説明

機能性繊維、その製造方法及び該繊維で作られた織物

【課題】消臭、抗菌、カビ防止、マイナスイオン発生の機能を持ち、空気に対する織物のフィルター効果を向上することができる機能性繊維、その作り方及び該繊維で作られた織物を提供する。
【解決手段】複数の第1ポリオレフィ類の欠片、所定量の熱可塑性エラストマー(TPE)及び複数の機能性微粒を使用し、二軸スクリュー混練造粒工程によって前記複数の第1ポリオレフィ類の欠片、前記所定量の熱可塑性エラストマー(TPE)及び前記複数の機能性微粒をロールプレス、混練して複数の母粒を作った後に、前記複数の母粒と複数の第2ポリオレフィ類の欠片を使用し、前記第2ポリオレフィ類と前記第1ポリオレフィ類とは同じ材料であり、前記複数の母粒と前記複数の第2ポリオレフィ類の欠片を合成材料となるように溶融、混合することによって前記複数の機能性微粒の最終的な含有量を前記の合成材料の1〜10wt%であることにし、前記合成材料をスピニング、冷卻、熱延伸、加熱定型することによって繊維を作り、その繊維で織物を作る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機能性繊維、その製造方法及び該繊維で作られた織物に関し、特に機能性微粒、熱可塑性エラストマー(TPE)及びポリオレフィン類を使用し、二回混練を経て、溶融、スピニングすることにて繊維を作り、且つその繊維で織物を作ることができることにより、消臭、抗菌、カビ防止、マイナスイオン又は遠赤外線の発生の機能を有すると共に、空気に対する織物のフィルター効果も向上することができる機能性繊維、その作り方及び該繊維で作られた織物を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
環境汚染のますますの悪化につれ、空気中におけるマイナスイオンの量が減っていく。また、普通の人に対して毎日室内の環境で生活する時間がおよそ80%を占めるため、限られた空間の中に、良好な空気の品質を確保することは必要であり、故に室内環境の中に、人体と接近する例えば、空気フィルター、網戸などの網材が人体の健康を守る重要な要素となる。空気フィルターを使うことによって空気の品質を改善することは、現在知られる最も経済的な方法の一つである。機能性微粒を含む例えば、マイナスイオンの発生できる紡織製品は人間の健康に役に立つため、紡織産業と国際間で注目されている。但し、現在従来の紡織技術はマイナスイオンを有効的に発生できる織物が未だに開発されていないため、ほとんどはマイナスイオン発生器によってマイナスイオンを発生させることを採用する。しかし、マイナスイオン発生器はオゾン(O3)を発生することによって、人体に害するため、0.12ppm以下にしなければならない。更に、発生されたマイナスイオンの範囲は1メータル以内だけであり、且つマイナスイオンの時効性も限られている。
【0003】
従来の製品には、より良い機能性を有する繊維及び織物の製造技術がないことに鑑み、本発明者は積極的に研究開発に力を入れ、長年にわたった研究開発と共に、改良と進歩をし続けている。数年前に研究開発の成果が出たため、2004年に第1回の特許出願を提出した。その技術(例えば台湾特許出願第93129156号)は既に特許査定されている。なお、何回もテスト又は改良を重ねた上、新たに技術が開発されたため、米国特許出願第11/416,155号を出願した。最近また新たな技術が研究開発されたため、本出願を提出する。
【0004】
抗菌、消臭の機能を有する織物又は繊維の技術は従来にも有し、例えば、米国特許第4,784,909号は、抗菌、消臭の機能を有する繊維の技術に関するものであり、それは主に繊維の中に銅が添加されるものである。米国特許第6,540,807号は、抗菌織物の技術に関するものであり、それは主に織物にてフィルター材を作るものであり、織物は熱塑性プラスチック樹脂と抗菌剤が含まれている。米国特許第5,690,922号は、消臭繊維の技術に関するものであり、その繊維に四価の金属リン酸塩と二価の金属水酸化物が含まれている。しかし、それらの先行技術は、何れも本発明の技術特徴と異なる。本発明は、本発明者が長年にわたった研究と製造経験の研究開発の成果であり、且つ実用の効果を確かに有することが実験により証明され、特許査定すべきの要件を満たしており、研究開発の成果を保護するため、本出願を提出する。
