説明

欠点評価システム、及び欠点の評価方法

【課題】精度の高い評価を行うことが可能な欠点評価システム、及び欠点の評価方法を提供する。
【解決手段】欠陥評価システムは、液晶装置と、液晶装置の画像を投射する投射型表示装置と、投射された投射画像301における任意の位置に、擬似的な欠点である擬似欠点501を表示することが可能な擬似欠点ウインド500と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置における欠点評価システム、及び欠点の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置は、例えば、液晶プロジェクターのライトバルブとして用いられるTFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス駆動方式の液晶装置がある。この液晶装置は、例えば、配向膜が設けられた一対の基板間に、シール材を介して液晶が注入封止された構造となっている。
【0003】
このような液晶装置に発生する欠点を評価する方法として、例えば、特許文献1に記載のように、液晶装置のディスプレイをカメラによりで撮像し、撮像した画像とテンプレートとを比較して、欠点の大きさが不良か否かを判定している技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−183321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、ディスプレイをカメラで撮像するので、例えば、欠点の階調などを評価する場合、カメラの解像度や光感度によって実際の欠点と異なってしまう恐れがある。よって、正確な欠点評価を行うことが難しいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係る欠点評価システムは、電気光学装置の画像を投射する投射部と、投射された投射画像における任意の位置に、擬似的な欠点である擬似欠点を表示する擬似欠点表示部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、画像及び擬似欠点を投射部によって投射し、投射画像において擬似欠点を任意の位置(欠点の近く)に移動して欠点と擬似欠点とを比較するので、例えば、カメラを用いて評価する場合と比較して、解像度や光感度などに影響を受けることなく、欠点の評価を行うことができる。また、擬似欠点を用いて比較するので、評価する人によってばらつきが発生したり、離れた場所で評価を行う場合にばらつき発生したりすることを抑えることができる。加えて、投射部を介して投射画像を見ながら評価を行うので、例えば、プロジェクターの光源の温度が電気光学装置に加わった状態(実使用条件)で発生する欠点の評価を行うことができる。
【0009】
[適用例2]上記適用例に係る欠点評価システムにおいて、前記擬似欠点表示部は、前記投射画像における中央領域と、前記中央領域より外側の領域である周辺領域と、の領域に応じて前記擬似欠点の表示を変えることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、中央領域と周辺領域とによって擬似欠点の表示を変えるので、例えば、中央領域と周辺領域で欠点の限度が異なるような場合など、要求に合った評価を行うことができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例に係る欠点評価システムにおいて、前記擬似欠点表示部は、前記投射画像の階調が変化したとき所定の階調になるように調整されることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、擬似欠点表示部が所定の階調になるように調整されるので、投射画像の階調を変化させた場合であっても、基準となる擬似欠点表示部の階調が変わることなく安定した評価を行うことができる。
【0013】
[適用例4]上記適用例に係る欠点評価システムにおいて、前記擬似欠点表示部は、少なくとも三種類の色光において各単色に応じた擬似欠点を別々に表示することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、例えば、RGBそれぞれの単色に応じた擬似欠点を表示させるので、Rの擬似欠点、Gの擬似欠点、Bの擬似欠点など、色ごとに応じた欠点の評価を行うことができる。
【0015】
