説明

歌入着信メロディ供給機能を有するカラオケ演奏装置

【課題】各カラオケ楽曲におけるイントロ部分やサビ部分といった歌入着信メロディとして好適な歌唱部分について、利用者が所定レベル以上に上手く歌えたか否かを客観的に判断できると共に、上手く歌えた歌唱録音データを歌入着信メロディとして効率良く供給でき、利用者が自分好みの楽曲の歌入着信メロディを独自にアレンジできるカラオケ演奏装置の提供。
【解決手段】各カラオケ楽曲に歌入着信メロディとして好適な歌入着信メロディ対象歌唱区間を設定すると共に、当該歌唱区間には採点基準値を付帯させ、利用者が任意のカラオケ楽曲を歌唱する際、その歌唱音声を当該楽曲の伴奏音楽と共に録音すると共に、歌入着信メロディ対象歌唱区間の歌唱力の採点を行い、その採点結果が採点基準値を超えた場合、その歌唱録音データを抽出し、これを携帯電話に転送制御できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケ楽曲の伴奏音楽に合わせて歌った利用者の歌唱音声を録音し、当該歌唱録音データを部分的に抽出し、これを利用者が歌唱する携帯電話の歌入着信メロディとして供給できるカラオケ演奏装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、老若男女を問わず、携帯電話への需要が非常に高まり、幅広い人々の間で利用されている。そして、この携帯電話の着信通知手段として、現在では、着信メロディ(通称「着メロ」)が爆発的に普及している。この着信メロディは利用者の嗜好や個性を反映できる手段として愛用され、今では様々な種類のものがあるが、通常は、インターネットのモバイル専用サイトなどから提供されている。
【0003】
ところで、近頃は特に若年層を中心として、携帯電話に様々なシールなどの飾り付けを施したり、ユニークなストラップを付けたりして自らの個性表現を求める人達が増加している。この点、着信メロディはバラエティーに富み、個性表現の代表的なものとなっている。しかしながら、通常、着信メロディは演奏される部分が予め決まっており、同一楽曲では同じフレーズが演奏される。同じフレーズが演奏されるということは、同一楽曲での個性表現について不都合であるばかりでなく、この場合では、同一場所で同一の演奏が他の携帯電話で行われた際には自他を混同してしまう。
【0004】
そこで、従来、カラオケ演奏装置を用いて利用者の嗜好に合った好みのカラオケ楽曲のフレーズを任意に携帯電話の着信メロディとして採用できる技術が想到された。例えば、特許文献1では、カラオケ楽曲をダウンロードして再生でき、この中のサビ部分のフレーズを着信メロディとして設定できる技術が開示されている。また、特許文献2では、特定の楽曲の中で利用者が入力したい歌唱部分を選択し、当該歌唱部分のメロディを着信メロディとして入力可能な音符に変換できる楽譜データ変換装置(カラオケシステムへの組込み可能)が開示されている。
【特許文献1】特開2000−267652号公報
【特許文献2】特開2002−169568号公報
【0005】
このように、現在では、カラオケ演奏装置を利用して、自分好みの着信メロディをアレンジできるようにする技術が確立されている。ところで、最近、この着信メロディと並行して歌入着信メロディ(通称「着歌」)が普及しつつある。歌入着信メロディは、実際に歌手が歌っている楽曲の一部のフレーズを取り出し、これを着信通知手段として利用するもので、好きな楽曲の歌唱入りの音楽を聴けるという意味では着信メロディよりもインパクトが強いため、今後、着信メロディと同様に定着し、普及する可能性は大きい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、好きな楽曲を歌いたいという願望、特に、好きな楽曲のイントロ部やサビ部分などのフレーズを歌いたいという願望は自然と人の心の中にある。そして、究極の個性表現や自他混同の防止という観点からも、携帯電話の利用者本人が歌唱して作成した歌入着信メロディを利用するのが好ましく、潜在的な需要が大いにある。具体的には、好きな楽曲を利用者自らが歌唱することで、例え、同一楽曲で同じフレーズが演奏されても、歌唱音声が異なるため、個性表現や自他混同の防止という観点では着信メロディよりも好適である。しかしながら、このようなサービスを効率良く行い得るシステムは現在のところ想到されていない。例えば、素人である利用者が好きな楽曲を歌唱した場合では、必ずしも上手く歌えるとは限らないため、特に、歌入着信メロディとして好適な歌唱部分、例えば、イントロ部分やサビ部分などを設定した場合、その歌唱部分を利用者が所定レベル以上に上手く歌えたか否かを客観的に判断し、これを歌入着信メロディとして効率良く供給できるようなシステムは想到されていなかった。