【0005】
本発明は、既存の環境汚染を改善するために、室内の空気品質IAQ(Inder Air Quality)を改善し、健康と快適な環境を維持することを目的にし、既存の繊維構成を研究開発、改善することにより、持続性の良い多功能の自浄フィルターを開発した。この機能性繊維は、環境中における風、光、水、熱等の自然物理の基礎影響を有效的に利用することができ、空気の流れ及び冷熱の差、繊維の振動や摩擦、光触媒作用等の原理を利用することで繊維中における多功能の機能性微粒が自ら持つ圧電効果、熱電効果、光電効果、促進効果、触媒効果、スロー釈放(slow−release)効果を励起することにより、有效的に殺菌、抗菌、カビ防止、ダニ防止、マイナスイオン、遠赤外線、防火、静電気防止、電磁波防止、又は臭い、毛髪、TVOCs、PMx、CO、CO2、ホルムアルデヒド(HCHO)、オゾン(O3)、アンモニア(NH3)、アセトアルデヒド(CH3CHO)、酢酸(CH3COOH)等の汚染物を排除し、健康的で且つ自動的に空気浄化の効果を付与することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第1目的は、より良い機能性繊維の製造方法を提供することである。その製造方法は、多功能の機能性微粒、熱可塑性エラストマー(TPE)及びポリオレフィン類(polyolefine)を使用し、適切な割合で混練、スピニングすることによって繊維を作り、且つ熱可塑性エラストマーの弾性作用を利用することによってその機能性微粒の最良な効果を発揮することを特徴とする。本発明の製造方法により作られた繊維には、5〜30%の多功能の機能性微粒(例えば、電気石、ナノ級の金属粒子、光触媒、酵素、マイクロカプセルなどの微粒)が含有され、この繊維で網体を織製することにより、機能性繊維を作る。室内の空気品質「IAQ」に対して、空気の流れ及び冷熱の差、繊維の振動や摩擦等の原理を利用することにて多功能の機能性微粒が自ら持つ圧電効果、熱電効果、光電効果、促進効果、触媒効果、スロー釈放(slow−release)効果、気味中和を励起することにより、有效的に殺菌、抗菌、カビ防止、ダニ防止、マイナスイオン、遠赤外線、防火、静電気防止、電磁波防止又は臭い、毛髪、TVOCs、PMx等の汚染物を排除し、健康的で且つ自動的に空気浄化の効果を付与することができる。
【0007】
本発明の第2目的は、経済的な効果が高い、且つマイナスイオンを発生することができる繊維の製造方法を提供することである。その製造方法について、使用される機能性微粒は、サブミクロン級の電気石であり、熱可塑性エラストマーの弾性作用を利用することで、空気が繊維で作られた織物に流れると共に、より良い振動を発生させることにより、マイナスイオンを効率的に発生させることができることを特徴とする。
【0008】
本発明の第3目的は、抗菌効果の持つ繊維の製造方法を提供することである。その方法について、使用される機能性微粒は、ナノ級の銀でよく、酵素であっても良いことを特徴とする。
【0009】
本発明の第4目的は、長時間に植物の芳香を発生することができる繊維の製造方法を提供することである。その方法について、使用される機能性微粒は、マイクロカプセルであり、且つマイクロカプセル内に植物エキス精油が包まれているため、熱可塑性エラストマーで精油の釈放を適切に阻止することにより、長時間に繊維の芳香効果を付与することができることを特徴とする。
【0010】
