説明

機能性素材及び/又はエキス含有組成物

【課題】機能性素材及び/又はエキスの含量の高い組成物であっても、機能性素材及び/
又はエキス特有の苦味や雑味などの不快味を顕著に低減でき、機能性に優れながらも摂取
しやすい機能性素材及び/又はエキス含有組成物を提供する。
【解決手段】機能性素材及び/又はエキス含有組成物にスクラロースを添加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苦味が低減された機能性素材及び/又はエキス含有組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年食の多様化に加え、健康志向に伴い抗酸化作用や代謝活性作用、抗高血圧といった各種機能性を持った食品が求められてきている。しかし、これら機能性食品に付加価値を与える機能性素材やエキスは、それぞれ独自の苦味や収斂味を有しているため、それを使用した食品、医薬品、医薬材料、化粧品、人工臓器または生体材料などの飲食、服用または取り扱いなどが困難であった。例えば、食品または医薬品などに苦味や収斂味を放出する機能性素材やエキスを使用した場合、飲食や服用が困難であり、また人によってはそれを受けつけないこともあり、使用者も限られてきた。また、化粧品や衛生用品などに苦味や収斂味を放出する機能性素材やエキスを使用された場合、使用者などに不快感を与えたり、製品イメージを損なったりするおそれがある。
【0003】
こうした観点より、従来から各種機能性素材やエキスの苦味や雑味を低減させた組成物を提供するために、各種素材が用いられてきた。例えば、α、α−トレハロースを用いてエキス類の不快味又は不快臭をマスキングする方法(特許文献1)、動物系エキス及び/又は酵母エキスの香味・呈味の改善、或いはサルファー臭を、馬鈴薯蛋白質を麹菌及び蛋白分解酵素で分解することにより得られる蛋白質酵素分解物によってマスキングする方法(特許文献2)、苦味成分をサイクロデキストリンに包接させる方法(特許文献3)、苦味成分に茶抽出物であるカテキン類などの嗜好性の苦味を添加する方法などが報告されている。しかしながら、上記従来の方法は苦味のマスキングをする方法としては未だ十分なものではなく、例えば、甘味料を使用するマスキング方法であれば、苦味を十分にマスキングするために甘味剤を多量に使用しなければ充分にマスキングできず甘味剤の大量摂取により健康上の問題を引き起こしてしまう、また、一時的なマスキング効果は示すものの、時間経過と共にマスキング効果が衰えてしまう、マスキング目的で添加した添加物自体が飲食品に影響を与えてしまうといった各種問題を抱えていた。また、甘味に代えて低カロリーのキシリトールの使用は大量摂取により下痢が発生し、えぐみ、甘味の残留による不快感があり、うまみ成分および渋み成分のみの使用では充分にマスキングされないので不快感が口中に残り、苦味をマスキングする方法としては未だ十分なものはない。(特許文献4)特に、機能性素材やエキスは素材自体が有する苦味や雑味などの不快味が強く、食品や医薬品に機能性を付加できるものの飲食品や医薬品に用いる場合、その添加量が限られてしまうといった問題点を抱えていた。
【0004】
【特許文献1】再公表WO04/060077号公報
【特許文献2】特開2006−158390号公報
【特許文献3】特開平3−236316号公報
【特許文献4】特開2001−69961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点の解決を意図するものであり、機能性素材やエキス特有の苦味や雑味といった不快味を抑制し、機能性に優れながらも摂取しやすい、苦味が低減された機能性素材及び/又はエキス含有組成物を提供することを目的とする。更には、長期間に渡って機能性素材及び/又はエキスの苦味を低減する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み鋭意研究を重ねていたところ、スクラロースを含有することにより、苦味が低減された機能性素材及び/又はエキス含有組成物を提供できること、及び機能性素材及び/又はエキス含有組成物にスクラロースを配合することにより、機能性素材及び/又はエキス含有組成物の苦味を低減できることを見出して本発明に至った。
