説明

機能性付与容器

【課題】収納するに際し機能性付与物質を損傷させず、さらに使用時に機能性付与物質を脱落させないで、その機能性を全うすることが出来る機能性付与容器を提供する。
【解決手段】容器本体2と、これの円形状口部3に被せて密封する上蓋4と、容器本体2の底部5に被せて密封する底蓋6とからなり、この底蓋6は、天板7とその下方に位置させた底板8とこれら天板7及び底板8を連結する側板9とを有して機能性付与物質10を保管する収納空間11を形成し、且つこの収納空間11に機能性付与物質10を入れる入口を設けると共に天板7に1以上の通気孔13を設けてなり、底蓋6の収納空間11内に入口から機能性付与物質10を入れ、その状態の底蓋6を容器本体2の底部5に被せて密封する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥剤やフレーバー剤などの機能性付与物質を収納保管して、乾燥機能や芳香機能などを有する機能性付与容器に関するものであって、より詳しくは、容器本体内に乾燥剤等の機能性付与物質を収納するに際して、機能性付与物質を損傷させずに所定の場所に収納することができ、さらに使用時に機能性付与物質が脱落することもない、密封性の高い機能性付与容器に関する。
【背景技術】
【0002】
機能性付与容器は、密封した状態でその内部に乾燥機能や芳香機能などの機能性を与えるものであり、したがって、機能性付与容器内に種々の機能を付与するための機能性付与物質を収納保管する必要がある。
【0003】
このような機能性付与容器50は、図9に示すように、有底筒状の容器本体51にヒンジ連結部52を介してキャップ53を硬質合成樹脂にて一体成型し、容器本体51の口部54に進入して口部54を密嵌する柔軟性合成樹脂材製の有蓋筒状パッキン55をキャップ53に嵌合すると共に、有蓋筒状パッキン55内に乾燥剤56を組み込んでなるものである(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、このような機能性付与容器60は、図10に示すようなものもあり、これは容器本体61の口部62に嵌着出来る合成樹脂製のキャップ63を設け、このキャップ63の頂板64下面から縦方向に複数のスリット65の設けられた弾性を有する筒状体66を垂下して一体に設け、外方あるいは内方のいずれか一方に向かって水平方向に突出する段部67を設け、この段部67に続く筒状体66の先端部には、段部67の突出する向きと反対の向きに向かって傾斜する案内面68を形成して、段部67上に錠剤69を保持できるようにしたものである(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平7−16625号公報
【特許文献2】実開平3−8163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図9に示す容器50は、柔軟性合成樹脂材製の有蓋筒状パッキン55内に乾燥剤56を組み込み、この状態の有蓋筒状パッキン55を硬質合成樹脂材製のキャップ53内に嵌合するものである。したがって、乾燥剤56は有蓋筒状パッキン55内に設けた保持用突起57を乗り越えて組み込まなければならず、有蓋筒状パッキン55が柔軟性合成樹脂材製であっても、乾燥剤56が脆いものである場合、乾燥剤56はその組み込み時に損傷を受ける可能性があり、さらに、有蓋筒状パッキン55が柔軟性合成樹脂材製であるため、もともと乾燥剤56の保持力が弱いと言える。したがって、ヒンジ連結部52を介したキャップ53の開閉により、有蓋筒状パッキン55内から乾燥剤56が脱落する虞がある。
【0007】
図10に示す容器60は、キャップ63の頂板64下面から垂下して設けられた筒状体66に錠剤69を嵌め込むものである。したがって、錠剤69は筒状体66に設けた乾燥剤保持用の段部67を乗り越えて嵌め込まなければならず、筒状体66に設けた案内面68や複数のスリット65により、筒状体66に錠剤69を嵌め込み易くしていても、錠剤69が脆いものである場合、錠剤69はその嵌め込み時に損傷を受ける可能性がある。したがって、キャップ63の開閉により、キャップ63の筒状体66から錠剤69が脱落する虞がある。
【0008】
すなわち、図9の容器50並びに図10の容器60における不都合は、いずれも可動部分であるキャップ53内あるいはキャップ63内に係止部を強制的に乗り越えて、乾燥剤56あるいは錠剤69を組み込んでいることに起因するものである。
【0009】