[適用例5]上記適用例に係る欠点評価システムにおいて、前記擬似欠点表示部は、欠点間の間隔の限度を示す少なくとも2点の擬似欠点を表示することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、ある領域に欠点が集まった場合の間隔の限度(近接限度)を評価することができる。
【0017】
[適用例6]本適用例に係る欠点の評価方法は、電気光学装置の画像を投射する投射工程と、投射された投射画像における任意の位置に、擬似的な欠点である擬似欠点を表示する表示工程と、前記投射画像の欠点と前記擬似欠点とを比較して前記欠点が良品であるか否かを評価する評価工程と、を有することを特徴とする。
【0018】
この方法によれば、画像及び擬似欠点を投射し、投射画像において擬似欠点を任意の位置(欠点の近く)に移動して欠点と擬似欠点とを比較するので、例えば、カメラを用いて評価する場合と比較して、解像度や光感度などに影響を受けることなく、欠点の評価を行うことができる。また、擬似欠点を用いて比較するので、評価する人によってばらつきが発生したり、離れた場所で評価を行う場合にばらつき発生したりすることを抑えることができる。加えて、投射画像を見ながら評価を行うので、例えば、プロジェクターの光源の温度が電気光学装置に加わった状態(実使用条件)で発生する欠点の評価を行うことができる。
【0019】
[適用例7]上記適用例に係る欠点の評価方法において、前記表示工程は、前記投射画像における中央領域と、前記中央領域より外側の領域である周辺領域と、の領域に応じて前記擬似欠点の表示を変えることが好ましい。
【0020】
この方法によれば、中央領域と周辺領域とによって擬似欠点の表示を変えるので、例えば、中央領域と周辺領域で欠点の限度が異なるような場合など、要求に合った評価を行うことができる。
【0021】
[適用例8]上記適用例に係る欠点の評価方法において、前記表示工程は、前記投射画像の階調が変化したとき、前記擬似欠点の階調を所定の階調に調整することが好ましい。
【0022】
この方法によれば、擬似欠点が所定の階調になるように調整するので、投射画像の階調を変化させた場合であっても、基準となる擬似欠点の階調が変わることなく安定した評価を行うことができる。
【0023】
[適用例9]上記適用例に係る欠点の評価方法において、前記表示工程は、少なくとも三種類の色光において各単色に応じた擬似欠点を表示することが好ましい。
【0024】
この方法によれば、例えば、RGBそれぞれの単色に応じた擬似欠点を表示させるので、Rの擬似欠点、Gの擬似欠点、Bの擬似欠点など、色ごとに応じた欠点の評価を行うことができる。
【0025】
[適用例10]上記適用例に係る欠点の評価方法において、前記表示工程は、欠点間の間隔の限度を示す少なくとも2つの擬似欠点を表示することが好ましい。
【0026】
この方法によれば、ある領域に欠点が集まった場合の間隔の限度(近接限度)を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)は液晶装置の構造を示す模式平面図、(b)は(a)に示す液晶装置のH−H’線に沿う模式断面図。
【図2】液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【図3】液晶装置の欠点評価システムの構成を示す模式図。
【図4】液晶装置の欠点の評価方法を示すフローチャート。
【図5】評価方法の一部を示す模式平面図。
【図6】評価方法の一部を示す模式平面図。
【図7】評価方法の一部を示す模式平面図。
【図8】変形例の投射画像を示す模式平面図。
【図9】変形例の投射画像を示す模式平面図。
【図10】変形例の投射画像を示す模式平面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大又は縮小して表示している。
【0029】
なお、以下の形態において、例えば「基板上に」と記載された場合、基板の上に接するように配置される場合、又は基板の上に他の構成物を介して配置される場合、又は基板の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。
【0030】
本実施形態では、薄膜トランジスター(Thin Film Transistor:TFT)を画素のスイッチング素子として備えたアクティブマトリクス型の液晶装置を例に挙げて説明する。この液晶装置は、例えば、後述する投射部としての投射型表示装置(液晶プロジェクター)の光変調素子(液晶ライトバルブ)として好適に用いることができるものである。
【0031】
<液晶装置の構成>