上記に述べた健康と養生の需要のように、空気の流れ及び冷熱の差、繊維の振動や摩擦等の原理又は光源の影響を利用することにより、多功能の機能性微粒に様々の効果を発生させ、持続性の良い水洗可能な機能性の健康と養生の自浄フィルターを形成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、主に機能性を有する繊維に対して研究開発とテストを行うものである。その基本的な技術特徴について、本発明の繊維は、ポリオレフィン類(polyolefine)、熱可塑性エラストマー(TPE)及び多功能の機能性微粒が含まれる基材を機能性繊維に混練、織製し、空気の流れ及び冷熱の差、繊維の振動や摩擦、太陽光の照射等の原理を利用することで、多功能の機能性微粒が自ら持つ圧電効果、熱電効果、光促進効果、触媒効果、スロー釈放効果を強化的に励起することにより、有效的に殺菌、抗菌、カビ防止、ダニ防止、マイナスイオン、遠赤外線、防火、静電気防止、電磁波防止又は臭い、毛髪、TVOCs、PMx等の汚染物を排除し、健康的で且つ自動的に空気浄化の効果を付与することができることである。
【0012】
審査官に本発明の実行性が分かるように、下記の通り具体的な実施例を詳しく説明する。
【0013】
A.本発明に係る基本の技術特徴
本発明は、主に機能性を有する繊維に対して研究開発とテストを行うものである。その基本的な技術特徴について、繊維に特殊な機能性を付与させるように、本発明の繊維は、機能性微粒、熱可塑性エラストマー(TPE)及びポリオレフィン類が含まれる基材から混練、織製され、織物などに織製することができる。そして、該織物は、エアフィルター、靴マット、帽子、網戸、カーテン又はテレビ用光学フィルターであっても良い。
【0014】
B.本発明に係る繊維に関して
本発明に係る繊維は、主に機能性微粒(該機能性微粒はサブマイクロ級の電気石粒子、植物エキス精油を包むマイクロカプセル、ナノ級の銀粒子又は酵素であっても良い)、熱可塑性エラストマー(TPE)及びポリオレフィン類(polyolefine)(例えば、ポリプロピレンやポリエチレン)が含まれる基材から混練、織製される繊維であり、熱可塑性エラストマーを添加することによって、本発明に係る繊維により良い弾性及び摩擦特性を付与させ、さらに添加された機能性微粒により良い効果を果たせる。
【0015】
本発明に係る第1具体的な実施例において、機能性微粒は、粒径が1ミクロ乃至100ナノの範囲内にある電気石を使用し、作られた繊維の線径は、0.01mm〜3mmである。そして、電気石粒子の含有量は、繊維全体の1〜10wt%の範囲内を占め、電気石の遠赤外線の輻射率は、0.948μm(3.48×102w/m2)であり、粒径の分布は、D50(平均粒径493nm)である。電気石粒子が繊維全体の3wt%を占めた場合は、経済的な効果が一番良いことが実験から分かった。これによりこの繊維で作られた網体にマイナス、遠赤外線、自浄、消臭、静電気防止、電磁波防止等の効果を付与させる。また、ナノ級の竹炭、酸化亜鉛、酸化銅、酸化鉄、酸化シリコン、酸化タングスタン、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ニッケル等から選ばれた一種か多種の微粒自浄要素を加えても良い。
【0016】
本発明に係る第2具体的な実施例において、機能性微粒は、ナノ級の銀粒子を使用することにより、抗菌、カビ防止の効果を付与させ、添加されたナノ級の銀は、繊維全体の1〜10wt%を占める。これによりこの繊維で作られた網体に殺菌、抗菌、カビ防止、ダニ防止の効果を付与させる。また、キチン、酵素又はナノ級の貴金属における銅、亜鉛、金、白金、パラジウム、ニオビウムから選ばれた一種か多種の微粒の殺菌、抗菌、カビ防止の要素を加えても良い。
【0017】
本発明に係る機能性人造繊維の製造方法は、主に基材とする複数の第1ポリオレフィ類(polyolefine)の欠片(該第1ポリオレフィ類は、全体の70wt%〜95wt%を占め、分子量が3.15×105g/moleであるポリプロピレンでよく、或いは分子量が1.5〜2.5×105g/moleであるポリエチレンの欠片(本発明に係る下記各項のテストには、80wt%を占めるポリプロピレンを具体的な実施例として説明する)であっても良い)と、全体の5wt%〜30wt%を占める機能性微粒(ここでサブマクロ級の電気石粒子を例として説明する)と、及び1〜40wt%の熱可塑性エラストマー(TPEかEPDM)とを用意する。二軸スクリュー混練造粒工程によって複数の母粒を作った後に、該複数の母粒と、第1ポリオレフィ類と同様な第2ポリオレフィ類とを使用し、該複数の母粒と該第2ポリオレフィ類を混練することによって合成材料となり、電気石の最終含有量は、該合成材料の1〜10wt%であることにし、更に前記合成材料をスピニング、冷卻、熱延伸、加熱定型することによって繊維を作る。スピニングの温度は200℃〜300℃の範囲内であり(本発明に係る具体的な実施例において、ポリプロピレンのスピニング温度は、200℃〜250℃、ポリエチレンのスピニング温度は、250℃〜300℃と増温)、延伸率は、3〜8倍(本発明の具体的な実施例において、延伸率は6倍である)であり、熱延伸の温度は、130〜160℃(本発明の具体的な実施例においては100℃の熱湯で延伸する)であり、加熱定型の温度は70℃〜100℃である。
【0018】
上記のような溶融、スピニングは、該合成材料を加熱溶融し、溶融された基材が大気に入るように紡系孔から押し出され、大気中に冷却されたと共に、所定のスピードで巻きまわる。この段階で合成材料の溶体が微細化されると同時に凝固され、繊維となった後に、熱延伸を行うことにより、繊維の機械的な強度を向上させる。溶融スピニングの工程は、重合工程により得られた紡系可能な重合体を溶点以上の温度で紡系板の孔から押し出し、糸状の固体に冷却させると共に、巻き回しを行う。
【0019】
C.本発明に係る機能性微粒の実施例
本発明は、繊維にマイナスイオンを発生させるために、機能性微粒としてサブマクロ級の電気石粒子を使用する。本発明は、抗菌及びカビ防止の効果を付与させるために、機能性微粒としてナノ級の銀粒子を使用し、後述の測定結果で示すように、本発明は、より良い抗菌及びカビ防止の効果を有する。また、本発明は、他の機能性効果を付与させるために、混練した繊維中に添加される機能性微粒は、マイクロカプセル(本発明に係る実験例においては、1wt%のマイクロカプセルを含有する)であり、且つ該マイクロカプセル内に机能性材料が包まれ、該マイクロカプセルの材料は、キチンで良く、該機能性材料は、植物エキス精油であっても良いということにより、本発明に芳香を発生する効果を付与させる。後述の測定結果で示すように、本発明は、芳香の持続性を向上させる効果を有する。なお、本発明に使用される微粒は、酵素であっても良いため、人体に役に立つことがある。
【0020】
D.本発明に係る実験例
本発明に係る実験例において、分子量が3.15×105 g/moleのポリプロピレンを基材とし、先ず、20wt%のポリプロピレンと下記の材料を使用し:(1)防火材料である15wt%の機能性微粒と、(2)サブマイクロ級の電気石である10wt%の機能性微粒と、(3)全体の5wt%を占める抗菌、カビ防止の材料である機能性微粒と、(4)消臭材料(気体を除く)である10wt%の機能性微粒と、(5)静電気防止、電磁波防止の材料である5wt%の機能性微粒と、(6)35wt%の熱可塑性エラストマー(TPE)。上記の材料を二軸スクリュー混練造粒工程によって複数の母粒を作った後に、40wt%の該複数の母粒と他に60wt%のポリプロピレンを使用し、該複数の母粒と他に使用された該ポリプロピレンを混練することによって合成材料となり、該機能性微粒の最終含有量を全体の32wt%であることにする。そして、前記合成材料をスピニング、冷卻、熱延伸、加熱定型することによって繊維を作る。スピニングの温度は、240℃の範囲内であり、延伸率は、5〜6倍であり、熱延伸の温度は、100℃であり、加熱定型の温度は、85℃である。
【0021】
具体の実験を行うために、本発明は更に上記の繊維を織物となるように織製する。即ち、経方向に伸びる複数の繊維と緯方向に伸びる複数の繊維で織物を織製し、そのサンプルのサイズは、101.6mm×203.2mm(4in×8in)であり、経方向に伸びる繊維の分布の数量は、インチ毎に42条であり、緯方向に伸びる繊維の分布の数量は、インチ毎に34条である。
【0022】
a.本発明に係る機械性テスト
本発明に係る上記サンプルの各機械性テストの結果は下記の通りである。
(1)耐引張強度
【0023】
【表1】