【0007】
そこで、本発明は、上記不都合の解決を課題とし、具体的には、各カラオケ楽曲におけるイントロ部分やサビ部分といった歌入着信メロディとして好適な歌唱部分について、利用者が所定レベル以上に上手く歌えたか否かを客観的に判断できると共に、上手く歌えた歌唱録音データを歌入着信メロディとして効率良く供給でき、利用者が自分好みの楽曲の歌入着信メロディを独自にアレンジできるカラオケ演奏装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を鑑み、本発明者らは、各カラオケ楽曲に歌入着信メロディとして好適な歌入着信メロディ対象歌唱区間を設定すると共に、当該歌唱区間には採点基準値を付帯させ、利用者が任意のカラオケ楽曲を歌唱する際、その歌唱音声を当該楽曲の伴奏音楽と共に録音すると共に、歌入着信メロディ対象歌唱区間の歌唱力の採点を行い、その採点結果が採点基準値を超えた場合、その歌唱録音データを抽出し、これを携帯電話に転送制御できるようにすることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明の歌入着信メロディ供給機能を有するカラオケ演奏装置を想到した。
【0009】
すなわち、本発明の請求項1記載のカラオケ演奏装置は、利用者による任意のカラオケ楽曲の歌唱音声に対する採点機能および録音機能を有し、当該歌唱録音データから携帯電話の歌入着信メロディを供給できるカラオケ演奏装置であって、
(ア)各カラオケ楽曲には、採点基準値を付帯した歌入着信メロディ対象歌唱区間が設定されてなり、
(イ)利用者が任意のカラオケ楽曲を歌唱する際、その歌唱音声を当該楽曲の伴奏音楽と共に録音するための歌唱録音手段と、
(ウ)前記カラオケ楽曲における前記歌入着信メロディ対象歌唱区間の歌唱力の採点を行うための歌唱力採点手段と、
(エ)前記採点結果が前記採点基準値を超えた場合、前記歌入着信メロディ対象歌唱区間の歌唱録音データを抽出して所定の記録部に記録するための抽出記録手段と、
(オ)前記所定の記録部に記録された歌唱録音データを、適宜、所定の携帯電話に転送可能に制御するための転送制御手段と、を具備してなることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2記載のカラオケ演奏装置は、請求項1記載のカラオケ演奏装置において、
利用者IDの認識機能と利用者毎の採点基準値の設定機能を有し、
(カ)利用者IDを認識するための利用者認識手段と、
(キ)IDが認識された利用者毎に、任意のカラオケ楽曲における前記採点基準値を設定可能に制御するための設定制御手段と、をさらに具備してなることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の請求項3記載のカラオケ演奏装置は、請求項1ないし請求項2記載のカラオケ演奏装置において、
前記歌唱録音データが抽出され記録された後、当該歌唱録音データを試聴可能に制御するための試聴制御手段を、さらに具備してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1記載のカラオケ演奏装置によれば、利用者が所望するカラオケ楽曲を歌唱する際、当該楽曲における歌入着信メロディ対象歌唱区間の歌唱力の採点を行い、その採点結果が予め設定された採点基準値を超えた場合、その歌唱録音データを抽出し、これを携帯電話に転送制御できるようにしたことから、利用者が所定レベル以上に上手く歌えたか否かを客観的に判断できると共に、上手く歌えた歌唱録音データを歌入着信メロディとして効率良く供給でき、利用者が自分好みの楽曲の歌入着信メロディを独自にアレンジできるなどといった効果を奏する。
【0013】
また、本発明の請求項2記載のカラオケ演奏装置によれば、請求項1記載のカラオケ演奏装置において、利用者IDの認識機能と利用者毎の採点基準値の設定機能とをさらに有することから、自らが納得行く個別の採点基準値にて判断でき、利用者自身が満足行くレベル以上に歌唱できたとされる歌唱録音データが採用されるため、より好適に利用者が自分好みの楽曲の歌入着信メロディをアレンジできるなどといった効果を奏する。