図1(a)は、電気光学装置としての液晶装置の構造を示す模式平面図である。図1(b)は、図1(a)に示す液晶装置のH−H’線に沿う模式断面図である。図2は、液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図である。以下、液晶装置の構造を、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0032】
図1(a)及び(b)に示すように、液晶装置100は、対向配置された素子基板10及び対向基板20と、これら一対の基板によって挟持された液晶層50とを有する。素子基板10及び対向基板20は、例えば、透明な石英などのガラス基板が用いられている。
【0033】
素子基板10は、対向基板20よりも一回り大きく形成されている。両基板10,20は、額縁状に配置されたシール材40を介して接合されている。そして、その隙間に、負の誘電異方性を有する液晶が封入されて液晶層50が構成されている。シール材40は、例えば、熱硬化性又は紫外線硬化性のエポキシ樹脂などの接着剤が採用されている。シール材40には、一対の基板の間隔を一定に保持するためのスペーサー(図示省略)が混入されている。
【0034】
額縁状に配置されたシール材40の内側には、同じく額縁状に額縁遮光膜21が設けられている。額縁遮光膜21は、例えば、遮光性の金属あるいは金属酸化物などからなり、対向基板20側に設けられている。そして、額縁遮光膜21の内側が画素領域Eとなっている。画素領域Eには、マトリクス状に画素Pが複数配置されている。なお、図1では図示省略したが、画素領域Eにおいても複数の画素Pを平面的に区分する遮光部が設けられている。
【0035】
素子基板10の1辺部には、1辺部に沿ったシール材40との間にデータ線駆動回路101が設けられている。また、該1辺部に対向する他の1辺部に沿ったシール材40の内側に検査回路103が設けられている。更に、該1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿ったシール材40の内側には、走査線駆動回路102が設けられている。
【0036】
1辺部と対向する他の1辺部のシール材40の内側には、2つの走査線駆動回路102を繋ぐ複数の配線105が設けられている。これらデータ線駆動回路101、走査線駆動回路102に繋がる配線105は、該1辺部に沿って配列した複数の外部接続端子104に接続されている。以降、1辺部に沿った方向をX方向とし、1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿った方向をY方向として説明する。
【0037】
図1(b)に示すように、素子基板10の液晶層50側の表面には、画素Pごとに設けられた光透過性を有する画素電極15及びスイッチング素子としてのTFT30と、信号配線と、これらを覆う第1配向膜18とが形成されている。また、素子基板10の表面には、TFT30における半導体層に光が入射して光リーク電流が流れ、不適切なスイッチング動作となることを防ぐ遮光構造が採用されている。
【0038】
対向基板20の液晶層50側の表面には、額縁遮光膜21と、これを覆うように成膜された層間膜22と、層間膜22を覆うように設けられた光透過性を有する共通電極23と、共通電極23を覆う第2配向膜24とが設けられている。
【0039】
額縁遮光膜21は、図1(a)に示すように、平面的にデータ線駆動回路101や走査線駆動回路102、検査回路103と重なる位置において額縁状に設けられている。これにより、対向基板20側から入射する光を遮蔽して、これらの駆動回路を含む周辺回路の光による誤動作を防止する役目を果たしている。また、不必要な迷光が画素領域Eに入射しないように遮蔽して、画素領域Eの表示における高いコントラストを確保している。
【0040】
層間膜22は、例えば、酸化シリコンなどの無機材料からなり、光透過性を有して額縁遮光膜21を覆うように設けられている。このような層間膜22の形成方法としては、例えば、プラズマCVD法などを用いて成膜する方法が挙げられる。
【0041】
共通電極23は、例えば、ITOなどの透明導電膜からなり、層間膜22を覆うと共に、図1(a)に示すように、対向基板20の四隅に設けられた上下導通部106により素子基板10側の配線105に電気的に接続されている。
【0042】
画素電極15を覆う第1配向膜18及び共通電極23を覆う第2配向膜24は、例えば、酸化シリコン(SiO2)などからなる無機配向膜によって構成されている。本実施形態では、負の誘電異方性を有する液晶分子が配向膜面に対してプレチルトを与えられて垂直配向するように、所定の方向に配向処理が施されたものである。
