層を越える任意の溶液を、前記パターン基板から除去するステップであって、それにより前記膜が均一の厚さになるステップと、
(d)前記膜の最上部を除去することにより、前記ギャップが前記機能性ポリマーによって充填され、前記ギャップが前記最上面と実質的に同じ高さになり、前記最上面が露出して前記パターン媒体の表面が平坦化するステップとを含む方法。
【請求項10】
ステップ(b)がスピンコーティングまたは浸漬鋳造を含み、
ステップ(c)が溶媒による洗浄を含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ポリマー鎖の長さが、前記第1単分子層の厚さが前記ギャップの幅のおよそ半分であるように選択される請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1単分子層が、前記磁気素子の側壁に形成されることにより、前記磁気素子のうち隣接するものの間の前記ギャップを閉鎖し、それにより前記パターン媒体の表面を平坦化する請求項9に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(b)の後に、前記膜に熱アニールを行うことにより、前記パターン基板に前記機能基を結合させるステップをさらに含む請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記材料除去プロセスが反応性イオンエッチングを含み、前記機能性ポリマーを前記パターン基板上で直接成長させることにより平坦化したポリマー層を形成する請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記ギャップが、幅が同一でなく、ステップ(c)の後に、
前記膜を、前記ギャップ内に広がりかつ前記ギャップを閉鎖するように膨潤させるステップと、
前記ポリマーを膨潤構造で固定するように前記膜を架橋するステップとをさらに含み、
前記ギャップの前記幅が、前記ポリマーの前記単分子層の厚さの約2倍の大きさであり、
前記膜が、前記パターン基板を溶媒アニールして溶媒蒸気を含む制御された雰囲気に露出することにより膨潤することによって、膨潤したポリマー鎖を形成し、
前記架橋が放射線または熱架橋による請求項9に記載の方法。
【請求項16】
制御された雰囲気から前記パターン基板を取り出すステップと、
前記除去するステップを行うステップとをさらに含み、
前記膨潤させるステップおよび前記架橋するステップが、前記パターン媒体の表面を平坦化し、追加の除去ステップが不要である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記機能性ポリマーが、原子移動ラジカル重合またはニトロキシド媒介ラジカル重合によって機能性表面から成長し、
前記パターン媒体の前記平坦化した表面が、最大変動が5nm以下である請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記パターン媒体の前記表面に開始剤を提供するステップと、
前記パターン媒体を前駆体に選択された時間露出することにより、前記開始剤と前記前駆体との間の化学反応に基づいて前記表面で直接前記機能性ポリマーを成長させるステップと、
前記前駆体を除去することにより前記基板上に前記膜を形成するステップと、
前記表面が平坦化するまで前記膜の一部を除去するステップとをさらに含む請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記磁気素子の前記最上面が第1材料から形成され、
前記磁気素子の側壁および前記ギャップが第2材料から形成され、
前記ポリマーの機能基が、前記側壁および前記ギャップにのみグラフトされ前記最上面にはグラフトされず、それによって前記除去ステップなしに前記平坦化された表面が形成される請求項9に記載の方法。
【請求項20】
軸と磁気素子の同心データトラックとを有し、
前記同心データトラックが径方向のギャップによって互いに分離され、
前記磁気素子が最上面を有し、
前記ギャップが、前記磁気素子の前記最上面から軸方向に間隔が空けられたギャップ面を有し、
前記ギャップが、平坦化されかつ前記最上面と同じ高さになるように機能性ポリマーによって充填される基板を備えた磁気媒体ディスク。
【請求項21】
前記ギャップの各々が、幅が1nm〜100nmの範囲であり、
前記機能性ポリマーが、前記ギャップの幅の10%〜200%の範囲の単一分子厚さである単分子層を形成し、前記磁気素子の前記最上面が露出する請求項20に記載の磁気媒体ディスク。
【請求項22】
前記機能性ポリマーが、デンドリマー構造と少なくとも1つの機能基とを有する請求項20に記載の磁気媒体ディスク。
【請求項23】
前記機能性ポリマーが、機能性ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリジメチルシロキサン、ポリジヒドロキシベンジルアルコールのうちの1つであり、