【0007】
本発明は、以下の態様を有する苦味が低減された機能性素材及び/又はエキス含有組成物、及び機能性素材及び/又はエキス含有組成物の苦味を低減する方法に関する;
項1.スクラロースを含有することを特徴とする苦味が低減された機能性素材及び/又はエキス含有組成物。
項2.機能性素材及び/又はエキス含有組成物に対し、スクラロースを0.001〜3重量%添加することを特徴とする項1記載の組成物。
項3.更にソーマチンを含有することを特徴とする項1又は2に記載の機能性素材及び/又はエキス含有組成物。
項4.ソーマチンをスクラロースに対し0.005〜2重量%併用することを特徴とする項1〜3のいずれかに記載の機能性素材及び/又はエキス含有組成物。
項5.機能性素材及び/又はエキス含有組成物にスクラロースを配合することを特徴とする、機能性素材及び/又はエキス含有組成物の苦味を低減する方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、機能性素材及び/又はエキスの含量の高い組成物であっても、機能性素材及び/又はエキス特有の苦味や雑味といった不快味を顕著に低減でき、機能性に優れながらも摂取しやすい機能性素材及び/又はエキス含有組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の苦味が低減された機能性素材及び/又はエキス含有組成物は、スクラロースを含有することを特徴とする。
【0010】
本発明においてスクラロースとは、ショ糖分子内のフルクトース残基の1、6位およびグルコース残基の4位の三つの水酸基を塩素分子で置換した構造をしており、ショ糖の約600倍の良質の甘味を示す高甘味度甘味料である。なお、本発明で使用するスクラロースは商業上入手可能であり、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のサンスイートシリーズなどを挙げることができる。
【0011】
本発明の機能性素材とは、飲食品や医薬品に添加することにより、抗酸化作用や代謝活性作用、抗高血圧、ダイエット作用、便通改善作用などをはじめとした各種機能性を飲食品や医薬品に付加することが期待できる素材を広く指し、具体例としては、以下に示す機能性素材を挙げることができる。具体例として、ラクトフェリン、ビフィズス菌、酵母、さとうきび酵母、ファフィア酵母、ビール酵母、クロム含有酵母、亜鉛含有酵母、セレン含有酵母、グルコサミン、アセチルグルコサミン、トリナン(異性化リノール酸)、ヒアルロン酸、ガラナ、ガゼリ菌、大豆サポニン、田七人参サポニン、田七人参葉サポニン、キチン、キトサン、コノコキトサン、コエンザイムQ10、セラミド、グルコノラクトン、カプサイシン、カルニチン、プロピニルL−カルニチン、メチルフォニルメタン(MSM)、乳清発酵物、クロロフィル、クロレラ、乳酸菌、ルテイン、デルマタン硫酸ムコ多糖類、α−リポ酸、R−リポ酸、メリロート、ラクトアルブミン、EPA含有精製魚油、アスタキサンチン、β−グルカン、オート麦ぬかβ−グルカン、濃縮オート麦ぬか、グリアジン(小麦たんぱくから抽出したもの)、えんどうたん白、4−ヒドロキシイソロイシン、クレアチン、ヘプタイド、ピコリン酸クローム、アキノワスレグサ酵素処理物、D−フランクション、クロレラ成長因子(CGF)、ビンカマイナー、植物性乳酸菌、クロム酸塩、フォスオアチジルセリン、リボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム、グンゼ紅麹、ザクロエラグ酸、カルニッチ(牛肉抽出物)、β−クリプトキサンチン、シトラスアランチューム、プロポリス、コメセラミド、トマトリコピン、コンドロシン又はその塩、アルファ−D−グルコピラノシルグリセロール、クレアチン、クロームピコリン酸塩、水溶性ベータ−1,3−グルカン誘導体、杜仲葉配糖体(