【0014】
さらに、本発明の請求項3記載のカラオケ演奏装置によれば、請求項1ないし請求項2記載のカラオケ演奏装置において、採点基準値を超えた歌唱録音データが抽出され記録された後、当該歌唱録音データを試聴可能に制御することから、利用者が上手く歌えた対象歌唱区間の客観的な判断と共に、試聴による利用者自身の主観的な判断を加えることができ、これにより最終的に歌入着信メロディとして採用するか否かが決定できるといった効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の歌入着信メロディ供給機能を有するカラオケ演奏装置についての最適な実施例を挙げるが、先ず、請求項1記載の枕詞および(ア)から(オ)の構成について詳述する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の一実施例であるカラオケ演奏装置のブロック構成図である。本実施例におけるカラオケ演奏装置(1)は、装置全体の動作を制御する中央制御手段(2)と、これに接続された各種機器で構成される。具体的には、中央制御手段(2)には、RAM(3)、ハードディスク(4)、音源(8)、ミキサ(9)、ボーカルアダプタ(13)、MPEGデコーダ(14)、合成回路(15)、リモコン装置(6)、利用者IDが付されたICカード読み取り/書き込み装置(利用者認識手段:33)などが接続されている。また、ハードディスク(4)には、カラオケ楽曲を演奏するための楽曲データ(30)やディスプレイ装置(7)に背景映像を表示するための背景映像データ(31)などを記録している。
【0017】
ここで、各機能手段について少々説明する。先ず、音源(8)は、中央制御手段(2)が実行する楽曲シーケンサ(19)の処理によって入力された楽曲データに応じて楽音信号を形成する。形成された楽音信号はミキサ(9)に入力され、このミキサ(9)は、音源(8)が発生した複数の楽音信号やカラオケマイク(5)と、A/Dコンバータ(12)を介して入力された利用者の歌唱音声信号を適当なバランスでミキシングする。ミキシングされたデジタル音声信号はサウンドシステム(10)に入力される。このサウンドシステム(10)はパワーアンプを備え、入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換して増幅し、スピーカ(11)から伴奏楽音と歌唱音声を放音する。
【0018】
また、A/Dコンバータ(12)によってデジタル信号に変換された歌唱音声信号は、ボーカルアダプタ(13)にも入力される。このボーカルアダプタ(13)は、入力された歌唱音声信号から歌唱周波数を採取すると共に、中央制御手段(2)の楽曲シーケンサ(19)から入力されたリファレンスの周波数を採取する。そして、この歌唱周波数とリファレンス周波数を同期させ、所定時間毎に区切って中央制御手段(2)に入力し、歌唱力採点手段(23)による採点処理を行う。なお、リファレンスとしては、通常、楽曲に含まれるガイドメロディデータが用いられる。ハードディスク(4)には採点テーブル(図示省略)が記録されており、この採点テーブルによる採点は、基本的には歌唱の周波数(音程・ピッチ)について行われ、基本点数を算出すると共に、ビブラートの程度、抑揚の程度、音質の良否、タイミングの良否、しゃくりの回数などに基づき、ボーナスポイントを算出して基本点数に加算(減算)する。さらに、RAM(3)には、各種プログラムや楽曲データを読み出すエリア(図示省略)の他、採点時に採点結果を記録する採点結果データエリア(28)などが設定されている。
【0019】
ハードディスク(4)に記録されている背景映像データ(31)は、MPEG形式にエンコードされており、中央制御手段(2)が実行する背景映像再生手段(22)により再生処理を行い、これを読み出してMPEGデコーダ(14)に入力する。このMPEGデコーダ(14)は、入力されたMPEGデータをNTSCの映像信号に変換して合成回路(15)に入力し、この合成回路(15)は、この背景映像の映像信号上に歌詞テロップや採点表示などのOSDを合成し、合成された映像信号はディスプレイ装置(7)に表示される。
【0020】