測定結果の表1から分かるように、電気石の含有量の向上につれ、その耐引張強度が降下していくが、要求された強度をまだ保有する。故に、本発明に添加される電気石粒子は、全体の1〜5wt%を占めることが望ましい。
【0024】
(2)耐張強度
【0025】
【表2】

表2から分かるように、本発明に係わる織物の耐張強度も電気石の含有量の向上につれ減少していく。電気石の含有量は1%である場合、経方向の耐張強度は約5%を降下し、電気石の含有量は5%である場合、経方向の耐張強度は約8.6%を降下するが、まだ相当な耐張強度を保有する。故に、添加される電気石について、1〜5%の範囲内である場合は耐張強度に影響が生じない。
【0026】
(3)耐水洗テスト(テスト時の条件は、湿度が58%であり、温度が29℃である):
【0027】
【表3】

表3のように、テスト前後にも優れた耐水洗効果を維持し、マイナスイオンの発生量は、水洗によって減少することがない。
【0028】
b.本発明に係るマイナスイオンの釈放分析
(1)マイナスイオンのスタティックの釈放性能分析
スタティックモードのマイナスイオンの釈放性能分析について、環境条件:湿度58%であり、温度28℃である。
【0029】
【表4−1】

表4−1の分析から分かるように、電気石の添加量と層数は両方とも重要な影響要素であるが、層数は主な影響要素である。1層のフィルターの場合、添加量が異なるサブマイクロ級電気石のポリプロピレンのフィルター材から釈放されるマイナスイオンは、265〜489 Ion/ccである。添加量1%のサブマイクロ級電気石のポリプロピレンのフィルター材から釈放されるマイナスイオンは、265〜712 Ion/ccである。同じ体積の場合、両者の差は223 Ion/ccであり、マイナスイオンの釈放量について、添加量の増加に比べて層数の増加のほうが有効的である。
【0030】
(2)マイナスイオンのダイナミックの釈放性能分析
ダイナミックモードのマイナスイオンの釈放性能分析について、環境条件:湿度64%であり、温度29℃である。
【0031】
【表4−2】

上記の表4−2から分かるように、ダイナミックのマイナスイオンの釈放量について、電気石の添加量と層数は両方とも重要な影響要素であるが、層数は主な影響要素である。
【0032】
b. 本発明に係る消臭及び抗菌効果テスト
本発明の繊維で編んだ織物に対して、消臭及び抗菌効果の測定結果は下記の通りである。本発明に係る夫々の織物を使用し、JEM1467測定法にてアンモニア(NH3)及びアセトアルデヒド(CH3CHO)の濃度を測定し、さらに酢酸(CH3COOH)の濃度の除去効果を測定し、その結果を表5に示す。表5から本発明に係る織物はより良い消臭効果を有することが分かる。
【0033】
【表5】