前記機能基が、ヒドロキシル基、カルボキシル基、チオールおよびメチルエステルのうちの1つである請求項22に記載の磁気媒体ディスク。
【請求項24】
前記機能性ポリマーの少なくとも一部がペルフルオロポリエーテルを含み、前記磁気素子がディスクリートトラック媒体であり、
前記ギャップが、互いから前記ディスクリートトラック媒体を隔離する溝を有する請求項20に記載の磁気媒体ディスク。
【請求項25】
前記磁気媒体ディスクは、前記磁気素子の個々のビットが、前記ギャップによって互いに分離されているナノメートルスケールのピラーの列で形成されているビットパターン媒体であり、
各列の前記ピラーが横方向に互いに分離される請求項20に記載の磁気媒体ディスク。
【請求項1】
軸と磁気素子の同心データトラックとを有し、前記同心データトラックが互いにギャップによって分離されており、前記磁気素子が最上面を有し、前記ギャップが、前記磁気素子の前記最上面から軸方向に間隔を空けて配置されたギャップ面を有し、前記ギャップが、前記ギャップが前記最上面と実質的に同じ高さであり、かつ前記最上面が露出するように機能性ポリマーにより充填された磁気媒体ディスクと、
前記磁気媒体ディスクからデータを読み取る磁気トランスデューサを有し、前記磁気媒体ディスクに対して移動可能であるアクチュエータとを備えたハードディスクドライブ。
【請求項2】
前記ギャップの各々が、幅が1nm〜100nmの範囲である請求項1に記載のハードディスクドライブ。
【請求項3】
前記機能性ポリマーが、前記ギャップの前記幅の10%〜200%の範囲の単一分子厚さである単分子層を形成する請求項2に記載のハードディスクドライブ。
【請求項4】
前記機能性ポリマーが、デンドリマー構造および少なくとも1つの機能基を有する請求項1に記載のハードディスクドライブ。
【請求項5】
前記機能性ポリマーが、機能性ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリジメチルシロキサン、ポリジヒドロキシベンジルアルコールのうちの1つであり、
前記機能基が、ヒドロキシル基、カルボキシル基、チオールおよびメチルエステルのうちの1つである請求項4に記載のハードディスクドライブ。
【請求項6】
前記機能性ポリマーの少なくとも一部が、ペルフルオロポリエーテルを含む請求項1に記載のハードディスクドライブ。
【請求項7】
前記磁気素子がディスクリートトラック媒体であり、
前記ギャップが、互いから前記ディスクリートトラック媒体を隔離する溝を含む請求項1に記載のハードディスクドライブ。
【請求項8】
前記磁気媒体ディスクは、前記磁気素子の各々のビットが、前記ギャップによって互いに分離されているナノメートルスケールのピラーの列で形成されたビットパターン媒体であり、
各列の前記ピラーがまた横方向にも互いに分離される請求項1に記載のハードディスクドライブ。
【請求項9】
磁気媒体ディスクの表面を平坦化する方法であって、
(a)軸と磁気素子の同心データトラックとを有するパターン基板を提供するステップであって、前記同心データトラックが互いにギャップによって分離され、前記磁気素子が最上面を有し、前記ギャップが、前記磁気素子の前記最上面から軸方向に間隔を空けて配置されたギャップ面を有するステップと、
(b)機能性ポリマーを含む溶液を前記パターン基板の上に堆積させることにより、前記パターン基板上に膜を形成するステップと、
(c)前記パターン基板に結合しない、単一分子層を含む前記溶液の第1単分子層を越える任意の溶液を、前記パターン基板から除去するステップであって、それにより前記膜が均一の厚さになるステップと、
(d)前記膜の最上部を除去することにより、前記ギャップが前記機能性ポリマーによって充填され、前記ギャップが前記最上面と実質的に同じ高さになり、前記最上面が露出して前記パターン媒体の表面が平坦化するステップとを含む方法。
【請求項10】
ステップ(b)がスピンコーティングまたは浸漬鋳造を含み、
ステップ(c)が溶媒による洗浄を含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ポリマー鎖の長さが、前記第1単分子層の厚さが前記ギャップの幅のおよそ半分であるように選択される請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1単分子層が、前記磁気素子の側壁に形成されることにより、前記磁気素子のうち隣接するものの間の前記ギャップを閉鎖し、それにより前記パターン媒体の表面を平坦化する請求項9に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(b)の後に、前記膜に熱アニールを行うことにより、前記パターン基板に前記機能基を結合させるステップをさらに含む請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記材料除去プロセスが反応性イオンエッチングを含み、前記機能性ポリマーを前記パターン基板上で直接成長させることにより平坦化したポリマー層を形成する請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記ギャップが、幅が同一でなく、ステップ(c)の後に、