リモコン装置(6)は利用者インタフェイスやリモコン信号送信回路(図示省略)などからなり、利用者の操作に応じた操作信号を中央制御手段(2)に入力する。中央制御手段(2)は、この操作信号を検出して対応する処理を行う。例えば、リモコン装置(6)にて楽曲コードが入力されると、カラオケ楽曲のリクエストであるとしてシーケンサ(18)に伝達する。このシーケンサ(18)は、これに応じて、この楽曲コードで識別される楽曲データをハードディスク(4)の楽曲データ記録エリア(30)から読み出す。また、このシーケンサ(18)は主に楽曲シーケンサ(19)および歌詞シーケンサ(20)からなっており、楽曲シーケンサ(19)は楽曲データ中の演奏データトラック、ガイドメロディトラックなどのトラックデータを読み出し、このデータで音源(8)を制御して所定のカラオケ楽曲の演奏を行い、一方、歌詞シーケンサ(20)は文字パターン作成手段(21)を備え、楽曲データ中の歌詞トラックのデータを読み出し、このデータに基づいて歌詞テロップの画像パターンを作成し、これを合成回路(15)に出力する。
【0021】
歌唱録音手段(16)は、楽曲データに応じた伴奏楽音信号とミキサ(9)から受け取ったカラオケマイク(5)に入力された歌唱音声との混合信号を入力し、この混合信号をサンプリングしてPCMデータへの変換処理を行う。このPCMデータは、歌唱録音データ(29)とされ、歌唱されたカラオケ楽曲の楽曲コード(26)と、歌入着信メロディ対象区間コード(27)と、歌唱力採点手段(23)にて採点された採点結果データ(28)と共に、一旦、RAM(3)に記録された後、これらのデータは、速やかに、ハードディスク(4)に設けられた区間別採点管理テーブル(T)に記録される。この時、抽出記録手段(24)により、当該区間別採点管理テーブル(T)に基づき、採点結果が採点基準値を超えた歌入着信メロディ対象歌唱区間の歌唱録音データが抽出され、抽出歌唱録音データ記録エリア(32)に記録される。
【0022】
転送制御手段(25)は、この抽出歌唱録音データ記録エリア(32)に記録された歌唱録音データを、所定の携帯電話に転送可能とするように制御する。上述したように、RAM(3)に一時的に記録される歌唱録音データ(29)は、通常、PCMデータであるが、ハードディスク(4)の抽出歌唱録音データ(32)は、一般的な携帯電話における歌入着歌メロディの保存データ形式に合わせ、MP3(MPEG Audio Layer 3)形式に変換して記録される。そして、本実施例では、転送制御手段(25)は、このMP3データを所定の携帯電話(M)に対し、近距離無線通信手段であるブルートゥース(blue tooth)機構のアドホック接続を利用し、カラオケ演奏装置(1)をマスタとし、一方、携帯電話(M)をスレイブとなるようにピコネットを形成して転送させるものであるが、本発明はこれに限らず、例えば、IrDA(InfraRed Data Association)方式の無線LAN機構などを利用しても構わない。
【0023】
以下、図2に示す、歌唱音声の採点機能ブロック構成図と、図3に示す、歌入着信メロディ抽出記録用の区間別採点管理テーブル概念図に基づき、本発明の請求項1記載の(ウ)と(エ)の構成について、さらに詳述する。
【0024】
先ず、上記図1において、歌唱力採点手段(23)は、マイクロプログラムに基づくデジタル処理で音声信号を処理するが、図2は、その機能をブロック化している。この歌唱力採点手段(23)は、カラオケ演奏時に楽曲データから読み出されるガイドメロディデータをリファレンス(53)として入力するが、このガイドメロディデータは主にMIDIデータであり、中央制御手段(2)は、このMIDIデータを周波数データおよび音量データに変換して歌唱力採点手段(23)に入力させる。
【0025】
また、図1において、カラオケマイク(5)から入力された歌唱音声信号はA/Dコンバータ(12)によってデジタル波形データに変換され、抽出部(51)にて、所定の採点要素の波形データから歌唱周波数データと歌唱音量データを抽出する。この抽出された各種データを比較部(52)に入力し、ガイドメロディのリファレンス(53)の周波数データと音量データとを比較し、その差分データを割り出す。さらに、歌唱音量データとガイドメロディ音量データからは歌唱発音時のタイミングの差分に基づいてリズム差分データを割り出し、この差分データは中央制御手段(2)により処理される。中央制御手段(2)はこの差分データも蓄積記憶し、平均値や標準偏差などを算出する。
【0026】