【0034】
c. 実験例三
本発明の繊維で編んだ織物に対して、抗菌効果の測定結果は下記の通りである。
【0035】
【表6】

【0036】
【表7】

【0037】
【表8】

表6から分かるように、ASTM E 2149−01試験法により、並びに表7から分かるように、JISZ2911及びASTM G21−96試験法により、本発明にナノ級の銀粒子を添加する場合、繊維がより良い抗菌及びカビ防止の効果を有することが証明される。表8から分かるように、AATCC 147試験法によると、本発明に人工酵素を添加する場合も、より良い抗菌功能を有する。
【0038】
d. 本発明に係わる芳香耐久効果テスト
本発明に係わる繊維で編んだ織物に対する芳香耐久効果テストである。表9の結果に示すように、本発明は3ヶ月が経った後でも、有効的な芳香効果を有する。それは本発明に係る製造方法又は作られた繊維は、精油が添加されたマイクロカプセルの芳香の耐久性を確保できることを証明できる。
表9:精油が添加されたマイクロカプセルの芳香の耐久性テスト
【0039】
【表9】

【0040】
更に、GC−MSにて本発明に係わる網体の繊維内に含有される天然の精油成分を測定し、下表の結果を得た。
表10によると、本発明に係わる網体は、有効的に天然精油成分のクリーン能力を有することが分かる。
【0041】
【表10】

【0042】
e. 本発明に係わる静電気防止効果のテスト
AATCC 756−1995(テスト条件は、温度が20℃であり、湿度が40%RHである)によると、下表から本発明に係る繊維で編んだ網体は優れた静電気防止の効果を有することが分かる。
【0043】
【表11】

【0044】
f. 本発明に係わる防火効果のテスト
UL 94−97方法によると、下表から靴マットは長時間に防火能力VTM−0を有することが分かる。
【0045】
【表12】

【0046】
g.主な実験例に関する測定結果の一覧表
本発明の主な実験例に関する測定結果の一覧表及び測定単位の一覧表は表13の通りである。
【0047】
【表13】