ゲニポシド酸)、ラクトトリペプチド、かつお節オリゴペプチド、サーデンペプチド、カゼインドデカペプチド、クエン酸リンゴ酸カルシウム、ヘム鉄、グロビン蛋白分解物、プロポリス、ホスファチジルセリン、ピニトール、クロレラエキス、リオニレシノール、ギンコライド、テオブロミン、エキナシア、セント・ジョーンズ・ワート、ポリコサノール、ガーリック(ジアリルトリスルフィド(DATS)、ジアリルジスルフィド、アリルメチルトリスルフィド、アリルメチルジスルフィド)、スフィンゴ脂質、グルコシルセラミド(セレブロシド)、牛乳由来スフィンゴミエリン、ファイトアレキシン、イポメアニン、オリザレキシンA、1‘−アセトキシチャビコールアセテート、オーラプテン、ノビレチン、ゼルンボン、硫化アリル、αアミラーゼインヒビター、β−アルブチン、ナノ真珠末、水溶性パール粉、酵素分解パール液、セリシン、シルクパウダー、シルクエッセンス、田七人参超微粉末、羊プラセンタ、プェラリアミリフィカ流エキス、ヒアルロン酸、フィッシュコラーゲンから選ばれる1種以上を挙げることができる。
【0012】
本発明でいうエキスとしては、抽出法や精製法などに特に限定されず各種エキスや抽出物を挙げることができる。例えば、原料の花、果実、葉、茎及び/又は苞を水、食塩水、アルコール、エーテル、アセトンまたはヘキサン等の溶媒で抽出する方法などを用いて抽出されたエキスが例として挙げられる。抽出液はろ過後、通常濃縮、乾燥される。こうして得られたエキス・抽出物の具体例としては、ウガエキス、パパイヤエキス、モロミ酢エキス、グァバの葉エキス、琉球ヨモギエキス、青パパイヤエキス、メリッサエキス、プランタゴオバタ種皮、鮭白子抽出物、メリロートエキス、JBPプランタエキス、アロエ抽出液、カシジェーエキス、ジュニパーベリーエキス、松樹皮抽出物、キャベツ発酵エキス、米ぬか発酵エキス、プラセンタエキス、キンカンエキス、かりんエキス、ウコンエキス、春ウコンエキス、ビール抽出物、白いんげん豆エキス、デンサンシチエキス、唐辛子エキス、桑葉エキス、甜茶エキス、カリンエキス、キキョウエキス、タイムエキス、アンドラクティア、穀物発酵抽出物、ザクロエキス、γーアミノ酪酸含有米胚芽エキス、ウィンターチェリー抽出物、フコイダン(めかぶ抽出物)、マカエキス、ブラックコホシュエキス、ワイルドヤムエキス、カキ肉エキス、イチョウ葉エキス、ブルーベリーエキス、フクロノリ抽出物、デビルクローエキス、タンポポエキス、西洋タンポポエキス、サージエキス、スターフルーツ葉エキス、メシバコブエキス、しいたけエキス、こんぶエキス、アカショウマツエキス、コレウスフォルスコリ、コレウスエキス、さばエキス、ポークエキス、ハトムギエキス、バラの花びらエキス、バラ蕾エキス、バラの実抽出物、ゴツコラエキス、サンザシエキス、セイヨウサンザシエキス、シトラスアランティウムエキス、チコリ根抽出物、真珠粉末抽出エキス、ユレウス抽出物、プロポリス抽出物、フーカスエキス、ヒハツエキス、ブッチャーズブルームエキス、ケツメイシエキス、センナ茎エキス、エラスチン、パフィアエキス、クコシエキス、ハス胚芽エキス、キクカエキス、オリーブ葉エキス、ゲットウヨウエキス、トウチエキス、レッドベルペパーエキス、セロリエキス、にんじんエキス、ほうれんそうエキス、レッドビートエキス、パセリエキス、キャッツクロー抽出物、ローズマリー抽出物、ヒハツ抽出物、エキナセア抽出物、発酵大麦エキス、キララ抽出物、アセロラ種子抽出物、梅肉エキス、青トウガラシ発酵エキス、オレンジ発酵エキス、タマネギ発酵エキス、ニンジン発酵エキス、ブルーベリー発酵エキス、バナナ発酵エキス、イチゴ発酵エキス、パイナップル発酵エキス、プルーン発酵エキス、焙煎米糠抽出物、焙煎大豆抽出物、牛肉抽出物、カラシ抽出物、刺梨エキス、桑の葉エキス、苦瓜エキス、アガリクス茸エキス、アマチャヅルエキス、菊の花エキス、菊芋エキス、エキナセアエキス、エゾウコギエキス、カシアエキス、キンセンソウエキス、苦丁茶エキス、黒米エキス、コウセイエキス、酸棗仁エキス、山薬エキス、椎茸エキス、シトラスアランチューム、ショウガエキス、シリマリンエキス、スギナエキス、セイヨウオトギリエキス、セイヨウ白柳エキス、センシンレンエキス、センナ茎エキス、タイソウエキス、生竹汁エキス、竹の葉エキス、チベット人参エキス、チンピエキス、ツボクサエキス、田七人参エキス、トウゲヒバエキス、杜仲茶エキス、苦瓜エキス、ノコギリヤシエキス、バレリアンエキス、蕃ザクロ葉エキス、枇杷の葉エキス、フェヌグリークエキス、紅麹エキス、舞茸エキス、松葉エキス、メシマコブエキス、ラフマエキス、ジャスミン茶エキス、プーアル茶エキス、リンゴエキス、霊芝エキス、霊芝菌糸体エキス、レッドクローバーエキス、牡蠣エキス、ニトベギクエキス、コロハエキス、月見草エキス、シトラスオランチウム、ニガウリエキス、ユズ種子エキス、ハス麦芽エキス、ハトムギエキス、黒豆エキス、黒大豆抽出物、植物エキス、青汁、ピクノジュノール、ジョジョバ抽出物、五斂子抽出物、羊毛の抽出物、シロキクラゲ抽出物、カツオ抽出物、マンゴージンジャー抽出物、抽出イソフラビン、緑茶抽出物、甜茶抽出物、マテ、ブドウ種子抽出物、赤ブドウ葉抽出物、カシス(ブラックカラント)抽出物、リンゴ抽出物、クランベリー抽出物、赤ワインポリフェノール、ライチ種子・抽出物、オリーブ抽出物、ユッカ抽出物、キラヤ・ユッカ抽出物、アスコフィラムノドサム抽出物、ふき抽出物、シベリアニンジン抽出物、亜麻リグナン抽出物、クコ抽出物、テアフラビンを強化した緑茶抽出物、油溶性米糠抽出物、大豆発酵エキス、クチナシエキス、赤ブドウ葉エキス、ヤマモモ抽出物、トウヒの枝や葉から抽出されたエキス、ハマナスエキス、ガラナエキス、月見草エキス、ニトベギクエキス、トリス(豆鼓エキス)、プェラリアミリフィカ流エキス、イザヨイバラエキス、アカマツ抽出物、アスナロ抽出物、キハダ抽出物、シラカバ抽出物、セイヨウトチノキ抽出物、ハマメリス抽出物、ボダイジュ抽出物、コレウスフォルスコリ抽出物、ミルクアザミ抽出物から選ばれる1種以上を挙げることができる。なお、抽出物は乾燥されたものを粉末化して用いてもよいが、抽出方法によっては抽出液をそのまま、または濃縮された液成物として用いることもできる。
【0013】
本発明の苦味が低減された機能性素材及び/又はエキス含有組成物は、スクラロースを含有することを特徴とする。ここで、スクラロースの、機能性素材及び/又はエキスに対する添加量は、用いられる抽出物や機能性素材の種類によっても適宜調節することが可能であるが、一般的にスクラロースの添加量として、機能性素材及び/又はエキスに対し0.001〜3重量%、好ましくは0.01〜1重量%を例示することができる。スクラロースの添加量が0.001重量%より少ない場合は、用いる機能性素材やエキスの苦味低減効果が不十分となる場合があり、一方でスクラロースの添加量が3重量%より多くなるとスクラロース自体の甘味が最終組成物の呈味に影響を与える場合があるからである。
【0014】
更には、本発明の苦味が低減された機能性素材及び/又はエキス含有組成物は、ソーマチンを含有することが好ましい。ソーマチンは、例えばマランタセア科の熱帯植物であるソーマトコッカス・ダニエリの果実の仮種皮に含有される物質で、ショ糖の約3000倍の甘味を有するものとされているものである。なお、本発明で使用されるスクラロース及びソーマチンは機能性素材及び/又はエキス含有組成物にこれら高甘味度甘味料が含有された状態となっていれば、液状、粉末状、固体状、顆粒状いかなる形態のものを用いても良い。
【0015】
スクラロースに加え、ソーマチンを含有する場合は、スクラロースに対し、ソーマチンを0.005〜2重量%、より好ましくは0.01〜1重量%添加することが好ましい。ソーマチンをスクラロースと併用することにより、スクラロース及びソーマチンの甘味が最終組成物の呈味に影響を与えることなく、顕著に機能性素材及び/又はエキスの苦味や雑味といった不快味を低減させることができる。
【0016】