【0043】
また、本実施形態では、画素領域Eは実効的な表示がなされる表示領域と、表示領域を囲む周辺領域とを含むものである。周辺領域に配置された画素Pはダミー画素として扱われている。
【0044】
図2に示すように、液晶装置100は、少なくとも画素領域Eにおいて互いに絶縁されて直交する複数の走査線3a及び複数のデータ線6aと、データ線6aに対して一定の間隔をおいて平行するように配置された容量線3bとを有する。なお、走査線3aが延在する方向がX方向であり、データ線6aが延在する方向がY方向である。
【0045】
走査線3aとデータ線6aならびに容量線3bと、これらの信号線類により区分された領域に、画素電極15と、TFT30と、保持容量16とが設けられ、これらが画素Pの画素回路を構成している。
【0046】
TFT30のゲートは走査線3aに電気的に接続され、TFT30のソースはデータ線6aに電気的に接続されている。画素電極15は、TFT30のドレインに電気的に接続されている。
【0047】
データ線6aは、データ線駆動回路101(図1参照)に接続されており、データ線駆動回路101から供給される画像信号D1,D2,…,Dnを画素Pに供給する。走査線3aは、走査線駆動回路102(図1参照)に接続されており、走査線駆動回路102から供給される走査信号SC1,SC2,…,SCmを各画素Pに供給する。
【0048】
データ線駆動回路101からデータ線6aに供給される画像信号D1〜Dnは、この順に線順次で供給してもよく、互いに隣接する複数のデータ線6a同士に対してグループごとに供給してもよい。走査線駆動回路102は、走査線3aに対して、走査信号SC1〜SCmを所定のタイミングで、互いに重複しないパルス信号として順次供給する。
【0049】
液晶装置100は、スイッチング素子であるTFT30が走査信号SC1〜SCmの入力により一定期間だけオン状態とされることで、データ線6aから供給される画像信号D1〜Dnが所定のタイミングで画素電極15に書き込まれる構成となっている。そして、画素電極15を介して液晶層50に書き込まれた所定レベルの画像信号D1〜Dnは、画素電極15と液晶層50を介して対向配置された共通電極23との間で一定期間保持される。
【0050】
保持された画像信号D1〜Dnがリークするのを防止するため、画素電極15と共通電極23との間に形成される液晶容量と並列に保持容量16が接続されている。保持容量16は、TFT30のドレインと容量線3bとの間に設けられている。
【0051】
なお、図1(a)に示した検査回路103には、データ線6aが接続されており、液晶装置100の製造過程において、上記画像信号を検出することで液晶装置100の動作欠陥などを確認できる構成となっているが、図2の等価回路では省略している。また、検査回路103は、上記画像信号をサンプリングしてデータ線6aに供給するサンプリング回路、データ線6aに所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して供給するプリチャージ回路を含むものとしてもよい。
【0052】
このような液晶装置100は、例えば透過型であって、画素Pが非駆動時に明表示となるノーマリーホワイトモードや、非駆動時に暗表示となるノーマリーブラックモードの光学設計が採用される。光の入射側と射出側とにそれぞれ偏光素子が上記光学設計に応じて配置されて用いられる。
【0053】
<欠点評価システムの構成>
図3は、上記した液晶装置の欠点評価システムの構成を示す模式図である。以下、欠点評価システムの構成について、図3を参照しながら説明する。
【0054】
図3に示すように、本実施形態の欠点評価システム200は、液晶装置100を備えた投射型表示装置1000と、チェッカー210と、投射画像301を表示するスクリーン1300とを備えている。まず、液晶装置100が備えられる投射型表示装置1000の構成について説明する。
【0055】
投射型表示装置1000は、システム光軸Lに沿って配置された偏光照明装置1100と、光分離素子としての2つのダイクロイックミラー1104,1105と、3つの反射ミラー1106,1107,1108と、5つのリレーレンズ1201,1202,1203,1204,1205と、3つの光変調手段としての透過型の液晶ライトバルブ1210,1220,1230と、光合成素子としてのクロスダイクロイックプリズム1206と、投射レンズ1207とを備えている。
【0056】