そこで、本発明の目的は、収納するに際し機能性付与物質を損傷させることがなく、さらに使用時に機能性付与物質が脱落することもなくて、その機能性を全うすることが出来る機能性付与容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであって、下記の構成からなることを特徴とするものである。
すなわち、本発明によれば、容器本体と、これの口部に被せて密封する上蓋と、前記容器本体の底部に被せて密封する底蓋とで構成し、前記底蓋は、天板とその下方に位置させた底板とこれら天板及び底板を連結する側板とを有して、該底蓋と該天板と該側板との間に機能性付与物質を保管する収納空間を形成し、且つ該収納空間内に前記機能性付与物質を入れる入口を設けると共に前記天板に1以上の通気孔を設けてなり、前記底蓋の収納空間内に前記入口から前記機能性付与物質を入れ、その状態の底蓋を前記容器本体の底部に被せて密封することを特徴とする機能性付与容器が提供される。
【0011】
また、本発明によれば、前記底蓋の底板の外周縁部に凸部を設けると共に該凸部から外方に突出するシール線条を設け、且つ、前記容器本体の底部の内周面に前記底蓋の底板の凸部に沿う凹部を設けてなり、前記容器本体の底部に底蓋を被せた際、前記容器本体の底部の凹部に、前記底蓋の底板の凸部を嵌めて、前記容器本体の凹部に前記底蓋の底板における凸部とシール線条とが密着するようにした機能性付与容器が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、前記機能性付与物質が、乾燥剤である機能性付与容器が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、前記機能性付与物質が、フレーバー剤である機能性付与容器が提供される。
【0014】
上記第1の課題解決手段による作用は、底蓋の入口から収納空間内に機能性付与物質を入れ、その状態のまま底蓋を容器本体の底部に被せて密封し、そのあと容器本体内に口部から機能性付与物質の恩恵を受ける製品を入れて、その口部に上蓋を被せて密封すれば、容器本体内の製品は底蓋の天板の通気孔を通して機能性付与物質による機能性を享受できる。
【0015】
上記第2の課題解決手段による作用は、容器本体の底部に底蓋を被せると、その底部の凹部に底蓋の底板の凸部を嵌めることになるので、凹部に底板の凸部から外方に突出するシール線条が密着するようになる。
【0016】
上記第3の課題解決手段による作用は、容器本体の底部に底蓋を被せると、容器本体の下部内周面に設けた係止突部に底蓋の天板の凸部を係止することになる。
【0017】
上記第4の課題解決手段による作用は、容器本体内は、底蓋の天板の通気孔を通して乾燥剤により乾燥状態が保持される。
【0018】
上記第5の課題解決手段による作用は、容器本体内は、底蓋の天板の通気孔を通してフレーバー剤によりフレーバーな状態が保持される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の機能性付与容器によれば、容器本体内に機能性付与物質を収納するに際し、損傷させることがなく、さらに使用時に機能性付与物質が脱落することもないから、その機能性付与物質による機能性を全うすることが出来る効果がある。
【0020】
また、本発明の機能性付与容器によれば、上記の効果に加えて、機能性付与物質を損傷することなく容易に容器に取り付けることができる効果がある。
【0021】
また、本発明の機能性付与容器によれば、上記の効果に加えて、容器本体の底部と底蓋との密封性がより高まる効果がある。
【0022】
また、本発明の機能性付与容器によれば、上記の効果に加えて、容器本体の底部と底蓋との密封性がより高まり、且つ底蓋のガタツキを押さえる効果がある。
【0023】
また、本発明の機能性付与容器によれば、上記の効果に加えて、容器本体内の乾燥状態を保持できる効果がある。
【0024】
また、本発明の機能性付与容器によれば、上記の効果に加えて、容器本体内のフレーバーな状態を保持できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態を示す上蓋を開いた状態の機能性付与容器の一部を破断した斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す上蓋を開いた状態の機能性付与容器の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態を示す上蓋を開いた状態の容器本体の断面図である。
【図4】本発明の実施の形態を示す連結機能付ヒンジ容器の底蓋の平面図である。
【図5】図4に示した底蓋のA方向からみた側面図である。
【図6】図4に示した底蓋のB−B線断面図である。
【図7】底蓋内に機能性付与物質を収納した状態の断面図である。