【0048】
E.本発明の特徴は下記の通りである。
1. 本発明に係る繊維には、機能性微粒(例えばサブマイクロ級の電気石粒子)が添加されており、その繊維で作られたフィルターの機械強度はわずかに低減しているが、たいした影響はない。
2. 本発明に係る繊維には、機能性微粒(例えばサブマイクロ級の電気石粒子)が添加されており、耐水洗テストテストを経ってもまだ所定の功能を保有している。
3. 本発明には、熱可塑性エラストマーとサブマイクロ級の電気石粒子を添加している。フィルター効果について、電気石の負電荷効果により、「静電吸着原理」の下でフィルター効果を有効的に向上させることができる。一方、熱可塑性エラストマーにより、それで作られたフィルター材は、より良い弾性や摩擦性を有するだけでなく、マイナスイオンの特殊な効果-熱電性、圧電性により、水がマイナスイオン(H32-)に分解することが加速され、弾性振動の頻度が高く、摩擦力が大きいため、ダイナミックモードで大量のマイナスイオンを釈放することができ、故に、人体の健康に必要とされた量(1000〜2000 ion/cc)を確実に符合することができる。本発明について、実験から4m*4m*4mの容積中にマイナスイオンの釈放量は、約1856〜1983(Ion/cc)であり、良好な釈放量を有することが分かった。
4. 本発明は、精油が含まれるマイクロカプセルを添加する時に、同時に熱可塑性エラストマーを添加しているため、エラストマーの作用により精油が早く揮発することを防止でき、精油がほぼ定量の方式で釈放され、浪費を避けるとともに耐久性を向上させることができる。
5. 本発明に係る繊維中にナノ級の銀粒子を添加する場合、本発明に係るフィルターに所定の抗菌効果を付与させることができる。
6. 本発明に係る繊維中に酵素を添加する場合、実験により本発明は良好な抑菌とカビ防止の効果を有することが証明される。
7. 本発明に係る繊維で作られるフィルター材を使用する場合、表9に示すように、実験により室内の空気品質を有効的に向上させることができることが証明される。
【0049】
上述したものは、本発明に係る実行可能な実施例であるが、本発明の特許請求の範囲を限定するためのものではない。特許請求の範囲に記載される内容、特徴及びその精神に基いたその他の変形例は 本発明の特許請求の範囲に含まれるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記の材料を用意することと、
(al)基材とする70wt%〜95wt%の第1ポリオレフィ類(polyolefine)の欠片と、
(a2)5wt%〜30wt%の少なくとも一種の複数の機能性微粒と、
(a3)1〜40wt%の熱可塑性エラストマー(TPE)、
(b)前記第1ポリオレフィ類、前記複数の機能性微粒及び前記熱可塑性エラストマーを混練することにより、複数の母粒を製作することと、
(c)前記複数の母粒と第2ポリオレフィ類の欠片を使用し、前記第2ポリオレフィ類と前記第1ポリオレフィ類とは同じ材料であり、前記複数の母粒と前記第2ポリオレフィ類の欠片を溶融、混合することによって合成材料となり、前記複数の機能性微粒の含有量を前記の合成材料の1〜10wt%であることにすることと、
(d)前記合成材料をスピニング、冷卻、熱延伸、加熱定型することによって繊維を作ること、を含むことを特徴とする機能性繊維の製造方法。
【請求項2】
前記第1ポリオレフィ類と前記第2ポリオレフィ類は、いずれもポリプロピレンであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ポリプロピレンの分子量は、3.15×105 g/moleであることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第1ポリオレフィ類と前記第2ポリオレフィ類は、いずれもポリエチレンであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ポリエチレンの分子量は、1.5 〜 2.5×105 g/moleであることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記機能性微粒は、マイクロカプセルであり、前記マイクロカプセル内に機能性材料が包まれていることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記機能性材料は、植物エキス精油であることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記マイクロカプセルの材料は、キチン、ポリエレタンエラストマー、熱可塑性エラストマーから選ばれた一種か多種であることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
前記機能性微粒の材料は、キチン、酵素、ナノ級の貴金属における銅、亜鉛、金、白金、パラジウム、ニオビウム、銀から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記機能性微粒の材料は、サブマイクロ級の電気石、ナノ級の竹炭、酸化亜鉛、酸化銅、酸化鉄、酸化シリコン、酸化タングスタン、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ニッケルから選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
前記サブミクロ級の電気石の粒径は、1ミクロ乃至100ナノの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
前記スピニングの温度は、250℃〜300℃(増温)であり、前記熱延伸の温度は100℃であり、前記加熱定型の温度は90℃であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法で作られ、繊維の線径は0.01mm〜3mmであり、前記繊維の内部に複数の機能性微粒が含まれることを特徴とする機能性繊維。
【請求項14】
前記機能性微粒には、マイクロカプセルが含有され、前記マイクロカプセルには、機能性材料が包まれていることを特徴とする請求項13に記載の繊維。
【請求項15】
前記機能性材料は、植物エキス精油であることを特徴とする請求項14に記載の繊維。
【請求項16】
前記マイクロカプセルの材料は、キチン、ポリエレタンエラストマー、熱可塑性エラストマーから選ばれた一種か多種であることを特徴とする請求項14に記載の繊維。
【請求項17】
前記機能性微粒の材料は、キチン、酵素、ナノ級の貴金属における銅、亜鉛、金、白金、パラジウム、ニオビウム、銀から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項13に記載の繊維。
【請求項18】
前記機能性微粒の材料は、サブマイクロ級の電気石、ナノ級の竹炭、酸化亜鉛、酸化銅、酸化鉄、酸化シリコン、酸化タングスタン、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ニッケルから選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項13に記載の繊維。
【請求項19】
前記サブミクロ級の電気石の粒径は、1ミクロ乃至100ナノの範囲内であることを特徴とする請求項18に記載の織物。
【請求項20】
請求項13に記載の繊維から作られ、経方向に伸びる複数の前記繊維と緯方向に伸びる複数の前記繊維が含まれることを特徴とする織物。
【請求項21】
前記織物は、エアフィルター、靴マット、帽子、網戸、カーテン及びテレビ用光学フィルターから選ばれた一つであることを特徴とする請求項20に記載の織物。

【公表番号】特表2011−500972(P2011−500972A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528259(P2010−528259)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【国際出願番号】PCT/CN2007/003152
【国際公開番号】WO2009/059457
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(509254100)ノベコ トレーディング 2008 エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】