偏光照明装置1100は、超高圧水銀灯やハロゲンランプなどの白色光源からなる光源としてのランプユニット1101と、インテグレーターレンズ1102と、偏光変換素子1103とから概略構成されている。
【0057】
ダイクロイックミラー1104は、偏光照明装置1100から射出された偏光光束のうち、赤色光(R)を反射させ、緑色光(G)と青色光(B)とを透過させる。もう1つのダイクロイックミラー1105は、ダイクロイックミラー1104を透過した緑色光(G)を反射させ、青色光(B)を透過させる。
【0058】
ダイクロイックミラー1104で反射した赤色光(R)は、反射ミラー1106で反射した後にリレーレンズ1205を経由して液晶ライトバルブ1210に入射する。ダイクロイックミラー1105で反射した緑色光(G)は、リレーレンズ1204を経由して液晶ライトバルブ1220に入射する。ダイクロイックミラー1105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ1201,1202,1203と2つの反射ミラー1107,1108とからなる導光系を経由して液晶ライトバルブ1230に入射する。
【0059】
液晶ライトバルブ1210,1220,1230は、クロスダイクロイックプリズム1206の色光ごとの入射面に対してそれぞれ対向配置されている。液晶ライトバルブ1210,1220,1230に入射した色光は、映像情報(映像信号)に基づいて変調されクロスダイクロイックプリズム1206に向けて射出される。このプリズムは、4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が合成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ1207によってスクリーン1300上に投射され、画像が拡大されて表示される。
【0060】
液晶ライトバルブ1210は、上述した液晶装置100が適用されたものである。液晶装置100は、色光の入射側と射出側とにおいてクロスニコルに配置された一対の偏光素子の間に隙間を置いて配置されている。他の液晶ライトバルブ1220,1230も同様である。
【0061】
チェッカー210は、液晶装置100に電源を供給する。また、チェッカー210は、投射された投射画像における任意の位置に、擬似欠点表示部としての擬似欠点ウインド500を表示させる制御部を備える。
【0062】
上記したような投射型表示装置1000を備えた欠点評価システム200の評価方法としては、例えば、評価したい液晶装置100(液晶パネル)(例えば、G用の液晶装置100)を液晶ライトバルブ1220に配置する。この液晶装置100は、チェッカー210に電気的に接続されており、電源が供給される。次に、偏光照明装置1100から射出された偏光光束のうち、緑色光(G)を透過させる。つまり、本実施形態では、各色ごと単色で液晶装置100の評価を行う。
【0063】
その後、液晶装置100を通過した緑色の光は、クロスダイクロイックプリズム1206を通って、投射レンズ1207からスクリーン1300に投射される。そして、スクリーン1300に投射された投射画像における欠点の合否の評価を行う。
【0064】
なお、R用の液晶装置100(R)、B用の液晶装置100(B)も同様に、評価したい液晶装置100にチェッカー210を電気的に接続し、それぞれスクリーン1300に画像を投射して欠点を評価する。次に、欠点の評価方法について、具体的に説明する。
【0065】
<欠点の評価方法>
図4は、液晶装置の欠点を評価する欠点の評価方法を示すフローチャートである。図5〜図7は、評価方法の一部を示す模式平面図である。以下、欠点の評価方法を、図4〜図7を参照しながら説明する。まず、図3に示す投射型表示装置のライトバルブに、評価したい液晶装置を配置する。
【0066】
次に、図4に示すように、ステップS11(投射工程)では、評価する液晶装置100とチェッカー210とを電気的に接続し、液晶装置100を介した画像を投射画像301としてスクリーン1300に投射する(図5参照)。
【0067】
次に、ステップS12では、欠点400を確認する。具体的には、投射された投射画像301を目視で確認し、欠点400があるか否かを確認する。欠点400としては、例えば、大きさや階調などである。なお、TFT30が動作していない点欠陥や、所定の輝度が得られない点欠陥なども含む。また、階調には、輝点やシミなどが含まれる。
【0068】