歌唱力採点手段(23)は、本発明では、少なくとも所定のカラオケ楽曲における歌入着信メロディ対象歌唱区間毎に歌唱力の採点を行い、抽出記録手段(25)は、採点結果が予め設定された採点基準値を超えた歌入着信メロディ対象歌唱区間の歌唱録音データを抽出して所定の記録部に記録するが、これら一連の処理は、図3の区間別採点管理テーブル(T)に基づくものである。
【0027】
当該管理テーブル(T)の構成は、利用者が歌唱したカラオケ楽曲を特定する「楽曲コード」フィールド(f1)と、この楽曲コードに紐付けされ、その楽曲に設定された各歌入着信メロディ対象歌唱区間を特定する「歌唱区間コード」フィールド(f2)、当該歌唱区間を構成するフレーズを特定する「構成フレーズ」フィールド(f3)、当該歌唱区間毎に設定された採点基準値を示す「採点基準値」フィールド(f4)、当該歌唱区間毎の採点結果を示す「採点値」フィールド(f5)、採点結果が採点基準値を超えた歌唱区間に付され、それらの歌唱録音データを抽出するためのフラグを示す「抽出フラグ」フィールド(f6)などを主体としている。
【0028】
通常、採点は楽曲の演奏過程においてフレーズや小節など所定の音符領域を1つの採点対象領域とされるが、本実施例ではイントロ部分やサビ部分を中心として8つの歌入着信メロディ対象歌唱区間が設定され、各歌唱区間は複数のフレーズから構成されており、それぞれのフレーズ毎に採点が集計される。そして、その平均値が区間毎の採点値として採用され、各採点平均値が全て揃ったタイミングにて、この採点平均値が互いに比較され、各採点平均値が何番目の順位に相当するかが算出される。
【0029】
なお、採点基準値は、カラオケ提供者が、数多くの利用者のカラオケ楽曲別に蓄積された採点履歴に基づき、その歌唱区間毎の歌唱の難易度によって加減されており、一般人が歌入着信メロディを聴いた場合に、プロ歌手でない素人として平均的なレベル以上に上手く歌えたと判断できる程度に設定されるものである。また、本実施例では、複数の歌入着信メロディ対象歌唱区間が設定されているが、本発明はこれに限らず、歌入着信メロディとして最も好適な歌唱部分、例えば、サビ部分を対象歌唱区間として単一に設定しても構わない。
【実施例2】
【0030】
次に、本発明の歌入着信メロディ供給機能を有するカラオケ演奏装置の別の実施例を挙げ、本発明をさらに詳述するが、ここでは、図4に示す、歌入着信メロディ抽出記録用の利用者別区間別採点管理テーブル概念図と、図6に示す、利用者毎の採点基準値設定インタフェイスの表示画面に基づき、本発明の請求項2記載の(カ)と(キ)の構成について詳述する。
【0031】
本実施例では、利用者自身が満足行くレベル以上に歌唱できたものと納得行くように、利用者別の採点基準値を設定できる。図4の区間別採点管理テーブル(T)は利用者ID毎に構成されるもので、利用者を特定するための「利用者ID」フィールド(f0)と、これに紐付けされ、当該利用者が歌唱したカラオケ楽曲を特定する「楽曲コード」フィールド(f1)と、この楽曲コードに紐付けされ、その楽曲に設定された各歌入着信メロディ対象歌唱区間を特定する「歌唱区間コード」フィールド(f2)、当該歌唱区間を構成するフレーズを特定する「構成フレーズ」フィールド(f3)、利用者が当該歌唱区間毎に設定した採点基準値を示す「採点基準値」フィールド(f4)、当該歌唱区間毎の採点結果を示す「採点値」フィールド(f5)、採点結果が採点基準値を超えた歌唱区間に付され、それらの歌唱録音データを抽出するためのフラグを示す「抽出フラグ」フィールド(f6)などを主体としている。
【0032】
利用者IDについては、図1における各利用者は予めカラオケ演奏装置(1)が付帯したICカード読み取り/書き込み装置(利用者認識手段:33)をもって、自らの利用者IDをログイン入力して認識される。なお、本実施例では、利用者IDが付されたICカードを用いているが、本発明はこれに限らず、例えば、パスワードの入力や指紋や声紋などの生体識別機能に依るものであっても構わない。また、この利用者ID毎の区間別採点管理テーブル(T)は、利用者IDのログアウトの確認により自動的に消去される。
【0033】
図6は利用者毎の採点基準値設定インタフェイスの表示画面であり、本発明のカラオケ演奏装置が付帯するリモコン装置のLCD(Liquid Crystal Display)表示画面である。このリモコン装置にはGUI(Graphical User Interface)環境が設定されているため、利用者はこの表示画面上で指示を出すことができる。この表示画面(D)には、利用者を特定するための「お客様ID」欄(50)、当該利用者が歌唱するカラオケ楽曲を特定する「楽曲コード」欄(51)、当該楽曲の曲名を示す「曲名」欄(52)が設定されている。