更には、本発明の効果を奏する範囲内において、各種糖類、高甘味度甘味料などの甘味料を併用することもできる。これら糖質の具体例としては、砂糖、果糖、ブドウ糖、乳糖、水飴、還元水飴、果糖ブドウ糖液糖、はちみつ、異性化糖、転化糖、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、テアンデオリゴ糖、大豆オリゴ糖等)、トレハロース、糖アルコール(マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、パラチニット、キシリトール、ラクチトール等)、砂糖結合水飴(カップリングシュガー)等の糖質や、上述のスクラロース、ソーマチン以外の高甘味度甘味料、具体的には、アスパルテーム、ネオテーム、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビア抽出物、ステビア末等が挙げられる。
【0017】
本発明でいう苦味が低減された機能性素材及び/又はエキス含有組成物は、スクラロースを含有する組成物であれば特に限定されず、各種食品や医薬品、医薬部外品を挙げることができる。例えば、食品としては、機能性素材及び/又はエキスを含有した果実飲料,茶系飲料,コーヒー飲料、清涼飲料水、粉末飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、炭酸飲料、栄養飲料等の飲料;キャンディー,ガム,錠菓,グミキャンディー,スナック等の菓子類、ゼリー,杏仁豆腐,ムース,ヨーグルト等のデザート食品、ケーキ,クッキー又は饅頭等の洋・和菓子類、アイスクリームやシャーベット等の冷菓などの嗜好食品一般;もちやインスタント米飯などの米飯類;うどん、ラーメン、パスタ等の麺類;即席スープ、ポタージュ等のスープ類及びその即席粉末食品;ケチャップ、マヨネーズ、ウスターソース、トンカツソース、ドレッシングやタルタルソースなどのソース及び調味料類等の食品などが挙げられる。
【0018】
また医薬品又は医薬部外品としては、食品と同様に機能性素材及び/又はエキスを含有する内服用の医薬品であれば特に制限されず、例えばビタミン剤、滋養強壮剤、栄養剤、サプリメント及び機能性素材及び/又はエキスを含む各種の医薬製剤を挙げることができる。なお、これらはいずれも形態を問うものではなく錠剤、発泡剤、液剤、シロップ剤等のいずれであってもよい。なお、これらの経口組成物中に含まれる各種機能性素材及び/又はエキスの量は制限されず、上記の食品又は医薬品などに通常配合される量であればよい。
【0019】
また、本発明は、機能性素材及び/又はエキス含有組成物にスクラロースを配合することを特徴とする、機能性素材及び/又はエキス含有組成物の苦味を低減する方法を提供するものである。ここでスクラロースの配合時期や順序等は、結果的に最終製品にスクラロースが含有されていればよく、特に限定されず、機能性素材及び/又はエキス含有組成物にスクラロースを配合することにより、機能性素材及び/又はエキス含有組成物の苦味や雑味といった不快味を低減することが可能となった。更には、本発明の苦味を低減する方法を用いることにより、加熱殺菌工程といった厳しい加熱条件下において製造させる組成物においても、その機能性素材及び/又はエキス含有組成物の苦味や雑味といった不快味を顕著に低減させることができ、かつその低減効果は長期に渡って優れた効果を有する。
【実施例】
【0020】
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。また、特に記載のない限り「部」とは、「重量部」を意味するものとする。文中「*」印のものは、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、文中「※」印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを示す。
【0021】
実験例1 20%アップル果汁入り飲料(α-リポ酸入り)
表1の処方に従ってα-リポ酸入り果汁飲料を調製した。詳細には、アップル果汁、果糖ぶどう糖液糖、スクラロース、ソーマチン製剤、クエン酸(無水)、α-リポ酸を混合し、水に攪拌しながら溶解した。溶解したものを93℃まで加温し、アップル香料を加え、水にて全量を合わせ容器に充填し、α-リポ酸入り果汁飲料を調製した(実施例1、実施例2)。一方、スクラロース、ソーマチン製剤の代わりに実施例1、2と甘味度が同程度となるように果糖ぶどう糖液糖の添加量を10重量%とする以外は実施例1、2と同様にして比較例1のα−リポ酸入り果汁飲料を調製した。