【図8】容器本体の底部に機能性付与物質入りの底蓋を嵌め込んだ状態の一部を破断した断面図である。
【図9】従来例を示す断面図である。
【図10】従来例を示す一部を破断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【実施例1】
【0027】
図面において、1は機能性付与容器であり、この機能性付与容器1は、容器本体2と、これの口部3に被せて密封する上蓋4と、容器本体2の底部5に被せて密封する底蓋6とで構成し、この底蓋6は、天板7とその下方に位置させた底板8とこれら天板7及び底板8を連結する側板9とを有して、この底蓋6と天板7と側板9との間に機能性付与物質10を保管する収納空間11を形成し、且つこの収納空間11内に機能性付与物質10を入れる入口12を設けると共に天板7に1以上の通気孔13を設けてなり、底蓋6の収納空間11内に入口12から機能性付与物質10を入れ、その状態の底蓋6を容器本体2の底部5に被せて密封するものである。
【0028】
前記容器本体2は円筒状側壁20を有し、この円筒状側壁20の上部は円形状の前記口部3となり、この口部3の上端周縁に凸部3aを設けて、上蓋4の内周面4b下部に設けた複数個の突部(図示せず)と係合する。そして、円筒状側壁20a上端にはヒンジ連結部23が設けられて上蓋4に連結され、その反対側の容器本体正面の円筒状側壁20b上部には凹み部24が設けられている。
【0029】
前記上蓋4は、前記容器本体2の円筒状側壁20に沿った円形体をなし、その内周面4bは容器本体2の円形状の口部3から上方に延びる凸部3aの外周面に密着するように円形をなしている。さらに、上蓋4の天板27には、上記円筒状側壁20の円形状の口部3の内周面3bに密着するように、円筒状突出部28が設けられているから、上蓋4と容器本体2との密封性が一段と高められている。また、上蓋4の反ヒンジ連結部23側には鍔26が設けられ、さらに、鍔26に手指を掛け易くするために、既述のように、容器本体2の円筒状側壁20aには凹み部24が設けられており、上蓋の開閉がスムーズにできる。
【0030】
前記ヒンジ連結部23は、主ヒンジ30及びその両側にある板バネ31からなり、閉じた状態の上蓋4を板バネ31のバネ力に抗して開ききると、上蓋4の戻りがなく開いた状態を保持し、逆に、開いた状態の上蓋4を板バネ31のバネ力に抗して閉じきると、上蓋4の戻りがなく閉じた状態を保持することができる。
【0031】
前記底蓋6は、図4ないし7に示すように、天板7とその下方に位置させた底板8とこれら天板7及び底板8を連結する側板9とを有してなり、これら天板7、底板8及び側板9に囲われて収納空間11を形成し、この収納空間11内に前記機能性付与物質10を入れるのに充分な大きさの入口12を側板9に開けてあり、且つ、収納空間11内の機能性付与物質10の効用を発揮するように、天板7に通気孔13を開けてある。図の実施形態では、側板9の内周面は入口12と反対側が180度に渡って円弧状に形成され、その両端部から両端部を通る直線に直交する方向で入口12側に延びて、側板9の円弧状外周面と接続している。この側板9の開口端部が入口12を形成している。したがって、底蓋6の収納空間11内に、機能性付与物質10を、側板9に開けてある充分な大きさの入口12から、極めて容易に収納することが出来る。
【0032】
そして、底蓋6の底板8の外周縁部に凸部8aを設けると共に、この凸部8aから外方に突出するシール線条32を設けている。これら底板8の凸部8a及びシール線条32に対応して、前記容器本体2の底部5、すなわち、円筒状側壁20の下端部の内周面に、底板8の凸部8aに沿う凹部33を設けている(図8参照)。したがって、容器本体2の底部5に底蓋6を被せた際、容器本体2の底部5の凹部33に、底板8の凸部8aを嵌めることになるから、容器本体2の凹部33に底板8の凸部8aが係合し、凸部8aとシール線条32とが凹部33に密着するようになって、容器本体2の底部5と底蓋6との密封性がより高まることになる。
【0033】
また、底蓋6の天板7の外周縁部に凸部7aを設けている。この凸部7aが、容器本体2の円筒状側壁20の下部内周面に形成され係止突部34と係止することとなる(図8参照)。したがって、容器本体2の下部に設けた係止突部34に天板7の凸部7aが係止し、凸部8aが凹部33と係止して、容器本体2の底部5と底蓋6との密封性に加えて、底蓋6のガタツキを押さえることができる。
【0034】
前記機能性付与物質10は、ある一定の機能を付与するものであれば、特に限定がないが、乾燥剤あるいはフレーバー剤がもっと良い効果を得ることが出来ると想定される。他に乾燥剤の逆である保湿剤や、無菌状態を保つ除菌剤なども機能性付与物質10の範疇に入れることができる。