【0034】
この表示画面(D)が表示された状態で、利用者IDが認証され、歌唱する楽曲を楽曲コードで特定した状態で「入力」アイコン(56)を選択すると、その曲名が「曲名」欄(52)に自動表示されると共に、設定された各歌入着信メロディ対象歌唱区間が利用者に分かるように、各歌唱区間を構成する歌詞フレーズ(53)も自動表示される。そして、各歌唱区間に対して、利用者が採点基準値を容易に設定できるように、「採点基準」欄(54)が設置され、利用者はこれに数値入力する。数値入力が終わった段階で「確定」アイコン(55)を選択すると、図1における設定制御手段(34)は、利用者ID毎の区間別採点管理テーブルの当該カラオケ楽曲における採点基準値を設定する。
【0035】
以下、図5に示す、歌入着信メロディの供給手順を示す表示画面の変遷図に基づき、請求項1の(イ)から(オ)の構成および請求項3記載の構成について、さらに詳述する。
【0036】
図5のD1、D2、D3、D4a、D4b、D5、D6、D7およびD8は、それぞれ本発明のカラオケ演奏装置が付帯するリモコン装置のLCD表示画面である。なお、これら画面表示は、このLCDと共に、図1におけるディスプレイ装置(7)に表示しても構わない。なお、ディスプレイ装置にはGUI環境が設定されていないので、GUI環境が備えられたリモコン装置が利用できない場合は、カラオケ演奏装置が付帯する操作パネルやキーボードを利用する。
【0037】
利用者は、先ず、自らの歌入着信メロディを作成し、その供給を受けるサービスを選択するためのインタフェイス画面(図示省略)からD1を表出させる。このD1には、「My着歌エントリー」アイコン(41)が設置され、利用者がこのアイコン(41)を選択すると歌入着信メロディ供給機能システムが起動してD2が表出する。このD2には、利用者が所望する楽曲の楽曲コードを指定するための「楽曲コード入力」欄(42)が設置され、利用者は該当コードを入力してから「確定」アイコン(43)を選択するとD3が表出する。このD3には、楽曲演奏と共に歌唱録音する旨のメッセージが表示され、所定時間経過後、演奏が開始される。
【0038】
演奏が終了すると自動的にD4aないしD4bが表出する。D4aは、採点結果が採点基準値を超えた歌入着信メロディ対象歌唱区間がある場合で、このD4aには、平均的なレベル以上に上手く歌えたと判断でき、歌入着信メロディとして好適に採用できる歌唱区間がある旨のメッセージが表示されると共に、「試聴」アイコン(44)を選択すると、図1における試聴制御手段(17)は、当該部分の歌唱録音データを再生演奏するように制御する。試聴の最中にはD5が表出されるが、このD5には「採用」アイコン(45)が設置され、試聴により利用者自身の主観的な判断を加え、最終的に歌入着信メロディとして採用するか否かが決定でき、この「採用」アイコン(45)を選択すれば、携帯電話への書き込みインタフェイス表示画面であるD7が表出する。なお、D4aにおいて、試聴しない場合には、その「採用」アイコン(45)を選択すればD6は表出されずにD7が表出する。
【0039】
一方、D4bは、採点結果が採点基準値を超えた歌入着信メロディ対象歌唱区間がない場合で、平均的なレベル以上に上手く歌えたと客観的に判断できず、このD4bには、歌入着信メロディとして好適に採用できる歌唱区間はない旨のメッセージが表示される。なお、このD4bは所定時間経過後、自動消去される。
【0040】
歌入着信メロディが採用された場合にはD7が表出する。このD7には、本コンテンツが有料であることから課金処理を行うため、その支払い方法が設定されている。本実施例では、支払い方法は二つ指定され、一つは、個人ID認証と共に金銭の授受ができる前払式電子マネー用ICカードを利用する方法で、もう一つは現金を利用する方法である。具体的には、「ICカード」アイコン(46)ないし「キャッシュ」アイコン(47)を選択して支払いを行い、カラオケ演奏装置付帯のICカード読み取り/書き込み装置ないしキャッシュ欄(図示省略)にて審査料が引き落とされる。なお、前払式電子マネー用ICカードを利用する場合には、当該ICカードには課金情報と共にエントリー情報に関するデータも記録され、利用者ID毎の歌入着信メロディの作成履歴を、このカラオケ演奏装置とネットワーク接続されたカラオケホスト装置内に記録することもできる。