次に、ステップS13(表示工程)では、投射画像301に擬似欠点表示部としての擬似欠点ウインド500を表示させる。具体的には、図5に示すように、例えば、パソコンのファンクションキーを用いて、登録してある限度見本(擬似的な欠点)となる擬似欠点501を投射画像301の第1ポジション410に表示させる。なお、擬似欠点ウインド500の機能は、例えば、上記したチェッカー210に備えられている。
【0069】
次に、ステップS14では、擬似欠点ウインド500を、投射画像301の欠点400に近づける。具体的には、図5に示すように、第1ポジション410に表示された擬似欠点ウインド500を、欠点400の近くである第2ポジション420に移動させる。擬似欠点ウインド500を移動させる方法としては、例えば、パソコンの方向キーやマウスなどを用いて欠点400の近くに移動させることができる。
【0070】
次に、ステップS15(評価工程)では、判断基準となる擬似欠点501と欠点400とを比較して、欠点400が良品であるか否かを評価する。擬似欠点501は、例えば、中間調で表示される。また、擬似欠点ウインド500の領域全体を中間調にするようにしてもよい。また、中間調であることに限定されず、例えば、製品に応じて変更するようにしてもよい。
【0071】
比較(評価)する項目としては、例えば、欠点400の大きさ、欠点400の階調などである。なお、欠点400の大きさを比較する方法として、図5に示すように、欠点400の近くに擬似欠点ウインド500を近づけて比較する方法や、図6に示すように、欠点400に擬似欠点ウインド500を重ねて比較するようにしてもよい。
【0072】
また、階調を比較する場合においても、欠点400に擬似欠点ウインド500を近づけて比較するようにしてもよいし、欠点400の一部と擬似欠点501の一部とを重ねて表示することにより比較するようにしてもよい。
【0073】
また、欠点400の大きさや階調などを、別々の擬似欠点ウインドに表示させるようにしてもよいし、1つの擬似欠点ウインドの中に含めて表示させるようにしてもよい。
【0074】
このように、実際に使用する状態(投射型表示装置1000(プロジェクター)によってスクリーン1300に画像を投射して見る状態)で欠点400を評価するので、例えば、CCDカメラを用いて液晶装置100の欠点400を撮像し、撮像した画像と擬似欠点の画像とを比較する方法と比較して、CCDカメラの解像度や光感度などに影響を受けることなく、欠点400の評価を行うことができる。
【0075】
次に、図7を参照しながら、擬似欠点ウインド500の表示を、投射された投射画像301の中央領域450と、中央領域450より外側の周辺領域460とによって切り替える機能について説明する。
【0076】
図7(a)に示すように、欠点400が周辺領域460にある場合を説明する。この場合、上記したように、ファンクションキーを押して、登録された限度見本となる擬似欠点ウインド500を表示させる。
【0077】
次に、擬似欠点ウインド500を第1ポジション410から周辺領域460の第2ポジション420に移動させる。ここで、擬似欠点ウインド500を欠点400に近づけて比較したり、欠点400に重ねたりして比較する。
【0078】
この後、図7(b)に示すように、中央領域450にある欠点401の評価を行う。まず、擬似欠点ウインド500を周辺領域460から中央領域450に移動する。このとき、周辺領域用の擬似欠点ウインド500から中央領域用の擬似欠点ウインド500aに表示を切り替える。
【0079】
具体的には、例えば、中央領域450にある欠点401が周辺領域460にある欠点400と比較して、欠点が目立つことによる限度が厳しい場合、擬似欠点ウインド500を中央領域450に移動した際、擬似欠点502の大きさが小さくなる。また、擬似欠点502の階調が変わるようにしてもよい。なお、中央領域450と周辺領域460とは、XとYとの座標で区分けされるようになっている。
【0080】
このように、周辺領域460と中央領域450とにおいて、それぞれ別々に擬似欠点ウインド500,500aを登録しておくことにより、欠点400,401のある領域に擬似欠点ウインド500が差し掛かると、その領域にあった限度規格の擬似欠点501,502に変更される。よって、煩わしい操作を必要とすることなく、欠点400,401の評価を行うことができる。
【0081】
以上詳述したように、本実施形態の欠点評価システム200、及び欠点400,401の評価方法によれば、以下に示す効果が得られる。
【0082】