【0035】
次に、上記構成になる機能性付与容器1の利用方法について説明する。
まず、どのような機能が必要なのかを精査し、それに合う機能性付与物質10、例えば、乾燥剤、フレーバー剤、保湿剤、除菌剤などを選択する。つぎに、図4ないし6に示す底蓋6の入口12から収納空間11内に選択した機能性付与物質10を入れ、図7に示す状態にする。そして、この図7の状態の底蓋6を容器本体2の底部5に被せる。その際、容器本体2の底部5の凹部33に、底板8の凸部8aを嵌めるから、容器本体2の凹部33に底板8の凸部8a及びシール線条32が密着し、さらに、係止突部34にも天板7の凸部7aが係止して、容器本体2の底部5と底蓋6との密封性が高まり、これに加えて、底蓋6のガタツキを押さえることが出来る。
【0036】
そのあと、容器本体2内に機能性付与物質10による機能性を享受したい製品を収納して、上蓋4を被せて、容器本体2内を密封する。底蓋6の収納空間11内に収納保管されている機能性付与物質10は、天板7の通気孔13を通して容器本体2内の製品にその機能性を付与する。容器本体2内の製品を利用したい場合は、上蓋4を開けて製品を取り出し、直ぐに容器本体2に上蓋4を被せれば、容器本体2内の製品に機能性付与物質10の機能性を再び付与することができ、機能性付与物質10がその機能性を保持している限り、容器本体2内の製品にその機能性を付与し続けることが出来る。
【0037】
以上、本発明の実施例1を説明したが、具体的な構成はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での変更は、適宜可能であることが理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の機能性付与容器は、収納するに際し機能性付与物質を損傷させることがなく、さらに使用時に機能性付与物質を脱落させないで、その機能性を全うしたいような場合に利用可能性が極めて高くなる。
【符号の説明】
【0039】
1、50、60 機能性付与容器
2、51、61 容器本体
3、54、62 口部
3a、7a、8a 凸部
3b、4b 内周面
4 上蓋
4a 下端
5 底部
6 底蓋
7 天板
8 底板
9 側板
10 機能性付与物質
11 収納空間
12 入口
13 通気孔
20、20a、20b 円筒状側壁
23、52 ヒンジ連結部
24 凹み部
25 円筒状突出部
26 鍔
27 天板
30 主ヒンジ
31 板バネ
32 シール線条
33 凹部
34 係止突部
53、63 キャップ
55 有蓋筒状パッキン
56 乾燥剤
57 保持用突起
64 頂板
65 スリット
66 筒状体
67 段部
68 案内面
69 錠剤


【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、これの口部に被せて密封する上蓋と、前記容器本体の底部に被せて密封する底蓋とで構成し、前記底蓋は、天板とその下方に位置させた底板とこれら天板及び底板を連結する側板とを有して、該底蓋と該天板と該側板との間に機能性付与物質を保管する収納空間を形成し、且つ該収納空間内に前記機能性付与物質を入れる入口を設けると共に前記天板に1以上の通気孔を設けてなり、前記底蓋の収納空間内に前記入口から前記機能性付与物質を入れ、その状態の底蓋を前記容器本体の底部に被せて密封することを特徴とする機能性付与容器。
【請求項2】
前記底蓋の底板の外周縁部に凸部を設けると共に該凸部から外方に突出するシール線条を設け、且つ、前記容器本体の底部の内周面に前記底蓋の底板の凸部に沿う凹部を設けてなり、前記容器本体の底部に底蓋を被せた際、前記容器本体の底部の凹部に、前記底蓋の底板の凸部を嵌めて、前記容器本体の凹部に前記底蓋の底板における凸部とシール線条とが密着するようにした請求項1記載の機能性付与容器。
【請求項3】
前記機能性付与物質は、乾燥剤である請求項1または2記載の機能性付与容器。
【請求項4】
前記機能性付与物質は、フレーバー剤である請求項1または2記載の機能性付与容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−12018(P2012−12018A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147147(P2010−147147)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000228442)日本クラウンコルク株式会社 (382)
【Fターム(参考)】