【0041】
料金の支払いを確認するとD7が表出する。このD7の表示段階では、歌唱録音データが抽出されて所定の記録部に記録された状態にあり、このD7には、利用者自らの歌入着信メロディが作成された旨と、利用者の携帯電話からのアクセス要請のメッセージが表示される。そして、利用者が「書込み開始」アイコン(48)を選択し、その携帯電話からアクセスすると、歌入着信メロディ用の歌唱音声データが転送される。なお、本実施例では、ブルートゥース機構(ピコネット)を採用しているため、カラオケ演奏装置と携帯電話間では、先ず、チャレンジ・レスポンス方式にて認証が行われ、その認証後、歌入着信メロディデータの転送が行われる。そして、データ転送が終了するとD8が表出し、このD8には、サービスの終了を示すメッセージが表示される。
【0042】
以上、詳述したように、本発明の歌入着信メロディ供給機能を有するカラオケ演奏装置によれば、利用者が所望するカラオケ楽曲を歌唱する際、当該楽曲における歌入着信メロディ対象歌唱区間の歌唱力の採点を行い、その採点結果が予め設定された採点基準値を超えた場合、その歌唱録音データを抽出し、これを携帯電話に転送制御できるようにしたことから、利用者が所定レベル以上に上手く歌えたか否かを客観的に判断できると共に、上手く歌えた歌唱録音データを歌入着信メロディとして効率良く供給でき、利用者が自分好みの楽曲の歌入着信メロディを独自にアレンジできるものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施例であるカラオケ演奏装置のブロック構成図。
【図2】歌唱音声の採点機能ブロック構成図。
【図3】歌入着信メロディ抽出記録用の区間別採点管理テーブル概念図。
【図4】歌入着信メロディ抽出記録用の利用者別の区間別採点管理テーブル概念図。
【図5】歌入着信メロディの供給手順を示す表示画面の変遷図。
【図6】利用者毎の採点基準値設定インタフェイスの表示画面。
【符号の説明】
【0044】
1 歌入着信メロディ供給機能を有するカラオケ演奏装置
2 中央制御手段
3 RAM
4 ハードディスク
16 歌唱録音手段
17 試聴制御手段
23 歌唱力採点手段
24 抽出記録手段
25 転送制御手段
27 着歌対象歌唱区間コード
28 採点結果データ
29 歌唱録音データ
32 抽出歌唱録音データ
33 利用者認識手段
34 設定制御手段
T 区間別採点管理テーブル
M 携帯電話

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者による任意のカラオケ楽曲の歌唱音声に対する採点機能および録音機能を有し、当該歌唱録音データから携帯電話の歌入着信メロディを供給できるカラオケ演奏装置であって、
(ア)各カラオケ楽曲には、採点基準値を付帯した歌入着信メロディ対象歌唱区間が設定されてなり、
(イ)利用者が任意のカラオケ楽曲を歌唱する際、その歌唱音声を当該楽曲の伴奏音楽と共に録音するための歌唱録音手段と、
(ウ)前記カラオケ楽曲における前記歌入着信メロディ対象歌唱区間の歌唱力の採点を行うための歌唱力採点手段と、
(エ)前記採点結果が前記採点基準値を超えた場合、前記歌入着信メロディ対象歌唱区間の歌唱録音データを抽出して所定の記録部に記録するための抽出記録手段と、
(オ)前記所定の記録部に記録された歌唱録音データを、適宜、所定の携帯電話に転送可能に制御するための転送制御手段と、
を具備してなるカラオケ演奏装置。
【請求項2】
利用者IDの認識機能と利用者毎の採点基準値の設定機能を有し、
(カ)利用者IDを認識するための利用者認識手段と、
(キ)IDが認識された利用者毎に、任意のカラオケ楽曲における前記採点基準値を設定可能に制御するための設定制御手段と、
をさらに具備してなる請求項1記載のカラオケ演奏装置。
【請求項3】
前記歌唱録音データが抽出され記録された後、当該歌唱録音データを試聴可能に制御するための試聴制御手段を、さらに具備してなる請求項1ないし請求2記載のカラオケ演奏装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−17755(P2006−17755A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−192431(P2004−192431)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】