前記膜を、前記ギャップ内に広がりかつ前記ギャップを閉鎖するように膨潤させるステップと、
前記ポリマーを膨潤構造で固定するように前記膜を架橋するステップとをさらに含み、
前記ギャップの前記幅が、前記ポリマーの前記単分子層の厚さの約2倍の大きさであり、
前記膜が、前記パターン基板を溶媒アニールして溶媒蒸気を含む制御された雰囲気に露出することにより膨潤することによって、膨潤したポリマー鎖を形成し、
前記架橋が放射線または熱架橋による請求項9に記載の方法。
【請求項16】
制御された雰囲気から前記パターン基板を取り出すステップと、
前記除去するステップを行うステップとをさらに含み、
前記膨潤させるステップおよび前記架橋するステップが、前記パターン媒体の表面を平坦化し、追加の除去ステップが不要である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記機能性ポリマーが、原子移動ラジカル重合またはニトロキシド媒介ラジカル重合によって機能性表面から成長し、
前記パターン媒体の前記平坦化した表面が、最大変動が5nm以下である請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記パターン媒体の前記表面に開始剤を提供するステップと、
前記パターン媒体を前駆体に選択された時間露出することにより、前記開始剤と前記前駆体との間の化学反応に基づいて前記表面で直接前記機能性ポリマーを成長させるステップと、
前記前駆体を除去することにより前記基板上に前記膜を形成するステップと、
前記表面が平坦化するまで前記膜の一部を除去するステップとをさらに含む請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記磁気素子の前記最上面が第1材料から形成され、
前記磁気素子の側壁および前記ギャップが第2材料から形成され、
前記ポリマーの機能基が、前記側壁および前記ギャップにのみグラフトされ前記最上面にはグラフトされず、それによって前記除去ステップなしに前記平坦化された表面が形成される請求項9に記載の方法。
【請求項20】
軸と磁気素子の同心データトラックとを有し、
前記同心データトラックが径方向のギャップによって互いに分離され、
前記磁気素子が最上面を有し、
前記ギャップが、前記磁気素子の前記最上面から軸方向に間隔が空けられたギャップ面を有し、
前記ギャップが、平坦化されかつ前記最上面と同じ高さになるように機能性ポリマーによって充填される基板を備えた磁気媒体ディスク。
【請求項21】
前記ギャップの各々が、幅が1nm〜100nmの範囲であり、
前記機能性ポリマーが、前記ギャップの幅の10%〜200%の範囲の単一分子厚さである単分子層を形成し、前記磁気素子の前記最上面が露出する請求項20に記載の磁気媒体ディスク。
【請求項22】
前記機能性ポリマーが、デンドリマー構造と少なくとも1つの機能基とを有する請求項20に記載の磁気媒体ディスク。
【請求項23】
前記機能性ポリマーが、機能性ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリジメチルシロキサン、ポリジヒドロキシベンジルアルコールのうちの1つであり、
前記機能基が、ヒドロキシル基、カルボキシル基、チオールおよびメチルエステルのうちの1つである請求項22に記載の磁気媒体ディスク。
【請求項24】
前記機能性ポリマーの少なくとも一部がペルフルオロポリエーテルを含み、前記磁気素子がディスクリートトラック媒体であり、
前記ギャップが、互いから前記ディスクリートトラック媒体を隔離する溝を有する請求項20に記載の磁気媒体ディスク。
【請求項25】
前記磁気媒体ディスクは、前記磁気素子の個々のビットが、前記ギャップによって互いに分離されているナノメートルスケールのピラーの列で形成されているビットパターン媒体であり、
各列の前記ピラーが横方向に互いに分離される請求項20に記載の磁気媒体ディスク。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【公開番号】特開2011−96355(P2011−96355A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235514(P2010−235514)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(503116280)ヒタチグローバルストレージテクノロジーズネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(503116280)ヒタチグローバルストレージテクノロジーズネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】
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