(1)本実施形態の欠点評価システム200及び欠点400,401の評価方法によれば、投射型表示装置1000によって画像をスクリーン1300に投射し、スクリーン1300上で擬似欠点ウインド500を任意の位置(欠点400,401の近く)に移動表示して欠点400,401と擬似欠点501とを比較するので、例えば、従来のようにカメラを用いて評価する場合と比較して、解像度や光感度などに影響を受けることなく、欠点400,401の評価を行うことができる。また、擬似欠点501を用いて比較するので、評価する人によってばらつきが発生したり、離れた場所で評価を行う場合にばらつき発生したりすることを抑えることができる。加えて、スクリーン1300に投射した投射画像301を見ながら評価を行うので、例えば、投射型表示装置1000(プロジェクター)の光源(ランプユニット1101)の温度が液晶装置100に加わった状態(実使用条件)で発生する欠点400,401の評価を行うことができる。
【0083】
(2)本実施形態の欠点評価システム200及び欠点400,401の評価方法によれば、中央領域450と周辺領域460とによって擬似欠点501の表示を変えるので、例えば、中央領域450と周辺領域460で欠点400,401の限度が異なるような場合など、要望に合った評価を行うことができる。
【0084】
なお、本発明は、上記した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、本発明の技術範囲に含まれるものである。また、以下のような形態で実施することもできる。
【0085】
(変形例1)
上記したように、評価する欠点400,401の具体例として、欠点400,401の大きさや階調などを評価することに加えて、図8に示すような、欠点401が集まっている(近接する)場合の評価を行うようにしてもよい。図8は、変形例の投射画像を示す模式平面図である。図8に示す投射画像311は、第1欠点401aと第2欠点401bとの間の距離W1の評価を行っている。
【0086】
例えば、投射画像311の第1欠点401aと第2欠点401bとの間の距離W1と、擬似欠点ウインド510の第1擬似欠点501aと第2擬似欠点501bとの間の距離W2とを比較して、欠点401a,401bの距離W1の間隔が広ければ良品と判断し、距離W1の間隔が狭ければ、欠点401a,401bが目立つため不良品と判断する。これによれば、欠点401a,401bが複数集まっている場合の評価を行うことができる。
【0087】
(変形例2)
上記したように、評価する欠点400,401の具体例として、欠点400,401の大きさや階調などを評価することに加えて、図9に示すような、各色ごと単色で評価を行うように擬似欠点を各色ごと登録しておくようにしてもよい。図9は、変形例の投射画像を示す模式平面図である。図9に示す投射画像312は、R用の擬似欠点ウインド520、G用の擬似欠点ウインド530、B用の擬似欠点ウインド540を表示している。このように、各色ごと別々に擬似欠点ウインド520,530,540を登録しておくことにより、色ごとの規格に対して欠点の評価を行うことができる。
【0088】
(変形例3)
上記したように、擬似欠点ウインド500を欠点400,401に近づけたり重ね合わせたりして評価することに限定されず、例えば、図10に示すようにして評価するようにしてもよい。図10は、変形例の投射画像を示す模式平面図である。図10に示す投射画像313は、擬似欠点ウインド500を回転させて、向きが変わった擬似欠点501と欠点400とを比較している。これによれば、特に、欠点400が対称性のない形状だった場合、欠点400と擬似欠点501の形状が揃うように、擬似欠点ウインド500を回転させることにより、欠点400の評価をより精度高く行うことができる。
【0089】
(変形例4)
上記したように、擬似欠点501の階調は、投射画像301の階調が変化した場合でも、所定の階調である中間調になるように補正するようにしてもよい。なお、補正する補正動作機能は、例えば、上記したチェッカー210に備えられている。これによれば、基準となる擬似欠点501の階調が変わることがないので、ラスター画面にして擬似欠点501の階調が振られた場合でも、安定した評価を行うことができる。また、擬似欠点501が中間調であることに限定されず、投射画像301によって階調を変えるようにしてもよい。
【0090】
(変形例5)
上記したように、電気光学装置は、液晶装置100に限定されず、例えば、有機EL装置、プラズマ装置、シリコン基板を用いた半導体装置などに適用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0091】