【0022】
【表1】

【0023】
注1)商品名「ネオサンマルク※AG*」、0.15%ソーマチン含有製剤を使用した。
【0024】
スクラロース及びソーマチンを添加して調製したα−リポ酸入り果汁飲料は、機能性素材であるα−リポ酸を含有しながらも、α−リポ酸特有の苦味や雑味が顕著に抑制され、飲用しやすい機能性を持った果汁飲料となった(実施例1、2)。一方、スクラロースを含有せずにα−リポ酸入り果汁飲料を調製した場合は、α−リポ酸特有の苦味や雑味がアップル風味を損ね、飲用しにくい果汁飲料であった(比較例1)。
【0025】
実施例3 20%オレンジ果汁入り飲料(α−リポ酸入り)
表2の処方に従ってα−リポ酸入り果汁飲料を調製した。詳細には、オレンジ冷凍果汁、果糖ぶどう糖液糖、スクラロース、クエン酸(無水)、α−リポ酸、L−アスコルビン酸を混合し、水に加熱攪拌しながら溶解した。溶解したものを93℃まで加温し、オレンジ香料を加え、水にて全量を合わせ容器に充填し、α−リポ酸入り果汁飲料を調製した(実施例3、比較例2)。
【0026】
【表2】

【0027】
スクラロースを添加して調製したα−リポ酸入り果汁飲料は、機能性素材であるα−リポ酸を含有しながらも、α−リポ酸特有の苦味や雑味が顕著に抑制され、飲用しやすい機能性を持った果汁飲料となった(実施例3)。一方、スクラロースを含有せずにα−リポ酸入り果汁飲料を調製した場合は、α−リポ酸特有の苦味や雑味がオレンジ風味を損ね、飲用しにくい果汁飲料であった(比較例2)。
【0028】
実施例4 エキス含有組成物
エキスとして、プロポリス抽出物を水に溶解して0.016%溶液とし、その中にスクラロースを30ppm添加し、エキス含有組成物を調製した(実施例4)。調製されたエキス含有組成物は、顕著にプロポリス抽出物の苦味や雑味が抑制され摂取しやすいエキス含有組成物となった。
【産業上の利用可能性】
【0029】
機能性素材及び/又はエキスの含量の高い組成物であっても、機能性素材及び/又はエキス特有の苦味や雑味といった不快味を顕著に低減でき、機能性に優れながらも摂取しやすい機能性素材及び/又はエキス含有組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクラロースを含有することを特徴とする苦味が低減された機能性素材及び/又はエキス含有組成物。
【請求項2】
機能性素材及び/又はエキス含有組成物に対し、スクラロースを0.001〜3重量%添加することを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】
更にソーマチンを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の機能性素材及び/又はエキス含有組成物。
【請求項4】
ソーマチンをスクラロースに対し0.005〜2重量%併用することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の機能性素材及び/又はエキス含有組成物。
【請求項5】
機能性素材及び/又はエキス含有組成物にスクラロースを配合することを特徴とする、機能性素材及び/又はエキス含有組成物の苦味を低減する方法。

【公開番号】特開2008−99682(P2008−99682A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−245996(P2007−245996)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000175283)三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 (429)
【Fターム(参考)】