3a…走査線、3b…容量線、6a…データ線、10…素子基板、15…画素電極、16…保持容量、18…第1配向膜、20…対向基板、21…額縁遮光膜、22…層間膜、23…共通電極、24…第2配向膜、30…TFT、40…シール材、50…液晶層、100…電気光学装置としての液晶装置、101…データ線駆動回路、102…走査線駆動回路、103…検査回路、104…外部接続端子、105…配線、106…上下導通部、200…欠点評価システム、210…チェッカー、301,311,312,313…投射画像、400,401…欠点、401a…第1欠点、401b…第2欠点、410…第1ポジション、420…第2ポジション、450…中央領域、460…周辺領域、500,500a,510,520,530,540…擬似欠点表示部としての擬似欠点ウインド、501,502…擬似欠点、501a…第1擬似欠点、501b…第2擬似欠点、1000…投射部としての投射型表示装置、1100…偏光照明装置、1101…ランプユニット、1102…インテグレーターレンズ、1103…偏光変換素子、1104,1105…ダイクロイックミラー、1106,1107,1108…反射ミラー、1201,1202,1203,1204,1205…リレーレンズ、1206…クロスダイクロイックプリズム、1207…投射レンズ、1210,1220,1230…液晶ライトバルブ、1300…スクリーン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学装置の画像を投射する投射部と、
投射された投射画像における任意の位置に、擬似的な欠点である擬似欠点を表示する擬似欠点表示部と、
を備えることを特徴とする欠点評価システム。
【請求項2】
請求項1に記載の欠点評価システムであって、
前記擬似欠点表示部は、前記投射画像における中央領域と、前記中央領域より外側の領域である周辺領域と、の領域に応じて前記擬似欠点の表示を変えることを特徴とする欠点評価システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の欠点評価システムであって、
前記擬似欠点表示部は、前記投射画像の階調が変化したとき所定の階調になるように調整されることを特徴とする欠点評価システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の欠点評価システムであって、
前記擬似欠点表示部は、少なくとも三種類の色光において各単色に応じた擬似欠点を別々に表示することを特徴とする欠点評価システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の欠点評価システムであって、
前記擬似欠点表示部は、欠点間の間隔の限度を示す少なくとも2点の擬似欠点を表示することを特徴とする欠点評価システム。
【請求項6】
電気光学装置の画像を投射する投射工程と、
投射された投射画像における任意の位置に、擬似的な欠点である擬似欠点を表示する表示工程と、
前記投射画像の欠点と前記擬似欠点とを比較して前記欠点が良品であるか否かを評価する評価工程と、
を有することを特徴とする欠点の評価方法。
【請求項7】
請求項6に記載の欠点の評価方法であって、
前記表示工程は、前記投射画像における中央領域と、前記中央領域より外側の領域である周辺領域と、の領域に応じて前記擬似欠点の表示を変えることを特徴とする欠点の評価方法。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の欠点の評価方法であって、
前記表示工程は、前記投射画像の階調が変化したとき、前記擬似欠点の階調を所定の階調に調整することを特徴とする欠点の評価方法。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8のいずれか一項に記載の欠点の評価方法であって、
前記表示工程は、少なくとも三種類の色光において各単色に応じた擬似欠点を表示することを特徴とする欠点の評価方法。
【請求項10】
請求項6乃至請求項9のいずれか一項に記載の欠点の評価方法であって、
前記表示工程は、欠点間の間隔の限度を示す少なくとも2つの擬似欠点を表示することを特徴とする欠点の評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−36827(P2013−36827A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172639(P2011−172639)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】